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【発明の名称】 部分放電自動判別方法
【発明者】 【氏名】戸谷 敦

【氏名】田中 謙一郎

【氏名】鈴木 弘

【氏名】遠藤 桓

【氏名】佐藤 英男

【氏名】江島 弘高

【要約】 【課題】部分放電と外部雑音ないしは誘導信号とを正しく区別し、部分放電の発生を確実に捉えることのできる部分放電自動判別方法を提供する。

【解決手段】部分放電が検出された第1、第2の電力ケーブル回線1、2を、それぞれ通電回線から切り離して部分放電の測定を行い、切り離し前後における検出信号を比較する。部分放電が発生していない電力ケーブル回線2の場合には、検出された部分放電が電力ケーブル回線1の欠陥部Aにおける部分放電を原因とした誘導信号であることから、切り離し前後間に信号レベルの差が現れない。これに対して電力ケーブル回線1の場合には、検出された部分放電信号が自己の内部における欠陥部Aでの部分放電によるものであることから、切り離し前に発生していた部分放電信号は、課電のない切り離し後には消滅することになる。従ってこれらに基づいて、上記切り離し前後を比較したときに、検出信号に違いのないものを外部雑音ないしは誘導信号によるものと判定し、検出信号が消滅あるいは低下したものを部分放電と判定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電力ケーブルに課電したときに発生する部分放電を検知して前記電力ケーブルの絶縁体の劣化を判定する部分放電自動判別方法において、前記電力ケーブルから部分放電が検出されたとき、前記電力ケーブルを含む回線を課電中の回線から自動的に切り離し、前記課電中の回線から切り離した後、前記電力ケーブルから検出された信号あるいは情報に変化がないとき、その部分放電を外部雑音や誘導信号と判定し、前記課電中の回線から切り離した後、前記電力ケーブルから検出された信号あるいは情報に変化が認められたとき、その変化に基づいて前記電力ケーブルの絶縁体が劣化していると判定することを特徴とする部分放電自動判別方法。
【請求項2】 前記電力ケーブルの部分放電が、外部雑音や誘導信号と判定されたとき、自動的に前記電力ケーブルを含む回線に課電されることを特徴とする請求項第1項記載の部分放電自動判別方法。
【請求項3】 前記電力ケーブルの絶縁体が劣化していると判定されたとき、警報を発するとともに、自動的には前記電力ケーブルを含む回線には課電されないことを特徴とする請求項第1項記載の部分放電自動判別方法。
【請求項4】 前記外部雑音や誘導信号の判定、および前記電力ケーブルの絶縁体の劣化の判定は、前記電力ケーブルの部分放電の信号あるいは情報を記憶した記憶装置からの読み出し信号に基づいて行われることを特徴とする請求項第1項記載の部分放電自動判別方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部分放電判別方法に関し、特に、ケーブル線路における部分放電と外部雑音ないしは誘導信号とを、正しく判別するための部分放電自動判別方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通電の高電圧化や大容量化にともない、電力ケーブル線路には、より高い信頼性が要求されており、その信頼性確保のためのひとつの要求事項として、精度のよい部分放電の検出があげられる。
【0003】ケーブル本体や接続部等における部分放電は、絶縁破壊の前兆であり、従って、確実かつ早期のうちに検出しなければならない欠陥であるが、実際にこれを検出する場合の難しさとして、外部雑音ないしは他回線からの誘導信号の問題がある。
【0004】外部から侵入してくる雑音や誘導信号と、実際の部分放電とを峻別し、部分放電のみを正しく捉えることが重要となる。
【0005】従来の、これら外部雑音と部分放電に対する判別方法として、たとえば、特開平8−122392号、特開平8−160098号、あるいは、特開平7−128390号等の各公報に記載された方法が知られている。
【0006】これらには、たとえば、あらかじめ定められたしきい値と測定信号とを比較することによって外部雑音と部分放電とを区別する方法、検出時間差によって部分放電と外部雑音とを識別する方法、あるいは、複数の測定対象で同時測定し、個々のパルスごとに大きさを比較して所定の範囲のものを外部雑音とする方法などが開示されており、いずれも有効な判別方法として活用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従来の部分放電判別方法によると、部分放電と、外部雑音ないしは他回線からの誘導信号とを、いかなる場合にも誤りなく識別することは難しく、精度的には必ずしも満足できるものではなかった。
【0008】従って、本発明の目的は、部分放電と外部雑音ないしは誘導信号とを正しく区別し、部分放電の発生を確実に捉えることのできる自動判別方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するため、電力ケーブルに課電したときに発生する部分放電を検出して前記電力ケーブルの絶縁体の劣化を判定する部分放電判別方法において、前記電力ケーブルから部分放電が検出されたとき、前記電力ケーブルを含む回線を課電中の回線から切り離し、前記課電中の回線から切り離した後、前記電力ケーブルから検出された部分放電に信号あるいは情報の変化がないとき、その部分放電を外部雑音や誘導信号と判定し、前記課電中の回線から切り離した後、前記電力ケーブルから検出された部分放電の信号あるいは情報が変化消滅したとき、その部分放電に基づいて前記電力ケーブルの絶縁体が劣化していると判定することを特徴とする部分放電自動判別方法を提供するものである。
【0010】部分放電が検出されたケーブル回線を課電中の回線から切り離すときには、これを自動的に行うことが望ましく、また、検出が外部雑音や誘導信号の検出であると判定された場合におけるケーブル回線の再投入も、自動的に行うことが望ましい。
【0011】これら切り離しから再投入までの時間は、当該ケーブル回線以外のケーブル回線における過負荷許容限度内に設定すべきであり、また、その他の時間的制約事項がある場合には、その制約された時間内におさめるべきである。
【0012】実際の運用に当たっては、課電中の回線からのケーブル回線切り離しと、同回線再投入とのあいだに行われる部分放電の測定や検出信号あるいは情報の比較、あるいは、それに基づく判定等を順次自動的に遂行するように構築し、これによって、切り離しから再投入までのすべてを、全自動化することが考えられる。
【0013】検出された信号が、外部雑音や誘導信号ではなく、部分放電であると判定された場合には、警報出力装置からの警報発令等によって対象のケーブル回線と部分放電の発生とが直ちに顕在化され、ケーブル回線の自動的な再投入は行わず、事後処置が行われることになる。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明の部分放電判別方法における実施の形態について説明する。
【0015】図1は、6相構成の通電回線を対象にした例であり、1は電力ケーブル線路1a、1b、1cのうち、1aに部分放電欠陥部Aを含んだ第1の電力ケーブル回線、2は電力ケーブル線路2a、2b、2cから成る健全な第2の電力ケーブル回線を示し、これらはいずれも活線状態にある。
【0016】3はケーブル絶縁接続部、4はこれら各絶縁接続部3に取り付けられた部分放電検出のための箔電極、5は検出インピーダンスを示し、検出された信号はこの検出インピーダンス5から同調増幅器6へと送られ、ここにおいて特定の周波数成分が取り出される。
【0017】取り出された成分はFM変調器7および光送信器(E/O)8に送られ、ここから光ファイバーケーブル9をへて光受信器(E/O)10に送られる。
【0018】光受信器10では受信した信号を電気信号に変換し、次いで、FM復調器11で検出信号を取り出し、これにより得られた検出信号パルスを、A/D変換器12によってデジタルデータに変換し、部分放電自動判別装置13に送り込む。
【0019】部分放電自動判別装置13は、コンピュータ制御によって構成されており、ここでニューラルネット方式による部分放電発生有無の判別が行われ、もし、部分放電有りと判定された場合には、この信号あるいは情報はいったん信号記憶装置14に記憶される。
【0020】電力ケーブル回線1、2が以上のシステムによって部分放電の有無を常時監視されているこの通電回線において、電力ケーブル回線2の箔電極4がケーブル回線2に重畳して外部雑音あるいは誘導信号を検出していると仮定する。
【0021】この結果、電力ケーブル回線2には警報出力装置16により警報が発せられ、電力ケーブル回線2は切り離し投入装置17によって通電回線から切り離されることになるが、この切り離しと電力ケーブル回線2への課電停止とが確認されたのち、同回線2は再び部分放電を測定され、この測定によって得られた検出信号あるいは情報は、前述したと同様の経緯をへて信号記憶装置14へと送られ、記憶される。
【0022】次に、信号記憶装置14からは、これら記憶された上記二つの検出信号あるいは情報が信号比較装置15に送られ、ここにおいて両信号あるいは情報が対比されるが、誘導信号が現れているだけで部分放電のない電力ケーブル回線2においては、課電の有無に関係なく誘導信号が検出されることになり、従って、通電回線から切り離す前と切り離した後のこれら両信号あるいは情報間には、差が現れないことになる。
【0023】その結果、この差のないことによって、電力ケーブル回線2において検出された信号は、外部雑音ないしは他回線からの誘導信号であると判定されることになり、警報出力装置16による警報は直ちに解除され、電力ケーブル回線2は装置17によって通電回線へと再投入される。
【0024】これにより電力ケーブル回線2に対する部分放電の調査は終了するが、それと同時に回線2を対象とした日常の部分放電の監視が再開される。
【0025】一方、これに対して電力ケーブル回線1を測定の対象とするときには、検出される部分放電信号が課電下での欠陥部Aからのものであることから、この回線2を通電回線から切り離し、課電を停止した場合には、部分放電は消滅することになる。
【0026】従って、通電系統からの切り離し前後における検出信号あるいは情報を比較することにより、切り離し前の信号あるいは情報が切り離し後に消滅あるいは変化することをもって、部分放電有り、すなわち、絶縁体が劣化しているものと判定することができる。
【0027】この結果、警報出力装置16は部分放電の本格発生を知らせる警報を発し、これによって電力ケーブル回線1における部分放電の発生が顕在化され、事後の処置が行われることになる。
【0028】なお、信号記憶装置14へいったん検出信号あるいは情報を記憶させたのち、この記憶された信号あるいは情報を信号比較装置15へと送り、ここにおいて二つの検出信号あるいは情報を対比判別する本実施形態における信号処理の方法は実際的であり、本発明を運用するうえにおいて有効な方法と云える。
【0029】本実施形態においては、部分放電自動判別装置13、信号記憶装置14、信号比較装置15、警報出力装置16をそれぞれ別個の装置として説明したが、多くの場合これらは、同一コンピュータ上に一括して構築されることになる。
【0030】図2と図3は、以上述べた電力ケーブル回線1と2に相当する回線をモデルの通電回線の中に作り出し、これを対象にしてケーブル回線切り離し前後における部分放電信号を検出し、これらを対比したものである。
【0031】すなわち、図2は、図1の電力ケーブル回線2に相当する回線の部分放電の検出信号と課電圧波形とを示したもので、(イ)は通電回線から切り離す前のもの、(ロ)は通電回線から切り離して課電を停止したときのものであるが、両検出信号間には差が認められない。
【0032】これは、この電力ケーブル回線において検出された部分放電信号が、誘導信号に基づくものであることから、課電の有無に関係なく、この信号が検出されることによる。
【0033】一方、図1の電力ケーブル回線1に相当するケーブル回線を対象とした図3の場合には、通電回線から切り離す前に測定された(イ)の検出信号と、通電回線から切り離され、課電を停止された状態で測定された(ロ)の信号との間には、明確な差が現れる。
【0034】これは、図1で云えば、欠陥部Aにおいて発生していた部分放電が、電力ケーブル回線1が通電回線から切り離され、課電を停止されることによって消滅するためであり、この消滅によって、電力ケーブル回線1における欠陥部Aの存在が確認されることになる。
【0035】部分放電の発生は、切り離し前の検出信号の情報が、切り離し後に変化することによっても確認される場合がある。
【0036】なお、以上の説明からも明らかであるように、本発明における外部雑音ないしは誘導信号に対する判定と、部分放電信号に対する判定とでは、判定のための立脚基盤を全く異質とするものであり、従って、精度的に限界がないことから、たとえば、電力ケーブル回線2における検出信号を部分放電と誤判定するようなことは起こり得ない。
【0037】このため、従来の判別方法では必ず必要とされていた部分放電検出時における回線停止決定のための難しい判断は不要となり、従って、管理上の負担軽減の面においても大きな効果をあげることができる。
【0038】
【発明の効果】以上のように、本発明による部分放電自動判別方法によれぱ、課電中の回線の電力ケーブルから部分放電信号が検出された場合に、この電力ケーブルを含む回線を課電中の回線から切り離し、切り離し後に検出された部分放電信号と切り離し前の部分放電信号とを比較して、両者の信号あるいは情報間に差が認められない場合には、これを外部雑音や誘導信号と判定し、一方、切り離し前に検出された信号あるいは情報が切り離し後の検出時に消滅ないしは変化したときには、これを部分放電と判定するものであることから、外部雑音ないしは誘導信号と部分放電とを明確に区別することができ、従って、検出信号に対して常に正しい判別を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力株式会社
【識別番号】000005120
【氏名又は名称】日立電線株式会社
【出願日】 平成9年(1997)11月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
【公開番号】 特開平11−160386
【公開日】 平成11年(1999)6月18日
【出願番号】 特願平9−328949