| 【発明の名称】 |
均一電界発生方法及び装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】吉永 孝司
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| 【要約】 |
【課題】EMI測定用の電波暗室を放射電磁界イミュニティ用に転用する際に、床面に敷設する電波吸収体を可能な限り低減する。
【解決手段】設定周波数ごとに電界分布を推定して送信アンテナ高を設定することにより、規定の電界均一性の条件を充足させる。やむを得ず電波吸収体を用いる場合には、電波吸収体の長さ、敷設面積を低減する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アンテナからの直接波と床面による反射波との位相合成で得られる電界分布を推定することにより、送信アンテナから規定の離隔距離の位置の仮想垂直面における複数ポイントうち所定ポイント以上における電界強度が規定の偏差内に収まるようにアンテナ送信高を決定することを特徴とする均一電界発生方法。 【請求項2】 決定したアンテナ送信高において規定の周波数ごとに電界の均一性を評価することを特徴とする請求項1記載の均一電界発生方法。 【請求項3】 前記評価の結果、前記アンテナ送信高において規定の均一電界が得られない場合、必要最小限の電波吸収体を床面に設置することを特徴とする請求項2記載の均一電界発生方法。 【請求項4】 アンテナからの直接波と床面による反射波との位相合成により送信アンテナから規定の離隔距離の位置の仮想垂直面の電界分布を推定する計算手段と、前記仮想垂直面における複数ポイントうち所定ポイント以上における前記電界強度が規定の偏差内に収まるアンテナ送信高を推定するアンテナ送信高推定手段とを有することを特徴とする均一電界発生装置。 【請求項5】 推定したアンテナ送信高において規定の周波数ごとに電界の均一性を評価することを特徴とする請求項4記載の均一電界発生装置。 【請求項6】 アンテナ送信高推定手段により所定のアンテナ送信高で規定の均一電界が得られない場合、必要最小限の電波吸収体を床面に設置することを特徴とする請求項5記載の均一電界発生装置。 【請求項7】 電波吸収体の敷設範囲は、周波数に依存する第1フレネル領域に基づいて設置することを特徴とする請求項6記載の均一電界発生装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】EMI(Electromagnetic Interference)測定用電波暗室を電子機器の放射電磁界イミュニティ試験用の電波暗室に転用する技術に関し、特に転用目的で床に増設する電波吸収体の吸収性能要求と敷設面積を最小にすることを特徴とする均一電界発生装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、被試験体における電磁界の均一性を確保する方法として電波吸収体を使用する方法が提案されている。 【0003】図8は、電波吸収体を用いた代表的な構成例を示すものである。金属床4上の測定台6に置かれた被試験体5に対し所定の高さの支柱上の送信アンテナ1から電磁波を照射して、前記被試験体5に所定の電磁界を与える装置の配置構成において、送信アンテナ1からの電磁波により金属床4において反射波が生じ被試験体5での干渉を起こすことを防止する。金属床4に電波吸収体10を設置することにより床面からの反射波を抑え被試験体における電界の均一性を高める。また、この均一電界発生方法においては、電波吸収体は、反射波に対してだけ影響し直接波の照射を妨げることがないようにするため、送信アンテナからみた直接波の見通し線以下となるようにその設置場所及び高さを決定する(特開平4−140671号公報)。 【0004】図9は、このような方法における電波吸収体の敷設有効範囲を示す図である。電波吸収体の敷設有効面積は、図9に示すような第1フレネル領域の範囲の影響が大きくこの領域により決定されるため、電磁波の周波数が低くなるほど電波吸収体の敷設面積は広くなることが知られている。図9では平面的な寸法のみを考慮しているが、実際には、立体的な寸法を考慮することにより電波吸収体の敷設範囲を図9に示す範囲よりさらに狭い領域としても所望の均一電界を発生することが可能である(特開平4−140671号公報、特開平5−322952号公報、信学技報EMCJ87−57)。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】一般に、電波吸収体の物理寸法は1/2波長以上が必要とされており、このことは、規格要求(IEC1000−4−3)の下限80MHz又は30MHzを考慮すると、電波吸収体の物理寸法としては1.9m程度が必要となる。ところが、図8に示す方法では測定台が通常0.8m程度となることから、1.9mの吸収体長は直接波をも制限する高さとなり、より高性能な短い吸収体が必要になる。このように、床面に電波吸収体を置き床面の反射波を抑えることで電界の均一性を得る方法は電波吸収体の物理な寸法上の問題が生じる。 【0006】また、一般に、電波吸収体の敷設面積は第1フレネル領域により決定されるので、周波数が低くなるほど吸収体の敷設面積は広くなり(特開平4−140671号公報、信学技報EMCJ87−57、'87)、吸収体材料の数量等が増加するという問題がある。このため、床面に電波吸収体を必要としないEMI測定用電波暗室との共用を図ろうとすると、電波吸収体を必要に応じて除去及び敷設するという繰り返し作業の作業量が増加するという問題がある。 【0007】更に、電波吸収体を敷設して床面の反射を抑制する方法では、利用できる電磁波は直接波のみとなるため、送信アンテナからの送信電力を大きなものとすることが必要となり、電力消費が増加するという問題がある。 【0008】(発明の目的)本発明の目的は、可能な限り電波吸収体を使用せずに必要な電界の均一性を実現することにある。やむを得ず電波吸収体を使用する場合でも、床面に敷設する電波吸収体を可能な限り短くかつ狭い領域に限定することにある。また、少ない送信電力により電界の均一性を実現することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を解決するために本発明の均一電界発生方法は、アンテナからの直接波と床面による反射波との位相合成で得られる電界分布を推定することにより、送信アンテナから規定の離隔距離の位置の仮想垂直面における複数ポイントうち所定ポイント以上における電界強度が規定の偏差内に収まるようにアンテナ送信高を決定することを特徴とする。また、前記アンテナ送信高において規定の周波数ごとに電界の均一性を評価することを特徴とする。更に、前記評価の結果、前記アンテナ送信高で規定の均一電界が得られない場合は、改善対象周波数に対して必要最小限の電波吸収体を床面に設置することを特徴とする。 【0010】また、本発明の均一電界発生装置は、アンテナからの直接波と床面による反射波との位相合成により送信アンテナから規定の離隔距離の位置の仮想垂直面の電界分布を推定する計算手段と、前記仮想垂直面における複数ポイントうち所定ポイント以上における前記電界強度が規定の偏差内に収まるアンテナ送信高を推定するアンテナ送信高推定手段とを有することを特徴とする。そして、推定したアンテナ送信高において規定の周波数ごとに電界の均一性を評価することを特徴とする。 【0011】更に、前記均一電界発生装置は、アンテナ送信高推定手段により所定のアンテナ送信高で規定の均一電界が得られない場合、必要最小限の電波吸収体を床面に設置すること、及び、この場合、電波吸収体の敷設範囲として、周波数に依存する第1フレネル領域に基づいて設置することを特徴とする。 【0012】より具体的には、前記直接波と反射波との位相合成による推定は、垂直平面内の16ポイント(図2)のうち12ポイント以上で規定の偏差内に収まるようにし、電界均一性が規格(国際電気標準会議規格IEC1000−4−3)を満足するように、対象周波数ごとに送信アンテナ高を決定する。 【0013】また、決定された送信アンテナ高で対象周波数ごとに均一性を評価し、均一性が規格を満足しない周波数については、反射波を制限することで均一性を得られるようにする。その際に第1フレネル領域を考慮する。 【0014】(作用)床面に電波吸収体を置かない状況下では放射された電界は直接波と反射波が合成されて被供試体に到達する。この合成された電界の強さは仮想の垂直面内の規定の16ポイントで強弱をもって現れるので、その分布を計算により求め、最適なアンテナ送信高を決定し、均一性を改善する。 【0015】 【発明の実施の形態】(構成の説明)次に、本発明の均一電界の発生方法及び装置の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。 【0016】図1は、本発明の均一電界発生方法及び装置の実施の形態を示す図である。金属床4上の測定台6と、その上に搭載した被試験体5と、支柱上に搭載した送信アンテナ1とからなる装置の配置構成を採用する。 【0017】本発明においては、電界の均一性を、送信アンテナ1及び被試験体5のそれぞれの高さ及び水平距離の配置関係等のデータに基づいて、アンテナからの直接波及び床面からの反射波の位相合成を計算機により算出して計算上の均一性の条件であるアンテナ送信高と周波数の関係を決定する。次に、このようにして算出した結果を被試験体における垂直平面内の複数ポイントにおける相互の偏差の範囲により評価する。具体的には前記複数ポイントの内基準ポイントを設定して、該基準ポイントに対する各ポイントにおける偏差の範囲がどの程度であるかにより評価する。前記偏差が規定範囲より大きい場合にはアンテナ送信高を高い方に変化させ、同様な計算を行いその結果により評価を行う。評価結果により所望のアンテナ送信高及び周波数における均一性が実現される。 【0018】また、所望のアンテナ送信高及び周波数における均一性が実現できない場合には必要に応じて図8に示すような配置による均一性改善に必要な電波吸収体を床に敷設する。電波吸収体の敷設後、上記と同様にして反射波の減衰をも考慮した電界の均一化のための計算及び計算結果から複数ポイントによる評価を行う。 【0019】図2は、被試験体の設置位置の電界の強度を計算する仮想の垂直面内に設定した規定の16ポイントを示す図である。 【0020】図1に示すように、床面に電波吸収体を置かない状況下では放射された電界は直接波と反射波とが合成されて被供試体に到達する。また、この合成された電界の強さは図2に示す仮想の垂直面内の16ポイントでは強弱をもって現れる。 【0021】図3は、受信位置での電界強度を計算により求めた強度分布を示す図である。同図に示すように電界強度は高さ方向の受信位置により大きく変化する。 【0022】図4は、計算値による高さ方向の受信位置の強度分布の均一性の条件をアンテナ送信高により求めて電界の強度分布の均一性を実現するようにした改善例(計算値)を示す図である。同図から分かるように0.8mから2.3mの受信位置の高さにおいて均一性が改善される。 【0023】なお、電界の強度の計算式は、送信アンテナ1の高さをh1(m)、被試験体位置の垂直平面上の各点の高さをh2(m)とし、直接波の到達距離をr1(m)、床面に反射して到達する反射波の到達距離をr2(m)とすると、前記各点における直接波による電界強度Eo(V/m)と反射波による電界強度Er(V/m)との合成電界強度Eとして次式で算出される。 【0024】 【数1】
図5及び図6は、図2に示す規定ポイントを含む垂直平面における電界分布の計算例を示すものである。ただし、16ポイントの分布は左右対称に現れるので、図5及び図6には図2の垂直平面内の右半分の分布の計算結果のみを示している。 【0025】また、図5及び図6は、電界レベル基準点からの偏差を模様分けして表示している。同図から分かるように、図5の分布偏差が大きいのに対し、図6の分布偏差は改善されている。なお、電界レベル基準点は16ポイント内の任意のポイントを基準することが許されている(IEC1000−4−3)。 【0026】(動作の説明)次に、本実施の形態の動作について詳細に説明する。 【0027】図7は、本実施の形態の電界強度の均一化の処理動作のフローチャートを示す図である。同図に従い動作を説明する。 【0028】まず、計算機によりアンテナ送信高を決定する。例えば、電磁波の送信アンテナの高さ方向の想定される設置範囲を決定し、該設置範囲内の複数の設置位置(高さ)を算出する(処理A1)。次に、規定の周波数、例えば、80MHzから1000MHzまで1%ステップで送信アンテナから出力する電磁波の周波数を設定し、前記周波数ごとに、アンテナ送信高、被試験体の設置位置及び送信アンテナ及び被試験体間の水平距離等のデータに基づいて、直接波と反射波との干渉を計算して、論理的に電界の所定の均一化が実現できる計算上のアンテナ送信高と送信周波数との組合せであるリストをアンテナ送信高リストとして作成する(処理A2)。ところが、例えば、周囲の反射物の影響およびアンテナ支柱の影響などにより、実際には理論的な電界の均一性が得られない場合がある。 【0029】そこで、前記アンテナ送信高リストにおける1つの規定周波数を低い方から選択して設定し(処理A3)、前記規定周波数に対応するアンテナ送信高を設定する(処理A4)。 【0030】設定した規定周波数及びアンテナ送信高の条件において前記垂直平面の規定のポイントにおける電界強度の均一性について評価し(処理A5)、16ポイント中12ポイント以上での電界強度分布を規定の偏差内に収まるか否か等により規格を満足しているか否かの判断を行う(処理A6)。規格を満足している場合には全ての周波数について評価が完了しているか否かを判断し(処理A12)、完了していなければ次の周波数についての上記処理を行うために周波数設定の処理(処理A3)の手順にもどり上記手順を繰り返し、全周波数の評価の完了が確認されれば終了する。 【0031】以上の処理手順中の均一性評価(処理A5、A6)で規格を満足していない場合は、電波吸収体を床面に敷設し(処理A7)、アンテナ送信高と電波吸収体との高さを比較し(処理A8)、アンテナ送信高が吸収体の高さよりも低い場合、アンテナ送信高が吸収体の高さよりも高くなるように設定し直す(処理A9)。電波吸収体を敷設する場合、均一性を実現するためにアンテナ送信高をできるだけ高く設定すると好適である。 【0032】次に、処理5と同様に電磁界の均一性を評価し(処理A10)、規格を満足しているか否かの判断を行う(処理A11)。規格を満足している場合には全ての周波数について評価が完了しているか否かを判断し(処理A12)、評価が完了していなければ周波数設定の処理(処理A3)の手順にもどり上記と同様の処理を繰り返し、全周波数の評価が完了していれば終了する。 【0033】また、均一性評価の判断(処理A10、A11)において規格を満足しない場合には電波吸収体を敷設する領域を第1フレネルゾーン又はこの範囲を参考に決定する領域設定を行い(処理A13)、その結果に基づいて電波吸収体を敷設する(処理A14)。次に、同様に規格を満足しているか否かの判断を行い(処理A15)、規格を満足すれば、周波数設定の処理(処理A3)に戻り、上記と同様の処理を繰り返す。しかし、それでも規格を満足しない場合には電波吸収体として特性の異なるものへの交換等を行い(処理A16)、この課程で規格を満足すれば、周波数設定の処理(処理A3)に戻り、上記と同様の処理を繰り返す。また、依然として規格を満足しない場合には、転用を図ったEMI測定用の電波暗室が不適切と判断し、均一性が得られないと判断して終了する。 【0034】ただし、以上の処理において一般に電波吸収体の敷設(処理A7)、電波吸収体敷設領域設定(処理A13)、電波吸収体敷設(処理A14)及び吸収体交換(処理A16)等により敷設した電波吸収体は、より高い周波数に対して電波吸収体及びその敷設条件は変更は必要がなく規格条件が満足されることが多い。 【0035】以上の動作の結果、計算機により作成した被試験体と送信アンテナ間の水平距離に対応するアンテナ送信高リストの被試験体における電界の均一性評価が適切に行うことができ、周波数ごとにアンテナ送信高が決定され均一電界を発生することが可能となる。 【0036】 【発明の効果】本発明によれば、電波吸収体を敷設することなく電界の均一性の規格を満たすように送信高リストを作成し、各周波数ごとにアンテナ送信高を評価し微調整することにより最適なアンテナ送信高を決定するものであるから、電波吸収体を使用せずに電界の均一化を実現することが可能である。また、やむを得ず電波吸収体を設置する場合には、周波数が高くなるに従って広くなる第1フレネル領域を参考に決めることから、敷設領域を少しでも狭くしその数量(長さ、敷設面積)を最小限に抑えることが可能である。これにより、EMI測定用電波暗室からの転用の際に電波吸収体を敷設し、EMI測定用暗室に戻す場合に電波吸収体を撤去する労力を抑制することが可能である。 【0037】また、本発明によれば、反射波を抑制することがなく直接波と反射波の合成電界を利用するので従来技術と比較して最大で2倍の電界が得られ、送信電力を小さくすることができる。 【0038】
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004237 【氏名又は名称】日本電気株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)12月22日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】鈴木 康夫 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−183547 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月9日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−364835 |
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