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【発明の名称】 擬似空中線システム
【発明者】 【氏名】木野 裕之

【氏名】高野橋 龍一

【要約】 【課題】実フィールドに近い環境で通信機の試験を行うことができるとともに内部構成を簡素化して柔軟な試験を行うことができるようにした擬似空中線システムを提供すること。

【解決手段】移動局321、322と無線基地局341、342と同軸ケーブル311、312、331、332で接続されている擬似空中線装置30に電磁シールド室35を備えている。電磁シールド室は内部に複数のアンテナ端子を有し、それぞれ移動局および無線基地局からの送受信号を電波として発射することができるアンテナ371、372、381、382が接続されている。これらアンテナから発射された電波は電磁シールド室35内では自由伝播し、実フィールドに近い環境で通信機の試験を行うことができる。さらに、各移動局および無線基地局とアンテナ端子の間にはスイッチと可変減衰器により、送受信号のオン・オフや強度調整ができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電波の送受信を行う複数の通信手段と、外部と電磁気的に遮断された空間であって、内部ではこれら通信手段それぞれに接続されたアンテナを有し、前記通信手段間の送受信号に対応する電波信号をこれらアンテナ間で送受するシールド室とを具備することを特徴とする擬似空中線システム。
【請求項2】 電波の送受信を行う複数の通信手段と、外部と電磁気的に遮断された空間であって、内部では複数のアンテナを有し、これらアンテナ間で電波信号を送受するシールド室と、前記通信手段とこのシールド室内部のアンテナとの送受信号を電気的に送受するように接続する接続手段とを具備することを特徴とする擬似空中線システム。
【請求項3】 前記接続手段は、前記通信手段とこれに対応するシールド室内部のアンテナとの間の送受信号を遮断する遮断手段を具備することを特徴とする請求項2記載の擬似空中線システム。
【請求項4】 前記接続手段は、前記通信手段とこれに対応するシールド室内部のアンテナとの間の送受信号の強度を調整する調整手段を具備することを特徴とする請求項2または請求項3記載の擬似空中線システム。
【請求項5】 前記通信手段は信号発生器であり、前記シールド室内部のアンテナのいずれか1つから残りのシールド室内部のアンテナ間で送受される電波とは異なる電波を妨害波として発生することを特徴とする請求項1〜請求項4記載の擬似空中線システム。
【請求項6】 前記接続手段による前記通信手段と前記シールド室内部のアンテナとの接続は、同軸ケーブルで接続されていることを特徴とする請求項2〜請求項5記載の擬似空中線システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動通信機の試験を行う擬似空中線システムに係わり、詳細には屋内などでの移動通信機の小規模実験を行う擬似空中線システムに関する。
【0002】
【従来の技術】移動局としての移動通信機と無線基地局間の空中線部を試験するために、アンテナを屋外に設置して実際に通信を行うことが望ましい。しかし、■電波を発射するための無線局免許手続きが必要なことや、■外部からの不要な電波の干渉を受けてしまうこと、さらに■気象条件などのフィールド環境に左右されることや、■大規模な試験作業のための作業効率の悪化などの諸々の理由により、屋内等の小規模実験が活用されることが多い。この屋内等の小規模実験では、電波を外部にもらさないように空中線部を試験する擬似空中線システムが用いられる。
【0003】図3は従来のこのような擬似空中線システムの構成の概要を表わしたものである。この擬似空中線システムは、擬似空中線装置10と、これに同軸ケーブル111、112で接続された移動局121、122と、さらに擬似空中線装置10と同軸ケーブル131〜134で接続された無線基地局141〜142とを備えている。擬似空中線装置10は、分配合成器15と、可変減衰器16と、サーキュレータ17とを複雑に組み合わせて擬似空中線を構築した構造を有する筐体として設置される。
【0004】例えば、無線基地局141、142のいずれかからの送信信号は、それぞれ同軸ケーブル131、133を介して可変減衰器161、162に入力される。この可変減衰器161、162では試験のために所望の強度の信号が送信されるように調整することができる。このようにして送信された信号は分配合成器151で合成された後、分配合成器152により可変減衰器163、164に分配される。この可変減衰器163、164においても、所望の受信強度に調整して、それぞれサーキュレータ171、172によりそれぞれ同軸ケーブル111、112を介して移動局121、122に送られる。
【0005】また、移動局121、122のいずれかからの送信信号は、それぞれ同軸ケーブル111、112を介してサーキュレータ171、172によりそれぞれ可変減衰器165、166に入力される。この可変減衰器165、166では試験のために所望の強度の信号が送信されるように調整することができる。このようにして送信された信号は分配合成器153で合成された後、分配合成器154により可変減衰器167、168に分配される。この可変減衰器167、168においても、所望の受信強度に調整して、それぞれ同軸ケーブル132、134を介して無線基地局141、142に送られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の擬似空中線システムでは、同軸ケーブルや分配合成器および可変減衰器を複雑に配線することによって擬似空中線を構築していたので、配線作業の工数が不当に費やされていた。また、この擬似空中線システムに移動局や無線基地局を増やす場合は、さらに同軸ケーブルによる分配合成器および可変減衰器の複雑な再配線による擬似空中線システムの再構成が必要となってしまう。
【0007】また、例えば特開平5−2491639号公報の「電波暗室装置」に開示されているように通信機器の製造時の検査工程が大規模な設備である電波暗室において行われている。しかし、製造上の検査時に所定の検査項目を測定するために外部からの干渉電波を一切遮断して外部の測定器に接続されている。すなわち通信機に対しては理想的な環境で所望の性能について検査を行っている。
【0008】しかし、通信機製造のためには数々の実験によりその検査のための性能を決定しなければならず、実フィールドに近い環境での実験が必要である。しかし、このような通信機の開発環境などでは近隣で他の通信機の実験を行っている場合が多く、実際に実フィールドで実験を行うことはできない。
【0009】そこで本発明の目的は、実フィールドに近い環境で通信機の試験を行うことができるとともに内部構成を簡素化して柔軟な試験を行うことができるようにした擬似空中線システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明では、(イ)電波の送受信を行う複数の通信手段と、(ロ)外部と電磁気的に遮断された空間であって、内部ではこれら通信手段それぞれに接続されたアンテナを有し、前記通信手段間の送受信号に対応する電波信号をこれらアンテナ間で送受するシールド室とを擬似空中線システムに具備させる。
【0011】請求項2記載の発明では、(イ)電波の送受信を行う複数の通信手段と、(ロ)外部と電磁気的に遮断された空間であって、内部では複数のアンテナを有し、これらアンテナ間で電波信号を送受するシールド室と、(ハ)通信手段とこのシールド室内部のアンテナとの送受信号を電気的に送受するように接続する接続手段とを擬似空中線システムに具備させる。
【0012】すなわち請求項1または請求項2記載の発明では、外部と電磁気的に遮断されたシールド室内で、シールド室外部にある通信手段に接続されたアンテナをシールド室内部に有し、通信手段での電波送受に対応させて、実フィールドに近い環境で通信機の送受信試験を行うことができるようにしている。これにより、従来同軸ケーブルなどの複雑な配線により実現していた擬似空中線部を不要にしている。さらに請求項2記載の発明では、シールド室内部のアンテナとシールド室外部の通信手段とは電気的に接続されている。
【0013】請求項3記載の発明では、請求項2記載の擬似空中線システムで、接続手段は、通信手段とこれに対応するシールド室内部のアンテナとの間の送受信号を遮断する遮断手段を具備することを特徴としている。
【0014】すなわち請求項3記載の発明では、通信手段と、外部と電磁気的に遮断されたシールド室内部にあるアンテナとの送受信号が電気的に接続されており、さらに遮断手段によりその送受信号を遮断することができるようにしている。
【0015】請求項4記載の発明では、請求項2または請求項3記載の擬似空中線システムで、接続手段は、通信手段とこれに対応するシールド室内部のアンテナとの間の送受信号の強度を調整する調整手段を具備することを特徴としている。
【0016】すなわち請求項4記載の発明では、通信手段と、外部と電磁気的に遮断されたシールド室内部にあるアンテナとの送受信号が電気的に接続されており、さらに調整手段によりその送受信号の強度を調整することができるようにしている。
【0017】請求項5記載の発明では、請求項1〜請求項4記載の擬似空中線システムで、通信手段は信号発生器であり、シールド室内部のアンテナのいずれか1つから残りのシールド室内部のアンテナ間で送受される電波とは異なる電波を妨害波として発生することを特徴としている。
【0018】すなわち請求項5記載の発明では、信号発生器で生成した電気信号に対応する電波を他のアンテナ間で送受される電波とは異なる妨害電波として、シールド室内のアンテナから発射することができるようにしている。
【0019】請求項6記載の発明では、請求項2〜請求項5記載の擬似空中線システムで、接続手段による通信手段とシールド室内部のアンテナとの接続は、同軸ケーブルで接続されていることを特徴としている。
【0020】すなわち請求項6記載の発明では、シールド室外部にある通信手段とシールド室内部のアンテナとの接続は同軸ケーブルで接続するようにしている。
【0021】
【発明の実施の形態】
【0022】
【実施例】以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【0023】第1の実施例【0024】図1は本発明の第1の実施例における擬似空中線システムの構成の概要を表わしたものである。この擬似空中線システムは、擬似空中線装置30を有しており、この擬似空中線装置30には同軸ケーブル311、312を介して移動局321、322と、同軸ケーブル331、332を介して無線基地局341、342とを備えている。擬似空中線装置30は、外部とは電磁的に遮断された電磁シールド室35を有しており、この電磁シールド室35の内部には複数のアンテナ端子を有し、これらにアンテナ371、372、381、382が接続されている。これらアンテナからの電波は、電磁シールド室の外部に漏れることなく内部で電波が自由伝播するようになっている。
【0025】電磁シールド室35内部に備えるアンテナ371、372、381、382は、それぞれ移動局321、322および無線基地局331、332からの信号を、端子を介して送受できるように接続されている。また、移動局321とアンテナ371間には、同軸ケーブル311を介してスイッチ391と可変減衰器401が挿入されおり、移動局321とアンテナ371間の電気的な信号がスイッチ391によりオン・オフすることができ、可変減衰器401により信号強度の調整を行うことができるようになっている。同様にして、移動局322とアンテナ372間には同軸ケーブル312を介してスイッチ392と可変減衰器402が、無線基地局341とアンテナ381間には同軸ケーブル331を介してスイッチ411と可変減衰器421が、無線基地局342とアンテナ382間には同軸ケーブル332を介してスイッチ412と可変減衰器422が、それぞれ挿入されている。
【0026】このような擬似空中線システムでは、例えば移動局321から送信された搬送波は、同軸ケーブル311を介して擬似空中線装置30に入力される。擬似空中線装置30では、スイッチ391により移動局321からの搬送波を試験するか否かを選択できるようになっており、試験不要であればスイッチ391を切ることができる。試験する場合は、スイッチ391を介して、可変減衰器401に入力される。可変減衰器401では、試験する所望の信号強度になるように調整することができ、所望の強度の信号に対応して電磁シールド室35のアンテナ371から電波として発射されるようになっている。
【0027】アンテナ371から発射された電波は、電磁シールド室35内で自由伝播する。この電磁シールド室35内のアンテナ381、382で受信された搬送波は、可変減衰器421、422へ入力される。ここで、所望の受信レベルに調整した後、スイッチ411、412および同軸ケーブル331、332を介して、それぞれ無線基地局341、342へ送られる。
【0028】無線基地局から移動局の場合は、上述とは逆の経路をたどるので、説明は省略する。
【0029】以上説明したように第1の実施例における擬似空中線システムでは、移動局321、322と無線基地局341、342間の送受信号を電気的に接続した電磁シールド室35内に有するアンテナ371、372、381、382間の電波により試験することができるようにしている。これにより従来必要であったサーキュレータや分配合成器、同軸ケーブルなどの構成部品を大幅に削減できるばかりでなく、実フィールドに近い電波の自由伝播による試験を行うことができる。
【0030】第2の実施例【0031】図2は本発明の第2の実施例における擬似空中線システムの構成の概要を表わしたものである。図1に示した本発明の第1の実施例における擬似空中線システムと同一要素部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。この第2の実施例における擬似空中線システムは、擬似空中線装置45に同軸ケーブル53を介して信号発生器54が接続されている。すなわち電磁シールド室46内では、移動局321〜323からの送受信波をアンテナ501〜503より電波として、無線基地局341、342からの送受信波をアンテナ511、512より電波として送受信できるようになっている。さらに信号発生器54によって生成された電気信号に基づいてこれら送受信用電波とは異なる電波を妨害電波としてアンテナ52から発射することができるようになっている。
【0032】信号発生器54は、同軸ケーブル53を介して擬似空中線装置45に接続されている。信号発生器54で生成された電気信号は擬似空中線装置45に入力され、スイッチ413と可変減衰器423を介して電磁シールド室46内のアンテナ52から、妨害電波55を発射することができるようになっている。
【0033】このような擬似空中線システムの他の要素部分の動作については、第1の実施例における擬似空中線システムと同様の動作であるので説明を省略する。
【0034】以上説明したように第2の実施例における擬似空中線システムは、信号発生器54により電磁シールド室46内で移動局321〜323と無線基地局341、342間の送受信号とは異なる電波を妨害電波として発射することができるようにしている。これにより、さらに実フィールドに近い電磁環境のもとで通信機の試験を行うことができるとともに、より柔軟で複雑な通信機の試験を行うことができる。
【0035】なお、本実施例において電磁シールド室内に設けたアンテナは、小型でかつ低利得であることが望ましい。
【0036】また、本実施例において電磁シールド室のスペースに応じてアンテナを増やすことにより、さらに複雑な試験を行うことができる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明によれば、外部と電磁気的に遮断されたシールド室内で、シールド室外部にある通信手段に接続されたアンテナをシールド室内部に有し、通信手段での電波送受に対応させて、実フィールドに近い環境で通信機の送受信試験を行うことができるようにしている。これにより、従来同軸ケーブルなどの複雑な配線により実現していた擬似空中線部を不要にすることができるので、擬似空中線システムの構成を簡素化できるとともに、試験項目の変更に対しても柔軟に対応できる。
【0038】また、請求項2記載の発明によれば、外部と電磁気的に遮断されたシールド室内で、シールド室外部にある通信手段に接続されたアンテナをシールド室内部に有し、これと電気的に接続した通信手段での電波送受に対応させて、実フィールドに近い環境で通信機の送受信試験を行うことができるようにしている。これにより、従来同軸ケーブルなどの複雑な配線により実現していた擬似空中線部を不要にすることができるので、擬似空中線システムの構成を簡素化できるとともに、試験項目の変更に対しても柔軟に対応できる。
【0039】さらに、請求項3記載の発明によれば、通信手段と、外部と電磁気的に遮断されたシールド室内部にあるアンテナとの送受信号が電気的に接続されており、さらに遮断手段によりその送受信号を遮断することによって、シールド室内で実フィールドに近い環境で特定の通信手段を対象とした試験を行うことができるようになる。
【0040】さらに、請求項4記載の発明によれば、通信手段と、外部と電磁気的に遮断されたシールド室内部にあるアンテナとの送受信号が電気的に接続されており、さらに調整手段によりその送受信号の強度を調整することによって、シールド室内で実フィールドに近い環境を作り出したり、特定の場合の試験環境を作り出すことができるようになる。
【0041】さらに、請求項5記載の発明によれば、信号発生器で生成した電気信号に対応する電波を他のアンテナ間で送受される電波とは異なる妨害電波として、シールド室内のアンテナから発射するようにしたので、より実フィールドに近い試験環境を作り出すことができるようになる。
【0042】さらに、請求項6記載の発明によれば、、通信手段とシールド室内部のアンテナ接続は同軸ケーブルで接続するようにしたので、通信手段とアンテナ間の接続によるノイズの混入を最小限に抑えることができる。
【0043】
【出願人】 【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】山内 梅雄
【公開番号】 特開平11−183541
【公開日】 平成11年(1999)7月9日
【出願番号】 特願平9−366151