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【発明の名称】 ベアリングシール
【発明者】 【氏名】水田 英雄

【要約】 【課題】車輪の回転数を検出する回転検出装置を有したシール構造に関しており、サイドリップで回転数検出部の保護をなし、感知性能と耐久性とを向上せしめる。

【解決手段】ベアリングシールの補強環(3)の径方向面に磁性リング(2a)を形成して着磁せしめ、該磁性リング(2a)の外径側へ軸方向に突出するサイドリップ(2b)を形成せしめ対峙するナックル(5)の径方向部(51)へ接触せしめる。これにより、泥水、異物あるいは潤滑油等の被着から守られて正確で安定した回転検出を行なう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 自動車のホィール軸受部にあってその回転数の検出と密封とをなさしめる弾性体と補強環からなったベアリングシールにおいて、前記ベアリングシールの補強環の径方向面に強磁性材料を混合した弾性体からなる磁性リングを形成すると共に、該磁性リングの外径側へ軸方向に突出するサイドリップを設け、前記磁性リングを着磁して回転数検出センサーに近接配備し、前記サイドリップを相対するナックルまたは相当部材の径方向部へ接触せしめることを特徴としたベアリングシール。
【請求項2】 前記ベアリングシールの補強環の径方向面に強磁性材料を混合した弾性体からなる磁性リングを形成し、該磁性リングの外径側へ軸方向に突出するサイドリップを設けると共に、該磁性リングの内径側にグリースリップを形成せしめ、前記磁性リングを着磁して回転数検出センサーに近接配備し、前記サイドリップを相対するナックルまたは相当部材の径方向部へ接触せしめ、前期グリースリップを内輪に接触または近接配置せしめることを特徴としたベアリングシール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、相対回転するホィール軸受部のシール構造に関し、具体的には自動車のアンチロックブレーキシステムにおける前後の車輪の回転数を検出する回転検出装置を持ったシール構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車のスキッドを防止するためのアンチスキッド用車輪回転数検出装置としては次のような構造が多く用いられている。すなわち、前記回転数検出装置はパルス発生リングとこのパルスを感知する感知センサーからなっており、その構造としては、軸受を密封するシール装置に併設して配置し、密封手段と回転検出手段とを一体化した回転数検出装置を構成しているものが開発され実用化に至っている。以下、図面を参照しつつ詳述する。
【0003】このような従来例の一例を示すと、図3に示すように、外輪(1a)に嵌合されたオイルシール(7)へパルス発生リング(6)が取り付けられ、このパルス発生リング(6)をナックル(5)に取付られた回転数検出センサー(4)で感知検出する構造がある。ここで軸受(1a、1b)はその内輪(1b)にリップが摺接するオイルシール(7)によって水分あるいは異物の侵入から守られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような回転数検出装置は、前記パルス発生リング(6)及び回転数検出センサー(4)を最も外部側の大気に露出した配置としているので、飛散する水あるいは異物に直接曝される状況にあり、この水が侵入すれば錆びの発生を招いて回転数の検出能力を低下させ、悪くすると該部分へ異物さえ付着しかねず、異物が侵入すれば誤った回転数を検出すると云う装置として致命的な欠点となって現われる。本発明はこのような欠点に鑑み、回転数検出部の完璧な保護をなし感知性能と耐久性を飛躍的に向上せしめた車輪回転数検出装置を持つベアリングシールを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明を図面に基づいて説明すると、図1に示すように、自動車用ホィール軸受部(1a、1b)の密封をなす弾性体(2)と補強環(3)からなったベアリングシールであって、前記ベアリングシールの補強環(3)の径方向面に強磁性材料を混合した弾性体からなる磁性リング(2a)を形成すると共に、該磁性リング(2a)の外径側へ軸方向に突出するサイドリップ(2b)を形成せしめ、前記磁性リング(2a)を着磁して回転数検出センサー(4)に近接配備し、前記サイドリップ(2b)を対峙するナックル(5)または別体として設けたフランジ部を持つ相当部材(図示していない)の径方向部(51)へ接触せしめることを特徴としている。
【0006】また、図2に示すように、前記ベアリングシールの補強環(3)の径方向面に強磁性材料を混合した弾性体からなる磁性リング(2a)を形成し、該磁性リング(2a)の外径側へ軸方向に突出するサイドリップ(2b)を設けると共に、該磁性リング(2a)の内径側にグリースリップ(2c)を形成せしめ、前記磁性リング(2a)を着磁して回転数検出センサー(4)に近接配備し、前記サイドリップ(2b)は対峙するナックル(5)または別設したフランジ部を持つ相当部材の径方向部(51)へ接触させ、前期グリースリップ(2c)は内輪(1b)に接触あるいは近接配置させることを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、上記した構造をもって下記に示す優れた作用をなす。すなわち、外輪(1a)に装着固定されたベアリングシールはパルスを発生する磁性リング(2a)を径方向部であるその側面に配備しており、この磁性リング(2a)がその外径側に設けられたサイドリップ(2b)のナックル径方向部(51)あるいはフランジ部を持つ相当部材への接触によって覆われ完全に外部から遮断された状態にあるので、外方からの水あるいは異物等の侵入から守られる。ここでパルスを発生する磁性リング(2a)とこれを感知する回転数検出センサー(4)は外部マイナス要因に全く影響されない最良の感知環境におかれ、正確な回転数検出を長期間にわたって保証し得るものとなる。
【0008】また、図2に示すように前記ベアリングシールに外径側からサイドリップ(2b)と磁性リング(2a)とその内径側にグリースリップ(2c)を形成せしめた場合は、もっとも外側に設けられたサイドリップ(2b)よってその内部の磁性リング(2a)が外部から遮断され、さらにその内側に位置するグリースリップ(2c)によって内部からのグリースの漏洩・飛着を防ぐので、パルスを発生する磁性リング(2a)とこれを感知する回転数検出センサー(4)との空間部は内外部から完全に遮断され、もてる性能を失う要因を完全に排除したものとなる。
【0009】
【実施例】本発明での強磁性材料を混合した弾性体からなる磁性リング(2a)は焼入硬化形材料あるいは析出硬化形あるいは焼結形等の粉体または粒体状材料を合成ゴムあるいは合成樹脂等の弾性素材に混入せしめ、型内にて必要なら予め下地処理と接着剤の塗布された補強環(3)へサイドリップ(2b)を形成すると同時にプレス造形することが可能であって、場合によってはグリースリップ(2c)をも同時に形成することができる。なお、前記したサイドリップ(2b)及びグリースリップ(2c)は前記磁性リング(2a)と同材料の強磁性材料を混合した弾性体で形成しても差し支えないものであり、この様に全ての部位が同じ材料で成型可能となればその成型性が飛躍的に高まるものとなる。
【0010】また、前記サイドリップ(2b)と対峙しこれと接触する別に設けた相当部材としては、軸受部(1)のハブあるいはつば部を有する部材など(いずれも図示していない)が有り、これらは径方向のフランジ部を有し軸部に取り付けられた部材を意味している。
【0011】
【発明の効果】本発明によると、回転数の検出部はサイドリップ(2b)によって完全に外部から隔離されており、異物あるいは潤滑油等の被着から守られて正確で安定した回転検出を行なう。また、パルス発生リングは高精度を持って装着されるベアリングシールに直接形成されるのでその装着スペースを削減せしめると共に装着精度を高め、回転数検出センサー(4)の感知性能を大きく向上せしめた。また、本発明での磁性リング(2a)は弾性磁性体からなっており、造形する形状の自由度を高めかつ造形性がよく、加硫接着すると強固に固着することができるので大きく製造コストの低減が期待できる。
【出願人】 【識別番号】000225359
【氏名又は名称】内山工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月9日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−174070
【公開日】 平成11年(1999)7月2日
【出願番号】 特願平9−356165