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【発明の名称】 並列配線式サーモモジュールの断線検出装置
【発明者】 【氏名】後 藤 洋 康

【氏名】坂 間 博 之

【要約】 【課題】並列接続したサーモモジュールの断線を検出するための断線検出手段を得る。

【解決手段】複数のサーモモジュール11a,・・11nを直列に接続したモジュール列10aを複数列並列に接続し、各モジュール列10a毎に、断線による電源端子17aと中間端子18との間の電圧変化を検出する検出回路12を設け、これらの検出回路12の開閉素子20を警報回路14に直列に接続し、何れか1つの検出回路12が断線を検出してその開閉素子20が非導通になると、警報回路14が作動してアラーム発生手段32により警報が発せられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】通電により発熱又は吸熱するサーモモジュールを複数個直列に接続してモジュール列とすると共に、複数のモジュール列を通電用の第1電源端子と第2電源端子との間に並列に接続してなるサーモモジュール群、上記各モジュール列毎に、該モジュール列の中間に設けた中間端子と一方の電源端子との間にそれぞれ接続され、断線によるこれらの電源端子と中間端子との間の電圧変化を検出する検出回路、上記検出回路の何れか1つが電圧変化を検出したとき作動してアラームを発する、各モジュール列に共通の警報回路、を有することを特徴とする並列配線式サーモモジュールの断線検出装置。
【請求項2】請求項1に記載の検出装置において、上記各検出回路がそれぞれ、通電により導通する開閉素子と、該開閉素子を制御する第1制御素子と、断線による上記電源端子と中間端子との間の電圧変化を検知して該第1制御素子を作動させる第2制御素子とを含み、上記警報回路が、アラーム発生手段を作動させる第3制御素子と、該第3制御素子を制御する第4制御素子とを含み、上記各検出回路の開閉素子が直列に接続されて警報回路における第4制御素子に接続され、何れか1つの開閉素子の開放により該第4制御素子が作動して第3制御素子を作動させ、それによってアラーム発生手段を作動させる構成であることを特徴とするもの。
【請求項3】請求項2に記載の検出装置において、上記警報回路が、第4制御素子の作動後第3制御素子が作動するまでの時間を一定時間遅らせるための遅延回路を含むことを特徴とするもの。
【請求項4】請求項1ないし3の何れかに記載の検出装置において、上記電源端子と中間端子との間に、印加電圧の極性変化を吸収させるためのダイオードブリッジが組み込まれていることを特徴とするもの。
【請求項5】請求項1ないし4の何れかに記載の検出装置において、上記開閉素子がフォトカプラであり、第1、第3、第4制御素子がトランジスタであり、第2制御素子がツェナーダイオードであることを特徴とするもの。
【請求項6】請求項2に記載の検出装置において、上記各検出回路の開閉素子を直列に接続した開閉素子列と第4制御素子との間に、温度変化を検出して開放するサーモスタットが接続されていることを特徴とするもの。
【請求項7】請求項1ないし6の何れかに記載の検出装置において、上記サーモモジュールをオン・オフ制御する制御信号を受け、該制御信号がオフのときそれに同期して上記警報回路を不作動状態にする誤作動防止回路を含むことを特徴とするもの。
【請求項8】請求項7に記載の検出装置において、上記誤作動防止回路が、警報回路の一部を開閉するように接続された第5制御素子と、該第5制御素子に接続され、上記制御信号の入力時には導通して該第5制御素子を導通状態に保ち、制御信号の非入力時には非導通となって該第5制御素子を非導通状態に保つ開閉素子とを含むことを特徴とするもの。
【請求項9】請求項8に記載の検出装置において、上記第5制御素子がトランジスタであり、開閉素子がフォトカプラであることを特徴とするもの。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハ等のワークの加熱や冷却等に使用される熱処理装置において、それに使用されている加熱又は冷却用のサーモモジュールの断線を検出するための断線検出装置に関するものであり、更に詳しくは、並列配線したサーモモジュールの断線を検出するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば半導体ウエハの製造工程においては、高温(90〜200℃)のウエハを冷却する熱処理工程で、図3に示すようなサーモモジュールを用いた冷却装置が使用されている。この冷却装置は、ペルチェ素子からなる複数のサーモモジュール1を冷却板2と放熱板3との間に設置し、冷却板2上にスぺーサ4で一定のギャップを保った状態に支持されたウエハWを、温度コントローラ5で温度制御される上記サーモモジュール1により、冷却板2を介して所望の温度(23〜25℃)にまで冷却するものである。図中7は冷却水用の導管である。
【0003】このような冷却装置においては、一般に、上記各サーモモジュール1が直列に接続されて使用されている。そして、サーモモジュール1の断線の検出には、冷却板2の温度をセンサ6で測定する方法が用いられている。即ち、複数のサーモモジュール1を直列に接続した場合、1箇所が断線すると全部のサーモモジュール1がオフになって冷却板2の温度が変化するため、該冷却板2の温度を測定することによって断線したことを知ることができる。
【0004】ところが、冷却能力の拡大を図るためにサーモモジュールを増設する場合、従来のような直列接続ではその分印加電圧を高くしなければならないため、制御装置の複雑化や、安全性の問題等が生ずる。このため、複数のサーモモジュールを直列に接続したモジュール列を複数列並列に接続することが考えられている。しかしながら、このように複数のモジュール列を並列に接続すると、温度による断線の検出が困難になる。即ち、一部のモジュール列のサーモモジュールが断線しても、他のモジュール列のサーモモジュールは生きているため、断線したサーモモジュールの近くでは冷却板の温度が部分的に上昇するものの、他の部分の温度はそれほど変化しないことになる。このため、冷却板の一部の温度を温度センサで測定しても、その測定点が断線したサーモモジュールから離れた位置にある場合には、その断線を検出することは不可能に近い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主要な課題は、並列接続したサーモモジュールの断線を確実に検出することができる断線検出手段を提供することにある。本発明の他の課題は、断線による端子電圧の変化を利用し、並列接続したサーモモジュールのどの部分が断線してもそれを確実に検出できるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明の断線検出装置は、複数のサーモモジュールを直列に接続してモジュール列としたものを、複数列並列に接続してなるサーモモジュール群と、上記各モジュール列毎に、該モジュール列の中間に設けた中間端子と一方の電源端子との間にそれぞれ接続され、断線によるこれらの電源端子と中間端子との間の電圧変化を検出する検出回路と、該検出回路の何れか1つが電圧変化を検出したとき作動してアラームを発する、各検出回路に共通の警報回路とを有することを特徴とするものである。
【0007】上記構成を有する本発明の断線検出装置において、何れかのモジュール列が中間端子とプラス側の電源端子との間で断線すると、このモジュール列に接続された検出回路の端子電圧は上昇し、また、中間端子とマイナス側の電源端子との間で断線すると、検出回路の端子電圧は零になるため、上記検出回路がその電圧変化を検出し、警報回路を作動させてアラームを発する。従って、端子電圧の変化を利用して断線を簡単且つ確実に検出することができる。
【0008】本発明の具体的な構成態様によれば、上記各検出回路がそれぞれ、通電により導通する開閉素子と、該開閉素子を制御する第1制御素子と、断線による上記電源端子と中間端子との間の電圧変化を検知して該第1制御素子を作動させる第2制御素子とを含み、上記警報回路が、アラーム発生手段を作動させる第3制御素子と、該第3制御素子を制御する第4制御素子とを含み、上記各検出回路の開閉素子が直列に接続されて警報回路における第4制御素子に接続され、何れか1つの開閉素子の開放により該第4制御素子が作動して第3制御素子を作動させ、それによってアラーム発生手段を作動させるように構成されている。
【0009】上記警報回路には、第3制御素子が作動する時間を遅らせる遅延回路を設け、検出回路による断線検出状態が一定時間以上連続した場合にアラームを発するように構成することが望ましい。
【0010】本発明の好ましい実施態様においては、上記電源端子と中間端子との間に、印加電圧の極性変化を吸収させるためのダイオードブリッジが組み込まれていて、電源端子に印加される直流電圧の極性が逆になった場合でも対応できるようになっている。
【0011】本発明おいては、上記検出回路と警報回路とをサーモスタットを介して接続することにより、温度の変化によっても断線を検出できるようにしても良い。
【0012】本発明の他の好ましい実施態様においては、サーモモジュールをパルス信号等によりオン・オフ制御する場合に、その制御信号を受けて、該制御信号がオフのときそれに同期して上記警報回路を不作動状態にする誤作動防止回路が設けられる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る断線検出装置の第1実施例を示すもので、符号10は図3に示すような熱処理装置に使用されるサーモモジュール群、12は該サーモモジュール群10におけるサーモモジュール11の断線を検出するための検出回路、13は該検出回路12が組み込まれた検出回路基板、14はサーモモジュール11の断線が検出された時にアラームを発生させる警報回路、15は該警報回路14が組み込まれた警報回路基板を示している。
【0014】上記サーモモジュール群10は、通電により発熱又は吸熱するペルチェ素子等からなる複数のサーモモジュール11a,11b,・・11n(以下、特定のものを表す場合を除いて単に符号11で表示する)を、直列に接続してモジュール列10aとすると共に、複数のモジュール列10aを通電用の第1電源端子17aと第2電源端子17bとの間に並列に接続したものである。このサーモモジュール群10における各サーモモジュール11は、例えば図3に示すような熱処理装置における冷却板2と放熱板3との間に設置して使用される。
【0015】上記各モジュール列10aには、第1段目のサーモモジュール11aと第2段目のサーモモジュール11bとの間に中間端子18がそれぞれ形成され、該中間端子18と正極側の第1電源端子17aとの間に、断線によるこれらの中間端子18と第1電源端子17aとの間の電圧変化を検出する上記検出回路12が、第1段目のサーモモジュール11aと並列に接続されている。
【0016】上記各検出回路12は、フォトカプラからなる開閉素子20と、該開閉素子20を制御するトランジスタからなる第1制御素子21と、断線による上記第1電源端子17aと中間端子18との間の電圧変化を検知して該第1制御素子21を作動させる、ツェナーダイオードからなる第2制御素子22とを有している。そして、上記第1制御素子21のコレクタ及びエミッタが第1電源端子17aと中間端子18との間に接続されると共に、該第1制御素子21のベースと第1電源端子17aとの間に上記第2制御素子22が接続され、第1制御素子21のコレクタと中間端子18との間に上記開閉素子20の入力端子20a,20bが接続されている。
【0017】また、上記第1電源端子17aと中間端子18との間には、2つの電源端子17a,17bに印加される直流電圧の極性が逆になった場合でも対応できるように、4つのダイオード26aをブリッジ状に接続したダイオードブリッジ26が組み込まれている。
【0018】上記検出回路12は、各モジュール列10a毎に個別に設けられていて、全ての検出回路12における開閉素子20の出力端子20c,20dが、警報回路15の2つの入力端子29a,29b間にサーモスタット30を介して直列に接続されている。そして、何れのモジュール列10aも断線していない正常な状態では、各開閉素子20が通電によりオンの状態になっていて、出力端子20c,20dは全て導通状態にある。
【0019】いま、何れかのモジュール列10aが中間端子18よりも第1電源端子17a側のX点で断線すると、その検出回路12と第2段目以下のサーモモジュール11b,・・11nとが電源端子17a,17b間に直列に接続されることになるが、検出回路12の回路抵抗はサーモモジュール11の内部抵抗より大きいため、該検出回路12の端子電圧即ち第1電源端子17aと中間端子18との間の端子電圧は両電源端子17a,17bへの印加電圧近くまで上昇する。このため、上記第2制御素子22の作動により第1制御素子21が作動してコレクタ−エミッタ間が導通し、開閉素子20がオフになって出力端子20c,20dが非導通状態となる。
【0020】また、上記モジュール列10aが中間端子18と第2電源端子17bとの間の任意の点Yで断線すると、検出回路12は電源端子17bから切り離されて第1電源端子17aと中間端子18との間の端子電圧が零となるため、開閉素子20がオフになって出力端子20c,20dが非導通状態となる。
【0021】一方、上記警報回路14は、ブザーやライトなどのアラーム発生手段32を作動させる第3制御素子23と、該第3制御素子23を制御する第4制御素子24とを有している。これらの制御素子23,24は何れもトランジスタからなっていて、第3制御素子23のコレクタ−エミッタ回路に上記アラーム発生手段32が接続され、該第3制御素子23のベースに、遅延回路33及びダイオード34を介してバイアス電源35と第4制御素子24のコレクタとが接続され、該第4制御素子24のベースに、バイアス電源35と上記開閉素子20列とが接続されている。
【0022】上記アラーム発生手段32は、第3制御素子23のコレクタ−エミッタ回路を通じて流れるアラーム電流が遮断されたとき、警報を発するものである。
【0023】また、上記遅延回路33は、第4制御素子24が作動したあと第3制御素子23が作動するまでの時間を一定時間(約0.1秒程度)遅らせるためのもので、抵抗RとコンデンサCにより構成されている。このような遅延回路33を設ける理由は、上記検出回路12による断線の検出状態が一定時間以上連続した場合にだけ警報回路14が作動するようにして、ノイズによりアラームが誤って発せられるのを防止するためである。
【0024】上記警報回路14において、何れのモジュール列10aも断線していない正常状態では、第4制御素子24のベースが開閉素子20列を通じて接地されることによって該第4制御素子24が非作動状態にあるため、第3制御素子23は、バイアス電源35からバイアス電流がベースに流れることにより導通状態にあり、アラーム電流が流れている。従ってこの状態では、上記アラーム発生手段32による警報を発せられない。
【0025】何れかのモジュール列10aが断線してその検出回路12の開閉素子20が開放すると、第4制御素子24にベース電流が流れるため該第4制御素子24が導通状態となり、コレクタ電圧が低下し、該第4制御素子24からダイオード34への順方向の電流供給がなくなる。このため、遅延回路33のコンデンサCは抵抗Rを介して放電を始め、設定された遅延時間が経過して放電が完了した時に第3制御素子23がオフとなり、アラーム電流が遮断されてアラーム発生手段32が警報を発する。
【0026】上記検出回路12の開閉素子20と警報回路14の入力端子29aとの間に接続されたサーモスタット30は、熱処理装置における冷却板等の異常温度を検出したとき開放するもので、温度によっても共通のアラームを発することができるように構成されている。
【0027】図示した実施例では、中間端子18を第1段目のサーモモジュール11aと第2段目のサーモモジュール11bとの間に設けているが、それを設ける位置はこれに限定されない。例えば、第n−1段目のサーモモジュール11n−1と第n段目のサーモモジュール11nとの間に中間端子18を設け、第2電源端子17bとの間で断線を検出するように構成することもできる。
【0028】図2は本発明の第2実施例における警報回路14Aを示すもので、上記第1実施例の警報回路14が、サーモモジュール11を連続的な通電により制御する場合に適したものであるのに対し、この第2実施例の警報回路14Aは、サーモモジュール11をPWM(パルス幅変調)制御する場合や、印加電圧を可変制御する場合等に適したものである。
【0029】即ち、上記警報回路14Aが第1実施例の警報回路14と相違する点は、例えばサーモモジュール11をオン・オフ制御するパルス信号を受け、該パルス信号がオフのときそれに同期して上記警報回路14を不作動状態にする誤作動防止回路40を含んでいる点である。
【0030】上記誤作動防止回路40は、第4制御素子24のエミッタ接地回路に接続された第5制御素子25と、該第5制御素子25のベースとコレクタとの間に接続された開閉素子20Aとで構成され、該開閉素子20Aの入力端子20a,20bに上記パルス信号が入力されるようになっている。上記第5制御素子25はトランジスタであり、開閉素子20Aはフォトカプラである。
【0031】そして、上記開閉素子20Aの入力端子20a,20bにパルス信号が入力されている時、即ちサーモモジュール11に通電されている時は、該開閉素子20Aの出力端子20c,20dが導通して上記第5制御素子25が導通状態となるため、第4制御素子24のエミッタ接地回路が導通して上記検出回路12による断線の検出が有効となる。一方、入力端子20a,20bにパルス信号が入力されていない時、即ちサーモモジュール11に通電されていない時は、開閉素子20Aの出力端子20c,20d間が遮断されて第5制御素子25が非導通状態となるため、第4制御素子24のエミッタ接地回路が遮断されて第3制御素子23は作動できなくなる。従って、この状態では各検出回路12がモジュール列10aのY点が断線した場合と同じ検出状態となっているが、該検出回路12による検出は無効になる。
【0032】なお、この第2実施例におけるその他の構成及び作用は、実質的に第1実施例と同じである。
【0033】
【発明の効果】このように本発明の検出装置によれば、並列接続したサーモモジュールの断線を端子電圧の変化を利用して簡単且つ確実に検出することができ、しかも、どの部分が断線してもそれを確実に検出することができる。
【出願人】 【識別番号】000102511
【氏名又は名称】エスエムシー株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月22日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】林 宏 (外1名)
【公開番号】 特開平11−183552
【公開日】 平成11年(1999)7月9日
【出願番号】 特願平9−365666