| 【発明の名称】 |
力学量センサ及びその検査方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】加納 一彦
【氏名】藤田 真紀子
|
| 【要約】 |
【課題】検出感度の調整並びに動作チェックを、いかなる状況下でも簡単に行い得るようにすること。
【解決手段】アンカー部3に対し梁部4及び5を介して支持されたおもり可動電極6は、その外周面が検出面6aとなっている。感度調整用固定電極7〜14は、おもり可動電極6を包囲した形態で等間隔配置され、検出面6aとの対向面を電極面7a〜14aとしている。検出用固定電極15〜22は、感度調整用固定電極7〜14の各間の位置に、おもり可動電極6を包囲した形態で等間隔配置される。通常の使用モードでは、電源37の可変出力電圧VR を感度調整用用固定電極7〜14とおもり可動電極6との間に感度調整用端子34を通じて印加する状態とされる。動作状態の検査モードでは、可変出力電圧VR を感度調整用用固定電極7、8とおもり可動電極6との間に検査用端子36を通じて印加する状態とされる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持基板と、この支持基板上に固定されたアンカー部と、一端が前記アンカー部に連結されて前記支持基板の表面と平行する方向へ弾性変形可能に設けられた梁部と、前記支持基板に対して垂直な方向のほぼ円柱状側面から成る検出面を有し、前記梁部の自由端側に一体に連結されることにより、前記支持基板上に当該支持基板の表面と所定間隔を存し、且つ力学量の印加に応じて支持基板と平行な方向へ変位するように保持されたおもり可動電極と、前記支持基板上に前記おもり可動電極を包囲した状態で設けられ、当該おもり可動電極の検出面と所定間隔を存して対向するように分散配置された複数の検出用固定電極と、前記支持基板上における前記複数の検出用固定電極間の位置に当該検出用固定電極と電気的に絶縁した状態で設けられ、前記おもり可動電極の検出面と所定間隔を存して対向する電極面を備えた複数の感度調整用固定電極と、前記おもり可動電極が有する検出面と前記検出用固定電極との間の距離変化に基づいて前記印加力学量を検出する検出手段と、前記感度調整用用固定電極の全部と前記おもり可動電極との間に電位差を付与できるように構成された感度調整用端子と、前記感度調整用用固定電極のうち所定個数の一部の電極と前記おもり可動電極との間に電位差を付与できるように構成された検査用端子とを備えたことを特徴とする力学量センサ。 【請求項2】 前記全部の感度調整用用固定電極と前記おもり可動電極との間に、前記感度調整用端子を通じて所定レベルの電位差を付与すると共に、前記所定個数の一部の感度調整用用固定電極と前記おもり可動電極との間に、前記検査用端子を通じて所定レベルの電位差を付与するための電源を内蔵したことを特徴とする請求項1記載の力学量センサ。 【請求項3】 前記おもり可動電極は、環状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の力学量センサ。 【請求項4】 請求項3記載の力学量センサにおいて、前記環状のおもり可動電極を、その外周面に前記検出面を備えた構成とした上で、前記アンカー部を前記おもり可動電極の内側に配置し、前記検出用固定電極及び感度調整用固定電極を前記おもり可動電極の外側に配置したことを特徴とする力学量センサ。 【請求項5】 請求項3記載の力学量センサにおいて、前記環状のおもり可動電極を、その内周面に前記検出面を備えた構成とした上で、前記アンカー部を前記おもり可動電極の外側に配置し、前記検出用固定電極及び感度調整用固定電極を前記おもり可動電極の内側に配置したことを特徴とする力学量センサ。 【請求項6】 前記おもり可動電極が有する検出面と前記検出用固定電極及び感度調整用固定電極との間の各距離は、当該おもり可動電極に力学量が印加されていない状態でほぼ均一に保たれていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の力学量センサ。 【請求項7】 前記検出手段は、前記おもり可動電極が有する検出面と前記検出用固定電極との接触を検出することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の力学量センサ。 【請求項8】 請求項7記載の力学量センサにおいて、前記検査用固定電極は、前記おもり可動電極の検出面との対向部分に当該検出面方向へ突出した接点用突起を備えた構成とされていることを特徴とする力学量センサ。 【請求項9】 支持基板と、この支持基板上に固定されたアンカー部と、一端が前記アンカー部に連結されて前記支持基板の表面と平行する方向へ弾性変形可能に設けられた梁部と、前記支持基板に対して垂直な方向のほぼ円柱状側面から成る検出面を有し、前記梁部の自由端側に一体に連結されることにより、前記支持基板上に当該支持基板の表面と所定間隔を存し、且つ力学量の印加に応じて支持基板と平行な方向へ変位するように保持されたおもり可動電極と、前記支持基板上に前記おもり可動電極を包囲した状態で設けられ、当該おもり可動電極の検出面と所定間隔を存して対向するように分散配置された複数の検出用固定電極と、前記支持基板上における前記複数の検出用固定電極間の位置に設けられ、前記おもり可動電極の検出面と所定間隔を存して対向する電極面を備えた複数の感度調整用固定電極と、前記おもり可動電極が有する検出面と前記検出用固定電極との間の距離変化に基づいて前記印加力学量を検出する検出手段とを備えた力学量センサおいて、前記感度調整用用固定電極のうち所定個数の一部の電極と前記おもり可動電極との間に所定レベルの電位差を付与することにより、前記おもり可動電極に対して静電気力に基づいた疑似的な力学量を作用させ、この状態で前記おもり可動電極が有する検出面と前記検出用固定電極との間の距離変化に基づいてセンサとしての動作状態を検査することを特徴とする力学量センサの検査方法。 【請求項10】 前記おもり可動電極に対して疑似的な力学量を作用させた状態で、当該おもり可動電極が有する検出面と前記検出用固定電極との接触を検出することによりセンサとしての動作状態を検査することを特徴とする請求項9記載の力学量センサの検査方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、加速度などの力学量を、アンカー部に対し梁部により支持されたおもり可動電極の変位に基づいて検出するようにした力学量センサ及びその検査方法に関する。 【0002】 【従来の技術】例えば、ガス用の流量メータに内蔵され、地震などの振動を感知したときにガス配管のバルブを閉塞する用途、或いは燃焼ストーブに内蔵され、地震などの振動を感知したときに炎及び燃料を断つ用途などに使用される加速度センサにあっては、二次元平面内における多方向の加速度をほぼ同一感度で検出できるように構成されたものが一般的になっている。このような加速度センサの一例としては、従来より、例えば特開平9−145740号公報に見られるような半導体加速度センサがある。 【0003】即ち、この半導体加速度センサは、支持基板上に固定されたアンカー部と、このアンカー部に梁部を介して連結されて上記支持基板の表面と平行な方向へ変位可能に設けられた環状のおもり可動電極と、このおもり可動電極を包囲するように配置された環状の固定電極とを備えた構成となっている。そして、所定レベルを越える加速度が作用したときには、おもり可動電極が変位して固定電極に接触する構成となっており、その接触状態の有無に応じて等方的に加速度を検出するようになっている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記従来構成の半導体加速度センサでは、そのセンサ自体に、検出感度の調整機能がなく、また、検出動作が正常に働くか否かを簡単に検査できる機能も存在しないため、力学量が作用したときに正常に検出動作が行われるか否かの動作チェックが困難になるばかりか、センサ製造工程終了後或いは製品に組み込んだ後において、感度調整を含む動作チェックなどの検査を簡単に行うことができないという問題点があった。勿論、製品として出荷された後における動作チェック(例えば自己診断)を行うことも不可能になるという問題点もあった。 【0005】そこで、本発明の第1の目的は、検出感度の調整並びに動作チェックを、いかなる状況下でも簡単に行い得るようになる力学量センサを提供することにあり、また、第2の目的は、力学量センサに対し力学量が作用したときに正常に検出動作が行われるか否かの動作チェックを、簡単な操作にて極めて容易に行い得るようになる力学量センサの検査方法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】請求項1記載の力学量センサによれば、アンカー部に対し梁部を介して支持されたおもり可動電極は、外部から支持基板の表面と平行する成分を含む力学量が印加されたときに、その支持基板の表面と平行な方向へ変位するようになり、これに応じておもり可動電極の検出面と検出用固定電極との間の距離が変化する。検出手段は、このようなおもり可動電極の検出面と検出用固定電極との間の距離変化に基づいて前記印加力学量を検出するようになる。この場合、上記検出面は、ほぼ円柱状側面により構成され、上記検出用固定電極は、おもり可動電極を包囲した状態で、そのおもり可動電極の検出面と対向するように分散配置されているため、外部から印加された力学量の方向の如何に関係なく、当該力学量の作用方向に対してほぼ同じ量だけ検出面及び検出用固定電極間の距離が変化するように構成できるものであり、これにより等方的に力学量を検出可能になる。 【0007】また、おもり可動電極の検出面と、これに対向するように設けられた感度調整用固定電極の電極面との間には、感度調整用端子を通じて電位差を付与できる構成となっているから、その電位差を変化させることによって、それら検出面及び電極面間に作用する静電気力の大きさを調整できるものであり、これによりセンサの検出感度の調整を高い精度で行い得るようになる。しかも、このような感度調整は、感度調整用端子を通じて電位差を付与するだけで行うことができるから、センサ製造工程終了後或いは製品に組み込んだ後など、いかなる状況下でも簡単に実施できるようになる。 【0008】さらに、感度調整用用固定電極のうち所定個数の一部の電極と前記おもり可動電極との間に、検査用端子を通じて電位差を付与した場合には、その一部の感度調整用固定電極の電極面とおもり可動電極の検出面との間に静電気力が作用するため、おもり可動電極に対して疑似的な力学量が作用することになる。従って、このように疑似的な力学量を作用させた状態で、検出手段による力学量検出動作を行うようにすれば、力学量が作用したときに正常に検出動作が行われるか否かの動作チェックを容易に行い得るようになる。しかも、このような動作チェックは、検査用端子を通じて電位差を付与するだけで行うことができるから、センサ製造工程終了後或いは製品に組み込んだ後など、いかなる状況下でも簡単に実施できるようになる。また、製品として出荷された後における動作チェック(例えば自己診断)も簡単に実施可能となる。 【0009】請求項2記載の力学量センサによれば、上記のような感度調整及び動作チェックに必要な電源を内蔵した構成となっているから、その感度調整及び動作チェックをさらに簡単に実施できるようになり、特に、製品として出荷された後における動作チェックを極めて簡単に実施できるようになる。 【0010】請求項3記載の力学量センサによれば、おもり可動電極が環状に形成されているから、その内側及び外側領域を有効に使用することができ、全体の面積を減少させることができる。 【0011】請求項4記載の力学量センサによれば、アンカー部が環状のおもり可動電極の内側に配置される構成であるから、そのアンカー部の配置のために別途に特別な領域を用意する必要がなくなり、全体の面積を減少させることができる。請求項5記載の力学量センサによれば、検出用固定電極及び感度調整用固定電極が環状のおもり可動電極の内側に配置される構成であるから、各固定電極の配置のために別途に特別な領域を用意する必要がなくなり、全体の面積を減少させることができる。 【0012】請求項6記載の力学量センサによれば、おもり可動電極に力学量が印加されていない状態では、当該おもり可動電極の検出面と検出用固定電極及び感度調整用固定電極との間の各距離がほぼ均一に保たれるから、力学量が支持基板の表面とほぼ平行な方向のいずれから印加された場合でも、検出面と検出用固定電極及び感度調整用固定電極との間の距離変化量が印加力学量の大きさに対してほぼ同じレベルとなるものであり、結果的に、等方的な力学量検出を確実に且つほぼ同一感度で行い得るようになる。 【0013】請求項7記載の力学量センサによれば、検出手段は、おもり可動電極の検出面と検出用固定電極との接触を検出する構成となっているから、所定レベル以上の力学量が印加された状態を確実に検出できるようになる。 【0014】請求項8記載の力学量センサによれば、前記複数の検査用固定電極におけるおもり可動電極の検出面との対向部分に当該検出面方向へ突出した接点用突起を設ける構成としているから、おもり可動電極が変位したときに、その検出面が検査用固定電極以外の部分に接触する恐れがなくなり、結果的に検出精度の低下を未然に防止できることになる。 【0015】請求項9記載の力学量センサの検査方法によれば、センサとしての動作状態を検査する場合には、感度調整用用固定電極のうち所定個数の一部の電極と前記おもり可動電極との間に所定レベルの電位差を付与することにより、前記おもり可動電極に対して静電気力に基づいた疑似的な力学量を作用させ、この状態で前記おもり可動電極が有する検出面と前記検出用固定電極との間の距離変化を検出することになる。従って、力学量センサにおいて、力学量が作用したときに正常に検出動作が行われるか否かの動作チェックを、上記のように電位差を付与するだけの簡単な操作によって極めて容易に行い得るようになる。 【0016】請求項10記載の力学量センサの検査方法によれば、センサとしての動作状態を検査を、おもり可動電極に対して疑似的な力学量を作用させた状態で、当該おもり可動電極が有する検出面と検出用固定電極とが接触したか否かに基づいて行うようにしているから、動作状態の良否判定を確実に行うことができて、その検査の信頼性が高まるようになる。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明を半導体加速度センサに適用した一実施例について図面を参照しながら説明する。図3は半導体加速度センサの横断面図、図4は図3中のA−A線での摸式的な断面図である。図3及び図4において、力学量センサとしての半導体加速度センサ(以下、単に加速度センサと呼ぶ)1は、基本的には、それぞれ単結晶シリコンより成る支持基板2、アンカー部3、同一形状に形成された例えば2本の梁部4及び5、おもり可動電極6、例えば8個の感度調整用固定電極7〜14、同じく例えば8個の検出用固定電極15〜22を備えたスイッチ形式のセンサとして構成されている。尚、これら各電極33〜40、41〜48は同一の材質であるが、上記図3並びに後述する図1、図2では図面の視認性を配慮してそれぞれ異なるハッチングを施した。 【0018】アンカー部3は、円柱形状に形成されたもので、支持基板2上の中央部に、後述する支持アンカー23aなどを介して固定されている。梁部4及び5は、その平面形状が互いにオーバーラップする部分を有したスパイラル形状に形成されたもので、各一端が、アンカー部3の周壁における点対称位置に一体に連結され、以て支持基板2の表面とほぼ平行する方向へ延出した形態に支持されている。この場合、梁部4及び5は、その縦断面形状の横方向寸法に対する縦方向寸法の比が十分に大きく設定されており、以て支持基板2の表面とほぼ平行する方向へ弾性変形可能に構成されている。 【0019】おもり可動電極6は、環状(短円筒形状)に形成されたもので、その内周面が前記梁部4及び5の自由端側に一体に連結されることによって、支持基板2上に当該支持基板2の表面と所定間隔を存して平行し、且つ力学量である加速度の印加に応じて支持基板2と平行な二次元平面方向へ自由に変位するように保持されている。この場合、おもり可動電極6は、その円筒状外周面、つまり支持基板2に対して垂直な方向のほぼ円柱状側面を検出面6aとしている。 【0020】感度調整用固定電極7〜14は、支持基板2上に図示しない支持アンカーなどを介して固定されたものある。この感度調整用固定電極7〜14は、それら全体の形状として、おもり可動電極6に対応した領域を円柱形状にくりぬくと共に、検出用固定電極15〜22に対応した領域を矩形状にくりぬいた状態とされており、おもり可動電極6を包囲した形態で等間隔配置されている。この場合、各感度調整用固定電極7〜14は、おもり可動電極6の検出面6aとの対向面を電極面7a〜14aとしており、これら電極面7a〜14aは、上記検出面6aとの各対向面積が互いに等しくなるように設定されている。 【0021】検出用固定電極15〜22は、支持基板2上に後述する支持アンカー23bなどを介して固定されたものある。この検出用固定電極15〜22は、感度調整用固定電極7〜14の各間に形成された矩形状部分に位置されるものであり、これによりおもり可動電極6を包囲した形態で放射状に等間隔配置されている。この場合、検出用固定電極15〜22と感度調整用固定電極7〜14との間には、それらを互いに電気的に分離するための膜或いは空隙が形成されている。また、検出用固定電極15〜22における前記検出面6aとの対向部分には、当該検出面6a方向へ突出した接点用突起15a〜22aが一体的に形成されている。これにより、接点用突起15a〜22aは、上記検出面6aと対向するように環状に分散配置された状態となっている。 【0022】この場合、上記検出面6aと接点用突起15a〜22aとの間の距離、並びに検出面6aと電極面7a〜14aとの間の距離は、おもり可動電極6に加速度が印加されていない状態でほぼ均一な状態となるように保たれている。また、上記アンカー部3、梁部4及び5、おもり可動電極6、感度調整用固定電極7〜14及び検出用固定電極15〜22には、少なくともその表面にリンなどの不純物を導入したり、或いは表面に導電性の材料を蒸着やメッキなどの手段により成膜することによって、それらの抵抗率を引き下げるようにしている。 【0023】図5ないし図11には加速度センサ1の製造工程が摸式的に示されており、以下これについて図4も参照しながら説明する。まず、図5に示すように、単結晶シリコン基板24を用意し、この単結晶シリコン基板24に対しトレンチエッチングによりアライメント用の溝24aを形成する。その後、溝24aを含む単結晶シリコン基板24上の全域に犠牲層用薄膜としてのシリコン酸化膜25をCVD法などにより成膜する。 【0024】次に、図6に示すような状態まで加工する。具体的には、まず、シリコン酸化膜25上に、犠牲層エッチングの際にエッチングストッパとなるシリコン窒化膜26を成膜する。そして、このシリコン窒化膜26とシリコン酸化膜25との積層体に対し、フォトリソグラフィを経てドライエッチングなどを施すことにより、前記アンカー部3及び検出用固定電極15〜22のための支持アンカー23a及び23b、並びに前記感度調整用固定電極7〜14のための図示しない支持アンカーの形成領域に対応した形状の開口部を形成する。この後、シリコン窒化膜26上に上記開口部を埋めるようにしてポリシリコン薄膜27を成膜すると共に、その成膜中または成膜後に当該ポリシリコン薄膜27に対しリン拡散などにより不純物を導入することにより導電性を持たせる。さらに、ポリシリコン薄膜27をフォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることによって、支持アンカー23a、23b及び感度調整用固定電極7〜14のための図示しない支持アンカーの基部パターン、最終的におもり可動電極6に下方から対向された形態となる環状の下部電極28、並びにその下部電極28と支持アンカー23aの基部パターンとの間を繋ぐための図示しない配線パターンを形成する。これにより、おもり可動電極6と下部電極28とは、互いに電気的に接続された状態(つまり等電位状態)となる。 【0025】この後には、図7に示すように、シリコン窒化膜26及びポリシリコン薄膜27を覆うようにしてシリコン窒化膜29を成膜する。さらに、図8に示すように、シリコン窒化膜29上に絶縁分離膜として機能するシリコン酸化膜30を成膜すると共に、そのシリコン酸化膜30上に貼り合わせ用薄膜としてのポリシリコン薄膜31を成膜し、このポリシリコン薄膜31の表面を化学的機械研磨などにより平坦化する。 【0026】次に、図9に示すような状態まで加工する。具体的には、まず、単結晶シリコンより成る支持基板2を用意して、この支持基板2の表面並びに単結晶シリコン基板24側のポリシリコン薄膜31の表面に親水化処理を施し、両者を親水化処理面で貼り合わせる。次いで、それら単結晶シリコン基板24及び支持基板2の一体物を表裏逆にして、単結晶シリコン基板24側に化学的機械研磨などを施すことにより当該単結晶シリコン基板24を薄膜化する。この際、単結晶シリコン基板24に予めトレンチエッチングしておいた溝24a内のシリコン酸化膜25を研磨の終了検知のための研磨ストッパとして機能させることができる。尚、上記支持基板2の材料には高品位の単結晶シリコン基板を用いる必要がないものである。 【0027】この後には、図10に示すように、単結晶シリコン基板24上にアルミ薄膜を成膜した後にパターニングすることによって、ワイヤボンディング用のアルミ電極32群を形成する。この場合、各アルミ電極32は、最終的にアンカー部3、感度調整用固定電極7〜14、検出用固定電極15〜22の各上面に位置するように形成されるものである。 【0028】そして、図11に示すように、単結晶シリコン基板24に対しフォトリソグラフィを経てエッチングを施すことにより、アンカー部3、梁部4及び5、おもり可動電極6、感度調整用固定電極7〜14、検出用固定電極15〜22のための構造体を形成する。 【0029】この後には、シリコン酸化膜25を、フッ酸系のエッチング液により除去するすることにより、梁部4、5及びおもり可動電極6をリリースして可動構造とし、以て図4のような断面形状を有した加速度センサ1の基本構造を完成させる。つまり、犠牲層用薄膜となるシリコン酸化膜25をウエットエッチングすることによって、アンカー部3に対し梁部4及び5を介して支持された形態のおもり可動電極6を形成する。この際、犠牲層エッチング後の乾燥の過程でおもり可動電極6や梁部4及び5などが支持基板2側に固着状態となる事態を防止するために、パラジクロルベンゼンなどの昇華剤を用いるようにする。 【0030】この場合、支持アンカー23a、23b及び感度調整用固定電極7〜14のための図示しない支持アンカーは、フッ酸系エッチング液に対し耐性があるポリシリコン薄膜27により形成されているから、上記のような犠牲層エッチング時には支持アンカー23a、23bなどにおいてエッチングが停止するようになり、そのエッチング状態のばらつきがなくなる。このため、犠牲層エッチングに当たっては、フッ酸系エッチング液の濃度や温度を正確に管理したり、エッチングの終了時期の制御のために厳密な時間管理を行うなどの必要がなくなり、製造が容易になる。 【0031】このように加速度センサ1の基本構造を完成させた後には、アンカー部3、感度調整用固定電極7〜14、検出用固定電極15〜22の各上面に位置されたアルミ電極32群と、外部接続用端子との間をワイヤボンディングすることによって、おもり可動電極6と感度調整用固定電極7〜14との間、並びにおもり可動電極6と検出用固定電極15〜22との間に、それぞれ別系統で電位差を付与できるように構成される。 【0032】具体的には、図1に示すように、アンカー部3は共通端子33に接続され、感度調整用固定電極7〜14は感度調整用端子34に接続され、検出用固定電極15〜22は検出端子35に接続される。また、感度調整用用固定電極7〜14のうちの例えば互いに隣接する感度調整用用固定電極7及び8は検査用端子36に接続される。 【0033】上記のように構成された加速度センサ1にあっては、通常の使用モードでは、図1に示すように結線されるものである。即ち、図1において、アンカー部3には、共通端子33を通じてグランドレベルの電位が印加されるように接続され、検出用固定電極15〜22には、加速度センサ1に内蔵された電源37の出力電圧V0 が検出回路38(本発明でいう検出手段に相当)及び検出端子35を通じて印加されるように接続される。また、感度調整用固定電極7〜14には、電源37の可変出力電圧VR が感度調整用端子34を通じて印加されるように接続される。これにより、定常状態においては、おもり可動電極6及び検出用固定電極15〜22間に電圧V0 に対応した電位差がアンカー部3及び梁部4、5を介して付与されると共に、おもり可動電極6及び感度調整用固定電極7〜14間に電圧VR に対応した電位差がアンカー部3及び梁部4、5を介して付与されることになる。 【0034】このような定常状態から、加速度センサ1に対し支持基板2の表面と平行する成分を含む加速度が印加されたときには、おもり可動電極6が支持基板2と平行な二次元平面方向へ変位して、おもり可動電極6の検出面6aと検出用固定電極15〜22の接点用突起15a〜22a(図3参照)のいずれか(一つ若しくは二つ)とが接触して電流が流れるようになり、この電流を検出回路38が検出することによって、一定レベルを越えた加速度を確実に検出できるようになる。このように、検出回路38は、検出面6aと接点用突起15a〜22aとの接触を検出する構成となっているから、一定レベル以上の加速度が印加された状態を確実に検出できるようになる。 【0035】この場合、電源37の可変出力電圧VR を調整することによって、おもり可動電極6の検出面6aと感度調整用固定電極7〜14の電極面7a〜14aとの間に作用する静電気力の大きさを調整できるものであり、これにより加速度センサ1の感度調整を高い精度で行い得るようになる。 【0036】一方、加速度センサ1にあっては、その動作状態の検査モードでは、図2に示すように結線されるものである(但し、図2では感度調整用端子34及びこれにに関係した配線を省略している)。即ち、図2において、アンカー部3には、共通端子33を通じてグランドレベルの電位が印加されるように接続され、検出用固定電極15〜22には、加速度センサ1に内蔵された電源37の出力電圧V0が検出回路38及び検出端子35を通じて印加されるように接続される。また、感度調整用固定電極7〜14には、電源37の可変出力電圧VR が検査用端子36を通じて印加されるように接続される。 【0037】これにより、おもり可動電極6及び検出用固定電極15〜22間に電圧V0 に対応した電位差がアンカー部3及び梁部4、5を介して付与されると共に、おもり可動電極6及び感度調整用固定電極7、8間に電圧VR に対応した電位差がアンカー部3及び梁部4、5を介して付与されることになる。この結果、感度調整用固定電極7、8の電極面7a、7aとおもり可動電極6の検出面6aとの間に静電気力が作用するため、おもり可動電極6に対して、これを感度調整用固定電極7、8方向(検出用固定電極15方向)へ近付けようとする疑似的な加速度が作用することになる。 【0038】従って、電源37の可変出力電圧VR を、上記疑似的な加速度が一定レベルとなる値に予め決定しておいた状態で、検出回路38による検出動作を行うようにすれば、一定レベルを越えた加速度が作用したときに正常に検出動作が行われるか否かの動作チェックを極めて容易に行い得るようになる。しかも、このような動作チェックは、検査用端子36を通じて可変出力電圧VR を印加するだけで行うことができるから、センサ製造工程終了後或いは製品に組み込んだ後など、いかなる状況下でも簡単に実施できるようになる。また、電源37を加速度センサ1に内蔵した構成となっているから、その感度調整及び動作チェックをさらに簡単に実施できるようになり、特に、製品として出荷された後における動作チェック(例えば自己診断)も簡単に実施可能となる。 【0039】尚、上記実施例において、電源37の可変出力電圧VR を、感度調整用端子34に与える状態と検査用端子36に与える状態とに選択的に切り替え得る切替手段を内蔵する構成とすれば、上記のような通常の使用モードと検査モードとの切り替えを極めて簡単に行い得るようになる。 【0040】また、本実施例によれば、おもり可動電極6の検出面6aは、ほぼ円柱状側面により構成され、上記検出用固定電極15〜22の接点用突起15a〜22aは、当該検出面6aと対向するように環状に分散配置されているため、外部から印加された加速度の方向の如何に関係なく、当該加速度の作用方向に対してほぼ同じ量だけ検出面6a及び検出用固定電極15〜22間の距離が変化することになるものであり、これにより等方的に加速度を検出できることになる。 【0041】特に、本実施例では、おもり可動電極6に加速度が印加されていない定常状態では、その検出面6aと、感度調整用固定電極7〜14及び検出用固定電極15〜22との間の各距離がほぼ均一に保たれる構成となっているから、加速度が支持基板2の表面とほぼ平行な方向のいずれから印加された場合でも、検出面6aと感度調整用固定電極7〜14及び検出用固定電極15〜22との間の距離変化量が印加加速度の大きさに対してほぼ同じレベルとなるものであり、結果的に、等方的な加速度検出を確実に且つほぼ同一感度で行い得るようになる。 【0042】さらに、本実施例においては、支持基板2側に、おもり可動電極6に下方から対向された形態の環状の下部電極28が設けられ、これらおもり可動電極6及び下部電極28とが、梁部4、5、アンカー部3、支持アンカー23a及び図示しない配線パターンを介して電気的に接続されて等電位となるように構成されている。この構成の結果、おもり可動電極6と支持基板2との間の静電気力によって当該おもり可動電極6が支持基板2に付着してしまう事態を回避できるものであり、以て加速度センサ1の動作信頼性を高め得るようになる。 【0043】また、上記実施例では、おもり可動電極6と感度調整用固定電極7〜14との間、並びにおもり可動電極6と検出用固定電極15〜22との間に、それぞれ別系統で電位差を付与するために、ワイヤボンディング手段を利用する構成としたが、不純物を導入したポリシリコン薄膜27を利用して配線パターンを形成する構成、具体的には、ポリシリコン薄膜27をパターニングする際に(図6参照)、支持アンカー23a及び23b並びに感度調整用固定電極7〜14用の図示しない支持アンカーの基部パターンをそれぞれ異なる外部接続用端子に接続するための配線パターンを形成する構成とすれば、上記のようなワイヤボンディング手段を用いる必要がなくなる。通常、ワイヤボンディングのための電極パッドには、φ200μm程度の大きさが必要になるが、上記のような内部配線パターンを用いる構成とすれば、アンカー部3上面の直径を十数μmから数十μm程度まで縮小できるため、加速度センサ1を小形化することが可能になる。 【0044】さらに、本実施例では、おもり可動電極6が環状に形成されているから、その内側及び外側領域を有効に使用することができ、全体の面積を減少させることができる。特に、本実施例では、環状のおもり可動電極6の内側にアンカー部3及び梁部4、5が配置される構成であるから、別途に特別な領域を用意する必要がなくなり、全体の面積を効果的に減少させることができる。 【0045】尚、上記実施例では、それぞれ8分割された感度調整用電極7〜14及び検出用固定電極15〜22を設ける構成としたが、分割数を変更する構成としても良い。但し、その分割数により加速度検出精度が異なるから、これを考慮する必要がある。また、検出用固定電極及びその接点用突起の数は、センシング動作を確実にするために、おもり可動電極が当該固定電極以外の部分に接触しないような数に設定することが好ましい。 【0046】その他、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。環状のおもり可動電極の外側にアンカー部を設けると共に、このアンカー部におもり可動電極を梁部を介して支持し、そのおもり可動電極の内側に感度調整用固定電極及び検出用固定電極を配置する構成とすることも可能である。この構成によれば、各固定電極の配置のために別途に特別な領域を用意する必要がなくなり、全体の面積を減少させることができる。梁部の数は各実施例で説明した2本に限らず、例えば3本以上設けても良く、また、1本で済ませることも可能である。さらに、加速度センサに限らず、振動などの力学量を検出するセンサに適用できる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000004260 【氏名又は名称】株式会社デンソー
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)12月12日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】佐藤 強
|
| 【公開番号】 |
特開平11−174080 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月2日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−342689 |
|