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【発明の名称】 静電容量型センサ回路
【発明者】 【氏名】松本 俊行

【氏名】廣田 良浩

【要約】 【課題】静電容量型センサ素子の製造時のバラツキを較正する。

【解決手段】スイッチS1をオンし他のスイッチをオフして、入力電圧Vinを、センサ素子Csに供給する。オペアンプ2の入出力端間には帰還コンデンサCfが接続されており、該オペアンプの出力からの出力電圧は、Vout=−(Cs/Cf)(Vin−Vf)+Vfで表される。従って、入力電圧Vinを調整することにより、センサ素子の容量値Csにバラツキがあっても、所定の入力電圧Vinの供給時に、一定の出力電圧Voutを得ることができる。センサ素子Csと帰還コンデンサCfとを入れ替えることもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 静電容量の変化を電気信号として出力する静電容量型センサ回路において、入力電圧を発生する入力電圧発生手段と、発生された入力電圧が第1の端子に供給される静電容量型センサ素子と、該センサ素子の第2の端子に入力端子が接続された増幅器と、該増幅器の入力端子と出力端子との間に接続された帰還コンデンサとを備え、入力電圧を調整することにより、センサ素子のバラツキを較正可能にしたことを特徴とする静電容量型センサ回路。
【請求項2】 請求項1記載の静電容量型センサ回路において、該回路はさらに、センサ素子の第1の端子と入力電圧発生手段との間に接続された第1のスイッチと、センサ素子の第1の端子と基準電位との間に接続され、第1のスイッチと相補的にオン/オフされる第2のスイッチと、帰還コンデンサに並列接続され、第2のスイッチと同期してオン/オフされる第3のスイッチとを備えていることを特徴とする静電容量型センサ回路。
【請求項3】 請求項1または2記載の静電容量型センサ回路において、増幅器はオペアンプであることを特徴とする静電容量型センサ回路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の技術分野】本発明は、静電容量型センサの容量変化を電圧変化として出力するための静電容量型センサ回路に関し、特に、センサ自体の製造上のバラツキを容易に補正することができる静電容量型センサ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】静電容量型センサは、高感度でかつ衝撃に強いことから加速度センサ等として広く用いられており、機械的外力が加わるとその静電容量が変化し、該静電容量の変化を電圧の変化として取り出すことができるように構成されている。このような静電容量型センサは、製造時等のバラツキによって外圧に対する容量変化(容量/外圧特性)が一定ではなく、該バラツキを外付けの機械的及び電子的手段によって較正することが試みられている。
【0003】図3は、このような較正手段を付加した静電容量型センサ素子を、加速度センサとして用いた場合の従来例を示している。該従来例においては、シリコンカンチレバー11の先端部にシリコン微細加工技術によって可動電極12を設け、該可動電極12を一対の固定電極13及び14の間に配置している。そして、加速度Gの大きさ及び方向に依存して可動電極12が変位しようとするが、フィードバック制御により、可動電極12と一方の固定電極との間の距離dが一定となるように、これら電極間に静電気力を作用させ、該作用させた静電気力の大きさから、カンチレバーに加わった加速度を検出するようにしている。そして、図3の従来例においては、静電気力は、静電サーボ回路15を用いて、パルス幅変調方式で制御されるか、またはバイアス静電気成分を含むように制御される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図3の従来例においては、センサ素子自体の特性のバラツキを補正するために、パルス幅変調を実行する静電サーボ機構等を必要とし、そのため、センサ回路が比較的大規模であり、かつ複雑である。そして、回路の規模を小さくするために、上記した従来例のような静電サーボ機構を用いない場合は、センサ素子のバラツキ等により出力誤差が大きくなる、という問題点がある。本発明の目的は、このような従来例の問題点を解決して、静電容量型のセンサ素子の容量変化を、簡単な回路で、しかも製造時のバラツキに依存せずに高精度な出力信号として取り出すことができる静電容量型センサ回路を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために、本発明の静電容量型センサ回路においては、(a)入力電圧を発生する入力電圧発生手段と、(b)発生された入力電圧が第1の端子に供給される静電容量型センサ素子と、(c)該センサ素子の第2の端子に入力端子が接続された増幅器と、(d)該増幅器の入力端子と出力端子との間に接続された帰還コンデンサとを備え、入力電圧を調整することにより、センサ素子のバラツキを較正可能にしたことを特徴としている。
【0006】本発明はさらに、上記した構成に加えて、(e)センサ素子の第1の端子と入力電圧発生手段との間に接続された第1のスイッチと、(f)センサ素子の第1の端子と基準電位との間に接続され、第1のスイッチと相補的にオン/オフされる第2のスイッチと、(g)帰還コンデンサに並列接続され、第2のスイッチと同期してオン/オフされる第3のスイッチとを備えていることを特徴とし、第2及び第3のスイッチをオンさせて静電容量型センサ回路を初期化し、その後、これらのスイッチをオフしかつ第1のスイッチをオンさせて、センサ回路として動作させることができるようにしている。これにより、回路のコンデンサの両端の電圧をゼロに初期化してから動作させることができるので、より高精度の測定が実行できる。本発明の静電容量型センサ回路においては、増幅器としてオペアンプを用いることが好適である。
【0007】
【実施の態様】図1(A)には、本発明の一実施例の静電容量型センサ回路が示されており、該図において、Csは静電容量型センサ素子(センサ・コンデンサ)であり、センサ・コンデンサCsの第1の端子には、入力電圧発生回路1からの入力電圧Vinが、スイッチS1を介して供給され、また、該第1の端子は、第1のスイッチS1と相補的にオン/オフされる第2のスイッチS2を介してアース、すなわち基準電位に接続される。センサ・コンデンサCsの第2の端子には、オペアンプ2の反転入力端子が接続され、該反転入力端子とオペアンプ2の出力端子との間には、スイッチS2に同期してオン/オフされるスイッチS3とコンデンサCfとの並列回路が接続されている。オペアンプ2の出力端子から、センサ出力が出力電圧Voutとして取り出される。
【0008】図1(A)に示した回路の動作を説明する。まず、回路を初期化するために、スイッチS1をオフし、スイッチS2、S3をオンする。このオン/オフ状態は、図1に示したオン/オフ状態と反対である。これにより、センサ・コンデンサCs、帰還コンデンサCfのそれぞれの両端の電圧がゼロになる。なお、オペアンプ2は、その反転入力端子と非反転入力端子の電位を等しくするよう作用する(すなわち、反転入力端子と非反転入力端子とは、イマージナル・ショート状態にある)ので、非反転入力端子の電位Vfも基準電位(Vf=0)となり、したがって、センサ・コンデンサCsの両端の電圧がゼロになる。このような初期化の後に、スイッチのオン/オフ状態を反転して、スイッチS2、S3をオフし、スイッチS1をオンすると、センサ・コンデンサCsの第1の端子に入力電圧Vinが印加される。
【0009】スイッチS1がオンの時の回路の入出力伝達特性は、以下の式(1)で表される。なお、以下の式においては、コンデンサそれぞれの容量値を対応するコンデンサの符号を用いて表すとする。
【数1】
out=−(Cs/Cf)(Vin−Vf)+Vf (1)
【0010】Cs/Cfの値をパラメータとして、式(1)をグラフで表せば、図2に示すように、直線L0、L1、L2で表される。直線L0は、Cs=Cfの場合を表しており、Cfの値を規格上の標準的なセンサ・コンデンサの容量値Cs(0)に一致するよう設定することにより、直線L0は標準的なセンサ・コンデンサを用いた場合の入出力伝達特性を示すことができる。また、直線L1はCs=Cs(1)>Cfの場合の一例を、直線L2はCs=Cs(2)<Cfの場合の一例を示しており、センサ・コンデンサの容量値が標準値よりも大きい場合及び小さい場合の入出力伝達特性を示している。
【0011】センサ・コンデンサが標準容量値の場合(Cs=Cf=Cs(0))、ある所定の入力電圧Vin(0)が供給された状態で、出力電圧Vout(0)が出力される。ところが、Cs(1)>Cfの場合、直線L1から明らかなように、入力電圧Vin(0)に対応する出力電圧は、Vout(0)よりも小さい値の【数2】
out(1)=Vout(0)−△V (2)
となる。そこで、出力電圧VoutがVout(1)から△Vだけ大きくなるようにするためには、直線L1において、入力電圧VinをVin(0)からVin(1)に変化させれば(ただし、Vin(0)>Vin(1))、Cs>Cfなる容量値のセンサ・コンデンサを用いた場合でも、標準容量値Cs(0)センサ・コンデンサを用いた場合と同一の出力電圧Vout(0)が得られることが分かる。Vin(1)は、以下の式で表される。
【数3】
in(1)=Cf(Vin(0)−Vf)/Cs(1)+Vf (3)
【0012】上記においては、センサ・コンデンサCsの容量値が標準値よりも大きいの場合の出力の較正について説明したが、標準値よりも小さい容量値Cs(2)の場合も、同様であり、入力電圧VinをVin(2)(ただし、in(0)<Vin(2))に変化させれば、標準容量値Cs(0)の場合と同一の出力が得られる。Vin(2)は、以下の式で表される。
【数4】
in(2)=Cf(Vin(0)−Vf)/Cs(2)+Vf (4)
なお、用いているセンサ・コンデンサの容量値Csが不明の場合は、標準容量値Cs(0)のものを用いて得られた回路の入出力伝達特性を予めメモリに記憶しておき、該入出力伝達特性と合致するように、フィードバック制御により、当該回路の入力電圧を可変制御するようにしてもよい。
【0013】図1(A)の実施例においては、センサ・コンデンサCsの第2の端子にオペアンプ2を接続しているが、オペアンプの代わりに、他の任意のリニア増幅器を用いることができることは言うまでもない。また、スイッチS1〜S3は、電子的スイッチであっても機械的スイッチであっても、任意のスイッチを用いることができることは当業者に明らかであろう。さらに、スイッチS1、S2を用いる代わりに、センサ・コンデンサCsの両端にスイッチを並列接続して、該スイッチを初期化時にのみ、スイッチS3とともにオンさせるようにしてもよい。なお、必要に応じて、該並列接続されたスイッチそれぞれに、放電電流を制限するための抵抗を接続してもよい。
【0014】さらに、図1(A)に示す回路において、静電容量型センサ素子Csと帰還コンデンサCfとを入れ替えてもよい。その場合は、図1(B)に示す回路構成となり、入出力伝達特性は以下の式(5)となる。
【数5】
out=−(Cf/Cs)(Vin−Vf)+Vf (5)
この場合、式(3)においてCfとCs(1)とを入れ替え、式(4)においてCfとCs(2)を入れ替えれば、必要な入力電圧が得られることは言うまでもない。
【0015】以上のように、本発明においては、従来例のような静電気力をフィードバック制御するためのサーボ制御機構を用いることなく、静電容量型センサの容量値を高精度に検出することができるとともに、センサ素子の容量値及び回路中のコンデンサの容量値にバラツキがあっても、出力電圧のバラツキを低減するよう調整することができる。また、容量検出部と出力調整部とを同一の回路で構成できるため、回路が簡略化され、小型化できる。
【出願人】 【識別番号】000002118
【氏名又は名称】住友金属工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)7月4日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫 (外5名)
【公開番号】 特開平11−23609
【公開日】 平成11年(1999)1月29日
【出願番号】 特願平9−179550