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【発明の名称】 サンプリング信号発生回路
【発明者】 【氏名】浮田 潤一

【要約】 【課題】トリガ信号の変動に影響されない、高時間分解能で安定したサンプリング信号を発生させるサンプリング信号発生回路。

【解決手段】トリガ信号と、このトリガ信号と独立した任意の2基準信号で、これらの基準信号間における位相が同期し、互いの周波数がサンプリング間隔を決めるために設定したわずかな値だけ異なった基準信号群とで、2回の周波数変換を行い、周波数変換により発生した複数の信号群を、フィルタによって必要な信号を抽出することにより、結果的にはトリガ信号に位相同期して、その周波数がサンプリング間隔を決めるために設定した値だけ異なるサンプリング信号を発生させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 入力されるトリガ信号(周波数信号)と、該トリガ信号とは独立する非同期の任意の第1基準信号とを周波数混合して出力する第1次周波数変換手段と、該第1次周波数変換手段の周波数変換された信号を受けて、和又は差の周波数信号を出力する第1次信号抽出手段と、該第1次信号抽出手段によって抽出した周波数信号と、上記第1基準信号と同期し、かつ、第1基準信号にわずかな所定周波数だけ異なる第2基準信号とを、再度周波数混合して出力する第2次周波数変換手段と、該第2次周波数変換手段からの信号を受けて、トリガ信号の周波数に対してわずかかな所定周波数だけ異なる、サンプリング信号を出力する第2次信号抽出手段とを備えていることを特徴とするサンプリング信号発生回路。
【請求項2】 請求項1記載のサンプリング信号発生回路において、前述した第2基準信号は、前述した第1基準信号を入力したPLL回路が発生する信号であるサンプリング信号発生回路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光デバイスや高速電気デバイス等の波形をサンプリングにより計測するために使用されるサンプリング回路に関し、高時間分解能で精度が高く、安定したサンプリングのタイミングをコントロールするサンプリング信号発生回路に関する。
【0002】
【従来の技術】最初に、サンプリング信号発生回路が使われるサンプリング回路について説明する。図4に、サンプリング回路の概要を示す。サンプリング回路は、サンプリング信号発生回路71と、サンプリングヘッド72とで構成される被測定デバイス70が発生する被測定信号Fi波形上の1サイクル間毎に設定された固定ポイント、即ちトリガポイントに同期して、被測定信号Fiと同一の周波数をもつトリガ信号Ftは、サンプリング信号発生回路71に入力される。サンプリング信号発生回路71は、トリガ信号Ftと位相が同期している上、その周波数がトリガ信号Ftに比して、サンプリング間隔を決めるためあらかじめ設定したわずかな値であり、一般に、Δfと呼ばれている値だけ異なるサンプリング信号Fsを発生する。サンプリングヘッド72は、入力される被測定信号Fiを、サンプリング信号Fsの周期毎のタイミングでサンプリングを行って、被測定信号Fiのサンプル波形を出力する。
【0003】トリガ信号Ftとサンプリング信号Fsとの周波数の差Δfは、サンプリングの時間分解能を決める要素の一つで、Δfの値は小さければ小さい程時間分解能が高くなる。このとき、サンプリング信号Fsの周波数をトリガ信号Ftの周波数よりΔfだけ低くした場合には、サンプリングヘッド72は被測定信号Fiの波形上の設定されたトリガポイントを基点として1/Δfづつ遅れたサンプリング間隔でサンプリングを行って、被測定信号Fiに相似したサンプル出力Foを出力する。これにより例えば、該サンプル出力Foをストレージオシロスコープ73に接続して波形観測を行うとか,AD変換してデータ処理する等の方法により、被測定信号Fiの計測をすることができる。図5は、トリガポイント及びサンプル点に関して、このときの被測定信号Fiと、トリガ信号Ftと、サンプリング信号Fsと、サンプル出力Foの関係を示したタイミング・チャートである。
【0004】次に、従来技術のサンプリング信号発生回路について、図3を参照して説明する。図3に示すように、従来は、分周器31と、他の分周器32と、位相比較器40と、ループフィルタ50と、電圧制御発振器60からなるPLLと呼ばれる回路で構成されている。
【0005】分周器31は、トリガ信号Ftを1/Mに分周して、位相比較器40の基準信号入力としている。分周器32は、電圧制御発振器60が発振する周波数Fsを1/Nに分周して、位相比較器40の比較信号入力としている。
【0006】位相比較器40は、基準信号と比較信号の位相を比較をして、その誤差信号を出力している。ループフィルタ50は、一種の積分器であり、位相比較器40より出力された誤差信号を積分して誤差電圧Vrに変換する。誤差電圧Vrを入力とする電圧制御発振器60の出力は、フィードバック制御されているため、電圧制御発振器60はトリガ信号Ftの周波数と位相同期したサンプリング信号Fsを出力する。
【0007】このとき、分周器31の分周比の係数Mと、分周器32の分周比の係数Nとの間に、 M=N+1 (M、Nはそれぞれ整数とする)の関係が成り立つとすると、Ft×(1/M)=Fs×(1/N) からFs=Ft×(N/M)=Ft×(M−1)/Mよって、 Fs=Ft×(1−1/M)
即ち、トリガ信号Ftに同期し、周波数がトリガ信号周波数Ft×(1/M)だけ低いサンプリング信号Fsを得ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来のPLL回路を用いたサンプリング信号発生回路では、サンプリング間隔を決める要素のΔfは、トリガ信号Ftを分周してつくられる。従って、Δf=トリガ信号Ft×(1/M)という関係から、トリガ信号の変動によりΔf自体も変動する難点がある。
【0009】一方、トリガ信号Ftの可変範囲はPLL回路のロックレンジにより決まり、例えば±10kHzであり狭い。
【0010】本発明の目的は上述した欠点を除去し、トリガ信号Ftの変動に影響されることなく、安定した高時間分解能をもつ精度が高いサンプリング信号を発生するサンプリング信号発生回路を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述した問題点を解決するための本発明の第一は、トリガ信号Ftと、該トリガ信号Ftとは位相が非同期で任意の周波数をもつ外部の第1基準信号F1と、該基準信号F1と位相が同期して、その周波数がΔfだけ異なる第2基準信号Fとの間で、2段の周波数混合器を用いて周波数変換を行い、それら信号群の周波数和及び周波数差信号を発生させる周波数変換手段と、該周波数変換手段により発生した複数の信号群から、フィルタにより必要な信号のみを抽出する信号抽出手段により、前記トリガ信号Ftの位相に同期した、安定して精度の高いサンプリング信号Fsを出力するサンプリング信号発生回路である。
【0012】上述した問題点を解決するための本発明の第二は、前述した第2基準信号F2の代替として、前述した第1基準信号F1を入力し、該第1基準信号F1と位相が同期して周波数がΔfだけ異なる信号を発生するPLL回路の出力信号F3を用いて、上述した周波数変換手段及び信号抽出手段と同様の動作によって、前述したトリガ信号Ftの位相に同期した、安定して精度の高いサンプリング信号Fsを出力するサンプリング信号発生回路である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態は、下記の実施例において説明する。
【0014】
【実施例】(実施例1)図1は、本発明の一実施例を示すブロック図である。本発明のサンプリング信号発生回路は、第1周波数混合器11と、第一フィルタ21と、第2周波数混合器12と、第2フィルタ22で構成される。
【0015】第1周波数混合器11はトリガ信号Ftと、第1基準信号F1を周波数混合して周波数変換を行った結果、周波数がFt±F1の信号を発生する。第1フィルタ21はハイパスフィルタであり、第1周波数混合器11の出力Ft±F1を入力し、周波数がFt+F1の信号を出力する。
【0016】第2周波数混合器12は第1フィルタ21の出力Ft+F1と、第1基準信号F1と同期し、第1基準信号F1よりΔfだけ高い第2基準信号F2(周波数F2=F1+Δf)を周波数混合して(Ft+F1)±(F1+Δf)の周波数の信号を出力する。第2フィルタ22はローパスフィルであり、第2周波数混合器12の出力信号Ft+2×F1+Δf及びFt−Δfから、周波数がFt−Δfとなる成分をサンプリング信号Fsとして出力する。
【0017】以上に述べたとおり、本サンプリング信号発生回路に入力されるトリガ信号Ftは、任意の第1基準信号F1及び第2基準信号F2によって、2回周波数変換されるが、第1基準信号F1と第2基準信号F2間は、同期関係を有するものとしているという関係があるから、結果的にはトリガ信号Ftとサンプリング信号Fsの位相同期は維持される。また、サンプリングの時間分解能と精度を決める要素であるΔfの確度は、トリガ信号Ftとは独立した第1基準信号F1及び第2基準信号F2の周波数確度に依存しているから、トリガ信号Ftの周波数変動の影響は受けない。
【0018】第1基準信号F1及び第2基準信号F2については、同期がとれているという条件を満足すれば、それぞれの信号発生源についての制限はないし、その周波数選択範囲も、2段の周波数混合器がトリガ信号Ftと周波数混合する際に発生するスプリアスを、出力するサンプリング信号Fsに影響ない程度に除去できるフィルタの性能に基づいて決めることができる。また、トリガ信号Ftの波形は、周波数混合に支障がなければ、そのパルス周波数を問わないが、パルスの場合は所望により基本波用フィルタを挿入しても良い。
【0019】(実施例2)本発明の実施例2について、図2のブロック図を参照して説明する。実施例1と同じ構成要素については、その説明を省略する。また、PLL回路についても従来の技術で説明したものと構成及び動作が同じであるから、これも省略する。図2に示すように、実施例2は実施例1で説明した第2基準信号F2の代わりに、第1基準信号F1を入力して、分周器31と、分周器32と、位相比較器40と、ループフィルタ50と、電圧制御発振器60で構成するPLL回路の出力信号F3を使用している。 【0020】PLL回路の出力信号F3は、従来の技術で説明したと同じ動作によって、第1基準信号F1位相と同期して、その周波数がΔfだけ異なっているから、実施例1の場合と同様の周波数変換手段とフィルタ手段によって、トリガ信号Ftと位相が同期して、安定した精度の高いサンプリング信号Fsを発生させることができる。
【0021】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明はトリガ信号とは別の独立した基準信号をベースにしてサンプリングの時間分解能を決めるΔfを発生させているので、高時間分解能をもち安定したサンプリング間隔で、精度よくサンプリングを行う効果を上げることができる。
【0022】本発明では、トリガ信号及び基準信号の周波数を100MHz、Δf=20Hzとしたとき、フィルタの帯域が広くとれるので被測定信号が±10MHzの範囲でも良好なサンプリングの結果を得ることができた。このため、汎用性があり、高速パルス計測器等のサンプリング回路に応用することが可能になる。
【出願人】 【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
【出願日】 平成9年(1997)12月24日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−183524
【公開日】 平成11年(1999)7月9日
【出願番号】 特願平9−355397