| 【発明の名称】 |
風向・風速測定方法及び装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】廣口 正之
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、大気の風向・風速を連続的にかつ簡易・安価に測定することの可能な風向・風速測定方法及び装置を提供する。
【解決手段】レーザービーム21を所定時間間隔で周期的にパルス状に発射しつつこのレーザー光を円錐状に走査して大気上方に向けて照射し、大気からの反射光をコニカルスキャン装置2により受光する。受光した反射光を用いて、計測装置4内で同一高度及び方向に対応する反射光データを時系列上に揃え、同一高度上の複数の反射光データの間で相関演算を行ってこれら反射光データ間の位相差を求め、この位相差に基づいて大気の風向・風速を測定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 レーザー光を円錐状に走査して大気上方に向けて発射し、前記大気からのレーザー光の反射光を受光し、前記反射光の相関を取ることで反射光間の時間的位相関係を演算し、この反射光間の時間的位相関係から前記大気の風向・風速を測定することを特徴とする風向・風速測定方法。 【請求項2】 レーザー光を所定時間間隔で周期的にパルス状に発射しつつこのレーザー光を円錐状に走査して大気上方に向けて照射し、前記大気からのレーザー光の反射光を受光して同一高度及び方向に対応する前記反射光データを時系列上に揃え、前記時系列上に揃えられた同一高度上の複数の前記反射光データの間で相関演算を行ってこれら反射光データ間の位相差を求め、この位相差に基づいて前記大気の風向・風速を測定することを特徴とする風向・風速測定方法。 【請求項3】 前記位相差から最小二乗法を用いて前記大気の風向・風速を求めることを特徴とする請求項2記載の風向・風速測定方法。 【請求項4】 レーザー光を円錐状に走査して大気上方に向けて発射するレーザー光送出手段と、前記レーザー光送出手段により発射されたレーザー光の前記大気からの反射光を受光するレーザー光受光手段と、前記レーザー光受光手段が受光した反射光の相関を取ることで反射光間の時間的位相関係を演算する相関演算手段と、前記相関演算手段で得られた反射光間の時間的位相関係から前記大気の風向・風速を測定する風向・風速測定手段とを備えることを特徴とする風向・風速測定装置。 【請求項5】 レーザー光を所定時間間隔で周期的にパルス状に発射しつつこのレーザー光を円錐状に走査して大気上方に向けて照射するレーザー光送出手段と、前記レーザー光送出手段により照射されたレーザー光の前記大気からの反射光を受光するレーザー光受光手段と、前記レーザー光受光手段が受光した反射光を用いて、同一高度及び方向に対応する前記反射光データを時系列上に揃え、同一高度上の複数の前記反射光データの間で相関演算を行ってこれら反射光データ間の位相差を求める相関演算手段と、前記相関演算手段で得られた位相差に基づいて前記大気の風向・風速を測定する風向・風速測定手段とを備えることを特徴とする風向・風速測定装置。 【請求項6】 前記風向・風速測定手段は、前記位相差から最小二乗法を用いて前記大気の風向・風速を求めることを特徴とする請求項5記載の風向・風速測定装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光を用いて大気の風向・風速を測定する風向・風速測定方法及び装置に関する。 【0002】 【従来の技術】風向・風速は、大気の状態を知る上で貴重な情報であるが、地表面を離れた大気上方の風向・風速を測定することは容易でなく、従来は、主にラジオゾンデで計測していた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ラジオゾンデの計測は、費用や手間がかかることから、1日に数回が限度であった。 一方、レーザレーダは、大気中のNOxやSOxなどの微量成分を計測するのに用いられてきた。そして、レーザレーダにおけるコニカルスキャンは、観測域を空間的に拡げることを目的に装備されてきた。 【0004】本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、大気の風向・風速を連続的にかつ簡易・安価に測定することの可能な風向・風速測定方法及び装置を提供する点にある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、レーザー光を円錐状に走査して大気上方に向けて発射し、大気からのレーザー光の反射光を受光し、反射光の相関を取ることで反射光間の時間的位相関係を演算し、この反射光間の時間的位相関係から大気の風向・風速を測定することを特徴とする風向・風速測定方法に存する。 【0006】また、本発明の要旨は、レーザー光を円錐状に走査して大気上方に向けて発射するレーザー光送出手段と、レーザー光送出手段により発射されたレーザー光の大気からの反射光を受光するレーザー光受光手段と、レーザー光受光手段が受光した反射光の相関を取ることで反射光間の時間的位相関係を演算する相関演算手段と、相関演算手段で得られた反射光間の時間的位相関係から前記大気の風向・風速を測定する風向・風速測定手段とを備えることを特徴とする風向・風速測定装置に存する。 【0007】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態である風向・風速測定装置の概略構成を示す図である。この図において、レーザ装置1は、レーザビームを発生し、これをコニカルスキャン装置2に入力する。コニカルスキャン装置2は、入力したレーザビームを光学的に円錐状に走査し、大気上方に向かって円錐表面を回転するレーザビーム21を生成する。レーザビーム21の反射波は、コニカルスキャン装置2で光学的に分離され、検出器3に入り、電気信号に変換される。この電気信号は、計測装置4に入力されて、さらにディジタル信号に変換され、以後の計算処理に用いられる。 【0008】次に、図1〜図7を参照して、本実施形態の風向・風速測定装置の動作について説明する。レーザ装置1は、所定時間間隔でパルス状のレーザビームを発生し、これをコニカルスキャン装置2に入力する。コニカルスキャン装置2は、入力したレーザビームを光学的に円錐状に走査し、大気上方に向かって円錐表面を回転するレーザビーム21を生成する。このとき、レーザビームのパルス繰返し周波数と、コニカルスキャンの円錐の回転周波数の比で1周上に何点の観測点が得られるかが決定される。例えば、レーザビームのパルスが1秒間に12回で、コニカルスキャンが1秒間に2回転すれば、1周上には、12/2=6 で、6個の観測点が得られる。 【0009】なお、ここにいう観測点とは、同一高度において上述のレーザビーム21がどの位置において反射されたかという点に等しく、幾何学的には、レーザビーム21が回転される円錐表面を当該高度で切断した断面外周(円周)上に位置する。 【0010】レーザビーム21の反射波は、コニカルスキャン装置2で光学的に分離され、検出器3に入り、電気信号に変換される。この電気信号は、計測装置4に入力されて、さらにディジタル信号に変換され、以後の計算処理に用いられる。 【0011】図2はレーザビーム21及びその反射波の強度を時間軸上に並べた図の一例であり、上述のレーザビームのパルス繰り返し周波数で定まる所定時間間隔でレーザビーム21が照射され、その反射波がコニカルスキャン装置2で受光される。レーザビーム21の1パルスに対応する反射波は、大気の散乱強度、レーザの透過率などから、1つの方向の高度成分で一例として約100mから3000mの成分を持っている。さらに、連続したパルスは、次々に異なる方向を向いたものである。先ほどの例では、6つの方向が順番に現れる。 【0012】なお、微視的に考えれば、光速が有限であることからレーザビーム21の1パルスに対応する上述の観測点は一直線上に並ばず、円錐表面上に螺旋を描くことになる。従って、レーザビーム21の1パルスからの反射波は同一の方向から反射され受光されたものではない。しかし、以下の説明では説明の簡略化のために同一パルスの反射波は同一方向から反射されたものとして取り扱うことにする。当然、光速を考慮すれば厳密な観測点=反射点を算出することはでき、最終的に風向・風速を算出する際にはこの厳密な観測点に基づいて演算を行えばよい。 【0013】この反射波データを、計測装置4において同一高度、同一方向のデータにそろえて時系列に並べる。図3は、同一高度(仮にHとする)及び同一方向(仮にNとする)からの反射波データを時系列上に並べたものの一例である。 【0014】すると、同一高度で、方向だけが異なる時系列データが、方向の数だけ得られるので、この時系列データ同士の畳み込み積分(コンボリューション)による相関演算を行う。すると、相関結果として、相関強度と、位相のずれがそれぞれの方向とそれ以外の方向の間で求められる。図4は、同一高度Hで異なる方向(仮にN、Mとする)の2つのデータ同士の畳み込み積分による相関演算を行った結果を模式的に図示した一例である。方向MのデータのピークがΔt(秒)遅れて方向Nに現れていることが相関演算の結果からわかる。一般的には、この時間遅れは相関演算結果の位相差として表される。 【0015】これは、原理的には、大気中の観測物質の濃度分布がある程度の固まりを持っているので、ある方向の観測点に観測された観測物質が、風によっていずれかの方向の観測点に運ばれるために、各観測点間の観測値に関連が出てくる、との仮説に基づいている。 【0016】当然、運ばれていく間に観測物質の拡散が起きたり、風が一様で無かったり、という原因のために観測値の相関は、誤差を含んだものになる。しかし、この誤差は、観測結果に最も良く一致する風向、風速を最小二乗法で求めることによって、減少させることができる。 【0017】最小二乗法による風向・風速の算出方法の一例を示す。図5に示すように、相関演算を行った2つの観測点間が(Dnx,Dny)だけ離れており、風速(Vx,Vy)を有する風が吹いていたとすると、上述の位相差Δtnは次式で与えられるものと仮定する。 【数1】
この式は厳密ではないが、観測物質の濃度分布がある程度の大きさを持つため、直接の風向の範囲でなくても相関があると考える。その上で、全ての相関演算から求められる値から、次式の値が最小値を取るVx,Vyを求める。 【数2】
そして、求められたVx,Vyから次式により風向、風速を求める。 【数3】
【0018】最小二乗法による風向・風速の算出方法の他の例を示す。図6に示すように観測物質の境界が直線状になっていると仮定すると、この境界は【数4】ax+by=c(a,b,cは全て定数) という式で表される。風によりこの観測物質が移動すると言うことは、上記式において定数cが変化していることに相当する。観測点(x1,y1)から観測点(xn,yn)までの距離をDnとすると、このDnは次式で与えられる。 【数5】
Dn/v(風速)=Δtnであるから、v=Dn/Δtnである。従って、次式の値が最小となるa,b,vを求める。 【数6】
【0019】上述の最小二乗法の演算のためには、誤差がなければ最低3方向の観測点で風向風速が計算できるところを、4から6方向程度の観測点とすることが望ましい。但し、相関演算は方向の数の2乗にほぼ比例して増大する(方向の数をNとすると、N・(N−1)/2個の相関演算が必要となる)ので、むやみに増やすことは計算時間の制約上、困難である。 【0020】以上の動作の流れを図7に示すフローチャートのステップS1〜S6にまとめる。また、図8は、本実施形態による風向・風速測定結果のイメージを示す図である。 【0021】なお、コニカルスキャンの中心軸からの傾き角は、観測物質の濃度分布の大きさ(固まりの程度)と観測高度で決まり、次式で与えられる。 【数7】(コニカルスキャンの傾き角)<arctan((濃度分布の大きさ)/(観測高度)) ここに、濃度分布の大きさは観測結果等から推定され、一例として10m〜100m程度である。また、観測高度は、一例として100m〜3000mである。コニカルスキャンの傾き角は大きくても小さくても相関強度を低める結果になるため、実際に観測したい高度と実際の濃度分布の大きさとを考慮して観測値から決定すればよい。 【0022】また、時間軸の長さは、少なくとも観測高度における各観測点間を、標準的な風速で観測物質が通過する時間以上にする必要がある。しかし、あまり長くすると風向・風速が時間の経過につれて変化するために不正確な観測値となってしまう。 【0023】さらに、観測物質として計測可能なものとしては、エアロゾル、水蒸気(雲を含む)、大気汚染気体、大気微量成分、中間圏金属原子層等が挙げられる。 【0024】以上説明したように、本実施形態による第1の効果は、大気上方の風向・風速を、連続的かつ高い頻度で計測できる点にある。その理由は、レーザレーダを用いて、地上から計測できるからである。第2の効果は、1回の計測の費用が比較的安価になる点にある。その理由は、ラジオゾンデ等と異なり、消耗品が無いからである。 【0025】なお、本実施の形態においては、本発明は上述の装置に限定されず、本発明を適用する上で好適な風向・風速測定装置に適用することができる。例えば、畳み込み積分の替わりに、フーリエ変換を用いて周波数領域で乗算を行う装置にも適用することができる。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。 【0026】 【発明の効果】本発明は以上のように構成されているので、大気の風向・風速を連続的にかつ簡易・安価に測定することの可能な風向・風速測定方法及び装置を実現することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000232221 【氏名又は名称】日本電気航空宇宙システム株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月20日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】堀 城之
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| 【公開番号】 |
特開平11−271350 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月8日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−90668 |
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