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【発明の名称】 信号電流検出回路
【発明者】 【氏名】秋葉 誠

【要約】 【課題】低雑音の信号電流検出回路を提供する。

【解決手段】電荷蓄積型回路に微分回路を導入し、更に通常の積分回路を加えることにより時間の3/2乗に比例する回路を実現する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 信号源の内部抵抗と第1のコンデンサと該第1のコンデンサの両電極を導通可能にする第1のリセットスイッチとからなる積分回路と、該積分回路の出力信号を増幅する増幅器と、該増幅器の出力信号を微分する第2のコンデンサと抵抗器と該抵抗器の両電極を導通可能にする第2のリセットスイッチとからなる微分回路と、で構成されたことを特徴とする信号電流検出回路。
【請求項2】 信号源の内部抵抗と第1のコンデンサとからなる積分回路と、該積分回路の出力信号を増幅する第1の増幅器と、該第1の増幅器の出力信号を微分する第2のコンデンサと抵抗器とからなる微分回路と、上記第1の増幅器の出力信号を反転増幅する第2の増幅器と該第2の増幅器の出力信号を負帰還抵抗器を介して上記第1の増幅器に入力させる低周波負帰還回路と、で構成されたことを特徴とする信号電流検出回路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種センサー等の出力信号電流を検出する信号電流検出回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、特に高い感度も速い応答速度も必要としない光検出回路として、図6に示すトランスインピーダンス型といわれて広く使われている回路がある。この回路では、電流発生型センサー1で発生した電流を帰還抵抗3で電圧に変えているいるため、検出器の感度などの性能がいかに高く、また雑音がいかに低くても、帰還抵抗の熱雑音が回路の最終的な雑音を決めてしまう。そして、出力電圧は発生電流が一定であれば常に一定である(図7の出力電圧対時間のグラフ参照)。
【0003】また、低速ではあるが高感度の光検出回路には、図8に示す電荷蓄積型回路がある。この回路では、電流発生型センサー1の電流がセンサー自身も含めた入力回路全体の容量(入力容量4)に蓄積され、その容量で発生する電圧変化を増幅器を通して測定することにより発生電流量を知るようになっている。
【0004】図9の出力電圧対時間のグラフの様にセンサーで発生する電流が一定ならば一定の割合で出力電圧が上昇していく。このときの電圧変化と時間変化の比を使って元の発生電流値を求めることができる。この回路は上記のトランスインピーダンス型回路のように抵抗を使用していないので帰還抵抗の熱雑音は避けることができるが、この電圧変化を知るためにコンピュータで電圧を取り込み、電圧変化と時間変化の比を計算しなければならなかった。
【0005】また入力回路には入力容量4に蓄積された電荷を時折放出する(リセットする)ため通常入力回路にリセットスイッチ5を導入する必要があった。このスイッチを入れて電荷を放出した後、もう一度スイッチを切り電荷蓄積を開始する際、kTC雑音といわれる雑音が発生する。つまりスイッチを切った瞬間にランダムに入力容量4に電荷が入り込みランダムな電圧が発生してしまうのである。
【0006】図9の出力電圧が原点からずれているのは、この雑音の存在を表している。この雑音があるためコンピュータによる処理の際には、蓄積開始直後と終了直前の2点の出力電圧を取ってその差を得る必要があった。データを取る時には必ず雑音が加わるので2点データを取れば√2倍だけ雑音が増えて、信号/雑音比が悪くなる。
【0007】通常、非常に高い周波数領域(VHF帯以上)で用いる回路は、図10のように検出器のインピーダンスに関わらず50オームの抵抗を接続してインピーダンスマッチングを取っており、この抵抗の熱雑音が雑音を決めていた。また50オームの抵抗はインピーダンスマッチングを取るだけでなく、この抵抗値の低い抵抗でセンサーからの電流を電圧に変えているため、信号/雑音比が非常に悪くなっていた。
【0008】図11での出力電圧対時間のグラフは、このような回路における時間応答を含めて示すためにパルス的に電流が発生するセンサーに対する出力電圧を示している。増幅器6の応答は十分に早いとすれば、出力パルスの立ち上がり時間はセンサーの応答時間で決まり、立ち下がり時間は50オームの抵抗とセンサーの容量で決まる時定数によって決定される。図ではセンサーの応答時間は十分短いとしている。
【0009】
【発明が解決しようする課題】上述したように、従来の信号電流検出回路においては、センサーの信号を増幅して検出するには様々な問題を有していた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記に鑑みてなされたもので、信号源の内部抵抗と第1のコンデンサと該第1のコンデンサの両電極を導通可能にする第1のリセットスイッチとからなる積分回路と、該積分回路の出力信号を増幅する増幅器と、該増幅器の出力信号を微分する第2のコンデンサと抵抗器と該抵抗器の両電極を導通可能にする第2のリセットスイッチとからなる微分回路と、で構成された信号電流検出回路を提供するものである。
【0011】本発明は、信号源の内部抵抗と第1のコンデンサとからなる積分回路と、該積分回路の出力信号を増幅する第1の増幅器と、該第1の増幅器の出力信号を微分する第2のコンデンサと抵抗器とからなる微分回路と、上記第1の増幅器の出力信号を反転増幅する第2の増幅器と該第2の増幅器の出力信号を負帰還抵抗器を介して上記第1の増幅器に入力させる低周波負帰還回路と、で構成された信号電流検出回路を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明における実施形態の構成を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施形態を示す回路図である。
【0013】この回路は基本的には電荷蓄積型回路の改良であるが、検出器からの電流を入力容量4で電圧に変換した後増幅器6で増幅しその電圧を微分回路(図1の微分回路用コンデンサ7と微分回路用抵抗器8で構成される)に通すところに特徴がある。たったこれだけのことで、この検出回路はコンピュータに信号を取り込まなくとも信号電圧を直流電圧として直接読み取ることができる回路になる。
【0014】電荷蓄積型回路は電流を積分するが、これを微分回路によって微分することでもとの電流に比例する電圧を取り出すことができる(図2の出力電圧対時間のグラフ参照)。したがって従来の技術で述べた抵抗を使った回路(図6)と同様な出力信号を抵抗の熱雑音なしに達成できるのである。またパルス的な信号電流が発生する場合も同様に抵抗の熱雑音なしに図11と同様な出力電圧が得られる。
【0015】また、kTC雑音を除去するために微分回路の抵抗器8と並列にリセットスイッチ9を入れた。このスイッチは入力回路のリセットスイッチ9を切ってから、少し経ってスイッチを切るようにする。これによって、微分回路の出力はいつも0ボルトから出発するので、kTC雑音を除去することができる(図2の出力電圧対時間のグラフ参照)。無論微分回路のリセットスイッチ9でもkTC雑音は発生するが、ここでは信号はすでに増幅されているので影響は無視できるほど少なくすることができる。
【0016】第1の実施形態の具体的な回路構成を図1に示す。この回路では光検出器の信号電流は光検出器および増幅器の容量で決まる入力容量に蓄積され、その電圧が増幅器6を通じて出力に現われる。入力部のリセットスイッチ5としてはデプレッション型pチャンネルMOSFETを用いる。増幅器6の後に微分回路を入れ、微分回路用抵抗器8と並列にやはり入力部と同様なリセットスイッチ9を入れる。この際上記したように入力部でのリセットより少し遅れてリセットを解除する必要がある。これは、リセット用パルス発生器で行われる。図1の回路からの出力電圧は、どのような電圧測定器でとってもよい。積分回路と微分回路の時定数のうちどちらか大きい方程度の時間がたってから出力を読み出すのが最も効率がよい。
【0017】次に本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。電荷蓄積型回路はリセットをしている間は信号が採れないので、例えば通信などの用途では問題となる。これを避けるために図3に示す本発明の第2実施形態では低周波負帰還回路を挿入した。これは、50オームより大きな低周波負帰還用抵抗器11を入力回路に入れ、この抵抗器と低周波帰還用反転オペレーショナルアンプ10を通じて入力回路に低周波領域だけで負帰還をかけるものである。
【0018】この回路は一見電荷蓄積型ではなく従来のトランスインピーダンス型の回路のように見えるがパルス信号のような高周波領域においては電荷蓄積型の動作をする。なぜなら入力回路の時定数は必要な高周波に対応する時定数より遥かに大きく、容量性になっているからである。したがって光電流に比例した出力を取りだすためには、後段に微分回路がやはり必要である。この回路では入力抵抗は低周波帰還用帰還抵抗器11で決まるため、入力抵抗値が大きく取れ、高周波回路でも信号/雑音比の大きな回路を構成できる。
【0019】高周波領域においてはインピーダンスマッチングが問題となるため、通常50オームの入力抵抗が使われている。しかし、入力抵抗器を、必要な周波数に対応する電波の波長に比べて、入力アンプの十分近くに配設すればインピーダンスマッチングは必ずしも必要ではない。したがって高い入力抵抗の場合で問題となるのは、アンプの入力電圧が、同じ強さの光に対しても増大し、アンプの入力動作点が変動することである。
【0020】アンプの入力動作点の変動は、アンプに非線形性がある場合(これは通常の素子の殆どであるが)光強度に対する出力電圧の非線型性をもたらしダイナミックレンジの減少につながる。負帰還回路はこうした入力電圧の変動を抑える最も効果的な回路であるが、高周波領域では必要なオープンループゲインが取れないことや発振などの弊害のためにこれまで使われてこなかった。
【0021】しかし、負帰還を低周波だけに限定して行うことにより上記の欠点が解消され、高周波領域においても入力電圧の変動を減少させることができる。この回路では、高周波応答にはなにも影響を及ぼさないので低周波負帰還をかけない場合と応答速度は変わらない。
【0022】図4、5の電圧対時間グラフは、図3の入力部、A点と微分回路の後、B点での電圧変化をパルス電流が発生した場合について示している。入力部では、まずパルス電流の蓄積によって入力容量4に電圧が発生する。このとき低周波帰還用反転オペレーショナルアンプ9はまだ応答できないのでほとんど増幅器6の応答だけで電圧変化は決まる。しかし、時間が経過するにつれ低周波帰還用反転オペレーショナルアンプ9は応答し始めだんだんと平均電圧は0ボルトに近づいていく。一方、微分回路の後では、長い電圧変動は落とされて、微分回路の時定数に対応した早い応答を始める(図5)。
【0023】具体的には、光検出器における低周波負帰還の回路例は図3で電流発生型センサー1にフォトダイオードを入れればよい。また、入力容量4は、フォトダイオードの容量で決まる。負帰還回路用反転オペレーショナルアンプ9の高速性は、入力回路の変動が収まる時間に影響する。また負帰還用抵抗器10の値は、光の強度と入力部の電圧変動及び熱雑音をどこまで抑えたいかで決まる。熱雑音を減らしたければ大きな負帰還抵抗を付ければよいが、入力部の電圧変動を抑えるためには負帰還用オペアンプの出力電圧が高くなり、これには限界がある。また入力部の電圧変動のタイムスケールを短くしたければやはり負帰還抵抗は小さくなければならない。微分回路用コンデンサ7と抵抗器8の値は必要な応答速度を考慮してその時定数を決めればよい。
【0024】以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限り、どのようにでも実施できる。例えば、本発明は光センサーのみに利用できるものではなく、電流出力で出力インピーダンスが比較的高い素子であれば、どの様なものにでも実施できる。
【0025】
【発明の効果】以上述べたように、本発明における信号電流検出回路は第1の実施形態においては、コンピュータなしで光検出回路が構成できるだけではなく、雑音に周波数依存性がない場合には時間の3/2乗に比例して信号/雑音比が改善できるのである。これは理論的な限界であり、特に微分回路と積分回路の時定数を等しくすることによりその信号/雑音比は最大にできる。しかも、この回路を使えば適当な時間がたった後、一度だけ出力信号を取ればよい。更に、この利点は、コンピュータの計算速度が追い付けない高周波領域や、沢山の検出器の信号を同時に取らなければならない場合などには大変有効である。また、本発明の第2の実施形態における低周波負帰還回路付電荷蓄積型回路(図3)は、熱雑音を軽減しながら高速応答を維持できる等、多大な効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】391027413
【氏名又は名称】郵政省通信総合研究所長
【識別番号】597094477
【氏名又は名称】秋葉 誠
【出願日】 平成9年(1997)7月3日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】福田 武通 (外2名)
【公開番号】 特開平11−23619
【公開日】 平成11年(1999)1月29日
【出願番号】 特願平9−178134