| 【発明の名称】 |
2軸フラックスゲート型磁気センサ |
| 【発明者】 |
【氏名】山田 康晴
【氏名】吉見 健一
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| 【要約】 |
【課題】1つのセンサ素子により2軸方向への磁気を独立的に検出することができ、方位センサ等に適用して、角度誤差が生じず、所要スペースが千種区、かつ、コスト的にも有利な2軸フラックスゲート型磁気センサを提供する。
【解決手段】基板上に、磁性体薄膜からなるループ状コアと、そのループ状コアに巻回された導電体薄膜からなる励振コイルおよび検出コイルが形成されたフラックスゲート型磁気センサにおいて、励振コイル2はループ状コア1に対して一様に巻回するとともに、検出コイルはループ状コア1の1/4周ずつ4つに分割して巻回し、そのうち互いに対向するものどうし(3aと3b,および3cと3d)については、互いに逆向きに巻回して相互に接続した構造とすることで、共通のループ状コア1と共通の励振コイル2によって、実質的に2軸の感度軸を有する薄膜フラックスゲート型磁気センサを得る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板上に、磁性体薄膜からなるループ状のコアと、そのコアの上下に絶縁層を介して積層された導電体薄膜およびその上下の導電体薄膜のコンタクト部を有して当該コアをループの内外を通りつつ螺旋状に周方向に巻回する励振コイルおよび検出コイルが形成されてなるフラックスゲート型磁気センサにおいて、上記励振コイルは上記ループ状コアに周方向に一様に巻回されているとともに、上記検出コイルは、ループ状コアの1/4周ずつ4つに分割して巻回され、かつ、そのうちの対向する2つの検出コイルどうしが互いに逆向きに巻回されて相互に接続されていることを特徴とする2軸フラックスゲート型磁気センサ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば地磁気等の微小磁界を測定するフラックスゲート型磁気センサに関し、更に詳しくは、薄膜を用いた1つのセンサにより2軸方向の磁界を検出することができ、例えばナビゲーション用等の方位センサに用いるのに適した2軸フラックスゲート型磁気センサに関する。 【0002】 【従来の技術】フラックスゲート型磁気センサは、一般に、図6に模式的に示すように、磁性体からなるコア11に1つの励振コイル12と2つの検出コイル13a,13bを巻回した構造を持ち、2つの検出コイル13a,13bは相互に差動接続、つまり互いに逆向きに巻かれた状態でその一端どうしが接続される。 【0003】このようなフラックスゲート型磁気センサにおいては、励振コイル12に交流電流(励振電流)を流すことによってコア11に沿って発生する交流磁束が、各検出コイル13a,13bの内部を互いに逆向きに貫くことになる。この状態でセンサに外部磁気が作用すると、その磁気による磁束は各検出コイル13a,13bに対して同方向に作用するため、各検出コイル13a,13bを貫いている交流磁束は、結局、外部磁気によって互いに逆向きにバイアスがかかった状態となり、その検出コイル13a,13bの両端から、外部磁気に比例し、かつ、励振電流の2倍の周波数の交流電圧信号を取り出すことができる。この交流電圧信号を例えば交流増幅器で増幅し、整流した後に検波することによって、外部磁気に比例した電圧信号を得ることができ、感度が良好で温度に対して安定した磁気センサとなる。 【0004】また、この種の磁気センサは、図6に示したような棒状のコア11を持ついわゆるソレノイド型と称されるもののほか、図7に示すようなリング状のコア21を持つリングコア型と称されるものがある。なお、この図7では、図面の複雑化を避けるため励振コイルの図示を省略しているが、実際にはコア21を均一に励振するために、コア21の全体に、励振コイルが各検出コイル23a,23bの螺旋と交互の螺旋を描くように巻回される。 【0005】更に、このリングコア型のフラックスゲート型磁気センサとして、リングコア並びに励振コイルおよび各検出コイルを半導体製造技術を利用して薄膜で形成することにより、センサ素子を小型化し、かつ、磁気検出特性を向上させた、いわゆる薄膜フラックスゲート型磁気センサが提案されている(特開平7−191118号)。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところで、以上のような各フラックスゲート型磁気センサにおいては、外部磁界の磁束が検出コイルの内部を貫かなければこれを検出することはできず、従ってこの種の磁気センサには、図6,図7にそれぞれ矢印Sで示す感度軸が存在する。よってこの種の磁気センサを用いて地磁気を測定することにより、方位センサを得ようとする場合には、2軸方向の磁気を測定すべく、2つのフラックスゲート型磁気センサを互いに直交する姿勢で配置し、個々に信号を取り出す必要がある。このような手法によると、機械的な配置であるが故に誤差が生じ、方位に変換した場合の角度誤差が大きくなるという問題がある。 【0007】本発明の目的は、1つの素子により2軸方向への磁気を独立的に測定することができ、もって方位センサ等に適用して、角度誤差が生じず、しかも所要スペースが小さく、かつ、コスト的にも有利な2軸フラックスゲート型磁気センサを提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の2軸フラックスゲート型磁気センサは、基板上に、磁性体薄膜からなるループ状のコアと、そのコアの上下に絶縁層を介して積層された導電体薄膜およびその上下の導電体薄膜のコンタクト部を有して当該コアをループの内外を通りつつ螺旋状に周方向に巻回する励振コイルおよび検出コイルが形成されてなるフラックスゲート型磁気センサにおいて、以下の構成を採用している。 【0009】すなわち、励振コイルはループ状コアにそのループの内外を通りつつ螺旋状に周方向に一様に巻回する一方、検出コイルは、ループ状コアの1/4周ずつ4つに分割して巻回し、かつ、そのうちの対向する2つの検出コイルどうしは、互いに逆向きに巻回して相互に接続する、という構成を採用している。 【0010】ここで、本発明においては、ループ状のコアは2軸対称の形状をしていれば、その平面形状は正方形、円形等、任意である。本発明は、半導体製造技術を利用して、高精度の加工が可能な薄膜フラックスゲート型磁気センサにおいて、1つのループ状コアに、互いに直交する2軸用の検出コイルを巻回することにより、2軸の直交精度を向上させると同時に、1つのコアとその励振コイルを共通にして、実質的に1つのセンサで直交2軸の磁気を検出することを可能とし、所要スペースの削減とコストダウンを達成しようとするものである。 【0011】本発明の構成によると、検出コイルはループ状コアの1/4周ずつ4分割されて巻回され、そのうち互いに対向するものどうしが逆巻きで相互に接続された構成を有し、これは、1軸用のフラックスゲート型磁気センサの一組の検出コイルを、互いに直交させて共通のループ状コアに巻回したものであり、各組の検出コイルの出力を独立的に取り出すことで、実質的に1つのセンサ素子によって、互いに直交する2軸をそれぞれ感度軸とする2つのフラックスゲート型磁気センサを構築することができる。そして、ループ状コアを1/4周ずつ巻回する4つの検出コイルは、コアおよび励振コイルを含めて、フォトリソグラフィ技術等をはじめとする半導体製造技術を利用して薄膜によって形成されているため、相互の角度(姿勢)誤差を極めて小さくすることができ、所期の目的を達成できる。 【0012】 【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態の構成を示す模式図であり、(A)はループ状コア1に励振コイル2のみを巻回した状態、(B)は同ループ状コア1に第1軸用の2つの検出コイル3a,3bのみを巻回した状態、(C)は同ループ状コア1に第2軸用の検出コイル3c,3dのみを巻回した状態で示している。また、これらの図では、各コイル2,3a,3b,3cおよび3dは線状に図示しているが、実際には、これら各コイルは、後述するように、ループ状コア1を含めて薄膜によって形成されている。 【0013】磁性体からなるループ状コア1は、この例においては正方形であって、その周方向に励振コイル2がループの内外を通りつつ螺旋状に一様に一貫して同一の向きに巻回さている。 【0014】ループ状コア1にはまた、各辺に対応して合成4つの検出コイル3a,3b,3cおよび3dが巻回されており、そのうち、互いに対向する2辺の検出コイル3aと3b、および、3cと3dは、それぞれ逆向きに巻回されて相互に接続されており、検出コイル3aと3bが第1軸用の検出コイル対を、検出コイル3cと3dがその第1軸と直交する第2軸用の検出コイル対を構成している。ここで、図1では図面の複雑化を避けるために(A)〜(C)それぞれに励振コイル2のみ、第1軸用の検出コイル対3a,3bのみ、および第2軸用の検出コイル対3c,3dのみを個別に巻回した状態で示しているが、実際には検出コイル3a〜3dと励振コイル2は、一つのループ状コア1を共有した状態で巻回されている。 【0015】すなわち、各検出コイル3a〜3dは、ループ状コア1に対して、励振コイル2の螺旋と交互の螺旋を描くように巻回されている。以上のループ状コア1、励振コイル2、および各検出コイル3a〜3dは、基板上に薄膜を積層することによって形成されているのであるが、以下、その具体的な積層構造と製造手順について述べる。 【0016】この例においては、ループ状コア1を形成した層の上下に、図2(A)に部分的に示すようなパターンを有する上部配線層Uと、同図(B)に部分的に示すようなパターンを有する下部配線層Lを、それぞれ絶縁層(図示せず)を介して形成し、その上下の配線層UとLを適宜箇所において接続することにより、励振コイル2および各検出コイル3a〜3dを形成している。 【0017】すなわち、上部配線層Uは上部の励振コイル用パターンU2と上部の検出コイル用パターンU3によって構成され、下部配線層Lは下部の励振コイル用パターンL2と下部の検出コイル用パターンL3とからなっている。そして、上下の励振コイル用パターンU2,L2は、図3(A)に該当部分だけ抽出した模式的斜視図を示すように、上下の配線層U,L間に介在する層を貫通するコンタクトホール内に形成されたコンタクト部C2によって接続され、全体としてループ状コア1を巻回する励振コイル2を構成している。また、上下の検出コイル用パターンU3とL3は、図3(B)に該当部分だけ抽出した模式的斜視図を示すように、同じく上下の配線層U,L間に介在する層を貫通するコンタクトホール内に形成されたコンタクト部C3によって接続され、全体としてループ状コア1を巻回する検出コイル3a(または3b,3c,3d)を構成している。 【0018】ここで、ループ状コア1は、等方性膜を用いるか、あるいは直交する第1および第2軸方向への等磁率が互いに等しくなるように異方性をつけた膜が使用される。 【0019】以上の薄膜を用いた3次元構造は、以下の手順により得ることができる。図4はその製造手順の説明図である。まず、(A)に示すように、例えば溶融石英からなる基板100の表面に、例えばCu薄膜をdcマグネトロンスパッタ等により成膜(膜厚2μm)し、例えばフォトリソグラフィとイオンビームエッチングを用いたパターニングにより、下部の励振コイル用パターンL2および検出コイル用パターンL3からなる下部配線層Lを形成するとともに、その配線間の溝は例えば蒸着SiO2 膜にて埋め、リフトオフ方によって平坦化する。 【0020】次に、例えばSiO2 とパーマロイを順にスパッタ法によって成膜し、上記と同様の方法によってパーマロイをパターニングして、(B)に示すように下部絶縁層LIと、正方形状のループ状コア1を形成する。 【0021】次に、SiO2 をスパッタ成膜して(C)のように上部絶縁層UIを形成し、その上部絶縁層UIおよび下部絶縁層LIに対して、(D)に示すように、例えばイオンビームエッチングにて、下部配線層Lの各パターンL2,L3の一端部に相当する位置にそれぞれコンタクトホールCを穿った後、Cu薄膜200をスパッタ成膜する。その後、そのCu薄膜200をフォトリソグラフィとイオンビームエッチング等によってパターニングすることで、(E)に示すように、上部の励振コイル用パターンU2および検出コイル用パターンU3からなる上部配線層Uと、コンタクトホールC内に形成されて上下の励振コイル用パターンU2,L3を繋ぐコンタクト部C2と、同じくコンタクトホールC内に形成されて上下の検出コイル用パターンU3とL3を繋ぐコンタクト部C3を形成する。 【0022】以上のような工程により、図1(A)〜(C)に模式的に示したように、ループ状コア1と、その周囲を一様に螺旋状に巻回する励振コイル2と、その励振コイル2の螺旋と交互に配置されて同じくループ状コア1の周囲を1/4周ずつ巻回する検出コイル3a〜3dを、それぞれ薄膜によって形成することができ、しかも、リソグラフィ技術等を用いて各コイルパターンを形成するが故に、各検出コイル対3aと3b、および、3cと3dとの直交精度を極めて高精度にすることができる。 【0023】さて、以上の構成において、1つの励振コイル2に交流電流を流すことによってループ状コア1が励振され、これによって発生する交流磁束が、第1軸用の検出コイル3aと3bの内部を互いに逆向きに貫くと同時に、第2軸用の検出コイル3cと3dの内部をも互いに逆向きに貫く。 【0024】この状態で外部磁気が作用すると、そのうちの第1軸方向への成分は検出コイル3a,3bに対して同方向に作用するから、これらの検出コイル3a,3bを貫いている交流磁束は第1軸方向への外部磁気により互いに逆向きにバイアスがかかった状態となり、その両端から第1軸方向への外部磁気に比例した交流電圧信号を取り出すことができる。また、外部磁気の第2軸方向への成分は、検出コイル3c,3dに対して同方向に作用し、これはらの検出コイル3c,3dを貫いている交流磁束は第2軸方向への外部磁気により互いに逆向きにバイアスがかかった状態となって、その両端から第2軸方向への外部磁気に比例した交流電圧信号を取り出すことができる。 【0025】従って、この実施の形態によれば、実質的に1つのセンサ素子により、互いに直交する2軸方向への磁気を検出することができ、しかも、その各感度軸の交差精度は極めて高精度なものとなる。 【0026】なお、以上の実施の形態においては、ループ状コア1を正方形状のループとした例を述べたが、本発明におけるループ状コアは正方形状に限定されることなく、他の2軸対称形状、例えば円形であってもよい。この場合、4つの検出コイル3a〜3dは、図5に示すように、円形のコアを4分割する領域A1〜A4のそれぞれに巻回すればよい。 【0027】また、以上の実施の形態においては、励振コイル1と各検出コイル3a〜3dを共通の上部配線層および下部配線層に形成してそれぞれにコンタクトをとった例を示したが、励振コイル用の上部配線層並びに下部配線層と、検出コイル用の上部配線層並びに下部配線層とを、それぞれ別の層に形成してもよいことは勿論である。 【0028】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、ループ状コア並びに励振コイルおよび検出コイルのそれぞれを薄膜によって形成したフラックスゲート型磁気センサにおいて、1つのループ状コアに一様に励振コイルを巻回するとともに、そのループ状コアの1/4周ずつにわたって合計4つの検出コイルを巻回し、そのうち互いに対向するものどうしについては、巻回の向きを逆向きにし、かつ、相互に接続した構造としているから、実質的に1つのフラックス型磁気センサによって、互いに直交する2軸の感度軸を有する磁気センサを得ることができ、しかも、その2つの感度軸の直交精度は、各検出コイルが薄膜を用いて形成されているが故に、フォトリソグラフィ技術等を適用して容易に高精度化することが可能である。 【0029】以上のことから、本発明によれば、従来のように2個のフラックスゲート型磁気センサを直交配置して2軸方向への磁気成分を検出する場合に比して、所要スペースを削減し、かつ、製造コストを低減して、しかもその角度誤差を大幅に少なくすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001993 【氏名又は名称】株式会社島津製作所
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月27日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】倉内 義朗
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| 【公開番号】 |
特開平11−23683 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月29日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−172356 |
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