| 【発明の名称】 |
リングレーザー流速計 |
| 【発明者】 |
【氏名】滝沢 実
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| 【要約】 |
【課題】旋回する航空機等角速度のある場所において、サニャック効果によるビート周波数の発生を無くし、透明流体の流速を精密に計測できるリングレーザー流速計を得る。
【解決手段】閉光路を形成するように配置された複数の高反射ミラーを有するリング共振器3のリングレーザー発振光路を8字形にして、一点で交差する二つの閉光路が囲む面積を同じにすることにより、二つの閉光路が囲む面を通る軸まわりに角速度が生じても、二つの閉光路におけるサニャック効果は互いに反対にかつ等しい大きさで生じるため、リングレーザー全体としてはサニャック効果を打ち消すことになり、回転を伴う場所においてもサニャック効果の影響を受けること無く、透明流体の流速を精密に計測することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 閉光路を形成するように配置された複数のミラーを有するリング共振器と、該リング共振器のリングレーザー光路を通過するように配置された被測定流体流入管とを備えたリングレーザー流速検出部、該リングレーザー流速検出部を駆動し、且つ前記リングレーザー流速検出部から出力される流速情報を処理し、被測定流体の流速計測量を出力する電源・信号処理部から構成され、前記リング共振器は、8字形リングレーザーの光路を形成し、光路の交差する点の両側の閉光路が囲む面積が等しくなるように複数のミラーが配置されていることを特徴とするリングレーザー流速計。 【請求項2】 前記8字形リングレーザーの光路が、2つの三角光路から形成されている請求項1記載のリングレーザー流速計。 【請求項3】 前記8字形リングレーザーの光路が、三角光路と四角光路から形成されている請求項1記載のリングレーザー流速計。 【請求項4】 前記リングレーザー流速検出部、及び該リングレーザー流速検出部と前記電源・信号処理部との間を結ぶ電力・信号伝送系を、純光学式にして耐電磁干渉性を高めた請求項1、2又は3記載のリングレーザー流速計。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、航空機や宇宙往還機の飛行制御に必要な対気速度、又は航空機等の設計に必要な空気力学データを取得するための風洞試験における気流速度等の流体流速を精密に計測できる透明流体流速計、特にリングレーザー流速計に関する。 【0002】 【従来の技術】航空機や宇宙往還機の飛行制御を行うために必要な対気速度の計測や風洞試験における気流速度計測においては、従来、ピトー管を使用した対気速度計が使用されている。一方、透明な気体(流体)の流速を精密に測定する流速測定法として、図3に示すようなリングレーザー流速計を使用した透明流体の流速測定法が提案されている(例えば、■W.M.MACER,J.R.SCHNEIOER,andR.M.SALAMON;Measurement of FresneI Drag with the Ring Laser,J.Appl.PhyS.35〔8〕,PP.2556‐2557,(1964)、■小林春洋著「レーザ応用技術」日刊工業新聞社(昭和48年1月)発行、PP.149‐150参照)。 【0003】従来のリングレーザー流速計は、図3に示されているように、レーザー発振波長に対して高い反射率のミラーM1、M2、M3で構成するリング共振器31を備えたリングレーザー装置の一辺に、被測定流体流入管32を挿入し、該流入管に透明な被測定流体を通して流速を測定するものである。その測定原理はつぎのように説明できる。リングレーザーは慣性座標系において静止しているものと仮定し、被測定流体流入管32には屈折率nの透明流体を速度vで流すとする。リングレーザーの右まわり光Lcwおよび左回り光Lccwの各発振周波数Fcw及びFccwは、被測定流体流入管32内の透明流体が静止している場合には相互に等しく、流体が流れている場合(流れの向きは図に示した向きとする)には、流体中を伝搬する右回り光Lcwの見かけの速さは遅くなり、一方左回り光Lccwの見かけの速さは速くなるので、右回り光の発振周波数Fcwは低くなり、左回り光の発振周波数FccWは高くなる。それゆえ、右回り光Lcwと左回り光Lccwをリングレーザー装置のミラーM3からそれらの一部を取り出して重ねあわせればピート周波数ΔFが得られる。流速が無いときのリングレーザーの発振周波数をfとすると、次の関係(フレネルのドラッグ効果)から流体の流速vが求められる。 ΔF={2vL(n2ー1)f}/{c(nL十R)} (1) ここに、L:流入管の長さR:Lを除くリング共振器の光路長c:真空中の光速【0004】よって、流速vは次式(2)で与えられる。 v={c(nL+R)}/{2L(n2ー1)f}・ΔF (2) 従って、流速vはビート周波数ΔFを計測することにより知ることができる。 【0005】なお、図3において、33は電源・信号処理器であり、34はレーザー発振管、M1,M2,M3,M4,M5は高反射率のミラーでその内M3は一部透過型、BSは光干渉器、37は光信号検出器である。リングレーザーの右まわり光Lcwおよび左まわり光Lccwは光干渉器BSによって干渉され、周波数差のビート信号が光信号検出器37で検出され、流速vは信号処理器でそのビート周波数ΔFを用いて(2)式を演算することにより割り出すことができる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のリングレーザー流速計は慣性座標系に静止していることが前提となっているため、この前提が無い場合には(1)式は成立しないことになる。一般に、リングレーザー流速計を地上に静止させておいても、地球は慣性座標系(例えば、恒星系)に対して自転しており、(1)式の前提条件は成立しない。すなわち、従来の流速計は、その置かれている場所が回転を伴う運動をしている場合には、その回転角速度に起因するサニャック(Sagnac)効果によりリングレーザーの右回り光の発振周波数Fcwと左回り光の発振周波数Fccwに差が生じ、流速が無い場合にもビート周波数ΔFs=(4A/(Rt・λ))Ω(ここに、A:角速度の入力軸に垂直なりング光路が囲む面積、Rt:リング光路全体の長さ、λ:レーザー発振波長、Ω:入力角速度)が生じることとなり、これを何らかの方法によって補正しなければ流速計としての機能を損ねる問題点がある。そのため、従来のリングレーザー流速計は、原理的には流速の精密な計測が可能であっても、回転運動を伴う場所での適用は困難であり、航空機等の対気速度計には未だ応用されてなく、これまで航空機の対気速度計には、主にピトー管が適用されているのが現状である。 【0007】そこで、本発明は、従来のリングレーザー流速計の問題点を解決し、回転を伴う場所、例えば旋回する航空機等においても、上記したサニャック効果によるビート周波数の発生を無くし、透明流体の流速を精密に計測できるリングレーザー流速計を提供することを目的とするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点を解決するために種々研究した結果、リングレーザー発振光路を8字形にして一点で交差する二つの閉光路が囲む面を同じにすることにより、二つの閉光路が囲む面を通る軸まわりに角速度が生じても、二つの閉光路におけるサニャック効果は互いに反対に、かつ等しい大きさで生じるため、リングレーザー全体としてはサニャック効果を打ち消すことになり、サニャック効果の影響を受けること無く、透明流体の流速を計測することができることを知見し、本発明に到達したものである。 【0009】即ち、本発明のリングレーザー流速計は、閉光路を形成するように配置された複数のミラーを有するリング共振器と、該リング共振器のリングレーザー光路を通過するように配置された被測定流体流入管とを備えたリングレーザー流速検出部、該リングレーザー流速検出部を駆動し、且つ前記リングレーザー流速検出部から出力される流速情報を処理し、被測定流体の流速計測量を出力する電源・信号処理部から構成され、前記リング共振器は、8字形リングレーザーの光路を形成し、光路の交差する点の両側の閉光路が囲む面積が等しくなるように複数のミラーが配置されていることを特徴とするものである。 【0010】前記8字形リングレーザーの光路は、2つの閉光路が囲む面積が等しければ良く、2つの対称形の三角光路に限らず、三角光路と4角光路、あるいはその他の多角形閉光路の組合わせも採用可能である。また、前記リングレーザー流速検出部、及び該リングレーザー流速検出部と前記電源・信号処理部との間を結ぶ電力・信号伝送系を、純光学式すると、耐電磁干渉性を高めることができ、電磁干渉を受けることがなくより精密に透明流体の流速が測定できて望ましい。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明の実施形態に係るリングレーザー流速計を図1の模式図に基づいて説明する。本実施形態のリングレーザー流速計は、図において2点破線から上方に示されている電源・信号処理部と、下方に示めされているリングレーザー流速検出部から構成され、該リングレーザー流速検出部は、次のような構成からなる。高反射率ミラー(以下、単にミラーという)M1、M2、M3、M4を同図のように8字形閉光路を形成するように配置して8字形リング共振器2を構成し、またミラーM1とミラーM2の間の光路を通すように固体レーザー素子4を配置し、一方ミラーM3とミラーM4の間に被測定流体流入管5を配置し、固体レーザー素子励起用光源6からの励起光をミラーM1から投入し、固体レーザー素子4を励起することにより8字形リングレーザーを作動させる。さらに、被測定流体の流速によって周波数変調を受けた双方向の光をミラーM2から一部取り出し、同じく高反射率ミラーM5、M6および光干渉器BSによって光ビート信号を発生させ、光信号検出器8によりそれを電気信号に変換する。 【0012】一方、電源・信号処理部は、電源・信号処理器3で構成され、固体レーザー素子励起用光源6を駆動させるとともに8字形リングレーザー流速検出部による流速検出信号を処理し、流速計測量を出力する。8字形リング共振器2において、光路の交差点PとミラーM1、M2で作られる三角光路が囲む面積と、点PとミラーM3、ミラーM4で作られる三角光路が囲む面積が互いに等しく成るように構成する。それにより、被測定透明流体の流速vは、ビート周波数ΔFを測定することにより、さきに示した(2)式に基づいて求めることができる。 【0013】次に本発明に係るリングレーザー流速計の他の実施形態を図2に基づいて説明する。該実施形態において、前記実施形態と同様な構成部材については同様な符号を付して説明する。リングレーザー流速検出部と駆動電源・信号処理23から構成され、またミラーM1とミラーM2の間の光路を通すように固体レーザー素子4を配置するのは前記実施形態と同様である。リングレーザー流速検出部はミラーM1、M2、M3、M4、M5を同図のように8字形閉光路を形成するように配置して8字形リング共振器21を構成する。一方ミラーM3とM4及びミラーM4とM5の間にそれぞれ角度θをもって被測定流体流入管25を配置し、固体レーザー素子励起用光源6からの励起光をミラーM1から投入し、固体レーザー素子4を励起することにより8字形リングレーザーを作動させる。 【0014】さらに、被測定流体の流速によって周波数変調を受けた双方向の光を一部透過ミラーであるミラーM2から取り出し、高反射率ミラーM6、M7および光干渉器BSによって光ビート信号を発生させ、光信号検出器27によりそれを電気信号に変換する。駆動電源・信号処理器23は、固体レーザー素子励起用光源6を駆動させるとともにリングレーザー流速検出部による流速検出信号を処理し、流速計測量を出力する。前記8字形リング共振器の構成において、光路交差点PとミラーM1、M2で作られる三角光路が囲む面積と交差点PとミラーM3、M4及びM5で作られる四角光路が囲む面積が互いに等しく成るように調節することが肝要である。本構成により、被測定透明流体の流速vは、ΔFを測定することにより、さきに示した(2)式に基づいて、次式から求めることができる。 【0015】 vcosθ={c(nL+R)}/{2L(n2−1)f}・F (3) よって、vは v={c(nL+R)}/{2L(n2−1)fcosθ}・ΔF (4) ここに、L:流入管内の光路長θ:流体の流れの方向と光軸が交わる角度R:Lを除くリング共振器の光路長【0016】前記各実施形態において、リングレーザー流速検出部と電源・信号処理部とは、電力伝送系と信号伝送系とによって接続されているが、リングレーザー流速検出部の固体レーザー素子励起部と光信号の電気変換部、及び該リングレーザー流速検出部と電源・信号処理器との信号伝送系を純光学式手段で構成すれば、耐電磁干渉性に優れた8字形リングレーザー流速計を得ることができる。以上本発明に係るリングレーザー流速計の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限るものでなく、その技術思想の範囲内で種々の設計変更が可能である。 【0017】 【発明の効果】本発明は次のような格別の効果を奏する。 1)本発明によるリングレーザー流速計は、従来のリングレーザー流速計が有していた角速度のある場所でのサニャック効果を物理的に簡単に除去できるので、流速計を設置する場所が回転運動を伴う場合においても、被測定流体の流速を精密に且つ高速に測定できる。従って、本発明のリングレーザー流速計は、従来のリングレーザー流速計では困難であった航空機の対気速度計に好適に応用することができる。そして、慣性系からみて地球の自転運動による誤差分までも除去できるので、地上においてもより精密測定が可能であり、例えば風洞試験における気流速度計としても好適に応用することができる。 2)本発明によるリングレーザー流速計は、被測定透明流体を被測定流入管に通すだけでその流速を精密に測定することができる。 3)本発明によるリングレーザー流速計は、被測定流体の流速を周波数量として出力することができるので、信号処理が容易である。 4)本発明によるリングレーザー流速計は、微小な流速から非常に速い流速まで直線性の良い流速計測が可能である。 5)リングレーザー流速検出部及び電力・信号伝送系を純光学式に構成することにより、耐電磁干渉性に優れた8字形リングレーザー流速計を実現することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】391037397 【氏名又は名称】科学技術庁航空宇宙技術研究所長
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月1日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】大城 重信 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−23604 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月29日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−188915 |
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