| 【発明の名称】 |
碍子急速汚損検知装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】武井 弘和
|
| 【要約】 |
【課題】碍子の急速汚損を検知できる装置を得る。
【解決手段】実碍子の近辺に複数のパイロット碍子1を配置し、各パイロット碍子の下面中央部に第1の電極2を設け、ひだ部に第2の電極3を設ける。第2の電極は、パイロット碍子が配置されたときに、第1の電極に対して異なる方角に位置するように配置される。各パイロット碍子ごとに第1の電極と第2の電極間に電圧を印加する手段と、各電極間に流れる漏れ電流を測定する手段が設けられる。台風などにより海塩が碍子に付着する場合、風下の部分に多く付着する。判定手段は、測定手段が測定した漏れ電流の大きさを各パイロット碍子相互間で比較して、各漏れ電流値に大きな差が発生したとき、急速汚損が発生したと判定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 汚損を検知しようとする実碍子の近辺に配置される複数のパイロット碍子と、この各パイロット碍子の下面中央部に設けられた第1の電極と、前記各パイロット碍子のひだ部に設けられ、検知のために配置されたときに、それぞれが異なる方角に位置するように配置される第2の電極と、前記各パイロット碍子ごとに、前記第1の電極と前記第2の電極間に電圧を印加する手段と、前記各パイロット碍子ごとに、各電極間に流れる漏れ電流を測定する手段と、この測定手段により測定した各パイロット碍子ごとの漏れ電流の大きさを比較することにより、碍子の急速汚損の有無を判定する手段とを具備することを特徴とする碍子の急速汚損検知装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、送変電機器に使用される碍子の汚損を検知するための装置に関し、特に、台風或いは季節風などにより碍子が急速に汚損された場合にその急速汚損を確実に検知する碍子急速汚損検知装置に関する。 【0002】 【従来の技術】送変電機器に使用される碍子は、長時間使用することにより碍子に汚損物が付着し、この汚損の進行により絶縁性能が劣化する。これを放置すると送変電機器の重大な事故に発展することがあるので、事故を未然に防止するための碍子の汚損を検知する装置が種々提案されている。 【0003】従来の碍子汚損検知装置としては、露点式汚損検出器、SB(Steam Bowl)式碍子汚損検出器などがある。露点式汚損検出器による汚損検知は、汚損を検知しようとする碍子(本明細書ではこれを「実碍子」という。)と同一形状とされかつ電子冷却素子を組み入れたパイロット碍子を実碍子の近辺に配置する。これにより、パイロット碍子の汚損度は実碍子の汚損度と同程度になる。実碍子の汚損を検知しようとするときは、電子冷却素子を露点以下に冷却することにより空気中の水分を集めて、パイロット碍子に付着している汚損物を強制的に湿潤させ、この状態で碍子の漏れ抵抗を測定する。 【0004】SB式碍子汚損検出器による汚損検知は、実碍子と同一形状のパイロット碍子を実碍子の近辺に配置し、その下部に蒸発皿を置く。実碍子の汚損を検知しようとするときは、蒸発皿から蒸気を発生させてパイロット碍子の下面を強制的に湿潤させた状態で碍子の下面の漏れ抵抗を測定する。上記各検出器共に、測定した漏れ抵抗が所定値以下となったときに、実碍子が汚損されたと判定して、実碍子の洗浄などの必要な措置をとる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】送変電機器においては、台風又は季節風などにより海塩が飛来して碍子表面に付着し、碍子が急速に汚損されることがある。上記従来の各碍子汚損検出器では、このような碍子の急速汚損を検知できない。これに対し、碍子の急速汚損が検知できれば、碍子の洗浄などの対策を講じて事故を未然に防止することができる。 【0006】本発明は、碍子の急速汚損を検知できる装置を得ることを目的とするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するためになされたものである。本発明においては、汚損を検知しようとする実碍子の近辺に複数のパイロット碍子を配置する。この各パイロット碍子の下面中央部に第1の電極を設け、碍子のひだ部に第2の電極を設ける。この第2の電極は、パイロット碍子が実碍子の汚損検知のために配置されたときに、各パイロット碍子ごとに、第1の電極に対して異なる方角に位置するように配置される。 【0008】また、各パイロット碍子ごとに、第1の電極と第2の電極間に電圧を印加する手段と、各電極に流れる漏れ電流を測定する手段を設ける。そして、判定手段により、測定手段が測定した漏れ電流の大きさを各パイロット碍子相互間で比較する。ここで、台風又は季節風などにより海塩が碍子に付着する場合、海塩は風下の部分に多く付着する。このように特定の方角に海塩が付着した場合、その方角に第1及び第2の電極が配置されると漏れ電流が多く流れることとなる。そして、各パイロット碍子は、第1電極に対する第2電極の方角が異なるように配置されているのであるから、海塩が多く付着した方角に第2電極が配置されたパイロット碍子は、他の碍子と比較して漏れ電流が多く流れることとなる。 【0009】したがって、判定手段において各パイロット碍子ごとの漏れ電流の大きさを比較して、あるパイロット碍子における漏れ電流が他のパイロット碍子における漏れ電流に比べて大きくなったときに、急速汚損が発生したと判定することができる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。図1は碍子急速汚損検知装置の構成を示す。図1において、1はパイロット碍子である。本例においては、パイロット碍子は4個使用されるので、以下の説明においては、必要に応じて参照符号として1n,1s,1e,1wを付して、それぞれを区別することがある。 【0011】図2に、パイロット碍子の構造を一部断面で示す。パイロット碍子1は、その下面の中央に設けられた中心電極2と、碍子の下面に形成されたひだ部に設けられたひだ部電極3を有する。なお、図示の例では、ひだ部電極3は最も外側に形成されたひだ部に配置されているが、その配置位置は任意に設定することができる。 【0012】パイロット碍子1は、実碍子(図示省略)の近辺に配置される。したがって、パイロット碍子は、実碍子とほぼ同じ環境に置かれることにより同程度に汚損が進行するので、パイロット碍子1の汚損を検知することにより、実碍子の汚損を推定することができる。図3はパイロット碍子1を実碍子の近辺に配置した場合の状況を、碍子の下から見上げた状態で示している。図3においては、図示上方が北であるとする。 【0013】各パイロット碍子1は、中心電極2を中心とした場合に、ひだ部電極3がそれぞれ異なる方角に位置するように配置される。すなわち、第1のパイロット碍子1sでは、ひだ部電極3が中心電極2の南の方角に位置するように配置され、以下同様に、第2のパイロット碍子1eでは東の方角、第3のパイロット碍子1nでは北の方角、第4のパイロット碍子1wでは西の方角に位置するように配置される。 【0014】図1に戻り、各パイロット碍子1のひだ部電極3は共通に接続されて、電源4の一方の端子に接続される。各パイロット碍子1の中心電極2は、それぞれ、変流器5を通して電源4の他方の端子(接地側)に接続される。変流器5の二次捲線が判定装置6に接続される。この判定装置6は、マイコンなどにより構成され、各変流器5により測定される漏れ電流値を、パイロット碍子相互間で比較する。 【0015】電源4は、各パイロット碍子1の電極2,3間に常時電圧を印加する。したがって、中心電極2とひだ部電極3の間には、パイロット碍子1の汚損度に応じた漏れ電流が流れ、この漏れ電流は変流器5により検出され、変流器5の出力電流は判定装置6に入力される。図4に、台風又は季節風などにより海塩がパイロット碍子に付着するときの付着状況を示す。なお、図4は碍子を側面から見た図である。 【0016】台風又は季節風などに伴う海塩は、風の影響を受けて、碍子の上面及び下面(ひだ部)の両方において、風下側の部分7に集中して付着する。図5に示すように、碍子下面をA,B,C,Dの4つの方角に分割して考えると、例えば風がA側から吹くと、海塩はC側に多く付着する。したがって、中心部から周辺部へ電圧が印加された場合、他のA,B,D部分と比較して、Cの部分には漏れ電流が多く流れることとなる。 【0017】図3に戻ると、図3は強風が北側から吹いている状態を示している。この状態では、各パイロット碍子1においては、参照符号7で示すように、南側に多く海塩が付着する。ここで、中心電極2に対してひだ部電極3が南の方角に配置されているのは、パイロット碍子1sである。したがって、パイロット碍子1sにおいては、電極2,3間の漏れ電流が多くなり、その他のパイロット碍子1n,1e,1wでは漏れ電流が少ない。 【0018】各パイロット碍子1における漏れ電流は、それぞれ変流器5により検出されて、判定装置6に入力される。判定装置6では、各パイロット碍子1における漏れ電流の値を相互に比較する。そして、パイロット碍子1sの漏れ電流が他のパイロット碍子1n,1e,1wの漏れ電流に比べて、所定値以上大きくなっていることが検出されると、台風又は季節風などにより実碍子に海塩が付着して、急速汚損が発生したと判定し、警報などの必要な信号を出力する。 【0019】なお、以上説明した例では、風が北から吹くと仮定して説明をしているが、本例の装置は、風が吹く方角に関係なく同様の検知ができるものである。4つのパイロット碍子における漏れ電流を相互に比較し、漏れ電流の差が所定値を超えた場合に、急速汚損が発生したと判定することができる。一方、台風又は季節風などによる急速汚損が発生していない場合は、各パイロット碍子1では、その下面のひだ部に、方角に関係なく均等に汚損物が付着する。したがって、この場合は4つの変流器5により測定される漏れ電流の値はほぼ等しい値となるので、判定装置6において各パイロット碍子1ごとの漏れ電流を比較したとき、大きな差は検出されない。そこで、判定装置6は実碍子に急速汚損が発生していないと判定する。 【0020】以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されて解釈されるものではない。例えば、パイロット碍子の数は4個に限らず、任意の複数個とすることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000003942 【氏名又は名称】日新電機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月3日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】石田 敬 (外3名)
|
| 【公開番号】 |
特開平11−23643 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月29日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−178406 |
|