| 【発明の名称】 |
高調波電圧測定方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】香田 勲
【氏名】塚本 政和
【氏名】鵜野 克彦
【氏名】夏田 育千
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| 【要約】 |
【課題】コンデンサ形計器用変圧器(以下PDという)を使用し、その2次負担の影響を排除して系統の高調波電圧を精度よく測定する。
【解決手段】PD2の1次側を系統1に接続した後、高調波電圧の測定前に、PD2次回路の2次負担7より上流側の計測点9を注入点inとし、この点inに基本波周波数の非整数倍の中間高調波の電流を注入して中間高調波についての注入点inの上流側,2次負担側の等価回路インピーダンスを求め、これらの等価回路インピーダンスから、測定対象の高調波についての上流側,2次負担側の等価回路インピーダンスZPD,ZL を補間演算して決定するとともにインピーダンスZL に並列な等価電流源IL を決定し、測定対象の高調波についてのPD2の周波数特性補正用の回路定数を決定し、高調波電圧の測定時に、測定対象の高調波計測点aの計測電圧と決定した回路定数とにより、2次負担の影響を排除して1次側の測定対象の高調波の電圧を求め、系統1の高調波電圧を測定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 2次負担としてメータ,リレー等の高調波発生要素が接続されたコンデンサ形計器用変圧器の1次側を系統に接続し、前記コンデンサ形計器用変圧器の2次回路の計測電圧を周波数解析して前記系統の基本波周波数の整数倍の周波数の高調波電圧を測定する高調波電圧測定方法において、前記コンデンサ形計器用変圧器の1次側を系統に接続した後、測定前に、前記2次回路の前記2次負担より上流側の計測点を注入点とし、該注入点に前記基本波周波数の非整数倍の周波数の電流を中間高調波の電流として注入し、前記注入点から上流側,2次負担側に流れる前記中間高調波の電流及び前記注入点の前記中間高調波の電圧を計測して前記中間高調波についての前記注入点の上流側,2次負担側の等価回路インピーダンスを求め、測定対象の高調波の上,下の前記中間高調波についての前記注入点の上流側,2次負担側の等価回路インピーダンスから,測定対象の高調波についての前記注入点の上流側,2次負担側の等価回路インピーダンスを補間演算して決定し、前記注入点の2次負担側の測定対象の高調波の周波数の電流,電圧及び決定した等価回路インピーダンスから該等価回路インピーダンスに並列接続された前記2次負担の高調波発生源としての等価電流源を決定し、測定対象の高調波についての前記注入点の上流側,2次負担側の決定した等価回路インピーダンス及び前記等価電流源により、測定対象の高調波についての前記コンデンサ形計器用変圧器の周波数特性補正用の回路定数を決定し、測定時に、測定対象の高調波についての前記計測点の前記計測電圧と前記回路定数とにより、前記2次負担の影響を排除して前記1次側の測定対象の高調波の電圧を求め、前記2次負担の影響を排除して系統の高調波電圧を測定することを特徴とする高調波電圧測定方法。 【請求項2】 2次負担としてメータ,リレー等の高調波発生要素が接続されたコンデンサ形計器用変圧器の1次側を系統に接続し、前記コンデンサ形計器用変圧器の2次回路の計測電圧を周波数解析して前記系統の基本波周波数の整数倍の周波数の高調波電圧を測定する高調波電圧測定方法において、前記コンデンサ形計器用変圧器の1次側を系統に接続した後、測定前に、前記2次回路の前記2次負担より上流側の計測点を注入点とし、該注入点に前記基本波周波数の非整数倍の周波数の電流を中間高調波の電流として注入し、前記注入点から上流側に流れる前記中間高調波の電流及び前記注入点の前記中間高調波の電圧を計測して前記中間高調波についての前記注入点の上流側の等価回路インピーダンスを求め、測定対象の高調波の上,下の前記中間高調波についての前記注入点の上流側の等価回路インピーダンスから測定対象の高調波についての前記注入点の上流側の等価回路インピーダンスを補間演算して決定し、測定時に、測定対象の高調波についての前記計測点の前記計測電圧及び前記2次負担側の電流を計測し、測定対象の高調波についての前記計測電圧に、前記2次負担側の測定対象の高調波の計測電流に基づく前記等価回路インピーダンスの電圧降下を加算し、前記2次負担の影響を排除して前記1次側の測定対象の高調波の電圧を求め、前記2次負担の影響を排除して系統の高調波電圧を測定することを特徴とする高調波電圧測定方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、主に特別高圧以上の高電圧の電力系統の高調波電圧をコンデンサ形計器用変圧器を用いて測定する高調波電圧測定方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、特別高圧(特高),超高圧等の特高以上の高電圧の電力系統にあっては、例えば日新電機技報,第30巻第4号(通巻72号),日新電機株式会社,p.8−21(昭和62年11月30日)に記載されているように、TV或いはPDと呼ばれるコンデンサ形計器用変圧器(以下PDという)が電圧計測に用いられる。 【0003】そして、いわゆる1次リアクトル形のPDはほぼ図6に示すように構成され、系統1にPD2の1次側のコンデンサ3,4が接続され、コンデンサ3,4により系統電圧が分圧される。 【0004】その際、コンデンサ4と,その両端間の1次リアクトル5,絶縁用の変圧器6の1次巻線6aの直列回路とにより、60Hzまたは50Hzの系統の基本波周波数fsの共振回路が形成され、基本波周波数fsの電圧(基本波電圧)が変圧器6の2次巻線6bに発生する。 【0005】そして、この2次巻線6bの電圧がメータ,リレー等のPD2の2次負担7に与えられ、この2次負担7が2次巻線6bの基本波電圧により動作する。 【0006】ところで、2次巻線6bの電圧を出力用の変圧器8を介して外部の計測装置等に供給し、DFT,FFT等の周波数解析を行えば、その結果から系統の周波数n・fs(nは2以上の自然数)の第n高調波の電圧を測定することができる。 【0007】しかし、2次負担7が高調波発生要素(発生源)を形成し、単に測定するのみでは、その共振作用により高調波電圧の測定誤差が生じる。 【0008】そこで、「平成9年電気学会全国大会講演論文集」(電気学会全国大会,平成9年3月10日発行)の論文番号1695「PDを用いた高調波測定によるデータ補正法」には、2次負担の大きさ,力率等による高調波電圧の測定誤差を排除するため、系統にPDを接続して実際に使用する前(運用前)に、系統の高調波電圧を模擬した歪電圧を供試PDの1次側に印加し、その1次側及び2次側の電圧,電流を測定してその結果から例えばn=5の第5次の高調波(第5調波)についての補正係数を求めておき、運用中は、この補正係数を用いて第5次の高調波の測定電圧を補正することが記載されている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】前記講演論文集に記載の測定方法の場合、系統に接続する前に、PDに系統の高調波電圧を模擬した歪電圧を印加して予め補正係数を決定するため、歪電圧発生源のインピーダンス等の種々の要因により、補正係数を実使用状態に即して正確に決定することができず、同論文集の6−553頁の表1にも記載されているように補正後の高調波電圧の測定結果に必ず誤差が含まれ、高調波電圧の精度の高い測定が行えない問題点がある。 【0010】本発明は、PDを用いて系統の高調波電圧を精度よく測定し得るようにすることを課題とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するために、この出願の請求項1記載の高調波電圧測定方法においては、PDの1次側を系統に接続した後、高調波電圧を測定する前に、PDの2次回路の2次負担より上流側の計測点を注入点とし、この注入点に基本波周波数fsの非整数倍の周波数の電流を中間高調波の電流として注入し、注入点から上流側,2次負担側に流れる中間高調波の電流及び注入点の中間高調波の電圧を計測して中間高調波についての注入点の上流側,2次負担側の等価回路インピーダンスを求め、測定対象の高調波の上,下の中間高調波についての注入点の上流側,2次負担側の等価回路インピーダンスから,測定対象の高調波についての1次側からみて直列に接続された注入点の上流側,2次負担側の等価回路インピーダンスを補間演算して決定し、注入点の2次負担側の測定対象の高調波の周波数の電流,電圧及び決定した等価回路インピーダンスからこの等価回路インピーダンスに並列接続された2次負担の高調波発生源としての等価電流源を決定し、測定対象の高調波についての注入点の上流側,2次負担側の決定した等価回路インピーダンス及び等価電流源により、測定対象の高調波についてのコンデンサ形計器用変圧器の周波数特性補正用の回路定数を決定し、測定時に、測定対象の高調波についての計測点の計測電圧と回路定数とにより、2次負担の影響を排除して1次側の測定対象の高調波の電圧を求め、2次負担の影響を排除して系統の高調波電圧を測定する。 【0012】したがって、PDを実際に系統に接続した後、高調波電圧を測定する前に、PD2次回路の注入点に、例えば周波数n・fsの測定対象の高調波を挟むその上,下の基本波周波数fsの非整数倍の周波数fα,fβ(fα<n・fs<fβ)の中間高調波の電流がそれぞれ注入される。 【0013】このとき、両中間高調波の電流は系統に本来存在しない周波数の電流であり、PD2次回路において、注入点から上流側,2次負担側へのそれぞれの分流及び電圧を、系統の基本波及び高調波の影響を受けることなく精度よく測定することができる。 【0014】そして、注入点の上流側に分流した中間高調波の電流及びその電圧により注入点の上流側の中間高調波についての等価回路インピーダンスが求まり、注入点の2次負担側に分流した中間高調波の電流及びその電圧により注入点の2次負担側の中間高調波についての等価回路インピーダンスが求まる。 【0015】そして、前記2周波数fα,fβの中間高調波についての上流側,2次負担側それぞれの等価回路インピーダンスの平均から、測定対象の高調波についての注入点の上流側,2次負担側の等価回路インピーダンスが補間演算されて求まる。 【0016】さらに、注入点から2次負担側に流れる測定対象の高調波の電流及びその電圧を測定することにより、測定された電流,電圧及び決定した2次負担側の等価回路インピーダンスから、この等価回路インピーダンスに並列な測定対象の高調波についての2次負担の等価電流源が求められて決定される。 【0017】そして、注入点の上流側,2次負担側の等価回路インピーダンス及び等価電流源により、系統に接続した実使用状態でのPDの測定対象の高調波についての周波数特性補正用の回路定数が決定される。 【0018】このとき、中間高調波の電流注入に基づき、測定対象の高調波についての回路定数が精度よく求められ決定される。 【0019】そして、回路定数の決定後に高調波電圧の測定に移行し、高調波電圧の測定時、測定対象の高調波の計測点での計測電圧と事前に決定した前記回路定数とに基づき、2次負担による測定電圧の変動を補償し、2次負担の影響を排除してPDの1次側の測定対象の高調波の電圧が求められる。 【0020】したがって、PDの2次負担の影響を排除して高精度に系統の高調波電圧の測定が行える。 【0021】そして、PDの高調波電圧に対する回路定数を測定前に予め決定しておくため、高調波電圧の測定時は計測点の電圧測定のみを行えばよく、とくに特性の時間変化(負荷変動)が少ないリレー等を2次負担とする場合の高調波電圧の測定に好適である。 【0022】つぎに、請求項2記載の高調波電圧測定方法においては、PDの1次側を系統に接続した後、高調波電圧の測定前に、PD2次回路の2次負担より上流側の計測点を注入点とし、この注入点に基本波周波数の非整数倍の周波数の電流を中間高調波の電流として注入し、注入点から上流側に流れる中間高調波の電流及び注入点の中間高調波の電圧を計測して中間高調波についての注入点の上流側の等価回路インピーダンスを求め、測定対象の高調波の上,下の中間高調波についての注入点の上流側の等価回路インピーダンスから測定対象の高調波についての注入点の上流側の等価回路インピーダンスを補間演算して決定し、測定時に、測定対象の高調波についての計測点の計測電圧及び2次負担側の電流を計測し、測定対象の高調波についての計測電圧に、2次負担側に流れる測定対象の高調波の計測電流に基づく等価回路インピーダンスの電圧降下を加算し、2次負担の影響を排除して1次側の測定対象の高調波の電圧を求め、2次負担の影響を排除して系統の高調波電圧を測定する。 【0023】したがって、この場合は高調波電圧の測定時に、PD2次回路の注入点に、例えば前記の周波数fα,fβ((fα<n・fs<fβ)それぞれの中間高調波の電流を注入し、注入点から上流側に分流する両中間高調波の電流及び電圧を計測し、この計測結果に基づいて注入点の上流側の両中間高調波についての等価回路インピーダンスが求められる。 【0024】さらに、これらの等価回路インピーダンスに基づき、請求項1の場合と同様の補間演算から測定対象の高調波についての注入点の上流側の等価回路インピーダンスが精度よく求められて決定される。 【0025】そして、この決定後に高調波電圧の測定に移行し、PD2次回路の計測点(注入点)での測定対象の高調波の電圧及び2次負担側に流れる電流が計測される。 【0026】このとき、計測される電圧,電流は、2次負担がリレー等の場合、そのリレー動作等に基づく特性変動(負荷変動)にしたがって時々刻々変化する。 【0027】そして、計測点の測定対象の高調波の測定電圧が、2次負担側に流れる計測電流に基づく上流側の等価回路インピーダンスの電圧降下を加算して補正され、前記計測電圧が2次負担のない周波数特性の電圧に補正される。 【0028】さらに、この補正された計測電圧に基づき、PDの1次側の測定対象の高調波の電圧が求められる。 【0029】このとき、中間高調波の電流の注入に基づき、請求項1の場合と同様に精度よく系統の高調波電圧が測定される。 【0030】そして、2次負担の時々刻々の変動に追従して測定電圧の補正量が変化するため、とくに特性の時間変化(負荷変動)が生じるリレー等を2次負担とする場合の高調波電圧の測定に好適である。 【0031】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、図1ないし図5を参照して説明する。 (1形態)まず、請求項1の測定方法に対応する本発明の実施の1形態につき、図1ないし図3を参照して説明する。図1は高調波電圧測定前の中間高調波測定時の構成を示し、1次リアクトル形のPD2は1次側が系統1に接続される。 【0032】そして、変圧器6の2次側のPD2の2次回路において、変圧器6の2次巻線6bと2次負担7との間の高調波電圧の計測点aが中間高調波の電流の注入点inに設定され、この注入点inにインバータ等からなる電流注入装置9が接続される。 【0033】この電流注入装置9は、基本波周波数fsの非整数倍の周波数の本来は系統1に存在しない中間高調波の電流を注入点inに注入する。 【0034】そして、測定対象の高調波を周波数n・fsの第n次の高調波とすると、中間高調波の電流は、具体的には、例えば測定対象の高調波を挟むその上,下の基本波周波数fsの非整数倍の2周波数fα,fβ(fα<n・fs<fβ)の電流である。 【0035】つぎに、注入点inに注入されてその上流側(PD1次側)に流れる電流,注入点inの2次負担側に流れる電流は、注入点inの上流側,2次負担側に設けられた計器用の変流器10,11それぞれにより計測される。 【0036】そして、変流器10,11の計測電流及び変圧器8の計測電圧が図外の測定処理装置に供給され、この測定処理装置は計測電流及び計測電圧をデジタル化してDFT,FFT等の周波数解析を施し、中間高調波の電流注入に基づき、注入点inの上流側,2次負担側に分流した中間高調波の電流を測定する。 【0037】なお、注入点inの上流側,2次負担側の電流を共に直接計測する代わりに、電流注入装置9から注入点inに注入される電流を図1の計器用の変流器12により計測し、変流器10,11のいずれか一方と変流器12の計測電流の差から変流器10,11の他方の計測電流を求めて注入点inの上流側,2次負担側に分流した中間高調波の電流を計測してもよい。 【0038】つぎに、コンデンサ3,4の容量をC1 ,C2 とすると、これらの容量C1 ,C2 は既知であり、系統1の測定対象の高調波の電圧をVH(n)とし、この電圧VH(n)についてのコンデンサ4の端子間の電圧(分圧)をVH(n)’とすると、電圧VH(n),VH(n)’はつぎの数1の式の関係を有し、電圧VH(n)’を測定すれば、電圧VH(n)が求まる。 【0039】 【数1】VH(n)={(C1 +C2 )/C1 }・VH(n)’【0040】さらに、説明を簡単にするため、図1の変圧器6が変圧比1対1でその変換損等を無視することができるとすると、測定対象の高調波及び中間高調波に対して、注入点inの1次側は同図の1次リアクトル5に基づき、図2の等価回路インピーダンスZPDの直列回路で表すことができる。 【0041】また、注入点inの2次負担側(負荷側)は、図1の2次負担7に基づく図2の等価回路インピーダンスZL と等価電流源IL との並列回路になる。 【0042】そのため、高調波電圧測定前の中間高調波注入時、図1は図2の等価回路で表すことができる。 【0043】そして、図1の変流器10,11の中間高調波の測定電流をI1(m),I2(m)とし、注入点inの中間高調波の電圧をV(m) とすると、電圧V(m) ,電流I1(m)により、V(m) /I1(m)から中間高調波についての上流側のインピーダンスZPDの値ZPD(m) が求まる。 【0044】また、中間高調波に対しては2次負担7が共振回路を形成しないため、電圧V(m) ,電流I2(m)により、V(m) /I2(m)から中間高調波についての2次負担側の等価回路インピーダンスZL の値ZL(m)も求まる。 【0045】そして、中間高調波電流の注入時、高調波電流注入装置9から注入点inに周波数fα,fβそれぞれの中間高調波の電流I(m) α, I(m) βを注入し、周波数fα,fβの中間高調波につき、その電流注入に基づく等価回路インピーダンスZPD,ZL の値ZPD(m) α,ZPD(m) β,ZL(m)α,ZL(m)βを求める。 【0046】つぎに、測定対象の高調波が両中間高調波の間の周波数であるため、測定処理装置により、最も簡単には周波数fα,fβについての等価回路インピーダンスZPD,ZL の測定値の単純平均{ZPD(m) α+ZPD(m) β}/2,{ZL(m)α+ZL(m)β}/2から測定対象の高調波についての等価回路インピーダンスZPD,ZL の値ZPD(n) ,ZL(n)を補間演算して求める。 【0047】そして、等価回路インピーダンスZPD,ZL を求めて決定した後、電流注入装置9の電流注入を停止し、変流器11の計測電流,変圧器8の計測電圧の周波数解析により、注入点inを通って2次負担7に流れる測定対象の高調波の電流,電圧を測定する。 【0048】この測定値をI2(n),V(n) とし、測定対象の高調波についての等価電流源IL の値をIL(n)とすると、測定処理装置により、IL(n)=I2(n)−(V(n) /ZL(n))の演算から等価電流源IL の値IL(n)を決定する。 【0049】そして、測定対象の高調波についての等価回路インピーダンスZPD,ZL 及び等価電流源IL を決定し、PD2の測定対象の高調波についての周波数特性補正用の回路定数を決定し、この回路定数を補正係数として測定処理装置に設定し、測定前の処理を終了して高調波電圧の測定に移行する。 【0050】そして、高調波電圧の測定時は、変流器10〜12が不要であり、等価回路が図3に示すようになる。 【0051】そして、変圧器8の出力に基づく計測点a(注入点in)の測定電圧の周波数解析により、計測点aの測定対象の高調波電圧が求められ、この電圧をV(n) とすると、この電圧V(n) はつぎの数2の式で表される。 【0052】 【数2】V(n) =VH(n)’・{ZL /(ZPD+ZL )}+IL ・(ZPD//ZL )=VH(n)’・{ZL /(ZPD+ZL )}+IL ・{ZPD・ZL /(ZPD+ZL )} 【0053】そして、測定処理装置により、つぎの数3の式の演算から等価電流源IL の影響を排除してコンデンサ4の端子間の測定対象の高調波電圧VH(n)’を求める。 【0054】 【数3】VH(n)’={V(n) −IL ・(ZPD//ZL )}/{(ZPD+ZL )/ZL } 【0055】さらに、数3の式の演算結果に基づき、数1の式の演算から系統1の測定対象の高調波電圧VH(n)を求めて測定する。 【0056】この測定のくり返しにより、特高以上の系統の時々刻々変化する高調波電圧を、PD2を使用し、その2次負担7の影響を排除して精度よく測定することができる。 【0057】そして、この実施の形態の場合、高調波電圧の測定前に、測定対象の高調波についてのPD2の回路定数,すなわち等価回路インピーダンスZPD,ZL ,等価電流源IL を求めて決定しておくため、高調波電圧の測定時には、PD2の2次回路の測定対象の高調波電圧のみを測定すればよく、電流注入装置9は勿論、変流器10〜12等も不要であり、とくに、2次負担7が特性の時間変化のないメータ等の場合に、小型な構成で精度の高い測定が行える利点がある。 【0058】(他の形態)つぎに、請求項2に対応する本発明の実施の他の形態につき、図4,図5を参照して説明する。この実施の形態にあっては、高調波電圧の測定前の中間高調波電流の注入時に、図1のPD2に同図の電流注入装置9と変流器10を接続し、電流注入装置9から注入点inに、例えば周波数fα,fβの中間高調波の電流を注入する。 【0059】このとき、等価回路は図4に示すようになり、変流器10の計測電流及び変圧器8の計測電圧を図外の測定処理装置により周波数解析し、周波数fα,fβの中間高調波それぞれにつき、注入点inの上流側の電流I1(m)及び注入点inの電圧V(m) を求め、V(m) /I1(m)の演算により、両中間高調波についての注入点inの上流側の等価回路インピーダンスZPDの値ZPD(m) α,ZPD(m) βを求める。なお、図4において、図1〜図3と同一符号は同一もしくは相当するものを示す。 【0060】そして、両中間高調波についての等価回路インピーダンスZPDから、前記1形態と同様にして、測定対象の高調波についての等価回路インピーダンスZPDの値ZPD(n) を補間演算して決定し、測定処理装置に周波数特性補正用の補正係数として設定する。 【0061】つぎに、電流注入装置9及び変流器10を取外し、図1の変流器11を取付けて高調波電圧の測定に移行する。 【0062】このとき、等価回路は図5に示すようになり、高調波電圧の測定時、変流器11の計測電流及び変圧器7の計測電圧を測定処理装置により処理し、それらの周波数解析により、計測点a(注入点in)の2次負担側の時々刻々変化する測定対象の高調波電流I2(n)及びその高調波電圧V(n) を求める。 【0063】さらに、つぎの数4の式の演算により、計測点aの高調波電圧V(n) に、高調波電流I2(n)の通流に基づく等価回路インピーダンスZPDの電圧降下を加算し、2次負担7による高調波電圧V(n) の変動を補償し、2次負担7の影響を排除してコンデンサ4の端子間の計測対象の高調波電圧VH(n)’を求める。 【0064】 【数4】VH(n)’=V(n) +ZPD・I(n)【0065】さらに、数1の式の演算から系統1の測定対象の高調波電圧VH(n)を求めて測定する。 【0066】この場合、高調波電圧の測定中に変流器11を要するが、計測点a(注入点in)を通る時々刻々の電流I2(n)の測定に基づき、時々刻々変化する2次負担7の影響を排除して測定対象の高調波電圧を計測するため、2次負担7がリレー等の特性の時間変化(負荷変動)を有する場合にも、いわゆるリアルタイム計測により極めて精度の高い測定が行える利点がある。 【0067】そして、前記両実施の形態において、測定対象の高調波を挟むその上,下の中間高調波の電流は、基本波周波数fsの非整数倍の周波数であればよく、その周波数,個数等は系統の状態や測定精度等に応じて適当に設定すればよい。 【0068】また、実際には、系統1の相毎に前記両実施の形態それぞれの手法で高調波電圧が測定される。 【0069】 【発明の効果】本発明は、以下に記載する効果を奏する。まず、請求項1の場合は、コンデンサ形計器用変圧器(PD)2を実際に系統1に接続した後、高調波電圧を測定する前に、PD2次回路の注入点inに測定対象の高調波の上,下の基本波周波数の非整数倍の周波数の中間高調波の電流を注入し、中間高調波についての注入点inの上流側及び2次負担側の等価回路インピーダンスを求めて測定対象の高調波についての注入点の上流側,2次負担側の等価回路インピーダンスZPD,ZL を補間演算して求めることができる。 【0070】さらに、注入点inから2次負担側に流れる測定対象の高調波の電流及びその電圧を測定して2次負担側の等価回路インピーダンスZL に並列な測定対象の高調波についての2次負担の等価電流源IL を求めて決定することができる。 【0071】そして、等価回路インピーダンスZPD,ZL 及び等価電流源IL により、系統1に接続した運用状態での測定対象の高調波についてのPD2の周波数特性補正用の回路定数を決定することができる。 【0072】このとき、中間高調波の電流は系統1に本来存在しない周波数の電流であり、この電流の注入に基づく測定から、測定対象の高調波についてのPD2の周波数特性補正用の回路定数が系統1の基本波及び高調波の影響を受けることなく精度よく求まる。 【0073】そして、この回路定数の決定後に高調波電圧の測定に移行すると、計測点a(in)での測定対象の高調波の計測電圧と事前に決定した前記回路定数に基づき、2次負担7による測定電圧の変動を補償し、2次負担7の影響を排除してPD2の1次側の測定対象の高調波の電圧を求めることができる。 【0074】そのため、PD2の2次負担7の影響を排除して高精度に系統1の高調波電圧の測定を行うことができる。 【0075】そして、PD2の高調波電圧の測定前に予め決定しておくため、高調波電圧の測定時は計測点の電圧測定のみを行えばよく、とくに特性の時間変化(負荷変動)が少ないメータ等を2次負担7とする場合に好適な高調波電圧測定方法を提供することができる。 【0076】つぎに、請求項2の場合は高調波電圧の測定時に、PD2次回路の注入点inに、中間高調波の電流を注入し、注入点inから上流側に分流する中間高調波の電流及び電圧を計測し、注入点inの上流側の中間高調波についての等価回路インピーダンスを求めて測定対象の高調波についての注入点inの上流側の等価回路インピーダンスZPDを精度よく求めて決定することができる。 【0077】そして、この決定後に高調波電圧の測定に移行し、計測点a(注入点in)での測定対象の高調波の電圧及び計測点aから2次負担側に流れる電流の計測に基づき、計測点aの測定対象の高調波の測定電圧が、2次負担側に流れる計測電流に基づく上流側の等価回路インピーダンスの電圧降下を加算して補正され、前記計測電圧が2次負担7のない状態の電圧に補償される。 【0078】そして、この補償された計測電圧に基づき、PD2の1次側の測定対象の高調波の電圧が求められて測定される。 【0079】このとき、中間高調波の電流の注入に基づき、請求項1の場合と同様に精度よく系統1の高調波電圧を測定することができる。 【0080】そして、高調波電圧の測定時に2次負担側に流れる測定対象の高調波の電流を計測し、2次負担7の特性変化(負荷変動)に追従して測定電圧の補正量が変化するため、とくに特性の時間変化(負荷変動)が生じるリレー等を2次負担7とする場合に好適な高調波電圧測定方法を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000213297 【氏名又は名称】中部電力株式会社 【識別番号】000003942 【氏名又は名称】日新電機株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)11月25日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】藤田 龍太郎
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| 【公開番号】 |
特開平11−160366 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)6月18日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−340675 |
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