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【発明の名称】 充放電装置のコンタクトプローブ
【発明者】 【氏名】細川 興二

【氏名】斉藤 晶彦

【要約】 【課題】二次電池の性能評価時において、電池端子との接触不良が発生せず、メンテナンスを容易とする充放電装置のコンタクトプローブを提供する。

【解決手段】本発明のコンタクトプローブ10は、先端が球状を成す先端部11、圧縮コイルバネ12、コンタクトプローブの本体部13、および本体部13を軸支する支持部14によって構成される。コンタクトプローブの先端部11には、白金イリジウム合金や銀タングステン等の電気接点材料15を抵抗溶接している。これにより、磨耗、腐食に強く、安定した接触抵抗を有し、かつ製造も容易で安価なコンタクトプローブを実現できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 先端部を電池端子に接触して充電・放電を行うことにより、二次電池の性能評価を行う充放電装置のコンタクトプローブにおいて、前記コンタクトプローブの先端部を球状とするとともに、該球状先端には電気接点部材を溶接して形成することを特徴とする充放電装置のコンタクトプローブ。
【請求項2】 前記電気接点部材は、前記コンタクトプローブの先端部に、厚み0.12mm、直径φ1.1mmとなる球状に溶接することを特徴とする請求項1に記載の充放電装置のコンタクトプローブ。
【請求項3】 前記電気接点部材は、白金イリジウム合金および銀タングステンのうち、少なくとも1材料であることを特徴とする請求項1に記載の充放電装置のコンタクトプローブ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばリチウムイオン二次電池などの充放電装置のコンタクトプローブに関し、さらに詳しくは、充放電装置のコンタクトプローブを使って二次電池の性能を評価する際に適用して好適な充放電装置のコンタクトプローブに関する。
【0002】
【従来の技術】近年の電子技術の進歩により電子機器の高性能化が進み、それに伴って電子機器に使用される電池の高エネルギー密度化の要求が高まっている。従来、これらの電子機器に使用される二次電池としてはニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池などがあるが、これらの電池は放電電位が低くエネルギー密度が充分でないため、上述した要求には充分に応えられていないのが実情である。
【0003】最近、これらの要求を満たす二次電池として、非水電解液二次電池に属するリチウムイオン二次電池が実用化されるようになった。このリチウムイオン二次電池は体積当たりの容量密度が高く、ニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池に比して約3倍の高電圧となるうえ、電池内のリチウムはイオン状態で存在しているため極めて高い安全性を有している。そのため、リチウムイオン二次電池は携帯用電子機器等の電源として多方面で数多く使用され、用途の急拡大とともに需要が急増しつつある。
【0004】ところで、リチウムイオン二次電池などの二次電池の製造工程では、組み立て後の性能をチェックするため、充放電装置のコンタクトプローブを使って充電・放電を行なっている。すなわち、充放電装置を使って充電・放電を繰り返すことにより、その品質評価を行なっている。
【0005】図2は本発明に係わるリチウムイオン二次電池の充放電装置を示す図であり、(a)はトレイの斜視図、(b)は充放電装置の要部拡大断面図である。図2に示すようなリチウムイオン二次電池の充放電装置1では、二次電池2を数百本まとめて上下に開口部が設けられたプラスチック製のトレイ3に収納後、トレイ3毎に充放電装置1に設置して二次電池の充電・放電を行うようになされている。
【0006】すなわち、充放電装置1の上下ピンボード4に取り付けられたコンタクトプローブ5により電池端子に所定の電圧を印加することにより、二次電池の充電・放電テストを行う。充電・放電テストの一例としては、■.5.0V、1Aで数時間充電を行う。
■.約1時間かけて強制放電を行う、のステップの繰り返しにより二次電池の充電・放電テストを行うようになっている。
【0007】従来の充放電装置1におけるコンタクトプローブ5は、電池端子との接触不良を起こし易い。コンタクトプローブ5が接触不良を起こすと、二次電池2の品質チェックが出来なくなり、不良の二次電池2が発生する問題がある。しかも、この充放電装置1は、二次電池2の生産数量に合わせて何百ユニットと設置されるため、コンタクトプローブ5の使用総数は数十万本にも及ぶ結果となる。このため、接触不良の発生し易いコンタクトプローブ5のメンテナンスは困難を極める。
【0008】従来のコンタクトプローブ5は、電池端子との接触抵抗を安定させるため、先端形状や材質など様々な工夫が施されている。例えば、コンタクトプローブ5の先端形状を、図3(a)〜(c)に示すように、それぞれ断面M状、円錐状、半球状とするとともに、材質を金メッキ品、Niメッキ品、およびNi材品等で形成するものが知られている。また、図3(d)に示すように、コンタクトプローブ5の先端部に断面M状でAg−W(銀タングステン)材をロー付けした物など、用途に応じて様々な工夫がこなされている。
【0009】しかしながら、これら従来のコンタクトプローブ5においては、金メッキ品は耐酸化性では効果が大きいが、耐磨耗性においては問題が残る。逆に、先端部をNiメッキ品およびNi材品等の硬度のある材料で形成する場合、耐磨耗性は確保されるが、耐酸化性に問題がある。また、断面M状でAg−W材をロー付けしたコンタクトプローブ5も存在するが、この構造は加工コストの面で問題があるなど、それぞれ一長一短を有するものであった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、充放電装置のコンタクトプローブを使って性能を評価する二次電池の品質評価時に、コンタクトプローブと電池端子との接触不良が発生せず、メンテナンスを容易とする充放電装置のコンタクトプローブを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するために本発明の充放電装置のコンタクトプローブは、コンタクトプローブの先端部を電池端子に接触して充電・放電を行うことで二次電池の性能(品質)評価を行う充放電装置のコンタクトプローブにおいて、コンタクトプローブの先端部の形状を球状とするとともに、かつ球状先端には白金イリジウム合金や銀タングステン(これら合金を含む)などの電気接点部材を溶接して形成することを特徴とする。
【0012】上述の如く本発明のコンタクトプローブの先端部は球状であるため、二次電池の電池端子にキズをつけることがない。また、その球状の先端には白金イリジウム合金などの電気接点部材を溶接しているため、電池接点とコンタクトプローブの先端部との良好な接触を保つことができる。それとともに、電気接点部材は磨耗や腐食に強いため、コンタクトピンの長寿命化を図ることができる。これにより、二次電池における充放電試験等の信頼性を向上することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】先ず、図1を参照して本発明の充放電装置のコンタクトプローブの構成を説明する。図1は本発明のコンタクトプローブの一例を示す側面図である。なお、従来技術で記載した事項と共通する部分には同一の参照符号を付し、それらの図示や説明を一部省略する。
【0015】図1における符号10は本発明のコンタクトプローブを示す。本発明のコンタクトプローブ10は、先端が球状を成す先端部11、付勢手段としての圧縮コイルバネ12、コンタクトプローブの本体部13、および本体部13を軸支する支持部14によって構成されている。
【0016】コンタクトプローブの先端部11には、本発明の特徴として、白金イリジウム合金や銀タングステン等の電気接点材料15を抵抗溶接している。コンタクトプローブの先端部11は、前述の図3(a)、(b)のように、先端部を尖らせると電池端子との良好な接触が保てる反面、大電流を流すのに向いていない。また、先端部が尖っていると、接触圧が高い場合に電池端子にキズを付けることになり、好ましくない。
【0017】そのため、本発明のコンタクトプローブ10では、先端部11を球状とするとともに、先端部11の耐磨耗性および耐酸化性を確保するため、球状先端に白金イリジウム合金や銀タングステン等の電気接点材料15を抵抗溶接している。
【0018】すなわち、電磁開閉器(リレー)、スイッチ等の電気回路の断続に一般的に使われている電気接点材料15を、コンタクトプローブ先端に厚み0.12mm、直径φ1.1mm程度の球状になるように溶接し、コンタクトプローブ先端の耐磨耗性、耐酸化性を改善する構成としている。
【0019】つまり、コンタクトプローブは、リレー等に比べると生産数量が少なく、また、業種の違いからコンタクトプローブの接触部分の材質検討、接着方法の検討は充分成されていなかった。さらに、電気接点材料メーカ(徳力本店株式会社等)においても、コンタクトプローブの接触部分に同材料を用いる発想は無かった。
【0020】本発明者らは、この点に着目して実験を重ねた結果、図1に示すような磨耗、腐食に強く、安定した接触抵抗を有し、かつ製造も容易で安価なコンタクトプローブを実現できることを見出した。
【0021】次に、図1および図2を参照して本発明の充放電装置のコンタクトプローブの動作を説明する。
【0022】本発明のコンタクトプローブ10の本体部13は、支持部14を介して上下ピンボード4に取着されている。本体部13には接点オイル等の潤滑剤が充填されており、潤滑剤によって本体部13および先端部11の動作を円滑にする。本発明のコンタクトプローブ10は、圧縮コイルバネ12を除き無電解ニッケルメッキが施されている。
【0023】コンタクトプローブ10の先端部11は球状を成していて、球状先端には白金イリジウム(10%)が溶接してある。この白金イリジウムが溶接された先端部11は、電池端子(図示省略)と接触して充電・放電のための電圧を印加する。例えば、二次電池を5.0V、1Aで充電しようとする場合、先端部11の白金イリジウムを介して電池端子に5.0V、1Aの電圧が印加される。
【0024】圧縮コイルバネ12は、先端部11と支持部14との間に挿着されていて、先端部11を電池端子に押しつけるように付勢している。そして、圧縮コイルバネ12によって先端部11を所定の強さで電池端子に押しつけることにより、両者の接触が図られる。因みに本発明のコンタクトプローブ10は、全ストローク時…1,660g3/2作動時… 1,270g取付時… 490gのバネ圧力を有するように形成されている。
【0025】このように、本発明のコンタクトプローブ10においては、従来技術のコンタクトピンに代えて、恰もボールペンのボールの如き球状を成し、かつ白金イリジウム合金を溶接した先端部によって電池端子に接触するようになっているため、電池端子を傷つけることなく、長時間に渡って良好な接触状態を保つことができる。また、本発明のコンタクトプローブ10の先端部11は磨耗や腐食をしないため、コンタクトプローブの長寿命化を図ることができる。以降の動作は前述と同様であり、重複するため説明を省略する。
【0026】本発明のコンタクトプローブ10を適用することにより、次のような具体的な効果を上げることができる。第1には、電池端子とコンタクトプローブ先端部との接触抵抗が安定するため、二次電池にかかる電圧が安定して充放電試験の信頼性が向上する。第2には、コンタクトプローブ先端部に電気接点材料を溶接する方法は、製造が容易であるため、安価なコンタクトプローブを実現できる。第3には、コンタクトプローブの原因で、良品電池を不良電池と誤判定することがなくなり、二次電池の生産効率が向上する。第4には、コンタクトプローブのメンテナンスが簡易になる。
【0027】本発明は前記実施の形態例に限定されず、種々の実施形態を採ることができる。例えば、本実施の形態例では二次電池における充放電装置のコンタクトプローブについて例示したが、プリント配線基板のコンタクトプローブや半導体装置の測定に用いる半導体装置用コンタクトプローブ等、電流の入出力を伴うあらゆるコンタクトプローブに適用可能である。また、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜応用が可能であることは言うまでもない。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明のコンタクトプローブによれば、先端部を球状となし、かつ先端部に電気接点部材である白金イリジウム合金や銀タングステン等を溶接して形成するようにしたため、コンタクトプローブを電池端子に接触して二次電池の性能評価する際に、電池端子を傷つけることなく、長時間に渡って安定した接触状態を保つことができる。また、本発明のコンタクトプローブの先端部には、磨耗や腐食に強い電気接点部材が溶接されているため、コンタクトプローブのメンテナンスを簡易化できるとともに、二次電池の性能評価の信頼性を向上できる効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【出願日】 平成9年(1997)11月26日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−160404
【公開日】 平成11年(1999)6月18日
【出願番号】 特願平9−324231