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【発明の名称】 チップ電子部品のインダクタンス測定方法及び測定治具
【発明者】 【氏名】佐々木 修

【氏名】伊藤 幸夫

【氏名】安倍 安一

【要約】 【課題】インダクタンス測定に伴う伝送特性インピーダンスのばらつきを小さくし、測定精度を向上させる。

【解決手段】固定ブラケット5と、該ブラケット5に対して上下方向にスライド自在に取り付けられかつ下方に付勢された測定ユニット3と、該測定ユニット3の下端部に設けられていてチップ電子部品の被検体物1の端子側と接触するワーク用接触端子2と、前記ブラケット5に固定されたコネクタ接続部7と、該コネクタ接続部7に一端が接続され、他端が板ばね15a,15bを介して前記ワーク用接触端子2に接続されるとともに前記ブラケット側に固定されたセミリジッドケーブル11とを備えた測定治具を用いてチップ電子部品のインダクタンス測定を行う構成である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 インダクタンス計測手段を接続するためのコネクタ接続部と、チップ電子部品の被検体物の端子側と接触するワーク用接触端子と、該ワーク用接触端子と前記コネクタ接続部とを電気的に接続する導体部とを少なくとも備えた測定治具を用いて行うチップ電子部品のインダクタンス測定方法において、前記導体部の一部がセミリジッド乃至リジッドケーブルで構成されていることを特徴とするチップ電子部品のインダクタンス測定方法。
【請求項2】 前記セミリジッド乃至リジッドケーブルは中心導体を有する筒状誘電体の外周に導電皮膜の外部導体が形成されたものである請求項1記載のチップ電子部品のインダクタンス測定方法。
【請求項3】 前記導電皮膜は導電性チューブで構成されている請求項2記載のチップ電子部品のインダクタンス測定方法。
【請求項4】 ブラケットと、該ブラケットに対して上下方向にスライド自在に取り付けられかつ下方に付勢された測定ユニットと、該測定ユニットの下端部に設けられていてチップ電子部品の被検体物の端子側と接触するワーク用接触端子と、前記ブラケットに固定されたコネクタ接続部と、該コネクタ接続部に一端が接続され、他端が可撓性導体部材を介して前記ワーク用接触端子に接続されるとともに前記ブラケット側に固定されたセミリジッド乃至リジッドケーブルとを備えることを特徴とするチップ電子部品のインダクタンス測定治具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波チップインダクタ等のチップ電子部品のインダクタンス測定方法及び該インダクタンス測定方法に用いるインダクタンス測定治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高周波チップインダクタ等のチップ電子部品のインダクタンス特性を自動測定する治具は、図5の正面図、図6の側面図、及び図7の背面図に示すように、チップ電子部品の被検体物1の端子側に接して測定するワーク用接触端子2を、双方独立に上下移動する機構の特性測定ユニット3の下端部にそれぞれ設けており、各特性測定ユニット3は上下移動(スライド)を円滑にするスライドベアリング4が側面に設けられて固定用ブラケット5に取り付けられている。固定用ブラケット5と各特性測定ユニット3の上部との間には端子衝撃吸収バネ6がそれぞれ設けられている。固定用ブラケット5には、図7の如くインダクタンス値測定用計測手段に接続するための測定ケーブルを連結するケーブルコネクタ接続部7(SMAコネクタ)が固定されている。一方(図5の右側)のワーク用接触端子2は、ケーブルコネクタ接続部7の中心接続導体(図示せず)にリン青銅製厚さ0.2mmの板バネのみから成る導体部8aを用いて電気的に接続されている。他方(図5の左側)のワーク用接触端子2は、ケーブルコネクタ接続部7の外側接続導体にリン青銅製厚さ0.2mmの板バネのみから成る導体部8bを用いて電気的に接続されている。なお、前記ケーブルコネクタ接続部7を固定した前記固定用ブラケット5には、自動測定器本体(図示せず)に取り付け固定するための取付孔9が設けられており、これらにより治具は構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記図5乃至図7に示した従来の治具で、例えば高周波インダクタの如く、高周波領域でインダクタンス値を測定する場合、前記ケーブルコネクタ接続部7からそれぞれワーク用接触端子2までの伝送ラインは、板バネのみの導体部8a,8bを用いていたので、板バネの部分が長くなり、伝送特性インピーダンスが不安定になる。つまり、ワーク用接触端子2がチップ電子部品の被検体物1の端子側に接した際、特性測定ユニット3が固定用ブラケット5に対して上方に動き、これに伴って長い板バネの導体部8a,8bが撓んで変形し、当該部分の伝送特性インピーダンスが変動する。このため、インダクタンス値の測定精度は良くなく、測定精度が低いことを見込んで測定選別のマージンを狭く設定する必要があり(例えば、±10%のインダクタンス値のばらつきが許容されている場合でも、測定選別のマージンを±8%に設定する等)、低コストの電子部品を供給、提供することが出来ない欠点を有していた。
【0004】その欠点を除去しようとして、前記ケーブルコネクタ接続部7を前記ワーク用接触端子2に接近した配置とすると設備が複雑になり、大型になる欠点を有している。
【0005】本発明は、上記の点に鑑み、インダクタンス測定に伴う伝送特性インピーダンスのばらつきを小さくし、測定精度を向上させることが可能なチップ電子部品のインダクタンス測定方法及び測定治具を提供することを目的とする。
【0006】本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のチップ電子部品のインダクタンス測定方法は、インダクタンス計測手段を接続するためのコネクタ接続部と、チップ電子部品の被検体物の端子側と接触するワーク用接触端子と、該ワーク用接触端子と前記コネクタ接続部とを電気的に接続する導体部とを少なくとも備えた測定治具を用いてインダクタンス測定を行う場合において、前記導体部の一部がセミリジッド乃至リジッドケーブルで構成されていることを特徴としている。
【0008】上記チップ電子部品のインダクタンス測定方法において、前記セミリジッド乃至リジッドケーブルは中心導体を有する筒状誘電体の外周に導電皮膜の外部導体が形成されたものであればよく、さらに前記導電皮膜が導電性チューブで構成されていてもよい。
【0009】本発明のチップ電子部品のインダクタンス測定治具は、ブラケットと、該ブラケットに対して上下方向にスライド自在に取り付けられかつ下方に付勢された測定ユニットと、該測定ユニットの下端部に設けられていてチップ電子部品の被検体物の端子側と接触するワーク用接触端子と、前記ブラケットに固定されたコネクタ接続部と、該コネクタ接続部に一端が接続され、他端が可撓性導体部材を介して前記ワーク用接触端子に接続されるとともに前記ブラケット側に固定されたセミリジッド乃至リジッドケーブルとを備えている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るチップ電子部品のインダクタンス測定方法及び測定治具の実施の形態を図面に従って説明する。
【0011】図1は本実施の形態の正面図、図2は側面図、図3は背面図であり、説明の便宜上、図5乃至図7の従来例と同一又は相当する部分には同一符号を付して説明する。
【0012】一対の特性測定ユニット3は、従来例と同様に、下端部に一対のワーク用接触端子2を有し、可動機構も端子衝撃吸収バネ6やスライドベアリング4を有して、各特性測定ユニット3がそれぞれ独立に固定用ブラケット5に対して上下可動(スライド)できるように組み立てられている。端子衝撃吸収バネ6は特性測定ユニット3を下方に向けて付勢している。
【0013】符号11は直径約3.5mmのセミリジッドケーブルであり、この構造は図4の概略断面図の如き、直径約0.9mmのAgメッキ被覆銅線からなる中心導体12を備えた直径約3.0mmのフッ素樹脂の円筒状誘電体13の外周を、厚さ約0.25mmの銅チューブの外部導体14で被覆したものであり、当該セミリジッドケーブル11の下端の中心導体12は一方(図1の右側)のワーク接触端子2に、外部導体14は他方(図1の左側)のワーク接触端子2に短い長さの横向きの板バネ15a,15b(可撓性導体部材として機能する)を介してはんだ接続(はんだ接続部P1,P2)等で電気的にそれぞれ接続されている。セミリジッドケーブル11の上端はケーブルコネクタ接続部7に電気的に接続されている。具体的にはケーブルコネクタ接続部7の中心接続導体(図示せず)に中心導体12が、ケーブルコネクタ接続部7の外側接続導体に外部導体14がそれぞれ接続されている。
【0014】前記板バネ15a,15bは、セミリジッドケーブル11が固定用ブラケット5に固定ネジ16で止められている(例えば、固定用ブラケット5に形成された溝にセミリジッドケーブル11を嵌込み、固定ネジ16でセミリジッドケーブル11を溝内面に押し付けて固定する等)ので、被検体物1の測定の際に、前記特性測定ユニット3が上下に移動してセミリジッドケーブル11に対し位置ずれしてもワーク用接触端子2とセミリジッドケーブル11下端間の電気的接続を可能にするために設けられている。
【0015】前記セミリジッドケーブル11の固定用ブラケット5への固定は、取付金具を併用し、該取付金具を固定ネジ16で固定用ブラケット5に固定することで実行するようにしてもよい。
【0016】なお、その他の構成は前述した図5乃至図7の構成と同様でよい。
【0017】この実施の形態において、図1の如く、被検体物1の両方の端部電極にワーク用接触端子2を圧接、接触させて、両者の電気的な接続を行い、ケーブルコネクタ接続部7に連結されたフレキシブル測定ケーブル20を介して接続されたインダクタンス値の計測手段にて被検体物1のインダクタンス値を測定する。この際、ワーク用接触端子2が取り付けられた特性測定ユニット3が固定用ブラケット5に対して幾分上方にスライドするが、可撓性導体部材としての板バネ15a,15bは短い長さであるため、特性測定ユニット3のスライドに伴い変形しても当該板バネ15a,15bの変形に起因する伝送特性インピーダンスのバラツキは少なく、これにともなうインダクタンス値の測定精度の低下も少ない。なお、セミリジッドケーブル11は中心導体12を有する円筒状誘電体13の外周に導電チューブの外部導体14が形成されたものであり、当該セミリジッドケーブル11部分での伝送特性インピーダンスは一定値に維持されている。また、セミリジッドケーブルが固定用ブラケット5に確実に固定されているから、周囲の磁力線分布を乱すこともない。
【0018】このように、大きな設備変更を必要とせずに前記セミリジッドケーブル11を用いることにより、伝送ラインの距離が短くなり、伝送特性インピーダンスのバラツキも小さくでき、測定精度の向上を図ることができる。例えば、1.2nHのチップインダクタにおける測定精度は、従来方法での測定誤差は0.040nHに対し本発明に係る本実施の形態では、0.016nHとなり0.024nHだけ測定誤差が減少した(測定精度が向上した)。
【0019】更に、歩留まりについては、下記の表1の効果を得ることが出来た。
【0020】
表1 基準 従来方法 本発明方法 効果(歩留まり) 3.3nH±0.3nH 3.3nH±0.19nH 3.3nH±0.25nH 18%アップ 8.2nH±0.5nH 8.2nH±0.23nH 8.2nH±0.39nH 12%アップ 【0021】この表1で、例えば3.3nHのチップインダクタについて説明すると、基準が3.3nH±0.3nHであるのに対し、従来方法ではインダクタンス値の測定誤差を見込んで測定選別のマージンを基準よりもかなり狭く設定する必要があり、3.3nH±0.19nHに設定していたが、本発明方法では、測定誤差が減少したため、測定選別のマージンを従来方法よりも広くし3.3nH±0.25nHに設定でき、歩留まりが18%向上している。
【0022】なお、上記実施の形態では、可撓性導体部材として板バネ15a,15bを用いたが、例えば極少ないターン数のコイル状、略直線状の可撓性導線を使用することも可能であるが長くしない工夫が必要である。
【0023】また、上記実施の形態では同軸ケーブルとしてセミリジッドケーブル11を用いたが、固定用ブラケット5に対して同軸ケーブルは上下方向に直線的に配置すればよいから、セミリジッドケーブル11よりも剛性のあるリジッドケーブル(通常外部導体が導体パイプとなっている)を使用することも可能である。
【0024】以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るチップ電子部品のインダクタンス測定方法及び測定治具によれば、被検体物側の端子に接触するワーク用接触端子とケーブルコネクタ接続部とを接続する導体部の大部分は伝送特性インピーダンスの一定した同軸ケーブルであるセミリジッド乃至リジッドケーブルで構成でき、残りの短い距離を板バネ等の可撓性導体部材で構成するようにしており、該可撓性導体部材が短いので、インダクタンス値測定の際の伝送特性インピーダンスのバラツキを小さくでき、測定精度を向上させることができる。このため、測定選別のマージンを従来よりも広めに設定可能で、良品として選別可能な個数が増加し、歩留まり向上によるコスト削減を図ることが出来る。
【出願人】 【識別番号】000003067
【氏名又は名称】ティーディーケイ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
【公開番号】 特開平11−23631
【公開日】 平成11年(1999)1月29日
【出願番号】 特願平9−187189