| 【発明の名称】 |
圧電振動子の励振電力依存特性測定方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】阿久津 哲
【氏名】桜井 秀紀
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| 【要約】 |
【課題】昇順または降順の一方のみの過程で発生するようなモードのDLD異常特性でも従来よりも確実に捕捉しうる、量産される圧電振動子の検査に適した測定方法を提供すること。
【解決手段】所定の励振電力範囲における下限値から出発して上限値に達した後、直ちに上限値から出発して下限値に戻るまで励振電力設定値を往復させ、その往復両過程で励振電力依存特性測定の多点測定を行い、その往復両方の測定データによって前記圧電振動子の品質を判定するDLD特性測定方法。また前記測定を他の項目の特性測定に先立って行うこと。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の励振電力範囲における下限値から出発して上限値に達した後、直ちに上限値から出発して下限値に戻るまで励振電力設定値を往復させ、その往復両過程で励振電力依存特性測定の多点測定を行い、その往復両方の測定データによって前記圧電振動子の品質を判定することを特徴とする圧電振動子の励振電力依存特性測定方法。 【請求項2】 所定の励振電力範囲における下限値から出発して上限値に達した後、直ちに上限値から出発して下限値に戻るまで励振電力設定値を往復させ、その往復両過程で多点測定を行う励振電力依存特性測定を、製造された圧電振動子に対してなされる一連の特性試験のうち、実質的に最初に実施することを特徴とする圧電振動子の励振電力依存特性測定方法。 【請求項3】 前記圧電振動子は水晶振動子であり、前記励振電力依存特性はCI値またはそれに相当する量であることを特徴とする請求項1あるいは2の圧電振動子の励振電力依存特性測定方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は圧電振動子における、励振電力に依存性のある特性を測定する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】圧電振動子、殊に水晶振動子、その中でもATカット厚みすべり水晶振動子は高度の安定性のある比較的安価な発振源として広範な用途を有する。例えばビデオカメラ、カーチューナー、携帯電話、パソコンその他電子機器の基準信号源として使用される。水晶振動子は使用される回路に応じてその振動が所定の励振電力(以下ドライブレベル、あるいはDLとする)で励起される。そのDLは微弱な0.1μWから強勢な1mWにまで及び、このような広範なDL領域で確実安定な動作をすることが要求される。 【0003】水晶振動子の種々の電気的・機械的特性がDLに依存して変化することが知られている。特に重要なものは共振周波数、クリスタル・インピーダンス(以下CIとする)である。その依存性(Dependence)の程度は一定に定まっているのはなく、振動子の製造における条件や環境の微妙な差によって異なり易いものであり、不良品(DLD不良と呼ばれる)の撲滅は困難であるとされる。従って製品について測定・検査・選別を行うことが必要となる。 【0004】共振周波数が規格範囲外に変化するDLD不良は、使用時に所望の周波数から外れたり、安定な発振を維持できない場合がある。またCIがDLによって大きく変化する場合はユーザー側回路に接続したときに発振起動しなかったり異常な動作をすることがある。ATカット厚みすべり水晶振動子の場合、DLD特性は通常ネットワークアナライザ等をコンピュータ制御下で用いて自動的に測定することができる。 【0005】すなわち1個の試料について低いDLと高いDLとの間にその範囲内に数個〜数百個のDL測定点を設定し(通常、DLの対数値に対してほぼ等間隔に配置するのを基本とする)、その下限値から上限値まで、その内のあるDLに固定して励振周波数を所定範囲内で掃引しつつ特性を測定し、次のDLで同様なことを反復する。各測定は普通DLの昇順で行われる。 【0006】こうして各DL毎に得られた一連の特性値をDLD特性とする。例えば共振周波数のDLD特性は、各DLにおけるネットワークアナライザのπ回路に試料振動子を挿入し、π回路の入出力位相差がゼロとなる周波数、あるいは最大出力時の共振周波数を連ねて得られる。 【0007】また水晶振動子の呈するインピーダンスは、2端子の振動子が直列共振状態にあるとき純抵抗であって絶対値は最小である。直列共振から外れた周波数で励振されているときには、周知の電気的等価回路により、前記純抵抗(R1 )に直列にリアクタンス分(L1 、C1 )、並列に電極間容量(C0 )を含むので絶対値は前記抵抗の値よりも大きくなり、直列共振点の近傍では周波数変化に対して2次曲線的に変化する。直列共振状態において示す純抵抗値を通常CI値(R1 にほとんど等しい)と呼ぶ。 【0008】そこでCI値のDLD特性は、各DL測定点においてやはり周波数を掃引しつつ水晶振動子が呈するインピーダンスの絶対値を測定して、その最小値(通常品では極小値となる)を特性値であるCI値として記録し、これらを連ねてCI値のDLD特性とする。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】通常の良品のATカット厚みすべり水晶振動子においては、CI値のDLD特性は例えば3次オーバートーンで30MHz程度の周波数の振動子でDLを0.001〜100μWの範囲で変化させてもほぼフラットで例えば30Ω前後の低い値を示す。頻度の比較的高い異常モードの例を図2(a)、(b)に示す。これらはCI値のDLD特性がヒステリシス曲線を描くものである。 【0010】(a)の事例は昇順での測定開始直後の低DL時にCI値が異常に高いが高DLでは正常化し、その後DLを下げても正常なCI値を示し、異常状態が再現されないものである。(b)の事例ではDLが昇順の測定では異常は認められないが、降順の段階で低レベルのとき現れる。 【0011】このような現象を示す理由は明確ではないが、(a)の場合は仮説の一つとして、振動子の表面に付着した微粒子等による振動摩擦が低DLでの損失を増しており、高DLでは激しい振幅によってそれが脱落して正常に戻るという機構も考えられている。この場合、高DLを経由した振動子は以後良品と見なし得る場合もある。また(b)の場合は高DLに達してから励起されたスプリアス振動が、低DLに戻っても消えずに残る現象である可能性がある。 【0012】従来、DLD特性の測定は、検査工数の節約の意味もあって、昇順で1回のみ行ってきた。またDLD検査を行うタイミングについても特に考慮されてはいなかった。そのため、図2(a)に相当する不良の事例は捕らえることもできたが(しかし検査前に高DLを経験してしまうとそれもできない)、図2(b)に相当する不良の事例は検出不能であった。 【0013】その結果、従来のDLD特性測定方法は、図2(b)に相当する不良品が良品に混入することを防止できない危険と、図2(a)に相当するが良品(場合によるが)に転じた製品を救済できないという欠点を内包していた。 【0014】本発明の目的は、上記従来技術の問題点を取り除き、少なくとも図2(a)および(b)に相当する不良現象を確実に捕らえうる圧電振動子のDLD特性測定方法を提供することにある。 【0015】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の測定法においては次の特徴を有する。 (1)所定の励振電力範囲における下限値から出発して上限値に達した後、直ちに上限値から出発して下限値に戻るまで励振電力設定値を往復させ、その往復両過程で励振電力依存特性測定の多点測定を行い、その往復両方の測定データによって前記圧電振動子の品質を判定すること。 【0016】(2)所定の励振電力範囲における下限値から出発して上限値に達した後、直ちに上限値から出発して下限値に戻るまで励振電力設定値を往復させ、その往復両過程で多点測定を行う励振電力依存特性測定を、製造された圧電振動子に対してなされる一連の特性試験のうち、実質的に最初に実施すること。 【0017】(3)前記圧電振動子は水晶振動子であり、前記励振電力依存特性はCI値またはそれに相当する量であること。 【0018】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の1例を図1に示す。これはネットワークアナライザを用いたCI値のDLD特性測定のフローチャートである。フローは大きくは測定条件入力工程1と測定制御工程2とより成る。そのうち測定条件入力工程1の内容は、測定の準備段階として各種の必要な数値を測定装置に予備知識(前提条件)としてあらかじめ与えておく工程である。 【0019】入力される条件は、図示の通り、中心周波数F0 、掃引周波数幅FB(F0 を中心としてその前後FB/2の幅で各DL毎に周波数の掃引が行われる)、分解能帯域幅RBW(これは振動子の電圧振幅が直列共振点の前後で最大値より3dB低下する点の周波数間隔であり、これに基づいて周波数掃引時の測定範囲と測定間隔を演算し決定する)、周波数掃引速度、平均CI値、DL上限値、DL下限値、DL測定点数、等である。 【0020】次に測定作業工程2の内部動作を説明する。まず工程21で最初の試料水晶振動子が測定治具(図示しないが、振動子のリード線を接点付きクリップでクランプし、測定回路に接続する)にセットされると、工程22でDLがあらかじめ入力されていた最小値に設定され、工程23で設定されたDLを保って周波数が掃引され、前述のように共振点を探り、共振周波数と水晶振動子の呈するインピーダンスの最小値としてのCI値を求める特性測定を行いかつデータを記録する。 【0021】次いで工程24で得られた共振周波数Fn(n番目のDL測定点における共振周波数)が、下限値をFL 、上限値をFU とする良品範囲内にあるかどうかが判定される。YESであれば次工程26へ進み、NOであれば工程25で周波数不良として記録され、工程33で最後の試料であったかどうかが判定される。工程26ではDLの上限値に達したか否かがチェックされ、YESなら次工程28へ進み、NOなら工程27で1段上のDL値に設定変更され、帰還ループL1にて工程23に戻ってDLの昇順の測定が反復される。 【0022】次工程28ではDLの上限値が設定され、工程29、30、25、31、32、帰還ループL2によって、上記昇順と同様な手順で降順の測定が実行される。工程31でDLの最終値に達したか、振動子が工程30、25で周波数不良と判定された場合は、測定中の振動子が検査ロットの最後の試料かどうかが工程33で判定され、NOなら帰還ループL3によって工程21に戻り、次の測定試料に交換される。YESなら全測定終了となる。 【0023】上記の一連の測定は、水晶振動子のDLD特性が他の電気的特性試験や環境的特性試験(例えば衝撃試験)を経験しない状態で行われることが、再現性の保証がない各種のDLD不良をより確実に把握するために好ましい。(しかし外観検査などDLD特性の再現性に影響しないような検査を先行させることは差し支えない。)また以上本発明の実施の形態の一例について、周波数とCI値の測定について述べたが、DLに依存する可能性がある他の性能項目に関する試験・測定にも応用でき、また水晶振動子のみならず、他の圧電結晶より成る振動子の測定に対しても適用できることは明白である。 【0024】 【発明の効果】本発明の測定法においては、DLD特性測定をまず昇順、次に降順で行うようにしたので、いずれかの過程のみで発生する異常特性や高DLで消失する異常特性を看過することなく捕捉することができる。また他の特性測定に先立って行うことにより、再現性に問題のある特性についても捕捉の可能性を高めることができ、大量生産される振動子を過誤少なく有効に測定する方法を提供できる効果を有する。具体的には、従来見逃していた不良を1/3に減少させることができた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000166948 【氏名又は名称】ミヨタ株式会社 【識別番号】000001960 【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月25日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−271370 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月8日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−98348 |
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