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【発明の名称】 絶縁不良検出装置
【発明者】 【氏名】山根 敏則

【氏名】前川 博敏

【要約】 【課題】絶縁を必要とする複数の電源マイナス端子間の絶縁抵抗不良を安価な回路構成で高精度に検出及び判定する。

【解決手段】マイクロコンピュータ1から矩形波を出力し、絶縁抵抗3とコンデンサ5とで形成される微分回路で微分処理し、走行用バッテリ2のマイナス端子と車体アース間の直流的な絶縁性を損なわない波形整形用微分回路6に通した後、半波整流回路7により前記微分波形を半波整流し、積分回路8にて半波整流した前記微分波形を平均化してDC電圧にし、増幅器9にて増幅後、マイクロコンピュータ1に入力して、内部記憶装置10と比較することで絶縁抵抗3の大小を判定するようにするものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁を必要とする1又は複数の電源マイナス端子間の絶縁抵抗不良を検出する絶縁不良検出装置であって、絶縁抵抗を検出するため発振波を発する発振手段と、電源マイナス端子とアース間の直流的な絶縁性を損わないように上記発振波を波形整形する微分回路と、上記微分された波形を平均化する積分回路と、この平均化された波形により絶縁抵抗の大小を判定する判定手段を備えたことを特徴とする絶縁不良検出装置。
【請求項2】 絶縁を必要とする1又は複数の電源マイナス端子間の絶縁抵抗不良を検出する絶縁不良検出装置において、矩形波を出力すると共に絶縁抵抗の大小を判定する手段を内蔵しているマイクロコンピュータと、上記マイクロコンピュータの矩形波が入力されるとともに電源マイナス端子及びアースとの間に接続され上記絶縁抵抗を検出するためのコンデンサと、電源マイナス端子とアース間の直流的な絶縁性を損わないように上記矩形波を波形整形する微分回路と、上記微分回路により微分された波形を平均化し、この平均化された波形を上記マイクロコンピュータに入力する積分回路とを備えたことを特徴とする絶縁不良検出装置。
【請求項3】 電源マイナス端子の絶縁抵抗値が不良の場合は警告を発する警告手段を備えた請求項1又は請求項2記載の絶縁不良検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、絶縁を必要とする複数の電源を搭載した機器において、互いの電源のマイナス端子の絶縁抵抗を検出し、絶縁不良を警告するものであり、例えば、人体が走行用バッテリにより感電するのを防止する電気自動車の安全装置における絶縁不良検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は、例えば特公昭57−21921号公報に示された従来の絶縁抵抗検出回路のブロック図であり、図において、21は蓄電池よりなる直流の走行用電源、22は電磁開閉器の接点部分で走行用電源スイッチとしての2つの接点22a,22bよりなる。23はチョッパ回路で逆方向は常時導通の第1,第2の逆導通サイリスタ23a,23b、転流リアクトル23cおよび転流コンデンサ23dよりなる。24は走行用電動機、25は走行用電動機24のフライホイールダイオードであり、以上の回路構成により主回路をなす。
【0003】26は蓄電池よりなる直流の補機電源、27は絶縁抵抗検出回路で、プログラマブルユニジャンクショントランジスタ(商品名)よりなるNゲートサイリスタ(以下単に「PUT」という)27a、このPUT27aのゲートバイアスを決めてPUT27aの導通アノード電位を決定するための抵抗27b,27c、PUT27aの発振周期を決定するための抵抗27dおよびコンデンサ27e、このコンデンサ27eの放電時の時定数を決定してPUT27aの出力パルス幅を決定すると共に、このPUT27aのアノード電流が過大にならない様に制限する抵抗27f、および走行用電動機24の前記接点22a,22b以降の通電回路であるA点とコンデンサ27eとの間に接続した高抵抗27gにより構成される高抵抗検出器27hと、この高抵抗検出器27hのPUT27aの発振周波数に応じた電圧値の出力を発生する周波数−電圧変換器28と、この周波数−電圧変換器28の出力電圧が設定値以下になると出力信号を発生する比較器29とよりなる。
【0004】30は安全対策手段としての警報ランプ点灯回路で、運転者に警報するための警報ランプ30a、この警報ランプ30aを点灯させるためのランプ駆動用トランジスタ30b,入力抵抗30cおよびベース・エミッタ抵抗30dとよりなる。31は通電されることにより前記接点22a,22bを連動させて閉成させるための電磁開閉器の励磁コイル、32は励磁コイル通電制御回路で、励磁コイル31への通電を制御するためのトランジスタ32a,入力抵抗32b、ベース・エミッタ抵抗32cおよび励磁コイル31のフライホイールダイオード32dとよりなる。
【0005】33は安全対策手段としての電源開放制御回路で、励磁コイル通電制御回路32の入力を短絡するためのトランジスタ33aの入力抵抗33bおよびベース・エミッタ抵抗33cとよりなる。34は主回路のA点と車体との間の絶縁抵抗、35は励磁コイル通電制御回路32の入力端子で図示せぬキースイッチを閉成した状態において走行用電動機24を回転するための諸条件が満足されているときに信号が印加されるものである。そして、補機電源26の一端は車体にアースしてあると共に、この補機電源26に対して走行用電源21は浮動状態となしてあり、主回路のA点とコンデンサ27eとの間に接続した高抵抗27gの抵抗値は主回路と補機電源26との間の絶縁抵抗に見合った大きな値にしてある。
【0006】次に、動作について説明する。まず主回路部分の動作を説明する。励磁コイル通電制御回路32の入力端子35に信号が印加されており、そのトランジスタ32aが導通して電磁開閉器の励磁コイル31に補機電源26より電圧が印加されていて、その両接点22a,22bが閉じているとき、まず第2の逆導通サイリスタ23bがトリガされ、転流リアクトル23c,転流コンデンサ23d,第2の逆導通サイリスタ23bおよび走行用電動機24を通して前記コンデンサ23dが走行用電源21によって図示極性に充電される。次に走行用電動機24に給電すべく第1の逆導通サイリスタ23aをトリガする。
【0007】これによって、第1の逆導通サイリスタ23aを介して走行用電源21より走行用電動機24に給電されると共に、転流コンデンサ23dの充電電荷は転流リアクトル23c、第1、第2の逆導通サイリスタ23a,23bを通して振動し、このコンデンサ23dは図示極性と逆の極性に充電される。この状態で走行用電動機24への給電を遮断する場合には、第2の逆導通サイリスタ23bをトリガすると、前記コンデンサ23dの充電電荷は第2、第1の逆導通サイリスタ23b,23a、転流リアクトル23cを通して振動し、第1の逆導通サイリスタ23aをターンオフして再び図示極性にコンデンサ23dは充電される。以上の動作を繰り返し走行用電動機24に印加される平均電圧を制御し、この電動機24によって駆動される電気自動車の速度を制御する。
【0008】次いで、絶縁抵抗検出回路27部分の動作を説明する。補機電源26より抵抗27dに流れる電流は、その一部が高抵抗27g及び主回路と車体との間の絶縁抵抗34を通して流れることにより、従って主回路と車体との間の絶縁抵抗34の値が小さくなるのに従って補機電源26によるコンデンサ27eの充電はおそくなり、高抵抗検出器27hの発振周波数は小さくなる。そして、絶縁抵抗34が更に小さくなると、コンデンサ27eの端子であるB点の電位が抵抗27b,27cによって設定されたPUT27aのゲート電位以上に上昇することが出来なくなり、高抵抗検出器27hの発振は停止することになる。この様にして高抵抗検出器27hの発振周波数は絶縁抵抗34が無限大から低下するに従い、抵抗27d,コンデンサ27eによって設定された周波数より0まで変化する。
【0009】この出力周波数は周波数−電圧変換器28に印加され、前記高抵抗検出器27hの発振周波数に応じた電圧値の出力が周波数−電圧変換器28に発生する。これが比較器29に送られ、前記周波数−電圧変換器28の出力電圧が設定値以下になった場合には、この比較器29に出力信号が発生し、この信号が警報ランプ点灯回路30に送られ、そのトランジスタ30bが導通して警報ランプ30aが点灯する。これと同時に比較器29の出力信号が電源開放制御回路33にも印加され、そのトランジスタ33aが導通して励磁コイル通電制御回路32の入力信号を短絡させる。
【0010】これによって、そのトランジスタ32aが遮断して補機電源26より電磁開閉器の励磁コイル31への通電が遮断され、その両接点22a,22bが開放して走行用電源21の端子間を開放させる。即ち、主回路と車体との間の絶縁抵抗34が設定値以下になるとこれを絶縁抵抗検出回路27によって検出して、警報ランプ30aを点灯させ、これによって主回路と車体との間の絶縁抵抗34が所定値以下になったことを警報すると共に、走行用電源21の端子を開放して使用者が感電するのを防止することができる。
【0011】また、上記においては、絶縁抵抗検出回路27の検出端子を走行用電動機24の負極と接点22bの間のA点に接続したが、走行用電動機24の抵抗、ダイオード25の順方向抵抗、転流リアクトル23cの抵抗、第1,第2の逆導通サイリスタ23a,23bのカソードからアノードにかけての逆方向抵抗は主回路と車体との間に要求される絶縁抵抗に比し極めて小さく無視することができるため、走行用電動機24の正極端子、転流コンデンサ23dの両方の端子、第1の逆導通サイリスタ23aのアノード側のいずれの箇所の絶縁抵抗の低下をも検出することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来の絶縁不良検出装置は以上のように構成されているので、走行用バッテリのマイナス端子を高抵抗で内部検出回路と接続していたため、車体アースとの絶縁性が低下するという問題があった。また、回路構成も比較的大掛かりなものであり、車載用検出回路には不向きであった。さらに、CR発振回路及び周波数−電圧変換回路の動作が不安定であり、自動車のような雑音環境の悪い条件下での使用には、検出精度が粗いという欠点があった。
【0013】この発明は上記のような問題点を解消するためになされたものであり、絶縁を必要とする複数の電源間の直流的な絶縁性を損なうことなく、安価な構成で高精度に測定できる絶縁不良検出装置を得ることを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る絶縁不良検出装置は、絶縁を必要とする1又は複数の電源マイナス端子間の絶縁抵抗不良を検出するものであって、絶縁抵抗を検出するため発振波を発する発振手段と、電源マイナス端子とアース間の直流的な絶縁性を損わないように上記発振波を波形整形する微分回路と、上記微分された波形を半波整流した後平均化する積分回路と、この平均化された波形により絶縁抵抗の大小を判定する判定手段を備えたことを特徴とする。
【0015】請求項2の発明に係る絶縁不良検出装置は、マイクロコンピュータから矩形波を出力し、絶縁抵抗とコンデンサ5で形成される微分回路で微分処理し、電源マイナス端子とアース間の直流的な絶縁性を損なわない波形整形用微分回路に通した後、半波整流回路により前記微分波形を半波整流し、積分回路にて半波整流した前記微分波形を平均化してDC電圧にし、増幅器にて増幅後、マイクロコンピュータに入力して、内部記憶装置の設定値と比較することで絶縁抵抗の大小を判定するようにするものである。
【0016】請求項3の発明に係る絶縁不良検出装置は、電源マイナス端子の絶縁抵抗値が不良の場合は警告を発する警告手段を備えたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.以下、この発明の一実施形態を図に基づいて説明する。図1はこの発明の実施形態1による電気自動車における安全装置の絶縁不良検出装置を示す構成図であり、図において、マイクロコンピュータ1は矩形波を出力し、走行用バッテリ2のマイナス端子と車体アース間の絶縁抵抗3の電圧変換値を入力している。走行用バッテリ2と車体アースとは電気的に絶縁された状態にあり、走行用バッテリ2の両端子は電動機4に接続されている。コンデンサ5は絶縁抵抗3と直流的に絶縁し、かつ微分回路を形成しており、又、波形整形用微分回路6は走行用バッテリ2のマイナス端子と車体アース間の直流的な絶縁性を保持しつつ、絶縁抵抗3の大小を測定するものである。
【0018】上記微分回路6で微分された微分波形は半波整流回路7により半波整流され、積分回路8にて半波整流された前記微分波形を平均化してDC電圧にし、増幅器9にて増幅後、マイクロコンピュータ1にA/D変換して入力される。内部記憶装置10(例えばROM)は絶縁抵抗3の大小を判定する値及び絶縁不良と判定する値を記憶するものであり、絶縁不良警告ランプ11は運転者に絶縁不良を警告し、ランプ駆動用トランジスタ12により駆動される。
【0019】次に、実施形態1による絶縁不良検出装置の動作について説明する。絶縁抵抗3の値が数百kΩになったときに、コンデンサ5との微分波形のデューティが10%以下程度になる周波数の矩形波(デューティ50%)をマイクロコンピュータ1から連続出力する。マイクロコンピュータ1から出力された矩形波は、コンデンサ5と絶縁抵抗3により微分波形となる。一方、前記微分波形は、波形整形用微分回路6を通過した後、半波整流回路7によりマイナス成分の微分波形が半波整流される。前記半波整流された微分波形は、積分回路8により平均化されたDC電圧になり、さらに増幅器9によりマイクロコンピュータ1のA/D入力電圧範囲まで増幅された後、マイクロコンピュータ1に入力される。マイクロコンピュータ1に入力された電圧は、内部記憶装置10に記憶しておいた値と比較することで、絶縁抵抗3の大小を判定する。
【0020】さらに、絶縁不良と判定する値をあらかじめ内部記憶装置10に記憶しておくことで、絶縁不良の場合には絶縁不良警告ランプ11を点灯し、運転者に感電の危険性を促すことが可能となる。ここで、微分回路6は、走行用バッテリ2のマイナス端子と車体アース間の直流的な絶縁性を保つことが主目的であるため、コンデンサ5と絶縁抵抗3とで生成される微分波形が、極力同ゲインで半波整流回路7に入力できるよう、微分回路6の時定数を大きくしている。また、コンデンサ5及び微分回路6に使用するコンデンサは、低リーク・高耐圧品を使用している。また、絶縁不良警告ランプ11の代わりに発光ダイオードやブザー等を使用することもできる。
【0021】次に、絶縁抵抗3の大小を判定する回路において、各部の波形を詳細に説明する。図2は絶縁抵抗3の値が十分大きい場合の各部の波形を示したものである。図2(a)はマイクロコンピュータ1の発振波形、図2(b)はコンデンサ5通過後の波形、図2(c)は半波整流回路7通過後の波形、図2(d)は増幅器9通過後の波形をそれぞれ示している。絶縁抵抗3とコンデンサ5とで形成される微分回路の時定数が大きくなるため、半波整流回路7通過後の波形は、マイクロコンピュータ1から出力された矩形波の形状とほぼ同一になり、積分回路8及び増幅器9で平均化されたDC電圧は、積分面積が大きいため、高い電圧が得られる。
【0022】図3は絶縁抵抗3の値が絶縁不良になるぐらい小さい場合の各部の波形を示したものである。図3(a)はマイクロコンピュータ1の発振波形、図3(b)はコンデンサ5通過後の波形、図3(c)は半波整流回路7通過後の波形、図3(d)は増幅器9通過後の波形をそれぞれ示している。絶縁抵抗3の値が小さいと、絶縁抵抗3とコンデンサ5とで形成される微分回路の時定数が小さくなるため、半波整流回路7通過後の波形は、マイクロコンピュータ1から出力された矩形波のデューティが極端に小さくなったものになり、積分回路8及び増幅器9で平均化されたDC電圧は、0Vに近くなる。ゆえに、マイクロコンピュータ1は増幅器9の出力電圧をA/D変換することで容易に絶縁抵抗3の大小を判定することが可能となる。
【0023】以上のように、走行用バッテリ2のマイナス端子と車体アース間の直流的な絶縁性を損なうことなく、走行用バッテリ2のマイナス端子と車体アース間の絶縁抵抗値を安価な構成で高精度に電圧に変換することができ、この電圧値をマイクロコンピュータ1に入力することによって、マイクロコンピュータ1で絶縁不良警告ランプ11を点灯させることにより、運転者に絶縁不良を知らせることができる。
【0024】このようにして、絶縁を必要とする他方の電源のマイナス端子と検出回路間をコンデンサカップリング方式でインターフェースするため、直流的な絶縁性を損なうことなく、安価な構成で高精度に測定できる絶縁抵抗検出装置及び判定手段を得ることができる。
【0025】
【発明の効果】この発明に係る絶縁不良検出装置によれば、電源マイナス端子の絶縁不良を安価な構成で高精度に検出及び判定することができる。また電源マイナス端子の直流的な絶縁抵抗を損わない効果がある。
【0026】特に、請求項2の発明に係る絶縁不良検出装置によれば、矩形波を出力すると共に、絶縁抵抗の大小並びに絶縁不良を判定する手段を内蔵しているマイクロコンピュータと、絶縁抵抗と共に微分回路を形成するコンデンサと、波形整形用微分回路と、上記微分回路により微分された波形を平均化し、この平均化された波形をマイクロコンピュータに入力する積分回路とを備えたので、絶縁を必要とする複数の電源間の直流的な絶縁性を損なうことなく、互いの電源のマイナス端子間の絶縁抵抗値を高精度に電圧に変換し、マイクロコンピュータ内でA/D変換することにより、絶縁抵抗値を判定することが可能となる。
【0027】また、請求項3の発明に係る絶縁不良検出装置によれば、絶縁不良と判定する値を予めマイクロコンピュータ等に記憶させておき、絶縁不良となった場合警告ランプ等を点灯させるなどの手段を設けることにより、運転者等に絶縁不良を知らせることができ、感電を防げる効果がある。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博 (外1名)
【公開番号】 特開平11−23637
【公開日】 平成11年(1999)1月29日
【出願番号】 特願平9−173685