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【発明の名称】 圧電検出素子
【発明者】 【氏名】梅村 敏夫

【氏名】山田 朗

【氏名】前田 智佐子

【氏名】佐藤 剛彦

【氏名】内川 英興

【要約】 【課題】小型でかつ温度係数を小さくできしかも高感度で加速度、磁界等の物理量を検出することができる圧電検出素子を提供する。

【解決手段】中央部に開口部を有する基板と、開口部を実質的に覆いかつ開口部において印加される物理量に対応して変形可能となるように開口部の周辺部で基板に固定された金属膜と、印加される物理量に応答して開口部において金属膜を変形させるために設けられた作用体と、開口部の金属膜の変形に対応して変形するように該金属膜に接して又は離れて設けられた圧電膜とを備え、印加される物理量に対応する電気信号を出力する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中央部に開口部を有する基板と、上記開口部を実質的に覆いかつ上記開口部において印加される物理量に対応して変形可能となるように上記開口部の周辺部で上記基板に固定された金属膜と、上記印加される物理量に応答して上記開口部において上記金属膜を変形させるために設けられた作用体と、上記開口部の上記金属膜の変形に対応して変形するように該金属膜に接して又は離れて設けられた圧電膜とを備え、上記印加される物理量に対応する電気信号を出力することを特徴とする圧電検出素子。
【請求項2】 上記圧電膜が、上記開口部の略中央に位置する原点を通る第1軸上に上記原点に対して略対称に設けられた少なくとも2つの第1圧電膜を含んでなることを特徴とする請求項1記載の圧電検出素子。
【請求項3】 上記第1圧電膜のうち上記原点に対して一方の側に設けられた第1圧電膜を上記金属膜上に直接形成し、かつ他方の側に設けられた第1圧電膜を、上記金属膜上に絶縁膜を介して形成された電極上に形成した請求項2記載の圧電検出素子。
【請求項4】 上記圧電膜がさらに、上記開口部の略中央に位置する原点を通る第2軸上に上記原点に対して略対称に設けられた少なくとも2つの第2圧電膜を含んでなりかつ上記第1圧電膜と上記第2圧電膜とが一直線上にないことを特徴とする請求項2記載の圧電検出素子。
【請求項5】 上記第1圧電膜のうち上記原点に対して一方の側に設けられた第1圧電膜を上記金属膜上に直接形成し、かつ他方の側に設けられた第1圧電膜を、上記金属膜上に絶縁膜を介して形成された電極上に形成し、上記第2圧電膜のうち上記原点に対して一方の側に設けられた第2圧電膜を上記金属膜上に直接形成し、かつ他方の側に設けられた第2圧電膜を、上記金属膜上に絶縁膜を介して形成された電極上に形成した請求項4記載の圧電検出素子。
【請求項6】 上記第1軸と上記第2軸とが上記原点において直交する請求項4又は5記載の圧電検出素子。
【請求項7】 上記圧電膜が上記金属膜の一方の主面側に設けられかつ上記作用体が上記金属膜の他方の主面側に設けられている請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の圧電検出素子。
【請求項8】 上記圧電膜と上記作用体とが上記金属膜の同一面側に設けられている請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の圧電検出素子。
【請求項9】 上記圧電膜が上記金属膜を介して対向するように上記金属膜の一方の主面側と他方の主面側とに設けられている請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の圧電検出素子。
【請求項10】 上記作用体を2以上備えた請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載の圧電検出素子。
【請求項11】 上記作用体が少なくとも1つの圧電膜上に電極を介して形成されている請求項1〜10のうちのいずれか1つに記載の圧電検出素子。
【請求項12】 上記作用体が上記圧電膜の中心からずらして形成されている請求項11記載の圧電検出素子。
【請求項13】 上記作用体が上記圧電膜上に形成された電極と一体で形成されている請求項11記載の圧電検出素子。
【請求項14】 上記作用体が、互いに質量のことなる2以上の部分からなる請求項1〜12のうちのいずれか1つに記載の圧電検出素子。
【請求項15】 上記圧電膜上にそれぞれ電極が形成されかつ上記圧電膜にそれぞれ対応して外部回路との接続用のパッド電極が形成された圧電検出素子であって、上記圧電膜と上記パッド電極との間がエアーブリッジ配線されている請求項1〜14のうちのいずれか1つに記載の圧電検出素子。
【請求項16】 上記基板と上記金属膜及び上記作用体と上記金属膜とをそれぞれ、接着層を介して固定されている請求項1〜15のうちのいずれか1つに記載の圧電検出素子。
【請求項17】 上記開口部における金属膜が自由に変形できるように基板を保持し素子を保護するための容器を備えた請求項1〜16のうちのいずれか1つに記載の圧電検出素子。
【請求項18】 上記圧電膜が、チタン酸鉛、ジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸バリウム、酸化シリコン、タンタル酸リチウム及びニオブ酸リチウムからなる群から選ばれた少なくとも1種を主成分として含む請求項1〜17のうちのいずれか1つに記載の圧電検出素子。
【請求項19】 上記金属膜が、金、白金、パラジウム、ルテニウム及びイリジウムからなる群から選ばれた少なくとも1種を主成分として含んで形成されている請求項18記載の圧電検出素子。
【請求項20】 上記金属膜が、チタン、クロム、タンタル、バナジウム及びニオブからなる群から選ばれた少なくとも一種を含む層からなる接着層を介して基板に固定されている請求項19記載の圧電検出素子。
【請求項21】 上記基板が、シルコン、ガリウム砒素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び酸化ジルコニウムからなる群から選ばれた少なくとも一種を主成分として含む請求項18〜20のうちのいずれか1つに記載の圧電検出素子。
【請求項22】 上記作用体が磁性体からなる請求項1〜21のうちのいずれか1つに記載の圧電検出素子。
【請求項23】 上記作用体が、ネオジウム鉄ボロン、サマリウムコバルト、アルニコ、フェライトからなる群から選ばれた少なくとも一種以上の永久磁石を主成分として含む請求項22記載の圧電検出素子。
【請求項24】 上記基板上に制御回路が一体で形成されている請求項1〜23のうちのいずれか1つに記載の圧電検出素子。
【請求項25】 上記作用体の少なくとも1部として形成された磁性体と、上記作用体の回りに設けられたコイルとを備え、上記磁性体と上記コイルとの間の電磁誘導による信号を用いて検出機能を検証する請求項1〜24のうちのいずれか1つに記載された圧電検出素子。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加速度センサ、磁界センサ等の圧電膜を用いた圧電検出素子に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、自動車、FA(ファクトリーオートメション)機器等において、高機能化及び高性能化を図るため数多くの様々なセンサが利用されている。特に、自動車では電子制御システムの進展に伴い、今後益々、位置および加速度などの検出に多くにセンサが利用されるものと思われる。
【0003】このような需要に応えるために、基板に接合されたゲージ抵抗素子やピエゾ抵抗素子が外力による基板の歪みを検知して物理量に表す方法が提案されている。また、特開平4−148833号公報では、固定基板と外力を伝達する作用体を有する可撓性基板が対向する面に電極を配置した構造が提案され、力、加速度、磁界により作用体に発生した力で可撓性基板を撓ませ、これに伴う電極間の静電容量の変化を検知して物理量を検出する方法が開示されている。更に、特開平5−26744号公報では、可撓性基板上に電極で挟まれた板状圧電素子を固定し、且つ、可撓性基板に定義した原点に作用体を設けた構造が提案され、力、加速度、磁界により作用体に発生した力により可撓性基板を撓ませ、これを圧電素子により検知して物理量を検出する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、車載用のセンサに代表されるように、センサの使用温度範囲(−50℃〜+180℃)は広いので、上述の基材に固定されたゲージ抵抗素子やピエゾ抵抗素子を利用する方法では、検出素子自体は小型であるが、それらの温度係数を補償する回路が不可欠となり、センサシステムの簡略化、小型化が困難であるという問題点があった。また、センサ筐体に固定された可撓性基板を作用体により撓ませる方法は、比較的温度係数は小さくできるが、大きな作用を必要とするために弱い外力の作用の検出には不向きであるという問題点があり、また、可撓性基板に別体で作成された圧電素子を固定する構造であるために小型化が困難でありかつ安価に製造できないという問題点もあった。
【0005】そこで、本発明は、小型でかつ温度係数を小さくできしかも高感度で加速度、磁界等の物理量を検出することができる圧電検出素子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の圧電検出素子は、中央部に開口部を有する基板と、上記開口部を実質的に覆いかつ上記開口部において印加される物理量に対応して変形可能となるように上記開口部の周辺部で上記基板に固定された金属膜と、上記印加される物理量に応答して上記開口部において上記金属膜を変形させるために設けられた作用体と、上記開口部の上記金属膜の変形に対応して変形するように該金属膜に接して又は離れて設けられた圧電膜とを備え、上記印加される物理量に対応する電気信号を出力することを特徴とする。これによって、本発明の圧電検出素子では、従来例のように可撓性基板を用いることなく、変形可能に形成された上記金属膜を印加される物理量により直接変形させているので、小さな作用で上記金属膜及び圧電膜を変形させることができ、上記圧電膜の変形に対応した電気信号を出力することができる。
【0007】また、本発明の圧電検出素子では、上記圧電膜が、上記開口部の略中央に位置する原点を通る第1軸上に上記原点に対して略対称に設けられた少なくとも2つの第1圧電膜を含んで構成されることが好ましく、これによって、2次元的に変化する方向と大きさを有する物理量が印加されたときに、その方向と大きさを検出することができる。
【0008】この場合、上記第1圧電膜のうち上記原点に対して一方の側に設けられた第1圧電膜を上記金属膜上に直接形成し、かつ他方の側に設けられた第1圧電膜を、上記金属膜上に絶縁膜を介して形成された電極上に形成することにより、一方の側に設けられた第1圧電膜と他方の側に設けられた第1圧電膜との電極を互いに分離でき、例えば、製造ばらつきによる一方の側と他方の側にある圧電膜間の特性ばらつき補償して検出することができる。
【0009】また、本発明の圧電検出素子では、上記圧電膜がさらに、上記開口部の略中央に位置する原点を通る第2軸上に上記原点に対して略対称に設けられた少なくとも2つの第2圧電膜を含んでなりかつ上記第1圧電膜と上記第2圧電膜とが一直線上にないように構成することにより、3次元的に変化する方向と大きさを有する物理量が印加されたときに、その方向と大きさを検出することができる。
【0010】この場合、上記第1圧電膜のうち上記原点に対して一方の側に設けられた第1圧電膜を上記金属膜上に直接形成し、かつ他方の側に設けられた第1圧電膜を、上記金属膜上に絶縁膜を介して形成された電極上に形成し、上記第2圧電膜のうち上記原点に対して一方の側に設けられた第2圧電膜を上記金属膜上に直接形成し、かつ他方の側に設けられた第2圧電膜を、上記金属膜上に絶縁膜を介して形成された電極上に形成することにより、例えば、製造ばらつきによる一方の側と他方の側にある圧電膜間の特性ばらつき補償して検出することができる。
【0011】また、本発明の圧電検出素子では、上記第1軸と上記第2軸とが上記原点において直交することが好ましく、これによって、物理量の方向と大きさとを効率的にかつ精度良く検出できる。
【0012】なお、本発明の圧電検出素子では、上記圧電膜を上記金属膜の一方の主面側に設けかつ上記作用体を上記金属膜の他方の主面側に設けるようにしてもよいし、上記圧電膜と上記作用体とを上記金属膜の同一面側に設けるようにしてもよい。
【0013】また、本発明の圧電検出素子において、上記圧電膜が上記金属膜を介して対向するように上記金属膜の一方の主面側と他方の主面側とに設けることにより、対向して設けられた2つの圧電膜からの信号を加算して出力できる。
【0014】また、本発明の圧電検出素子では、上記作用体を2以上備えていてもよく、これによって、検出感度を向上させることができる。
【0015】さらに、本発明の圧電検出素子では、上記作用体を少なくとも1つの圧電膜上に電極を介して形成するようにしてもよい。この場合、上記作用体を上記圧電膜の中心からずらして形成することによって、該圧電膜の変形を大きくすることができ、検出感度を向上させることができる。また圧電膜上に電極を介して作用体を形成する場合、製造工程を簡単にするために上記作用体と上記電極と一体で形成することもできる。
【0016】また、本発明の圧電検出素子では、上記作用体を互いに質量の異なる2以上の部分から構成してもよい。これによって、検出する物理量に対応して、作用体の質量を適切な値に比較的自由に設定できる。
【0017】また、本発明の圧電検出素子では、上記圧電膜上に形成された電極と上記圧電膜にそれぞれ対応して外部回路との接続用として形成されたパッド電極との間を接続する場合、上記圧電膜の自由な変形を妨げることがないようにかつ上記圧電膜に不必要な力がかからないように上記圧電膜と上記パッド電極との間がエアーブリッジ配線で接続することが好ましい。
【0018】また、本発明の圧電検出素子では、上記基板と上記金属膜及び上記作用体と上記金属膜とをそれぞれ、強固に固定するために接着層を介して固定することが好ましい。
【0019】また、本発明の圧電検出素子では、上記開口部における金属膜が自由に変形できるように基板を保持し素子を保護するための容器を備えることが好ましい。
【0020】また、本発明の圧電検出素子では、チタン酸鉛、ジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸バリウム、酸化シリコン、タンタル酸リチウム及びニオブ酸リチウムからなる群から選ばれた少なくとも1種を主成分として含む圧電材料を用いて上記圧電膜を形成することができる。
【0021】また、本発明の圧電検出素子では、金、白金、パラジウム、ルテニウム及びイリジウムからなる群から選ばれた少なくとも1種を主成分として含も金属を用いて上記金属膜を形成することができる。
【0022】この場合、上記金属膜が、チタン、クロム、タンタル、バナジウム及びニオブからなる群から選ばれた少なくとも一種を含む層からなる接着層を介して基板に固定されていることが好ましい。
【0023】また、本発明の圧電検出素子では、シルコン、ガリウム砒素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び酸化ジルコニウムからなる群から選ばれた少なくとも一種を主成分として含む基板を用いることにより容易に形成できる。
【0024】また、本発明の圧電検出素子では、上記作用体として磁性体を用いることにより、磁気センサとできる。この場合、作用体として、ネオジウム鉄ボロン、サマリウムコバルト、アルニコ、フェライトからなる群から選ばれた少なくとも一種以上の永久磁石を主成分として含む磁性体で形成することができる。
【0025】また、本発明の圧電検出素子では、上記基板上に制御回路を一体で形成することができ、これによって、制御回路を含め小型化が図れる。
【0026】さらに、本発明の圧電検出素子において、上記作用体の少なくとも1部として形成された磁性体と、上記作用体の回りに設けられたコイルとを備えることにより、上記磁性体と上記コイルとの間の電磁誘導による信号を用いて検出機能を検証する機能を付加することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態について説明する。
実施の形態1.実施の形態1の圧電検出素子は、図1に示すように、開口部100を備えた基板1上に、該開口部100を覆うように金属膜2が形成され、該金属膜2上に圧電膜3を含む各要素が以下のように形成されて構成される。尚、実施の形態1において、素子に印加される加速度に対応して開口部100に張られた金属膜2を変形させるために、円柱形状の作用体6が、その軸が開口部100の中心と略一致するように金属膜2の下面に設けられている。
【0028】金属膜2上には、作用体6の外周の直上に、該直上における金属膜2の変形と同期して変形するように4つの圧電膜3が形成される。ここで、圧電膜3はそれぞれ電極4を備え、作用体6の外周上に等間隔に配置される。また、各圧電膜3の外側の金属膜2上には、制御回路との接続用のパッド電極7が絶縁膜71を介して設けられ、それぞれ対応する圧電膜3上の電極4に配線金属5でエアーブリッジ配線されている。尚、パッド電極7は、開口部100の外側の基板1上に位置するように設けられる。
【0029】次に、実施の形態1の圧電検出素子の概略の製造方法について説明する。本実施の形態1では、基板1として、種々の基板を用いることができるが、金属膜2、圧電膜3の形成の容易さ、開口部の加工等を考慮して、シルコン、ガリウム砒素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び酸化ジルコニウムの内の一種を用いることが好ましい。本実施の形態1の製造方法では、基板1上に白金からなる金属膜2を、スパッタ法にて0.2μm厚さに成膜する。尚、本発明では、金属膜2として白金以外に、金、パラジウム、ルテニウム及びイリジウム等種々の金属を用いることができる。次に、チタン酸鉛(膜組成PbTiO3)からなる圧電膜3を、DCマグネトロンスパッタ法により1μmの厚さに成膜する。尚、本発明では、ジルコン酸チタン酸鉛(膜組成(Pb,Zr)TiO3)、チタン酸バリウム(膜組成BaTiO3)、酸化シリコン(膜組成SiO2)、タンタル酸リチウム(膜組成LiTaO3)又はニオブ酸リチウム(膜組成LiNbO3)等の種々の圧電材料を用いて圧電膜3を形成することができる。また、圧電膜3として多結晶体のチタン酸鉛(膜組成PbTiO3)を用いる場合は、結晶軸が(111)配向するように形成することが好ましく、これは、(111)配向させたPt膜上に形成することにより容易に形成できる。
【0030】次に、圧電膜3上に、1μm厚の金膜を成膜した後、フォトレジストを用いた湿式エッチングにより、図1(a)に示す所定の位置に上部電極膜4及び圧電膜3を形成する。ここで、金膜のエッチング液としては、HClおよびHNO3の3:1混合液、チタン酸鉛からなる圧電膜のエッチング液としてHNO3−HFを用いることができる。さらに、絶縁膜71を形成する位置に開口部を有するレジストを形成し、室温にてシリコンを0.1μmの厚さにスパッタ成膜し、その上に金を0.1μmの厚さにスパッタ成膜した後、レジストを溶剤により除去する。これによって、金属膜2上に絶縁膜71を介してパッド電極が形成される。
【0031】次に、上部電極膜4の上面とパッド電極7の上面が開口するようにレジストを形成し、上方から金膜を室温にて0.1μmの厚さにスパッタ成膜し、該金膜上に配線金属5を形成すべき位置を開口させたレジストを形成し、該開口部を介して金膜上に電解メッキにより金を1μmの厚さにメッキした後、レジストをアセトンにより除去する。これによって、電極膜4とパッド電極7とを接続する配線金属5を形成する。次に、基板1の所定の位置において、下面から7%KOH溶液を用いてエッチングを行うことにより開口部100を形成して金属膜2を露出させる。この際、開口部100の中央部に円柱形状にシリコン基板を残すことにより作用体6を形成する。以上のようにして図1に示す実施の形態1の圧電検出素子は製造される。
【0032】次に、以上のように構成された実施の形態1の圧電検出素子において作用体6に所定の向きに力が加わったときの動作を、図2及び表を参照して説明する。ここで、図2において、符号12〜15は、金属膜2と電極4とによって挟設された圧電膜3からなる圧電素子を示し、配線金属5及びパッド電極7は省略して描いている。本実施の形態1の圧電検出素子の動作の確認は、図2(d)に示すように各圧電素子12〜15の電極4と金属膜2の電極間にそれぞれ、電圧計V1、V2、V3、V4およびコンデンサ(1pF〜100pF)を結線して、この圧電検出素子を加振機に乗せて加振方向に対する各電圧計の電圧のふれを計測することにより行った。その結果を表1に示す。ここで、表1において、Fx+、Fy+、Fz+はそれぞれ、X、Y、Zの正方向の力を示し、Fx-、Fy-、Fz-はそれぞれ、X、Y、Zの負方向の力を示す。また、X及びY方向は、図2(a)(b)に示すように金属膜2と同一平面上において直交する方向であり、Z方向は図2(c)に示すように作用体6の軸方向である。さらに、X軸及びY軸にはそれぞれ原点を挟んで対称になるように2つの圧電素子が位置する。
【0033】
【表1】

【0034】表1から明らかなように、本実施の形態1の圧電検出素子は、各圧電素子において印加される力の方向に対応した正又は負の電圧を出力することができる。また、容量の小さいコンデンサを用い、加振方向の振幅の時間変化が正弦波で表される場合には、電圧計のふれも正弦波的電圧−時間依存性が得られ、さらに印加される力に応じた大きさの電圧が出力されることも確認された。また、圧電素子12〜15の各圧電膜3が印加される力の方向と大きさに依存して屈曲し、各電圧計のふれを各方向の加速度のベクトルと見なしたとき、3成分の合力を圧電素子に加わる力(加速度)と関連させることができることが分かった。 従って、実施の形態1の圧電検出素子を用いると、X、Y、Zのうち2以上の方向成分を有する力が印加された場合において、各圧電素子12、13、14、15からは、作用体6が受ける力の各方向の成分に対応して生じる電圧が重畳して出力されるので、各圧電素子12、13、14、15から出力される信号に基づいて圧電検出素子に印加される力の方向と大きさが一義的に決定できる。またさらに、われわれの検討によると、−80℃〜+200℃の温度範囲において、出力電圧の温度依存性は極めて小さいものであった。
【0035】以上詳細に説明したように、本実施の形態1の圧電検出素子は、可撓性基板を用いることなく、基板1の開口部100上に膜状の金属膜2を設け、印加される力に対応して直接、開口部100上に位置する金属膜2を変形するように構成しているので、可撓性基板を変形させる場合の力に比べて極めて小さい力で金属膜2を変形させることができる。従って、本実施の形態1の圧電検出素子においては、作用体6の質量を大きくすることなく金属膜2を変形させることができるので、小型でかつ従来例と同等の加速度等の検出性能を実現できる。また、実施の形態1の圧電検出素子は、上述の製造方法の説明から明らかなように、いわゆる半導体製造プロセスを用いて製造することができるので、大量生産が可能で、かつ大量生産することにより極めて安価に製造することができる。
【0036】また、本実施の形態1の圧電検出素子では、圧電素子の電極4とパッド電極7とをエアブリッジ配線を用いて接続することにより、開口部100上に位置する金属膜2の変形可能部分に、圧電膜3以外のものを形成していないので、外力が印加されたときに金属膜2の変形を妨げることがなく、効果的にかつ精度よく印加される外力を検出できる。また、このエアーブリッジ配線をすることにより、このエアーブリッジ配線の緩衝作用により、例えば、素子が衝撃等による極度に大きな力(加速度)を受けた場合にも、金属膜2及び圧電膜3の一部分に集中して大きな力が係ることを防止でき、金属膜2等の破壊を防止できる。
【0037】以上の実施の形態1の圧電検出素子では、図3に示すように、容器31を設け検出部分を保護するようにすることが好ましい。この場合、図3(a)に示すように、基板1を容器31の側面に固定するようにしても良いし、図3(b)に示すように、作用体6を容器31の底面に固定するようにしてもよい。図3(a)の構成では、外力によって作用体6が容器に対して相対的に変位し、図3(b)の構成では、外力によって基板1が容器に対して相対的に変位する。われわれの検討では、いずれにおいても圧電効果を検出することができた。このように、容器31を設けることにより、素子を大気からの遮断できかつ、機械的接触を容易に回避できるので、信頼性を向上させることができる。
【0038】実施の形態2.実施の形態1では圧電膜3、上部電極4等を下部電極膜2に対して基板1と異なる側に配置したが、実施の形態2では、図4に示すように、圧電膜3、電極4等を下部電極膜2に対して基板1側に配置、すなわち開口部100内に形成したことを特徴とする。
【0039】次に、実施の形態2の圧電検出素子の製造方法について説明する。本方法では、まず、例えばSiからなる基板(この基板は、最終的に素子に残る基板1とは異なるので、以下それと区別するために基板Aという。尚、この基板Aは図4には図示されていない。)上に金属膜2を形成し、その金属膜2上に実施の形態1と同様にして、圧電膜3、電極4、パッド電極7及び配線金属5等を形成することにより各圧電素子を形成する。次に、基板1、作用体6が形成される部分が開孔するようにフォトレジストを形成して、金属膜2上にSiを形成した後、溶剤を用いてフォトレジストを除去することにより、開口部以外のSiが該レジストとともに除去され、基板1及び作用体6が形成される。そして、7%KOH溶液等により金属膜2の下に接する基板Aをエッチング除去することにより図4に示す断面形状を有する実施の形態2の素子が構成される。
【0040】以上のように構成された実施の形態2の圧電検出素子は、開口部100に圧電素子及び作用体6等が形成されるので、素子において、基板1の厚さ方向に突出する突出部を無くすることができ、実施の形態1に比較して素子を薄くできる。尚、本実施の形態2では、基板1及び作用体6を構成する材料としてSiに代えて例えばハンダ等の金属を用いて形成してもよい。すなわち、基板1、作用体6が形成される部分が開孔するようにフォトレジストを形成して、金属膜2上に給電層金膜を例えば0.1μm厚に形成して、該金膜上にハンダメッキを200μm厚だけ形成した後、溶剤によりレジストを除去して、ハンダからなる基板1と作用体6とを形成してもよい。以上のように構成しても実施の形態2と同様の作用効果を有する。
【0041】実施の形態3.本発明に係る実施の形態3の圧電検出素子は、図5に示すように、実施の形態1の圧電素子12,13に代えて、金属膜2上に絶縁膜17を介して形成された圧電素子12a,13aを設けたことを特徴とする。すなわち、実施の形態3の圧電検出素子は、(001)面を有するシリコンからなる基板1上に、下部電極膜2として結晶軸が(111)配向した1μm厚の白金をスパッタ法にて成膜し、メタルマスクを用いて絶縁膜17として酸化シリコンをプラズマCVDにより0.2μm成膜し、さらに該絶縁膜17上に中間電極膜16として、白金(1μm厚)をDCマグネトロンスパッタにて成膜した後、実施の形態1と同様にして、圧電膜3、電極膜4及び配線5を形成することにより作成される。
【0042】以上のように構成された実施の形態3の圧電検出素子は、X方向に設けられた2つの圧電素子のうち、圧電素子14が金属膜2を一方の電極として金属膜2上に直接形成され、圧電素子12aが金属膜2上に絶縁膜17を介して形成されて、互いに共通の電極を有していないので、電気的に独立している。また、Y方向に設けられた2つの圧電素子のうち、圧電素子15が金属膜2を一方の電極として金属膜2上に直接形成され、圧電素子13aが金属膜2上に絶縁膜17を介して形成されて、互いに共通の電極を有していないので、電気的に独立している。このように、圧電素子の下部に設けられた電極を分離することにより、分離されて形成された圧電素子間においてはすべての電極が、独立して形成されているので、各圧電素子から出力される信号の処理回路の構成の自由度が増す。これによって、独立した(互いに電気的に分離された電極で構成された)圧電素子間では、例えば圧電膜の製造のバラツキによって圧電素子からの信号がばらついた場合、そのバラツキを吸収するように回路を構成することが容易になりかつ簡単なバラツキ補正手段で補正できる。
【0043】実施の形態4.次に本発明に係る実施の形態4の圧電検出素子について説明する。実施の形態4の圧電検出素子は、実施の形態1の圧電検出素子において、図6に示すように、基板1及び作用体6と金属膜2との間に密着力を向上させるための密着層21を形成し、圧電膜3と電極4との間及び絶縁膜71とパッド電極7との間に密着力を向上させるための密着層22が形成されていることを特徴とする。ここで、本実施の形態4において、密着層21,22として、チタン、クロム、タンタル、バナジウム、ニオブの内一種を例えば50nmの厚さに形成する。以上のように構成された実施の形態4の圧電検出素子は、基板1及び作用体と金属膜2との間、並びに圧電膜3と電極4との間及び絶縁膜71とパッド電極7との間の密着力を向上させることができるので、製造工程上で該部分が剥離するのを防止でき、製造歩留まりを向上させることができるとともに、信頼性を向上させることができる。尚、この場合、密着層の元素が電極膜内を拡散して圧電膜を劣化させる場合があるが、これを抑制するためには、白金を成膜した後焼鈍し、更に、白金を成膜して電極膜とすることが有効である。
【0044】実施の形態5.本発明に係る実施の形態5の圧電検出素子は、図7に示すように、作用体6に代えて各電極4と一体で形成された作用体20を備えたことを特徴とし、以下のように製造される。実施の形態5の圧電検出素子は、実施の形態1と同様な工程で電極4まで形成した後、作用体20を形成する部分を残してレジストで覆い、その上から金メッキをしてレジストを除去することにより、電極4上に一体で金からなる作用体20を形成する。他の工程については、開口部100をエッチングにより形成する工程で作用体6を形成しないようにする以外は、実施の形態1と同様である。以上のように構成しても実施の形態1と同様に動作し同様の効果を有するとともに、実施の形態1に比較して検出感度を高くできる。
【0045】本実施の形態5では、作用体20を電極4と同じ金を用いて構成したが、本発明はこれに限らず、異種金属を用いて構成してもよい。この場合、電極4に比較して密度の大きい金属を用いることが好ましい。また、本実施の形態5では、作用体20に加えさらに実施の形態1と同様の作用体6を設けるようにしてもよい。この場合、作用体6は金属膜2の上面に設けてもよいし、下面に設けてもよい。
【0046】実施の形態6.本発明に係る実施の形態6の圧電検出素子は、実施の形態1の圧電検出素子において、圧電素子12,13,14,15に金属膜2を介して対向するように、圧電素子112,113,114,115を設けたことを特徴とする。尚、実施の形態6では、圧電素子112,113,114,115にそれぞれ対応してパッド電極107を開口部内に設けている。以上のように構成された実施の形態6の圧電検出素子は、金属膜2を介して対向して2つの圧電素子を形成し、その2つの圧電素子から出力される信号の合計した信号を検出信号として処理できるので、検出感度を向上させることができる。
【0047】実施の形態7.本発明に係る実施の形態7の圧電検出素子は、図9に示すように作用体6に副作用体32を設けたことを特徴とする。本実施の形態7は、圧電素子12〜15等を実施の形態1と同様に形成した後、以下のようにして作用体6及び副作用体32を形成する。まず、基板1の上部電極膜2が形成されていない側に給電層となる金膜を室温にて0.1μm成膜し、該金膜上に作用体Cの形状に開口するようにレジストを形成する。次に、電解メッキにより金を20μmメッキした後、レジストとレジストの下に位置する給電層をアセトンにより除去することにより、略20μmの金からなる作用体32を形成する。次に、作用体32を形成した面にから実施の形態1と同様に7%のKOH溶液にてシリコンエッチングを行うことにより図9に示す作用体32を備えた作用体6を形成する。尚、配線5、パット電極7の形成は実施の形態1と同様の方法で形成する。本実施の形態において、副作用体として高密度な金属を作用体6に付加することにより同一の加速度においても大きな作用を圧電膜3に印加させることが可能となり感度を向上させることができる。
【0048】実施の形態8.本発明に係る実施の形態8の圧電検出素子は、磁気センサであって、実施の形態7において、図10に示すように副作用体32に代えて、磁性体33を形成したことを特徴とする。本実施の形態7は、圧電素子12〜15等を実施の形態1と同様に形成した後、以下のようにして作用体6及び磁性体33を形成する。まず、基板1の金属膜2が形成されていない側に、磁性体33となるネオジ鉄ボロン(元素組成比、Nd:Fe:B=0.15:1.0:0.15)をDCマグネトロンスパッタにより20μm成膜する。次に、レジストを用いて、作用体32を形成した面にから実施の形態1と同様に7%のKOH溶液にてシリコンエッチングを行うことにより図10に示すように開口部100と作用体33を備えた作用体6を形成する。尚、他の工程は実施の形態7と同様である。
【0049】以上のように構成することにより、磁界下において、磁性体33に働く電磁力により金属膜2を変形させることができ、圧電膜の屈曲による圧電効果を検出することにより磁界の強さと方向を検出することができる。尚、本実施の形態8において、磁性体としては鉄、コバルト、ニッケルを主元素とした軟磁性体、或いは、ネオジ鉄ボロン以外のサマリウムコバルト、アルニコ、フェライト等を用いることができ、この場合も同様に、磁界変動に伴う変形を圧電膜により検出することができる。
【0050】実施の形態9.本発明に係る実施の形態9の圧電検出素子は、圧電素子12,13,14,15等からなる検出部分に加え、図11に示すように信号制御回路及び駆動回路部からなる制御回路34を基板1内に一体的に形成したことを特徴とする。尚、この制御回路34は例えば、CMOSプロセスとバルクマイクロマシニングプロセスを用いて形成することができる。このように構成することにより、制御回路を含む圧電検出素子を小型軽量に構成できる。尚、実施の形態9では、制御回路を圧電素子部に隣接する構成としたが、制御回路を作用体内に形成するようにしてもよい。
【0051】実施の形態10.本発明に係る実施の形態10の圧電検出素子は、図12に示すように、実施の形態9の圧電検出素子において、磁性体33の周りにコイル35を設けた、自己機能検証機構付き磁気センサである。すなわち、本実施の形態10の圧電検出素子は、コイル35に交流磁界を印加して圧電効果を検出することにより自己で機能検証することができる。しかしながら、本発明では、コイル35を設けることなく機能を検証するようにしてもよい。例えば、加速度センサとして使用する際は、予め圧電膜3の両面に交流電圧を印加して圧電効果を検出することにより、機能検証でき、磁界センサとして使用する際には、予め圧電膜3の両面に交流電圧を印加して圧電効果を検出することによっても、簡易的に機能検証するようにしてもよい。
【0052】変形例.以上の実施の形態ではそれぞれ、エアーブリッジ配線により、電極4とパッド電極とを接続するようにしたが、本発明はこれに限られるものではない。その一例を挙げると、例えば、以下のような簡便な方法を用いてもよい。すなわち、金属膜2を形成した後、金属膜2の全面に圧電膜を形成して、さらに、上部電極膜4、配線5、パット7となる1μm厚の金膜を室温でスパッタ成膜する。次に、図13に示すように電極4、配線501、および、パット701が連結した形状に金膜およびPTO膜をフォトレジストを用いた湿式エッチングにより成形する。この時、金膜をエッチングするためのエッチ液及び、PTOをエッチングするためのエッチ液は、実施の形態1と同様のものを用いることができる。このように、金属膜2上に電極4、配線501、および、パット701を一体で、かついずれも圧電膜を介して形成することにより、配線及びパッド電極を形成する工程を極めて簡略化できる。
【0053】以上の各実施の形態では、金属膜2上に圧電素子をX軸、Y軸の各方向に2個配置した構成となっているが、本発明はこれに限らず、各軸上に2つ以上設けるようにしてもよい。この場合、圧電素子の個数は偶数であることが好ましく、かつ作用体が概ね原点に対して対称であることがさらに好ましい。以上のように構成しても実施の形態1と同様の検出特性を高い感度で得ることができる。尚、本発明では、例えば、限られた一定の方向の加速度等の物理量の大きさのみを検出する場合は、金属膜2上に少なくとも1つの圧電素子を形成すればよい。また、方向が2次元に限られる場合は、X軸又はY軸のいずれか1つの方向に少なくとも2つの圧電素子を形成すれば、加速度等の物理量を限られた一平面内における方向と大きさを検出することができる。
【0054】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係る圧電検出素子は、上記基板の上記開口部に設けられた金属膜に、作用体と圧電膜とを備え、従来例のように可撓性基板を用いることなく、上記金属膜を直接変形させているので、小さな作用で上記金属膜及び圧電膜を変形させることができ、極めて小型軽量にできる。また、本発明に係る圧電検出素子は、IC等と同様な製造プロセスを利用して製造可能なため、量産に適している。
【0055】また、本発明の圧電検出素子では、上記圧電膜が、第1軸上に上記原点に対して略対称に設けられた少なくとも2つの第1圧電膜を含むことにより、少なくとも2次元的に変化する方向と大きさを有する物理量の方向と大きさを検出することができる。
【0056】さらに、上記圧電検出素子では、上記第1圧電膜のうち上記原点に対して一方の側に設けられた第1圧電膜を上記金属膜上に直接形成し、かつ他方の側に設けられた第1圧電膜を、上記金属膜上に絶縁膜を介して形成された電極上に形成することにより、一方の側に設けられた第1圧電膜と他方の側に設けられた第1圧電膜との電極を互いに分離でき、例えば、製造ばらつきによる一方の側と他方の側にある圧電膜間の特性ばらつき補償して検出することができるので、検出精度を向上させることができる。
【0057】また、本発明の圧電検出素子では、上記圧電膜がさらに、上記開口部の略中央に位置する原点を通る第2軸上に上記原点に対して略対称に設けられた少なくとも2つの第2圧電膜を含むことにより、3次元的に変化する方向と大きさを有する物理量が印加されたときに、その方向と大きさを検出することができる。
【0058】上記圧電検出素子では、上記第1圧電膜のうち一方の側の第1圧電膜を上記金属膜上に直接形成し、かつ他方の側の第1圧電膜を、上記金属膜上に絶縁膜を介して形成された電極上に形成し、さらに上記第2圧電膜についても同様に形成することにより、一方の側と他方の側にある圧電膜間の特性ばらつき補償して検出することができるので、極めて精度のよい検出が可能になる。
【0059】また、本発明の圧電検出素子では、上記第1軸と上記第2軸とが上記原点において直交させることにより、物理量の方向と大きさとを効率的にかつ精度良く検出できる。
【0060】さらに、本発明の圧電検出素子では、上記圧電膜を上記金属膜の一方の主面側に設けかつ上記作用体を上記金属膜の他方の主面側に設けるようにすることにより、素子の製造を容易にできる。
【0061】また、本発明の圧電検出素子では、上記圧電膜と上記作用体とを上記金属膜の同一面側に設けることにより、素子を薄くできる。
【0062】また、本発明の圧電検出素子において、上記圧電膜が上記金属膜を介して対向するように上記金属膜の一方の主面側と他方の主面側とに設けることにより、対向して設けられた2つの圧電膜からの信号を加算して出力できるので、検出感度を向上させることができる。
【0063】また、本発明の圧電検出素子では、上記作用体を2以上備えることにより、検出感度を向上させることができる。
【0064】さらに、本発明の圧電検出素子では、上記作用体を少なくとも1つの圧電膜上に電極を介して形成することにより、その作用体が占める面積だけ小型にできる。
【0065】上記圧電検出素子では、上記作用体を上記圧電膜の中心からずらして形成することによって、該圧電膜の変形を大きくすることができ、検出感度を向上させることができる。
【0066】また圧電膜上に電極を介して作用体を形成する場合、製造工程を簡単にするために上記作用体と上記電極と一体で形成することにより、製造工程の簡略化がはかれる。
【0067】また、本発明の圧電検出素子では、上記作用体を互いに質量の異なる2以上の部分から構成することにより、検出する物理量に対応して、作用体の質量を適切な値に比較的自由に設定でき、設計の自由度が向上する。
【0068】また、本発明の圧電検出素子では、上記圧電膜上に形成された電極とパッド電極との間の接続をエアーブリッジ配線することにより、上記圧電膜の自由な変形を確保できかつ上記圧電膜に不必要な力がかかるのを防止できるので、検出感度を高くできしかも信頼性を高くできる。
【0069】また、本発明の圧電検出素子では、上記基板と上記金属膜及び上記作用体と上記金属膜とをそれぞれ、接着層を介して固定することにより、信頼性を高くできる。
【0070】また、本発明の圧電検出素子ではさらに、検出部分を覆う容器を備えることにより信頼性を高くできる。
【0071】また、本発明の圧電検出素子では、チタン酸鉛、ジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸バリウム、酸化シリコン、タンタル酸リチウム及びニオブ酸リチウムからなる群から選ばれた少なくとも1種を主成分として含む圧電材料を用いて上記圧電膜を形成することにより、感度のよい検出素子を実現できる。
【0072】また、本発明の圧電検出素子では、金、白金、パラジウム、ルテニウム及びイリジウムからなる群から選ばれた少なくとも1種を主成分として含も金属を用いて上記金属膜を形成することにより、比較的結晶軸がそろった圧電膜を形成でき、その圧電特性を有効に利用できる。
【0073】この場合、上記金属膜が、チタン、クロム、タンタル、バナジウム及びニオブからなる群から選ばれた少なくとも一種を含む層からなる接着層を介して基板に固定されることにより、信頼性を高くできる。
【0074】また、本発明の圧電検出素子では、シルコン、ガリウム砒素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び酸化ジルコニウムからなる群から選ばれた少なくとも一種を主成分として含む基板を用いることにより、容易に製造できかつ素子の信頼性を高くできる。
【0075】また、本発明の圧電検出素子では、上記作用体として磁性体を用いることにより、磁気センサを構成できる。
【0076】さらに、上記圧電検出素子において、作用体として、ネオジウム鉄ボロン、サマリウムコバルト、アルニコ、フェライトからなる群から選ばれた少なくとも一種以上の永久磁石を主成分として含む磁性体を用いて形成することにより、感度のよい磁気センサを作成できる。
【0077】また、本発明の圧電検出素子では、上記基板上に制御回路を一体で形成することにより、制御回路を備えた極めて小型の圧電検出素子が作成できる。
【0078】さらに、本発明の圧電検出素子において、上記作用体の少なくとも1部として形成された磁性体と、上記作用体の回りに設けられたコイルとを備えることにより、上記磁性体と上記コイルとの間の電磁誘導による信号を用いて検出機能を検証する機能を付加することができ、高い信頼性を確保できる。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
【公開番号】 特開平11−271351
【公開日】 平成11年(1999)10月8日
【出願番号】 特願平10−70273