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【発明の名称】 乗員保護装置
【発明者】 【氏名】小西 博之

【要約】 【課題】故障診断期間経過後において0Gレベルを補正するための入力初期値を所要のとおりに設定することができる乗員保護装置を提供すること。

【解決手段】加減速度を検出するための加速度センサ18と、加速度センサ18の検出信号を用いて初期値を求めるための初期値演算手段12と、初期値演算手段12によって求めた演算値を入力初期値として設定する初期値設定手段14とを具備する乗員保護装置。乗員保護装置の故障を診断する故障診断期間には、加速度センサ18の検出信号を測定するための複数の初期測定期間が含まれ、初期値演算手段12は、複数の初期測定期間の各々における加速度センサ18の検出値を所要のとおりに演算して測定期間平均値を求め、これら測定期間平均値を所要のとおりに演算して入力初期値を設定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両に加わる衝撃による加減速度を検出するための加速度センサと、前記加速度センサの検出信号を所定のとおりに演算して初期値を求めるための初期値演算手段と、前記初期値演算手段によって求めた演算値を入力初期値として設定する初期値設定手段とを備え、乗員保護装置の故障を診断する診断期間には、前記入力初期値を設定するために前記加速度センサの検出信号を検出するための複数の初期測定期間が含まれており、前記初期値演算手段は、前記複数の初期測定期間の各々における前記加速度センサの検出値を所要のとおりに演算して測定期間平均値を求め、さらに各初期測定期間の前記測定期間平均値を所要のとおりに演算して演算値を求め、前記初期値設定手段は、前記初期値演算手段により求めた前記演算値を前記入力初期値として設定することを特徴とする乗員保護装置。
【請求項2】 前記初期値演算手段は、各初期測定期間の前記測定期間平均値および全初期測定期間の全測定期間平均値を所要のとおりに演算して前記演算値を求め、前記初期値設定手段は、前記初期値演算手段により求めた前記演算値を前記入力初期値として設定することを特徴とする請求項1記載の乗員保護装置。
【請求項3】 車両に加わる衝撃による加減速度を検出するための加速度センサと、前記加速度センサからの信号を処理するローパスフィルタ手段と、前記ローパスフィルタ手段を通過した後の前記加速度センサの検出信号を所定のとおりに演算して初期値を求めるための初期値演算手段と、前記初期値演算手段によって求めた演算値を入力初期値として設定する初期値設定手段とを備え、乗員保護装置の故障を診断する診断期間には、前記入力初期値を設定するために前記加速度センサの検出信号を検出するための複数の初期測定期間が含まれており、前記初期値演算手段は、前記複数の初期測定期間の各々における、前記ローパスフィルタ手段を通過した後の前記加速度センサの検出値を所要のとおりに演算して演算値を求め、前記初期値設定手段は、前記初期値演算手段による前記演算値を前記入力初期値として設定することを特徴とする乗員保護装置。
【請求項4】 前記ローパスフィルタ手段は相互に並列的に配設された複数のローパスフィルタから構成され、前記初期値演算手段は、前記複数の初期測定期間の各々における前記複数のローパスフィルタを通過した後の前記加速度センサの検出値を所要のとおりに演算して演算値を求め、前記初期値設定手段は、前記初期値演算手段による前記演算値を前記入力初期値として設定することを特徴とする請求項3記載の乗員保護装置。
【請求項5】 前記ローパスフィルタ手段は、比較的小さい時定数の第1フィルタと、比較的大きい時定数の第2フィルタとから構成され、前記第1のフィルタ通過後の前記加速度センサの検出値の絶対値が前記第2のフィルタ通過後の前記加速度センサの検出値の絶対値よりも大きいと、前記第1および前記第2フィルタ通過後の前記加速度センサの検出値は異常値として処理されることを特徴とする請求項4記載の乗員保護装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえばエアバック装置などの乗員保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、衝突時の衝撃などから乗員を保護するために、乗員保護装置としてのエアバック装置を装備した車両が増えている。エアバック装置は、車両に加わる衝撃による加減速度を検出するための加速度センサと、加速度センサからの信号に基づいて点火される点火手段と、点火手段による点火によって展開されるエアバックとを備えている。
【0003】この種のエアバック装置では、加速度センサおよび加速度センサからの信号を増幅する増幅器などの出力信号は、それらの履歴、周囲環境の温度変化などによって幾分変化し、この変化分に対応したオフセット電圧により0Gレベルが変動する。この0Gレベルが大きく変動すると、エアバック装置を展開させるためのしきい値に対する演算値、すなわち加速度センサの出力信号の演算値が変動し、この変動が大きな誤差となる。このように履歴、周囲環境の温度変化により大きな誤差が生じると、エアバック装置の点火手段の点火時点が使用状況によってばらつき、装置の充分な安全性を確保することが困難となる。それ故に、履歴、周囲環境の温度変化による誤差を少なくするために、使用する電子部品、電子素子などを誤差の少ないものを選択する、0Gレベルの変動の少ない構成とするなどの対策が行われているが、いずれも、製造コストが上昇するという問題がある。
【0004】このような不都合を解消するために、たとえば、特開平6−135296号公報に、改良された乗員保護装置が開示されている。この公知の乗員保護装置は、加速度センサの0Gレベルを算出するためのレベル演算手段と、加速度センサからの出力信号を補正する信号補正手段と、補正された出力信号を積分演算するための信号演算手段とを備えている。レベル演算手段は、車両に加わる衝撃の大きさを判定する積分期間の前の所定期間における加速度センサからの出力信号をサンプリングして平均化し、この平均化した値を積分期間の0Gレベルとして算出する。信号補正手段は、積分期間における加速度センサからの出力信号をレベル演算手段によって算出した0Gレベルに基づいて補正する。また、信号演算手段は、加速度センサの補正された出力信号を積分演算する。そして、この補正された積分演算が、点火手段を点火させるときの基準となるしきい値を超えると点火手段が作動され、これによってエアバックが展開される。このように、0Gレベルを補正することによって、履歴、周囲環境の温度変化に起因する誤差を吸収することができ、エアバック装置の安全性を高めることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この公知の乗員保護装置では、イニシャルチェック(故障診断)後の通常作動期間に、0Gレベルの変動を算出するために加速度センサの出力信号の読込みが行われ、これによってレベル演算手段は0Gレベルを算出する。それ故に、0Gレベルの算出はイニシャルチェック後の所定期間経過後となり、この所定期間において加速度センサの出力信号を補正することができず、その結果、0Gレベルの補正を行うことができない期間が長くなる問題がある。
【0006】本発明の目的は、故障診断期間経過後においてOGレベル算出時の外部G信号(段差通過、ドア強閉信号など)の影響を少なくし、0Gレベルを補正するための入力初期値を所要のとおりに設定することができる乗員保護装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、車両に加わる衝撃による加減速度を検出するための加速度センサと、前記加速度センサの検出信号を所定のとおりに演算して初期値を求めるための初期値演算手段と、前記初期値演算手段によって求めた演算値を入力初期値として設定する初期値設定手段とを備え、乗員保護装置の故障を診断する故障診断期間には、前記入力初期値を設定するために前記加速度センサの検出信号を検出するための複数の初期測定期間が含まれており、前記初期値演算手段は、前記複数の初期測定期間の各々における前記加速度センサの検出値を所要のとおりに演算して測定期間平均値を求め、さらに各初期測定期間の前記測定期間平均値を所要のとおりに演算して演算値を求め、前記初期値設定手段は、前記初期値演算手段により求めた前記演算値を前記入力初期値として設定することを特徴とする乗員保護装置である。
【0008】本発明に従えば、初期値演算手段は、故障診断期間に含まれる複数の初期測定期間の各々における加速度センサの検出値を演算して測定期間平均値を求め、これら複数の測定期間平均値を演算して演算値を求め、初期値設定手段はこの演算値を入力初期値として設定するので、故障診断中、または故診断障終了時にこの演算値を入力初期値として設定することができる。したがって、故障診断終了後の通常作動時、加速度センサの0Gレベルが入力初期値に基づいて変動し、これによって加速度センサの検出信号が所要のとおりに補正され、かくして通常作動時においてはその当初より加速度センサの出力信号を補正することができる。また、この入力初期値は、複数の初期測定期間における測定期間平均値を求め、これら測定期間平均値を所要のとおりに演算して求めるので、設定される入力初期値は誤差の少ないものとなり、外乱にほとんど影響されなく入力初期値を設定することができる。
【0009】また本発明は、前記初期値演算手段は、各初期測定期間の前記測定期間平均値および全初期測定期間の全測定期間平均値を所要のとおりに演算して前記演算値を求め、前記初期値設定手段は、前記初期値演算手段により求めた前記演算値を前記入力初期値として設定することを特徴とする。
【0010】本発明に従えば、初期値演算手段は、各初期測定期間の測定期間平均値および全初期測定期間の全測定期間平均値を所要のとおりに演算し、この演算値が入力初期値として設定されるので、設定される入力初期値は一層誤差の少ないものとなる。
【0011】また本発明は、車両に加わる衝撃による加減速度を検出するための加速度センサと、前記加速度センサからの信号を処理するローパスフィルタ手段と、前記ローパスフィルタ手段を通過した後の前記加速度センサの検出信号を所定のとおりに演算して初期値を求めるための初期値演算手段と、前記初期値演算手段によって求めた演算値を入力初期値として設定する初期値設定手段とを備え、乗員保護装置の故障を診断する故障診断期間には、前記入力初期値を設定するために前記加速度センサの検出信号を検出するための複数の初期測定期間が含まれており、前記初期値演算手段は、前記複数の初期測定期間の各々における、前記ローパスフィルタ手段を通過した後の前記加速度センサの検出値を所要のとおりに演算して演算値を求め、前記初期値設定手段は、前記初期値演算手段による前記演算値を前記入力初期値として設定することを特徴とする乗員保護装置である。
【0012】本発明に従えば、初期値演算手段は、故障診断期間に含まれる複数の初期測定期間の各々におけるローパスフィルタ手段を通過した後の加速度センサの検出信号を演算し、この演算値が入力初期値として設定される。したがって、加速度センサの検出信号がローパスフィルタ手段を通過することによって、この検出信号が積分されて平均化され、この平均化された検出値を演算することによって、入力初期値は誤差の少ないものとなる。また、複数の初期測定期間は故障診断期間に含まれているので、故障診断中、または故診断障終了時に初期値演算手段により求めた演算値を入力初期値として設定することができる。したがって、故障診断終了後の通常作動時、加速度センサの0Gレベルが入力初期値に基づいて変動し、かくして通常作動時においてはその当初より加速度センサの出力信号を補正することができる。
【0013】また本発明は、前記ローパスフィルタ手段は相互に並列的に配設された複数のローパスフィルタから構成され、前記初期値演算手段は、前記複数の初期測定期間の各々における前記複数のローパスフィルタを通過した後の前記加速度センサの検出値を所要のとおりに演算して演算値を求め、前記初期値設定手段は、前記初期値演算手段による前記演算値を前記入力初期値として設定することを特徴とする。
【0014】本発明に従えば、ローパスフィルタ手段は相互に並列的に配設された複数のローパスフィルタから構成されているので、各初期測定期間における加速度センサの検出信号はこれら複数のローパスフィルタをそれぞれ通過し、初期値演算手段は、複数のローパスフィルタを通過した後のこれら加速度センサの検出信号を演算する。それ故に、初期値演算手段によって演算する検出信号数が多くなり、設定される入力初期値は一層誤差の少ないものとなる。
【0015】さらに本発明は、前記ローパスフィルタ手段は、比較的小さい時定数の第1フィルタと、比較的大きい時定数の第2フィルタとから構成され、前記第1のフィルタ通過後の前記加速度センサの検出値の絶対値が前記第2のフィルタ通過後の前記加速度センサの検出値の絶対値よりも大きいと、前記第1および前記第2フィルタ通過後の前記加速度センサの検出値は異常値として処理されることを特徴とする。
【0016】本発明に従えば、第1フィルタ通過後の加速度センサの検出値の絶対値が第2フィルタ通過後の加速度センサの検出地の絶対値より大きいと、加速度センサのこの検出値は異常値として処理される。フィルタの時定数が小さいということはその検出値の減衰曲線のピークは大きくなる。したがって、第1フィルタ通過後の加速度センサの検出値の絶対値が第2フィルタ通過後の加速度センサの検出値の絶対値よりも大きいということは、加速度センサに外部からの振動などが加わったということであり、それ故に、このような検出値を異常値として処理するようにしたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。図1は、本発明に従う乗員保護装置の一例としてのエアバック装置の一部を示すブロック図であり、図2は、図1のエアバック装置の作動期間を説明するための図であり、図3は、図1のエアバック装置の作動を説明するためのフローチャートである。
【0018】図1において、図示のエアバック装置は、車両に衝撃が加わったときに展開するエアバック2と、このエアバック2を展開させるための点火手段4(たとえばスクイブ)を備えている。点火手段4は、たとえばマイクロコンピュータから構成される制御手段6によって作動制御される。
【0019】図示の制御手段6は、検出値記憶手段8,平均値記憶手段10,初期値演算手段12、初期値設定手段14および0Gレベル記憶手段16を備えていおり、これら手段8〜16によって0Gレベルを補正するための基準となる入力初期値が設定される。検出値記憶手段8は、車両に加わる衝撃による加減速度を検出するための加速度センサ18から制御手段6に送給された検出値を記憶する。平均値記憶手段10は、後述する如くして演算された各測定期間における加速度センサ18の検出値の平均値を記憶する。初期値演算手段12は、平均値記憶手段10に記憶された各測定期間の測定期平均値を所要のとおりに演算して演算値を求める。また、初期値設定手段14は、初期値演算手段12による演算値を入力初期値として設定し、0Gレベル記憶手段16は、この設定された入力初期値を記憶する。
【0020】制御手段6は、0Gレベル補正手段20,検出値演算手段22、点火信号生成手段24を含んでおり、これら手段20〜24によって点火手段4を作動させるための演算制御が後述するとおりに行われる。
【0021】制御手段6は、さらに、タイマ手段26を含んでいる。このタイマ手段26は計時を行い、図2に示すとおりの故障診断期間T0を設定し、故障診断期間T0後、エアバック装置が通常に作動する通常作動期間となる。制御手段6には、車両に搭載された内燃機関(図示せず)を始動するためのイグニッションキー28からの始動信号が送給され、この始動信号が送給されるとタイマ手段26は計時を開始するとともに、故障診断期間T0が始まる。この故障診断期間T0では、車両の各種制御手段、たとえば内燃機関を制御するための制御用コンピュータなどの故障診断が行われ、またエアバック装置の故障診断、たとえば点火手段4が故障しているか否かのチェックが行われる。この故障診断期間T0は、たとえば2〜3秒程度要し、エアバック装置に何らの故障がないと、エアバック装置が正常に作動しているとして通常作動期間となる。この通常作動期間においては、加速度センサからの検出信号に基づいて車両に大きな加減速が作用しているか否かを検出し、大きな加減速が作用すると、エアバックが展開される。
【0022】この実施形態では、故障診断期間T0の中程から終わりにかけて実質上連続して第1〜第4初期測定期間T1〜T4が設けられている。第1〜第4初期測定期間T1〜T4は、実質上同一の期間に設定され、たとえば0.128秒に設定される。これら第1〜第4初期測定期間T1〜T4では、加速度センサ18の検出信号が検出され、加速度センサ18にて検出された検出値を所要のとおりに演算することによって、通常作動期間における加速度センサ18の検出値を補正するための0Gレベルを修正する入力初期値が設定される。この実施形態では、初期測定期間として実質上連続して4つ設けているが、2つまたは3つ、あるいは5つ以上設けることができ、多く設けることによって、一層適切な入力初期値を設定することができる。また、これらの初期測定期間は、実質上連続的に設ける必要はなく、所定の間隔を置いて設けてもよい。さらに、故障診断期間T0の初期に設けるようにしてもよく、この故障診断期間T0内に設けることによって、故障診断中、または故障診断終了時に入力初期値を設定することができる。
【0023】次に、図1とともに図3を参照して、上述したエアバック装置の作動について説明する。イグニッションキー28をオンにして内燃機関(図示せず)を作動させると、エアバック装置が作動し、エアバック装置の故障診断とともに図3に示す動作に従って入力初期値の設定が行われる。
【0024】まず、ステップS−1において、第1の初期測定期間T1であるか否かが判断される。第1初期測定期間T1のときには、ステップS−1からステップS−2に進み、加速度センサ18の検出信号の検出が行われ、加速度センサ18の検出値が制御手段6の検出値記憶手段8に記憶される。この実施形態では、第1初期測定期間T1において、所定間隔をおいて256回加速度センサ18の検出値が検出される。この検出回数を多くすることによって一層適切な入力初期値を設定することができる。ステップS−3においては、初期値演算手段12によって第1初期測定期間T1における加速度センサ18の検出値(検出値記憶手段8に記憶されている)の第1初期測定期間T1の平均値が求められ、求められた第1測定期間平均値が平均値記憶手段10に記憶される(ステップS−4)。
【0025】ステップS−1において第1初期測定期間T1でないと判断されと、ステップS−1からステップS−5に進み、第2初期測定期間T2であるか否かが判断される。第2初期測定期間T2のときには、ステップS−5からステップS−6を経てステップS−7に進み、上述したと同様に、加速度センサ18の検出信号の検出が行われた後、初期値演算手段12によって第2初期測定期間T2における加速度センサ18の検出値(検出値記憶手段8に記憶されている)の第2初期測定期間T2の平均値が求められ、求められた第2測定期間平均値が平均値記憶手段10に記憶される(ステップS−4)。
【0026】ステップS−5において第2初期測定期間T2でもないと判断されと、ステップS−5からステップS−8に進み、第3初期測定期間T3であるか否かが判断される。第3初期測定期間T3のときには、ステップS−8からステップS−9を経てステップS−10に進み、上述したと同様に、加速度センサ18の検出信号の検出が行われた後、初期値演算手段12によって第3初期測定期間T3における加速度センサ18の検出値(検出値記憶手段8に記憶されている)の第3初期測定期間T3の平均値が求められ、求められた第3測定期間平均値が平均値記憶手段10に記憶される(ステップS−4)。
【0027】また、ステップS−8において第3初期測定期間T3でもないと判断されと、ステップS−8からステップS−11に進み、第4初期測定期間T4であるか否かが判断される。第4初期測定期間T4のときには、ステップS−11からステップS−12を経てステップS−13に進み、上述したと同様に、加速度センサ18の検出信号の検出が行われた後、初期値演算手段12によって第4初期測定期間T4における加速度センサ18の検出値(検出値記憶手段8に記憶されている)の第4初期測定期間T4の平均値が求められ、求められた第4測定期間平均値が平均値記憶手段10に記憶される(ステップS−4)。
【0028】ステップS−3(またはステップS−7、ステップS−10、ステップS−13)における初期値演算手段12による平均値の演算は、たとえば、第1初期測定期間T1(または第2初期測定期間T2、第3初期測定期間T3、第4初期測定期間T4)における加速度センサ18の検出値の全てを平均化するようにしてもよく、これに代えて最大値と最小値を除く他の値を平均化するようにしてもよく、これらに代えて他の方式で平均化してもよい。なお、ステップS−11においても第4測定期間T4でないと判断されると、ステップS−1に戻る。
【0029】上述したようにして平均値記憶手段10に各測定期間平均値が記憶されると、ステップS−14からステップS−15に進む。なお、全ての測定期間T1〜T4の測定期間平均値の記憶が行われないと、ステップS−1に戻り、上述したステップS−1〜ステップS−13が遂行される。そして、全ての測定期間T1〜T4における測定平均値が求められると、ステップS−15に進み、初期値演算手段12によって第1〜第4初期測定期間T1〜T4の測定期間平均値の平均値が演算される。初期値演算手段12によるこの演算は、たとえば、全ての測定期間平均値を平均化するようにしてもよく、また最大値および最小値を除いた他の測定期間平均値を用いて演算するようにしてもよい。また、これらに代えて、各測定期間T1〜T4の各測定期間平均値と全初期測定期間を平均化した全測定期間平均値とを用いて上述したように演算して平均値を求めるようにしてもよい。全初期測定期間平均値をも用いることによって、一層適切な入力初期値を設定することができる。
【0030】初期値演算手段12による演算が終了すると、ステップS−16に進み、初期値設定手段14はこの演算値を入力初期値として設定し、ステップS−17にてこの入力初期値が0Gレベル記憶手段16に記憶され、かくして入力初期値が所要のとおりに設定される。このように入力初期値が設定されると、通常作動期間の当初からこの入力初期値に基づいて加速度センサ18の0Gレベルが修正され、加速度センサ18からの検出信号が入力初期値でもって補正され、補正された検出値でもって車両に加わる加減速度が検出され、加速度センサ18の履歴などを考慮した加減速度を検出することができる。
【0031】通常作動期間においては、加速度センサ18にて検出された検出値が、0Gレベル記憶手段16に記憶された入力初期値によって補正され、補正された検出値が検出値演算手段22によって演算される。そして、この検出値演算手段22によって演算された演算値が設定された点火所定値を超えると、点火信号生成手段24が点火信号を生成し、この点火信号が点火手段4に送給されることによって、点火手段4が点火し、エアバックが所要のとおりに展開される。このように加速度センサ18の検出値を入力初期値でもって補正することによって、点火手段4の点火時期が安定し、エアバック装置の安全性を高めることができる。なお、通常作動期間においては、上記入力初期値でもって加速度センサ18の全ての検出値を補正するようにしてもよく、これに代えて、通常作動期間の初期において入力初期値を用いて補正し、その後通常作動期間においてこの入力初期値を時間の経過とともに刻々と修正し、修正した入力初期値でもって補正するようにすることもできる。
【0032】図1〜図3に示す第1の実施形態では、第1〜第4初期測定期間T1〜T4における加速度センサ18の検出値を平均化しているが、これに代えて、ローパスフィルタ手段を用いて加速度センサ18の検出値を積分処理することもできる。
【0033】図4は、発明に従う乗員保護装置の一例としてのエアバック装置の第2の実施形態を簡略的に示すブロック図であり、図5は、図4のエアバック装置の作動を説明するためのフローチャートである。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と実質上同一のものについては同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0034】図4を参照して、第2の実施形態のエアバック装置における制御手段106は、検出値記憶手段108、初期値演算手段112、初期値設定手段114および0Gレベル記憶手段116を備えていおり、これら手段108、112、114、116によって0Gレベルを補正するための基準となる入力初期値が設定される。
【0035】この実施形態では、また、加速度センサ18と制御手段106との間にローパスフィルタ手段120が介在され、加速度センサ18から制御手段106に送給される検出信号がローパスフィルタ手段120によって積分処理され、積分処理された検出信号が制御手段106に送給されるように構成されている。
【0036】制御手段106の検出値記憶手段108は、加速度センサ18からローパスフィルタ手段120を通過して制御手段106に送給された検出値を記憶する。初期値演算手段112は、検出値記憶手段108に記憶された各測定期間の検出値を所要のとおりに演算して演算値を求める。また、初期値設定手段114は、初期値演算手段112による演算値を入力初期値として設定し、0Gレベル記憶手段116は、この設定された入力初期値を記憶する。この第2の実施形態のその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一である。
【0037】次に、図4とともに図5を参照して、第2の実施形態のエアバック装置の作動について説明する。イグニッションキー28をオンにして内燃機関(図示せず)を始動させると、エアバック装置が作動し、エアバック装置の故障診断とともに図5に示す動作に従って入力初期値の設定が行われる。
【0038】ます、ステップS−21において、第1の初期測定期間T1であるか否かが判断される。第1初期測定期間T1のときには、ステップS−21からステップS−22に進み、加速度センサ18の検出信号の検出値が検出値記憶手段108に記憶される。この実施形態においては、加速度センサ18からの検出信号はローパスフィルタ手段120を介して制御手段106に送給されるので、検出信号がローパスフィルタ手段120を通過することによって積分処理され、これによって第1初期測定期間T1における加速度センサ18の検出値を平均化したのと同様の効果が達成される。
【0039】ステップS−21において第1初期測定期間T1でないと判断されと、ステップS−21からステップS−23に進み、第2初期測定期間T2であるか否かが判断される。第2初期測定期間T2のときには、ステップS−23からステップS−24に進み、上述したと同様に、加速度センサ18の積分処理された検出値が検出値記憶手段108に記憶される。
【0040】ステップS−23において第2初期測定期間T2でもないと判断されと、ステップS−23からステップS−25に進み、第3初期測定期間T3であるか否かが判断される。第3初期測定期間T3のときには、ステップS−25からステップS−26に進み、上述したと同様に、加速度センサ18の積分処理された検出値が検出値記憶手段108に記憶される。
【0041】また、ステップS−25において第3初期測定期間T3でもないと判断されと、ステップS−25からステップS−27に進み、第4初期測定期間T4であるか否かが判断される。第4初期測定期間T4のときには、ステップS−27からステップS−28に進み、上述したと同様に、加速度センサ18の積分処理された検出値が検出値記憶手段108に記憶される。なお、ステップS−27においても第4測定期間T4でないと判断されると、ステップS−21に戻る。
【0042】上述したようにして検出値記憶手段108に加速度センサ18からの検出値が記憶されると、ステップS−29に進み、全ての測定期間T1〜T4における加速度センサ18からの検出値が記憶されたか否かが判断され、全ての測定期間平均値の記憶が行われていないとき、ステップS−21に戻り、上述したステップS−21〜ステップS−28が遂行される。そして、全ての測定期間T1〜T4における検出値が検出されると、次に、ステップS−30に進み、初期値演算手段112によって第1〜第4初期測定期間T1〜T4の検出値の平均値が演算される。初期値演算手段112によるこの演算は、たとえば、全ての測定期間における検出値を平均化するようにしてもよく、また最大値および最小値を除いた他の検出値を用いて演算するようにしてもよい。
【0043】初期値演算手段112による演算が終了すると、ステップS−31に進み、初期値設定手段114はこの演算値を入力初期値として設定し、ステップS−32にてこの入力初期値が0Gレベル記憶手段116に記憶され、かくして入力初期値が所要のとおりに設定される。このように入力初期値が設定されると、第1の実施形態と同様に、通常作動期間の当初からこの入力初期値に基づいて加速度センサ18の0Gレベルが修正され、加速度センサ18からの検出信号が入力初期値でもって補正され、補正された検出値でもって車両に加わる加減速度が検出され、加速度センサ18の履歴などを考慮した加減速度を検出することができる。かくして、第2の実施形態においても加速度センサ18からの検出信号をローパスフィルタ手段120を通過した後制御手段106に送給しているので、各測定期間T1〜T4における加速度センサ18の検出値を平均化したのと同様の処理が施され、第1の実施形態と同様の効果が達成される。
【0044】第2の実施形態では、ローパスフィルタ手段120が単一のローパスフィルタ(図示せず)から構成されているが、このローパスフィルタ手段120を時定数の異なる複数種のローパスフィルタから構成し、複数種のローパスフィルタを相互に並列的に配置し、加速度センサ18からの検出信号を各ローパスフィルタを介して制御手段106に送給するようにすることもできる。この場合、制御手段106に送給される加速度センサ18の検出信号の数が増え、また複数の積分処理された検出値でもって入力初期値を設定するので、より適切な入力初期値を設定することができる。
【0045】さらに、ローパスフィルタ手段120を複数のローパスフィルタから構成する一例として、比較的小さい時定数の第1フィルタと比較的大きい時定数の第2フィルタから構成することもできる。かかる場合、加速度センサ18の検出信号が第1フィルタを通過すると、その時定数が比較的小さいので、加速度センサ18の検出信号の減衰は比較的小さく、実際の検出信号に近い検出波形となる。これに対し、加速度センサ18の検出信号が第2フィルタを通過すると、その時定数が比較的大きいので、加速度センサ18の検出信号の減衰は比較的大きく、実際の検出信号よりも小さななだらかな検出波形となる。このような2種類のフィルタを用いることによって、比較定簡単な構成でもって適切な入力初期値を設定することができる。
【0046】また、上述したように第1および第2フィルタを用いた場合、第1フィルタ通過後の加速度センサ18の検出値の絶対値と第2フィルタ通過後の加速度センサ18の検出値の絶対値とを比較し、第1フィルタ通過後の上記検出値の絶対値が第2フィルタ通過後の上記検出値の絶対値よりも大きいときに、この加速度センサ18の検出信号の検出値を異常値として処理するのが望ましい。このようなときは、容易に理解されるとおり、車両に衝撃などの振動が加わったときであり、このような検出値を異常値として処理することによって、外部からの振動などに実質上影響されない入力初期値を求めることができる。なお、異常値として処理する方法としては、たとえば、この異常値として処理する検出値を採用することなく、その前に検出した検出値を異常値として処理する検出値に代えて採用することができる。また、上述した処理に代えて、この異常値として処理する検出値を除く他の検出値を初期値演算手段によって演算処理して入力初期値を設定するようにすることもできる。また、これらのフィルタによる演算を、ステップS−21の前に制御手段6の中で行うようにすることもできる。
【0047】以上、本発明を乗員保護装置の一例としてのエアバック装置に適用して説明したが、このようなエアバック装置としてはセンターエアバック装置およびサイドエアバック装置などがあり、また本発明はエアバック装置以外の他の乗員保護装置にも同様に適用することができる。
【0048】
【発明の効果】本発明の請求項1の乗員保護装置によれば、初期値演算手段は、故障診断期間に含まれる複数の初期測定期間の各々における加速度センサの検出値を演算して測定期間平均値を求め、これら複数の測定期間平均値を演算して演算値を求め、初期値設定手段はこの演算値を入力初期値として設定するので、故障診断中、または故診断障終了時にこの演算値を入力初期値として設定することができる。したがって、故障診断終了後の通常作動時、加速度センサの0Gレベルが入力初期値に基づいて変動し、これによって加速度センサの検出信号が所要のとおりに補正され、かくして通常作動時においてはその当初より加速度センサの出力信号を補正することができる。また、この入力初期値は、複数の初期測定期間における測定期間平均値を求め、これら測定期間平均値を所要のとおりに演算して求めるので、設定される入力初期値は誤差の少ないものとなり、外乱にほとんど影響されなく入力初期値を設定することができる。
【0049】また本発明の請求項2の乗員保護装置によれば、初期値演算手段は、各初期測定期間の測定期間平均値および全初期測定期間の全測定期間平均値を所要のとおりに演算し、この演算値が入力初期値として設定されるので、設定される入力初期値は一層誤差の少ないものとなる。
【0050】また本発明の請求項3の乗員保護装置によれば、初期値演算手段は、故障診断期間に含まれる複数の初期測定期間の各々におけるローパスフィルタ手段を通過した後の加速度センサの検出信号を演算し、この演算値が入力初期値として設定される。したがって、加速度センサの検出信号がローパスフィルタ手段を通過することによって、この検出信号が積分されて平均化され、この平均化された検出値を演算することによって、入力初期値は誤差の少ないものとなる。また、複数の初期測定期間は故障診断期間に含まれているので、故障診断中、または故診断障終了時に初期値演算手段により求めた演算値を入力初期値として設定することができる。したがって、故障診断終了後の通常作動時、加速度センサの0Gレベルが入力初期値に基づいて変動し、かくして通常作動時においてはその当初より加速度センサの出力信号を補正することができる。
【0051】また本発明の請求項4の乗員保護装置によれば、ローパスフィルタ手段は相互に並列的に配設された複数のローパスフィルタから構成されているので、各初期測定期間における加速度センサの検出信号はこれら複数のローパスフィルタをそれぞれ通過し、初期値演算手段は、複数のローパスフィルタを通過した後のこれら加速度センサの検出信号を演算する。それ故に、初期値演算手段によって演算する検出信号数が多くなり、設定される入力初期値は一層誤差の少ないものとなる。
【0052】さらに本発明の請求項5の乗員保護装置によれば、第1フィルタ通過後の加速度センサの検出値の絶対値が第2フィルタ通過後の加速度センサの検出地の絶対値より大きいと、加速度センサのこの検出値は異常値として処理される。フィルタの時定数が小さいということはその検出値の減衰曲線のピークは大きくなる。したがって、第1フィルタ通過後の加速度センサの検出値の絶対値が第2フィルタ通過後の加速度センサの検出値の絶対値よりも大きいということは、加速度センサに外部からの振動などが加わったということであり、それ故に、このような検出値を異常値として処理するようにしたものである。
【出願人】 【識別番号】000237592
【氏名又は名称】富士通テン株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
【公開番号】 特開平11−271355
【公開日】 平成11年(1999)10月8日
【出願番号】 特願平10−76038