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【発明の名称】 送電線サージ標定システムおよび方法
【発明者】 【氏名】大衡 壯

【氏名】小沢 正明

【氏名】小島 敏明

【要約】 【課題】比較的簡単な構成でしかも高い精度でサージ標定を行うことができる標定システム及び標定方法を提供する。

【解決手段】サージが発生すると、3相交流送電線上の電圧バランスが崩れるためにY結線された3相交流送電線の中性点に電圧が発生する。本発明者らはこの中性点に発生する電圧の検出することによってサージの標定が可能となることを見いだしたものである。実施において中性点は接地されているが、その中性点と接地点との間に本発明にかかるサージ標定システムが設置される。中性点に発生した電圧はサージ標定システムに導入されるようになっており、その検出時間が記憶される。この検出時間はそれぞれの局において記憶されており、局間の検出時間の差に基づいてサージ箇所の標定が行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 送電線上に発生したサージを少なくとも2つの局において別々に受信することによって当該サージの発生箇所を標定する送電線サージ標定システムにおいて、送電線に接続される巻線型計器用変圧器(GPT)の二次側の中性点に接続され、前記送電線上に発生したサージを検出するサージ検出手段を備えており、前記サージ検出手段が、所定値以上の電圧が検出されたときサージを検出をしたものと判定するサージ判定手段と、それぞれの局における前記サージ判定手段によるサージの検出時間差を演算する時間差演算手段と、前記時間差に基づいてサージの発生箇所を標定する標定手段とを備えたことを特徴とする送電線サージ標定システム。
【請求項2】 請求項1において、前記中性点は、Y型結線された3相交流配線の中性点であることを特徴とする送電線サージ標定システム。
【請求項3】 請求項1または2において、送電線からのサージをコンデンサ型計器用変圧器(PD)を介して受信する場合には、さらに巻線型トランスを介してサージ取込みを行うことを特徴とする送電線サージ標定システム。
【請求項4】 請求項1ないし3において、前記サージ検出手段がさらに前記所定値以上の電圧が入力されないようにする電圧制限手段を備えたことを特徴とする送電線サージ標定システム。
【請求項5】 請求項1ないし4において、さらに二次側中性点に所定周波数以上の電圧波形を通過させるハイパスフィルタを備えていることを特徴とする送電線サージ標定システム。
【請求項6】 請求項5において、前記サージ検出手段が前記ハイパスフィルタに接続され、所定周波数より低い周波数の電圧波形のみを通過させるローパスフィルタを備えたことを特徴とする送電線サージ標定システム。
【請求項7】 請求項1ないし6において、前記サージ検出手段が、サージ電圧を他の物理量に変換する変換手段を備えていることを特徴とする送電線サージ標定システム。
【請求項8】 請求項7において前記変換手段がフォトカプラであることを特徴とする送電線サージ標定システム。
【請求項9】 送電線上に発生したサージを少なくとも2つの局において、別々に受信することによって前記サージの発生箇所を標定するための送電線サージ標定方法において、送電線に接続された巻線型計器用変圧器(GPT)の2次側配線における中性点に所定以上の電圧が検出されたときサージが検出されたと判定し、前記少なくとも2つの局における前記サージ検出の時間差を演算し、前記時間差に基づいてサージ発生個所の標定を行なうことを特徴とする送電線サージ標定方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、送電線に発生するサージの発生箇所を標定するサージ標定システムに関し、とくに巻線型計器用変圧器(GPT)と組み合わされたて動作するサージの標定システムに関する。
【0002】
【従来の技術】送電線が地絡、短絡することにより、或いは、逆閃絡および直撃雷等により、送電線にサージが発生する。従来より、このようなサージを、隣接する親局および子局において受信し、各局で受信されたサージのレベルに基づいて、サージが発生した箇所を標定する送電線サージ標定システムが知られている。このような、送電線サージ標定システムにおいては、一定のレベルに到達したサージが隣接する親局および子局に到達した時間の時間差を計測し、下記の式(1) に基づいて、親局からサージの発生した箇所までの距離L1 を算出している。
L1 =(L−c・Δt)/2 ・・・・・(1)(ただし、L:両端に設置された親局と子局との間の距離、Δt:サージの各局への到着時間時間差、c:サージ伝搬速度)
現在使用されている多くの送電線サージ標定システムは、一般にB型或いはマイクロB型といわれるものであって、一定のレベルに到達したサージを親局と称する1つのサージ受信局と、子局と称する他の局のそれぞれが受信するようにし、子局が、該サージを受信した旨を、地上系の有線の通信回線或いはマイクロ波無線を介して親局に返送し、親局が自局の受信時間と子局または親局の受信時間との時間差を算出し、この時間差を(1) 式に適用することにより、サージの発生箇所を標定するようになっている。
【0003】上述した送電線サージ標定システムにおいては、親局および子局が、同一の形状の波形を受理することが理想である。しかしながら、親局および子局の各々に到達するサージの波形の形状、波頭長、波高値などは、変電所などの電気構内にある送電線または共通母線からサージを取り込む機器の特性或いは機器の負荷若しくは他の送電線の影響により変動或いは減衰する。したがって、送電線サージ標定システムは、親局および子局があたかもほぼ同一の波形を受理したように、親局に到達したサージ或いは子局に到達したサージの時間差を補正する必要がある。かかるサージを補正する方法として、従前より、二電位法が知られている。この二電位法においては、サージの立ち上がり部分が直線に近似できるという経験則に基づいて、サージレベルの時間変化特性曲線上の二つの異なる特定のサージレベルの検出時間を表す2点を通る直線と、サージのゼロレベルとの交点を、サージの最初の到達時間と仮定している。
【0004】実公昭58−28219には、このような二電位法を用いた送電線サージ標定システムが開示されている。この送電線サージ標定システムは、複数のサージ検出器を備え、最も高い検出レベルのサージ検出器と、次に高い検出レベルのサージ検出器により検出された二点を通る直線と、ゼロレベルとの交点とに基づいてサージの到着時間を算出している。この従来のサージ標定を行う装置では、サージがコンデンサ型計器用変圧器(PD)を介して入力されることを前提として構成されている。コンデンサ型計器用変圧器(PD)では、電圧は1次側と2次側とで所定の比率で減衰するものの1次側に入力される波形は基本的にそのまま二次側に出力される。そして、減衰されたサージ波形に基づいて標定が行われる。本発明者らは、先に、コンデンサ型計器用変圧器(PD)を介して検出されたサージ波に基づいて標定を行う場合において、各電気所において到着したサージ波の傾きから到着時間を補正して標定精度を向上させるようにしたサージ標定装置を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記実公昭58−28219等に開示されるようなサージ電圧波形に基づいて、それぞれの局へのサージ到着時刻を割り出す従来の方式では、サージ波形の補正の仕方あるいは評価の仕方によって到着時間が変化することとなり、その補正あるいは評価がそのまま標定精度に影響する。すなわち従来の方法では、各局への到着波形の評価が不可避的に誤差要因を構成するため、標定精度を向上させることができないという問題がある。本発明は、従来のコンデンサ型計器用変圧器(PD)を用いた形式であってサージ電圧波形の補正あるいは評価を伴う従来のサージ標定の上記のような限界性に鑑み、サージ電圧波形の評価解析を行う必要がなく、比較的簡単な構成でしかも高い精度でサージ標定を行うことができる標定システム及び標定方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、送電線上に発生したサージを少なくとも2つの局において別々に受信することによって当該サージの発生箇所を標定する送電線サージ標定システムにおいて、送電線に接続される巻線型計器用変圧器(GPT)の二次側の中性点に接続され、前記送電線上に発生したサージを検出するサージ検出手段を備えており、前記サージ検出手段が、所定値以上の電圧が検出されたときサージを検出をしたものと判定するサージ判定手段と、それぞれの局における前記サージ判定手段によるサージの検出時間差を演算する時間差演算手段と、前記時間差に基づいてサージの発生箇所を標定する標定手段とを備えたことを特徴とする送電線サージ標定システムを提供することによって達成される。
【0007】好ましくは、前記中性点は、Y型結線された3相交流配線の中性点である。この場合、前記巻線型計器用変圧器(GPT)がさらにコンデンサ型計器用変圧器(PD)を介して送電線に接続されているのが好ましい。前記サージ検出手段はさらに前記所定値以上の電圧が入力されないようにする電圧制限手段を備えることが望ましい。また、好ましくは、さらに所定周波数以上の電圧波形を通過させるハイパスフィルタを備えている。好ましい態様では、前記サージ検出手段が前記ハイパスフィルタに接続され、所定周波数より低い周波数の電圧波形のみを通過させるローパスフィルタを備えたことを特徴とする。
【0008】別の好ましい態様では、前記サージ検出手段が、サージ電圧を他の物理量に変換する変換手段を備える。この場合、前記変換手段がフォトカプラである。本発明の別の特徴によれば、送電線上に発生したサージを少なくとも2つの局において、別々に受信することによって前記サージの発生箇所を標定するための送電線サージ標定方法において、送電線に接続された巻線型計器用変圧器(GPT)の2次側配線における中性点に所定以上の電圧が検出されたときサージが検出されたと判定し、前記少なくとも2つの局における前記サージ検出の時間差を演算し、前記時間差に基づいてサージ発生個所の標定を行なうことを特徴とする送電線サージ標定方法が提供される。
【0009】
【本発明の実施の形態】本発明は、送電線上に生じるサージを検出することを前提とし、特に、送電線上に発生したサージを巻線型計器用変圧器(GPT)を介して受信された信号に基づいてサージ標定を行うシステムを提供するものである。本発明は、送電線上に発生したサージを巻線型計器用変圧器(GPT)を介して検出するとき巻線型計器用変圧器(GPT)の二次側出力は、サージ入力波の周波数にかかわらずほぼ一定の出力波が発生することを見いだしたことに起因する。そして、本発明者らはこの二次側出力波を中性点を介して取り出すことにより他の計器等に悪影響を与えることなくサージ標定を的確に行うことができること見いだした。上記の中性点は、各送電線とともに延び、故障検出用配線とともに、コンデンサを介して接地されている。
【0010】これに限られるものではないが好ましい態様では、3相交流送電線をY結線してその中性点に生じる電圧波を検出することによって正確なサージ標定が可能となる。すなわち、通常の送電状態では3相交流送電線上では定常的な交流電流が流れており中性点には電圧は発生しない。サージが発生すると、上記の中性点にもサージに起因する電圧が発生する。トランスの二次側中性点は、通常は他の計器、機器等に接続されることなく接地されるのが普通であり、したがってこの中性点にサージ標定装置を接続しても他の計器、機器等に悪影響を与える恐れはない。しかも、サージ波は中性点において他の送電線と同様に検出できるため、サージ標定を行う上で支障はない。
【0011】この場合、サージ検出は、所定の変電所あるいは、発電所等の変圧器を有する場所で所定の設備を設置することによって行うことができる。そして、本発明者らは、変電所等の電気所に普通に配置される巻線型計器用変圧器(GPT)の固有の動作特性を利用して、本発明にかかる送電線サージ標定システムを提供する。本発明にかかるサージ標定システムでは、上記サージ標定のために上記電気所のトランス特に巻線型計器用変圧器(GPT)2次側出力を検出する。各電気所に設置されるトランスは、送電される電力の周波数(商用周波数)に対応して設計されており、商用周波数にかかる電力の送電にもっとも適した特性に設定されている。すなわち、本発明が適用される送電線設備において使用されるトランスは、商用周波数である50Hzあるいは60Hzの低周波数電力を念頭において設計されている。
【0012】一方、送電線上においては周波数、波形、電圧値等に関してさまざまな特性を有するサージが発生し、送電線上を伝搬して周辺の電気所に到達する。この場合サージは電気所の配備されたトランスを介して、送電線サージ標定システムに入力されることになる。本発明者らは、巻線型計器用変圧器(GPT)1次側に入力されるサージ波形と2次側に出力されるこのサージに起因する波形とは一定の関係があることを見いだした結果、この関係を利用してサージ標定の精度を高めることができたものである。サージのような高周波を巻線型計器用変圧器(GPT)に入力すると、2次側には、これに応答して入力波形の周波数特性と無関係に所定の特性の出力が発生する。発明者らの知見によれば、サージのような高周波が巻線型計器用変圧器(GPT)に入力された場合、その二次側に発生する出力波は入力波の周波数にかかわらずほぼ一定の範囲の周波数出力を有する。巻線型計器用変圧器(GPT)の一次側に入力されるサージは約100KHz 〜1MHの範囲内の周波数を有するが、出力波は、約3MHz でほぼ一定となる。
【0013】この場合巻線型計器用変圧器(GPT)は出力側の電圧レベルは入力側に対して約100分の1程度になる。サージ標定において重要なことは、入力サージに対応した一定の出力波が得られるかどうかである。したがって、巻線型計器用変圧器(GPT)の一次側にサージ入力があったとき、これに対応して巻線型計器用変圧器(GPT)の二次側に一定の出力波が発生することが確認できれば、この出力波を検出することによって、サージの当該電気所への到達時間を割り出すことができる。すなわちサージ標定を行うことができる。本発明者は、上記のような巻線型計器用変圧器(GPT)の二次側においてサージに対応する出力波を確実に検出する手法を見いだしたものである。本発明の1つの実施態様においては、巻線型計器用変圧器(GPT)の二次側中性点は最終的には、接地されるものであるが、その巻線型計器用変圧器(GPT)二次側中性点と接地点との間に本発明にかかるサージ標定システムが設置される。
【0014】そして、中性点に発生した電圧は上記のように巻線型計器用変圧器(GPT)を介してその二次側からサージ標定システムに導入されるようになっており、その検出時間が記憶される。この検出時間はそれぞれの局において記憶されており、局間の検出時間の差に基づいてサージ箇所の標定が行われる。この場合、本発明のサージ標定システムでは、過大なサージ電圧がサージ標定システムに入力されないようにサージ標定システムへの最大入力電圧を制限している。たとえば、サージ電圧は、百万V程度である。しかし最終的にサージ標定装置において処理される信号レベルはTTL信号レベル(数十ミリボルトから10数ボルト)程度である。したがって、電気所に最初に入力されるサージは百万分の1程度の電圧まで低下させる必要がある。このような目的のために本発明の送電線サージ標定システムには、少なくとも1つ以上の電圧制限装置が設けられる。
【0015】また、上記のようにサージ標定のための演算装置は、好ましくは、マイクロコンプロセッサを備えた極めて低電圧で動作する精密な装置であるため、これをサージのような高電圧から確実の保護する目的で、サージ電圧が直接サージ標定システムの信号処理部に導入されることがないようにサージ電圧導入部と該信号処理部とを電気的に隔離しており、これによってサージ標定システムがサージの悪影響を受けないようにしている。
【0016】
【実施例】以下、添付図面に基づいて、本発明の実施例につき詳細に説明を加える。図1には、本発明の実施例にかかる送電線サージ標定システムにおいて送電線上に生じたサージの取り込みを行うインターフェース1の概略ブロック図が示されている。GPT−I/Fすなわちサージ取り込みのインタ−フェース1は、接地されたギャップ(アレスター)2を備えており、ハイパスフィルタ3、リミタ4、コンパレータ5、絶縁アンプ6、サイリスタ7、ワンショット回路8、電圧バッファ9、積分器10およびEOセンサ11から構成されており、該サージ取り込みのインターフェースは、大容量のサージ電流がサージ標定システムに通電されないようにサージ信号自体は正確に取り込んでかつサージ標定システムに伝送する役割を果たす。
【0017】本発明の送電線サージ標定システムは、3相交流送電線にかかる電気所たとえば、変電所に配備される。本例では、変電所におけるGPTトランス(巻線型計器用変圧器(GPT)12の二次側における3相交流配線をY結線してその中性点13から電圧を取り出すようになっている。中性点における取り出し点には、ギャップ2すなわち、高圧放電装置が並列接続されている。これによって、所定以上の波高値はギャップを通して放出され、サージ取り込みインターフェース1に高電圧、高電流が導入されないようになっている。また、図2にはGPT−FLの構成ブロック図が示されている。GPT−FL14は、本例では、コンパレータ15、距離標定カウンタ16、GPS受信器17、CPU18、モデム19およびPIO20を備えている。
【0018】図3および図4には、巻線型計器用変圧器(GPT)の1次側入力波形A1、A2、および出力波形B1、B2との関係が示されている。なお、電圧レベルは、同じレベルとなるように表示上調整されている。図3および図4を比較することにより、入力波形にかかわらず、出力波形はほぼ一定であることが判明する。この入力波にかかわらず、出力波が一定の特性となるのは、サージ波形は、高周波であるために通常の巻線型計器用変圧器(GPT)の鉄心の周波数領域を超えてしまっているためであると考えられる。しかし、このように出力波が入力波の特性の影響を受けないのはサージの到着時間を得るためは、むしろ好都合である。すなわち、二次側で得られた波形は比較的簡単な構成で処理することができ、サージ標定装置に入力することができ、ここで演算処理することによりサージ到着時間を割り出すことができるからである。
【0019】以下本例の装置を用いてサージ取り込み手順およびサージ信号の処理手順について説明する。図3あるいは図4に示すようなO−E1電圧波形が中性点13において観測された場合、その信号処理は以下のように行われる。なお、実際には巻線型計器用変圧器(GPT)の変圧機能により一次側電圧に対して二次側電圧は約100分の1程度に減衰されているが、図面上では、両者は同一縮尺でレベルで表示している。上記のように、ギャップ(アレスター)2と並列に接続されたサージ取り込みインターフェース1の入力端には、ハイパスフィルタ3が配置されている。アレスター2は、周波数が高くなるほど減衰効果が高くなる。そして、図5に示すように例えば波形A3がアレスター2に入力された場合、出力はB3に示すような波形となる。
【0020】送電線は、商用周波数(50/60Hz)を有する高電圧が印加されているが、このハイパスフィルタ3は、この周波数の電圧を取り除いて、高周波(通常10kHz程度以上)のみを取り込むようになっている。すなわち、図3に示すような上記中性点で観測されるサージ波の特性は商用周波数に比べて、極めて高周波であり従って商用周波数にかかる波形はサージ標定に必要がないので除去するものである。ハイパスフィルタ3は、リミタ4に接続されている。ギャップ2では完全にサージの波高値を抑制し切れないことに鑑み、リミタ4を設けて、これを取り込んだサージ波形が回路耐圧以上にならないように高速で応答するための電圧制限回路として作用させる。
【0021】したがって、ギャップ2は、このリミタ4の耐圧以下にサージ波高値を抑制すれば良いこととなる。リミタ4は、コンパレータ5に接続されている。コンパレータ5は、雑音性の低波高値の波形を除去し、主サージ波形が標定可能なレベルに達した瞬間にパルスを出力する。このパルスは最終的にロケータの距離カウンタ16をストップさせる標定パルスとなる。コンパレータ5は、フォトカプラから構成される絶縁アンプ6に接続されている。フォトカプラ6は、コンパレータ5までのサージ取り込み装置とそれ以降のサージ処理装置とを電気的に隔離する役割を果たす。すなわちフォトカプラ6はサージ信号のみを伝達し、サージ電流あるいは電圧がその後のサージ処理装置に伝達しないようになっている。
【0022】図6には、リミッタ4と、コンパレータ5の1つの実施例が示されている。なお、本例のコンパレータ5は、+トリガ用コンパレータ5aおよびマイナストリガ用コンパレータ5bとを備えており、負のサージおよび正のサージのいずれの場合にも処理できるようになっている。フォトカプラ6はさらにサイリスタ7に接続されており、サイリスタ7は、入力信号が特定の電圧に到達するとトリガがかかり指定した電圧で大きな電力のパルスを発生する。したがって、フォトカプラ6からサージ信号が入力され、かつその電圧レベルが所定以上である場合にはそのサージ信号に対応したパルスを発生する。サイリスタ7はさらに、ワンショット回路8に接続されている。GPTからえられるサージ信号は、その入出力の周波数特性から周波数成分の高い雑音性のサージ(反射波等)も高いレベルで出力する。このことに鑑み、本例ではワンショット回路のパルス幅伸張回路としての機能を発揮させ、標定サージを取り込んでから多重に不要サージを取り込まないように、パルス幅を長くし且つ可変として(1msec程度)後続の回路が多重に応答しないようにしている。ワンショット回路8からの信号は、つぎに電圧バッファ9に導入される。
【0023】電圧バッファ9は、ワンショット出力の電圧をより高いパルス電圧に変換するための電圧変換回路である。電圧バッファは積分器10すなわちCRディレイに接続されている。この積分器10は、以下のような役割をもつ。すなわち、前段で得られたパルス波形は立ち上がり時間が極めて短いので、後続の回路が応答せず高い電圧で取り込めなくなるのを防ぐため、および、パルス出力に重畳した高周波性の雑音を取り除くためである。この場合、積分器は、具体的には、コンデンサCと抵抗Rによる時定数で応答出力の周波数成分を下げて波形の立ち上がりを緩く平滑化するように動作する。積分器からの信号は、EOセンサ11を介して光ファイバ21によりGPT−FL(ロケータ)に導入される。
【0024】上記図1を参照して説明したように巻線型計器用変圧器(GPT)は、I/F回路1を介してGPT−FLのコンパレータ15に入力される。コンパレータ15は上記したように、雑音性の低波高値の波形を除去し、主サージ波形が標定可能なレベルに達した瞬間にパルスを出力する。本例においては、人工衛星(図示せず)からのGPS信号を受信するGPS受信器17が設けられており、このGPS受信器17は、10MHz のクロック信号を受信して、100nsec毎にカウントをする。このクロック信号は、距離標定カウンタ16に入力されるようになっている。カウンタ16は、このクロック信号により毎正秒クリアされる。そして、コンパレータ15が信号を出力するとこの信号はカウンタ16に導入され、このカウンタ16をストップさせる。
【0025】すなわち、カウンタ16は、GPS受信器17からの基準クロックパルスを計数し、標定サージパルスが入力された瞬間に計数をストップする。これによって、サージの到着時間が絶対時間としてシステムが把握することができることとなる。このサージ到着絶対時間を表すカウンタ値は、CPU18に入力される。CPU18にはさらにGPS受信器17、モデム19、およびPIO20がそれぞれ接続されている。CPU18は、標定距離カウンタの読み出し/制御、GPS受信器のデータ読み出し/制御等を行うとともに、PIOのデータ入出力/制御、モデムのデータ入出力/制御等の装置のシステム管理動作制御を行う。
【0026】モデム19は、遠隔の標定処理装置例えば親局に標定データを転送するためのデータ変調/復調回路である。モデム19から所定の通信回線を介してサージ到着時間を含むサージ検出情報は、他局に伝送される。PIO20は、送電線に事故が発生し、遮断器が動作したことを知らせるリレー信号52Txの入力、装置の各種警報信号ALMを出力するための外部入出力インターフェース回路である。上記のコンパレータ15からの出力がカウンタ16を停止させたときがサージ到着時間であり、この情報はCPU18で処理されて、モデム19を介して他局に伝送される。上記のようにサージ到着時間は、GPS信号に基づく絶対時間であり、各局におけるサージ時間を絶対時間に基づいて評価される。このため各局においてサージの到着時間差を正確に算出することができる。
【0027】図7を参照すると、本発明の他の実施例にかかるサージ標定システムの例が示されている。図8には、送電線からのサージ取り込みがコンデンサ型計器用変圧器(PD)、さらにサージ結合部(SCB)および巻線型トランスを介して図2に示すGPT−F/Lに接続する実施例を示したものである。本例においては母線となる3相交流送電線は、コンデンサ型計器用変圧器(PD)を介して巻線型計器用変圧器(GPT)12に接続されている。そして、サージは、巻線型計器用変圧器(GPT)の二次側中性点に接続されたラインから取り出されるようになっている。なお、他の二次側送電線は、サージバイパスコンデンサを介して保護リレー盤に接続されている。これによって、サージが保護リレー盤に入力されることによる悪影響が生じないようになっている。本例の構成においては、サージはまずコンデンサ型計器用変圧器(PD)により減衰され、さらに巻線型計器用変圧器(GPT)によって減衰されたのちサージ標定システムに導入されるようになっている。このように本例では、2段のトランスを介してサージ波を検出するようになっている点において超高圧系のサージ標定に適している。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、上記したように比較的簡単な手法で、精度の高い標定を行なうことができる。コンデンサ型計器用変圧器(PD)を介在させて、一次側サージ入力周波数に対応した周波数の二次側出力に基づいてサージ標定を行う従来の手法では、上記したように各測定点に到達するサージ波形は同じではなく、歪みが生じるためにその歪みを補正して評価せざるを得ないという事情から、この評価の仕方が直接標定精度に影響するという意味で精度的に不利があったものである。しかし、本発明によれば、入力波形の周波数にかかわらずほぼ一定範囲の周波数の出力波を発生する巻線型計器用変圧器(GPT)を介した二次側から取り出すようになっている。したがって、本発明の手法では、サージに基づく出力を巻線型計器用変圧器(GPT)の二次側において検出するだけでよく、従来の方法のように検出されたサージ取り込み波形を補正するといった作業は必要がなく、工程を単純化することができるとともに装置を簡略化することができる。
【0029】とくに、サージを巻線型計器用変圧器(GPT)の二次側において、3相交流送電線のY型結線された中性点において取り出すことようにすれば極めて急峻で明瞭なサージに基づく二次側出力波を検出することができる。したがって、この二次側出力波をサージ標定システムに導入して、該二次側出力波の検出時間に基づいてサージ標定を行うことにより、精度の高いサージ標定を達成することができる。
【出願人】 【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
【識別番号】593061455
【氏名又は名称】極東貿易株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔 (外7名)
【公開番号】 特開平11−183553
【公開日】 平成11年(1999)7月9日
【出願番号】 特願平9−349101