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【発明の名称】 高調波計測方法
【発明者】 【氏名】香田 勲

【氏名】塚本 政和

【氏名】西村 荘治

【氏名】蓑輪 義文

【氏名】夏田 育千

【要約】 【課題】配電線搬送通信方式の開閉器制御機能を有する配電系統の高調波特性を、専用の電流注入装置を設けることなく測定する。

【解決手段】配電系統1の親局4に、配電線搬送通信の信号注入,2周波数f1 ,f2 (f1 <n×fs <f2 ,fs は系統基本波周波数)の電流注入に切換わる電流注入装置6を備え、高調波計測時、親局4から注入点aに両周波数f1,f2 の電流を注入して高調波特性を測定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電力系統の高調波注入点に、計測対象のn次の着目高調波(周波数n×fs )を挟む系統基本波周波数fs の非整数倍の2周波数f1 ,f2(f1 <n×fs <f2 )の電流を中間高調波の電流としてそれぞれ注入し、前記電力系統の高調波計測点の計測電流,計測電圧の周波数解析により、前記高調波計測点より下位又は上位の前記両中間高調波についての等価回路のアドミタンス又はインピーダンスを求め、前記両中間高調波についての等価回路のアドミタンス又はインピーダンスから前記高調波計測点より下位又は上位の前記着目高調波についてのアドミタンス又はインピーダンスを補間演算して決定し、前記着目高調波についての高調波特性を測定する高調波計測方法において、前記電力系統が親局から子局に配電線搬送通信方式で開閉器制御情報を伝送する配電系統からなり、前記親局に配電線搬送通信の信号注入,前記両周波数f1 ,f2 の電流注入に切換わる電流注入装置を備え、高調波計測時、前記親局から前記高調波注入点に前記両周波数f1 ,f2 の電流を注入して高調波特性を計測することを特徴とする高調波計測方法。
【請求項2】 高調波計測点の子局に、配電系統に設けた計器用変流器,計器用変圧器の計測出力から配電線搬送通信の通信情報を受信して再生する受信処理装置と、前記計器用変流器,前記計器用変圧器の計測出力の周波数解析により前記高調波計測点より下位又は上位の両中間高調波についての等価回路のアドミタンス又はインピーダンスを求め、前記両中間高調波についての等価回路のアドミタンス又はインピーダンスから着目高調波についてのアドミタンス又はインピーダンスを補間演算して決定する特性測定装置とを備え、高調波計測時、前記高調波計測点の子局により、配電系統に注入された両中間高調波の電流,電圧を検出して高調波特性を測定することを特徴とする請求項1記載の高調波計測方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配電線搬送通信方式の開閉器制御機能を有する配電系統の高調波注入点より下位又は上位の高調波特性を測定する高調波計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電力の送,配電系統においては、高調波を低減することが重要である。
【0003】そして、n次(n=1,2,…の整数)の高調波(第n調波)は、系統基本波周波数fs の整数倍であり、代表的な第5調波の周波数は5×fs である。
【0004】この高調波の低減は、高調波レベル(電圧レベル)を予測し、その周波数のフィルタ設備をコンデンサ設備に付設等して行われる。
【0005】そして、高調波レベルを予測する場合、電力系統の例えば前記フィルタ設備の接続点より下位(下流)の高調波特性を把握してその等価回路(高調波等価回路)を求める必要がある。
【0006】この高調波等価回路は、ノートンの定理で表現した場合、アドミタンスと電流源との並列回路とみなすことができる。
【0007】そして、電気学会論文誌B,101巻8号,p.451−458,(昭56−8)には、配電線系統の第5調波についての高調波等価回路を求める際、系統の基本波の電圧,電流を計測し、その結果から高調波等価回路のアドミタンス,電流源の大きさ、位相等を算出して推定することが記載されている。
【0008】しかし、前記論文誌に記載の高調波計測方法で電力系統の高調波等価回路を求める場合、系統の基本波電圧・電流値を計測し、その計測結果から高調波アドミタンス、高調波電流源の大きさ、位相を推定するため、電力系統の高調波等価回路のアドミタンス等を精度よく求めることができない。
【0009】すなわち、前記論文誌の高調波計測方法の場合、着目高調波のアドミタンスや電流源を実測結果から求めたわけではなく、基本波の計測情報に基づき、基本波の大きさ(ベクトル値)から着目高調波の大きさ(ベクトル値)を推定するに過ぎないため、その高調波等価回路を精度よく求めることができない。
【0010】そのため、電力系統の例えばフィルタ設備の接続点より下位の高調波特性を正確に把握して適当なフィルタ設備を設けることができず、高調波レベルを良好に低減できなかった。
【0011】そこで、本出願人は特願平8−310192号の出願により、電力系統の高調波注入点に測定調波(着目高調波)の上,下両側の基本波の非整数倍周波数の電流それぞれを注入し、その注入点における注入周波数の電圧及び注入点の上位,下位を流れる注入周波数の電流の実測結果に基づき、系統の注入点より下位又は上位につき、着目高調波の上,下両側それぞれの注入周波数についての等価回路のアドミタンスを求め、それらの補間処理により着目高調波についての等価回路のアドミタンスを決定してその高調波特性を計測することを既に発明している。
【0012】この場合、注入周波数の電流が系統に本来存在しない基本波周波数の非整数倍のいわゆる中間高調波の電流であり、系統の既存の高調波の影響を受けることなく、注入周波数の等価回路のアドミタンスを実測から精度よく求めることができ、この結果を用いて着目高調波についての高調波特性を精度よく把握し得る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】前記既出願の計測方法を実施するにあたっては、着目高調波の上,下の周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流を注入する電流注入装置が必要になる。
【0014】一方、電力系統が配電線搬送通信方式の配電系統の場合は、系統上流側の親局から各区分開閉器に付設された子局に配電線を介して開閉器制御の情報が伝送される。
【0015】したがって、とくに配電線搬送通信方式の開閉器制御機能を有する配電系統の高調波特性を前記既出願の測定方法で計測する際、配電線搬送通信の親局,子局とともに高調波測定の専用の電流注入装置等を設けると、設備コストが高くなる問題点がある。
【0016】また、この場合は高調波測定の電流注入が開閉制御の通信に悪影響を与えないように、前記周波数f1 ,f2 を開閉器制御の通信周波数を避けて設定しなければならない問題点もある。
【0017】本発明は、配電線搬送通信方式の開閉器制御機能を有する配電系統において、専用の電流注入装置を設けることなく、高調波特性の測定が行えるようにすることを課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するために、本発明の高調波計測方法は、電力系統の高調波注入点に、計測対象のn次の着目高調波(周波数n×fs )を挟む系統基本波周波数fs の非整数倍の2周波数f1 ,f2 (f1 <n×fs <f2 )の電流を中間高調波の電流としてそれぞれ注入し、電力系統の高調波計測点の計測電流,計測電圧の周波数解析により高調波計測点より下位又は上位の両中間高調波についての等価回路のアドミタンス又はインピーダンスを求め、両中間高調波についての等価回路のアドミタンス又はインピーダンスから高調波計測点より下位又は上位の着目高調波についてのアドミタンス又はインピーダンスを補間演算して決定し、着目高調波についての高調波特性を測定する高調波計測方法において、電力系統が親局から子局に配電線搬送通信方式で開閉器制御情報を伝送する配電系統からなり、親局に配電線搬送通信の信号注入,前記両周波数f1 ,f2 の電流注入に切換わる電流注入装置を備え、高調波計測時、親局から高調波注入点に両周波数f1 ,f2 の電流を注入して高調波特性を計測するものである。
【0019】したがって、この配電線搬送通信方式の開閉器制御機能を有する配電系統の高調波特性を測定する際は、配電線搬送通信の親局の電流注入装置が通信の信号注入から着目高調波の上下の周波数f1 ,f2 の電流注入に切換わる。
【0020】そのため、親局を配電搬送通信と高調波計測とに兼用し、高調波計測の専用の電流注入装置を設けることなく、この種配電線搬送通信方式の配電系統の高調波特性を計測することができる。
【0021】つぎに、この配電系統の子局が高調波計測点に設けられる場合は、この子局に、配電系統に設けた計器用変流器,計器用変圧器の計測出力から配電線搬送通信の通信情報を受信して再生する通信用受信処理装置と、計器用変流器,計器用変圧器の両計測出力の周波数解析により高調波計測点より下位又は上位の両中間高調波についての等価回路のアドミタンス又はインピーダンスを求め、両中間高調波についての等価回路のアドミタンス又はインピーダンスから着目高調波についてのアドミタンス又はインピーダンスを補間演算して決定する特性測定装置とを備え、高調波計測時、高調波計測点の子局により、配電系統に注入された両中間高調波の電流,電圧を検出して高調波特性を計測する。
【0022】したがって、この場合は、高調波計測点の子局が配電線搬送通信と高調波計測とに兼用され、高調波計測時、この子局の特性測定装置により高調波計測点より上位又は下位の着目高調波についての高調波特性が計測される。
【0023】そのため、配電線搬送通信の親局だけでなく、その子局も利用して高調波特性の計測が行える。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の実施の1形態について、図1ないし図3を参照して説明する。図1は単線表記された配電線搬送通信方式の開閉器制御機能を有する配電系統1を示し、系統電源2に接続された配電系統1は例えば電柱に取付けられた複数の区分開閉器3により区分される。
【0025】また、電力会社の変電所等に設けられた開閉器制御の親局4は信号(電流)注入トランス5を介して配電系統1の適当な位置に接続され、この接続点が高調波注入点を形成する。
【0026】この注入点は、多くの場合、配電系統1の上流側に位置する。そして、親局4は、配電線搬送通信の親局機能だけでなく、高調波計測の電流注入機能も備えるため、図2に示す電流注入装置6を設けて形成される。
【0027】この電流注入装置6は、常時は、親局4が配電線搬送通信の親局として動作するため、出力段の周波数可変型のインバータ7の制御入力が、その前段のスイッチ8により通信制御器9の出力に保持される。
【0028】そして、自動又は手動の開閉器制御操作等に基づき、通信制御器9からインバータ7に開閉器制御情報が出力されると、この情報によりインバータ7の駆動信号が変調され、インバータ7により各区分開閉器3の開閉制御の例えばスペクトル拡散方式の所定周波数帯域の通信信号が形成され、この通信信号がインバータ7から配電系統1に注入される。
【0029】一方、配電系統1の高調波測定を行う際は、自動又は手動の高調波測定指令により、高調波の計測制御器10からスイッチ8に通信から高調波計測への切換指令が出力され、この指令によりスイッチ8が通信制御器9から計測制御器10に切換わる。
【0030】そして、計測制御器10からインバータ7に、その出力周波数を、計測対象のn次の着目高調波(n×fs )を挟む系統基本波周波数fs の非整数倍の2周波数f1 ,f2 (f1 <n×fs <f2 )に順に変化させる計測制御情報が供給される。
【0031】この計測制御情報によりインバータ7の出力電流が一定時間ずつ周波数f1 ,f2 に順に変化し、高調波計測時、周波数f1 ,f2 のいわゆる中間高調波の注入電流が、通信信号注入点及び高調波注入点を形成する通信・計測共通の注入点aに注入される。
【0032】なお、高調波計測が終了すると、計測制御器10からスイッチ8に高調波計測から通信への切換指令が出力され、スイッチ8が計測制御器10から通信制御器9に切戻される。
【0033】また、配電系統1の時々刻々変化する高調波特性を計測する場合、例えば30分毎に周期的に高調波計測が指令されて、親局が通信から高調波計測に切換わり、その都度,2周波数f1 ,f2 の電流が注入点aに注入される。
【0034】つぎに、各区分開閉器3はそれぞれ上位側近傍に計器用変流器11,計器用変圧器12が設けられるとともに、通常の子局13a又は高調波計測機能付きの子局13bが付設される。
【0035】すなわち、図1の配電系統1の場合、注入点aより下位の2個所の区分開閉器3の通信信号受信点及び注入点aより上位の1個所の区分開閉器3の通信信号受信点が、高調波計測点に設定されてそれぞれ通信・計測点b1 ,b2 ,b3 を形成する。
【0036】そして、通信・計測点b1 ,b2 ,b3 を除く通常の各通信信号受信点の区分開閉器3に配電線搬送通信の通常の子局13aが付設され、通信・計測点b1 ,b2 ,b3 の区分開閉器3に高調波計測機能付きの子局13bが付設される。
【0037】このとき、通常の子局13aは従来の配電線搬送通信方式の配電系統の子局と同様、マイクロコンピュータ等により形成され、受信処理機能,事故検出機能及び開閉器制御機能を有し、計器用変流器11,計器用変圧器12の検出出力をフィルタ処理等し、それらの検出出力に基づき、親局4からの通信信号を受信するとともに配電系統1の自区間より下位側(負荷側)の地絡等の事故の発生を監視検出する。
【0038】さらに、これらの受信・検出に基づき、遠方制御,事故検出にしたがって自局の区分開閉器3を開閉する。
【0039】つぎに、高調波計測機能付きの各子局13bは、通常の子局13aに高調波計測機能を付加して例えば図3に示すように形成される。
【0040】この図3の子局13bは、通常機能ブロックとしての受信処理装置14と,高調波計測ブロックとしての特性測定装置15とを備える。
【0041】そして、受信処理装置14は計器用変流器11,計器用変圧器12に接続された受信・検出処理部16により親局からの通信信号の受信処理及び下位側の事故検出処理を実行し、その受信情報,検出情報に基づき、開閉器制御部17により自局の区分開閉器3を開閉制御する。
【0042】また、特性測定装置15は計器用変流器11,計器用変圧器12に接続されたA/D変換器18を備え、この変換器18により計器用変流器11,計器用変圧器12の電流,電圧の検出出力をそれぞれデジタルデータに変換する。
【0043】そして、高調波計測時、A/D変換器18の電流,電圧の検出出力に基づき、信号処理装置19がFFT,DFT等のデジタル周波数解析により前記周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流,電圧及び着目高調波の電流,電圧を検出する。
【0044】さらに、これらの検出に基づき、演算処理装置20が例えば配電系統1の各通信・計測点b1 ,b2 ,b3 より下位の着目高調波についての等価回路を求めてその高調波特性を計測する。
【0045】そして、測定結果が記憶装置21に書込まれて蓄積保存されるとともに表示装置22に表示される。
【0046】つぎに、特性測定装置15の高調波特性の計測方法について具体的に説明する。まず、配電系統1には基本波周波数fs の整数倍周波数n×fs の種々の高調波が存在する。
【0047】そして、各通信・計測点b1 ,b2 ,b3 より下位の着目高調波についての等価回路は、ノートンの定理で表現した場合、それぞれアドミタンスY(n)と電流源IG(n)との並列回路になる。
【0048】また、高調波計測時、親局4から注入点aに注入される周波数f1 ,f2 の電流は、系統基本波周波数の非整数倍の電流であり、配電系統1には本来存在しない周波数の電流である。
【0049】このとき、周波数f1 ,f2 の注入電流が系統電源に同期,非同期のいずれの電流であっても高調波計測は行えるが、後述の注入周波数の電流,電圧の検出をDFT,FFT等のデジタル周波数解析で行うことが現実的であるため、実用上は、両注入電流が系統電源に同期した中間高調波の電流に形成される。
【0050】具体的には、着目高調波を第5調波(n=5)とした場合、周波数f1 ,f2の中間高調波の電流は例えば着目高調波から上,下に0.5調波ずれた4.5調波,5.5調波の電流である。
【0051】そして、周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流が配電系統1の高調波の影響を受けないため、各通信・計測点b1 ,b2 ,b3 より下位の周波数f1 ,f2 の中間高調波についての等価回路は、それぞれアドミタンスY1 ,Y2 のみになる。
【0052】このとき、周波数f1 ,f2 についての通信・計測点b1 の電圧をV1 ,V2(=Vi ,i=1,2)とし、通信・計測点b1 を通流する周波数f1 ,f2 の電流をI1 ,I2 (=Ii ,i=1,2)とすると、電圧Vi ,電流Ii を計測することにより、アドミタンスY1 ,Y2 (=Yi ,i=1,2)が配電系統1の各高調波の影響を受けることなく、つぎの数1の式から正確に求まる。
【0053】
【数1】Yi=Ii/Vi【0054】そして、アドミタンスYi (=Y1 ,Y2 )が求まれば、最も簡単には、例えば(Y1 +Y2 )/2の補間演算により、その中間の周波数n×fs の着目高調波についての等価回路のアドミタンスY(n)が求まる。
【0055】さらに、着目高調波についてのアドミタンスY(n)が求まると、通信・計測点b1 を流れる着目高調波の電流I(n),電圧V(n)の実測に基づき、通信・計測点b1 より下位の着目高調波についての等価回路の電流源IG(n)がつぎの数2の式の演算から求まる。
【0056】
【数2】IG(n)=I(n)−V(n)×Y(n)【0057】そして、着目高調波についてのアドミタンスY(n),電流源IG(n)が求まると、その等価回路が同定されて高調波特性が計測される。
【0058】そこで、A/D変換器18は計器用変流器11の電流の計測出力,計器用変圧器12の電圧の計測出力を、それぞれサンプリングしてデジタルの計測データに変換する。
【0059】なお、後段の周波数解析を正確に行うため、A/D変換器18のサンプリングは、系統基本波に同期したタイミングで行われる。
【0060】また、A/D変換器18のサンプリング周波数は周波数f1 ,f2 それぞれより十分高い周波数である。
【0061】そして、A/D変換器18の計測データが信号処理装置19に供給され、この信号処理装置19はDFT解析,FFT解析等のデジタル周波数解析により、通信・計測点b1 の周波数f1 ,f2 それぞれの中間高調波の電流Ii 及び電圧Vi を検出する。
【0062】この電流Ii ,電圧Vi のデータが演算処理装置20に供給され、この演算処理装置20は前記数1の式の演算からアドミタンスYi を求める。
【0063】さらに、演算処理装置20はアドミタンスYi を用いた前記の補間演算により、着目高調波についてのアドミタンスY(n)を決定し、通信・計測点b1 より下位の高調波特性を測定する。
【0064】つぎに、電流源IG(n)を決定するため、中間高調波の電流注入の終了直後、A/D変換器18の計測データに基づく信号処理装置19の周波数解析により配電系統1に存在する着目高調波の電流I(n),電圧V(n)を実測する。
【0065】そして、決定したアドミタンスY(n)と実測した電流I(n),電圧V(n)とに基づき、演算処理装置20は前記数2の式の演算から着目高調波についての電流源IG(n)を決定し、アドミタンスY(n)及び電流源IG(n)により、通信・計測点b1より下位の着目高調波についての等価回路を完全に同定し、その高調波特性を計測する。
【0066】なお、計測結果は、表示装置22に例えば等価回路図でモニタ表示されるとともに、記憶装置2に記録情報として蓄積保持される。
【0067】そして、残りの通信・計測点b2 ,b3 の子局13bにあっても、それぞれの特性測定装置15により、前記と同様にして下位の着目高調波についてのアドミタンスY(n),電流源IG(n)が求められ、その等価回路が決定されて高調波特性が測定される。
【0068】ところで、配電系統1の区分開閉器3が設けられない地点を高調波計測点に設定して高調波特性を計測する必要があるときは、その高調波計測点に計器用変流器11,計器用変圧器12と同様の計器用変流器,計器用変圧器を設け、それらの計測出力を、特性測定装置15と同様の構成の専用の高調波測定装置に供給し、前記数1,数2の式の演算と同様の演算を実行して高調波特性を計測すればよい。
【0069】また、通信・計測点b1 ,b2 ,b3 の上位の着目高調波についての等価回路についても、前記と同様にしてアドミタンスY(n),電流源IG(n)を求めて同定し、高調波特性を計測することができる。
【0070】したがって、図1の場合は配電線搬送通信の親局4を、通信信号の注入と高調波特性の計測の周波数f1 ,f2 の電流注入とに共用し、高調波計測専用の電流注入装置を設けることなく、親局4を利用して高調波特性の計測が行える。
【0071】しかも、高調波計測点と一致した通信信号受信点を通信・計測点にして高調波計測点に共用し、高調波計測時、その点の区分開閉器3の子局13bにより、計器用変流器11,計器用変圧器12を配電線搬送通信と高調波計測とに共用して高調波計測が行える。
【0072】そのため、配電線搬送通信の親局4及び子局13bを利用し、高調波計測専用の装置を新たに設けたりすることなく、簡単かつ安価に配電線搬送通信方式の配電系統1の高調波特性を計測できる。
【0073】さらに、配電線搬送通信の通信信号の注入と周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流の注入とが同時に発生することがなく、それらの周波数を適当に設定してもいわゆる相互干渉等の弊害を招来することもない。
【0074】なお、系統保全等の上で重要な配電線搬送通信を伝送するため、高調波特性の計測は極力短時間に行う必要があるとともに、計測に配電線搬送通信が発生するときは、例えば、その割込指令を親局4から発行し、子局13bにより受信処理装置14の開閉器制御部17から特性測定装置15の信号処理装置19,演算処理装置20に計測中止を指令し、高調波計測から配電線搬送通信に強制的に変更することが望ましい。
【0075】また、例えば各子局13bに送信機能を付加し、高調波計測結果を各子局13bから配電線搬送通信により親局4に送るようにすれば、親局4により各計測点の計測結果等を迅速に把握することができる。
【0076】ところで、前記実施の形態では着目高調波の等価回路及び周波数f1 ,f2 の中間高調波の等価回路を、それぞれアドミタンスと電流源との並列回路としたが、各等価回路をインピーダンスと電圧源との直列回路とし、アドミタンス,電流源の代わりにインピーダンス,電圧源を求めて各等価回路を同定し、高調波特性を計測してもよいのは勿論である。
【0077】そして、配電系統の分枝状態や高調波注入点の位置,高調波計測点の位置及び数,親局4,子局13a,13bの構成等はどのようであってもよいのは勿論である。
【0078】
【発明の効果】本発明は、以下に記載する効果を奏する。まず、請求項1の場合は、配電線搬送通信方式の配電系統1の高調波特性を測定する際に、配電線搬送通信の親局4の電流注入装置6が通信の信号注入から着目高調波の上下の周波数f1 ,f2 の電流注入に切換わるため、親局4を配電搬送通信と高調波測定とに兼用し、高調波測定の専用の電流注入装置を設けることなく、設備効率よく、この種配電線搬送通信方式の開閉器制御機能を有する配電系統の高調波特性を測定することができる。
【0079】つぎに、請求項2の場合は、高調波計測点(通信・計測点b1 ,b2 ,b3 )の子局13bが配電線搬送通信と高調波計測とに兼用され、高調波計測時、この子局13bの特性測定装置15により高調波計測点の上位又は下位の着目高調波についての高調波特性が測定されるため、配電線搬送通信の親局4だけでなく、その子局13bも利用して高調波特性の計測が行え、装置効率を一層向上して配電系統1の高調波特性を計測することができる。
【出願人】 【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)7月7日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 龍太郎
【公開番号】 特開平11−23627
【公開日】 平成11年(1999)1月29日
【出願番号】 特願平9−197810