| 【発明の名称】 |
水晶振動子の特性測定方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】阿久津 哲
【氏名】桜井 秀紀
【氏名】柳沢 勝則
【氏名】岩橋 裕輔
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| 【要約】 |
【課題】多数の水晶振動子の特性の多点測定を最小の所要時間でかつ常に十分な正確さで行うことができる測定方法を提供すること。
【解決手段】水晶振動子のQ値に対応する基本特性をまず測定し、その応答性を考慮して測定の所要時間(待ち時間)を再設定し、特性測定を行うようにしたこと。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の設定条件範囲内に多数の測定点を設定し、該測定点を順次選んでは、その選んだ測定条件における水晶振動子の特性測定を反復して被測定水晶振動子についての特性データの集合を得る測定方法において、前記水晶振動子のQ値に相当する基本的特性を測定するステップと、得られた前記基本的特性に基づき前記特性測定の各々における所要時間を前記Q値が高いほど長く設定するステップと、前記各測定点において前記所要時間に基づいて前記特性測定を順次行う各ステップとを含むことを特徴とする水晶振動子の特性測定方法。 【請求項2】 所定の設定条件範囲内に多数の測定点を設定し、前記設定条件範囲内で測定条件の掃引を行い、該測定条件が前記測定点を通過するときその測定条件における水晶振動子の特性を順次測定して被測定水晶振動子についての特性データの集合を得る測定方法において、前記水晶振動子のQ値に相当する基本的特性を測定するステップと、得られた前記基本的特性に基づき前記特性の応答時間特性を計算するステップと、該計算された応答時間特性に従って被測定水晶振動子のQ値が高いほど前記測定条件の掃引速度を遅く設定するステップと、前記各測定点を通過するとき前記特性測定を順次行うステップとを含むことを特徴とする水晶振動子の特性測定方法。 【請求項3】 所定の周波数範囲と所定の励振電力範囲の内部で励振電力を変化させ、多数の測定点について水晶振動子の励振電力に依存するとされる特性値を測定する方法において、試料水晶振動子がセットされた後、該試料水晶振動子のQ値に相当する基本的特性を測定するステップを加え、該測定結果に基づいて前記測定点の各々に対する所要時間を、前記Q値が大きいほど長く設定して、以後の特性測定を行うようにしたことを特徴とする水晶振動子の特性測定方法。 【請求項4】 水晶振動子の特性データを測定する水晶振動子の特性測定方法において、前記水晶振動子のQ値に相当する基本特性を測定するステップと、得られた前記基本特性に従って前記特性の応答時間を計算するステップと、該計算された応答時間に従って前記特性データの測定を行うステップとを含むことを特徴とする水晶振動子の特性測定方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は水晶振動子の特性測定方法の改良に関する。 【0002】 【従来の技術】圧電振動子、殊に水晶振動子、その中でもATカット厚みすべり水晶振動子は高度の安定性のある比較的安価な発振源として広範な用途を有する。例えばビデオカメラ、カーチューナー、携帯電話、パソコンその他電子機器の基準信号源として使用される。そして水晶振動子はこれら使用条件が厳しい機器の中で高い信頼性を保って動作せねばならない。そのために、部品として完成した水晶振動子は極めて多数の測定を行って、その特性を徹底的にチェックされる。 【0003】しかしその一方では、水晶振動子に対して強いコスト低減の要求がある。それはその製造工程に対してはもちろんであるが、検査工程に対しても求められる。即ち検査のための特性測定に要する時間は必要最小限でなければならない。例えばネットワークアナライザを用いて測定を行う場合、従来技術においては、被測定水晶振動子を測定装置にセットし、測定器の端子を水晶振動子のリード線に接触させるか、あるいはその状態で測定条件を変えると、直ちに測定を行っていた。 【0004】そこで、測定点1個について100msを要するとすると、100点の測定に要する時間は10秒を越える。水晶振動子が月産数100万個のレベルの量産品である場合を考慮すると、総計測時間も極めて大きなものとなる。従って水晶振動子個々の計測時間を少しでも削減できれば、検査コストあるいは検査設備への投資額は大幅に節減できる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記のように従来の水晶振動子の検査システムでは、個々の測定に要する時間は条件設定後実質的に待ち時間なしで直ちに測定が行われるよう、最小の時間例えば3ms程度を当て、かつすべての水晶振動子に対して一律に設定していた。そのため一応妥当な工数で検査ができたと考えられてきたが、実はそうではなく、時折測定エラーと考えるべき事例が生じており、比較的低周波の水晶振動子においてその傾向が顕著であることがわかってきた。 【0006】その理由を考察した結果、測定条件の変化に水晶振動子が追従し切れないうちに測定がなされ、データが採取されてしまうからであると推察された。過渡状態にある水晶振動子から得られた特性データはもちろん真の特性を示さない。しかも実質的に過渡状態にある期間(これを応答時間と呼ぶことにする)は、シミュレーションの結果、水晶振動子のQ値が高いほど、また共振周波数が低いほど増大することがわかった。この関係を図2に示す。 【0007】なお水晶振動子の等価電気回路定数とQ値との関係を次の式(1)に示す。また水晶振動子をその直列共振周波数の近傍の一定電圧の交流で励振して、その電圧振幅の変化をプロットすると図3のようなベル型の周波数応答振幅曲線が得られる。その曲線の頂点より3dB下がった振幅レベルでの周波数幅をBW(バンドワイドあるいは帯域幅)と呼ぶ。 【0008】BWとQ値との関係は式(2)、それらと応答時間Tとの関係は式(3)で示される。 測定条件変更後、十分な精度での測定が可能になる迄の待ち時間T0は、前記Tと比例関係にある。これを式(4)で示す。 【0009】 【数1】 Q=1/(2πF・C1 ・R1 ) (1) ただし、Fは直列共振周波数、C1 は等価容量、R1 は等価抵抗である。 Q=F/BW (2) T=1/BW=Q/F (3) T0 =KT (4) ただし、Kは比例定数である。 【0010】本発明の目的は、上記欠点を回避して、最小の所要時間で個々の被測定水晶振動子の特性の測定、特に多点での特性測定を常に十分な正確さで行うことができる測定方法を提供することである。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明における水晶振動子の測定方法は次の特徴を有する。 【0012】(1)所定の設定条件範囲内に多数の測定点を設定し、該測定点を順次選んでは、その選んだ測定条件における水晶振動子の特性測定を反復して被測定水晶振動子についての特性データの集合を得る測定方法において、前記水晶振動子のQ値に相当する基本的特性を測定するステップと、得られた前記基本的特性に基づき前記特性測定の各々における所要時間を前記Q値が高いほど長く設定するステップと、前記各測定点において前記所要時間に基づいて前記特性測定を順次行うステップとを含むこと。 【0013】(2)所定の設定条件範囲内に多数の測定点を設定し、前記設定条件範囲内で測定条件の掃引を行い、該測定条件が前記測定点を通過するときその測定条件における水晶振動子の特性を順次測定して被測定水晶振動子についての特性データの集合を得る測定方法において、前記水晶振動子のQ値に相当する基本的特性を測定するステップと、得られた前記基本的特性に基づき前記特性の応答時間特性を計算するステップと、該計算された応答時間特性に従って被測定水晶振動子のQ値が高いほど前記測定条件の掃引速度を遅く設定するステップと、前記各測定点を通過するとき前記特性測定を順次行うステップとを含むこと。 【0014】(3)所定の周波数範囲と所定の励振電力範囲の内部で励振電力を変化させ、多数の測定点について水晶振動子の励振電力に依存するとされる特性値を測定する方法において、試料水晶振動子がセットされた後、該試料水晶振動子のQ値に相当する基本的特性を測定するステップを加え、該測定結果に基づいて前記測定点の各々に対する所要時間を、前記Q値が大きいほど長く設定して、以後の特性測定を行うようにしたこと。 【0015】(4)水晶振動子の特性データを測定する水晶振動子の特性測定方法において、前記水晶振動子のQ値に相当する基本特性を測定するステップと、得られた前記基本特性に従って前記特性の応答時間特性を計算するステップと、該計算された応答時間特性に従って前記特性データの測定を行うステップとを含むこと。 【0016】 【発明の実施の形態】図1に本発明の実施の形態の一例である、水晶振動子のDLD(ドライブレベル依存性)特性測定方法のフローチャートを示す。DLDとは励振電力の大小に依存して水晶振動子の特性(発振周波数、CI値等)が変動することを指す。水晶振動子が使用される機器によって励振電力は様々であるから、水晶振動子は広範囲なドライブレベルにおいて安定な性能を発揮するような基本的設計がされていなければならない。それをチェックする検査がDLD特性測定である。 【0017】その概要は、使用範囲を考慮した最低のDLから最高のDLまでを対数的に等間隔に数100点に分割してDL測定点を設定し、水晶振動子を発振させながら発振電力を漸増あるいは漸減させつつ、各測定点における発振(あるいは共振)周波数やCI値等の特性を順次記録し、そのデータの集合を事後に可視化または演算して被測定水晶振動子の性能を評価する。ただし図1のフローチャートではデータの収集完了を測定終了とし、事後処理までは含めていない。 【0018】測定フローは、準備段階として種々の前提条件を装置に数値入力する測定条件入力工程1、実際の測定である測定制御工程2の2段階に大別され、各段階は更に多数の細分化された工程(あるいはステップと呼ぶ)から成る。測定装置はコンピュータ制御され、必要な制御データはあらかじめ入力された量、あるいは装置自身が計測した量に基づいて、必要な演算を加えて作成される。 【0019】図1にて測定スタート後、まず測定条件入力工程1においては、中心周波数F0 、掃引周波数幅FB、分解能帯域幅、周波数掃引速度、平均CI値、DL上限値、DL測定点数、DL初期値等の入力が行われる。分解能帯域幅はQ値との関連が強い量であるが、ここでは測定動作がスタート可能なように、平均値、代表値、あるいは特性の分布を考慮した安全側の値を入力しておく。 【0020】測定制御工程2では測定動作に移行する。まず工程21で試料がセットされる。手動または自動で試料水晶振動子が電極付きの測定治具に取り付けられると、振動子はいわゆるπ回路に挿入され、伝送法によって水晶振動子の入出力電圧の比あるいは位相差等が計測される。その際電気的励振条件(ドライブレベル及び励振周波数)が制御される。 【0021】次に工程22で試料振動子固有のQ値(あるいはQ値に代わる値)が測定され、その結果に応じて工程23で測定の時間間隔(すなわちDLや周波数等の条件変更後の測定における応答時間または待ち時間、あるいは条件の掃引速度)が計算され設定される。次に工程24でDLの初期値(例えば下限値)が出発条件として設定され、続いて工程25でDLに依存性のある所定の特性の測定が行われ、そのデータは工程26で記録・蓄積される。当然Q値が高いほど各測定の所要時間は長くなる。 【0022】次に工程27で条件として与えたDLは最終値か否かが判定され、最後のDLでなければ帰還ループL1を経由し、工程28で次のDL値が設定されて特性測定が反復される。最終のDLに対する測定が完了すればループL1を脱し、測定すべき最後の試料か否かが工程29でチェックされる。そうでなければ帰還ループL2を経由して工程21に戻り試料の交換が行われ、次の試料に対して新たに一連の測定が再開される。最後の試料であれば全測定は終了し、測定装置は停止する。 【0023】Q値測定工程22について更に具体的に言及しておく。まずDLを一定にして励振周波数を狭い範囲で掃引し、π回路の入出力電圧の位相差がゼロとなる条件から直列共振周波数を計測して求め、次に入出力電圧比の変化から帯域幅BWを計測し、前者を後者で割ることにより(2)式によりQ値が計算される。Q値を求める際のDLは、後で測定するDLD特性(往々にしてヒステリシス現象が見られる)に擾乱的な影響を与えないよう、極力低DLにおいて行うことが望ましい。 【0024】DLD特性としてCI値を測定する場合について述べる。2端子の水晶振動子は周知の電気的等価回路が示すように、純抵抗R1、リアクタンスL1およびC1が直列接続された枝に電極間容量C0が並列接続されたものと等価である。上記直列共振状態においてはリアクタンス分が相殺され、振動子のインピーダンスの絶対値は最小値(極小値)を呈し、純抵抗R1となる。これはCI値と実質的に等しい。従ってCI値もDLを固定し、周波数を振ってみることで得られる。このとき共振周波数の情報も同時に得られる。この場合も周波数変化に対する振動子の応答がQ値の関数となるので本発明が効果的に適用される。 【0025】以上本発明の実施の形態の一例を説明したが、本例に限らず、水晶振動子の応答性に関係する量を単独または複数を含む、あるいは応答性に関係ある量と関係の薄い量とを共に測定対象として含むあらゆる測定に対して本発明が有効に適用されることは明白である。例えば測定条件の変化が応答性に関係する例としては、上記DL値の他、周波数の変化、衝撃後の回復性、温度変化等も考えられる。以上多点測定で説明を進めてきたが、たとえ1点または2点の測定であっても本発明が適用できる。 【0026】 【発明の効果】本発明においては、水晶振動子のQ値に対応する応答性を考慮して測定の所要時間(待ち時間)を再設定し、特性測定を行うようにしたので、多数の水晶振動子の特性の多点測定の総時間を必要かつ十分な最小値とし、常に十分な正確さで個々の測定を行う測定方法を提供することができる効果を有する。多点でなく1、2点の測定であっても、測定時間の設定が個々の振動子について自動的に行われるので測定の容易さと精度が増す。また条件設定をステップ状にではなく連続的に変化させながら特性測定を行う場合にも、条件の変化速度をQ値に応じて変えることにより、測定精度を向上し得る。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000166948 【氏名又は名称】ミヨタ株式会社 【識別番号】000001960 【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月25日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−271369 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月8日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−98347 |
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