| 【発明の名称】 |
光による計測装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】水谷 雄二
【氏名】高橋 正雄
【氏名】寺井 清寿
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| 【要約】 |
【課題】計測環境の温度状況が厳しくとも、経済的および構造的に優れた計測誤差補正を行い、高精度の計測が可能であり、しかも、絶縁性および誘導ノイズに対する強さを維持できる光による計測装置を提供する。
【解決手段】光学センサ10には、2本の同巻回数の石英ガラス光ファイバ6および鉛ガラス光ファイバ7が導体1を取り囲むようにして設けられている。また、計測ユニット13内の信号処理回路16には光ファイバ6,7の出力差を求める出力差演算部24と、前記出力差に応じて温度の補正係数を選択する補正係数選択部25と、光ファイバ6,7からの出力に対し前記補正係数を乗じて温度による計測誤差を補正する計測誤差補正部26と、出力差および補正係数を記憶する記憶部27とが設けられている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被計測対象物の周囲に直線偏光の光を通過させる光学センサが設けられ、この光学センサからの出力に基づいて被計測対象物の物理量あるいは化学量を計測する光による計測装置において、前記光学センサには温度特性の異なる少なくとも2種類以上の光学素子が設けられ、前記被計測対象物の計測環境における雰囲気温度ごとに前記光学素子同士の出力差を求める出力差演算手段と、前記出力差に応じて温度の補正係数を選択する補正係数選択手段と、前記光学素子からの出力に対し前記補正係数を乗じて計測環境における雰囲気温度による計測誤差を補正する計測誤差補正手段とが設けられたことを特徴とする光による計測装置。 【請求項2】 前記光学素子同士の出力差に対応する前記補正係数を記憶する記憶手段が設けられたことを特徴とする請求項1記載の光による計測装置。 【請求項3】 前記光学素子がシリコンゴム製の支持具により支持されたことを特徴とする請求項1または2記載の光による計測装置。 【請求項4】 前記光学素子がアクリル樹脂およびシリコンゴムのうち、少なくとも一方を含む被覆材料により被覆されたことを特徴とする請求項1、2または3記載の光による計測装置。 【請求項5】 前記光学素子には前記光学素子からの出力を1つずつ順番に送出する光スイッチが取付けられことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の光による計測装置。 【請求項6】 前記光学素子が捻られた光ファイバから構成されたことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の光による計測装置。 【請求項7】 前記光学素子が光ファイバから構成され、光ファイバごとに巻回数が異なるように構成されたことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の光による計測装置。 【請求項8】 前記光ファイバごとに異なる巻回数の比が、各光ファイバからの出力の感度の比と同じになるように設定されたことを特徴とする請求項7記載の光による計測装置。 【請求項9】 前記光学素子が光学ブロックから構成され、光学ブロックごとに長さが異なるように構成されたことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の光による計測装置。 【請求項10】 前記光学ブロックごとに異なる長さの比が、各光学ブロックからの出力の感度の比と同じになるように設定されたことを特徴とする請求項9記載の光による計測装置。 【請求項11】 前記光学素子にはファラデ−効果あるいはポッケルス効果を示す光学材料として少なくとも、石英ガラス、鉛ガラス、As2 S2 、FR−5ガラス、Bi12SiO20、Bi12GeO2 、YIG、LiNbO3 が含まれたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の光による計測装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、被計測対象物における物理量や化学量を光を用いて計測する計測装置に係り、特に、温度の高低が大きい計測環境に適した光による計測装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、光を利用して、被測定対象物における電圧・電流・圧力・変位・放射線量・角速度などの物理量や化学量を計測する光による計測装置が知られている。具体的には、特願平6−1073号公報で開示されるように、高電圧系統に使用されるガス絶縁開閉装置の電流計測装置などに広く適用されている。光による電流計測装置では、被計測対象物である導体の周囲に光ファイバを設置し、ここに直線偏光の光を通過させ、導体に流れる電流によって生じるファラデ−効果の旋光角θを測定することにより、この旋光角θに基づいて通電電流を計測している。 【0003】[光による計測装置の原理]光ファイバによる電流計測に際しては、磁器光学効果あるいはファラデー効果と呼ばれる下記の式(1)が利用されている。すなわち、【数1】θ=V×n×I……(1) θ:旋光角 V:光ファイバのベルデ定数 n:光ファイバの巻回数 I:被計測電流値をあらわす記号である。 【0004】つまり、光ファイバを通過した光の旋光角θを、式(1)に示したベルデ定数Vと光ファイバの巻回数nで除算することによって、電流値Iを求めることができる。なお、電流以外の物理量や化学量を計測する装置についても、概ね上記式(1)と同じような関係式が存在するので、この関係式に基づいて被計測対象物の物理量や化学量を計測することができる。 【0005】[光による電流計測装置の構成]続いて、ガス絶縁開閉装置の電流計測に適用される光による電流計測装置の従来例について、図6および図7を用いて詳しく説明する。図6はガス絶縁開閉装置に設置された光による電流計測装置の外観を示しており、図7は光による電流計測装置のシステム構成を示している。 【0006】図6に示すように、ガス絶縁開閉装置には導体1および絶縁媒体を収納してなる絶縁密閉タンク2が設けられている。絶縁密閉タンク2のうち、隣接する2つの管状タンク3a,3b端部のタンクフランジ4a,4b間には絶縁スペーサ5が取付けられ、両側の管状タンク3a,3bが空間的に分離されている。そして、この絶縁スペーサ5と一方のタンクフランジ4aとの間に、フランジ状に形成された光学センサ10が配設されている。この光学センサ10は絶縁スペーサ5と共に、両側のタンクフランジ4a,4bに固定されている。 【0007】図7に示すように、光学センサ10は光ファイバ20と光学ボックス30とから構成されている。光ファイバ20は導体1の周囲に巻回状態で配置されており、光の入射側端部に光学ボックス30が接続され、光の出射側端部には鏡からなる反射材21が配置されている。また、光学ボックス30は送光用光ファイバ11および受光用光ファイバ12a,12bを介して後述する計測ユニット13に接続されている。 【0008】さらに、光学ボックス30には、レンズ31a〜31d、偏光子32、検光子33a,33b、およびビームスプリッタ34a,34bが収納されている。このうち、レンズ31a、偏光子32、ビームスプリッタ34a、およびレンズ31bは、送光用光ファイバ11からの入射光をホルダ35を介して光ファイバ20に導くようにこの順で配設されている。 【0009】ビームスプリッタ34bは、光ファイバ20から戻されてビームスプリッタ34aで反射する光の光路上に配設されている。ビームスプリッタ34bで2分割された各光路上には、検光子33aとレンズ31cおよび検光子33bとレンズ31dが、各受光用光ファイバ12a,12bに光を導くようにしてそれぞれ配設されている。このうち、検光子33a,33bは、互いに直交するように配置されている。 【0010】光学センサ10から十分離れた位置に計測ユニット13が配置されている。すでに述べたように、計測ユニット13は送光用光ファイバ11および受光用光ファイバ12a,12bにより光学センサ10と接続されている。計測ユニット13内には光源14、検出部15、信号処理回路16および出力端子17が収納されている。このうち、光源14が送光用ファイバ11に、検出部15が受光用ファイバ12a,12bにそれぞれ接続されている。 【0011】光源14は計測用のレーザ光を出力するレ−ザ−ダイオ−ドもしくはス−パ−ルミネセントダイオ−ドから構成されている。また、検出部15は2つの検出器15a,15bから構成され、光学センサ10からの出力を取込んでレーザ光の旋光角θを検出するように構成されている。さらに、信号処理回路16は検出部15からの出力を演算し、導体1の通電電流値を算出するように構成されている。また、出力端子17は信号処理回路16からの演算結果を外部に出力するようになっている。 【0012】[光による電流計測装置の動作]以上のような構成を有する光による電流計測装置の動作は次の通りである。すなわち、計測ユニット13の光源14がレーザ光を出力すると、送光用光ファイバ11がレーザ光を光学ボックス30に導く。光学ボックス30においては、まずレンズ31aがレーザ光を平行ビームに変換し、偏光子32がこの平行ビームを直接偏光化する。その後、ビームスプリッタ34aが偏光化したレーザ光をレンズ31bに送り、レンズ31bがホルダ35を介して光ファイバ20の入射端部にレーザ光を集光する。 【0013】光ファイバ20はレーザ光を通過させ、出射端部から反射材21に出力する。反射材21は光ファイバ20から出てきたレーザ光を光ファイバ20の出射端部へと反射し、光ファイバ20は反対方向にレーザ光を通過させて、再びホルダ35から光学ボックス30へと戻す。光学ボックス30ではレンズ30bが戻ってきたレーザ光をビームスプリッタ34aに送り、ビームスプリッタ34aがこれをビームスプリッタ34bへと反射する。ビームスプリッタ34bはレーザ光を2分割し、一方のレーザ光を検光子33a、レンズ31cを介して受光用ファイバ12aへと導き、他方のレーザ光を検光子33b、レンズ31dを介して受光用ファイバ12bへと導く。 【0014】各受光用光ファイバ12a,12bはそれぞれ、計測ユニット13の各検出器15a,15bにレーザ光を出力し、各検出器15a,15bはレーザ光の旋光角θを検出してこれを電気信号に変換し、信号処理回路16に送る。信号処理回路16は信号化されたレーザ光の旋光角θを演算処理し、導体1の通電電流値を算出し、出力端子17がこの演算結果を外部に出力する。 【0015】上記のような光による電流計測装置では、計測ユニット13内の検出部15にてレーザ光の旋光角θを測定し、信号処理回路16が導体1の通電電流値を求めることができる。このような電流計測装置によれば、使用される光ファイバが材質的にはガラスなので優れた電気絶縁性を発揮することができる。しかも、光ファイバを通過する光信号を測定するため、電磁誘導ノイズや静電誘導ノイズに強く、高電界下でも誘導を受けることがない。したがって、送変電系統などの30万V以上もの超高電圧系統におけるガス絶縁開閉装置に対しても適用することが可能である。 【0016】 【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の光による電流計測装置には次のような問題点があった。すなわち、上述した式(1)に示したベルデ定数Vは温度に依存する定数である。そのため、電流計測装置が設置される周辺の温度が極端に高温あるいは低温である場合、計測誤差が大きくなり、計測精度の劣化を招いた。 【0017】例えば、光による電流計測装置を送変電系統のガス絶縁開閉装置に適用した場合、計測装置は屋外で使用するので直射日光を浴び、さらに通電電流による導体の発熱を原因として、電流計測装置の周辺温度が100℃を越えることがある。また、高緯度の地方で計測装置を使用した場合には装置の周辺温度が−40℃もの低温に達することもあった。ガス絶縁開閉装置に適用される光による計測装置の基準温度は、通常25℃程度であるため、上記のような厳しい環境下では、計測誤差が大きくなって計測精度が大きく劣化するおそれがある。なお、このような不具合はガス絶縁開閉装置に適用される電流計測装置に限らず、計測環境が厳しければ、光による計測装置が共通して抱える問題である。 【0018】以上の問題点を改善するための手段としては、計測装置に対して空調装置や電子冷却装置あるいは加熱装置といった温度調節機器を取付け、計測装置の周辺温度を一定に保つことが考えられている。また、別の手段として、熱電対や側温抵抗体などの温度測定機器を用いて計測装置の周辺温度を計測し、測定した温度に基づいて計測した電流値を補正することが提案されている。 【0019】しかしながら、上段の光による計測装置では温度調節機器や温度測定機器が付随するため、単に設備費用がかかる、装置が大形化するという不具合が生じた。しかも、付随した機器が電気絶縁性を低下させ、且つ電磁誘導ノイズおよび静電誘導ノイズの影響を受けることになる。その結果、光による計測装置の最大の特徴である電気絶縁性の高さと電磁誘導ノイズおよび静電誘導ノイズに対する強さを十分に生かすことが困難となった。 【0020】以上述べたように、従来技術においては、計測装置の設置される周辺温度が基準温度を越えて極めて高い、あるいは極めて低いというような計測環境が厳しい状況下にあっては、温度に依存する定数を利用しているため、計測誤差が増大して計測精度が劣化した。また、温度の高低による計測誤差を補正するために、温度調節機器を設置したり、温度測定機器を設置したりすると、経済的に不利になり、構造的にも大形化するばかりか、光による計測装置の重要な利点である絶縁性や誘導ノイズに対する強さが低下した。 【0021】本発明は、以上のような問題点を解消するために提案されたものであり、その目的は、計測環境の温度状況が厳しくとも、経済的および構造的に優れた計測誤差補正を行い、高精度の計測が可能であり、しかも、絶縁性および誘導ノイズに対する強さを維持できる光による計測装置を提供することである。 【0022】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1の発明は、被計測対象物の周囲に直線偏光の光を通過させる光学センサが設けられ、この光学センサからの出力に基づいて被計測対象物の物理量あるいは化学量を計測する光による計測装置において、前記光学センサには温度特性の異なる少なくとも2種類以上の光学素子が設けられ、前記被計測対象物の計測環境における雰囲気温度ごとに前記光学素子同士の出力差を求める出力差演算手段と、前記出力差に応じて温度の補正係数を選択する補正係数選択手段と、前記光学素子からの出力に対し前記補正係数を乗じて計測環境における雰囲気温度による計測誤差を補正する計測誤差補正手段とが設けられたことを特徴とする。 【0023】以上のような構成を有する請求項1の発明では、被計測対象物の物理量あるいは化学量を計測する場合、まず光学素子が被計測対象物の物理量あるいは化学量を計測し、出力差演算手段が被計測対象物の計測環境における雰囲気温度ごとに、光学素子間の出力差を求める。そして、補正係数選択手段は前記出力差に応じて温度の補正係数を選択し、計測誤差補正手段が光学素子からの出力に前記補正係数を乗じて計測環境における雰囲気温度による計測誤差を補正する。これにより、計測装置の設置される周辺温度が基準温度を越えて極めて高かったり、あるいは極めて低かったりしても、適正な補正を行うことができ、高い精度で被計測対象物の物理量あるいは化学量を計測することができる。 【0024】また、請求項1の発明においては、計測誤差を補正するために、温度調節機器や温度測定機器を設置する必要がないので、経済的に有利であり、且つ構造的にもコンパクトにすることができる。しかも、光による計測装置の重要な利点である電気絶縁性や誘導ノイズに対する強さを維持することができる。 【0025】請求項2の発明は、請求項1記載の光による計測装置において、前記各光学素子同士の出力差に対応する前記補正係数を記憶する記憶手段が設けられたことを特徴とする。以上のような請求項2の発明では、記憶手段に光学素子同士の出力差に対応する補正係数を記憶しておくことができる。そのため、実際に被計測対象物の物理量あるいは化学量を計測する際に、記憶手段から出力差に応じて補正係数を取出すことにより、計測誤差補正手段が迅速に計測誤差の補正を行うことができる。 【0026】請求項3の発明は、請求項1または2記載の光による計測装置において、前記光学素子がシリコンゴム製の支持具により支持されたことを特徴とする。請求項4の発明は、請求項1、2または3記載の光による計測装置において、前記光学素子がアクリル樹脂およびシリコンゴムのうち、少なくとも一方を含む被覆材料により被覆されたことを特徴とする。 【0027】以上のような請求項3、4の発明では、光学素子をシリコンゴム製の支持具で支持したり、光学素子をアクリル樹脂およびシリコンゴムのうち、少なくとも一方を含む被覆材料で被覆したりすることにより、温度が室温付近まで下がっても複屈折の発生を抑えることができ、低温特性を向上させることができる。 【0028】請求項5の発明は、請求項1、2、3または4記載の光による計測装置において、前記光学素子には前記光学素子からの出力を1つずつ順番に送出する光スイッチが取付けられたことを特徴とする。以上のような請求項5の発明では、光スイッチが光学素子からの出力を1つずつ順番に送出するため、どの光学素子からの出力なのかを即座に判定することができる。 【0029】請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5記載の光による計測装置において、前記光学素子が捻られた光ファイバから構成されたことを特徴とする。以上のような請求項6の発明では、光ファイバが捻られているため、複屈折を低減させることができ、光ファイバからの出力精度を高めることができる。 【0030】請求項7の発明は、請求項1、2、3、4または5記載の光による計測装置において、前記光学素子が光ファイバから構成され、光ファイバごとに巻回数が異なるように構成されたことを特徴とする。請求項8の発明は、請求項7記載の光による計測装置において、前記光ファイバごとに異なる巻回数の比が、各光ファイバからの出力の感度の比と同じになるように設定されたことを特徴とする。請求項9の発明は、請求項1、2、3、4または5記載の光による計測装置において、前記光学素子が光学ブロックから構成され、光学ブロックごとに長さが異なるように構成されたことを特徴とする。請求項10の発明は、請求項9記載の光による計測装置において、前記光学ブロックごとに異なる長さの比が、各光学ブロックからの出力の感度の比と同じになるように設定されたことを特徴とする。 【0031】以上のような請求項7、8、9、10の発明では、光ファイバごとに巻回数を変えたり、あるいは光学ブロックごとに長さを変えることにより、大きさの異なる物理量および化学量を計測することができる。しかも、請求項8、10の発明では、光ファイバの巻回数比あるいは光学ブロックの長さの比を、光ファイバからの出力感度の比と同じに設定しているので、光ファイバ同士の出力を近い数値にすることができ、デ−タの取扱いを容易にすることができる。 【0032】請求項11の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の光による計測装置において、前記光学素子にはファラデ−効果あるいはポッケルス効果を示す光学材料として少なくとも、石英ガラス、鉛ガラス、As2S2 、FR−5ガラス、Bi12SiO20、Bi12GeO2 、YIG、LiNbO3 が含まれたことを特徴とする。以上のような請求項11の発明では、ファラデ−効果あるいはポッケルス効果を示す光学材料は、それぞれ光学定数の温度特性が異なるので、2種類以上の光学材料を組合わせるだけで、異なる温度特性の持つ光学センサを簡単に獲得することができる。 【0033】 【発明の実施の形態】(1)構成以下、本発明の実施の形態の一例について、図面を参照して具体的に説明する。本実施形態は、請求項1〜6を包含するものであり、図6および図7に示した従来例と同様、ガス絶縁開閉装置の電流計測に適用される光による電流計測装置である。そのため、図6および図7に示した従来例と同一の部材に関しては同一符号を付し、説明は省略する。また、図1は本実施形態のシステム構成の要部を示すブロック図、図2は本実施形態のシステム構成を示すブロック図、図3は本実施形態の光ファイバの取付状態を示す断面図、図4は図3の一部拡大図、図5は本実施形態の2つの光ファイバの出力を温度補正を行わずに、温度を変化させて記録したグラフである。なお、本実施形態にかかる光による電流計測装置は、定格測定電流8000Aの計測装置であり、計測の基準温度は25℃でとされている。 【0034】本実施形態の光学センサ10には、図7に示した従来の光ファイバ20に代えて、2本の同巻回数の光ファイバ、すなわち石英ガラス光ファイバ6および鉛ガラス光ファイバ7が導体1を取り囲むようにして設けられている。光ファイバ6,7は、アクリル樹脂およびシリコンゴムを2重にコーティングすると共に捻って構成されている(図1および図2参照)。 【0035】図2に示すように、光ファイバ6,7はそれぞれホルダ35およびレンズ31bを介して光学ボックス30内の光スイッチ36に取付けられている。この光スイッチ36は光ファイバ6,7からの出力を交互に読取り、これを送出するように構成されている。また、光スイッチ36には同期信号線18が設けられており、この同期信号線18を介して計測ユニット13内の信号処理回路16に接続されている。なお、光スイッチ36からの出力は従来例と同じように、光学ボックス30および受光用光ファイバ12a,12bを通過して計測ユニット13に伝送されるようになっている。 【0036】また、図1に示すように、計測ユニット13内の信号処理回路16には光ファイバ6,7の出力差を求める出力差演算部24と、前記出力差に応じて温度の補正係数を選択する補正係数選択部25と、光ファイバ6,7からの出力に対し前記補正係数を乗じて温度による計測誤差を補正する計測誤差補正部26と、出力差および補正係数を記憶する記憶部27とが設けられている。 【0037】続いて、図3および図4を用いて光ファイバ6,7の取付状態を説明する。光ファイバ6,7は、凹部9aを有するシリコンゴム製の支持具9に2本同時に巻回されており、上方から凹部9aに対応した凸部を有するシリコンゴム製の押さえ具8が凹部9aにはめこまれている。そして、押さえ具8および支持具9に挟まれた状態のまま、接着剤22により巻枠20に接着され、巻枠20が光学センサ10に組込まれている。巻枠20は粉末状のアルミナを充填したエポキシ樹脂から構成されており、ガスケット23が設置されている。 【0038】(2)作用図5のグラフは、雰囲気温度を変化させながら、導体1に対して、本実施形態にかかる電流計測装置の定格電流である8000Aの一定の交流電流を流し、2つの光ファイバ6,7のそれぞれの出力値を信号処理して電流値に変換した値を示している。ここでの値は、温度補正をする前の値を示したもので、横軸に計測時の雰囲気温度を、縦軸に2つの光ファイバで計測した被測定電流値を示している。 【0039】図5から判るように2つの光ファイバ6,7の出力は、いずれも計測の基準温度とした25℃で、定格電流である8000Aを示すが、次の表1に示したベルデ定数の温度特性に一致して両者の出力が変化する。すなわち、2つの異なった光学材料の光ファイバ6,7の出力差は、光学材料のベルデ定数の温度特性の違いに一致して一定した違いがある。 【0040】 【表1】
本実施形態では、信号処理回路16の出力差演算部24により、あらかじめ図5に示した雰囲気温度ごとの2つの光ファイバ6,7の出力差△Vを求めておき、補正係数選択部25がこの出力差△Vに応じて温度の補正係数を選択し、さらに記憶部27が出力差△Vに対応した補正係数を記憶しておくことができる。 【0041】そして、実際に導体1の通電電流量を計測する際には、まず信号処理回路16にて光ファイバ6,7の出力を電流値に変換し、出力差演算部2が光ファイバ6,7の出力差△Vを求めると、この出力差△Vに対応した補正係数を記憶部27より読出し、計測誤差補正部26光ファイバ6,7の一方の電流値に乗算することにより、計測誤差の補正を迅速に行うことができる。これにより、計測装置の設置される周辺温度が基準温度25℃を越えて極めて高かったり、あるいは極めて低かったりしても、適正な補正を行うことができ、高い精度で導体1の通電伝電流値を計測することが可能となる。 【0042】また、本実施形態においては、光スイッチ36が光ファイバ6,7からの出力を交互に読取り、これを同期信号線18を介して計測ユニット13内の信号処理回路16に送出するため、光スイッチ36からの出力と信号処理回路16の信号処理のタイミングを同期させることができる。したがって、計測ユニット13の読取る出力が光ファイバ6,7からのものかを即座に判定することができる。 【0043】さらに、本実施形態では光ファイバ6,7をシリコンゴム製の押さえ具8および支持具9で挟み、光ファイバ6,7をアクリル樹脂およびシリコンゴムを2重にコーティングする上に捻った構成としているため、温度が室温付近まで下がっても複屈折の発生を抑えることができ、低温特性を向上させつつ、光ファイバ6,7からの出力精度を高めることができる。 【0044】(3)効果以上のような本実施形態によれば、計測時の雰囲気温度が基準温度より変化する環境、具体的には送変電設備や変電所や配電盤での電流測定や高温機器における電流測定においても、スピーディに計測誤差を補正し、真の電流値を求めることができるため、極めて高い計測精度を発揮することができる。しかも、計測誤差補正手段として、温度調節機器や温度測定機器が不要であるため、経済的にも有利であり、且つ構造的にもコンパクト化が促進する。さらに、光による計測装置の重要な利点である電気絶縁性や誘導ノイズに対する強さを維持することができる。 【0045】(4)他の実施形態なお、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、次のような実施形態も包含する。すなわち、上記本実施形態では2種類の光ファイバ6,7について同じ巻回数で行ったが、請求項8に対応した実施形態として、表1に示した鉛と石英ガラスのベルデ定数の違いにの比、つまり1.462×10-5/2.48×10-6=5.9となることから、巻回数を1:6にして2つの光ファイバ6,7から得られる出力の換算係数(感度)を同じにものも提案することができる。このような実施形態によれば、得られる旋光角の数値が近い値にすることができるため、デ−タの取り扱いを容易にした上で、温度に対する測定の精度を向上させることができる。 【0046】逆に、2種類の光ファイバ6,7の巻回数を変えることで、別の効果を発揮させることも可能である。例えば、送変電用の電流計測器として用いる場合、通常、定格電流計測用(例えば、8000Aの電流の計測)と、短絡保護用(例えば、63000Aの電流の計測)とを、一箇所の電流計測位置において、大きさの異なる2種類の電流値を計測する必要がある。 【0047】この時、例えば、電流計測器の規格であるJEC 1201−1PS級であれば、短絡保護用は、10%の誤差を許容しているのに対し、定格計測用は1%の許容誤差と要求される精度が異なる。従来技術の計測によれば、下記の表2に示した光ファイバの旋光角と電流との関係が、鉛ガラス光ファイバ7の場合は、旋光角度の測定限界の45度(測定上の限界は、90度であるが、電流の+と−とを判定するために、その半分の45度が限界値となる。)を越えることになる。このことから、使用する光学材料によっては、電流計測値の計測範囲が限られるために計測精度に関係なく、2つの電流計測装置を用いる必要があった。 【0048】 【表2】
そこで、鉛ガラス光ファイバ7の巻回数を1回、石英ガラス光ファイバ6を1回から5回まで任意の回数から選んで設定することにより、定格電流域は本発明の特徴である温度補正を行って高精度に、短絡保護用は石英ガラス光ファイバ6の出力を温度補正を行うことなく用いても、前述のJECの規格を満足する光による電流計測装置が得ることができる。このような実施形態によれば、単なる2種類の光学素子を組合せた計測装置には無い経済的な効果を持つ光による計測装置を実現することができる。 【0049】また、上記の実施形態では、巻回数の異なる複数の光ファイバを用いて説明したが、互いに長さが異なる複数の光学ブロックを用いても、同じ作用効果を発揮できることは言うまでもない。 【0050】さらに、その他の物理量の計測についても同様であり、例えば、光学ブロックセンサを用いた光による電圧計測装置について説明する。光学ブロックセンサによる電圧計測に際しては、電気光学効果と呼ばれる下記の式(2)が利用されている。すなわち、【数2】δ=2π/λn0 3 γEL…(2) ここで、δ:XとY方向の光の振動成分の位相差 λ:レ−ザ光の波長n0 :屈折率 γ:ポッケルス定数 L:光学ブロックセンサ−の長さE:電界の強さを示した記号である。 【0051】ポッケルス定数γに基づく光学ブロックセンサでは、X方向とY方向の光の振動成分の位相差δを計測することにより、電界の強さEを求め、この値にセンサ−の厚さLを乗算することで、電圧値を求めることができる。ポッケルス定数γも、前記ベルデ定数と同様、やはり温度により特性が変化し、この場合も同様に計測時の温度が基準温度と異なった雰囲気で測定した値を補正できる。実際には、ポッケルス定数の温度特性の異なる2つの光学素子の出力差について、ポッケルス定数の温度補正係数を求め、あらかじめ半導体記憶装置に記憶しておき、計測時にこれを取り出し、この値を電圧値に乗算することにより、計測電圧の温度による変化を補正することができる。 【0052】さらに、他の実施形態における光学材料としては、石英ガラスや鉛ガラス以外に、As2 S2 、FR−5ガラス、Bi12SiO20、Bi12GeO20、YIG、LiNbO3 、ZnSなどのファラデ−効果やポッケルス効果を示す光学材料を用いても良い。これらは、光学定数の温度特性が異なることから、適当に選定した2種類以上の素子を組み合わせることで、本発明の効果を十分に発揮できる。 【0053】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の光による計測装置によれば、温度特性の異なる少なくとも2種類以上の光学素子を設け、被計測対象物の計測環境における雰囲気温度ごとに光学素子同士の出力差を求め、この出力差に応じて温度の補正係数を選択した上で、光学素子からの出力に対し補正係数を乗じて計測誤差を補正することができるため、計測環境の温度状況が厳しくとも、絶縁性および誘導ノイズに対する強さを維持しつつ、高精度の計測が可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)11月28日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】木内 光春
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| 【公開番号】 |
特開平11−160365 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)6月18日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−328774 |
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