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【発明の名称】 コネクタ着脱装置
【発明者】 【氏名】小幡 修

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一方側当接面及び他方側当接面の形成された係合部とコネクタとを備えた対象物の前記コネクタを固定されている固定コネクタに着脱するための着脱用部材であって爪面と反対面とを備えた着脱用部材が着脱方向に移動されることによって前記爪面又は反対面がそれぞれ前記一方側当接面又は他方側当接面に当接して前記コネクタが前記固定コネクタに着脱するようにされたコネクタ着脱装置において、前記着脱方向にほぼ直角な方向に移動可能に案内される移動部材と、該移動部材を前記入出方向に往復移動させる移動手段と、前記移動部材及び前記着脱用部材をほぼ平行な関係に結合する複数のリンクと、前記ほぼ直角な方向の所定の幅であって前記爪面と前記一方側当接面とが係合可能になる位置と係合が解除される位置との間の幅の両端で前記着脱用部材を着脱方向に案内する一方側案内部及び他方側案内部と、を有することを特徴とするコネクタ着脱装置。
【請求項2】 前記移動部材に対して前記リンクが形成する角度の拡大を抑制する抑制手段を有することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ着脱装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術の利用分野】本発明は、対象物のコネクタを試験や熱処理等を行う装置のコネクタと接続して対象物に電源や信号等を供給して試験や熱処理等を行う装置に用いられるコネクタ着脱装置に関し、例えばIC等の半導体製品中の潜在不良品を排除するために行うバーンインのための装置である恒温槽に好都合に利用される。
【0002】
【従来の技術】恒温槽等の環境試験装置には、試験室内にコネクタを装備し、被試験物を試験するときには、被試験物を試験室内に設置すると共に、そのコネクタを試験室内のコネクタと結合し、被試験物に電源や動作信号を与えつつ環境試験を行えるようにしたものがある。このような環境試験装置において人手でコネクタを着脱する場合には、試験室内が狭いために作業性が悪かったり、着脱操作に手間がかかったり、確実に着脱するのが難しい等という問題があった。
【0003】このようにコネクタを接続して試験を行う被試験物の典型である集積回路素子(IC)は、一般にバーンインボードと呼ばれるプリント配線基板に取り付けられた多数の試験用ソケットに装着され、バーンインボードと共に試験室に入れられ、バーンインボードを介して電源や信号を印加された動作状態で試験される。このため、バーンインボードには、通常、挿入方向の先端部にエッジが形成され、このエッジを試験室内に固定配置されたエッジコネクタに挿入することにより、バーンインボードと電源や信号発生源との電気的接続が図られる。
【0004】ICのバーンインは、一般に、通常の使用状態よりも大きなストレスをICに与えるため、バーンインチャンバーと称される恒温槽を用いて高温雰囲気下で実施される。そして、前記のエッジコネクタが槽内の奥側に多段に単列又は多列に配置され、バーンインテスト時には、多数のバーンインボードのエッジをこれらのエッジコネクタに挿入及び抜き出し(以下「挿抜」という)する。ところが、バーンインボードの数が多いことと、1つのバーンインボードのエッジ挿抜にも相当な力を要するため、人の操作でエッジを挿抜するには多大な労力を必要とする。特に、モニタバーンインテストやテストバーンインシステムにおいては、電源や信号の他、ICの動作状態を計測するための電気的接続も必要になり、エッジコネクタが多極化し、これに比例してエッジの挿抜力も増大し、人力による挿抜は実質上困難な状況になって来ている。
【0005】このような問題に対し、機械力によってバーンインボードを挿抜させるようにした装置が提案されている(特開昭61ー265579号、61−265580号、62−2176号、特開平2−251778号公報等参照)。しかしながら、これらの装置では、バーンインボードの挿抜の邪魔にならないように、その幅の外側に旋回運動をするアームや往復運動をするプッシャー等の機構を設けてバーンインボードに挿抜力を伝達するようにしているため、これらを配置できるように幅を広げる必要が生じ、バーンインチャンバーが大型化した。
【0006】直線動作だけの簡単な機構で多段のバーンインボードのコネクタを着脱できるような装置としては、恒温槽の背面に上下左右位置に4台のエアシリンダを配置して挿抜枠を往復動させると共に、1台のエアシリンダで挿抜枠を上下動させ、これらの動作を同期させることにより、ロの字型の動作をさせてコネクタを着脱させるようにした装置が提案されている(特開平8−136613号公報参照)。
【0007】しかしながら、この装置でも、エアシリンダ等の台数が多くコスト高であること、装置内における専有スペースが大きいため装置が大型化すること、動作制御やその調整が難しいこと、恒温槽背面にはシステム配線等が施工されるためエアシリンダ等の機械・機構の保守性が良くないこと、エアシリンダが装置の背面に配置されるため特殊な耐熱性仕様のものになること、取付工事の作業性が良くないこと、エアシリンダの背面装備によってシステム配線自体も制約を受けること、等の諸問題を有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術に於ける上記問題を解決し、占有スペースが小さく、駆動原動機の台数が少なく、動作制御や調整が簡単で、保守性が良く、取付工事の簡単なコネクタ着脱装置を提供することを課題とし、特に、恒温槽等を大型化させることなく対象物としての半導体製品のバーンインテストの省力化を図ることができるコネクタ着脱装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するために、請求項1の発明は、一方側当接面及び他方側当接面の形成された係合部とコネクタとを備えた対象物の前記コネクタを固定されている固定コネクタに着脱するための着脱用部材であって爪面と反対面とを備えた着脱用部材が着脱方向に移動されることによって前記爪面又は反対面がそれぞれ前記一方側当接面又は他方側当接面に当接して前記コネクタが前記固定コネクタに着脱するようにされたコネクタ着脱装置において、前記着脱方向にほぼ直角な方向に移動可能に案内される移動部材と、該移動部材を前記入出方向に往復移動させる移動手段と、前記移動部材及び前記着脱用部材をほぼ平行な関係に結合する複数のリンクと、前記ほぼ直角な方向の所定の幅であって前記爪面と前記一方側当接面とが係合可能になる位置と係合が解除される位置との間の幅の両端で前記着脱用部材を着脱方向に案内する一方側案内部及び他方側案内部と、を有することを特徴とする。
【0010】請求項2の発明は、上記に加えて、前記移動部材に対して前記リンクが形成する角度の拡大を抑制する抑制手段を有することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は本発明を適用したコネクタ着脱装置を高温恒温槽から成るバーンインチャンバに適用した例を示す。このバーンインチャンバは、断熱壁100、断熱扉101、これらで囲まれて形成された試験室102、図示していないが試験室内の空気を循環させる送風機や循環空気を加熱するヒータ等により構成され、内部には半導体製品を多数装着できるバーンインボード1が多段に配設される。試験室の奥側には、外部から電源や信号を供給するための固定コネクタとしてのエッジコネクタ2がコネクタ取付棒3を介して上下方向に多段に固定配設される。エッジコネクタ2は中継ボード4で外部と接続される。エッジコネクタ2が取り付けられたコネクタ取付棒3は、ねじ3aによって試験室102の内壁100aに固定されている。
【0012】なお、上記では、コネクタと固定コネクタとの関係がエッジとエッジコネクタとである場合について示しているが、この反対に、コネクタがエッジコネクタであり固定コネクタがエッジである場合や、それぞれの関係がオスメスコネクタである場合など、他のコネクタ構造に対しても本発明を適用できることは勿論である。
【0013】上下方向に多段に挿入されるそれぞれのバーンインボード1には、図示の如く多数のICソケット5が組み込まれていて、これらのICソケット5に半導体製品であるIC6が装着される。IC6は、ICソケット5及びバーンインボード1の内部配線を介してエッジ7と電気的に接続される。従って、本例では、IC6の装着されたバーンインボード1及びエッジ7がそれぞれ対象物及び対象物に固定されたコネクタに相当する。
【0014】バーンインボード1は、試験室102内に立設された支持棒8の上下方向に多段に固定された溝部材9の溝によってコネクタを着脱するために結合する方向(本実施例では以下「挿入方向」という)及び切り離す方向(本実施例では以下「抜去方向」という)である矢印Y−Y´で示す着脱方向(本実施例では以下「挿抜方向」という)に移動可能に支持される。従って、支持棒8及び溝部材9が支持手段に相当する。符号10は挿抜ユニットである。
【0015】バーンインボード1の構造部分は、その先端角部を下から見た図である図1(b)に示す如く、相互に組み合わされた補強枠1a、1bに、上部のプリント基板1c及び下板1dをビスで固定することにより形成されている。電気的接続を図るためのエッジ7は、プリント基板1cの先端側に形成され補強枠1aから突出しているが、このような構造部分で固定支持されている。下板1dの一部分は切り欠かれていて、その切欠き部と補強枠との間に凹部1eが形成されている。図において補強枠1aはバーンインボード挿入方向の先端側のものであり、補強枠1bは幅方向端のものである。このような構造において、補強枠1aの内面1a1 及び外面1a2 は、それぞれ一方側当接面及び他方側当接面として形成されたコネクタ着脱用の係合部となる。
【0016】なお、バーンインボードには通常凹部1eが形成されていないが、本実施例のバーンインチャンバに用いるバーンインボードは、凹部を形成するように加工される。但し、このような加工はきわめて容易で殆ど余分なコストの発生はない。又、既存のバーンインボードを利用する場合であっても、このように改造容易で、費用の発生もごく僅かであるから、本発明を適用するに当たって何ら支障はない。更に、下板1dを有しないバーンインボードでは、そのままの状態で使用できる。
【0017】図2は、エッジコネクタ2に対する主としてバーンインボード1の挿抜ユニット10部分の構造例を示す。なお、これらは図2(a)において左右対称に設けられているが、中心線Cの左側部分の図示を省略している。挿抜ユニット10は、着脱用部材としての爪付き板11、移動部材としての昇降軸12、移動手段としてのエアシリンダ13、リンク14、一方側及び他方側案内部としての上ガイド板15a及び下ガイド板15b、等によって構成されている。又、本例では抑制手段の一例であるバネ16が設けられている。符号17は左右の爪付き板11を連結して枠状にしている連結板である。このように連結板17を設けると、爪付き板11の剛性が増すと共に、左右の昇降軸12の一方側だけの昇降が抑制され、誤動作時のバーンインボード1への影響が回避される。但し、それぞれを独立にして構造を簡素化するようにしてもよい。
【0018】爪付き板11は、図3に示す如く、エッジ7をエッジコネクタ2に挿抜するための部材であり、爪面11aと反対面11bとを備え、Y−Y´の挿抜方向に移動されることによって爪面11a又は反対面11bがそれぞれバーンインボード1の補強枠1aの内面1a1 又は外面1a2 に当接してエッジ7が挿抜されるようになっている。爪付き板11は、後述するようにY−Y´及びZ−Z´方向に移動及び昇降されるため、リンク14との接続用として、爪部11cの他、中間板部11d及び取付部11eで構成されている。本例では本例では爪が上方に向いているが、これを下方に向け、反対面11bをその下方の位置にするようにしてもよい。又、これらの部分に緩衝部材を貼付するようにしてもよい。
【0019】昇降軸12は、挿抜方向であるY−Y´方向にほぼ直角な方向として本例では上下のZ−Z´方向に移動可能に案内される。符号12aは本体の構造体に固定された適当数のブラケットであり、これらにローラ、リニアガイド、摺動ガイド等の適当な機構が取り付けられ、昇降軸12がZ−Z´方向だけに移動するように支持・案内される。
【0020】エアシリンダ13は、断熱壁100の外側の天井部に配置されていて、断熱壁を貫通して導設された昇降軸12をZ−Z´方向に往復移動させる。本例では、左右の昇降軸12のそれぞれに1基づつ独立して設けられている(左側は図示省略)。但し、中央に1基だけ設け、その動きをアーム等で両側に伝達するような構造にしてもよい。なお移動手段としては、エアシリンダに代えて、油圧や電動のもの、カム機構を利用したもの、モータで回転するねじ軸とナットとを組合せた機構、クランクとリンクとの組み合わせにより直線運動させる機構等、適当な各種直線往復駆動装置を用いることができる。
【0021】エアシリンダ13は、工場等に配設された圧縮空気源から供給される圧縮空気により電磁弁等を介して作動される。電磁弁等には、必要に応じてエアシリンダのピストン速度を調整する機構が設けられる。このような圧縮空気の供給により、エアシリンダ13に所定の動きを与え、昇降軸12を所定のタイミング、位置及び速度で昇降・停止させることができる。又、バーンインボードが所定位置に設置されたことを検出してこのような動作を自動的に行わせるようにすることも可能である。
【0022】本例では、後述するようにエアシリンダのピストン13aの停止位置として下位置P1 、上位置P2 及び中間位置P3 の3段階を設け、これらのピストン位置を検出するようにセンサS1 、S2 及びS3 を配設している。なお本例では、移動部材が昇降軸である場合にエアシリンダ13を天井配置にした例を示したが、装置本体の下部に機械室を設ける場合等には、エアシリンダ等の直線駆動手段をその部分に配置することも当然可能である。
【0023】リンク14は、複数個として本例では上下に2個設けられていて、これらによって昇降軸12及び爪付き板11をほぼ平行な関係に結合している。この結合状態の一例を図2及び図4に示す。即ち、昇降軸12とリンク14の一端側14aとが、ピン12b及び止め輪12c、14bにより、相互間が回転可能なように結合されていると共に、爪付き板11の取付部11eとリンク14の他端側14bとが、ピン11f及び止め輪14c、11g並びにスペーサ14dにより、相互間が回転可能なように結合されていて、結局、爪付き板11が昇降軸12に対して平行に且つ距離yが可変なように結合されている。
【0024】上ガイド板15aは、爪付き板11を挿抜方向であるY−Y´方向に案内するが、本例ではリンク14のうちの上端のリンク14(14−1)の他端側14bを摺動案内している。但し、スペーサ14dを回転自在なカラーリングにしてリンク14から突出させ、この部分が回転し案内されるようにしてもよい。又、この反対に、スペーサ14dの幅を広くすると共に小径にして、上ガイド板15aに突条を設け、これをスペーサ14dに接触させるようにしてもよい。このような方法により、爪付き板11は、リンク14と結合されたピン11fを介して上限位置をY−Y´方向に案内される。
【0025】下ガイド板15bは、図5に示す如く、上ガイド板15aと同様に爪付き板11をY−Y´方向に案内するが、本例では下端のリンク14(14−2)の他端側14b部分でピン11fを延長してカラーリング11hを設け、その下でこの部分を案内している。なお、スペーサ14dの幅を広くして両側の止め輪11g、14cをこれより大径にすると共に、下ガイド板15bの上端を突条部分にして、これらの部分を接触させるようにしてもよい。このような方法により、爪付き板11は、上端リンクの場合と同様にピン11fを介して今度は下限位置でY−Y´方向に案内される。
【0026】図5(b)において、下リンク14(14−2)のうち実線で示すものより上に二点鎖線で示しているものは、図4(b)のように上リンク14(14−1)が上ガイド板15aに接触して案内されているときの状態を示す。即ち、上下ガイド板15a、15bは、上下のZ−Z´方向に所定の幅zの両端でリンクの他端側14bの位置を案内し、爪付き板11の上下限位置を設定し且つ案内している。
【0027】図6は上下ガイド板15a、15bの他の例を示す。本例のものでは、上下ガイド板15a、15bを一体化して1枚のガイド板15で形成すると共に、これを上下の何れかのリンク14の他端側14b部分に配設し、上下部分の間にカラーリング11hを介装した構造にしている。又、本例のものでは更に、リンクの他端側14bのY−Y´方向への変位量が距離sになるようにリング11hの動きを規制している。なお、同図(a)において二点鎖線で示す如く、リンク14を昇降軸12の両側に14、14´として配設するようにしてもよい。その場合には、リンク駆動力の合力が昇降軸の軸心と一致し、リンクの駆動動作をより円滑にすることができる。
【0028】なお、以上では上下ガイド板15a、15bでリンクの他端側を案内するようにしているが、爪付き板11の上下端や中間位置に適当な被案内部を設け、この部分をガイド板で案内するようにしてもよい。
【0029】図2(b)に示すバネ16は、昇降軸12に対してリンク14が形成する角度の拡大を抑制する。即ち、昇降軸12はZ−Z´方向のみに移動するように案内され、一方リンク14はこれに対して適当な角度で結合されるが、リンク14にはその他端側に爪付き板11が結合されているので、図2のように爪付き板11が昇降軸と平行して上下方向に向いている場合には、その自重によってリンク14が図において時計方向に回転して角度が拡大しようとする。これに対してバネ16は、その張力Tによって爪付き板11を昇降軸12側に引き寄せ、リンク14にその一端側14aを中心としたモーメントTLcos θ(Lはリンクの中心間長さ、θは昇降軸12とリンク14との角度)を発生させ、この反時計方向モーメントによってリンクの角度拡大を抑制する。
【0030】バネ16は、昇降軸12及び爪付き板11に取り付けられた支持ピン16a、16bに係止されている。この場合、図2(b)の例では、昇降軸12が昇降すると、その上下位置の変化により、バネ16の長さが変化すると共に、支持ピンへの取り付け角度も変化する。従って、支持ピン16a、16bをバネ16の角度変化に対応して回転可能なように取り付けたり、例えば図7に示す如く、支持ピンに対して、張力Tの作用方向に対応して回転可能なようにバネ端を係止することが望ましい。
【0031】図8はバネ16の装着状態の他の例を示す。この例では、リンクの一端側14a部分において昇降軸12に間隔を開けてバネ16を2本係止し、それらの自由端側を加圧板16cに係止し、バネの張力Tによって一端側14aに押圧力2Tを加えるようにしている。この場合には、リンクと加圧板との接触点16dとリンクの支持中心14iとの距離をdとすると、2Tdの回転抑制モーメントを発生させ、これをリンクに作用させることができる。
【0032】このモーメントは、昇降軸12が上昇するとT及びdが変化するために昇降軸12の上昇に対応して変化するが、二点鎖線で示す位置に近づくと急速に小さくなり、最終的には0になる。従って、リンクが上昇すると、その他端側14bの上昇方向が傾斜する傾向になり、他端側14bの上昇速度がゆるやかになると共に上ガイド板15aへの衝突方向が90°から傾いた方向になる。その結果、衝撃力が緩和されると共に、他端側のY−Y´方向への動きも円滑になる効果が生ずる。
【0033】なお、図8の例ではバネ16を引張バネにしているが、加圧板16cのバネ16とは反対側に、図示しないが対向加圧板を固定配置し、両加圧板の間にバネを介装させ、バネを圧縮バネとして使用するようにしてもよい。そのようにすれば、バネの長さやバネ力を自由に選定することができる。
【0034】又以上では、角度抑制手段がコイルバネ等の引っ張りや圧縮力を用いたバネである場合について説明したが、例えばリンクの一端側もしくは他端側又はこれらの両方部分に、昇降軸12とリンク14との間に介装・係止される捩じりバネ等を設けるようにしてもよい。更に、バネに代えて、昇降軸12とリンク14との間又はリンク14とピン12bもしくは11fとの間に、リンクの角変位に対して摩擦力を付与してブレーキ作用をする適当な摺動部材を介装させるようにしてもよい。
【0035】なお、爪付き板11は本来的に軽量であることが望ましいが、これがそのような材料でできていて、バーンインボード1の積載段数が少なく、横移動距離に比べて昇降距離を小さく設計するような場合には、リンクに不可避的に存在する摩擦トルク等を利用し、特別な角度抑制手段を省略することも可能である。又、例えばバーンインボードのような対象物を立てた状態で収納し、移動部材及び着脱用部材を横方向に延設するような装置では、角度抑制手段を省略することが可能である。
【0036】図9及び10は、以上のようなバーンインチャンバにおけるバーンインボードのコネクタ挿抜方法を示す。なお、図9では、動作説明を分かり易くするために、バーンインボードのエッジ7及び爪付き板11の爪部11cを1枚だけ示すと共に、実際には昇降軸12及び爪付き板の取付部11eより紙面において奥側になっている爪部11c及びエッジ7を実線で表している。図9を中心に他の図を参照しつつ説明する。なお、この図のように、爪付き板11とその取付部11eとを別体にしてもよい。
【0037】溝部材9の全ての段にエッジ挿入直前の位置までバーンインボード1が挿入されると、そのエッジ7をエッジコネクタ2に挿入する操作が自動又は手動で行われる。図9(a)及び図10(b)の実線の爪部11cの位置は、エッジ7をエッジコネクタ2に挿入する前の初期状態を示す。このときには、爪部11cは、バーンインボード1のエッジ7をエッジコネクタ2に挿抜するときのバーンインボード1の移動範囲の下方に位置している。従ってバーンインボード1の挿入を妨げない。
【0038】なお、図示しないが爪部11cは1段下のバーンインボードとも干渉しない位置にある。爪部11cのY−Y´方向の位置は、図示のようにエアシリンダ13のピストン13aの下位置P1 、下ガイド板15bの位置、これに当たっている爪付き板11及びリンク14の寸法によって定まる。この状態では、爪面11a及びその先端と補強枠の内面1a1 ((b)に示す)及びバーンインボードの下板1dとのそれぞれの距離はp及びqになっている。
【0039】(b)のようにエアシリンダ13が作動して昇降軸12が上昇すると、リンク14が爪付き板11を持ち上げて下ガイド板15bから離すと共に、これを上昇させる。このとき、リンク14はバネ16で昇降軸12との角度を保持する方向にモーメントを受け、その角度を維持して爪付き板11を昇降軸12側に引き寄せ、その状態でこれを上昇させる。このときの爪面11aの位置は、図10(b)では実線の上の二点鎖線の位置になっている。この状態では、爪面11aと枠内面1a1 とが係合可能な関係になる。
【0040】なお、バネ力Tによる前記モーメントTLcos θが、下ガイド板15bから離れた爪付き板11の自重WによるモーメントWLsin θより小さいときには、これらの差及び昇降軸12の上昇速度に対応してリンク14の角度が開きながら爪付き板11が上昇する。しかし、爪部11cの先端とバーンインボード1の凹部1eとの距離qは僅かであるから、爪部11cは先端側の補強枠1aに当たることはなく凹部1e内に入り込む。
【0041】(b)の状態からエアシリンダ13が更に上昇すると、リンク14の他端側14bの部分が上ガイド板15aに案内され、バネ16の張力に抗してリンク14の回転角を拡大すると共に爪付き板11を昇降軸12から遠ざける方向に移動させる。そして、(c)のようにエアシリンダのピストン13aが上位置P2 に到達すると、センサS2 がこれを検出してエアシリンダの作動を停止させる。この位置では、リンク14がほぼ水平状態になる。
【0042】これにより、爪面11aがY方向にp+p´の距離だけ移動し、枠の内面1a1 を引き込んでエッジ7をエッジコネクタ2内にp´の距離だけ挿入する。このようにして、多段に挿入・支持された全てのバーンインボードのコネクタを機械力によって一度に結合することができる。そして、バーンインボード1と中継ボード4とが電気的に接続され、バーンイン試験の実施が可能になる。
【0043】なお、この動作中にリンク14の角度が開いて爪付き板11が昇降軸12から離れて行くが、爪面と枠内面とが接触してエッジ7を押し込むときには、昇降軸12が更に上昇すると共に両者間に強い圧接力に伴う摩擦力が生ずるため、両者間の接触が解除されて爪付き板11が落下するようなことはない。
【0044】(c)の状態からエアシリンダが反対方向に作動して昇降軸12が下降を開始すると、(d)の状態に到る前に、まずリンク14が傾斜して爪付き板11が昇降軸12側に引き寄せられ、爪と枠との圧接状態が解除される。その結果、爪付き板11の下降時に枠に対して何ら外力が加わることがない。従って、バーンインボードが変形してこれに形成された回路等が悪影響を受けるおそれがない。リンクの他端側14bと共に爪付き板11が下降すると、その下端が下ガイド板15bによって支持される。図5等の例では、リンクの他端側が支持されることにより、そのピン15fに結合された爪付き板11が支持されることになる。
【0045】ピストンが下降して(d)に示す中間位置P3 に到達すると、センサS3 がこれを検知してエアシリンダの作動を停止させる。このときには、爪付き板11の爪部の反対面11bの位置は、昇降軸12の位置、下ガイド板15bの位置、リンクの寸法等によって定まるが、本例では、バーンインボードの補強枠の外面1a2 の位置の直前位置になっている。又、爪部の先端位置もバーンインボードの凹部1eから下方に退避した位置になっている。
【0046】この状態では、必要に応じて任意のバーンインボードのコネクタ接続を解除し、これを取り出すことができる。その結果、バーンイン実行前に実施される事前チェックにおいて一部のバーンインボードにエラーが発生したような場合には、バーンインボードを一度抜き取ってエラー対策を施した後再挿入することができ、バーンインテスト上重要な機能の1つが満たされることになる。
【0047】所要のバーンイン時間が経過してバーンインボード1をチャンバから取り出すときには、手動又は自動的にエッジ7の抜去工程が実行される。即ち、(d)の状態からピストンが更に下降する。これにより、リンク14の角度が狭まって爪付き板11が昇降軸12の側に引き寄せられる。そして、センサS1 によって(a)に示す初期のピストン低位置P1 が検知されると、エアシリンダの作動が停止する。この間に、爪部の反対面11bが枠の外面1a2 を押し、エッジ7をエッジコネクタ2から抜去する。そして(a)の初期状態に復帰する。このときには、爪部11cが凹部1eから退避した位置にあり、次に試験されるICを装着したバーンインボードの挿入が可能になっている。
【0048】本例のようなコネクタ着脱装置によれば、多段に設置されたバーンインボードを機械力により一度に着脱できるので、バーンインテストにおいて大幅な省力化を図ることができる。又、全段のコネクタの着脱が一様且つ確実に行われ、コネクタの接続不良等のトラブルが発生しない。そして、エアシリンダを断熱壁100の外部天井部分に配置し、これから内部に昇降軸を導設すると共に、これにリンクやエッジ挿抜用の爪付き板を取り付け、全体を挿抜ユニットとして一体化しているので、取付工事が簡単であると共に、天井部分及び内部におけるエアシリンダや諸機構の点検や保守が容易である。
【0049】又、エアシリンダ等の駆動源を1台又は2台の最小台数で構成できるので、製品コストが安価であると共に、天井配置によって内部の設置スペースが不要になる。その結果、恒温槽等の内部スペースを有効活用することができ、内部に装着できるバーンインボードの数が最大になる。一方、バーンインボードの装備数を同じにした恒温槽を計画すれば、その高さを低くして装置を小型化することができる。
【0050】更に、エアシリンダを外部に配置しているため、これが恒温槽内部の200℃にもなる高温環境に曝されることがない。その結果、耐熱性を備えた特殊なものでなく通常の市販されている安価なエアシリンダを採用することができる。又、これによってエアシリンダの信頼性も向上する。更に、エアシリンダの台数が最小であると共に、その動作がリンク機構を介して自動的にコネクタの挿抜動作に転換され、他の駆動源とのタイミング調整等が全く不要になるため、動作制御や調整が極めて簡単で、装置の作動面における信頼性も向上する。
【0051】なお以上では、コネクタ着脱装置をバーンインチャンバに適用した例を示した。その場合には、上記の如く本発明が極めて顕著な作用効果を発揮する。しかし本装置は、通常の環境試験装置や、その他の常温試験室においても、狭いスペースで対象物のコネクタを着脱しなければならなずその作業性が悪い場合や、着脱に大きな力を要する場合や、対象物の搬入、取り出し等を含めて試験システム全体を自動化する場合等には、きわめて有効に利用される。従って、本発明はバーンイン装置への適用のみに限定されなるものではない。
【0052】
【発明の効果】以上の如く本発明によれば、請求項1の発明においては、コネクタ着脱のための原動力を与える駆動源として、着脱方向が例えば横方向のときにこれにほぼ直角な方向として例えば上下方向に移動部材を往復移動させる移動手段が設けられる。この移動手段は、エアシリンダ等の直線移動の可能な簡単なものであればよい。又、例えばバーンインボードのようなコネクタ着脱の対象になる対象物は幅方向に一定の寸法を持っているので、通常その両端部分が移動される対象になる。そのための移動部材は、通常2組設けられる。従って、これらに対応するエアシリンダ等の移動手段は、多くても2台あれば足りるので、その数は最小である。
【0053】コネクタを着脱するための着脱用部材と上記移動部材とは、複数のリンクによってほぼ平行な関係に結合されるので、移動部材の前記上下方向の往復移動が、リンクによって方向を変えて着脱用部材に伝達される。このとき、一方側及び他方側案内部は上下方向の所定の幅の範囲内で、着脱用部材を着脱方向に案内するので、所定の上下幅を許容しつつ、移動部材の往復移動がリンクを介して着脱方向に着脱用部材を動かす。その結果、着脱用部材は、着脱方向である例えば横方向に往復移動されると共に、それらの間にそのほぼ直角方向として例えば上下方向の動作が加わえられる。
【0054】そして、所定の幅が、着脱用部材の爪面と対象物の一方側当接面とが係合可能になる位置と係合が解除される位置との間になるように定められているので、装着方向に着脱用部材が動いたときにはコネクタが結合される。一方、その反対である引き離し方向に着脱用部材が動くと、爪面と一方側当接面とは係合することなく、反対面と他方側当接面とが当然に係合することになるので、コネクタが引き離される。従って、最大2台のエアシリンダ等の直線駆動手段を設けるだけで、その動きをコネクタ着脱動作に変換することができる。
【0055】このようなコネクタ着脱装置によれば、例えば対象物として多段に設置されたバーンインボードを機械力により一度に着脱できるので、バーンインテストにおいて大幅な省力化を図ることができる。又、全段のコネクタの着脱が一様且つ確実に行われ、コネクタの接続不良等のトラブルが発生しない。
【0056】又、移動部材は往復移動するだけであるため、これが上下方向に配置されるときには、これを例えば恒温槽の断熱壁の上の天井部分に配置することが可能になる。そして、移動部材、リンク、着脱用部材をユニットとして一体化することができる。その結果、コネクタ着脱装置の取付工事が簡単であると共に、天井部分及び内部における移動手段やリンク等の諸機構の点検や保守が容易になる。
【0057】又、エアシリンダ等の駆動源を1台又は2台の最小台数で構成できるので、製品コストが安価であると共に、天井配置によって内部の設置スペースが不要になる。その結果、恒温槽等の内部スペースを有効活用することができ、内部に装着できるバーンインボード等の対象物の数が最大になる。一方、対象物の装備数を同じにした恒温槽等の装置を計画すれば、その高さを低くして装置を小型化することができる。
【0058】更に、移動手段としてのエアシリンダ等を外部に配置できるため、これが恒温槽内部のような高温環境に曝されることもなくなる。その結果、エアシリンダ等が耐熱性を備えた特殊なものでなく通常の市販されている安価な製品を採用することができる。又、これによってエアシリンダ等の信頼性も向上する。そして更に、移動手段の台数が最小であると共に、その動作がリンク機構を介して自動的にコネクタの挿抜動作に転換され、他の駆動源とのタイミング調整等が全く不要になるため、動作制御や調整が極めて簡単である。従って、装置の作動面における信頼性を向上させることができる。
【0059】請求項2の発明によれば、上記に加えて、リンクと移動部材とが形成する角度の拡大を抑制する抑制手段を設けるので、リンクや着脱用部材の動作を一層確実にすることができる。
【出願人】 【識別番号】000108797
【氏名又は名称】タバイエスペック株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】景山 憲二
【公開番号】 特開平11−160395
【公開日】 平成11年(1999)6月18日
【出願番号】 特願平9−348664