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【発明の名称】 バーイン装置の基板挿入機構
【発明者】 【氏名】佐藤 邦夫

【要約】 【課題】多少傾いた基板であっても挿入が可能であり、しかも、過大荷重がかかった場合には、損傷を回避することを可能にする。

【解決手段】試験室11内に配置された複数のコネクタに、試験対象品22が搭載された複数の基板21を挿入するバーイン装置の基板挿入機構であって、試験室の開口部両側に配置され、挿入駆動される一対の主軸100と、各主軸100に設けられた複数のベース体104と、各ベース体104と所定の摩擦力をもって接触し、基板の端部を押圧するアーム110とを備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 試験室内に配置された複数のコネクタに、試験対象品が搭載された複数の基板を挿入するバーイン装置の基板挿入機構において、前記試験室の開口部両側に配置され、挿入駆動される一対の支持体と、前記各支持体に設けられた複数のベース体と、前記各ベース体と所定の摩擦力をもって接触し、前記基板の端部を押圧するアーム体とを備えたことを特徴とするバーイン装置の基板挿入機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試験室内で半導体デバイスなどの試験対象品の信頼性などの試験を行なうバーイン装置に使用され、その試験対象品を搭載した基板を試験室に挿入するバーイン装置の基板挿入機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のバーイン装置は、試験対象品(供試品)が搭載された基板を上下複数段に並べて、基板挿入機構によって試験室内に挿入し、それに伴って、各基板が試験室内に設けられたコネクタに接続されるようになっている。
【0003】特開昭62−2176号の基板挿入機構は、モータ駆動により駆動される回転軸に複数のアーム体を固定した構造になっており、これらの各アーム体により各基板を同時に押し込むようになっている。しかし、この基板挿入機構は、アーム体がモータに連結された回転軸に固定されているために、基板又はコネクタに異常があって、両者間に位置ずれがあるような場合に、アーム体が強引に押し込み動作を続け、破損をきたすおそれがあった。基板は、供試品を載せかえて、複数回使用するので、次第に変形などを起こす可能性が多くなる。
【0004】この問題を解決するために、特公平6−82145号は、基板とコネクタとの位置ずれなどの原因により過大荷重がかかると、係合子が受け孔からはずれ、ベース体とアーム体の係合が解除される構造の挿入機構を提案している。
【0005】図5は、特公平6−82145号のバーイン装置を示す図である。試験室11は、断熱材12によって囲まれており、開口側には断熱扉が設けられ、奥側には、コネクタ(不図示)が上下方向に複数段配置されている。試験室11は、左右両側に、前後一対の支柱(不図示)が設けられており、これらの支柱の対向面には、左右方向で対向して配置された複数の案内部17が設けられている。
【0006】基板21は、上面に複数の半導体デバイスなどの供試品22が搭載されると共に、左右両側縁部が左右の案内部17に係合されて、試験室11内に上下複数段に並べて挿入・離脱され、前記コネクタに着脱自在に接続される。
【0007】挿入機構26は、試験室11の前側に設けられ、基板21を試験室11内の奥に向けて挿入して、前記コネクタにそれぞれ接続する機構である。なお、奥側には、基板21を前方へ抜去してコネクタから外する抜去機構(不図示)が設けられている。
【0008】挿入機構26は、試験室11の最上部の左右方向に配置され、一端部にギヤ32が設けられた駆動軸31と、出力軸34に設けられたギヤ35がギヤ32に噛み合う駆動源としてのモータ33と、支柱の前方に上下方向に伸び、上端部のベベルギア37が駆動軸31のベベルギヤ38と噛み合う回転軸36と、各案内部17に対応して回転軸36に固定された複数のベース体41と、このベース体41の軸部44に設けられたアーム体45などを備えている。
【0009】ベース体41とアーム体45には、複数の貫通孔51と受け孔52とがそれぞれ形成されている。各貫通孔51には、ボール53が上下に移動自在に挿入されており、このボール53は、押しねじ54との間に挿入されたばね55により、上方に付勢されている。また、受け孔52は、ボール53よりも径が小さく、下方からボール53が係合・離脱することができる。
【0010】アーム体45は、上端部に基板21を後方へ押圧するローラ48が支持軸49に設けられている。このアーム体45は、基板とコネクタとの位置ずれなどの原因により過大荷重がかかると、ボール53が受け孔52から外れて、ベース体41との係合が解除される。従って、アーム体45は、回転せずにベース体41のみが回転するので、基板やコネクタが損傷することがない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来のバーイン装置は、基板が挿入される場合に、基板が変形などしていなくても、コネクタに対して多少なりとも傾いていることが多く、挿入機構によって、そのまま挿入動作が続けられると、ますます傾いてしまい、正常な基板であっも、過大荷重となって、アーム体とベース体の係合が解除されてしまい、挿入エラーとなってやり直しとなり、作業効率が悪い、という問題があった。また、傾いている場合などには、左右いずれかのアーム体がすぐに係合解除されてしまい、挿入エラーとなる基板が多くなってしまう。つまり、変形などしておらず、本来挿入されるべき基板も、傾いているために、挿入できないくなるという問題があった。
【0012】本発明の課題は、多少傾いた基板であっても挿入が可能であり、しかも、過大荷重がかかった場合には、損傷を回避できるバーイン装置の基板挿入機構を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、請求項1の発明は、試験室内に配置された複数のコネクタに、試験対象品が搭載された複数の基板を挿入するバーイン装置の基板挿入機構において、前記試験室の開口部両側に配置され、挿入駆動される一対の支持体と、前記各支持体に設けられた複数のベース体と、前記各ベース体と所定の摩擦力をもって接触し、前記基板の端部を押圧するアーム体とを備えたことを特徴とするバーイン装置の基板挿入機構である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面等を参照して、本発明の実施の形態について、さらに詳しくに説明する。図1は、本発明によるバーイン装置の基板挿入機構の第1実施形態を示す図、図2は、アームユニットを抜き出して示した斜視図である。この基板挿入機構は、図1に示すように、左右の主軸100と、主軸100に固定された複数のトルクリリースアームユニット(以下、アームユニット)103とを備えている。
【0015】アームユニット103は、2枚の基板21ごとに1つずつ配置されており、主軸100に挿入され、ねじ105によって固定されるつば部104a、軸部104b及びねじ部104cを有するベース体104と、ベース体104の軸部104bに挿入され、緩み止めワッシャ106と、皿ばね107及び平ワッシャ108を挟んで挿入され、さらにその上側からスラストワッシャ108、皿ばね107を挟んでねじ部104cにナット110でねじ止めされたアーム110などを備えている。アーム110は、皿ばね107によって、ベース体104に対して、所定の摩擦力(摺動抵抗)をもって、駆動される。
【0016】アーム110は、先端部に貫通して設けられたローラ軸111と、ローラ軸111の上下に設けられ、カラー113を介して、Eリング114で止められたローラ112などとを備えている。ローラ112は、真鍮製のものが用いられており、アーム110がスイングするときに、基板21に対して、摺動性がよくなるように用いられている。
【0017】図3は、第1実施形態に係る基板挿入機構の駆動特性を示す線図である。この基板挿入機構は、左右の駆動軸の回転によって、主軸100が回転すると、一体に設けられたアームユニット103のローラ112が上下2段の基板21の後端を押していく。このときに、いずれかの基板21がコネクタに対して傾いていた場合に、まず、各アームユニット103は、過大荷重F1となって、アーム110が滑り始める。しかし、図3(A)に示すように、伝達力P1を保持したままで、押し続けることができる。従って、基板21の傾きを修正しつつ、押し込んでいくことができる。また、人間が左右の手によって、交互に手加減(調整)しながら押し込んでいくように、左右のバランスを取りながら押し込んでいく。一方、従来例の機構は、図3(B)に示すように、伝達力Pが零になってしまうので、少し傾いていた場合であっても、挿入エラーとなってしまう。
【0018】もちろん、基板21が変形などしている場合には、P1の伝達力のまま押し続けるが、駆動力F1が破壊の起こらない力で滑っているので、基板21やコネクタ又は挿入機構が損傷を起こすことはない。
【0019】例えば、1枚の基板をコネクタに挿入するのに、Pの力が必要であるとする。このバーイン装置は、18枚の基板を挿入できるとすると、約18Pの力が必要となる。この力が傾いた基板にかかると、基板やコネクタは損傷を起こすこととなる。このときに、アーム110とベース104の滑り出す力は、2枚の基板を挿入できるように、2Pに設定してある。基板やコネクタは、2〜3倍の安全率がとってあるので、2Pの力がかかっても、損傷することはない。従って、アーム110は、滑りながら、挿入に必要な約2倍の力を維持することができるので、傾きを調整しながら、押し込むことができる。
【0020】(第2実施形態)図4は、本発明によるバーイン装置の基板挿入機構の第2実施形態を示す図である。なお、前述した実施形態と同様な機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。第2実施形態は、ベース204に軸204bが嵌合固定されており、上下に、皿ばね207、ワッシャ208を挟んで、アーム210がナット209によって固定されている。
【0021】第2実施形態は、アーム210が1つの基板21に対して、単独に滑れるようになっているので、摩擦力の設定を小さくすることができる。また、アーム210は、押圧部210aが形成されているのみで、ローラを省略してあるので、コストダウンを図ることができる。
【0022】(他の実施形態)以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。支持体は、主軸の回転によって駆動する例で説明したが、シリンダ等によって、直線的に駆動してもよい。また、主軸を、他の回転軸で旋回させるようにしてもよい。
【0023】また、ベース体とアーム体は、回転する例で説明したが、スライドするような構造であってもよい。さらに,ベース体に対して、3個又はそれ以上のアーム体を設けるようにしてもよい。
【0024】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、本発明によれば、基板がコネクタに対して傾いている場合であっても、左右のアーム体が滑りながらも所定の摺動抵抗もって押していくので、左右のバランスをとって、傾きを修正しながら、挿入することができる。
【出願人】 【識別番号】000145806
【氏名又は名称】株式会社小野測器
【出願日】 平成9年(1997)6月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 久男
【公開番号】 特開平11−23649
【公開日】 平成11年(1999)1月29日
【出願番号】 特願平9−172293