トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験




【発明の名称】 電力系統の高調波測定方法
【発明者】 【氏名】香田 勲

【氏名】塚本 政和

【氏名】西村 荘治

【氏名】鵜野 克彦

【要約】 【課題】着目高調波を挟む系統基本周波数の非整数倍の2周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流を高調波計測点aより下位低圧側に注入して高調波特性を測定する際に、分散注入により装置の小型化及び高調波障害の発生防止を図る。

【解決手段】計測点aより下位低圧側の分枝した複数の母線3に高調波注入点bを設定し、各注入点bに電流注入装置21を接続し、各装置21から注入点bに同期をとって同時に、2周波数f1 ,f2 の電流を中間高調波の電流として注入し、計測点aの特性計測装置(上位側計測装置34)により、周波数f1 ,f2 の電流,電圧を検出して計測点aより上位の両中間高調波についての等価回路のアドミタンスを求め、該両アドミタンスから計測点aより上位の着目高調波についての等価回路12のアドミタンスを補間演算して決定し、計測点aより上位の着目高調波についての高調波特定を測定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 系統の高調波計測点より下位低圧側の分枝した複数の母線に高調波注入点を設定し、該各高調波注入点に電流注入装置を接続し、該各電流注入装置から前記各高調波注入点に同期をとって同時に、計測対象のn次の着目高調波(周波数n×fs )を挟む系統基本周波数fs の非整数倍の2周波数f1 ,f2 (f1 <n×fs <f2 )の電流を中間高調波の電流としてそれぞれ注入し、前記高調波計測点の特性計測装置により、前記高調波計測点の前記周波数f1,f2 それぞれの電流,電圧を検出して前記高調波計測点より上位の前記周波数f1 ,f2 の中間高調波それぞれについての等価回路のアドミタンスを求め、該両アドミタンスから前記高調波計測点より上位の前記着目高調波についての等価回路のアドミタンスを補間演算して決定し、前記高調波計測点より上位の前記着目高調波についての高調波特定を測定することを特徴とする電力系統の高調波測定方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力系統の高調波計測点より上位の着目高調波についての特性(高調波特性)を測定する電力系統の高調波測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電力の送,配電系統においては、高調波を低減することが重要である。
【0003】ところで、高調波の周波数は、系統基本周波数fs の整数倍であり、代表的な第5調波の周波数は5×fs である。
【0004】この高調波の低減は、高調波レベルを予測等し、適当な周波数のフィルタを設置して行われる。
【0005】そして、高調波の電圧レベルの予測等を行う場合、電力系統のフィルタ設備の接続点を高調波計測点とし、この計測点より上位(上流),下位(下流)の高調波に対する特性を把握してその等価回路を求める必要がある。
【0006】この高調波等価回路は、ノートンの定理で表現されたアドミタンスと電流源との並列回路とみなすことができる。
【0007】そして、電気学会論文誌B,101巻8号,p.451−458,(昭56−8)には配電線の第5調波についての高調波等価回路を求める際、系統の基本波の電圧,電流を計測し、その結果から等価回路のアドミタンス,電流源の大きさ、位相等を算出して推定することが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記論文誌に記載の高調波測定方法で電力系統のn次の着目高調波(周波数n×fs )についての高調波等価回路求める場合、系統の基本波電圧・電流の計測結果から高調波アドミタンスや高調波電流源の大きさ、位相を推定して決定するため、等価回路のアドミタンス等を精度よく求めることができない。
【0009】すなわち、前記従来の高調波測定方法の場合、計測対象の着目高調波についての等価回路のアドミタンスや電流源を実測して求めるわけではなく、基本波の計測情報に基づき、その大きさ(ベクトル値)から着目高調波の大きさ(ベクトル値)を推定して求めるに過ぎないため、その等価回路を精度よく求めることはできない。
【0010】この結果、電力系統の高調波特性を正確に把握して適当なフィルタを設ける等することができず、高調波レベルの良好な低減が困難になる。
【0011】そこで、本出願人は特願平8−310192号の出願により、電力系統の高調波注入点に測定調波(着目高調波)の上,下両側の基本波の非整数倍周波数の電流(中間高調波の電流)それぞれを注入し、その注入点における注入周波数の電圧及び注入点の上位,下位に流れる注入周波数の電流の実測結果に基づき、系統の注入点の上位,下位それぞれにつき、着目高調波の上,下両側の注入周波数の等価回路のアドミタンスを求め、それらの補間処理により着目高調波の等価回路のアドミタンスを決定してその高調波等価回路を求めることを既に発明している。
【0012】この場合、前記注入周波数の電流が系統に本来存在しない基本波の非整数倍周波数の電流であり、注入周波数についての等価回路のアドミタンスが実測により精度よく求めるため、この結果を用いて着目高調波についての特性を精度よく把握し得る。
【0013】しかし、前記既出願の測定方法は、高調波注入点と高調波計測点とが同じ点になるため、例えば、系統の上位母線を含むその上位の高調波特性を測定する場合、高調波注入点を高電圧の前記上位母線に設定しなければならない。
【0014】この場合、高調波注入点が高電圧であるため、この注入点に前記注入周波数の電流を注入する装置の電圧階級(絶縁階級)を十分に高くする必要があり、しかも、その十分な保護対策を講じる必要もある。
【0015】そのため、装置が大型かつ複雑な構成で高価になり、小型かつ簡素な構成で安価に系統上位側の高調波特性を精度よく測定することができない。
【0016】そこで、高調波計測点の下位低圧側に高調波注入点を設定することが考えられるが、この場合、高調波計測点と高調波注入点との間に1又は複数の変電所トランス等が介在し、高調波注入点に周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流を多量に注入しなければ、高調波計測点での測定が困難になるため、高調波注入点に電流を注入する装置として、極めて電流容量の大きな装置が必要になる問題点があり、この場合、大容量の電流の1点集中的な注入に基づくいわゆる高調波障害が発生するおそれもある。
【0017】本発明は、着目高調波を挟む2周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流を高調波計測点より下位低圧側に注入し、両中間高調波の電流を注入する装置に必要な電圧階級を低くして高調波計測点の上位の着目高調波についての高調波特性を測定する際に、電流容量が比較的小さい装置を用いて前記両中間高調波の電流を注入し得るようにすることを課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するために、本発明の電圧系統の高調波測定方法においては、系統の高調波計測点より下位低圧側の分枝した複数の母線に高調波注入点を設定し、各高調波注入点に電流注入装置を接続し、各電流注入装置から各高調波注入点に同期をとって同時に、計測対象のn次の着目高調波(周波数n×fs )を挟む系統基本周波数fs の非整数倍の2周波数f1 ,f2 (f1 <n×fs <f2 )の電流を中間高調波の電流としてそれぞれ注入し、高調波計測点の特性計測装置により、高調波計測点の周波数f1 ,f2 それぞれの電流,電圧を検出して高調波計測点より上位の周波数f1 ,f2 の中間高調波それぞれについての等価回路のアドミタンスを求め、この両アドミタンスから高調波計測点より上位の着目高調波についての等価価のアドミタンスを補間演算して決定し、高調波計測点より上位の着目高調波についての高調波特定を測定する。
【0019】したがって、高調波注入点が高調波計測点より下位低圧側の分枝した複数の母線に設定され、高調波計測点での測定に必要な周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流が、その下位低圧側の各高調波注入点から分散注入される。
【0020】そのため、各高調波注入点の電流注入装置は、電圧階級を低くすることができるとともに、電流容量が、高調波注入点を1つにして1台で賄う場合より小さくなり、電圧階級が低く、電流容量が小さい小型かつ簡素な装置で実現し得る。
【0021】そして、各電流注入装置が同期をとって同時に前記両中間高調波の電流それぞれを各高調波注入点に注入するため、両中間高調波の電流がそれぞれ前記各電流注入装置の注入電流を加算合成した大容量になり、特性計測装置により高調波計測点における前記両中間高調波それぞれの電流,電圧が確実に検出されてそれぞれの等価回路のアドミタンスが求められる。
【0022】このとき、両中間高調波が系統に本来存在しないため、両中間高調波の電流,電圧のレベルを小さくしても、それぞれの等価回路のアドミタンスは精度よく求まる。
【0023】そして、両中間高調波の等価回路のアドミタンスから高調波計測点より上位の着目高調波についての等価回路のアドミタンスを決定してその高調波特性を測定するため、各電流注入装置をそれぞれ電流容量の小さい装置にして高調波計測点より上位の着目高調波についての高調波特性の精度の高い測定が行える。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の実施の1形態につき図1を参照して説明する。図1は例えば電力系統1の77kV系高圧母線2の高調波特性を、その下位低圧側の分枝した複数の6.6kV系配電母線3に電流を注入して測定する場合の単線系統図を示す。
【0025】そして、高圧母線2の77kVの電力は2次変電所4のトランスにより、例えば22kVに降圧された後、分枝した複数の22kV系高圧母線5に送電される。
【0026】さらに、各高圧母線5の22kVの電力は下位の大口の需要家設備6,#1,#2,…の各配電用変電所7それぞれに給電され、各配電用変電所7は受電電力をそれぞれのトランスにより6.6kVに降圧して各配電母線3に給電する。
【0027】そして、図1の8は2次変電所4のトランスインピーダンス、9は各高圧母線5の線路インピーダンス、10は需要家設備6の受電トランスのインピーダンス(トランスインピーダンス)、11は各配電用変電所7のトランスインピーダンスである。
【0028】この電力系統1には系統基本波周波数fs の整数倍の周波数の種々の高調波が存在し、測定対象のn次の着目高調波(周波数n×fs )についてのノートンの定理で表現された高圧母線2の上位の等価回路12はアドミタンス13と電流源14との並列回路になる。
【0029】同様に、着目高調波についてのノートンの定理で表現された需要家設備6の等価回路15,各配電母線3の下位の等価回路16も、それぞれアドミタンス17,18と電流源19,20との並列回路になる。
【0030】つぎに、高圧母線5からみたその上位の高圧母線2の高調波特性を測定するため、2次変電所4内の高圧母線5に高調波計測点aが設定される。
【0031】また、この測定に際して、高調波注入点aの下位低圧側の分枝した各配電母線3の一部又は全部に電流を注入するため、一部又は全部の配電用変電所7の配電母線3にそれぞれ高調波注入点bが設定される。
【0032】そして、各高調波注入点bに例えばインバータ構成の電流注入装置21が接続され、その上位の高調波特性を測定する場合、各電流注入装置21は後述の電流注入指令に基づき、同期をとって同時に動作し、例えば30分毎に着目高調波を挟む系統基本周波数fs の非整数倍の2周波数f1 ,f2 (f1 <n×fs <f2 )の中間高調波の電流I1 ,I2 を一定期間ずつ順に各高調波注入点bに注入する。
【0033】すなわち、上位の高調波特性を測定する場合、中間高調波の電流I1 ,I2 を、上位の高調波計測点aで同位相になるように、同期をとって同時に各高調波注入点aに注入し、各高調波注入点bの注入電流を加算合成した大電流を上位側に送り込む。
【0034】そのため、この実施の形態にあっては、例えば各変電所4,7等と別個独立に設けられた給電指令所22の中央指令計算装置23から通信ケーブル24を介して各電流注入装置21に、同期制御の信号としての電流注入指令の信号を伝送する。
【0035】また、電流注入装置21が設けられた各配電用変電所7において、電流注入装置21から高調波注入点bに注入された電流は計器用変流器25により計測され、高調波注入点bを通流する系統電流,高調波注入点bの系統電圧は計器用変流器26,計器用変圧器27により計測され、計器用変流器25,26及び計器用変圧器27の計測出力は各下位側計測装置28に取込まれる。
【0036】この下位計測装置28は中央指令計算装置23から通信ケーブル29を介して伝送入力された計測指令の信号にしたがって動作し、上位の高調波特性の測定時、計器用変流器25,26,計器用変圧器27の計測出力に基づき、各電流注入装置21の注入電流及び各配電母線3の周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流,電圧の計測情報を、注入情報として、通信ケーブル30を介して中央指令計算装置23に伝送する。
【0037】そして、中央指令計算装置23は同期制御及びデータ収集等の高調波測定の諸機能を有し、上位の高調波特性の測定時は、例えば、中間高調波の電流I1 ,I2 の注入タイミング毎に前記の電流注入指令の信号を各電流注入装置21に伝送し、各電流注入装置21に電流I1 ,I2 それぞれの注入を指令するとともに、同期制御により各電流注入装置21の電流I1 ,I2 それぞれの注入位相を制御する。
【0038】この注入位相の制御は、最も簡単には、例えば#1の配電用変電所7の電流注入装置(以下#1の電流注入装置という)21を基準の装置に選定し、残りの各電流注入装置21の注入電流の位相を、#1の電流注入装置21の注入周波数f1 ,f2 の電圧と同位相に制御して行われる。
【0039】具体的には、中間高調波の電流I1 ,I2 それぞれの注入タイミングになったときに、中央指令計算装置23は、まず、#1の電流注入装置21,その計算装置28に電流注入指令、計測指令の信号を伝送する。
【0040】そして、#1の配電用変電所7において、電流注入装置21から高調波注入点bに電流I1 又はI2 を注入し、その注入電流に基づき、配電母線3の下位側計測装置28から中央指令計算装置23に前記の注入情報を伝送する。
【0041】つぎに、中央指令計算装置23は残りの各電流注入装置21及びそれぞれの計測装置28に順次に電流注入指令,計測指令の信号を伝送し、残りの各電流注入装置21からそれぞれの高調波注入点bに電流I1 又はI2 を注入する。
【0042】このとき、各下位側計測装置28から伝送された注入情報に基づき、前記残りの各注入電流装置21の注入電流I1 又はI2 の位相が#1の配電母線3の注入周波数f1 又はf2 の電圧と同位相になるように、中央指令計算装置23は残りの各電流注入装置2に電流注入指令の信号としてその出力の位相補正指令の信号をそれぞれ伝送する。
【0043】この信号の伝送により、前記残りの各電流注入装置21から各高調波注入点bに注入される中間高調波の電流I1 ,I2 が、それぞれ#1の電流注入装置21の注入電流に基づくその配電母線3の周波数f1 ,f2 の中間高調波の電圧と同位相に瞬時に制御され、各電流注入装置21から各高調波注入点bに、中間高調波の電流I1 ,I2 がそれぞれ同期をとって同時に注入される。
【0044】なお、着目高調波をn=5の第5調波とすると、中間高調波の電流I1 ,I2は、具体的には、例えば着目調波から0.5調波ずれた4.5調波,5.5調波の電流に設定される。
【0045】そして、各高調波注入点bに注入された中間高調波の電流I1 ,I2 は、各高調波注入点bの上位側,下位側に分流し、上位側に分流した中間高調波の電流I1 ,I2 は各配電用変電所7のトランスの2次側(低圧側)から巻線の多いその1次側(高圧側)を介して各高圧母線5に流れ、2次変電所4内の高調波計測点aの下位側(負荷側)近傍で加算合成される。
【0046】この加算合成された中間高調波の電流I1 ,I2 は、2次変電所4内に設けられた計器用変流器31により計測された後、その一部が需要家設備6に分流し、残りがさらに上位側に流れる。
【0047】そして、上位側に流れた中間高調波の電流I1 ,I2 が高調波計測点aを通り、その電流,電圧が高調波注入点aの直前の計器用変流器32,高調波注入点aに接続された計器用変圧器33により計測される。
【0048】このとき、各電流注入装置21の電流容量が比較的小容量であっても、その注入電流の加算合成に基づき、高調波計測点aを通流する中間高調波の電流I1 ,I2 は計測に十分な大きさになる。
【0049】しかも、中間高調波の電流I1 ,I2 は電力系統1に本来は存在しない周波数の電流であるため、それぞれ電力系統1に存在する各高調波の電流より小レベルであっても後述の周波数解析により確実に抽出することができる。
【0050】そして、計器用変流器31,32及び計器用変圧器33の計測出力は、2次変電所4に特性計測装置として設けられた上位側計測装置34に取込まれ、この計測装置34は中央指令計算装置23から通信ケーブル29を介して伝送された計測指令の信号に基づき、高調波注入点aより上位の高圧母線2の周波数f1 ,f2 の中間高調波についての等価回路を求めて着目高調波についての等価回路12を同定する。つぎに、上位側計測装置34の演算処理について説明する。
【0051】まず、周波数f1 ,f2 の中間高調波についての高調波計測点aからみた高圧母線2の等価回路は、それらの中間高調波が電力系統1に存在しないため、ノートンの定理で表現すると、アドミタンス13と同様のアドミタンスのみとなる。
【0052】なお、周波数f1 ,f2 の中間高調波についての高調波計測点aからみた需要家設備6の負荷側等価回路もアドミタンスのみとなり、同様に、各高調波注入点bからみたその下位の等価回路もそれぞれアドミタンスのみとなる。
【0053】そして、説明を簡単にするため、トランスインピーダンス8等を無視し、着目高調波についての高調波計測点aの上位側が等価回路12で表わされるとし、かつ、高調波計測点aを通流する周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流をIiu(i=1,2),電流をViu(i=1,2)とする。
【0054】このとき、高調波計測点aからみたその上位の周波数f1 ,f2 の中間高調波についての等価回路のアドミタンスYiu,(i=1,2)は、つぎの数1の式の演算から求まる。
【0055】
【数1】Yiu=Iiu/Viu【0056】そして、周波数f1 ,f2 の中間高調波についてのアドミタンスYiu(=Y1u,Y2u)が求まれば、最も簡単には、例えば(Y1u+Y2u)/2の補間演算により、その中間の周波数n×fs の着目高調波についての等価回路12のアドミタンス13がアドミタンスYu(n)として求まる。
【0057】さらに、着目高調波についてのアドミタンスYu(n)が求まると、高調波計測点aを流れる着目高調波の電流Iu(n),電圧Vu(n)の実測に基づき、着目高調波についての等価回路12の電流源14がつぎの数2の式の演算から、電流源IGu(n)として求まる。
【0058】
【数2】IGu(n)=Iu(n)−Vu(n)×Yu(n)【0059】そして、数1,数2の演算等を行うため、中間高調波の電流I1 ,I2 が注入されるときに、中央指令計算装置23から通信ケーブル29を介して上位側計測装置34に特性測定を指令する計測指令の信号が伝送され、この信号の受信に基づき、上位側計測装置34は電流I1 ,I2 の注入期間に計器用変流器32,計器用変圧器33の計測出力を取込む。
【0060】また、この実施の形態にあっては、需要家設備6の高調波特性も測定するため、上位側測定装置34により計器用変流器31の計測出力も取込む。
【0061】そして、上位側計測装置34は取込んだ各計測出力をA/D変換器によりそれぞれサンプリングしてデジタルの計測データに変換する。
【0062】このとき、後段の周波数解析を正確に行うため、A/D変換器のサンプリングは、例えば中央指令計算装置23からの同期信号に基づき、系統基本波に同期したタイミングで行われる。
【0063】なお、A/D変換器のサンプリング周波数は周波数f1 ,f2 それぞれより十分高い周波数である。
【0064】そして、A/D変換器の計測データが後段の信号処理装置に供給され、この信号処理装置はDFT解析,FFT解析等のデジタル周波数解析により、高調波計測点aの周波数f1 ,f2 それぞれの中間高調波の電圧Viu及び電流Iiuを検出する。
【0065】この電圧Viu,電流Iiuのデータが後段の演算処理装置に送られ、この演算処理装置は電圧Viu,電流Iiuに基づき、前記数1の式の演算からアドミタンスYiuを求め、このアドミタンスYiuを用いた前記の補間演算により、着目高調波についてのアドミタンス13をYu(n)に決定し、高調波計測点aより上位の高圧母線2の高調波特性を測定する。
【0066】また、この高調波特性の測定により、電流源14も決定して等価回路12を完全に同定するため、上位側計測装置34は例えば中間高調波の電流I1 ,I2 の注入終了直後、A/D変換器の計測データに基づく信号処理装置の周波数解析により電力系統1に存在する着目高調波の電流Iu(n),電圧Vu(n)を実測する。
【0067】そして、決定したアドミタンスYu(n)と実測した電流Iu(n),電圧Vu(n)とに基づき、演算処理装置により前記数2の式の演算から着目高調波についての電流源11をIGu(n)に決定する。
【0068】一方、計器用変流器31の計測データから求まる周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流をIia(i=1,2)とし、この電流Iiaのうちの需要家設備6への分流をIix(i=1,2)とすると、この電流Iixは、つぎの数3の式の演算から求まる。
【0069】
【数3】Iix=Iia−Iiu【0070】そして、高調波計測点aからみた需要家設備6の周波数f1 ,f2 の中間高調波についての電圧もViuになるため、電流Iixと電圧Viuとにより、上位側計測装置34は数1の式の電流IiuをIixに置換した式の演算から需要家設備6の周波数f1 ,f2 の中間高調波についてのアドミタンスYix,(i=1,2)を求める。
【0071】さらに、(Y1x+Y2x)/2の補間演算により、着目高調波についてのアドミタンス17をYx(n)に決定する。
【0072】また、需要家設備6の着目高調波の電流Ix(n)は、中間高調波の電流I1 ,I2 の注入直後、計器用変流器31,32の計測出力を周波数解析し、その計測出力に含まれた着目高調波の電流Iu(n),Iy(n)に基づき、その通流方向の組合せにしたがて、Ix(n)=|Iu(n)−Iy(n)|又はIx(n)=Iu(n)+Iy(n)の式の演算から求まる。
【0073】そして、需要家設備6の着目高調波の電圧Vx(n)が電圧Vu(n)に等しいため、前記数2の式のIu(n),Yu(n)をIx(n),Yx(n)に置換した式の演算から等価回路15の電流源19をIGx(n)として求め、アドミタンスYx(n),電流源IGx(n)により等価回路15を同定する。
【0074】なお、前記数1の式の演算から求まるアドミタンスYiu及びアドミタンスYu(n),数2の式の演算から求まる電流源IGu(n)は高圧母線5から上位側をみたときの値であり、例えば、アドミタンスYu(n),電流源IGu(n)を、トランスインピーダンス6等を考慮して高圧母線2から上位側をみたときの値に換算して求めてもよい。
【0075】そして、上位側計測装置34の各計測結果が上位側の計測情報として、通信ケーブル30を介して中央指令計算装置23に伝送され、例えば、この装置23により測定結果が等価回路図でモニタ表示されるとともに記録収集される。
【0076】つぎに、この実施の形態にあっては、測定機能の向上を図るため、前記の上位の高調波特性の測定だけでなく、下位の高調波特性の測定の機能を備える。
【0077】この下位の高調波特性の測定の機能は、各下位側計測装置28それぞれに上位側計測装置34と同様の高調波測定機能を付加し、各高調波注入点bより下位の各配電母線3の着目高調波についての高調波特性を個別に測定し得る機能である。
【0078】そして、下位の高調波特性の測定の場合、例えば、中央指令計算装置23から通信ケーブル29を介して各計測装置28,34に測定モードの切換えを指令し、全体を上位の高調波特性の測定から下位の高調波特性の計測に切換える。
【0079】さらに、中央指令計算装置23により、通信ケーブル29を介して計測を実行する下位側計測装置28に個別選択的に下位の高調波特性の測定を指令するとともに、その配電母線3の電流注入装置21に通信ケーブル24を介して電流注入指令を供給する。
【0080】そして、例えば#1の配電用変電所7の下位の配電母線(以下#1の配電母線という)3の高調波特性を測定する場合は、#1の配電用変電所7の高調波注入点bにのみその電流注入装置21から中間高調波の電流I1 ,I2 が注入され、この電流I1 ,I2 がそれぞれ高調波注入点bの上位側及び下位側に分流する。
【0081】このとき、高調波注入点bに注入された電流I1 ,I2 は計器用変流器25により計測され、それぞれの高調波注入点bの上位側への分流は計器用変流器26により計測される。
【0082】また、電流I1 ,I2 の注入に基づく#1の配電母線3の周波数f1 ,f2 の中間高調波の電圧Vid(i=1,2)は、計器用変圧器27により測定される。
【0083】そして、計器用変流器25,26及び計器用変圧器27の計測出力が#1の配電用変電所7の下位側計測装置28に取込まれ、この装置28のA/D変換器,信号処理装置,演算処理装置により、需要家設備6の等価回路15を決定する場合と同様にして#1の配電母線3の等価回路16を同定する。
【0084】すなわち、計器用変流器25,26の計測出力に含まれた電流I1 ,I2 それぞれの差から高調波注入点bの下位に分流した電流I1 ,I2 を電流Iid(i=1,2)として検出し、電流Iid,電圧Vidに基づき、数1の式と同様の式の演算から周波数f1 ,f2 の中間高調波についての#1の配電母線3のアドミタンスYid(i=1,2)を求め、アドミタンスYidを用いた補間演算からその等価回路16のアドミタンス18をYd(n)に決定する。
【0085】さらに、電流I1 ,I2 の注入終了直後に、計器用変流器26,計器用変圧器27の計測出力から#1の配電母線3の着目高調波の電流Id(n),電圧Vd(n)を実測し、アドミタンスYd(n),電流Id(n),電圧Vd(n)に基づき、数2の式と同様の式の演算から等価回路16の電流源20をIGd(n)に決定し、#1の配電母線3の等価回路16を同定する。
【0086】そして、他の配電母線3の等価回路16についても、それぞれの電流注入装置21から高調波注入点bに周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流を注入し、各下位側計測装置28により個別にアドミタンス18(=Yd(n)),電流源20(=IGd(n)) を決定して各配電母線3の等価回路16を個別に同定する。
【0087】また、各下位側計測装置28の計測結果等が下位側の計測情報として、通信ケーブル30を介して中央指令計算装置23に伝送され、上位側の計測情報と同様にモニタ表示されるとともに記録収集される。
【0088】したがって、本実施の形態の場合、高調波計測点aの下位低圧側の分枝した複数の配電母線3の一部又は全部に高調波注入点bを設定し、高調波計測点aでの計測に必要な周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流I1 ,I2 を、下位低圧側の複数の高調波注入点bの電流注入装置21から同期して同時に分散注入し、この分散注入により高調波計測点aに十分なレベルの中間高調波の電流Iiu(i=1,2)を発生することができる。
【0089】しかも、電流I1 ,I2 が電力系統1に本来は存在しないため、高調波計測点aでの中間高調波の電流Iiu及び電圧Viuが比較的小レベルであっても、電力系統1に存在する高調波の影響を受けることなく、周波数f1 ,f2 の中間高調波についてのその上位の等価回路のアドミタンスを求め、この両アドミタンスを用いた補間演算により高調波計測点aの上位の高圧母線2の等価回路12のアドミタンス13,電流源14を正確に特定して等価回路12を精度よく同定することができる。
【0090】そのため、各電流注入装置21の電圧階級を、高調波計測点aと高調波注入点bとを同じ点にする場合より低くすることができ、しかも、各電流注入装置21はそれぞれ電流容量の小さな小型の装置であってよく、電圧階級が低く電流容量の少ない複数の電流注入装置21を用いて系統上位側の高調波特性の精度のよい計測が行える。
【0091】また、各配電母線3に中間高調波の電流I1 ,I2 を分散注入するため、例えば中間高調波の電流I1 ,I2 を1個所に集中的に大量に注入した場合に問題となるいわゆる高調波障害が生じるおそれもない。
【0092】さらに、計器用変流器31,32及び計器用変圧器33の計測出力に基づき、上位側計測装置34により、高圧母線5に接続された大口の需要家設備6の高調波特性の測定も行える。
【0093】つぎに、各高調波注入点bの近傍の下位側計測装置28に、上位側計測装置34と同様の高調波計測機能を設けたため、各下位側計測装置28の計測により、各電流注入装置21の注入電流の位相を合わせることができるだけでなく、各配電母線3の高調波注入点bより下位の高調波特性を個別に計測することができる。
【0094】ところで、高調波計測点aを電力系統1の任意の位置に設定し、その下位側の複数の分枝路等に各高調波注入点bを設定して測定が行えるのは勿論であり、その際、各高調波注入点bの位置,数等はどのようであってもよい。
【0095】また、各電流注入装置21,中央指令計測装置23及び各計測装置28,34等の構成はどのようであってもよく、各電流注入装置21はそれぞれの容量が同一でなくてもよい。
【0096】さらに、中央指令計算装置23は例えば上位側計測装置34に一体に設けられていてもよく、中央指令計算装置23と各計測装置28,34との間の信号,情報のやりとりは無線で行うようにしてもよい。
【0097】そして、各電流注入装置21の注入位相は、例えばファジー制御で制御するようにしてもよく、また、着目高調波のアドミタンスを求める補間演算は最小2乗法等であってもよい。
【0098】
【発明の効果】本発明は、以下に記載する効果を奏する。高調波注入点bが高調波計測点aより下位低圧側の分枝した複数の母線(配電母線3)に設定され、高調波計測点aでの測定に必要な周波数f1 ,f2 の中間高調波の電流を、その下位低圧側の各高調波注入点bから分散注入することができる。
【0099】そのため、各高調波注入点bの電流注入装置21は、電圧階級を低くすることができるとともに、電流容量が高調波注入点を1つにして1台で賄う場合より小さくなり、電圧階級が低く電流容量が小さい小型かつ簡素な装置で実現し得る。
【0100】また、両中間高調波の電流を各高調波注入点bに同時に分散混入するため、いわゆる高調波障害が生じるおそれもない。
【0101】そして、各電流注入装置21が前記両中間高調波の電流それぞれを同期をとって同時に各高調波注入点bに注入するため、両中間高調波の電流がそれぞれ各電流注入装置21の注入電流を加算合成した大容量で高調波計測点の下位に注入され、高調波計測点aの特性計測装置(上位側計測装置34)により高調波計測点aにおける前記両中間高調波それぞれの電流,電圧を確実に検出してそれぞれについての各高調波注入点aより上位の等価回路のアドミタンスを求めることができる。
【0102】このとき、両中間高調波が電力系統1に本来存在しないため、両中間高調波の電流,電圧の検出レベルが小さくても、系統1の高調波の影響を受けることなくそれぞれの等価回路のアドミタンスを精度よく求めることができる。
【0103】そして、両中間高調波の等価回路のアドミタンスから高調波計測点aより上位の着目高調波についての等価回路12のアドミタンスを決定してその高調波特性を測定したため、各電流注入装置21をそれぞれ電圧階級が低く、電流容量の小さい装置に形成し、高調波障害を発生することなく、系統上位の高調波計測点aより上位の着目高調波についての高調波特性の精度の高い測定を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)7月7日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 龍太郎
【公開番号】 特開平11−23625
【公開日】 平成11年(1999)1月29日
【出願番号】 特願平9−197808