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【発明の名称】 電流検出回路
【発明者】 【氏名】花房 一義

【氏名】宍倉 良一

【要約】 【課題】検出抵抗を流れる被検出電流と検出信号電流との関係をリニアにして、検出抵抗のばらつきに起因する検出信号電流のばらつきを校正可能とし、あわせて電流検出精度の向上を図る。

【解決手段】第1及び第2のトランジスタのベースQ1,Q2を共通に接続したカレントミラー回路の前記第2のトランジスタQ2のエミッタを検出抵抗R1の一端に接続しかつコレクタを定電流源1又は抵抗に接続し、前記第1のトランジスタQ1のエミッタは直列抵抗R2を介して前記検出抵抗R1の他端に接続し、前記検出抵抗R1を電流検出線路に直列に挿入するとともに、前記検出抵抗R1に流れる被検出電流Iinを前記第1のトランジスタQ1のコレクタ側にて検出する構成である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1及び第2のトランジスタのベースを共通に接続したカレントミラー回路の前記第2のトランジスタのエミッタを検出抵抗の一端に接続しかつコレクタを定電流源又は抵抗に接続し、前記第1のトランジスタのエミッタは直列抵抗を介して前記検出抵抗の他端に接続し、前記検出抵抗を電流検出線路に直列に挿入するとともに、前記検出抵抗に流れる被検出電流を前記第1のトランジスタのコレクタ側にて検出することを特徴とする電流検出回路。
【請求項2】 前記第1のトランジスタのコレクタ側に前記第1のトランジスタと同極性の第3のトランジスタを直列に挿入し、該第3のトランジスタのベースを前記第2のトランジスタのコレクタに接続してなる請求項1記載の電流検出回路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、検出抵抗を電流検出線路に直列に挿入して電流検出を行う電流検出回路に係り、とくにDC−DCコンバータの過電流保護回路等に用いることのできる電流検出回路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、レギュレータの保護回路として、カレントミラー回路を応用した電流検出回路が特開昭64−67613号で提案されている。図9はそこで開示されている電流検出回路であり、トランジスタQ1,Q2のベースを共通に接続したカレントミラー回路のQ1,Q2のエミッタを検出抵抗R1の両端にそれぞれ接続しかつQ2のコレクタを定電流源1に接続して、前記検出抵抗R1を電流検出線路に直列に挿入している。
【0003】図9において、電流検出線路に流れる被検出電流をIin、定電流源1の電流をI1、トランジスタQ1のコレクタより流出する検出信号電流(出力電流)をIoutとしたとき、IinとIoutとの関係は以下の各式により導出される。
【0004】Iout≒IE(Q1) (但し、IE(Q1):Q1のエミッタ電流) とすると、 Iout=IS1exp{(qVBE(Q1)/kT)−1} …(1)(但し、IS1:Q1の飽和電流、VBE(Q1):Q1のベース、エミッタ間電圧q:電子の電荷量、k:ボルツマン定数、T:絶対温度)
1≒IE(Q2) (但し、IE(Q2):Q2のエミッタ電流) とすると、1=IS2exp{(qVBE(Q2)/kT)−1} …(2)(但し、IS2:Q2の飽和電流、VBE(Q2):Q2のベーエミッタ間電圧)
BE(Q2)=(kT/q){ln(I1/IS2)+1} …(3)また、VBE(Q1)は次式でも表せる。
BE(Q1)=VBE(Q2)+IinR1 …(4)(4)式に(3)式を代入すると、BE(Q1)=(kT/q){ln(I1/IS2)+1}+IinR1 …(5)モノリシックの対のトランジスタをQ1,Q2に使用すると、S1≒IS2 …(6)といえる。(5)式及び(6)式を(1)式に代入すると、 Iout=IS1exp{ln(I1/IS2)+1+(q/kT)IinR1−1}
=(IS1/IS2)I1exp{(q/kT)IinR1}
=I1exp{(q/kT)R1Iin} …(7)(7)式より検出信号電流Ioutは被検出電流Iinに対して指数関数的に変化することになる。
【0005】図10は図9の如き従来回路における被検出電流Iinと検出信号電流(出力電流)Ioutとの関係を表したグラフであり、検出抵抗R1一定の条件下で両者は指数関数的な関係となっている。ここでは、検出抵抗R1が標準値R1(typ)から最大値R1(max)〜最小値R1(min)の範囲でばらつくものとして、標準値R1(typ)、最大値R1(max)、最小値R1(min)のそれぞれの場合について被検出電流Iinと検出信号電流Ioutとの関係を示す曲線を描いている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図10からわかるように、図9の従来回路では、ある被検出電流Iinに対して検出抵抗R1が僅かにばらついても検出信号電流Ioutは大きく変化することになり、それを校正することが困難であり(とくにR1の抵抗値に変更を加えることなく校正するのが難しい)、電流検出精度を向上させることが難しい問題があった。
【0007】本発明は、上記の点に鑑み、検出抵抗を流れる被検出電流と検出信号電流との関係をリニアにして、検出抵抗のばらつきに起因する検出信号電流のばらつきを校正可能とし、あわせて電流検出精度の向上を図った電流検出回路を提供することを目的とする。
【0008】本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の電流検出回路は、第1及び第2のトランジスタのベースを共通に接続したカレントミラー回路の前記第2のトランジスタのエミッタを検出抵抗の一端に接続しかつコレクタを定電流源に接続し、前記第1のトランジスタのエミッタは直列抵抗を介して前記検出抵抗の他端に接続し、前記検出抵抗を電流検出線路に直列に挿入するとともに、前記検出抵抗に流れる被検出電流を前記第1のトランジスタのコレクタ側にて検出する構成としている。
【0010】前記電流検出回路において、前記第1のトランジスタのコレクタ側に前記第1のトランジスタと同極性の第3のトランジスタを直列に挿入し、該第3のトランジスタのベースを前記第2のトランジスタのコレクタに接続した構成としてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る電流検出回路の実施の形態を図面に従って説明する。
【0012】図1は本発明に係る電流検出回路の第1の実施の形態であって、基本的な回路構成を示す。この電流検出回路は、第1及び第2のPNPトランジスタQ1,Q2のベースを共通に接続したカレントミラー回路の前記第2のトランジスタQ2のエミッタを検出抵抗R1の一端(電流流出端)に接続しかつコレクタを定電流源1(電流I1)に接続し、前記第1のトランジスタQ1のエミッタは直列抵抗R2を介して検出抵抗R1の他端(電流流入端)に接続し、検出抵抗R1を電流検出線路に直列に挿入している。そして、前記検出抵抗R1に流れる被検出電流Iinを、第1のトランジスタQ1のコレクタ側の検出信号電流Ioutから検出する構成となっている。
【0013】なお、モノリシックの対のトランジスタをQ1,Q2に使用することが望ましい。また、電流検出線路の端子Pは、グランド線路のグランド端子Gに対して高い電位となっていることが前提であり、Q1コレクタに接続した出力端子2とグランド端子G間の抵抗R3は、検出信号電流Ioutに比例した検出信号電圧を取り出したい場合に接続する。
【0014】前記第1のトランジスタQ1のエミッタを直列抵抗R2を介して検出抵抗R1に接続した図1の回路の場合に、検出信号電流Ioutが被検出電流Iinに対しリニアに変化する理由を以下の各式により示す。
【0015】前記(4)式が直列抵抗R2を挿入したことにより次式となる。
BE(Q1)+IoutR2=VBE(Q2)+IinR1 …(8)また(1)式よりVBE(Q1)は、BE(Q1)=(kT/q){ln(Iout/IS1)+1} …(9)(3)式及び(9)式を(8)式に代入すると、 Iin=(kT/qR1)ln(Iout/I1)+(R2/R1)Iout …(10)(10)式を検出信号電流Ioutで微分すると、 (dIin/dIout)=(R2/R1)+(kT/qR1logeIout) …(11)(11)式でR2>>(kT/qlogeIout)≒1.987×10-4(T/Iout)ならば、検出信号電流Ioutは被検出電流Iinに対してリニアに変化することがわかり、このようなR2の値に設定することは十分可能である。
【0016】この第1の実施の形態によれば、次の通りの効果を得ることができる。
【0017】(1) 検出信号電流Ioutは被検出電流Iinに対してリニアに変化する(実質的に比例関係となる)。このため、検出抵抗R1にばらつきがある場合でも、直列抵抗R2又は抵抗R3の抵抗値を調整することで校正可能である。
【0018】(2) 検出抵抗R1のばらつきに起因する検出信号電流Ioutの変動は図9の従来回路に比べて少なくでき、電流検出精度の向上を図ることができる。
【0019】図2は本発明の第2の実施の形態を示す。この場合、第2のトランジスタQ2のコレクタ側の定電流源を抵抗R4,R5及び定電圧ダイオードZDで実現している。また、第1のトランジスタQ1のコレクタとグランド端子G間に検出信号電流Ioutを流す抵抗R31,R32の直列回路が接続され、抵抗R31,R32の接続点が出力端子3となっている。その他の構成は前述した第1の実施の形態と同様である。
【0020】図2において、電流検出線路の端子Pとグランド線路のグランド端子G間に入力電圧Vinを供給し、検出抵抗R1を通して被検出電流Iinが流れるように負荷Ldを接続して、被検出電流Iinと出力端子3の検出信号電圧Vsenseとの関係を求めたところ、図3のグラフのようになった。但し、図3中、線(イ)は入力電圧Vin=20V、線(ロ)は入力電圧Vin=30V、線(ハ)は入力電圧Vin=40Vの場合であり、回路定数は、R1:0.39Ω、R2:39Ω、R31:1kΩ、R32:470Ω、R4:4.7kΩ、,R5:10kΩ、ZDのツェナー電圧:5Vである。これらより、入力電圧Vinが一定の条件下で、被検出電流Iinと検出信号電圧Vsenseとの関係がリニアであることが明らかとなった。
【0021】なお、入力電圧Vinが変化するのに伴って検出信号電圧Vsenseが変動するのは、トランジスタQ1のVCEが変化することに起因するアーリー効果と呼ばれる現象であり、入力電圧Vinが変化する条件下で使用する場合には注意を要する。
【0022】図4は本発明の第3の実施の形態であって、上記のアーリー効果を解消するためにウィルソンのカレントミラー回路(ウィルソンミラー回路)を応用した回路構成を示す。この図において、第1のトランジスタQ1のコレクタ側に第1のトランジスタQ1と同極性の第3のトランジスタQ3を直列に挿入し、トランジスタQ1,Q2のベースを第3のトランジスタQ3のエミッタに接続し、第3のトランジスタQ3のベースを第2のトランジスタQ2のコレクタに接続し、Q3のコレクタを出力端子2に接続している。なお、その他の構成は前述した第1の実施の形態と同様である。
【0023】この第3の実施の形態によれば、アーリー効果を解消して、入力電圧の変化伴う検出信号電流Ioutの変動を除去でき、電流検出精度のいっそうの改善を図ることができる。
【0024】図5は本発明の第4の実施の形態であって、上記のアーリー効果を解消するためにウィルソンのカレントミラー回路(ウィルソンミラー回路)を応用した場合の具体的な回路構成を示す。この場合、第2のトランジスタQ2のコレクタ側の定電流源を抵抗R4,R5及び定電圧ダイオードZDで実現している。また、第3のトランジスタQ3のコレクタとグランド端子G間に検出信号電流Ioutを流す抵抗R31,R32の直列回路が接続され、抵抗R31,R32の接続点が出力端子3となっている。その他の構成は前述した第3の実施の形態と同様である。
【0025】図5において、電流検出線路の端子Pとグランド線路のグランド端子G間に入力電圧Vinを供給し、検出抵抗R1を通して被検出電流Iinが流れるように負荷Ldを接続して、被検出電流Iinと出力端子3の検出信号電圧Vsenseとの関係を求めたところ、図6のグラフのようになった。但し、図6中、線(ニ)は入力電圧Vin=20V、線(ホ)は入力電圧Vin=30V,40Vの場合であり、線(ニ)と線(ホ)とは大部分が重なっていて入力電圧Vinが変化しても検出信号電圧Vsenseは変動していないことがわかる。なお、回路定数は、R1:0.39Ω、R2:39Ω、R31:1kΩ、R32:470Ω、R4:4.7kΩ、,R5:10kΩ、ZDのツェナー電圧:5Vとした(図2と同じ)。これらより、入力電圧にかかわりなく、被検出電流Iinと検出信号電圧Vsenseとの関係がリニアであることが明らかとなった。
【0026】図7は本発明の第5の実施の形態であって、検出信号電流Ioutの流れる可変抵抗VR1の両端に生じる検出信号電圧と、基準電圧Vrefとを比較する比較器4を設けている。その他の構成は前述した第1の実施の形態と同様である。
【0027】この第5の実施の形態では、検出抵抗R1を流れる被検出電流Iinが所定値を越えたとき、比較器4の出力端子5にハイレベル出力が得られるので、過電流検出等に応用できる。
【0028】図8は本発明の第6の実施の形態であって、第1及び第2のトランジスタQ1,Q2としてNPNトランジスタを用いている。従って、第1〜第5の実施の形態とは電圧の正負が逆となり、グランド端子Gに接続されたグランド線路を電流検出線路として、ここに検出抵抗R1を挿入することができる。そして、検出抵抗R1に流れる被検出電流Iinを、第1のトランジスタQ1のコレクタ側の検出信号電流Ioutから検出する。つまり、正側の端子Pと第1のトランジスタQ1のコレクタ間に接続された可変抵抗VR2の両端の電圧から検出信号電圧を取り出す構成となっている。なお、その他の構成は前述した第1の実施の形態と同様である。
【0029】この第6の実施の形態では、電流検出をグランド側にて行うことが可能な利点がある。
【0030】なお、図7及び図8の第5及び第6の実施の形態に対しても、アーリー効果を解消するためにウィルソンのカレントミラー回路(ウィルソンミラー回路)を応用した回路構成に変更することが可能である。
【0031】また、入力変動が少ない条件下では、各実施の形態における定電流源の代わりに電流安定化用抵抗を用いることができ、図2や図5の定電圧ダイオードZDを省略した回路構成とすることも可能である。
【0032】以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る電流検出回路によれば、第1及び第2のトランジスタのベースを共通に接続したカレントミラー回路の前記第2のトランジスタのエミッタを検出抵抗の一端に接続し、前記第1のトランジスタのエミッタは直列抵抗を介して前記検出抵抗の他端に接続し、前記検出抵抗を電流検出線路に直列に挿入した構成であるから、前記検出抵抗に流れる被検出電流に略比例した検出信号(電圧又は電流)を前記第1のトランジスタのコレクタ側より取り出すことが可能である。従って、前記検出抵抗のばらつきに起因する前記検出信号のずれを容易に校正可能である。また、前記検出抵抗のばらつきに起因する検出信号の変動は従来回路に比べて少なく、電流検出精度の向上を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000003067
【氏名又は名称】ティーディーケイ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
【公開番号】 特開平11−160368
【公開日】 平成11年(1999)6月18日
【出願番号】 特願平9−348545