| 【発明の名称】 |
高調波特性測定方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】香田 勲
【氏名】塚本 政和
【氏名】西村 荘治
【氏名】夏田 育千
|
| 【要約】 |
【課題】電力系統の既存のノイズの影響を排除し、少ない注入容量で精度よく電力系統の高調波特性を測定することができるようにするとともに、その測定範囲の拡大を図ることができるようにする。
【解決手段】各中間高調波の電流それぞれの注入前後の電力系統1の各中間高調波の周波数の電圧,電流を、系統既存の各中間高調波のノイズの電圧,電流として計測し、各中間高調波の電流の注入に基づく電力系統1の各中間高調波の計測電圧,計測電流を、各中間高調波の前記ノイズの電圧,電流を減算してそれぞれ補正する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電力系統に、測定対象の高調波を挟む系統基本波周波数の非整数倍の周波数の各電流を、それぞれ中間高調波の電流として注入し、該注入に基づく電力系統の各中間高調波の計測電圧,計測電流により電力系統の各中間高調波についての等価回路定数を求め、該各中間高調波についての等価回路定数から電力系統の測定対象の高調波についての等価回路定数を補間演算して決定する高調波特性測定方法において、各中間高調波の電流それぞれの注入前後の電力系統の各中間高調波の周波数の電圧,電流を、系統既存の各中間高調波のノイズの電圧,電流として計測し、各中間高調波の電流の注入に基づく電力系統の各中間高調波の計測電圧,計測電流を、各中間高調波の前記ノイズの電圧,電流を減算してそれぞれ補正することを特徴とする高調波特性測定方法。 【請求項2】 電力系統に、測定対象の高調波を挟む系統基本波周波数の非整数倍の周波数の各電流を、それぞれ中間高調波の電流として注入し、該注入に基づく電力系統の各中間高調波の計測電圧,計測電流により電力系統の各中間高調波についての等価回路定数を求め、該各中間高調波についての等価回路定数から電力系統の測定対象の高調波についての等価回路定数を補間演算して決定する高調波特性測定方法において、各中間高調波の電流それぞれの注入前後の電力系統の各中間高調波の周波数の電圧,電流を系統既存の各中間高調波のノイズの電圧,電流として複数回計測し、各中間高調波の前記ノイズの電圧,電流それぞれの複数回の計測結果の平均を求め、各中間高調波の電流の注入に基づく電力系統の各中間高調波の計測電圧,計測電流を、各中間高調波の前記ノイズの電流,電圧の平均を減算してそれぞれ補正することを特徴とする高調波特性測定方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電力系統に系統基本波周波数の非整数倍の周波数の電流を注入し、その計測結果に基づいて電力系統の高調波等価回路を求め、その高調波特性を測定する高調波特性測定方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、電力供給等の面から、電力系統の時々刻々の高調波特性を測定して把握することが重要である。 【0003】そして、電力系統の負荷側及び上流側の高調波等価回路は、例えばノートンの定理で表現されたアドミタンスと電流源との並列回路とみなすことができ、電気学会論文誌B,101巻8号,p.451−458,(昭和56−8)には、配電線の代表的な高調波である第5調波についての高調波特性につき、系統の基本波の電圧,電流を計測し、その結果から第5調波についての高調波等価回路のアドミタンス,電流源の大きさ、位相等を算出して推定し、測定することが記載されている。 【0004】しかし、前記論文誌に記載の高調波測定方法の場合、測定対象の高調波についての等価回路のアドミタンスや電流源を実測して求めるのでなく、系統の基本波電圧・電流の計測結果から高調波アドミタンス、高調波電流源の大きさ、位相等を推定して高調波等価回路を決定するため、この等価回路のアドミタンス等を精度よく求めることができない。 【0005】そこで、本出願人は特願平8−310192号の出願により、電力系統に測定対象の高調波の上,下の系統基本波周波数fs の非整数倍の周波数の電流を中間高調波の電流としてそれぞれ注入し、注入点の注入周波数の電圧及び注入点の負荷側,上流側に流れる注入周波数の電流の実測結果に基づき、系統の注入点の負荷側,上流側それぞれにつき、注入周波数の中間高調波についての高調波等価回路のアドミタンスを求め、このアドミタンスを用いた補間処理前により測定対象の高調波についての等価回路のアドミタンス及び電流源を決定してその高調波等価回路を求めることを既に発明している。 【0006】この場合、中間高調波の電流が系統に本来存在しない周波数の電流であり、この注入周波数についての高調波等価回路のアドミタンスが電圧,電流の実測により精度よく求まるため、この結果を用いて測定対象の高調波についての等価回路のアドミタンス等を精度よく求めてその高調波等価回路を把握し得る。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】前記既出願の測定方法の場合、系統に中間高調波の周波数成分が存在していれば、この周波数成分がノイズとなって測定誤差の要因となる。 【0008】したがって、従来は中間高調波の注入電流を比較的大きい適当なレベルに設定して電力系統に注入している。 【0009】そのため、中間高調波の注入に大容量,大型の電流注入装置が必要になり、少ない注入容量で電力系統の高調波特性を測定できない問題点がある。 【0010】また、中間高調波の注入点の系統(注入系統)と計測点の系統(計測系統)とを異ならせ、注入系統の上流(上位)の系統又はこの上位の系統の下流の注入系統以外の他の分岐系統を計測系統にとり、上流の系統や他の分岐系統での高調波特性を測定し、測定範囲を注入系統外に拡大することが考えられる。 【0011】しかし、中間高調波の注入点と計測点とが離れる程注入電流の計測レベルは低下する。 【0012】また、とくに上流の系統になる程、系統間の変電所トランス等により注入電流の計測レベルが一層低下する。 【0013】そのため、上流の系統や他の分岐系統に計測点をとると、ノイズの影響が極めて大きくなって計測誤差が大きくなり、実際には測定範囲を拡大することができない。 【0014】本発明は、系統既存のノイズの影響を排除し、少ない注入容量で精度よく電力系統の高調波特性を測定し得るようにするとともに、その測定範囲の拡大が図れるようにすることを課題とする。 【0015】 【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するために、本発明の高調波特性測定方法においては、請求項1の場合、各中間高調波の電流それぞれの注入前後の電力系統の各中間高調波の周波数の電圧,電流を系統既存の各中間高調波のノイズの電圧,電流として計測し、各中間高調波の電流の注入に基づく電力系統の各中間高調波の計測電圧,計測電流を、各中間高調波の前記ノイズの電圧,電流を減算してそれぞれ補正する。 【0016】したがって、各中間高調波の電流を注入して計測された電力系統の各中間高調波の電圧,電流から、それぞれの周波数の系統既存のノイズの電圧,電流が減算され、それらの影響が除去される。 【0017】そのため、各中間高調波の周波数の系統既存のノイズの大きさによらず、小容量の電流注入で電力系統の各中間高調波の注入に基づく電圧,電流を精度よく計測することができ、その高調波特性を少ない注入容量で精度よく測定することができる。 【0018】しかも、計測系統を注入系統の上流の系統等の注入系統と異なる系統にしたときは、計測系統の各中間高調波の周波数の既存のノイズの電圧,電流を計測することにより、電流注入に基づく計測系統の各中間高調波の電圧,電流を精度よく計測してその高調波特性を測定することができ、測定範囲を拡大することができる。 【0019】また、請求項2の場合は、各中間高調波の電流それぞれの注入前後の電力系統の各中間高調波の周波数の電圧,電流を、系統既存の各中間高調波のノイズの電圧,電流として複数回計測し、各中間高調波の前記ノイズの電圧,電流それぞれの複数回の計測結果の平均を求め、各中間高調子波の電流の注入に基づく電力系統の各中間高調波の計測電圧,計測電流を、各中間高調波の前記ノイズの電流,電圧の平均を減算してそれぞれ補正する。 【0020】したがって、この場合は系統既存の各中間高調波の周波数のノイズの電圧,電流がそれぞれ複数回の計測の平均により過渡変動等を防止して一層正確に測定され、小容量の電流注入で電力系統の各中間高調波の注入に基づく電圧,電流を一層精度よく測定することができ、電力系統の高調波特性を少ない注入容量で極めて精度よく測定できるとともに、測定範囲を一層拡大することができる。 【0021】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態につき、図1ないし図4を参照して説明する。(1形態)まず、本発明の実施の1形態につき、図1ないし図3を参照して説明する。図1は測定対象の電力系統1の単線系統図を示し、その中間高調波の電流の注入点aに高調波測定装置2のインバータ等で形成された電流注入装置3が接続される。 【0022】そして、測定対象の高調波を周波数n・fs の第n調波とし、この高調波を挟む系統基本波周波数fs の非整数倍の中間高調波を2周波数f1 ,f2 (f1 <n・fs <f2 )の中間高調波とすると、電流注入装置3は、例えば、周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流を順次に又は同時に発生して注入点aに注入することを30分毎にくり返す。この注入点aの注入電流は計器用の変流器4により計測される。 【0023】また、電力系統1の電圧は計器用の変圧器5により計測され、電力系統1の注入点aの負荷側の電流は計器用の変流器6により計測される。 【0024】そして、変流器4,6及び変圧器5のアナログ計測出力は高調波測定装置2のA/D変換器7によりデジタル信号に変換された後、信号処理装置8に供給される。 【0025】この信号処理装置8は変流器4,6及び変圧器5の計測出力のDFT,FFT等のデジタル周波数解析を実行し、電力系統1の各周波数の電圧,電流を検出する。 【0026】さらに、信号処理装置8の解析結果の電圧,電流のベクトル値が演算処理装置9に供給され、この処理装置9は後述の系統既存のノイズのベクトル減算及び高調波特性の演算を実行し、例えば注入点aの下流側(負荷側)の測定対象の高調波についての等価回路(高調波等価回路)10を求めて決定する。 【0027】ところで、系統基本波周波数fs の非整数倍の周波数のこの種中間高調波は、本来、電力系統1に存在しないものであり、通常、系統既存の中間高調波のノイズの電圧,電流は微小であり、電流注入装置3の電流注入中とその前,後とでは変化しないものとみなすことができる。 【0028】そこで、周波数f1 ,f2 の両中間高調波の電流それぞれの注入前後に、電力系統1の両中間高調波それぞれの周波数の電圧,電流を、系統既存のそれぞれの周波数源のノイズの電圧,電流として計測する。 【0029】そして、両中間高調波の電流が注入される一連の注入期間の前,後は、両中間高調波のいずれについても注入前後であるため、この実施の形態にあっては、高調波計測装置2の図2の処理手順のフローチャートに示すように、前記の一連の注入期間の前に注入前計測のステップS1 を設ける。 【0030】このステップS1 においては、電流注入装置3が注入を開始する直前の信号処理装置8のデジタル周波数解析により、変圧器5,変流器6の計測出力に含まれた周波数f1 ,f2 の成分を、それぞれの周波数の系統既存のノイズの電圧,電流として計測し、計測した周波数f1 ,f2 のノイズの電圧,電流のベクトル値を、例えば演算処理装置9の後段の記憶装置11に記憶する。 【0031】つぎに、図2の各中間高調波の注入・計測のステップS2 に移り、このステップS2 により、電流注入装置3から注入点aに周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流を順に注入し、そのときの変流器4,6及び変圧器5の計測出力を信号処理装置8によりデジタル周波数解析し、注入に基づく電力系統1の両中間高調波の電圧及び注入点aの負荷側の両中間高調波の電流を検出する。 【0032】このとき、変流器4,6の計測出力の差の両中間高調波の電流を求めれば、注入点aから上流側に分流した両中間高調波の電流も同時に検出できる。 【0033】そして、一連の注入期間の終了後、信号処理装置8の検出結果のベクトル値が演算処理装置9に供給され、この演算処理装置9はステップS3 のノイズ除去の減算により、記憶部11に保持されていた最新の系統既存の周波数f1 ,f2 のノイズの電圧,電流と、注入に基づいて計測された電力系統1の周波数f1 ,f2 の電圧,電流とをベクトル減算(複素演算)し、図3のベクトル図に示すように周波数f1 ,f2 の高調波につき、注入に基づくノイズを含んだ電圧又は電流の検出ベクトルaから系統既存のノイズの電圧又は電流のベクトルbを減算し、系統既存のノイズの影響を排除して補正した電圧,電流のベクトルcを求め、このベクトルcの電圧,電流を注入に基づく計測電圧,計測電流とする。 【0034】さらに、この周波数f1 ,f2 のノイズを除去した計測電圧,計測電流に基づき、演算処理装置9は図2のステップS4 の高調波特性の演算を実行し、測定対象の高調波についての等価回路10の定数(等価回路定数),すなわちアドミタンスY(n) ,電流源IG(n)を求めてその高調波特性を決定する。 【0035】すなわち、ステップS3 で得られたノイズ除去後の周波数f1 ,f2 の計測電圧をV1 ,V2 ,計測電流をI1 ,I2 とし、それぞれ電圧Vi ,電流Ii (i=1,2)で表わすと、それらの中間高調波が電力系統1に本来存在しないため、注入点aからみた負荷側の等価回路はアドミタンスY(n) に相当する周波数f1 ,f2 についてのアドミタンスYi (=Y1 ,Y2 )のみになり、このアドミタンスYi はつぎの数1の式の演算から求まる。 【0036】 【数1】Yi =Ii /Vi【0037】なお、注入点aの上流側についても、周波数f1 ,f2 の等価回路はアドミタンスのみとなり、数1の式と同様の式の演算から求まる。 【0038】そして、周波数f1 ,f2 の中間高調波についてのアドミタンスY1 ,Y2 が求まれば、測定対象の高調波についてのアドミタンスY(n) は、最も簡単にはYn ={(Y1 +Y2 )/2}の補間演算から求まる。 【0039】つぎに、信号処理装置8のデジタル周波数解析で得られた電力系統1の測定対象の高調波電圧をV(n) とし、注入点aの負荷側に流れる測定対象の高調波の電流をI(n) とすると、つぎの数2の式から電流源IG(n)が求まる。 【0040】 【数2】IG(n)=I(n) −V(n) ・Y(n)【0041】そして、アドミタンスYn 及び電流源I(n) が求まれば、等価回路10が決定されて注入点aの負荷側の測定対象の高調波についての特性(高調波特性)が求められて測定される。 【0042】このとき、周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流の注入に基づくそれぞれの周波数の電圧,電流の計測結果から、直前に計測された系統既存のそれぞれの周波数成分を除去し、注入した電流のみにもとづく計測結果を用いて高調波特性を求めて測定するため、注入量が系統既存の成分より少なくても、その影響を受けることがなく、電流注入装置3を小容量,小型にし、少ない注入容量で精度よく高調波特性を求めて測定することができる。 【0043】なお、測定結果は記憶装置11に記憶されるとともに、CRT等の表示装置12に画面表示される。 【0044】また、注入点aの上流側についても、同様の手法で測定対象の高調波についてのアドミタンス,電流源を求めて高調波特性を測定することができる。 【0045】ところで、系統既存の両中間高調波の周波数成分の計測は、両中間高調波の電流それぞれの注入前後,すなわち両中間高調波の電流それぞれが注入されていないときに行えばよい。 【0046】したがって、図2のステップS2 の両中間高調波の電流の一連の注入の前にそれらを計測する代わりに、図2の破線の注入後計測のステップS5 によりステップS2 の前記の一連の注入が終了してから計測してもよい。 【0047】また、本発明の各中間高調波の電流それぞれの注入前後とは、各中間高調波の電流につき、それぞれが注入されていないときである。 【0048】そして、周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流が順次に注入される場合、周波数f1 の中間高調波の電流については、ステップS2 の前,後のステップS1 ,S5 の期間だけでなく、ステップS2 の一連の注入期間中の周波数f1 又はf2の注入を終了してから周波数f2 又はf1 の注入を開始するまでの注入が停止している周波数切換期間や周波数f2 の電流の注入期間も注入前後に含まれる。 【0049】同様に、周波数f2 の中間高調波の電流の注入前後には、ステップS1 ,S5の期間だけでなく、ステップS2 の前記周波数切換期間や周波数f1 の電流の注入期間が含まれる。 【0050】そのため、場合によってはステップS1 又はS5 の計測を省き、ステップS2の一連の注入・計測中に、信号処理装置8の周波数解析に基づき、周波数f1 の中間高調波の電流を注入しているときの周波数f2 の計測結果,周波数f2 の中間高調波の電流を注入しているときの周波数f1 の計測結果を、それぞれ系統既存の周波数f2 ,f1 のノイズの電圧,電流として検出し、これらを注入・計測と同時に計測するようにしてもよい。 【0051】(他の形態)つぎに、本発明の実施の他の形態について、図4を参照して説明する。図4は図1の高調波計測装置2の本形態における処理手順のフローチャートを示す。 【0052】そして、この実施の形態にあっては、系統既存のノイズを精度よく計測するため、例えば、図2のステップS1 ,S5 に相当する図4の注入前計測,注入後計測のステップQ1 ,Q3 において、図1の信号処理装置8のデジタル周波数解析の結果から周波数f1 ,f2 の中間高調波の周波数成分を検出し、系統既存の両中間高調波のノイズの電圧,電流を複数回計測して記憶装置11に保持する。 【0053】そして、図2のステップS2 に相当する図4の中間高調波の注入・計測のステップQ2 により、周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流を電流注入装置3から注入点aに順次に又は同時に注入し、信号処理装置8のデジタル周波数解析の結果から注入に基づく電力系統1の両中間高調波の電圧,電流を計測して記憶装置11に保持する。 【0054】さらに、ステップQ4 の平均値の算出により、周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流の一連の注入が終了する毎に、その直前,直後のステップQ1 ,Q3 の計測に基づく、両中間高調波のノイズの電圧,電流の複数回の計測結果それぞれのベクトル平均の演算を施し、系統既存の両中間高調波のノイズの電圧,電流を平均化してそれぞれの平均値のベクトルを求める。 【0055】これらの平均値のベクトルにより、電力系統1の両中間高調波のノイズの電圧,電流は、過渡的(瞬時的)な変動が平均化され、それぞれ1回だけ計測する場合より精度よく求まる。 【0056】そして、ステップQ5 の図2のステップS3 と同様のベクトル減算の処理により、ステップQ2 の注入・計測で得られた両中間高調波の電圧,電流の計測結果のベクトルから、ステップQ4 で求めたそれぞれの系統既存のノイズの平均値のベクトルを減算して系統既存のノイズの影響を排除し、両中間高調波の注入に基づく計測電圧,計測電流を得る。 【0057】さらに、これらのノイズを除去した計測電圧,計測電流に基づき、ステップQ6 の高調波特性の演算により、図2のステップS4 と同様にして、例えば注入点aの負荷側の測定対象の高調波についての図1のアドミタンスY(n) 等の等価回路定数を決定し、同図の等価回路10を求める。 【0058】この場合、平均化された系統既存の両中間高調波のノイズの電圧,電流に基づき、アドミタンスY(n) 等が前記ノイズの過渡変動等の影響を受けることなく著しく精度よく求まり、小容量の電流注入で電力系統1の高調波特性を極めて精度よく測定できる。 【0059】ところで、系統既存の両中間高調波のノイズの計測回数をさらに多くして平均化の精度を向上する場合は、ステップQ1 ,Q3 それぞれの計測回数を複数回にしたり、ステップQ1 ,Q3 で計測するだけでなく、ステップQ2 の周波数f1又はf2 の電流の注入終了から周波数f1 又はf2 の電流の注入開始までの周波数切換期間やノイズの周波数と異なる周波数の電流注入期間にも計測すればよい。 【0060】また、図4のステップQ1 ,Q3 を省き、ステップQ2 において、周波数f1のノイズの電圧,電流については、前記の周波数切換期間及び周波数f2 の電流の注入・計測中にくり返し計測し、周波数f2 のノイズの電圧,電流については前記の周波数切換期間及び周波数f1 の電流の注入・計測中にくり返し計測してもよく、この場合、両中間高調波の電流の注入・計測と系統既存のそれぞれの電圧,電流の計測とが同時に行え、計測時間が短くなり、しかも、計測時間のずれによる誤差を生じない利点がある。 【0061】そして、前記両実施の形態においては中間高調波の電流を2周波数f1 ,f2の電流として説明したが、中間高調波の電流は、測定対象の高調波を挟む系統基本波周波数fs の非整数倍の複数の周波数の電流であればよく、2周波数f1 ,f2 の電流に限られるものではない。 【0062】また、各中間高調波の電流は、例えば図2のステップS2 又は図4のステップQ2 において、順次に注入する代わりに、全部又は一部ずつを同時に注入してもよい。 【0063】さらに、各中間高調波の電流の注入周波数の順序や組合わせは任意に設定すればよい。 【0064】つぎに、例えば変圧器5,変流器6を注入点aが設けられた系統(注入系統)の上位の系統又はこの上位の系統から分枝した同位の他の系統等の注入系統以外の系統に設け、中間高調波の注入系統と計測系統とを異ならせて計測してもよい。 【0065】この場合、例えば図2のステップS2 又は図4のステップQ2 のノイズ除去により、注入・計測された各中間高調波の電圧,電流から計測系統の既存の各中間高調波の成分が除去されるため、例えば注入電流が系統間の変電所トランスで低減されて上位の計測系統に注入されても、計測結果がノイズの影響を受けることがなく、精度よく高調波特性を測定することができ、測定範囲を拡大することができる。 【0066】そして、例えば注入点aの負荷側及び上流側の高調波特性回路をインピーダンスと電圧源との直列回路としてその高調波特性を測定することもでき、この場合は、前記両実施の形態のアドミタンスをインピーダンスに,電流源を電圧源に置換えて適用すればよい。 【0067】 【発明の効果】本発明は、以下に記載する効果を奏する。まず、請求項1の場合は、各中間高調波の電流それぞれの注入前後の電力系統1の各中間高調波の周波数の電流を系統既存の各中間高調波のノイズの電圧,電流として計測し、各中間高調波の電流を注入して計測された電力系統1の各中間高調波の電圧,電流から、それぞれの周波数の系統既存のノイズの電圧,電流を減算し、それらの影響を除去したため、電力系統1の各中間高調波の周波数の既存のノイズの大きさによらず、小容量の電流注入で電力系統の各中間高調波の注入に基づく電圧,電流を精度よく計測することができ、その高調波特性を少ない注入容量で精度よく測定することができる。 【0068】しかも、計測系統を注入系統の上流の系統等の注入方法と異なる系統にしたときは、計測系統の各中間高調波の周波数の既存のノイズの電圧,電流を計測することにより、電流注入に基づく計測系統の各中間高調波の電圧,電流を精度よく計測してその高調波特性を測定することができ、測定範囲を拡大することができる。 【0069】つぎに、請求項2の場合は、系統既存の各中間高調波の周波数のノイズの電圧,電流を、それぞれ複数回の計測の平均により過渡変動等を防止して一層正確に測定することができ、小容量の電流注入で電力系統1の各中間高調波の注入に基づく電圧,電流を一層精度よく測定することができ、電力系統の高調波特性を少ない注入容量で極めて精度よく測定することができるとともに、測定範囲を一層拡大することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000213297 【氏名又は名称】中部電力株式会社 【識別番号】000003942 【氏名又は名称】日新電機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)11月25日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】藤田 龍太郎
|
| 【公開番号】 |
特開平11−160372 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)6月18日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−340676 |
|