トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験




【発明の名称】 配電設備情報伝送装置
【発明者】 【氏名】丸山 元樹

【氏名】小川 晃一

【氏名】小島 孝男

【氏名】水本 州彦

【要約】 【課題】配電設備の故障を検出してセンタに送信するシステムを簡単な工事で実現する。

【解決手段】配電線1の状態を検出する検出部2を配電線1の部分に接続し、検出部2の検出結果を表示する表示器3を配電線1の近傍に設置するとともに、検出部2の検出結果を無線通信手段を介してセンタ5へ通知する。検出部2のセンサとして鉄心を二分割した貫通形変流器10を用い、配電線1に接続される開閉器6等の配電機器のブッシング口出し部8から引き出された絶縁ケーブル9に貫通形変流器10を貫装するとともに、そのブッシング口出し部8周囲のブッシングガード7により貫通形変流器10を支持・固定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 配電線部に接続されて配電線の状態を検出するセンサと、配電線部の近傍に設置されてセンサの検出結果を表示する表示器と、センサの検出結果を無線通信手段を介してセンタへ通知する手段と、を備えたことを特徴とする配電設備情報伝送装置。
【請求項2】 請求項1記載の配電設備情報伝送装置において、センサとして貫通形変流器を用い、配電線に接続される配電機器のブッシングの口出し部から引き出された配電線に貫通形変流器を貫装するとともに、その口出し部周囲に配設されているブッシングガードを介して貫通形変流器を支持・固定したことを特徴とする配電設備情報伝送装置。
【請求項3】 請求項2記載の配電設備情報伝送装置において、鉄心を二分割した貫通形変流器を用いたことを特徴する配電設備情報伝送装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配電設備に設置されたセンサが検出した故障情報や系統運用情報を、センタ側へ伝送する配電設備情報伝送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、配電自動化システムが敷設され、その運用が開始されつつある。このシステムは、配電設備において発生した地絡や短絡等の故障情報をセンタ側で収集し、それらの情報にもとづき、センタ側から配電線搬送により幹線開閉器や連系開閉器へ入り切り操作信号を伝送して他系統への切替え操作をすることにより、故障区間や停電時間の低減をはかり円滑な電力需給を行うものである。また、これ以外にも、負荷電流監視等の系統運用情報をセンタ側で収集し、それにもとづき効率的な電力需給を行うシステムも徐々に構築されて運用されるようになってきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この配電自動化システムあるいは電力情報通信システムは、現時点では、全ての配電設備に設置されておらず、設備投資や技術的観点から暫くの間は、多くの現状配電設備になんらかの手当てを施して対処せざるを得ないのが実情である。つまり、現状の配電設備では、地絡や短絡が発生すると、配電線に設置しておいた計器用変圧器や変流器等のセンサ及び継電器により、異常電圧や電流を検出し変電所の遮断器をトリップさせる。次に、一定時間経過後、変電所の遮断器を再閉路し、再度変電所の遮断器がトリップすれば、そこで、配電設備を複数の区間に区分し、区間毎に順次送電して故障区間を検出する。次いで、検出された故障区間を分離し正常な区間のみに送電を再開していた。
【0004】また、各電柱に表示器が配設されており、配電設備の故障が継続すると、故障信号を検出し、表示片の鎖錠を解き表示片を器外に突出させて保持し、故障区間であることを表示する。配電設備の保守員は、各電柱に配設された表示器の表示片有無を確認しながら、故障点を特定して故障復旧作業に取り掛かっている。このように、従来の配電設備では、迅速性が要求される故障復旧に対し、現場で作業員が順次表示器を目視確認しているため、故障の発生現場へ駆けつけるまでに時間がかかるという問題があった。
【0005】また、配電設備の故障の検出や、定常時の負荷電流監視等を行うには、センサとして計器用変圧器や変流器等を配電線に設置し、電圧や電流を検出している。これらセンサの設置ついては、配電設備に別途、センサ支持のための機材を設けておいて設置する場合と、予め開閉器等の配電機器に内蔵して設置する場合とがある。とくに、既設の配電設備にこれらセンサを設置しようとすると、工事停電を確保するのが困難であり、そのため活線作業を余儀なくされる場合がある。各種配電機器その他機材が集積している柱上でしかも活線である場合は、作業性が悪く、また安全性に欠ける等の問題があった。また、予め配電機器にセンサを内蔵して設置する場合は、機器自体が大型化する等の不都合があった。
【0006】そこで、本発明は、上記実情に鑑み、既設配電設備に対し、多額の設備投資を要することなく、故障情報や系統運用情報を検出しセンタ側へ伝送して、円滑で効率的な電力需給をはかるとともに、故障復旧の際、作業員の労力低減と迅速な対処を可能にした配電設備情報伝送装置を提供することを目的としたものである。また、併せて既設配電線設備へのセンサの取り付けを容易にして、設置工事を簡単にすることを目的とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで上記課題を解決するために、請求項1の発明は、配電線部に接続されて配電線の状態を検出するセンサと、配電線部の近傍に設置されてセンサの検出結果を表示する表示器と、センサの検出結果を無線通信手段を介してセンタへ通知する手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】請求項2の発明は、請求項1の発明において、センサとして貫通形変流器を用いて、配電線に接続される配電機器のブッシングの口出し部から引き出された配電線に貫通形変流器を貫装するとともに、その口出し部周囲に配設されているブッシングガードを介して貫通形変流器を支持・固定したことを特徴とする。
【0009】請求項3の発明は、請求項2の発明において、鉄心を二分割にした貫通形変流器を用いたことを特徴する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。図1は、請求項1の発明にかかる実施形態の構成を示す概略図であり、配電設備に故障が発生して故障情報をセンタ側に伝送する場合を示す。図において、1は配電線であり、配電線1上に各種センサ(図示せず)により構成された検出部2が設置されており、配電設備の故障時に配電線1に発生する異常信号(零相電圧、零相電流、サージ電圧、短絡電流等)を取り込み、検出表示器3へ送る。
【0011】検出表示器3は、取り込んだ異常信号が一定時間継続すると、表示片(図示せず)の鎖錠を解き表示片を器外に突出・保持して故障を表示するとともに、異常信号を検出情報伝送装置4へ送信する。なお、この検出表示器3の異常表示のための機械的構成および動作については、種々のものが公知であるため、具体的な説明は省略する。検出情報伝送装置4は、検出表示器3から入力された異常信号を無線通信手段を介して、センタ5へ送信する。ここで用いられる無線通信手段としては、携帯電話、PHS、衛星電話がある。また、センタ5側でも、ポケペル、パソコン、FAX、携帯電話、PHS、衛星電話等を用い、配電設備の敷設環境に応じて使い分ける。
【0012】このように、図1の実施形態では、現場の配電設備に設置された検出情報伝送装置4と、それを管理するセンタ5との間を無線通信手段を介して接続したことにより、新たな有線伝送路や付帯設備を設ける必要がなくなる。また、センタ側では、その管理対象とするの各配電設備の検出情報伝送装置4に、予めIDを付与して登録しておくことにより、故障発生時に速やかに故障箇所を特定して、作業員が直ちに故障現場に駆けつけ、その後の復旧処理をスムーズに行うことができる。また、検出情報伝送装置4にデータ記憶部(図示せず)やデータ送受信部(図示せず)を設けておけば、センタ5側からの操作で任意のタイミングに負荷電流等の系統運用情報を呼び出すことができる。
【0013】図2は、図1の検出情報伝送装置4の内部構成を示すブロック図である。装置4は、入力部41、論理部42、通信部43、アンテナ44、電源部45から構成されている。入力部41は、入力された異常信号をA/D変換するとともに適宜増減幅して論理部42に送る。論理部42は、図示しないフィルタ、信号レベル平均化回路、信号レベル補正回路、比較回路、演算回路、判定回路、時限カウンタ、電源駆動回路等からなり、入力された異常信号から、故障の種類、程度を識別し、必要な場合に通信部43の電源をオンして作動させ、その識別した結果を故障信号またはメッセージとしてアンテナ44を介しセンタ5側へ送信する。
【0014】次に、請求項2および請求項3の発明にかかる実施形態について説明する。図3はセンサの貫通形変流器の取り付け状態を示し、図(a)は配電線方向から見た外観図であり、図(b)は図(a)の右側面図である。図4は図3のセンサおよび表示器等の柱装状態を示す斜視図である。この実施形態では、図示されるように、配電設備の故障情報や系統運用情報を検出する検出部のセンサとして、鉄心を二分割構造とした貫通形の変流器10を用いたものであり、図示していないがそれぞれの鉄心に二次巻線を巻回し、取付け用ボスをインサートとして屋外用樹脂で一体被覆して構成されている。
【0015】図示されるように、配電線1に設置された開閉器6の両側ブッシングの口出し部8の周囲はフリー空間であり、その空間に、ブッシングガード7が開閉器6により支持されて配設されている。そこで、ブッシング口出し部8から引き出されている絶縁ケーブル9に、この変流器10を貫装するとともに、ブッシングガード7に、接続金具12を介してボルト締めすることにより、変流器10の上下端部を支持・固定する。
【0016】このとき、鉄心の二分割合わせ面は、ボルト締めされることで十分に締め付けられ、さらに、適宜シール処理が施される。また、変流器10からはリード線11が引き出されて、検出表示器3に接続される。この変流器10は、その変流比を任意に設定できるので、絶縁ケーブル9に流れる電流(変流器の一次電流)を、例えば、短絡電流に対して忠実に二次電流に変流して取り出したり、定常電流に対して二次側端子電圧に変換したりすることにより、変流器二次側に適宜信号として取り出すことができる。
【0017】このように、図3、図4に示した実施形態では、センサとしての変流器10を鉄心二分割構成としたことで、配電機器の外側の既設の配電線部分に、後から変流器を設置して検出部を構成することが可能となる。その結果、より小型化が要求されてスペースの余裕のない各配電機器については、外部に設置することでその内部にセンサを設置することが不要となる。また、このセンサの設置構成は、前述の配電自動化システムあるいは電力情報通信システム構築の際も、適用可能であり、それらの工事におけるセンサの取り付けを簡単にすることができる。
【0018】なお、この実施形態では、変流器10として鉄心二分割の変流器を用いたが、一体形の貫通形変流器でも使用可能であり、その場合は、開閉器の設置の作業工程のときに、絶縁ケーブル側から予め挿入して、ブッシングガード7に固定しておけばよい。この場合も、同様に、工事が比較的しやすくなる。さらに、検出部のセンサを配電設備機器の外付けとしたことで、配電機器自体が大型化されることがない等の利点が得られる。
【0019】また、本発明の構成から、配電自動化システムあるいは電力情報通信システムが構築される以前の状態では、現状の配電設備に対して、比較的軽微な設備投資で上述した実施形態の適用が可能となり、故障発生時にセンタ側へ事故情報を自動的に伝送するシステムの構築が可能となる。このようにして、事故情報の自動伝送システムが構築されると、配電設備の保守員が故障発生箇所を探索し対処することが迅速に行えて復旧作業の省力化の効果が得られる。
【0020】
【発明の効果】以上述べたように請求項1の発明によれば、センサにより検出された配電線の状態が無線通信手段を介してセンタへ送られるため、配電設備に異常が発生した場合に、センタでは直ちに発生箇所を特定して速やかな応答が可能になる。また、センサの検出結果をセンタに送信するために無線通信手段を用いたことで、有線の通信設備を設置する場合に比べて設備のコストが低減される。
【0021】請求項2の発明によれば、センサとして貫通形変流器を用いて、配電線に接続される配電機器のブッシングの口出し部から引き出された配電線に貫通形変流器を貫装するとともに、その口出し部周囲に配設されているブッシングガードを介して貫通形変流器を支持・固定したことで、センサの設置作業が容易となり、また作業時の安全性も向上する。
【0022】請求項3の発明によれば、センサに鉄心二分割の貫通形変流器を用いたことで、既設の配電設備へのセンサの設置作業が容易になる。
【出願人】 【識別番号】000220907
【氏名又は名称】東光電気株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】森田 雄一
【公開番号】 特開平11−160384
【公開日】 平成11年(1999)6月18日
【出願番号】 特願平9−329368