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【発明の名称】 電子式電力量計
【発明者】 【氏名】近藤 桂州

【氏名】井上 悟

【要約】 【課題】ホール素子を乗算器として利用した電子式電力量計であって、特にホール素子の出力電圧の温度補償や、外部磁界の影響を除去することにより高精度化した電子式電力量計を得る。

【解決手段】電圧変換器14と電圧−電流変換回路5からなる電圧−電流変換手段9、ホール素子7と抵抗15と差動増幅回路16からなる乗算手段10を有する。ホール素子7の入力端H1―出力端H4間の電圧を差動増幅器16と抵抗15でホール素子7の入力電流と同極性の電流に変換し、ホール素子7へ入力する。ホール素子7への入力電流に温度係数を持たせ、ホール素子7の出力電圧の温度係数を相殺する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 線路電圧を分圧または変圧後、線路電圧に比例した電流に変換する電圧−電流変換手段と、線路電流を線路電流に比例した磁束密度の磁界に変換する電流−磁界変換手段と、ホール素子を乗算器として使用し、線路電圧に比例した電流を上記ホール素子に入力するとともに、線路電流に比例した磁界を上記ホール素子に印加することによって、上記ホール素子は、線路電圧と線路電流の積である線路の瞬時電力に比例した電圧を出力する乗算手段と、上記乗算手段の出力電圧を積算手段と、上記ホール素子の2つの入力端の間または一方の入力端と一方の出力端との間の電圧をそれに比例する電流に変換し、上記電流を上記ホール素子に入力し、上記ホール素子の入力抵抗値の温度変化に応じて上記ホール素子に入力する電流を制御することにより、上記ホール素子の出力電圧の温度特性を補償する温度補償回路とを備えたことを特徴とする電子式電力量計。
【請求項2】 前記積算手段は、前記乗算手段の出力電圧から交流成分を除去する交流除去部を備えたことを特徴とする請求項1記載の電子式電力量計。
【請求項3】 前記積算手段は、前記乗算手段の出力電圧をA/Dコンバータを用いてデジタル値に変換するA/D変換部、上記A/D変換部の出力の直流成分のみを積算する積算部で構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の電子式電力量計。
【請求項4】 前記電流−磁界変換手段が、中心部の柱状突起に空隙を有するポット形状コアと電流線とを備え、前記ホール素子を前記ポット形状コアの柱状突起の空隙に配置したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子式電力量計。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ホール素子を乗算器として利用した電子式電力量計に関し、特にホール素子の出力電圧の温度補償や、外部磁界の影響を除去することにより高精度化した電子式電力量計に関する。
【0002】
【従来の技術】図18は、トランジスタ技術増刊「センサ・インターフェーシング No.3」CQ出版社 昭和58年(1983年) P.131〜P.137に掲載された従来のホール素子を利用した電力乗算回路の要部を示す回路図である。図において、P1,P2は線路電圧を入力する入力端子、1は変圧器、2は抵抗3と正方向の温度係数を持つ感温抵抗4で構成される温度補償回路、5は演算増幅器5a,5bと抵抗R1で構成される電圧−電流変換回路である。6はリング形状で磁路の一部にギャップを有する強磁性体コア6aと、強磁性体コア6aに一回ないし複数回巻かれた電流線6bで構成される電流−磁界変換手段である。7は入力端H1,H3および出力端H2,H4を有するホール素子であり、強磁性体コア6aのギャップ間に設置される。8は演算増幅器8a,8bと抵抗R2,R3,R4からなる差動増幅回路である。入力端子P1、P2は、変圧器1の入力端にそれぞれ接続され、変圧器1の一方の出力端は抵抗3の一端に接続され、変圧器1の他の出力端は感温抵抗4の一端と演算増幅回路5bの出力端と抵抗R1の一端とに接続される。演算増幅器5aの反転入力端は抵抗R1の一端とホール素子7の入力端H3に接続され、演算増幅器5aの非反転入力端は感温抵抗4の他端と抵抗3の他端に接続され、演算増幅器5aの出力端はホール素子7の入力端H1に接続される。演算増幅器5bの非反転入力端は基準電位に接続され、演算増幅器5bの反転入力端はホール素子7の出力端H4と演算増幅器8bの非反転入力端に接続される。ホール素子7の出力端H2は演算増幅器8aの非反転入力端と接続される。
【0003】以下にかかる電力乗算回路の動作を説明する。線路電圧は入力端子P1−P2間に入力され、変圧器1によって変圧された後、温度補償回路2の抵抗3と感温抵抗4で分圧され、電圧−電流変換回路5に入力される。電圧−電流変換回路5は、入力された電圧を入力電圧に比例した電流IV に変換した後、上記電流IVをホール素子7の入力端H1−H3間に入力する。線路電流は電流線6bに入力され、電流−磁界変換回路6にて強磁性体コア6aのギャップ間に線路電流に比例した磁束密度BI の磁界が発生し、上記磁界はギャップ間に設置されたホール素子7に印加される。ホール素子7は、上記電流IV と磁束密度BI の上記磁界を印加されることにより、出力端H2−H4間に下記式で表される電圧VH を出力する。
H =K・IV ・BIただし、Kはホール素子7の積感度である。したがって、ホール素子7からは線路電圧と線路電流の積に比例した電圧、すなわち電力に比例した電圧が出力される。ところで、ホール素子7の出力電圧は温度依存性が有り、温度が上昇した場合に出力電圧が低下する負の温度係数を持っている。ホール素子7の出力電圧の温度係数をα、ホール素子7の温度変化をΔTとすると、ホール素子7の出力電圧は下記の式で表される。
H =K・(1+α・ΔT)・IV ・BIしたがって、高精度に電力量の計量を行うためにはホール素子7の出力電圧の温度補償が必要となる。従来の温度補償は、抵抗3と正方向の温度係数を持つ感温抵抗4で構成される温度補償回路2にて変圧器1の出力電圧を分圧することで、電圧−電流変換回路5からホール素子7へ入力される電流IV に正の温度係数を持たせ、前記入力電流IV の温度係数がホール素子7の出力電圧の温度係数を打ち消すように抵抗3と感温抵抗4の抵抗値を決定していた。
【0004】図19は従来の電流−磁界変換手段の構造を示す図である。リング形状で磁路の一部にギャップを有する強磁性体コア6aと電流線6bで構成され、強磁性体コア6aに電流線6bが一回ないし複数回巻かれており、ホール素子7はギャップ間に設置されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の温度補償方法では、ホール素子の周囲温度に追従させるために感温抵抗をホール素子の近傍に配置せねばならず、またホール素子の自己加熱による出力電圧の変化を補償することができないという問題点があった。
【0006】また、上記のような従来の電流−磁界変換手段では、磁界を強くするために電流線の巻数を増やす際、強磁性体コアがリング形状のため、人手にて巻かねばならず高コスト化の要因となる。
【0007】また、上記のような従来の電流−磁界変換手段では、ホール素子が外部磁界や外乱ノイズの影響を受けやすいという問題があった。
【0008】この発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、ホール素子の近傍に温度センサを配置することなく、出力電圧の温度特性を高精度に補償することができ、ホール素子の自己加熱の温度補償もできる温度補償回路を備えた、ホール素子を乗算器として利用した電子式電力量計を得ることを目的とする。
【0009】また、電流線を容易に巻きやすく、外部磁界や外乱ノイズの影響を受け難い、ホール素子を乗算器として利用した電子式電力量計を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明の第1の構成による電子式電力量計は、線路電圧を分圧または変圧後、線路電圧に比例した電流に変換する電圧−電流変換手段と、線路電流を線路電流に比例した磁束密度の磁界に変換する電流−磁界変換手段と、ホール素子を乗算器として使用し、線路電圧に比例した電流を上記ホール素子に入力するとともに、線路電流に比例した磁束密度の磁界を上記ホール素子に印加することによって、上記ホール素子は、線路電圧と線路電流の積である線路の瞬時電力に比例した電圧を出力する乗算手段と、上記乗算手段の出力電圧を積算手段と、上記ホール素子の2つの入力端の間または一方の入力端と一方の出力端との間の電圧をそれに比例する電流に変換し、上記電流を上記ホール素子に入力し、上記ホール素子の入力抵抗値の温度変化に応じて上記ホール素子に入力する電流を制御することにより、上記ホール素子の出力電圧の温度特性を補償する温度補償回路とを備えたものである。
【0011】また、この発明の第2の構成による電子式電力量計は、前記積算手段は、前記乗算手段の出力電圧から交流成分を除去する交流除去部を備えたものである。
【0012】また、この発明の第3の構成による電子式電力量計は、前記積算手段は、前記乗算手段の出力電圧をA/Dコンバータを用いてデジタル値に変換するA/D変換部、上記A/D変換部の出力の直流成分のみを積算する積算部で構成されたものである。
【0013】また、この発明の第4の構成による電子式電力量計は、前記電流−磁界変換手段が、中心部の柱状突起に空隙を有するポット形状コアと電流線とを備え、前記ホール素子を前記ポット形状コアの柱状突起の空隙に配置したものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。実施の形態1.図1は、この発明の実施の形態1である電子式電力量計の構成を示すブロック図である。なお、図18と同一もしくは相当する部分は同一符号を付し、説明を省略する。図において、6は電流−磁界変換手段、9は電圧−電流変換手段、10は乗算手段、11は増幅手段、12は積算手段、13は出力手段である。
【0015】線路電圧は電圧−電流変換手段9に入力され、線路電圧に比例した電流に変換され、乗算回路10に入力される。また、線路電流は電流−磁界変換手段6に入力され、線路電流に比例した磁界に変換され、乗算回路10に入力される。乗算回路10は、入力された前記電流と前記磁界の積に比例した電圧、すなわち線路の瞬時電力に比例した電圧を増幅手段11へ出力する。乗算手段10の出力電圧は増幅手段11によって増幅された後、積算手段12によってデジタル値に変換された後に積算される。積算手段12の積算結果は出力手段13によって出力される。
【0016】図2は図1に示す電圧−電流変換手段9と乗算手段10の詳細を示す図である。図において、P1,P2は線路電圧を入力する入力端子、14は変圧器もしくは抵抗などを用いて電圧を変圧もしくは分圧する電圧変換回路、5は演算増幅器5aと抵抗R1とからなる電圧−電流変換回路であり、電圧−電流変換手段9は電圧変換回路14と電圧−電流変換回路5とで構成される。入力端子P1,P2は電圧変換回路14の入力端にそれぞれ接続され、電圧変換回路14の一方の出力端は演算増幅器5aの非反転入力端に接続され、電圧変換回路14の他の出力端は抵抗R1の一端と基準電位とに接続される。7は入力端H1,H3および出力端H2,H4を有するホール素子、15は抵抗、16は演算増幅器16a、抵抗R5,R6,R7,R8からなる差動増幅回路であり、乗算手段10はホール素子7と抵抗15と差動増幅回路16とで構成される。ホール素子7の入力端H1は演算増幅器5aの出力端と接続され、入力端H3は演算増幅器5aの反転入力端と抵抗R1の他端と抵抗15の一端とに接続される。差動増幅回路16は、ホール素子7の入力端H1−出力端H4間の電圧をホール素子7の入力端H3を基準として逆位相の電圧に増幅し、抵抗15の両端に出力するよう、次のように接続される。演算増幅器16aの出力端は抵抗15の他端と抵抗R6の一端とに接続される。抵抗R5の一端はホール素子7の入力端H1と接続され、抵抗R7の一端は出力端H4と接続され、抵抗R8の一端はホール素子7の入力端H3と接続される。抵抗R5の他端は抵抗R6の他端と演算増幅器16aの反転入力端に接続され、抵抗R7の他端は抵抗R8の他端と演算増幅器16aの非反転入力端とに接続される。
【0017】次に図2の動作について説明する。線路電圧は入力端子P1−P2間に入力され、電圧変換回路14にて変圧もしくは分圧後、電圧−電流変換回路5で線路電圧に比例した電流IV に変換され、ホール素子7の入力端H1−H3間に入力される。ホール素子7の入力端H1−出力端H4間には下記の電圧VT が発生する。
T =IC ・Rin/2IC =IV +ITただし、Rinはホール素子7の入力抵抗、IC はホール素子7の入力端に入力される電流の和、IT は後述する温度補償電流である。VT にはホール素子7の出力端H2−H4間の電圧の1/2が含まれるが、この電圧はVT に比べて微小であり、近似的には無視できる。ホール素子7の入力端H1−出力端H4間の電圧VT は差動増幅回路16にて入力端H3を基準とした逆位相の電圧に増幅された後、抵抗15でIV と同相の温度補償電流IT に変換され、ホール素子7の入力端H1−H3間に入力される。抵抗R5,R6,R7,R8,15の抵抗値をそれぞれR5,R6,R7,R8,RT とすると、R5=R7,R6=R8のとき、温度補償電流IT は下記式で表される。
T =(R6/R5・VT )/RTしたがって、ホール素子7の入力電流IC は、IC =2・RT ・R5・IV /(2・RT ・R5−R6・Rin)
で表される。ホール素子7の入力抵抗Rinの温度係数をβ、ホール素子7の温度変化をΔTとすると、ホール素子7の入力電流IC は下記式で表される。
C =2・RT ・R5・IV /(2・RT ・R5−R6・Rin・(1+β・ΔT))
一方、線路電流は電流−磁界変換手段9によって線路電流に比例した磁束密度BI の磁界に変換され、ホール素子7へ印加される。ホール素子7は、上記入力電流IC と磁束密度BI の上記磁界を印加されることにより、出力端H2−H4間に下記式で表される電圧VH を出力する。
VH=K(1+αΔT)BIIC=2RTR5(1+αΔT)KB1IV/(2RTR5-R6Rin(1+βΔT))ただし、Kはホール素子7の積感度である。
【0018】ホール素子7の出力電圧の温度係数αの傾きは負であり、ホール素子7の入力抵抗の温度係数βの傾きは正であるので、ホール素子7の出力電圧の温度係数を打ち消すようにRT ,R5,R6,R7、R8の値を決定することにより、ホール素子7の出力電圧の温度特性が改善される。すなわち、1−2・RT・R5/(R6・Rin)=β/αとすれば、温度特性が補償される。
【0019】ただし、2・RT ・R5=R6・Rin・(1+β・ΔT)のときIC =∞となるため、RT ,R5,R6の値は、下記条件を満たさなければならない。
2・RT ・R5≠R6・Rin・(1+β・ΔT)
【0020】本実施の形態による温度補償は、ホール素子7の入力抵抗の温度変化を利用したものであるから、ホール素子の自己加熱による温度変化を補償することができる。なお、本実施の形態は、電力量計のみならず電力計、電流計、ガウスメータ等ホール素子を利用した装置に使用できることは言うまでもない。
【0021】実施の形態2.実施の形態2は、電圧−電流変換手段9以外は実施の形態1とまったく同一である。図3は、この発明の実施の形態2を示す回路図である。図3の構成を実施の形態1との相違点について以下に説明する。図3において、5は演算増幅器5a,5bと抵抗R1とで構成される電圧−電流変換回路であり、その他の回路は図2とまったく同じである。電圧変換回路14の一方の出力端は演算増幅器5aの非反転入力端に接続され、電圧変換回路14の他の出力端は演算増幅器5bの出力端および抵抗R1の一端とに接続される。演算増幅器5aの反転入力端は、ホール素子7の入力端H3と抵抗R1の他端と抵抗15の一端と抵抗R8の一端とに接続される。演算増幅器5aの出力端はホール素子7の入力端H1と抵抗R5の一端とに接続される。演算増幅器5bの非反転入力端は基準電位に接続され、演算増幅器5bの反転入力端はホール素子7の出力端H4と抵抗R7の一端とに接続される。
【0022】図3の動作を実施の形態1との相違点について以下に説明する。ホール素子7の出力端H4は、演算増幅器5bによって基準電位と仮想接地されているため、ホール素子7の出力端H2からは、自動的に同相電圧が除去された電圧が出力される。図3は実施の形態1と同様の温度補償を行っているため、温度特性が改善されることは言うまでもない。
【0023】なお、本実施の形態は、電力量計のみならず電力計、電流計、ガウスメータ等ホール素子を利用した装置に使用できることは言うまでもない。
【0024】実施の形態3.実施の形態3は、乗算手段10以外は実施の形態1とまったく同一である。図4は、この発明の実施の形態3を示す回路図である。図4の構成を実施の形態1との相違点について以下に説明する。図4において、17は演算増幅器17a、抵抗R9,R10で構成される反転増幅回路であり、乗算手段10はホール素子7と抵抗15と反転増幅回路17で構成され、その他の回路は図2とまったく同じである。反転増幅回路17は、ホール素子7の出力端H4−入力端H3間の電圧を入力端H3を基準として逆位相の電圧に増幅し、抵抗15両端に出力するよう、次のように接続される。抵抗R9の一端はホール素子7の出力端H4と接続され、抵抗R9の他端は演算増幅器17aの反転入力端と抵抗R10の一端とに接続される。演算増幅器17aの非反転入力端は、ホール素子7の入力端H3と抵抗15の一端と抵抗R1の一端と演算増幅器5aの反転入力端とに接続される。演算増幅器17aの出力端は抵抗15の他端と抵抗R10の他端とに接続される。
【0025】図4の動作を実施の形態1との相違点について以下に説明する。線路電圧は入力端子P1−P2間に入力され、電圧変換回路14にて変圧もしくは分圧後、電圧−電流変換回路5で線路電圧に比例した電流IV に変換され、ホール素子7の入力端H1−H3間に入力される。ホール素子7の出力端H4−入力端H3間には下記の電圧VT が発生する。
T =IC ・Rin/2IC =IV +ITただし、Rinはホール素子7の入力抵抗、IC はホール素子7の入力端に入力される電流の和、IT は後述する温度補償電流である。ホール素子7の出力端H4−入力端H3間の電圧VT は、反転増幅回路17にて入力端H3を基準とした逆位相の電圧に増幅された後、抵抗15にてIV と同相の温度補償電流IT に変換され、ホール素子7の入力端H1−H3間に入力される。抵抗15,R9,R10の抵抗値をRT ,R9,R10とすると、温度補償電流IT は下記式で表される。
T =(R10/R9・VT )/RTしたがって、ホール素子7の入力電流IC は、IC =2・RT ・R9・IV /(2・RT ・R9−R10・Rin)
で表される。ホール素子7の入力抵抗Rinの温度係数をβ、ホール素子7の温度変化をΔTとすると、ホール素子7の入力電流ICは下記式で表される。
C =2・RT ・R9・IV /(2・RT ・R9−R10・Rin・(1+β・ΔT))
一方、線路電流は電流−磁界変換手段9によって線路電流に比例した磁束密度BI の磁界に変換され、ホール素子7へ印加される。ホール素子7は、上記入力電流IC と磁束密度BI の上記磁界を印加されることにより、出力端H2−H4間に下記式で表される電圧VH を出力する。
VH=K(1+αΔT)BIIC=2RTR9(1+αΔT)KBIIV/(2RTR9-R10Rin(1+βΔT))ただし、Kはホール素子7の積感度である。
【0026】ホール素子7の出力電圧の温度係数αの傾きは負であり、ホール素子7の入力抵抗の温度係数βの傾きは正であるので、ホール素子7の出力電圧の温度係数を打ち消すようにRT ,R9,R10の値を決定することにより、ホール素子7の出力電圧の温度特性が改善される。すなわち、1−2・RT・R9/(R10・Rin)=β/αとすれば、温度特性が補償される。
【0027】ただし、2・RT ・R9=R10・Rin・(1+β・ΔT)のときIC=∞となるため、RT ,R9,R10の値は、下記条件を満たさなければならない。
2・RT ・R9≠R10・Rin・(1+β・ΔT)
【0028】なお、本実施の形態は、電力量計のみならず電力計、電流計、ガウスメータ等ホール素子を利用した装置に使用できることは言うまでもない。
【0029】実施の形態4.実施の形態4は、電圧−電流変換手段9以外は実施の形態3とまったく同一である。図5は、この発明の実施の形態4を示す回路図である。図5の構成を実施の形態3との相違点について以下に説明する。図5において、5は演算増幅器5a,5bと抵抗R1とで構成される電圧−電流変換回路であり、その他の回路は図4とまったく同じである。電圧変換回路14の一方の出力端は演算増幅器5aの非反転入力端に接続され、電圧変換回路14の他の出力端は演算増幅器5bの出力端および抵抗R1の一端とに接続される。演算増幅器5aの反転入力端はホール素子7の入力端H3と抵抗R1の他端と抵抗15の一端と演算増幅器17aの非反転入力端とに接続される。演算増幅器5aの出力端はホール素子7の入力端H1とに接続される。演算増幅器5bの非反転入力端は基準電位に接続され、演算増幅器5bの反転入力端はホール素子7の出力端H4と抵抗R9の一端とに接続される。
【0030】図5の動作を実施の形態3との相違点について以下に説明する。ホール素子7の出力端H4は、演算増幅器5bによって基準電位と仮想接地されているため、ホール素子7の出力端H2からは、自動的に同相電圧が除去された電圧が出力される。図5は実施の形態3と同様の温度補償を行っているため、温度特性が改善されることは言うまでもない。
【0031】なお、本実施の形態は、電力量計のみならず電力計、電流計、ガウスメータ等ホール素子を利用した装置に使用できることは言うまでもない。
【0032】実施の形態5.実施の形態5は、乗算手段10以外は実施の形態1とまったく同一である。図6は、この発明の実施の形態5を示す回路図である。図6の構成を実施の形態1との相違点について以下に説明する。図6において、17は演算増幅器17a、抵抗R9,R10で構成される反転増幅回路であり、乗算手段10はホール素子7と抵抗15と反転増幅回路17で構成され、その他の回路は図2とまったく同じである。反転増幅回路17は、ホール素子7の入力端H1−H3間の電圧を入力端H3を基準として逆位相の電圧に増幅し、抵抗15の両端に出力するよう、次のように接続される。抵抗R9の一端はホール素子7の入力端H1と演算増幅器5aの出力端に接続され、抵抗R9の他端は演算増幅器17aの反転入力端と抵抗R10の一端とに接続される。演算増幅器17aの非反転入力端は、ホール素子7の入力端H3と抵抗15の一端と抵抗R1の一端と演算増幅器5aの反転入力端とに接続される。演算増幅器17aの出力端は抵抗15の他端と抵抗R10の他端とに接続される。
【0033】図6の動作を実施の形態1との相違点について以下に説明する。線路電圧は入力端子P1−P2間に入力され、電圧変換回路14にて変圧もしくは分圧後、電圧−電流変換回路5で線路電圧に比例した電流IV に変換され、ホール素子7の入力端H1−H3間に入力される。このとき、ホール素子7の入力端H1−H3の間には、下記の電圧VT が発生する。
T =IC ・RinIC =IV +ITただし、Rinはホール素子7の入力抵抗、IC はホール素子7の入力端に入力される電流の和、IT は後述する温度補償電流である。ホール素子7の入力端H1−H3間の電圧VT は、反転増幅回路17にて入力端H3を基準とした逆位相の電圧に増幅された後、抵抗15にてIV と同じ位相の温度補償電流IT に変換され、ホール素子の入力端H1−H3間に入力される。抵抗15,R9,R10の抵抗値をRT ,R9,R10とすると、温度補償電流IT は下記式で表される。
T =(R10/R9・VT )/RTしたがって、ホール素子7の入力電流ICは、IC =RT ・R9・IV /(RT ・R9−R10・Rin)
で表される。ホール素子7の入力抵抗Rinの温度係数をβ、ホール素子7の温度変化をΔTとすると、ホール素子7の入力電流IC は下記式で表される。
C =RT ・R9・IV /(RT ・R9−R10・Rin・(1+β・ΔT))
一方、線路電流は電流−磁界変換手段9によって線路電流に比例した磁束密度BI の磁界に変換され、ホール素子7へ印加される。ホール素子7は、上記入力電流IC と磁束密度BI の上記磁界を印加されることにより、出力端H2−H4間に下記式で表される電圧VH を出力する。
VH=K(1+αΔT)BIIC=RTR9(1+αΔT)KBIIV/(RTR9-R10Rin(1+βΔT))ただし、Kはホール素子7の積感度である。
【0034】ホール素子7の出力電圧の温度係数αの傾きは負であり、ホール素子7の入力抵抗の温度係数βの傾きは正であるので、ホール素子7の出力電圧の温度係数を打ち消すようにRT ,R9,R10の値を決定することにより、ホール素子7の出力電圧の温度特性が改善される。すなわち、1−RT・R9/(R10・Rin)=β/αとすることにより、温度特性が補償される。
【0035】ただし、RT ・R9=R10・Rin・(1+β・ΔT)のときIC =∞となるため、RT ,R9,R10の値は、下記条件を満たさなければならない。
T ・R9≠R10・Rin・(1+β・ΔT)
【0036】なお、本実施の形態は、電力量計のみならず電力計、電流計、ガウスメータ等ホール素子を利用した装置に使用できることは言うまでもない。
【0037】実施の形態6.実施の形態6は、電圧−電流変換手段9以外は実施の形態5とまったく同一である。図7は、この発明の実施の形態6を示す回路図である。図7の構成を実施の形態5との相違点について以下に説明する。図7において、5は演算増幅器5a,5bと抵抗R1とで構成される電圧−電流変換回路であり、その他の回路は図2とまったく同じである。電圧変換回路14の一方の出力端は演算増幅器5aの非反転入力端に接続され、電圧変換回路14の他の出力端は演算増幅器5bの出力端および抵抗R1の一端に接続される。演算増幅器5aの反転入力端は、ホール素子7の入力端H3と抵抗R1の他端と抵抗15の一端と演算増幅器17aの非反転入力端とに接続される。演算増幅器5aの出力端はホール素子7の入力端H1と抵抗R9の一端に接続される。演算増幅器5bの非反転入力端は基準電位に接続され、演算増幅器5bの反転入力端はホール素子7の出力端H4と接続される。
【0038】図7の動作を実施の形態5との相違点について以下に説明する。ホール素子7の出力端H4は、演算増幅器5bによって基準電位と仮想接地されているため、ホール素子7の出力端H2からは、自動的に同相電圧が除去された電圧が出力される。図7は実施の形態5と同様の温度補償を行っているため、温度特性が改善されることは言うまでもない。
【0039】なお、本実施の形態は、電力量計のみならず電力計、電流計、ガウスメータ等ホール素子を利用した装置に使用できることは言うまでもない。
【0040】実施の形態7.実施の形態7は、電圧−電流変換手段9、乗算手段10以外は実施の形態1とまったく同じである。図8は、この発明の実施の形態7示す回路図である。図において、P1,P2は線路電圧を入力する入力端子、14は変圧器もしくは抵抗などを用いて電圧を変圧もしくは分圧する電圧変換回路、5は演算増幅器5aと抵抗R1とからなる電圧−電流変換回路であり、電圧−電流変換手段9は電圧変換回路14と電圧−電流変換回路5とで構成される。入力端子P1,P2は電圧変換回路14の入力端にそれぞれ接続され、電圧変換回路14の一方の出力端は演算増幅器5aの非反転入力端に接続され、電圧変換回路14の他の出力端は抵抗R1の一端に接続される。演算増幅器5aの反転入力端は、演算増幅器5aの出力端と抵抗R1の他端とに接続される。7は入力端H1,H3および出力端H2,H4を有するホール素子、15は抵抗、16は演算増幅器16a、抵抗R5,R6,R7,R8からなる差動増幅回路であり、乗算手段10はホール素子7と抵抗15と差動増幅回路16とで構成される。ホール素子7の入力端H1は抵抗R1の一端と接続され、入力端H3は基準電位と接続される。差動増幅回路16は、ホール素子7の入力端H3−出力端H4間の電圧をホール素子7の入力端H1を基準とした逆位相の電圧に増幅し、抵抗15両端に出力するよう、次のように接続される。演算増幅器16aの出力端は抵抗15の一端と抵抗R6の一端とに接続される。抵抗R5の一端はホール素子7の入力端H3と接続され、抵抗R7の一端は出力端H4と接続され、抵抗R8の一端はホール素子7の入力端H1と抵抗15の他端とに接続される。抵抗R5の他端は抵抗R6の他端と演算増幅器16aの反転入力端に接続され、抵抗R7の他端は抵抗R8の他端と演算増幅器16aの非反転入力端とに接続される。
【0041】次に図8の動作について説明する。線路電圧は入力端子P1−P2間に入力され、電圧変換回路14にて変圧もしくは分圧後、電圧−電流変換回路5で線路電圧に比例した電流IV に変換され、ホール素子7の入力端H1−H3間に入力される。ホール素子7の入力端H3−出力端H4間には下記の電圧VT が発生する。
T =IC ・Rin/2IC =IV +ITただし、Rinはホール素子7の入力抵抗、IC はホール素子7の入力端に入力される電流の和、IT は後述する温度補償電流である。ホール素子7の入力端H3−出力端H4間の電圧VT は差動増幅回路16にて入力端H1を基準とした逆位相の電圧に増幅された後、抵抗15でIV と同相の温度補償電流IT に変換され、ホール素子7の入力端H1−H3間に入力される。抵抗R5,R6,R7,R8,15の抵抗値をそれぞれR5,R6,R7,R8,RT とすると、R5=R7,R6=R8のとき、温度補償電流IT は下記式で表される。
T =(R6/R5・VT )/RTしたがって、ホール素子7の入力電流ICは、IC =2・RT ・R5・IV /(2・RT ・R5−R6・Rin)
で表される。ホール素子7の入力抵抗Rinの温度係数をβ、ホール素子7の温度変化をΔTとすると、ホール素子7の入力電流ICは下記式で表される。
C =2・RT ・R5・IV /(2・RT ・R5−R6・Rin・(1+β・ΔT))
一方、線路電流は電流−磁界変換手段9によって線路電流に比例した磁束密度BI の磁界に変換され、ホール素子7へ印加される。ホール素子7は、上記入力電流IC と磁束密度BI の上記磁界を印加されることにより、出力端H2−H4間に下記式で表される電圧VH を出力する。
VH=K(1+αΔT)BIIC=2RTR9(1+αΔT)KBIIV/(2RTR9-R10Rin(1+βΔT))ただし、Kはホール素子7の積感度である。
【0042】ホール素子7の出力電圧の温度係数αの傾きは負であり、ホール素子7の入力抵抗の温度係数βの傾きは正であるので、ホール素子7の出力電圧の温度係数を打ち消すようにRT ,R5,R6,R7、R8の値を決定することにより、ホール素子7の出力電圧の温度特性が改善される。
【0043】ただし、2・RT ・R5=R6・Rin・(1+β・ΔT)のときIC =∞となるため、RT ,R5,R6の値は、下記条件を満たさなければならない。
2・RT ・R5≠R6・Rin・(1+β・ΔT)
【0044】また、本実施の形態では、ホール素子7に入力される電流は、電流IV が演算増幅器5aの出力端と基準電位から出力され、電流IT が演算増幅器16aの出力端と基準電位から出力される。実施の形態1では、電流IV ,IT ともに演算増幅器5aの出力端から出力されており、本実施の形態と実施の形態1でホール素子7への入力電流が同じ場合、本実施の形態は実施の形態1と比較して演算増幅器5aの出力する電流が少なくてすむ。したがって、実施の形態1と比較してホール素子7への入力電流を大きくすることができ、S/N比の向上が図れるため、計量精度が良くなる。
【0045】なお、本実施の形態は、電力量計のみならず電力計、電流計、ガウスメータ等ホール素子を利用した装置に使用できることは言うまでもない。
【0046】実施の形態8.実施の形態8は、電圧−電流変換手段9以外は実施の形態7とまったく同一である。図9は、この発明の実施の形態8を示す回路図である。図9の構成を実施の形態7との相違点について以下に説明する。図9において、5は演算増幅器5a,5bと抵抗R1とで構成される電圧−電流変換回路であり、その他の回路は図2とまったく同じである。電圧変換回路14の一方の出力端は演算増幅器5aの非反転入力端に接続され、電圧変換回路14の他の出力端はホール素子7の入力端H1と抵抗R1の一端と抵抗15の一端と抵抗R8の一端とに接続される。演算増幅器5aの反転入力端は演算増幅器5aの出力端と抵抗R1の他端とに接続される。演算増幅器5bの非反転入力端は基準電位に接続され、演算増幅器5bの反転入力端はホール素子7の出力端H4と抵抗R7の一端とに接続される。演算増幅器5bの出力端はホール素子7の入力端H3と抵抗R5の一端とに接続される。
【0047】図9の動作を実施の形態7との相違点について以下に説明する。ホール素子7の出力端H4は、演算増幅器5bによって基準電位と仮想接地されているため、ホール素子7の出力端H2からは、自動的に同相電圧が除去された電圧が出力される。図9は実施の形態7と同様の温度補償を行っているため、温度特性が改善されることは言うまでもない。
【0048】なお、本実施の形態は、電力量計のみならず電力計、電流計、ガウスメータ等ホール素子を利用した装置に使用できることは言うまでもない。
【0049】実施の形態9.実施の形態9は、乗算手段10以外は実施の形態7とまったく同一である。図10は、この発明の実施の形態9を示す回路図である。図10の構成を実施の形態7との相違点について以下に説明する。図10において、17は演算増幅器17a、抵抗R9,R10で構成される反転増幅回路であり、乗算手段10はホール素子7と抵抗15と反転増幅回路17で構成され、その他の回路は図5とまったく同じである。反転増幅回路17は、ホール素子7の出力端H4−入力端H1間の電圧を入力端H1を基準として逆位相の電圧に増幅し、抵抗15両端に出力するよう、次のように接続される。抵抗R9の一端はホール素子7の出力端H4と接続され、抵抗R9の他端は演算増幅器17aの反転入力端と抵抗R10の一端とに接続される。演算増幅器17aの非反転入力端は、ホール素子7の入力端H1と抵抗15の一端と抵抗R1の一端と電圧変換回路14の一方の出力端とに接続される。演算増幅器17aの出力端は抵抗15の他端と抵抗R10の他端とに接続される。
【0050】図10の動作を実施の形態7との相違点について以下に説明する。線路電圧は入力端子P1−P2間に入力され、電圧変換回路14にて変圧もしくは分圧後、電圧−電流変換回路5で線路電圧に比例した電流IV に変換され、ホール素子7の入力端H1−H3間に入力される。ホール素子7の出力端H4−入力端H1間には下記の電圧VT が発生する。
T =IC ・Rin/2IC =IV +ITただし、Rinはホール素子7の入力抵抗、IC はホール素子7の入力端に入力される電流の和、IT は後述する温度補償電流である。ホール素子7の出力端H4−入力端H1間の電圧VT は、反転増幅回路17にて入力端H1を基準とした逆位相の電圧に増幅された後、抵抗15にてIV と同相の温度補償電流IT に変換され、ホール素子7の入力端H1−H3間に入力される。抵抗15,R9,R10の抵抗値をRT ,R9,R10とすると、温度補償電流IT は下記式で表される。
T =(R10/R9・VT )/RTしたがって、ホール素子7の入力電流IC は、IC =2・RT ・R9・IV /(2・RT ・R9−R10・Rin)
で表される。ホール素子7の入力抵抗Rinの温度係数をβ、ホール素子7の温度変化をΔTとすると、ホール素子7の入力電流IC は下記式で表される。
C =2・RT ・R9・IV /(2・RT ・R9−R10・Rin・(1+β・ΔT))
一方、線路電流は電流−磁界変換手段9によって線路電流に比例した磁束密度BI の磁界に変換され、ホール素子7へ印加される。ホール素子7は、上記入力電流IC と磁束密度BI の上記磁界を印加されることにより、出力端H2−H4間に下記式で表される電圧VH を出力する。
VH=K(1+αΔT)BIIC=2RTR9(1+αΔT)KBIIV/(2RTR9-R10Rin(1+βΔT))ただし、Kはホール素子7の積感度である。
【0051】ホール素子7の出力電圧の温度係数αの傾きは負であり、ホール素子7の入力抵抗の温度係数βの傾きは正であるので、ホール素子7の出力電圧の温度係数を打ち消すようにRT ,R9,R10の値を決定することにより、ホール素子7の出力電圧の温度特性が改善される。
【0052】ただし、2・RT ・R9=R10・Rin・(1+β・ΔT)のときIC =∞となるため、RT ,R9,R10の値は、下記条件を満たさなければならない。
2・RT ・R9≠R10・Rin・(1+β・ΔT)
【0053】また、本実施の形態では、ホール素子7に入力される電流は、電流Iが演算増幅器5aの出力端と基準電位から出力され、電流IT が演算増幅器17aの出力端と基準電位から出力される。実施の形態1では、電流IV ,IT ともに演算増幅器5aの出力端から出力されており、本実施の形態と実施の形態1でホール素子7への入力電流が同じ場合、本実施の形態は実施の形態1と比較して演算増幅器5aの出力する電流が少なくてすむ。したがって、実施の形態1と比較してホール素子7への入力電流を大きくすることができ、S/N比の向上が図れるため、計量精度が良くなる。
【0054】なお、本実施の形態は、電力量計のみならず電力計、電流計、ガウスメータ等ホール素子を利用した装置に使用できることは言うまでもない。
【0055】実施の形態10.実施の形態10は、電圧−電流変換手段9以外は実施の形態9とまったく同一である。図11は、この発明の実施の形態10を示す回路図である。図11の構成を実施の形態9との相違点について以下に説明する。 図11において、5は演算増幅器5a,5bと抵抗R1とで構成される電圧−電流変換回路であり、その他の回路は図10とまったく同じである。電圧変換回路14の一方の出力端は演算増幅器5aの非反転入力端に接続され、電圧変換回路14の他の出力端はホール素子7の入力端H1と抵抗R1の一端と抵抗15の一端と演算増幅器17aの非反転入力端子とに接続される。演算増幅器5aの反転入力端は、演算増幅器5aの出力端と抵抗R1の他端とに接続される。演算増幅器5bの非反転入力端は基準電位に接続され、演算増幅器5bの反転入力端はホール素子7の出力端H4と抵抗R9の一端とに接続される。演算増幅器5bの出力端はホール素子7の入力端H3に接続される。
【0056】図11の動作を実施の形態9との相違点について以下に説明する。ホール素子7の出力端H4は、演算増幅器5bによって基準電位と仮想接地されているため、ホール素子7の出力端H2からは、自動的に同相電圧が除去された電圧が出力される。図11は実施の形態9と同様の温度補償を行っているため、温度特性が改善されることは言うまでもない。
【0057】なお、本実施の形態は、電力量計のみならず電力計、電流計、ガウスメータ等ホール素子を利用した装置に使用できることは言うまでもない。
【0058】実施の形態11.実施の形態11は、乗算手段10以外は実施の形態7とまったく同一である。図12は、この発明の実施の形態11を示す回路図である。図12の構成を実施の形態7との相違点について以下に説明する。図12において、17は演算増幅器17a、抵抗R9,R10で構成される反転増幅回路であり、乗算手段10はホール素子7と抵抗15と反転増幅回路17で構成され、その他の回路は図8とまったく同じである。反転増幅回路17は、ホール素子7の入力端H3−H1間の電圧を入力端H1を基準として逆位相の電圧に増幅し、抵抗15両端に出力するよう、次のように接続される。抵抗R9の一端はホール素子7の入力端H3と基準電位とに接続され、抵抗R9の他端は演算増幅器17aの反転入力端と抵抗R10の一端とに接続される。演算増幅器17aの非反転入力端は、ホール素子7の入力端H1と抵抗15の一端と抵抗R1の一端と電圧変換回路14の一方の出力端とに接続される。演算増幅器17aの出力端は抵抗15の他端と抵抗R10の他端とに接続される。
【0059】図12の動作を実施の形態7との相違点について以下に説明する。線路電圧は入力端子P1−P2間に入力され、電圧変換回路14にて変圧もしくは分圧後、電圧−電流変換回路5で線路電圧に比例した電流IV に変換され、ホール素子7の入力端H1−H3間に入力される。このとき、ホール素子7の入力端H3−H1の間には、下記の電圧VT が発生する。
T =IC ・RinIC =IV +Iただし、Rinはホール素子7の入力抵抗、ICはホール素子7の入力端に入力される電流の和、IT は後述する温度補償電流である。ホール素子7の入力端H3−H1間の電圧VT は、反転増幅回路17にて入力端H1を基準とした逆位相の電圧に増幅された後、抵抗15にてIV と同相の温度補償電流IT に変換され、ホール素子7の入力端H1−H3間に入力される。抵抗15,R9,R10の抵抗値をRT ,R9,R10とすると、温度補償電流IT は下記式で表される。
T =(R10/R9・VT )/RTしたがって、ホール素子7の入力電流IC は、IC =RT ・R9・IV /(RT ・R9−R10・Rin)
で表される。ホール素子7の入力抵抗Rinの温度係数をβ、ホール素子7の温度変化をΔTとすると、ホール素子7の入力電流IC は下記式で表される。
C =RT ・R9・IV /(RT ・R9−R10・Rin・(1+β・ΔT))
一方、線路電流は電流−磁界変換手段9によって線路電流に比例した磁束密度BI の磁界に変換され、ホール素子7へ印加される。ホール素子7は、上記入力電流IC と磁束密度BIの上記磁界を印加されることにより、出力端H2−H4間に下記式で表される電圧VH を出力する。
VH=K(1+αΔT)BIIC=RTR9(1+αΔT)KBIIV/(RTR9-R10Rin(1+βΔT))ただし、Kはホール素子7の積感度である。
【0060】ホール素子7の出力電圧の温度係数αの傾きは負であり、ホール素子7の入力抵抗の温度係数βの傾きは正であるので、ホール素子7の出力電圧の温度係数を打ち消すようにRT ,R9,R10の値を決定することにより、ホール素子7の出力電圧の温度特性が改善される。
【0061】ただし、RT ・R9=R10・Rin・(1+β・ΔT)のときIC =∞となるため、RT ,R9,R10の値は、下記条件を満たさなければならない。
T ・R9≠R10・Rin・(1+β・ΔT)
【0062】また、本実施の形態では、ホール素子7に入力される電流は、電流IV 演算増幅器5aの出力端と基準電位から出力され、電流IT が演算増幅器17aの出力端と基準電位から出力される。実施の形態1では、電流IV ,IT ともに演算増幅器5aの出力端から出力されており、本実施の形態と実施の形態1でホール素子7への入力電流が同じ場合、本実施の形態は実施の形態1と比較して演算増幅器5aの出力する電流が少なくてすむ。したがって、実施の形態1と比較してホール素子7への入力電流を大きくすることができ、S/N比の向上が図れるため、計量精度が良くなる。
【0063】なお、本実施の形態は、電力量計のみならず電力計、電流計、ガウスメータ等ホール素子を利用した装置に使用できることは言うまでもない。
【0064】実施の形態12.実施の形態12は、電圧−電流変換手段9以外は実施の形態11とまったく同一である。図13は、この発明の実施の形態12を示す回路図である。図13の構成を実施の形態11との相違点について以下に説明する。図13において、5は演算増幅器5a,5bと抵抗R1とで構成される電圧−電流変換回路であり、その他の回路は図14とまったく同じである。電圧変換回路14の一方の出力端は演算増幅器5aの非反転入力端に接続され、電圧変換回路14の他の出力端はホール素子7の入力端H1と抵抗R1の一端と抵抗15の一端と演算増幅器17aの非反転入力端とに接続される。演算増幅器5aの反転入力端は、演算増幅器5aの出力端と抵抗R1の他端とに接続される。演算増幅器5bの非反転入力端は基準電位に接続され、演算増幅器5bの反転入力端はホール素子7の出力端H4に接続される。演算増幅器5bの出力端はホール素子7の入力端H3と抵抗R9の一端とに接続される。
【0065】図13の動作を実施の形態11との相違点について以下に説明する。ホール素子7の出力端H4は、演算増幅器5bによって基準電位と仮想接地されているため、ホール素子7の出力端H2からは、自動的に同相電圧が除去された電圧が出力される。図13は実施の形態11と同様の温度補償を行っているため、温度特性が改善されることは言うまでもない。
【0066】なお、本実施の形態は、電力量計のみならず電力計、電流計、ガウスメータ等ホール素子を利用した装置に使用できることは言うまでもない。
【0067】実施の形態13.実施の形態13は、実施の形態1から実施の形態12の電子式電力量計において、積算手段12と出力手段13とが異なる。図14は、この発明の実施の形態13の電子式電力量計の構成を示すブロック図である。図14を実施の形態1から実施の形態12との相違点について以下に説明する。図において、18は交流除去部、19は電圧−周波数変換部、20は積算部であり、積算手段12は交流除去部18と電圧−周波数変換部19と積算部20とで構成される。21は記録部、22は表示部であり、出力手段13は記録部21と表示部22とで構成される。
【0068】線路電圧VINをVIN=√2|VIN|sinωt、線路電流IINをIIN=√2|IIN|sin(ωt+θ)とすると、瞬時電力P(t)は、P(t)=VIN×IIN=|VININ|cosθ−|VININ|cos(2ωt +θ)で表される。実施の形態1から実施の形態6の電子式電力量計において、乗算手段10は、上記瞬時電力P(t) に比例した電圧VH を出力し、増幅手段11によって前記電圧VH は増幅された後、出力される。増幅手段11の前記出力電圧から有効電力を得るには、前記出力電圧から|VININ|cosθの成分のみ取り出せばよい。また、ホール素子7は、線路電圧に比例した電流を入力端H1−H3間に入力され、線路電流に比例した磁界を印加されたとき、出力端H2−H4間から前記電流と前記磁界の積である瞬時電力P(t) に比例した電圧VH 以外に前記電流に比例した交流の不平衡電圧を出力する。増幅手段11の出力電圧は、例えば抵抗、コンデンサで構成されるローパスフィルタである交流除去部18に入力される。交流除去部18は、増幅手段11の前記出力電圧から、有効電力に比例している直流電圧のみ出力する。交流除去部18の出力電圧は、電圧−周波数変換部15に入力され、前記入力電圧に比例した周波数のパルスに変換される。前記周波数のパルスをCPU等で構成される積算部20にて積算することにより、電力量が得られる。積算部20の積算値を半導体メモリ等で構成される記録部21で記録し、液晶表示器を用いた表示部22にて表示する。本実施の形態は、交流除去部18にて不平衡電圧が除去され、電力量計の精度が向上する。
【0069】実施の形態14.実施の形態14は、実施の形態1から実施の形態12の電子式電力量計において、積算手段12と出力手段13とが異なる。図15は、この発明の実施の形態14の電子式電力量計の構成を示すブロック図である。図15を実施の形態1から実施の形態12との相違点について以下に説明する。図において、23はA/D変換部、24は積算部であり、積算手段12はA/D変換部23と積算部24とで構成される。出力手段13は記録部21と表示部22とで構成される。
【0070】線路電圧VINをVIN=√2|VIN|sinωt、線路電流IINをIIN=√2|IIN|sin(ωt+θ)とすると、瞬時電力P(t)は、P(t)=VIN×IIN=|VININ|cosθ−|VININ|cos(2ωt +θ)で表される。実施の形態1から実施の形態6の電子式電力量計において、乗算手段10は、上記瞬時電力P(t) に比例した電圧VH を出力し、増幅手段11によって前記電圧VH は増幅された後、出力される。増幅手段11の前記出力電圧から有効電力を得るには、前記出力電圧から|VININ|cosθの成分のみ取り出せばよい。また、ホール素子7は、線路電圧に比例した電流を入力端H1−H3間に入力され、線路電流に比例した磁界を印加されたとき、出力端H2−H4間から前記電流と前記磁界の積である瞬時電力P(t) に比例した電圧VH 以外に前記電流に比例した交流の不平衡電圧を出力する。増幅手段11の出力電圧は、A/Dコンバータ等で構成されるA/D変換部23に入力され、デジタル値に変換後、積算部24へ出力される。積算部24は、例えばCPU等でデジタルフィルタとカウンタを構成しており、A/D変換部23の出力の直流成分のみを積算することにより、電力量が得られる。積算部24の積算値を半導体メモリ等で構成される記録部21で記録し、液晶表示器を用いた表示部22にて表示する。本実施の形態は、積算部24にて不平衡電圧が除去され、電力量の計量精度が向上する。また、増幅手段11の出力電圧からの直流成分の抽出をデジタルフィルタで行っているため、アナログフィルタを使用した場合と比較して電力量の高速検出が可能となる。
【0071】実施の形態15.図16はこの発明の実施の形態15を示す外観図、図17はこの発明の実施の形態15を示す分解図である。実施の形態15は、電圧−電流変換手段9、電流−磁界変換手段6、乗算手段10、増幅手段11の構造以外は、実施の形態1から実施の形態14と同じである。図18,19において、6c,6dはポット形状で中心部に柱状突起を持つ強磁性体コア、25は電圧−電流変換手段9と乗算手段10と増幅手段11とを備えた基板、26は内部空洞のボビンである。基板25において、ホール素子7は前記基板25の中央に配置される。線路電流の流れる電流線6bはボビン26に巻かれており、基板25はボビン26の片面に設置されている。強磁性体コア6dの柱状突起はボビン26の空洞部に挿入され、強磁性体コア6cは前記強磁性体コア6cの柱状突起と前記強磁性体コア6dの柱状突起とが向き合うように前記強磁性体コア6dと張り合わされ、ホール素子7は、向かい合う前記の2つの柱状突起の空隙に挟まれる構造となっている。
【0072】ホール素子7は、強磁性体コア6c,6dによって覆われた構造となっているため、地磁気等の外部磁界の影響を受けない。また、電圧−電流変換手段9、電流−磁界変換手段6、乗算手段10、増幅手段11を一体化し、強磁性体コア6c,6dの内部に収まっているため、外乱ノイズの影響を受け難く、基板等への実装も容易となる。電流線6bをボビン26に複数回巻くことにより、ホール素子7へ印加する磁界の磁束密度が増し、S/N比の向上が図れるため、計量精度が良くなる。また、電流線6bを容易に複数回巻けるため、工作性が良い。
【0073】なお、本実施の形態は、電力量計のみならず電力計、電流計に使用できることは言うまでもない。
【0074】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0075】この発明の第1〜第3の構成である電子式電力量計によれば、ホール素子の入力抵抗値の温度変化に応じてホール素子に入力する電流を制御することで、ホール素子の出力電圧の温度特性を高精度に補償でき、ホール素子の自己加熱にも対応できる。
【0076】この発明の第4の構成である電子式電力量計によれば、ホール素子が、強磁性体コアによって覆われた構造となっているため、地磁気等の外部磁界の影響を受けない。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)7月3日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 金雄 (外2名)
【公開番号】 特開平11−23621
【公開日】 平成11年(1999)1月29日
【出願番号】 特願平9−178306