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【発明の名称】 コイル駆動回路
【発明者】 【氏名】伊藤 秀昭

【氏名】柳内 昭宏

【要約】 【課題】安価な構成で、コイルへの通電電流のみならず、通電停止時のコイル逆起電力による循環電流をも確実に検出できる電流検出部を有するコイル駆動回路を提供する。

【解決手段】コイル駆動回路は一対のスイッチングトランジスタ1A,1Bと1C,1Dを駆動電源2間に2組設けたもので、一対のスイッチングトランジスタ1A,1Bと1C,1Dは互いに直列に接続され、それぞれに並列に接続されたダイオード11〜14を内蔵している。各組のスイッチングトランジスタ1A,1Bと1C,1D同士の接続点間にコイル3が接続されており、、各スイッチングトランジスタ1C,1Dにそれぞれ直列に電流検出抵抗4,5が配設されている。高電位側に位置する電流検出抵抗4の端子電圧4aは、レベルシフタ回路61により低電位側に変換されて取り出される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コイルの一端を高電位側電源線と低電位側電源線に択一的に接続して前記コイルに正逆の通電電流を供給する高電位側スイッチング素子および低電位側スイッチング素子と、これらスイッチング素子にそれぞれ並列に接続されたダイオード素子とを有するコイル駆動回路において、前記高電位側スイッチング素子の少なくとも一つと前記低電位側スイッチング素子の少なくとも一つにそれぞれ直列に電流検出抵抗を配設し、高電位側に位置する前記電流検出抵抗の端子電圧を、レベルシフタ回路を介して取り出すようにしたことを特徴とするコイル駆動回路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はモータコイルや電磁コイル等を駆動するコイル駆動回路に関し、特に、そのコイル電流検出部の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、Hブリッジ型コイル駆動回路は単相DCモータ等の正逆PWM制御等に多用されており、図3にその一例を示す。図において、各一対のスイッチングトランジスタ(以下、単にトランジスタという)7A,7Bと7C,7Dがそれぞれ直列に接続されて2組設けられ、これらは駆動電源2に接続されている。各トランジスタ7A〜7Dにはそれぞれ並列にダイオード71,72,73,74が接続され、そして、各組のトランジスタ7A〜7Dの接続点間を結ぶようにモータコイル3が接続されてHブリッジ型コイル駆動回路となっている。ところで、電流フィードバック制御を行うために、モータコイル3に流れる電流を検出する必要があり、従来は図に示すように、モータコイル3に直列に電流検出抵抗8を設けて、その通過電流の大きさに比例した両端電圧を絶縁増幅器91を介して取り出している。しかし、この構成では、電流検出抵抗8の各端子に駆動電源2の高電圧が印加されるため、上述のように大型で高価な絶縁増幅器91を使用する必要があるという問題があった。
【0003】そこで、これを解決するために、例えば特開昭61−135390号公報では、図4に示すように、各組のトランジスタ7B,7Dと低電位側電源線L2との間にそれぞれ電流検出抵抗81,82を設けることが提案されている。この構成によれば、電流検出抵抗81,82の端子電圧は低電位側電源線L2に対して低く抑えられるから、電流検出抵抗81,82の両端電圧は図示のように、高入力インピーダンスの安価なオペアンプ92を使用して取り出すことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記公報で提案されている回路構成では、PWM制御でトランジスタ7Bあるいは7Dを遮断した際の逆起電力によってモータコイル3からダイオード71あるいは73、および導通しているトランジスタ7Aあるいは7Cを経て流れる循環電流は検出できないという問題がある。
【0005】そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、高価な絶縁増幅器を使用することなく安価な構成で、コイルへの通電電流のみならず、コイル逆起電力による循環電流をも確実に検出できる電流検出部を有するコイル駆動回路を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明では、コイル(3)の一端を高電位側電源線(L1)と低電位側電源線(L2)に択一的に接続してコイル(3)に正逆の通電電流を供給する高電位側スイッチング素子(1A,1C,1E)および低電位側スイッチング素子(1B,1D,1F)と、これらスイッチング素子(1A,1B,1C,1D,1E,1F)にそれぞれ並列に接続されたダイオード素子(11,12,13,14,15,16)とを有するコイル駆動回路において、高電位側スイッチング素子の少なくとも一つ(1C,1E)と低電位側スイッチング素子の少なくとも一つ(1D,1F)にそれぞれ直列に電流検出抵抗(4,5)を配設し、高電位側に位置する電流検出抵抗(4)の端子電圧を、レベルシフタ回路(61)を介して取り出すようにする。なお、ここで「コイル」とは、モータコイルのみならず電磁コイル等の駆動用コイルを広く含むものである。
【0007】本発明において、コイル(3)に正方向あるいすは逆方向の通電電流を供給すると、正逆いずれの通電電流も、いずれかの電流検出抵抗(4,5)を必ず通過するから、通電電流の大きさに応じて変化する電流検出抵抗(4,5)の端子電圧(4a,5a)より通電電流量を検出することができる。いずれかのスイッチング素子(1B,1D,1E,1F)を非導通にすると、コイル(3)の逆起電力によって、導通している高電位側スイッチング素子(1A)あるいは(1C)、およびダイオード(11)あるいは(13)、ないしダイオード(15)あるいは(16)を経て高電位側の電流検出抵抗(4)に正方向あるいは逆方向への循環電流が流れる。したがって、高電位側の電流検出抵抗(4)の端子電圧より循環電流量を検出することができる。そして、本発明では、高電位側電流検出抵抗(4)の端子電圧(4a)は、レベルシフタ回路(61)により低電位側に変換されて取り出されるから、大型で高価な絶縁増幅器を使用する必要はない。
【0008】なお、互いに直列に接続され、それぞれに並列に接続されたダイオード(11〜14)を有する一対のスイッチング素子(1A,1B)(1C,1D)を駆動電源(2)間に2組設け、各組のスイッチング素子(1A,1B)(1C,1D)同士の接続点間にコイル(3)を接続したHブリッジ型コイル駆動回路においては、いずれかの組の各スイッチング素子(1C,1D)にそれぞれ直列に電流検出抵抗(4,5)を配設し、高電位側に位置する電流検出抵抗(4)の端子電圧(4a)を、レベルシフタ回路(61)を介して取り出すと良い。
【0009】Hブリッジ型コイル駆動回路では互いに他の組の高電位側スイッチング素子(1A,1C)と低電位側スイッチング素子(1B,1D)を導通させて、コイル(3)に正方向あるいすは逆方向の通電電流を供給する。この場合、正逆いずれの通電電流も、いずれかの電流検出抵抗(4,5)を必ず通過するから、通電電流の大きさに応じて変化する電流検出抵抗(4,5)の端子電圧(4a,5a)より通電電流量を検出することができる。一方、PWM制御の際に低電位側スイッチング素子(1B,1D)を非導通にすると、コイル(3)の逆起電力によって、導通している高電位側スイッチング素子(1A)あるいは(1C)、およびダイオード(11)あるいは(13)を経て高電位側の電流検出抵抗(4)に正方向あるいは逆方向への循環電流が流れる。したがって、高電位側の電流検出抵抗(4)の端子電圧より循環電流量を検出することができる。そして、本発明では、高電位側電流検出抵抗(4)の端子電圧(4a)は、レベルシフタ回路(61)により低電位側に変換されて取り出されるから、大型で高価な絶縁増幅器を使用する必要はない。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)図1において、各一対のFET型トランジスタ1A,1Bと1C,1Dがスイッチングトランジスタ(以下、単にトランジスタという)としてそれぞれ直列に接続されて2組設けられ、これらは駆動電源2に接続されている。各トランジスタ1A〜1D内にはそれぞれソース・ドレイン間に、高電位側のドレインに向けてダイオード11,12,13,14が形成されている。そして、各組のトランジスタ1A〜1Dの接続点間を結んでモータコイル3が接続されてHブリッジ型コイル駆動回路が構成されるとともに、トランジスタ1Cと高電位側電源線L1との間、およびトランジスタ1Dと低電位側電源線L2との間には、各トランジスタ1C,1Dに直列にそれぞれ電流検出抵抗4,5が接続されている。なお、各トランジスタ1A〜1Dの導通は、図略のモータ制御回路からそれぞれのゲートに入力する信号によって後述のように制御される。
【0011】このような構成のコイル駆動回路には電流検出部6が付設されており、電流検出部6はレベルシフタ回路61とバッファ回路62とで構成されている。レベルシフタ回路61は、オペアンプ611とこれの出力側に接続されたFET型トランジスタ612を有し、オペアンプ611の非反転入力端子に、トランジスタ1Cと電流検出抵抗4との接続点の電圧が入力している。オペアンプ611の反転入力端子はFET型トランジスタ612のソースと接続されている。FET型トランジスタ612のソースとオペアンプ611の作動電源613との間には電流供給抵抗615が接続されており、また、オペアンプ611の作動電源613,614は中間点が高電位側電源線L1に接続されている。これにより、電流供給抵抗615の一端は高電位側電源線L1に対して正電位にバイアスされている。
【0012】バッファ回路62はオペアンプ621を有しており、その反転入力端子には各抵抗622,623の一端が接続されている。抵抗622の他端は、電流検出抵抗5とトランジスタ1Dとの接続点に接続されており、一方、抵抗623の他端は、電流検出出力を発するオペアンプ621の出力端子に接続されている。オペアンプ621の非反転入力端子には、分圧抵抗616,617の接続点の電圧が入力している。分圧抵抗616の他端はFET型トランジスタ612のドレインに接続されており、一方、分圧抵抗617の他端はオペアンプ621の作動電源625に接続されている。オペアンプ621の作動電源624,625の中間点は低電位側電源線L2に接続されており、これによって、分圧抵抗617の他端は低電位側電源線L2に対して負電位にバイアスされている。なお、各オペアンプ611,621の各作動電源613,614,624,625は同電圧であり、電流供給抵抗615と分圧抵抗617は同一抵抗値である。また、分圧抵抗616の抵抗値は分圧抵抗617のそれに比して十分大きな値となっている。
【0013】このような構成のコイル駆動回路の作動を以下に説明する。モータを停止させている場合にはトランジスタ1A〜1Dはいずれも非導通となっており、モータコイル3へ電流は流れず、電流検出抵抗4,5を通過する電流は零である。したがって、電流検出抵抗5の端子電圧5aは低電位側電源線L2の電位に等しく0Vであり、端子電圧5aによるオペアンプ621からの出力分は0Vとなる。一方、電流検出抵抗4の端子電位4aは高電位側電源線L1の電位と等しくなり、電流供給抵抗615により所定の電流がFET型トランジスタ612を経て分圧抵抗616,617へ供給される。この電流によって分圧抵抗617の両端には駆動電源2の電圧に比べて十分低い電圧が生じる。この電圧は作動電源625によるバイアスで相殺されるため、分圧抵抗617の端子電圧617aは0Vとなる。したがって、端子電圧617aによるオペアンプ621からの出力分も0Vとなる。この結果、電流検出出力は0Vとなる。
【0014】モータを正転させる場合には、トランジスタ1B,1Cを導通作動させる。これにより、駆動電源2からの電流は、電流検出抵抗4、トランジスタ1Cを経てモータコイル3へ供給され、トランジスタ1Bを経て駆動電源2へ戻る。この時、電流検出抵抗4では、その端子電圧4aが通過電流の大きさに応じて高電位側電源線L1の電位よりも低下する。この端子電圧4aの低下に伴い、電流供給抵抗615より分圧抵抗616,617へ供給される電流は増大し、分圧抵抗617の端子電圧617aが0Vから上昇する結果、オペアンプ621からの電流検出出力としてモータコイル3への通電電流の大きさに応じた正電圧が出力される。PWM制御によりトランジスタ1Bが非導通になると、モータコイル3の逆起電力による電流が、モータコイル3からダイオード11を経て電流検出抵抗4、トランジスタ1Cへと還流して、モータコイル3内を通電時と同方向へ流れる。この場合、電流検出抵抗4の端子電圧4aは還流電流の大きさに応じて高電位側電源線L1の電位よりも低下し、上述したのと同様の過程で、オペアンプ621からの電流検出出力として還流電流の大きさに応じた正電圧が出力される。
【0015】モータを逆転させる場合には、トランジスタ1A,1Dを導通作動させる。これにより、駆動電源2からの電流は、トランジスタ1Aを経てモータコイル3へ供給され、トランジスタ1D、電流検出抵抗5を経て駆動電源2へ戻る。この時、電流検出抵抗5では、その端子電圧5aが通過電流の大きさに応じて低電位電源線L2の電位よりも上昇する。端子電圧5aはオペアンプ621で反転させられ、この結果、オペアンプ621からの電流検出出力として、モータコイル3への通電電流に応じた負電圧が出力される。PWM制御によりトランジスタ1Dが非導通になると、モータコイル3の逆起電力による電流が、モータコイル3からダイオード13を経て電流検出抵抗4、トランジスタ1Aへと還流し、モータコイル3内を通電時と同方向へ流れる。この時、電流検出抵抗4では、その端子電圧4aが還流電流の大きさに応じて高電位側電源線L1の電位よりも上昇する。この端子電圧4aの上昇に伴い、電流供給抵抗615から分圧抵抗616,617へ供給される電流は減少し、分圧抵抗617の端子電圧617aが0Vから低下する。この結果、オペアンプ621からの電流検出出力として、この時の還流電流の大きさに応じた負電圧が出力される。
【0016】なお、本実施形態において、電流検出抵抗4,5をトランジスタ1A,1Bの側に設けるようにしても良い。
【0017】(第2実施形態)図2には本発明をいわゆるTブリッジ型コイル駆動回路に適用した例を示す。図において、二つの駆動電源2A,2Bが高電位側電源線L1と低電位側電源線L2との間に直列に接続されるとともに、二つのトランジスタ1E,1Fが互いに直列に接続され、これら駆動電源2A,2Bとトランジスタ1E,1Fの両接続点間にモータコイル3が接続されてTブリッジ型コイル駆動回路が構成されている。各トランジスタ1E,1Fにはダイオード15,16がそれぞれ並列接続され、また、トランジスタ1Eと高電位側電源線L1との間には電流検出抵抗4が、トランジスタ1Fと低電位側電源線L2との間には電流検出抵抗5が設けられている。そして、各電流検出抵抗4,5の端子電圧4a,5aが第1実施形態で説明したのと同一構成の電流検出部6へ入力している。
【0018】このようなコイル駆動回路において、トランジスタ1Eが導通している場合にはモータコイル3に正方向の電流が流れ、その電流値は電流検出抵抗4の端子電圧4aにより知ることができる。トランジスタ1Eが非導通になると逆起電力による電流がモータコイル3を同方向へ流れるが、これは電流検出抵抗5からダイオード16へと還流し、この還流電流の電流値は電流検出抵抗5の端子電圧5aにより知ることができる。一方、トランジスタ1Fが導通している場合にはモータコイル3に逆方向の電流が流れ、その電流値は電流検出抵抗5の端子電圧5aにより知ることができる。トランジスタ1Fが非導通になると逆起電力による電流がモータコイル3を同方向へ流れるが、これはダイオード15から電流検出抵抗4へと還流し、この還流電流の電流値は電流検出抵抗4の端子電圧4aにより知ることができる。
【0019】
【発明の効果】以上のように、本発明のコイル駆動回路によれば、高価な絶縁増幅器を使用することなく安価な構成で、コイルへの通電電流とコイル逆起電力による循環電流をいずれも確実に検出することができる。
【出願人】 【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】守田 賢一
【公開番号】 特開平11−23618
【公開日】 平成11年(1999)1月29日
【出願番号】 特願平9−187310