| 【発明の名称】 |
水晶振動子の周波数測定方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】阿久津 哲
【氏名】桜井 秀紀
【氏名】柳沢 勝則
【氏名】池田 良太
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| 【要約】 |
【課題】従来の周波数測定法における誤差要因や操作性の悪さを除き、最終製品と近い条件で十分正確にかつ能率よく共振周波数を測定できる測定方法を提供すること。
【解決手段】矩形板状でその少なくとも一方の短辺の近傍に複数の励振電極の各引出電極を配した水晶振動子を対象とし、前記短辺近傍の所定位置を板面に垂直方向に小面積で接触して挟持する一対の接触子を有し、該接触子には前記引出電極と接触する導体を設け、該導体には伝送法による振動子特性測定回路の測定端子をあらかじめ接続した治具を使用し、前記接触子で被測定水晶振動子を保持しておき、前記伝送法により前記被測定水晶振動子の共振周波数を測定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 矩形板状をなし、その少なくとも一方の短辺の近傍に複数の励振電極の各引出電極を配した水晶振動子を対象とし、前記短辺近傍の所定位置を板面に垂直方向に接触して挟持する一対の接触子を有し、該接触子には前記引出電極と接触する導体を設け、該導体には伝送法による振動子特性測定回路の測定端子をあらかじめ接続した治具を使用し、前記接触子で被測定水晶振動子を保持しておき、前記伝送法により前記被測定水晶振動子の共振周波数を測定することを特徴とする水晶振動子の周波数測定方法。 【請求項2】 前記各引出電極は前記水晶振動子の両板面に振り分けて設けられており、また前記導体は前記一対の接触子の双方に振り分けて設けられていることを特徴とする請求項1の水晶振動子の周波数測定方法。 【請求項3】 前記各引出電極は前記水晶振動子の少なくとも1つの板面に共に配置されており、また前記導体は前記一対の接触子の少なくとも一方に共に設けられていることを特徴とする請求項1の水晶振動子の周波数測定方法。 【請求項4】 前記各引出電極は前記水晶振動子の両方の板面のそれぞれに配置されており、また前記導体は前記一対の接触子の双方に、共にあるいは振り分けて設けられていることを特徴とする請求項1の水晶振動子の周波数測定方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は水晶振動子の改良された周波数測定方法に関する。 【0002】 【従来の技術】所定のカット角・形状・寸法に加工された水晶片に励振電極膜を蒸着して完成された多数の水晶振動子は、量産的品質の維持のために、その共振周波数を細かく測定・検査し、選別あるいは層別する必要がある。従来、その目的での量産的な周波数測定技術としては、(1)空隙電極法、あるいは(2)クリップマウント法が用いられてきた。以下図面を参照して従来技術について説明する。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】図3(a)は(1)空隙電極法を説明する概念図である。5は所定の間隔を置いて固定された一対の電極板であり、51は下電極板、52は上電極板である。上下の各電極板は発振回路4に接続されている。この装置は本来励振電極の蒸着がまだなされていない水晶片の共振周波数をチェックするためのものであるが、励振電極蒸着後の水晶振動子の検査にも用いられる。 【0004】励振電極11の蒸着による形成を終った水晶振動子1は、下電極板51の上に載置され、その下側の励振電極11は下電極板51と接触し導通している。上側の励振電極11は上電極板52とは接触せず、例えば30μm程度の隙間dがあり、両者間には負荷容量CL が存在する。従って水晶振動子1は図4(a)に示すように負荷容量CL を介して発振回路4と接続されることになる。その発振周波数Fは、励振電極が発振回路と直結された場合とはΔFだけの差が生じ、次式のようになる。なお図4(b)は水晶振動子1の電気的等価回路図であり、C0は励振電極11間に存在する電極間容量である。 【0005】 【数1】ΔF=F/〔2r(1+CL /C0 )〕 ただし、r=C0 /C1 (容量比) 【0006】容量比rはAT板振動子では通常200〜600程度の値をとる。水晶振動子や電極材料の形状や厚み等の誤差で、rやC0 も変化するので、ΔFも一定しない。15MHzの振動子の一例におけるCL とΔFとの関係を図4(c)に示すが、このように数100ppmにも達する周波数変化が生じ得るので、周波数の精密な選別や層別については、この空隙電極法は問題がある。 【0007】次に(2)クリップマウント法について述べる。図3(b)に装置の概念を示す。6はクリップ法測定治具で、絶縁体であるベース61と、それが支持する細くて弾性のある針金より成るクリップバネ62より成る。2本のクリップバネ62の各々の上端は2重のループに巻かれ、それらループ間には水晶振動子1の端部を挟んで軽く締めつけ保持する程度の隙間を設ける。 【0008】水晶振動子1の両端を図示のようにクリップバネ62で保持したとき、各々のクリップバネ62は励振電極11の片方づつとそれぞれ接触・導通する。クリップバネ62の下端は発振回路4に接続されており、水晶振動子1は発振動作を行う。この方法においては空隙電極法と異なり、ほぼ正しい発振周波数が得られる長所がある。しかし多数の被測定水晶振動子を一々華奢なクリップバネにセットするのは極めて面倒で工数を要するし、作業中に振動子(特に薄いもの)を破損する危険も高く、やはり難点のある手法である。 【0009】なお図3(c)は図1(a)に示す水晶振動子1を、気密端子7上に実際の製品と同様に(ただし封止管を除く)マウントした状態を参考として示したものである。周波数測定もできるだけ最終製品と同じ条件で行われることが望ましい。しかし実際の製品では気密端子を貫通するリード線71の上端と引出電極12の端部13とがハンダ付けで固定されるので、単体の水晶振動子の検査には用いることができない。 【0010】本発明の目的は、上記従来技術の諸欠点を除き、最終製品と近い条件で十分正確にかつ能率よく共振周波数を測定できる測定方法を提供することである。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の水晶振動子の周波数測定方法は次の特徴を有する。 (1)矩形板状をなし、その少なくとも一方の短辺の近傍に複数の励振電極の各引出電極を配した水晶振動子を対象とし、前記短辺近傍の所定位置を板面に垂直方向に接触して挟持する一対の接触子を有し、該接触子には前記引出電極と接触する導体を設け、該導体には伝送法による振動子特性測定回路の測定端子をあらかじめ接続した治具を使用し、前記接触子で被測定水晶振動子を保持しておき、前記伝送法により前記被測定水晶振動子の共振周波数を測定すること。 【0012】(2)(1)において、前記各引出電極は前記水晶振動子の両板面に振り分けて設けられており、また前記導体は前記一対の接触子の双方に振り分けて設けられていること。 (3)(1)において、前記各引出電極は前記水晶振動子の少なくとも1つの板面に共に配置されており、また前記導体は前記一対の接触子の少なくとも一方に共に設けられていること。 (4)(1)において、前記各引出電極は前記水晶振動子の両方の板面のそれぞれに配置されており、また前記導体は前記一対の接触子の双方に、共にあるいは振り分けて設けられていること。 【0013】 【発明の実施の形態】図1は本発明の周波数測定法の第1の実施の形態の説明図である。(a)は測定の対象となる水晶振動子の平面図で、水晶振動子1は矩形板状であり、両板面には中央部の励振電極11とその引出電極12が銀蒸着膜等で形成されている。(a)には片面しか示していないが、裏面の電極パターンは水晶振動子1を長手軸の回りに反転させたとき表面の電極パターンと全く同じになる。引出電極12が板面の上下両端部にあるのは、水晶振動子1を図3(c)のように容器にマウントする際に上下の方向性判別を不要化するためである。 【0014】図1(b)は周波数測定装置の概念を示す斜視図である。表面に電極形成を終わった被測定水晶振動子1は台23上に立てて置かれ、その下端部を接触子2で挟持される。2つの接触子2は少なくともその一方の先端部が薄板状あるいは刃状をなし、水晶振動子1の下端に近いhの高さの部分で2つの引出電極12の表面にほぼ線接触をなし、適当な力F(振動子の破損の恐れがなく、かつ支持条件と接触抵抗が安定するよう数g〜数百gから選ばれる)で水晶振動子1を挟んでいる。接触子2は金属製であって電気接点を兼ねており、外部の測定回路3に接続されている。 【0015】測定回路3は共振周波数の測定精度を上げるため、装置の浮遊容量等に発振周波数が影響されやすい発振回路4の使用を避け、いわゆる伝送法を用いている。測定回路3の内部のブロック線図を図6に示す。図6において周波数計30で周波数をチェックされる可変周波数の発振器31の出力の一部は、可変減衰器32、電力分配器33を経てπ回路34に印加される。π回路34の出力と固定減衰器37を経た出力の他の一部とは抵抗Rでインピーダンスが整合されて電圧位相差計38のA、B端に入力され、両波形の位相が比較される。 【0016】測定回路3の中枢部をなすπ回路34は、図5に示すように抵抗R2 〜R7 をπ字型に組み合わせたネットワークである。その測定端子X1 、X2 には図6に示した被測定水晶振動子1、校正用抵抗器35、短絡板36等が交換接続可能となっている。上記測定端子に水晶振動子1を接続し、発振器31の出力周波数をスイープして測定を行い、図6の電圧位相差計38のA、B入力の位相差(π回路の入・出力電圧V1 、V2 の位相差に等しい)が零となった周波数が被測定水晶振動子1の直列共振周波数であり、周波数計30で読み取られる。この周波数では水晶振動子1は純抵抗R1 〔図4(b)〕と等価となる。 【0017】図2は本発明の周波数測定法の第2の実施の形態の説明図である。(a)は測定の対象となる水晶振動子1の平面図で、各板面の励振電極11の引出電極12の端部は水晶板の側面を跨いで反対側の板面にも設けられ、結局各板面の各端に2つづつの励振電極引出線がそれぞれ設けられている。板面の裏面のパターンも表面と全く同じである。なおこのパターンは水晶振動子を板の片面側にある2本のリード線と接続・支持するマウント構造に適している。 【0018】図2(b)はこの水晶振動子に適用される周波数測定装置の概念を示す斜視図である。力Fで水晶振動子1の下端を接触子2が挟持することは第1の実施の形態と同様であるが、2つの引出電極12の端部が1つの板面に集まっていることに対応して、一方の接触子に接点となる金属部21が共に設けられている。絶縁体22はそれらを隔離しかつ保持している。他方の接触子2は絶縁材料より成り、水晶振動子を安定に保持するために接触面積をやや大きくしてある。測定回路3は第1の実施の形態と同様のものを用いる。 【0019】図7は本発明の測定装置の第2の実施の形態に用いる測定治具の構造を示し、(a)は一部断面平面図、(b)は垂直断面図、(c)はA部の拡大図である。8は測定治具基台、81は固定接触子体、82は可動接触子体で回転軸83を有し、板バネ84で固定接触子体81側への圧着力が与えられる。固定接触子体81には2個の電極板85が絶縁板86を介してネジ87により測定軸88に固定されかつ接続されている。測定軸の左端は回路を接続する治具端子89になっている。なお電極板85には接点部851と段部852〔図1(b)の台23の役割を果す〕を有する。 【0020】測定の際は可動接触子体82の右端を指で押し下げて接触子を開き、水晶振動子を縦姿勢でその保持間隙80に挿入し、その下端を段部852の上面に乗せて指を放すと振動子は所定の位置に所定の力で保持され、接点部851も正確に引出電極12と接触する。また本例は第2の実施の形態に属するが、金属部材・絶縁部材・接続用リード部材その他の配置構造を変更すれば前記第1の実施の形態用に用いる治具も容易に実現できる。 【0021】電極板84の水晶振動子1との接点部851の縦断面は図7(c)の要部拡大図のように刃状に鋭くされ、水晶振動子1への当接位置の精度を確保している。他方可動接触子82の左端は平面であるが、接触位置は水晶振動子1の下端部に限られるので接触面積は過大にはならない。またネジ86から治具端子89に至る測定軸87には、円板状の抵抗R2 、R4 、R5 、R7 および棒状の抵抗R3、R6 が組み込まれ、図6のπ回路34が測定治具の内部に構成されている。 【0022】次に、本発明の適用範囲について述べておく。まず被測定水晶振動子と測定用治具の接触子の接点構造とは必ずしも厳密に1対1対応するものではない。図1および図2は例示に過ぎない。水晶振動子の電極パターンと接触子の接点構造の工夫によって、製品マウント構造の異なる複数種類の水晶振動子に対して共通の治具構造を使用しうることは明らかである。 【0023】また水晶振動子は平板状に限定されない。端部付近に斜面を設けたいわゆるベベル付きの形状や、板の中心部が厚いコンベックス形状の水晶振動子にも当然適用できる。更には円板型振動子であっても、その表裏の励振電極の引出端子を円周の一部に接近して設けておき、測定治具で振動子の円周の一部を挟持することで本発明を応用できる。(円板型水晶振動子は直径の両端で支持・接続される場合が多いが、支持を行わない測定専用の引出電極パターンを別途設けておけばよい。) 【0024】また水晶振動子に対する接触子の接触位置や接触面積は図示例には限定されない。例えば2〜4点の点接触でもよいし、接触点位置が表裏で異なってもよい。また小面積ならば平面と平面で挟んでもよい。要点は振動子の振動を機械的に妨害することの少ない位置・面積・力・接触面の材質・状態などの諸条件を実験的に選べばよい。なお被測定振動子の材質も必ずしも水晶に限られず、他の圧電性の結晶や材料より成る振動子に対しても本発明が同等に適用できることも自明である。 【0025】 【発明の効果】本発明においては、測定回路が水晶振動子電極と直接接触するので負荷容量による測定誤差を生じない。また接触子を開閉して水晶振動子を所定の位置に所定の力で容易に接続・挟持することができるので、振動子の破損の恐れが殆どなくなり、測定条件も極めて安定する。また測定回路には伝送法を用いるので他の電気的な原因による誤差もなく優れた測定精度を発揮することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000166948 【氏名又は名称】ミヨタ株式会社 【識別番号】000001960 【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月25日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−271368 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月8日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−98346 |
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