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【発明の名称】 事故点標定装置
【発明者】 【氏名】竹多 昭夫

【氏名】橋本 卓

【要約】 【課題】最も信頼できる演算結果を導出する。

【解決手段】事故発生を契機として系統の電圧値及び電流値を順次サンプリングし、これを用いて測距演算を繰り返して時系列的に記憶し、このうち演算結果の最大値と最小値との差が所定値以内である状態を継続している時間を計測し、継続時間が1番大きい時間帯の最終演算結果を出力するように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電力系統から取り込んだ電圧データ、電流データを所定の間隔でサンプリングしたディジタルデータを用いて所定の距離演算と判定によって事故点までの距離を標定する事故点標定装置において、系統事故発生時に一定周期で事故点までの距離Xmを演算して各時点に対応する距離Xmを時系列的距離データとして記憶する手段と、前記時系列的距離データの内で、各時点の過去のn個の演算結果の距離(Xm、Xm-1・・・・Xm-n)から最大値Xmaxと最小値Xminとを選び出し、その差Dmが所定値Kより小さい状態を継続する時間を継続時間として計測する手段と、前記継続時間の内で、最大の時間帯を選び出し、その時間帯の最終時点の演算結果の距離を事故点までの距離と標定する手段を備えることを特徴とする事故点標定装置。
【請求項2】 電力系統から取り込んだ電圧データ、電流データを所定の間隔でサンプリングしたディジタルデータを用いて所定の距離演算と判定によって事故点までの距離を標定する事故点標定装置において、系統事故発生時に一定周期で事故点までの距離Xmを演算して各時点に対応する距離Xmを時系列的距離データとして記憶する手段と、前記時系列的距離データの内で、各時点の過去のn個の演算結果の距離(Xm、Xm-1・・・・Xm-n)の標準偏差σmが所定値Kより小さい状態を継続する時間を継続時間として計測する手段と、前記継続時間の内で、最大の時間帯を選び出し、その時間帯の最終時点の演算結果の距離を事故点までの距離と標定する手段を備えることを特徴とする事故点標定装置。
【請求項3】 電力系統から取り込んだ電圧データ、電流データを所定の間隔でサンプリングしたディジタルデータを用いて所定の距離演算と判定によって事故点までの距離を標定する事故点標定装置において、系統事故発生時に一定周期で事故点までの距離Xmを演算して各時点に対応する距離Xmを時系列的距離データとして記憶する手段と、前記時系列的距離データの内で、各時点の過去のn個の演算結果の距離(Xm、Xm-1・・・・Xm-n)の標準偏差σmの内で、最小の標準偏差σminを選び出して、対応する時点の演算結果の距離を事故点までの距離と標定する手段を備えることを特徴とする事故点標定装置。
【請求項4】 電力系統から取り込んだ電圧データ、電流データを所定の間隔でサンプリングしたディジタルデータを用いて所定の距離演算と判定によって事故点までの距離を標定する事故点標定装置において、系統事故発生時に一定周期で事故点までの距離Xmを演算して各時点に対応する距離Xmを時系列的距離データとして記憶する手段と、前記時系列的距離データの内で、各時点の過去のn個の演算結果の距離(Xm、Xm-1・・・・Xm-n)から最大値Xmaxと最小値Xminとを選び出し、その差Dmが所定値Kより小さい状態を継続する時間を継続時間として計測する手段と、前記継続時間の内で、最大の時間帯を選び出し、その時間帯の演算結果の距離の平均値を事故点までの距離と標定する手段を備えることを特徴とする事故点標定装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、事故点標定装置に係り、特に電力系統の事故発生時に事故点までの距離を標定するのに好適な事故点標定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】送電線の事故点標定装置としては、故障点で発生するサージを送電線の両端子で受信し、その時間差によって事故点を標定するサージ受信方式及び事故検出後、直ちに送電線にパルスを送出し、その反射時間を測定するパルスレーダ方式等が従来から実用に供されている。しかし、これらの方式は送電線の両端子を結ぶ伝送装置が必要であったり、あるいは、パルスが逃げないためのブロッキングコイルが必要であったりして決して安価なものではない。
【0003】しかし、近年はマイクロコンピュータの発達により、系統の電圧、電流データを使って事故点までの距離を計算し、安価に事故点標定を行う方式の研究が盛んに進められている。
【0004】図6は、マイクロコンピュータを使ったディジタル演算形の事故点標定装置の一般的な構成図である。
【0005】図において、入力変換器1a,1bによって電力系統の各相電圧、各相電流が導入され、その入力電気量が適当な大きさの電圧信号へ変換される。サンプル・ホールド回路2は、各入力変換器1a,1bからの出力を所定の間隔でサンプリングする。A/D変換回路3は、サンプル・ホールド回路2からの出力をディジタル・データに変換する。記憶回路4は、A/D変換回路3が出力したディジタル・データを時系列的に記憶する。
【0006】標定演算部5は、記憶回路4で記憶したディジタル・データを用いて、系統の事故発生時に一定周期で、所定の方式により事故点までの距離Xmを演算して各時点に対応する距離Xmを時系列的距離データとして記憶する。収束判定部6は、標定演算部5で時系列的に演算した標定演算結果である時系列的距離データから、所定の収束判定方式により収束値を選択する。出力回路7は、収束判定部6で判定した収束演算結果を図示されていないFAXや外部表示器に出力する。
【0007】次に、標定演算部5により実行される演算式の代表例として、式(1)が示される。
【0008】
【数1】

【0009】上記式(1)を計算する場合、電力系統から一定時間間隔でサンプリングして得られた電圧、電流の瞬時値データを使い、過去の一定期間にサンプリングされたデータを用いる必変がある。例えば、毎サンプリング間隔毎に式(1)の演算を完了できると仮定した場合、図7はサンプリングされた電圧、電流データの時系列が示されており、m時点においてmを基準にしたnサンプル前までのデータを使用し標定値Xmを演算し、m−1時点においてはm−1を基準にしたnサンプルまでのデータを使用してXm-1を、各々式(1)により計算する。
【0010】図8は上記手順に従い、式(1)を演算した場合の演算結果である標定値Xmの時点に対する推移を示したものであり、特に鎖線で明示した事故発生中の範囲をプロットしている。
【0011】図8において、m−2時点の標定値Xm-2が収束し始め、m−1時点の標定値Xm-1から上昇し、m時点の標定値Xmが収束値となり、所定値k内に入って収束したと判断されていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図6乃至図8で説明した事故点標定装置では、演算結果が収束したと誤って判定される場合があり、正確な事故点の標定を期待することができないという問題がある。
【0013】まず、事故発生直後は演算結果に事故前データ及び事故直後の過渡波形の影響が残るため正確な判定は期待できない。また、演算結果は時間の経過につれて真の値へと収束して行く傾向があり、一定期間後、系統事故が除去されると、演算結果は再び正確な値を示さなくなるという問題がある。
【0014】例えば、図9に示すように、事故発生中に電圧データが安定し、標定値が事故発生直後に大きく振動しその後安定した演算結果が得られた場合、どの値を採用すべきかは大きな問題である。即ち、演算結果が一点に収束した場合は問題ないが、入力データの状態によっては演算結果が真値の近傍で振動したり、または事故除去が早すぎてしまい、演算結果が収束しないうちに事故データが失われるケースもあり得る。
【0015】これを解決するために特公平1−42386号公報で示されるように、事故発生中に系統の電圧、電流をサンプリングしてメモリ内に順次記憶し、これらを用いて過去n回のサンプリング毎に事故点までの測距結果を記憶せしめ、この内の最大値と最小値を選んでその差を導出し、これが所定値K以内である場合に測距結果は収束したと判定し、収束判定時の結果を最終的な標定演算結果として出力するものが提案されている。
【0016】この収束判定方法においてサンプリング回数nと所定値Kの選び方が重要で、所定値Kはアナログ入力雑音等による標定演算結果の変動幅により決定される。アナログ入力雑音による標定演算結果の変動が大きいケースでは、所定値Kをある程度大きくする必要があるが、大きすぎると、十分収束する前に収束したと判定してしまい、標定誤差の生じる原因となってしまう。一方、サンプリング回数nについては、前記nを小さくすると、図8のように、標定演算結果が安定する前に偶然収束条件を満たし、十分安定していない時間領域の演算結果を収束値として出力する場合があり、真の収束値との間に誤差をもつことになる。また、サンプリング回数nを大きくすると上記問題は解決できるが、事故継続時間が短い事故に対しては収束判定に必要な演算結果が揃わないという問題が生じる。
【0017】そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、アナログ入力雑音による演算結果が大きく変動するケースや、事故継続時間が短いケースにおいても、十分安定した時間帯である時間領域の標定演算結果を得て正確な事故点の標定を可能とする事故点標定装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、電力系統から取り込んだ電圧データ、電流データを所定の間隔でサンプリングしたディジタルデータを用いて所定の距離演算と判定によって事故点までの距離を標定する事故点標定装置において、系統事故発生時に一定周期で事故点までの距離Xmを演算して各時点に対応する距離Xmを時系列的距離データとして記憶する手段と、時系列的距離データの内で、各時点の過去のn個の演算結果の距離(Xm、Xm-1・・・・Xm-n)から最大値Xmaxと最小値Xminとを選び出し、その差Dmが所定値Kより小さい状態を継続する時間を継続時間として計測する手段と、継続時間の内で、最大の時間帯を選び出し、その時間帯の最終時点の演算結果の距離を事故点までの距離と標定する手段を設けるようにしたものである。この手段によれば、最大値Xmaxと最小値Xminとの差Dmが所定値Kより小さい最大の時間帯の演算結果が事故点迄の距離とされる。従って、演算結果が十分に安定していない時間帯で、偶然に最大値Xmaxと最小値Xminとの差Dmが所定値Kより小さくなったとしても、この状態が長時間継続しないので、この時間帯の演算結果が選ばれることがなく、十分に安定した時間帯の演算結果が選ばれ正確な距離が標定できる。
【0019】請求項2の発明は、電力系統から取り込んだ電圧データ、電流データを所定の間隔でサンプリングしたディジタルデータを用いて所定の距離演算と判定によって事故点までの距離を標定する事故点標定装置において、系統事故発生時に一定周期で事故点までの距離Xmを演算して各時点に対応する距離Xmを時系列的距離データとして記憶する手段と、時系列的距離データの内で、各時点の過去のn個の演算結果の距離(Xm、Xm-1・・・・Xm-n)の標準偏差σmが所定値Kより小さい状態を継続時間を継続時間として計測する手段と、継続時間の内で、最大の時間帯を選び出し、その時間帯の最終時点の演算結果の距離を事故点までの距離と標定する手段を設けるようにしたものである。この手段によれば、標準偏差σmが所定値Kより小さい最大の時間帯の演算結果が事故点迄の距離とされる。従って、演算結果が十分に安定していない時間帯で、偶然に標準偏差σmが所定値Kより小さくなったとしても、この状態が長時間継続しないので、この時間帯の演算結果が選ばれることがなく、十分に安定した時間帯の演算結果が選ばれ正確な距離が標定できる。また、収束判定に用いる演算結果(Xm-n+1,...Xm-1,Xm)の内、前半の結果は過渡的な変動が生じていて、後半の演算結果は安定しているケースにおいて、最大値Xmaxと最小値Xminとの差は前半の演算結果のみで決まるのに対し、標準偏差σmは収束判定に用いる演算結果全てのばらつきを平均化した値であるので、前者のような問題が生ぜず、事故継続時間が短い事故に対しても、適切な演算結果が得られる。
【0020】請求項3の発明は、電力系統から取り込んだ電圧データ、電流データを所定の間隔でサンプリングしたディジタルデータを用いて所定の距離演算と判定によって事故点までの距離を標定する事故点標定装置において、系統事故発生時に一定周期で事故点までの距離Xmを演算して各時点に対応する距離Xmを時系列的距離データとして記憶する手段と、時系列的距離データの内で、各時点の過去のn個の演算結果の距離(Xm、Xm-1・・・・Xm-n)の標準偏差σmの内で、最小の標準偏差σminを選び出して、対応する時点の演算結果の距離を事故点までの距離と標定する手段を設けるようにしたものである。この手段によれば、過去の標準偏差σmの内で最小の標準偏差σmが選び出されて対応する演算結果が事故点迄の距離とされる。アナログ入力誤差等の影響が大きい場合や、事故継続時間が短く過渡変化の大きい領域の演算結果しか得られない場合、事故中のどの時刻においても、n個の演算結果(Xm,Xm-1,...Xm-n+1)の標準偏差σmが予め決定した所定値Kより小さくならないことがある。このような場合でも、請求項3に係る発明は、標準偏差σmが1番小さい時点を見つける手段であるので、最適な演算結果を出力することができる。
【0021】請求項4の発明は、電力系統から取り込んだ電圧データ、電流データを所定の間隔でサンプリングしたディジタルデータを用いて所定の距離演算と判定によって事故点までの距離を標定する事故点標定装置において、系統事故発生時に一定周期で事故点までの距離Xmを演算して各時点に対応する距離Xmを時系列的距離データとして記憶する手段と、時系列的距離データの内で、各時点の過去のn個の演算結果の距離(Xm、Xm-1・・・・Xm-n)から最大値Xmaxと最小値Xminとを選び出し、その差Dmが所定値Kより小さい状態を継続する時間を継続時間として計測する手段と、継続時間の内で、最大の時間帯を選び出し、その時間帯の演算結果の距離の平均値を事故点までの距離と標定する手段を設けるようにしたものである。この手段によれば、最大値Xmaxと最小値Xminとの差Dmが所定値Kより小さい最大の時間帯の演算結果の平均値が事故点迄の距離とされる。従って、演算結果が十分に安定していない時間帯で、偶然に最大値Xmaxと最小値Xminとの差Dmが所定値Kより小さくなったとしても、この状態が長時間継続しないので、この時間帯の演算結果が選ばれることがなく、十分に安定した時間帯の演算結果の平均値が選ばれ、アナログ入力誤差に含まれる白色雑音をキャンセルし標定誤差を最小として正確な距離が標定できる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】図1は、本発明の第1実施の形態に係わる事故点標定装置の処理を示すフローチャート、図2は、時系列的に算出された演算結果から図1に示す手段により最終的に出力する標定値を選択する状態を示した説明図である。
【0024】図1において、ステップ11は事故検出処理を行い、例えば、系統の不足電圧検出を行って起動する。ステップ11によって事故検出が行われるとステップ12へ移り、演算結果の安定状態が継続している時間をカウントするカウンタTc、及びカウント最大値Tcmaxを初期化(ゼロリセット)する。ステップ13では既に記憶された系統の電圧、電流を使って例えば式(1)による側距演算を実行する。ステップ13は、例えば、電圧、電流データの各サンプリング間隔毎に所定の演算により演算され、最新演算結果からn回前の演算結果までが(Xm,Xm-1,...Xm-n+1)とし、各時点に対応する距離が時系列的データとして記憶されている。
【0025】ステップ14では、過去n回の演算結果の内の最大値のXmaxと、最小値のXminとの差Dmが所定値Kより小か否かを判定し、Dm≦Kであれば安定したとみなす。この場合ステップ15にてカウンタTcを1カウントアップする。一方、Dm>Kであれば、ステップ16によりカウンタTcをゼロへリセットし、ステップ17に移る。
【0026】ステップ17では、カウンタTcが事故発生から最新時点に至るまでのカウンタ最大値Tcmaxより大か否かを判定する。ステップ17において、Tc>Tcmaxならば、ステップ18に移り、最新時点のカウント値Tcをカウント最大値Tcmaxとして記憶する。そして、その時点の演算結果Xmを代表値としてMxに記憶し、ステップ19に移る。また、ステップ17において、Tc≦Tcmaxならぱ、ステップ19へ移る。
【0027】ステップ19では、事故が除去されたか否かを判断する。仮に、事故が継続されていればステップ13に戻り、新しいデータを使って更に測距演算が実行される。もし事故が継続されていなければ、最後に記憶されているMxを最終結果としてステップ20にて外部に出力する。
【0028】図2は、図1によって説明した手段において、n=3としたときの収束判定の様子を示している。
【0029】図において、m時点で、系統の過渡応動やアナログ入力誤差による影響を受けて十分収束していないにも関わらずXmax−Xmin≦Kとなるため、Tcをカウントアップし、Tcmaxは1、Mxはm時点の演算結果Xmを記憶する。ところが、(m+1)時点で、Xmax−Xmin>Kとなるため、Tcはすぐゼロリセットされる。その後に演算結果が安定してきてから、再度Xmax−Xmin≦Kとなるときは、条件を満たす状態を継続する。
【0030】これにより、Tcのカウントアップに伴い、Tcmaxも順次更新されていき、さらにMxも順次更新されていく。最終的には事故除去前のTc及び演算結果XmをMx、Tcmaxとして記憶しており、十分結果が安定した時間帯である時間領域におけるMx=Xmを最終値として出力している。これにより、アナログ入力誤差等の影響を受けず、十分安定した時間領域の演算結果を選択し、出力することができる。
【0031】このように第1実施の形態によれば、最大値Xmaxと最小値Xminとの差Dmが所定値Kより小さい最大の時間帯の演算結果が事故点迄の距離とされる。従って、演算結果が十分に安定していない時間帯で、偶然に最大値Xmaxと最小値Xminとの差Dmが所定値Kより小さくなったとしても、この状態が長時間継続しないので、この時間帯の演算結果が選ばれることがなく、十分に安定した時間帯の演算結果が選ばれ正確な距離が標定できる。
【0032】図3は、本発明の第2実施の形態に係わる事故点標定装置の処理を示すフローチャートである。
【0033】図3において、ステップ31は事故検出処理を行い、例えば、系統の不足電圧検出を行って起動する。ステップ31によって事故検出が行われると、ステップ32へ移り、演算結果の安定状態が継続している時間をカウントするカウンタTc、及びカウント最大値Tcmaxを初期化(ゼロリセット)する。ステップ33では既に記憶された系統の電圧、電流を使って、例えば、式(1)による側距演算を実行する。ステップ33は、例えば、電圧、電流データの各サンプリング間隔毎に所定の演算により演算され、最新演算結果からn回前の演算結果までが(Xm,Xm-1,...Xm-n+1)とし、各時点に対応する距離が時系列的データとして記憶されている。
【0034】ステップ34では、過去n回の演算結果の標準偏差σmが所定値Kより小かい否かを判定し、σm≦Kであれば安定したとみなす。この場合、ステップ35にてカウンタTcを1カウントアップする。一方、Dm>Kであれば、ステップ36によりカウンタTcをゼロへリセットし、ステップ37に移る。
【0035】ステップ37では、カウンタTcが事故発生から最新時点に至るまでのカウンタ最大値Tcmaxより大か否かを判定する。ステップ37において、Tc>Tcmaxならば、ステップ38に移り、最新時点のカウント値Tcをカウント最大値Tcmaxとして記憶する。そして、その時点の演算結果Xmを代表値としてMxに記憶し、ステップ39に移る。また、ステップ37において、Tc≦Tcmaxならぱ、ステップ39へ移る。
【0036】ステップ39では、事故が除去されたか否かを判断する。仮に、事故が継続されていればステップ33に戻り、新しいデータを使って更に測距演算が実行される。もし事故が継続されていなければ、最後に記憶されているMxを最終結果としてステップ40にて外部に出力する。
【0037】これにより、収束判定に用いる演算結果(Xm-n+1,...Xm-1,Xm)のうち、前半の結果は過渡的な変動が生じていて、後半の演算結果は安定しているケースにおいて、最大値Xmaxと最小値Xminとの差は前半の演算結果のみで決まるのに対し、標準偏差σmは収束判定に用いる演算結果全てのばらつきを平均化した値であるので、前者のような問題は生じず、事故継続時間が短い事故に対しても、適切な演算結果が出力される。
【0038】このように第2実施の形態によれば、標準偏差σmが所定値Kより小さい最大の時間帯の演算結果が事故点迄の距離とされる。従って、演算結果が十分に安定していない時間帯で、偶然に標準偏差σmが所定値Kより小さくなったとしても、この状態が長時間継続しないので、この時間帯の演算結果が選ばれることがなく、十分に安定した時間帯の演算結果が選ばれ正確な距離が標定できる。また、収束判定に用いる演算結果(Xm-n+1,...Xm-1,Xm)の内、前半の結果は過渡的な変動が生じていて、後半の演算結果は安定しているケースにおいて、最大値Xmaxと最小値Xminとの差は前半の演算結果のみで決まるのに対し、標準偏差σmは収束判定に用いる演算結果全てのばらつきを平均化した値であるので、前者のような問題が生ぜず、事故継続時間が短い事故に対しても、適切な演算結果が得られる。
【0039】図4は、本発明の第3実施の形態に係わる事故点標定装置の処理を示すフローチャートである。
【0040】まず、ステップ41は事故検出処理を行い、起動する。ステップ41によって事故検出が行われると、ステップ42へ移り、標準偏差の最小値σminの初期値をセットする。なお、初期値は十分大きな値とする。ステップ43では、既に記憶された系統の電圧、電流を使って(1)式による測距演算を実行する。
【0041】ステップ43は、最新演算結果からn回前の演算結果までが(Xm,Xm-1...Xm-n+1)として記憶されている。ステップ44では、過去n回の演算結果の標準偏差σmを算出する。標準偏差σmが標準偏差の最小値σminより小か否かを判定し、σm<σminであれば安定したとみなす。そして、ステップ45にてσmをσminとして記憶し、同時にその時点の演算結果Xmを代表値としてMxに記憶し、ステップ46に移る。
【0042】ステップ46では、事故が除去されたか否かを判断する。もし事故が継続されていればステップ43に戻り、新しいデータを使って更に測距演算が実行される。もし事故が継続されていなければ、最後に記憶されているMxを最終結果としてステップ47にて外部に出力する。
【0043】これにより、アナログ入力誤差等の影響が大きい場合や、事故継続時間が短く過渡変化の大きい領域の演算結果しか得られない場合で、事故中のどの時刻においても、n個の演算結果(Xm,Xm-1,..Xm-n+1)の標準偏差σmが予め決定した所定値Kより小さくならないケースにおいても、標準偏差σmが1番小さい時点を見つける手段であるため、最適な演算結果が出力される。
【0044】このように第3実施の形態によれば、過去の標準偏差σmの内で最小の標準偏差σmが選び出されて対応する演算結果が事故点迄の距離とされる。アナログ入力誤差等の影響が大きい場合や、事故継続時間が短く過渡変化の大きい領域の演算結果しか得られない場合、事故中のどの時刻においても、n個の演算結果(Xm,Xm-1,...Xm-n+1)の標準偏差σmが予め決定した所定値Kより小さくならないことがある。このような場合でも、請求項3に係る発明は、標準偏差σmが1番小さい時点を見つける手段であるので、最適な演算結果を出力することができる。
【0045】図5は、本発明の第4実施の形態に係わる事故点標定装置の処理を示すフローチャートである。
【0046】図5において、ステップ51は事故検出処理を行い、例えば、系統の不足電圧検出を行って起動する。ステップ51によって事故検出が行われるとステップ52へ移り、演算結果の安定状態が継続している時間をカウントするカウンタTc、及びカウント最大値Tcmaxを初期化(ゼロリセット)する。ステップ53では既に記憶された系統の電圧、電流を使って例えば式(1)による側距演算を実行する。ステップ53は、例えば、電圧、電流データの各サンプリング間隔毎に所定の演算により演算され、最新演算結果からn回前の演算結果までが(Xm,Xm-1,...Xm-n+1)とし、各時点に対応する距離が時系列的データとして記憶されている。
【0047】ステップ54では、過去n回の演算結果の内の最大値のXmaxと、最小値のXminとの差Dmが所定値Kより小か否かを判定し、Dm≦Kであれば安定したとみなす。この場合ステップ55にてカウンタTcを1カウントアップする。一方、Dm>Kであれば、ステップ56によりカウンタTcをゼロへリセットし、ステップ17に移る。
【0048】ステップ57では、カウンタTcが事故発生から最新時点に至るまでのカウンタ最大値Tcmaxより大か否かを判定する。ステップ57において、Tc>Tcmaxならば、ステップ58aに移り、演算結果の平均値を算出する。そして、次のステップ58bで最新時点のカウント値Tcをカウント最大値Tcmaxとして記憶する。そして、その時点の演算結果の平均値Xaveを代表値としてMxに記憶し、ステップ59に移る。また、ステップ57において、Tc≦Tcmaxならぱ、ステップ59へ移る。
【0049】ステップ59では、事故が除去されたか否かを判断する。仮に、事故が継続されていればステップ53に戻り、新しいデータを使って更に測距演算が実行される。もし事故が継続されていなければ、最後に記憶されているMxを最終結果としてステップ60にて外部に出力する。
【0050】このように第4実施の形態によれば、最大値Xmaxと最小値Xminとの差Dmが所定値Kより小さい最大の時間帯の演算結果の平均値が事故点迄の距離とされる。従って、演算結果が十分に安定していない時間帯で、偶然に最大値Xmaxと最小値Xminとの差Dmが所定値Kより小さくなったとしても、この状態が長時間継続しないので、この時間帯の演算結果が選ばれることがなく、十分に安定した時間帯の演算結果の平均値が選ばれ、アナログ入力誤差に含まれる白色雑音をキャンセルし標定誤差を最小として正確な距離が標定できる。
【0051】以上のようにいずれの実施の形態も最終結果の出力を事故の除去を条件としているが、事故発生後、一定時間経過後とすることも可能であり、こうすれば事故が永続的に継続する場合の解決策ともなる。
【0052】更に、本発明の実施の形態の説明では、事故点標定の原理式を式(1)として説明したが、これに限定するものではなく、事故点までの距離に比例するものであれば何ら差し支えない。
【0053】このように、事故発生を契機として系統の電圧値及び電流値を順次サンプリングし、これを用いて測距演算を繰り返して時系列的に記憶し、このうち演算結果の最大値と最小値との差が所定値以内である状態を継続している時間を計測し、継続時間が1番大きい時間帯の最終演算結果を出力するよう構成したので、事故発生中のデータを有効に使い、最も信頼できる演算結果を導出することができる。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によれば、最大値と最小値との差が所定値より小さい最大の時間帯の演算結果を事故点迄の距離とするので、演算結果が十分に安定していない時間帯で、偶然に最大値と最小値との差が所定値より小さくなったとしても、この時間帯の演算結果が選ばれることがなく、十分に安定した時間帯の演算結果が選ばれ正確な距離を標定することができる。
【0055】また、請求項2の発明によれば、標準偏差が所定値より小さい最大の時間帯の演算結果が事故点迄の距離とするので、演算結果が十分に安定していない時間帯で、偶然に標準偏差が所定値より小さくなったとしても、この時間帯の演算結果が選ばれることがなく、十分に安定した時間帯の演算結果が選ばれ正確な距離を標定することができる。
【0056】また、請求項3の発明によれば、過去の標準偏差の内で最小の標準偏差が選び出されて対応する演算結果が事故点迄の距離とするので、アナログ入力誤差等の影響が大きい場合や、事故継続時間が短く過渡変化の大きい領域の演算結果しか得られない場合でも、標準偏差が1番小さい時点を見つけ、最適な演算結果を出力をすることができる。
【0057】また、請求項4の発明によれば、最大値と最小値との差が所定値より小さい最大の時間帯の演算結果の平均値を事故点迄の距離とするので、演算結果が十分に安定していない時間帯で、偶然に最大値と最小値との差が所定値より小さくなったとしても、この時間帯の演算結果が選ばれることがなく、十分に安定した時間帯の演算結果の平均値が選ばれアナログ入力誤差に含まれる白色雑音をキャンセルし標定誤差を最小として正確な距離を標定することができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成9年(1997)12月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】紋田 誠
【公開番号】 特開平11−183554
【公開日】 平成11年(1999)7月9日
【出願番号】 特願平9−363774