| 【発明の名称】 |
電力系統の負荷高調波特性測定方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】元治 崇
【氏名】野崎 直幸
【氏名】澤田 賢良
【氏名】西村 荘治
【氏名】志方 俊彦
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| 【要約】 |
【課題】SC開閉法において、測定期間中のコンデンサ開閉以外の要因による系統条件の変動の影響を排除して、負荷高調波特性を正しく測定する方法を提供する。
【解決手段】10秒以内の間にコンデンサ8の開閉を行い、コンデンサ8の投入前(a)と投入後(b)の系統条件を測定して当該系統条件から第1の負荷高調波特性(Yn1およびIgn1 )を求め、コンデンサ8の投入後(b)と開放後(c)の系統条件を測定して当該系統条件から第2の負荷高調波特性(Yn2およびIgn2 )を求める。そしてこの第1および第2の負荷高調波特性を互いに比較し、両特性が互いにほぼ等しい場合に当該第1または第2の負荷高調波特性を測定結果として採用する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 測定しようとする電力系統に設けたコンデンサの開閉によって系統条件を変動させて、この変動の前後の系統条件から電力系統の負荷高調波特性を測定する方法において、10秒以内の間に前記コンデンサの開閉を行い、当該コンデンサの投入前と投入後の系統条件を測定して当該系統条件から第1の負荷高調波特性を求め、当該コンデンサの投入後と開放後の系統条件を測定して当該系統条件から第2の負荷高調波特性を求め、この第1および第2の負荷高調波特性を互いに比較し、両特性が互いにほぼ等しい場合に当該第1または第2の負荷高調波特性を測定結果として採用することを特徴とする電力系統の負荷高調波特性測定方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、電力系統に設けたコンデンサを開閉(入切)することによって、その前後の系統条件から、電力系統の負荷高調波特性(より具体的には負荷高調波アドミタンスおよび負荷高調波電流源電流)を測定する方法(いわゆるSC開閉法)の改良に関する。 【0002】 【従来の技術】この種の測定方法はSC(力率改善用コンデンサ)開閉法と呼ばれており、その概略は次のとおりである。 【0003】図3に、電力系統の一例を簡略化して示し、図4にその等価回路を示す。上位系統2に変電所変圧器4を経由して幾つかの配電系統6が接続されている。図中の符号の意味は以下のとおりである。nは任意の正の整数である。 【0004】Esn:上位系統のn次調波相電圧(二次側換算値) Vn :配電系統のn次調波相電圧Ign:配電線負荷のn次調波電流源電流In :変電所変圧器の二次側を流れるn次調波電流Ztn:変電所変圧器を含んだ上位側のn次調波インピーダンス(二次側換算値) Yn :配電線負荷のn次調波アドミタンスYsn:一定な容量性のn次調波アドミタンス【0005】図4の等価回路において、次式が成立する。 【0006】 【数1】Esn=Vn +ZtnInIn =(Yn +Ysn)Vn −IgnVn =(Esn+ZtnIgn)/{1+Ztn(Yn +Ysn)} 【0007】ここで、Esn、Vn およびIn は実測することができ、ZtnおよびYsnは計算で求めることができるけれども、これらの値を数1のVn の式に代入しても、Yn およびIgnの二つが明らかでないため、Yn およびIgnの値を個別に求めることはできない。従って、単に、Esn、Vn およびIn を計測するだけでは、配電線を適切な高調波等価回路にモデル化して、精度の高い高調波特性解析を行うことができない。 【0008】この問題を解決するのがSC開閉法であり、そのためのコンデンサ(力率改善用コンデンサ)8およびスイッチ10を図3の電力系統に付加した電力系統を図5に、その等価回路を図6にそれぞれ示す。図6(a)はコンデンサ8の投入前、図6(b)は投入後の等価回路である。なお、上記Ysnは一定で既知であるため、図5および図6においては(更に図2においても)それを省略している。 【0009】コンデンサ8の投入前後において、Esn、Yn およびIgnが変化しないものと仮定すると、コンデンサ8の投入前は、図6(a)の等価回路より、次式が成立する。 【0010】 【数2】Ina=YnVna−IgnEsn=Vna+ZtnIna【0011】コンデンサ8の投入後は、図6(b)の等価回路より、次式が成立する。 【0012】 【数3】Inb=YnVnb+YcnVnb−IgnEsn=Vnb+ZtnInb【0013】上記数2および数3において、Vn およびIn の添字aはコンデンサ8の投入前、添字bは投入後をそれぞれ表す。 【0014】上記数2および数3より、次式が成立し、これによってn次調波アドミタンスYn およびn次調波電流源電流Ignの値を個別に求めることができる。 【0015】 【数4】Yn =YcnVnb/(Vna−Vnb)−1/ZtnIgn=Esn/Ztn−YcnVnaVnb/(Vna−Vnb) 【0016】 【発明が解決しようとする課題】上記測定方法において、コンデンサ8の投入前後の測定中に、コンデンサ8の開閉以外の要因によって系統条件が変化した場合、例えば何らかの原因で上位系統2の高調波条件が変動した場合、下位の配電系統6の高調波条件も変動し、コンデンサ8の投入による変動分以外の変動条件も加わるため、正しい負荷高調波特性(具体的には前述したYn およびIgn)を求めることができない。 【0017】また、当然ながら、配電系統6の負荷変動等によって負荷高調波特性そのものが変動した場合も、それらの正しい値を求めることはできない。 【0018】そこでこの発明は、SC開閉法において、測定期間中のコンデンサ開閉以外の要因による系統条件の変動の影響を排除して、負荷高調波特性を正しく測定する方法を提供することを主たる目的とする。 【0019】 【課題を解決するための手段】この発明の測定方法は、10秒以内の間に前記コンデンサの開閉を行い、当該コンデンサの投入前と投入後の系統条件を測定して当該系統条件から第1の負荷高調波特性を求め、当該コンデンサの投入後と開放後の系統条件を測定して当該系統条件から第2の負荷高調波特性を求め、この第1および第2の負荷高調波特性を互いに比較し、両特性が互いにほぼ等しい場合に当該第1または第2の負荷高調波特性を測定結果として採用することを特徴としている。 【0020】上記測定方法によれば、10秒以内という短時間の間にコンデンサの開閉を行うので、測定期間中に、コンデンサの開閉以外の要因によって系統条件が変動する可能性を小さくすることができる。 【0021】しかも、第1および第2の負荷高調波特性を互いに比較してほぼ等しければ、測定期間中に、コンデンサの開閉以外の要因による系統条件の変動はなかったと言うことができる。反対に、第1および第2の負荷高調波特性がほぼ等しくなければ、測定期間中に、コンデンサの開閉以外の要因によって系統条件が変動したと考えられ、二つの負荷高調波特性の内のどちらかが、または両方共が、正しく測定されていないと言える。 【0022】従って、第1および第2の負荷高調波特性が互いにほぼ等しいときのものを測定結果として採用することよって、測定期間中のコンデンサ開閉以外の要因による系統条件の変動の影響を排除して、負荷高調波特性を正しく測定することができる。 【0023】 【発明の実施の形態】図1は、この発明に係る測定方法におけるコンデンサの開閉状況を示す図である。図2は、コンデンサの投入前(a)、投入後(b)および開放後(c)の電力系統の等価回路図である。電力系統の構成は、図5と同様であるのでそれを参照するものとする。図3〜図6の従来例と同一または相当する部分には同一符号を付し、以下においては当該従来例との相違点を主に説明する。 【0024】この発明に係る測定方法では、図1に示すように、短い時間tの間に、前述したコンデンサ8の開閉(具体的にはスイッチ10の開閉)を行い、次のようにして、コンデンサ8の投入前(図1中の測定時点a)と投入後(図1中の測定時点b)の系統条件を測定して当該系統条件から第1の負荷高調波特性(具体的には前述したアドミタンスYn および電流源電流Ign)を求め、コンデンサ8の投入後(図1中の測定時点b)と開放後(図1中の測定時点c)の系統条件を測定して当該系統条件から第2の負荷高調波特性(具体的にはアドミタンスYn および電流源電流Ign)を求める。 【0025】経験によれば、10秒を超えると電力系統の条件(具体的には上位系統2の高調波条件および/または下位側の配電系統6の負荷高調波特性)が変動する可能性が大きいので、コンデンサ8の開閉を行う上記時間tは、10秒以内という短時間にするのが好ましく、その内でもこれまでの経験から、5秒以内であれば系統条件は殆ど変動しないので、5秒以内にするのがより好ましい。 【0026】また、測定期間中の系統条件の変動をできるだけ排除するために、測定時点aはコンデンサ8の投入時点に、測定時点cはコンデンサ8の開放時点に、それぞれ近づける(例えば5秒以内に近づける)のが好ましい。 【0027】コンデンサ8の投入前、投入後および開放後の等価回路を図2(a)、(b)および(c)にそれぞれ示す。ここで、Ycnは、投入するコンデンサ8のn次調波アドミタンスである。また、添字a〜cは、コンデンサ8の投入前、投入後および開放後をそれぞれ表す。 【0028】コンデンサ8の投入前(図2(a))および投入後(図2(b))から、数2および数3の場合と同様に、次の数5の連立方程式が成立する。 【0029】 【数5】 Vna=(Esna +ZtnIgna )/(1+ZtnYna) Vnb=(Esnb +ZtnIgnb )/{1+Ztn(Ynb+Ycn)} 【0030】ここで、数6の条件が成立すると仮定したとき、即ちコンデンサ8の投入前および投入後で上位系統2の高調波条件および下位の配電系統6の負荷高調波特性が変化していないと仮定したとき、数7が成立する。このときの負荷高調波特性を表すn次調波アドミタンスをYn1、n次調波電流源電流をIgn1 とする。 【0031】 【数6】Yna=Ynb=Yn1Igna =Ignb =Ign1Esna =Esnb =Esn【0032】 【数7】Yn1=YcnVnb/(Vna−Vnb)−1/ZtnIgn1 =Esn/Ztn−YcnVnaVnb/(Vna−Vnb) 【0033】同様に、コンデンサ8の投入後(図2(b))および開放後(図2(c))から、次の数8の連立方程式が成立する。 【0034】 【数8】Vnb=(Esnb +ZtnIgnb )/{1+Ztn(Ynb+Ycn)} Vnc=(Esnc +ZtnIgnc )/(1+ZtnYnc) 【0035】ここで、数9の条件が成立すると仮定したとき、即ちコンデンサ8の投入後および開放後で上位系統2の高調波条件および下位の配電系統6の負荷高調波特性が変化していないと仮定したとき、数10が成立する。このときの負荷高調波特性を表すn次調波アドミタンスをYn2、n次調波電流源電流をIgn2 とする。 【0036】 【数9】Ynb=Ync=Yn2Ignb =Ignc =Ign2Esnb =Esnc =Esn【0037】 【数10】Yn2=YcnVnb/(Vnc−Vnb)−1/ZtnIgn2 =Esn/Ztn−YcnVncVnb/(Vnc−Vnb) 【0038】そして、上記数7および数10でそれぞれ求めた負荷高調波特性を互いに比較し、より具体的にはここでは、互いに対応するYn1とYn2とを互いに比較し、かつIgn1 とIgn2 とを互いに比較し、各特性がそれぞれ互いにほぼ等しい(即ちYn1≒Yn2かつIgn1 ≒Ign2 )場合に、数7または数10で求めた負荷高調波特性(Yn およびIgn)を測定結果として採用する。ほぼ等しくない場合は、正しい負荷高調波特性を求めたとは言えないので、どちらの特性も、測定結果として採用しない。この場合は、例えば再度測定を行う。 【0039】これは、数7および数10で求めた負荷高調波特性が互いに等しければ、数6および数9が同時に成り立ち、これは即ち、Esn、Yn およびIgnが、コンデンサ開閉による計測の間に変動がなく、従って求められた負荷高調波特性(Yn およびIgn)も正しい結果を表していると言えるからである。 【0040】 【実施例】関西電力株式会社の山崎実験センターの模擬配電線において行った実験の第5調波の結果を表1に示す。この実験は、図1に示したコンデンサの投入から開放までの時間tを5秒とし、測定時点bをコンデンサ投入後約1秒とし、測定時点aを測定時点bの約5秒前、測定時点cを測定時点bの約5秒後とした。 【0041】 【表1】
【0042】この表から分かるように、17時の計測では、前述した数7および数10に従って算出した負荷高調波特性は、コンデンサの投入前および投入後の条件で求めた値と、投入後および開放後の条件で求めた値とでは、かなり差がある。これは、約10秒間の計測期間中に、上位側高調波条件および/または下位側負荷特性が変動したためであると考えられ、正しい負荷高調波特性を算出しているとは言えない。従ってこのような場合の負荷高調波特性を、測定結果として採用してはいけない。 【0043】これに対して、21時の計測では、コンデンサの投入前および投入後の条件で求めた値と、投入後および開放後の条件で求めた値とは、ほぼ等しい。これは、約10秒間の計測期間中に、上位側高調波条件および下位側負荷特性に変動が無かったためであると考えられ、正しい負荷高調波特性を算出していると言える。従ってこの場合の負荷高調波特性を、測定結果として採用すれば良い。 【0044】 【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、10秒以内という短時間の間にコンデンサの開閉を行うので、測定期間中に系統条件が変動する可能性を小さくすることができる。しかも、コンデンサの投入前と投入後の系統条件から求めた第1の負荷高調波特性と、コンデンサの投入後と開放後の系統条件から求めた第2の負荷高調波特性とを互いに比較して、両特性が互いにほぼ等しいときの負荷高調波特性を測定結果として採用することにしたので、測定期間中のコンデンサ開閉以外の要因による系統条件の変動の影響を排除して、負荷高調波特性を正しく測定することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000156938 【氏名又は名称】関西電力株式会社 【識別番号】000003942 【氏名又は名称】日新電機株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月3日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】山本 惠二
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| 【公開番号】 |
特開平11−23623 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月29日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−195131 |
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