| 【発明の名称】 |
電力系統の負荷高調波特性測定方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】元治 崇
【氏名】野崎 直幸
【氏名】澤田 賢良
【氏名】西村 荘治
【氏名】志方 俊彦
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| 【要約】 |
【課題】SC開閉法を用いて、3相不平衡の場合でも精度良く、しかも簡単に、負荷高調波特性を求めることができる方法を提供する。
【解決手段】電力系統における電圧、電流等の各特性の主要対称成分を用いて3相の電力系統を単相に簡略化した簡略等価回路を作成する。その例を図9に示す。主要対称成分は、着目する高調波が第5調波の場合は逆相成分であり、第7調波の場合は正相成分である。この簡略等価回路を用いて、開閉用コンデンサ12の開閉の前後の系統条件から、電力系統の負荷高調波特性(具体的にはn次調波アドミタンスYn およびn次調波電流源電流Ign)を求める。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中性点非接地の3相の電力系統に設けた開閉用コンデンサの開閉によって系統条件を変動させて、この変動の前後の系統条件から電力系統の負荷高調波特性を測定する方法において、前記電力系統における電圧、電流等の各特性の主要対称成分を用いて前記3相の電力系統を単相に簡略化した簡略等価回路を用いて、前記開閉用コンデンサの開閉の前後の系統条件から電力系統の負荷高調波特性を求めることを特徴とする電力系統の負荷高調波特性測定方法。 【請求項2】 着目する高調波が第5調波であり、前記主要対称成分が逆相成分である請求項1記載の電力系統の負荷高調波特性測定方法。 【請求項3】 着目する高調波が第7調波であり、前記主要対称成分が正相成分である請求項1記載の電力系統の負荷高調波特性測定方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、電力系統に設けた開閉用コンデンサを開閉(入切)することによって、その前後の系統条件から、電力系統の負荷高調波特性(より具体的には負荷高調波アドミタンスおよび負荷高調波電流源電流)を求める方法(いわゆるSC開閉法)の改良に関する。 【0002】 【従来の技術】図1に、3相の電力系統の一例を簡略化して示す。上位系統2に、変電所変圧器4を介して、下位系統(例えば配電系統)6が接続されている。下位系統6には、幾つかの負荷8と共に、通常は力率改善用コンデンサ10が接続されている。 【0003】なお、配電系統においては、通常は、変電所変圧器4の中性点を接地しない中性点非接地方式が採用されるので、この明細書では中性点非接地の場合について説明する。 【0004】図中の符号の意味は以下のとおりである。ここで、nは高調波の次数であり、2以上の任意の整数である。通常は、高調波としてはn=5、即ち第5調波に注目することが多い。 【0005】En :上位系n次調波相電圧(二次側換算値) Zn :変電所変圧器を含んだ上位側のn次調波インピーダンス(二次側換算値) In :変電所変圧器の二次側を流れるn次調波電流Vn :下位系統のn次調波相電圧Yn :下位系統のn次調波アドミタンスIgn:負荷によるn次調波電流源電流【0006】図1の電力系統において、高調波特性解析を行うためには、負荷高調波特性、具体的には、上記n次調波アドミタンスYn およびn次調波電流源電流Ignの値を個別に求める必要がある。しかし、En 、Vn およびIn は実測することができ、Zn は計算で求めることができるけれども、これらの値を用いて計算によってn次調波アドミタンスYn およびn次調波電流源電流Ignの二つを求めようとしても、一つの条件下に未知数が二つ(ここではYn とIgn)存在することになるため、Yn およびIgnの値を個別に求めることはできない。従って、単に、En 、Vn およびIn を計測するだけでは、精度の高い高調波特性解析を行うことができない。 【0007】この問題を解決するのがSC開閉法であり、そのための開閉用コンデンサ(開閉を行う力率改善用コンデンサ:SC)12およびスイッチ14を図1の電力系統に付加した電力系統を図2に示す。図2中のYcnは、開閉用コンデンサ12のn次調波アドミタンスである。 【0008】この場合、従来は、電力系統の3相不平衡を考慮せずに(3相平衡を前提に)、3相の内の任意の相(例えばa、b、c相の内のa相)を代表相とし、この代表相による代表相等価回路を作成し、これを用いてSC開閉法によって、上記n次調波アドミタンスYn およびn次調波電流源電流Ignを個別に求める方法を採用している。 【0009】即ち、図2の電力系統の代表相等価回路を図3に示す。図3(a)は開閉用コンデンサ12の投入前、図3(b)は投入後の等価回路である。 【0010】開閉用コンデンサ12の投入前後において、En 、Yn およびIgnが変化しないものと仮定すると、開閉用コンデンサ12の投入前は、図3(a)の等価回路より、次式が成立する。 【0011】 【数1】Ina=YnVna−IgnEn =Vna+ZnIna=Vna+ZnYnVna−ZnIgn【0012】開閉用コンデンサ12の投入後は、図3(b)の等価回路より、次式が成立する。 【0013】 【数2】Inb=YnVnb+YcnVnb−IgnEn =Vnb+ZnInb=Vnb+ZnYnVnb+ZnYcnVnb−ZnIgn【0014】上記数1および数2において、Vn およびIn の添字aは開閉用コンデンサ12の投入前、添字bは投入後をそれぞれ表す。 【0015】上記数1および数2より、次式が成立し、これによってn次調波アドミタンスYn およびn次調波電流源電流Ignの値を個別に求めることができる。このような方法が、従来のSC開閉法である。 【0016】 【数3】Yn =YcnVnb/(Vna−Vnb)−1/ZnIgn=En /Zn −YcnVnaVnb/(Vna−Vnb) 【0017】 【発明が解決しようとする課題】ところが、代表相等価回路を用いる従来のSC開閉法では、電力系統が3相不平衡の場合は、負荷高調波特性を正確に測定することはできない。なぜなら、3相不平衡を考慮せずに、単純に、一つの代表相でもって残りの相の特性を代表させているからである。 【0018】3相不平衡を考慮する場合は、本来ならば、図4に示すような3相不平衡等価回路を用いなければならない。図4中の符号の添字a、b、cは3相の各相名を表している。 【0019】しかし、このような3相不平衡等価回路は複雑であり、従って、このような等価回路を用いてSC開閉法によって負荷高調波特性を算出することも複雑になる。 【0020】そこでこの発明は、SC開閉法を用いて、3相不平衡の場合でも精度良く、しかも簡単に、負荷高調波特性を求めることができる方法を提供することを主たる目的とする。 【0021】 【課題を解決するための手段】この発明の測定方法は、前記電力系統における電圧、電流等の各特性の主要対称成分を用いて前記3相の電力系統を単相に簡略化した簡略等価回路を用いて、前記開閉用コンデンサの開閉の前後の系統条件から電力系統の負荷高調波特性を求めることを特徴としている。 【0022】3相不平衡の電力系統であっても、中性点非接地の電力系統においては、零相電圧および零相電流はなく、電圧および電流は主要対称成分(例えば、着目する高調波が第5調波の場合は逆相成分、第7調波の場合は正相成分)に集中することが実測等によって確かめられた。 【0023】従って、この主要対称成分を用いて3相の電力系統を単相に簡略化した簡略等価回路を用いることによって、実質的に3相不平衡を考慮したことになり、3相不平衡の場合でも負荷高調波特性を精度良く求めることができる。 【0024】しかも、計算は単相回路で済むので、負荷高調波特性を簡単に求めることができる。 【0025】 【発明の実施の形態】まず、中性点非接地の3相不平衡電力系統を、主要対称成分を用いて単相の等価回路に簡略化することができることを説明する。 【0026】図5は、図4中の各符号から高調波次数nを除いて示す3相不平衡等価回路図である。これ以降においては、電圧、電流等を表す符号に添字が多く付くので、簡略化のために、高調波次数nが必要になる場合以外は、当該nを省略して示す。各符号の添字a、b、cは、3相の各相を表している。 【0027】(1)3相不平衡等価回路一般論まず、準備として、図6に示すような3相不平衡負荷回路において、相電圧と相電流との関係を対称成分に分解して考察する。 【0028】図6において、相電圧Va 、Vb 、Vc を、対称座標法に従って対称成分で表現すると、数4となる。ここで、V0 は零相電圧、V1 は正相電圧、V2 は逆相電圧、aはベクトルオペレータ(a=EXP(j120°))である。 【0029】 【数4】
【0030】従って、線間電圧Vab、Vbc、Vcaは、数5となる。 【0031】 【数5】
【0032】また、負荷の環状電流Iab、Ibc、Icaは、数6となる。ここで、Yab、Ybc、Ycaは、負荷の線間アドミタンスである。 【0033】 【数6】
【0034】従って、線電流Ia 、Ib 、Ic は、数7となる。 【0035】 【数7】
【0036】ここで、数5を数7に代入すれば、数8となる。 【0037】 【数8】
【0038】一方、線電流の対称成分を求めると、数9となる。 【0039】 【数9】
【0040】ここで、数10とおけば、電圧、電流の対称成分間の関係は、数11となる。Y0 は負荷の零相アドミタンス、Y1 は正相アドミタンス、Y2 は逆相アドミタンスである。 【0041】 【数10】
【0042】 【数11】
【0043】(2)負荷、電源共に3相不平衡な場合の下位系統の電圧、インピーダンス、負荷側電流源電流の関係図5において、上位系電圧Eab、Ebc、Ecaと負荷側電流源電流Igab 、Igbc 、Igca についての解析において重ね合わせの理が成立することを考慮して、それらをそれぞれ別々に考察する。 【0044】(2.1)上位系電圧による下位系統の電圧への影響上位系電圧Ea 、Eb 、Ec と下位系統の電圧Va 、Vb 、Vc 、電流Ia 、Ib 、Ic との関係は数12のとおりである。なお、この(2.1)項では、負荷側電流源電流Ig は無視している。それは次の(2.2)項で考察する。Za、Zb 、Zc は、変電所変圧器の各相のインピーダンスである。 【0045】 【数12】
【0046】そして、数13が成立するから、数12の両辺に対称成分への変換マトリクスA-1をかけると、数14となる。なお、マトリクスAおよびA-1(Aの逆行列)は数15のとおりである。 【0047】 【数13】
【0048】 【数14】
【0049】 【数15】
【0050】数14の右辺第2項は、数16と表すことができる。 【0051】 【数16】
【0052】ここで、数17とおけば数18となる。また、数11より、数19と表すことができる。 【0053】 【数17】
【0054】 【数18】
【0055】 【数19】
【0056】従って、数14の右辺第2項は、結局、数20となる。 【0057】 【数20】
【0058】従って、数14は、数21となる。 【0059】 【数21】
【0060】次に、実際に電力系統において、上記数21に含まれているY1 、Y2 、Z1、Z2 の不平衡を考慮した場合(即ち負荷の3相不平衡を考慮した場合)と、無視した場合(即ち負荷が3相で平衡していると仮定した場合)の下位系統の電圧Vの計算結果の比較を行う。 【0061】(ケース1)Y1 、Y2 、Z1 、Z2 の不平衡を考慮した場合 Z0 =j0.4、Z1 =Z2 =0.4×0.05=0.02 (pu) Y0 =1、Y1 =Y2 =1×0.1=0.1 (pu) E0 =V0 =0 (pu) とする。ここで、Z0 =j0.4は、通常着目する第5調波において変電所変圧器の漏れリアクタンスの大きさがおよそ0.8×5=0.4であることから設定した。Z1 、Z2 は、Z0 の5%としたが、これは漏れリアクタンスのばらつきが通常5%以下と考えられることから設定した。Y0 =1は、重負荷時を考えて設定した。Y1 、Y2 は、Y0 の10%としたが、これは線間の負荷のばらつきが通常10%以下と考えられることから設定した。E0 =V0 =0は、中性点非接地系だから零相成分はないものとして設定した。 【0062】上記のように設定すると、数21から、数22が得られる。またこれを、逆に、電圧Vの電圧Eに対する関係式に変換すると、数23となる。 【0063】 【数22】
【0064】 【数23】
【0065】(ケース2)Y1 、Y2 、Z1 、Z2 の不平衡を無視した場合Z0 =j0.4、Z1 =Z2 =0 (pu) Y0 =1、Y1 =Y2 =0 (pu) E0 =V0 =0 (pu) とする。ここで、Z1 、Z2 、Y1 、Y2 を0とするのは、それらの不平衡を無視するからである。 【0066】上記のように設定すると、数21から、数24が得られる。またこれを、逆に、電圧Vの電圧Eに対する関係式に変換すると、数25となる。 【0067】 【数24】
【0068】 【数25】
【0069】上記ケース1およびケース2の計算結果を考察すると、■ 数23において、電圧Eから電圧Vへの変換行列は、非対角項(即ち右上がり対角にある二つの−0.024+j0.004の項)の大きさは対角項(即ち右下がり対角にある二つの0.411−j0.491の項)の大きさの5%以下(約4%)となっている。 【0070】■ 数23と数25とを比較すると、対角項の大きさは互いにほぼ同じである。 【0071】上記■および■を考察すると、±5%程度の精度で下位系統の電圧Vを計算する場合は、負荷の、即ち系統の不平衡を無視しても良いことが分かる。また、変電所変圧器のインピーダンスZや負荷のアドミタンスYは、対称成分ごとに独立で求めれば良いことが分かる。 【0072】(2.2)負荷側電流源によって発生する下位系統の電圧の計算負荷側の電流源電流Ig によって発生する下位系統の電圧Vとの関係は、図7の等価回路で表すことができる。この図7における変電所変圧器のインピーダンスZ(具体的にはその漏れリアクタンス)と負荷のアドミタンスYとをまとめ、改めて線間のアドミタンスYab、Ybc、Ycaとし、また、負荷側の電流源電流Ig をΔ−Y変換すると、図8の等価回路となる。ここで、数26の関係が成立する。 【0073】 【数26】Iga=Igab −IgcaIgb=Igbc −IgabIgc=Igca −Igbc【0074】いま、数27とすると、前記数11より、数28となる。 【0075】 【数27】
【0076】 【数28】
【0077】次に、ここでも、上記(2.1)項の場合と同様に、上記数28に含まれているY1 、Y2 の不平衡を考慮した場合(即ち負荷の3相不平衡を考慮した場合)と、無視した場合(負荷が3相で平衡していると仮定した場合)の下位系統の電圧Vの計算結果の比較を行う。 【0078】(ケース1)Y1 、Y2 の不平衡を考慮した場合上記(2.1)項と同様に、Y0 =1、Y1 =Y2 =0.1(pu)とすると、数29となる。 【0079】 【数29】
【0080】(ケース2)Y1 、Y2 の不平衡を無視した場合上記(2.1)項と同様に、Y0 =1、Y1 =Y2 =0(pu)とすると、数30となる。 【0081】 【数30】
【0082】上記ケース1およびケース2の計算結果を考察すると、■ 数29において、電流Ig から電圧Vへの変換行列は、非対角項(即ち右上がり対角にある二つの0.022の項)の大きさは対角項(即ち右下がり対角にある二つの0.335の項)の大きさの7%以下(約6.5%)となっている。 【0083】■ 数29と数30とを比較すると、対角項の大きさは互いにほぼ同じである。 【0084】上記■および■を考察すると、±7%程度の精度で下位系統の電圧Vを計算する場合は、負荷の、即ち系統の不平衡を無視して良いことが分かる。また、変電所変圧器のインピーダンスZや負荷のアドミタンスYは、対称成分ごとに独立で求めれば良いことが分かる。 【0085】(2.3)下位系統電圧、負荷アドミタンス、負荷側電流源電流の関係上記(2.1)項および(2.2)項の検討結果より、上位系電圧Eと負荷側電流源電流Ig とが既知の場合、下位系統の電圧Vの算出には、負荷のアドミタンスYや変電所変圧器のインピーダンスZに不平衡がないとして、対称成分ごとに独立に求め、それを用いて下位系統の電圧Vを計算すれば良いことが分かった。 【0086】このことは、逆に、上位系電圧E、下位系電圧Vが既知の場合には、負荷のアドミタンスYや電流源電流Ig を、対称成分で独立に求め、それらを加え合わせれば良いことにもなる。 【0087】(3)不平衡電力系統におけるSC開閉法不平衡を考慮せずに代表相を扱ったSC開閉法は従来技術の項で説明したとおりであり、例えば開閉用コンデンサ12(図2等参照)の投入前における変圧器二次側のn次調波電流Inaおよび上位系n次調波電圧Enaは先の数1に示すとおりである。添字aは、前述したように、開閉用コンデンサ投入前を表す。 【0088】これらを、3相不平衡を考慮して行列式で表すと、数31となる。なお、ここでも、前提とする電力系統は中性点非接地系だから、零相成分は無視している。 【0089】 【数31】
【0090】ここで、上記(2.1)項〜(2.3)項の3相不平衡の場合の考察から、Y1 =Y2 =0、Z1 =Z2 =0としても良く、結局上記数31は数32となる。添字の意味を再度説明すると、nは高調波次数、0、1、2は零相成分、正相成分、逆相成分、aは開閉用コンデンサ投入前を、それぞれ表している。 【0091】 【数32】 En1=(1+3Y0 )・Vn1a −Zn0・Ign1En2=(1+3Y0 )・Vn2a −Zn0・Ign2【0092】以上の開閉用コンデンサ投入前についての考察は、開閉用コンデンサ投入後(Vnb)についても同様に適用することができる。 【0093】従って、3相不平衡を考慮したSC開閉法による負荷高調波特性、即ち負荷のn次調波アドミタンスYn および負荷によるn次調波電流源電流Ignの計算においても、正相成分および逆相成分をそれぞれ独立に計算してそれらを加え合わせれば良いことになる。 【0094】(4)主要対称成分について3相不平衡を考慮する場合は、本来ならば、上述のように、正相成分および逆相成分をそれぞれ独立に計算してそれらを加え合わせれば良い。この方法が最も精度が高い。 【0095】しかし、電力系統における電圧、電流は、高調波を含むとしても、波形における正負の対称性は維持されているのが普通であり、従って電力系統の3相回路には、直流分および偶数次高調波は含まれない。また、3相の波形はほぼ同じ波形をしているのが普通であり、従って対称成分は零相成分、正相成分、逆相成分の内のどれかに集中するのが普通であり、これを主要対称成分と呼ぶ。 【0096】この主要対称成分は、着目する高調波次数をnとし、k=1、2、3・・・とすると、次のものになる(例えば、赤尾保男、古明地静雄、鬼頭幸生著「電気回路論」、廣川書店、昭和46年2月1日 7版発行、頁208〜212参照)。但し、この明細書で扱っているのは中性点非接地系であるから、零相成分はない。 【0097】 ■ n=1+6(k−1)=1、7、13・・・・ならば正相成分 ■ n=3+6(k−1)=3、9、15・・・・ならば零相成分 ■ n=5+6(k−1)=5、11、17・・・ならば逆相成分【0098】対称成分が主要対称成分に集中することは、実測によっても確かめられている。その結果の一例を図10および図11に示す。 【0099】図10から分かるように、基本波(n=1)電圧の対称成分は、100%近く正相成分に集中している。 【0100】図11から分かるように、第5調波(n=5)電圧の対称成分は、時間帯によって変動はあるものの、大きな割合で逆相成分に集中している。また、一般的に夜間は、負荷が軽くなって負荷によるダンピングが小さくなるため高調波電圧歪みの拡大が顕著になると言われており、第5調波電圧の逆相成分は、このような電力系統の高調波の実態を良く表している。 【0101】従って、敢えて上述のように正相成分と逆相成分とを求めて加え合わせることをせず、主要対称成分だけを用いても、3相不平衡の場合でも、かなり高い精度で負荷高調波特性を求めることができる。また、電力系統の高調波の実態を良く反映させることができる。 【0102】そこでこの発明は、系統の主要対称成分を用いて前記3相の電力系統を単相に簡略化した簡略等価回路を用いて、前記開閉用コンデンサ12の開閉の前後の系統条件から前記n次調波アドミタンスYn 、n次調波電流源電流Ign等の負荷高調波特性を求めるものである。 【0103】図2に示した3相の電力系統を、主要対称成分を用いて単相に簡略化した簡略等価回路を図9に示す。この簡略等価回路は、上位系統2のn次調波電圧En に変電所変圧器4のn次調波インピーダンスZn を介して下位系統6が接続された構成をしている。下位系統6は、n次調波アドミタンスYn とn次調波電流源電流Ignとの並列回路に簡略化している。n次調波アドミタンスYn は、負荷8によるn次調波コンダクタンスGn と力率改善用コンデンサ10によるn次調波サセプタンスBsnとの並列回路で構成されている。この下位系統6に、SC開閉法を実施するために、スイッチ14によって開閉用コンデンサ12を開閉(入切)する構成である。 【0104】この図9は、図3に示した代表相によるSC開閉法の等価回路と似ているけれども、図3は単なる代表相(例えばa相)による単相の等価回路であるのに対して、この図9は主要対称成分による等価回路であり、両者は用いる要素を全く異にしている。 【0105】この図9中の各符号の意味は前記と同じであるが、添字mは、主要対称成分を表す記号であり、通常は、正相成分の場合は1、逆相成分の場合は2が用いられる。 【0106】なお、前述したn次調波アドミタンスYn は、次式で表すことができる。ここで、前述したようにGn は負荷8のn次調波コンダクタンス、Bsnは力率改善用コンデンサ10のn次調波サセプタンスである。これらに符号mを付ければ、主要対称成分のものになる。 【0107】 【数33】Yn =Gn +jBsn【0108】この図9の簡略等価回路を用いてSC開閉法によって負荷高調波特性、即ちn次調波アドミタンスYn およびn次調波電流源電流Ignを求める方法を以下に示す。数34〜数36は、前記数1〜数3とそれぞれ同様の意味を表している。 【0109】即ち、開閉用コンデンサ12の投入前後において、En 、Yn およびIgnが変化しないものと仮定すると、開閉用コンデンサ12の投入前は、図9の等価回路より、次式が成立する。 【0110】 【数34】Inma =YnmVnma −IgnmEnm=Vnma +ZnmInma=Vnma +ZnmYnmVnma −ZnmIgnm【0111】開閉用コンデンサ12の投入後は、図9の等価回路より、次式が成立する。 【0112】 【数35】Inmb =YnmVnmb +YcnmVnmb −IgnmEnm=Vnmb +ZnmInmb=Vnmb +ZnmYnmVnmb +ZnmYcnmVnmb −ZnmIgnm【0113】上記数34および数35において、Vn およびIn の添字aは開閉用コンデンサ12の投入前、添字bは投入後をそれぞれ表す。 【0114】上記数34および数35より、次式が成立し、これによってn次調波アドミタンスYn およびn次調波電流源電流Ignの主要対称成分の値を個別に求めることができる。 【0115】 【数36】 Ynm=YcnmVnmb /(Vnma −Vnmb )−1/ZnmIgnm =Enm/Znm−YcnmVnmaVnmb /(Vnma −Vnmb ) 【0116】具体的には、開閉用コンデンサ12投入前の2相分(a、b、c相の内の2相分)のn次調波電圧Vn およびn次調波電流In を計測し、それらの主要対称成分を求め、それらをVnma 、Inma とする。同様に、開閉用コンデンサ12投入後の2相分のn次調波電圧Vn およびn次調波電流In を計測し、それらの主要対称成分を求め、それらをVnmb 、Inmb とする。上位系n次調波電圧En は開閉用コンデンサ12投入前後のいずれに計測しても良く、その主要対称成分をEnmとする。変電所変圧器4のn次調波インピーダンスZn と開閉用コンデンサ12のn次調波アドミタンスYcnは既知であり、それらの主要対称成分をそれぞれZnm、Ycnm とする。これらを用いて、数36から、YnmとIgnm とを個別に求めることができる。なお、2相分を計測するのは、原理的には3相分の計測が必要であるけれども、対称3相交流では、2相分を計測すれば残り1相分は計算で求まる(即ち3相分の合計が0になることから求まる)からである。 【0117】また、このようにしてYnmとIgnm とを求めておけば、それ以降の任意の時点において、例えば上位系統2の系統条件を変更したような場合において、これらの値と上位系電圧Enmの実測値とを用いて、次の数37から、下位系統のn次調波電圧Vn がどのようになるかを簡単に算出(推定)することができる。なお、この数37は、数34の第2番目の式Enm=・・・から算出することができる。 【0118】 【数37】 Vnm=(Enm+ZnmIgnm )/(1+ZnmYnm) 【0119】以上のように、この発明の方法によれば、系統の主要対称成分を用いて3相の電力系統を単相に簡略化した簡略等価回路を用いることによって、実質的に3相不平衡を考慮したことになり、3相不平衡の場合でも負荷高調波特性を精度良く求めることができる。しかも、計算は単相回路で済むので、負荷高調波特性を簡単に求めることができる。 【0120】次に、図9に示したような主要対称成分による単相の簡略等価回路を用いる本発明の方法によって算出したn次調波電圧Vn (主要対称成分の電圧)の値と、図4に示したような3相不平衡等価回路を用いて算出したn次調波電圧Vn の値との比較を行った。この比較は、第5調波(即ちn=5)について行った。従って、この場合の主要対称成分は逆相成分である。図4の等価回路において、上位系電圧En を、逆相電圧1%、正相電圧0.2%(これは敢えて大きくした)になるように各相を設定した。変圧器インピーダンスZn の3相間のばらつきは5%とした。また、力率改善用コンデンサのサセプタンスBsnの3相間のばらつきも5%とした。負荷の力率は1とし、そのコンダクタンスGn の3相間のばらつきと、当該負荷による電流源電流Ignの3相間のばらつきは50%(これは敢えて大きくした)とした。電流源電流Ignの大きさは負荷のコンダクタンスGn に流れる基本波電流の5%、負荷側電流源電流Ignの上位系電圧En (逆相電圧)に対する位相差は、算出誤差を最大にする位相(ここでは270°)とした。 【0121】なお、上で敢えて上位系電圧En の正相電圧の比率や、負荷コンダクタンスGn および電流源電流Ignの3相間のばらつきを大きくしたのは、また算出位相差を最大にする位相差を選んだのは、上記二つの方法によるn次調波電圧Vn の算出誤差が大きくなる場合を、即ち条件の非常に悪い場合を想定するためである。これを想定しておけば、現実の誤差はこれよりも十分に小さくなり、結果がより良い方向に向かうからである。 【0122】上記条件で、電力系統の共振状態と、10MVAベースでの負荷の軽重を4ケース設定して、n次調波電圧Vn を算出した結果を表1に示す。本発明の方法によるn次調波電圧Vn (逆相分)の算出は、上記数36および数37によった。BsnおよびGn とYn との関係は数33に示すとおりである。比誤差dは、3相不平衡等価回路を用いて数32に示したようなSC開閉法によって求めたn次調波電圧をVn ′とした場合、次の数38から求めた。なお、重負荷の場合は、開閉用コンデンサ12の開閉による電圧変動が小さくて計測が難しいので、採用しなかった。 【0123】 【数38】d=(Vn −Vn ′)/Vn ×100(%) 【0124】 【表1】
【0125】この表に示すように、電力系統の各状態において、本発明の方法によるn次調波電圧Vn の算出の比誤差dは、大きくてもせいぜい2%以下であり、この方法が、3相不平衡の場合でも負荷高調波特性(Yn 、Ign)の算出や下位系統における高調波電圧Vn の推定等に有効であることが分かる。 【0126】 【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、電力系統の主要対称成分を用いて3相の電力系統を単相に簡略化した簡略等価回路を用いることによって、実質的に3相不平衡を考慮したことになり、3相不平衡の場合でも負荷高調波特性を精度良く求めることができる。しかも、計算は単相回路で済むので、負荷高調波特性を簡単に求めることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000156938 【氏名又は名称】関西電力株式会社 【識別番号】000003942 【氏名又は名称】日新電機株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月3日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】山本 惠二
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| 【公開番号】 |
特開平11−23622 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月29日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−195130 |
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