| 【発明の名称】 |
回転速度検出装置付転がり軸受ユニット |
| 【発明者】 |
【氏名】大内 英男
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| 【要約】 |
【課題】駆動輪である前輪の回転速度を検出自在で、しかも組立作業が容易な構造を実現する。
【解決手段】第一、第二の内輪部材4a、5aを結合してハブ6aを構成する。第二の内輪部材5aの中間部にエンコーダ23を外嵌固定し、外輪1aに固定したカバー18cに支持したセンサユニット47の検出面を、上記エンコーダ23の外半部外周面に対向させる。又、このカバー18cに支持したシールリング19bを構成するシールリップ41の先端縁を、上記エンコーダ23の内半部外周面に摺接させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外周面に懸架装置に支持する為の第一の取付フランジを、内周面に複列の外輪軌道を、それぞれ有する外輪と、外周面の一端寄り部分に車輪を支持する為の第二の取付フランジを、同じく他端寄り部分に第一の内輪軌道を、それぞれ設けた筒状の第一の内輪部材と、一端部をこの第一の内輪部材を外嵌固定する為の円筒部とし、他端部を等速ジョイントの外輪となるハウジング部とし、中間部外周面に第二の内輪軌道を設けた第二の内輪部材と、上記各外輪軌道と上記第一、第二の内輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつ設けた転動体と、上記複列の外輪軌道及び第一、第二の内輪軌道を軸方向両側から挟む状態で上記外輪の両端開口部と上記第一、第二の内輪部材の中間部外周面との間に設けた第一、第二のシールリングと、上記外輪又はこの外輪に固定された部材の一部で、上記外輪の他端側開口部と上記第二の内輪部材の中間部外周面との間を塞ぐ上記第二のシールリングと上記第二の内輪軌道部分に配設した複数個の転動体との間に設けたセンサと、上記第二の内輪部材の中間部外周面で上記センサの検出面と対向する部分に固定した環状で円周方向に亙る特性を交互に且つ等間隔に変化させたエンコーダとを備え、上記第二のシールリングは、外径側部分を上記外輪の他端部に直接若しくはこの外輪に固定した部材を介して支持し、内径側部分に全周に亙って設けたシールリップの先端縁を上記第二の内輪部材の外周面若しくはこの第二の内輪部材の中間部に外嵌した部材の外周面に摺接させると共に、上記シールリップの先端縁と相手面との摺接部分の直径を、上記エンコーダのうち、少なくとも上記センサの検出面が対向する部分の外径以上にした回転速度検出装置付転がり軸受ユニット。 【請求項2】 外周面に懸架装置に支持する為の第一の取付フランジを、内周面に複列の外輪軌道を、それぞれ有する外輪と、外周面の一端寄り部分に車輪を支持する為の第二の取付フランジを、同じく他端寄り部分に第一の内輪軌道を、それぞれ設けた筒状の第一の内輪部材と、一端部をこの第一の内輪部材を外嵌固定する為の円筒部とし、他端部を等速ジョイントの外輪となるハウジング部とし、中間部外周面に第二の内輪軌道を設けた第二の内輪部材と、上記各外輪軌道と上記第一、第二の内輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつ設けた転動体と、上記複列の外輪軌道及び第一、第二の内輪軌道を軸方向両側から挟む状態で上記外輪の両端開口部と上記第一、第二の内輪部材の中間部外周面との間に設けた第一、第二のシールリングと、上記外輪又はこの外輪に固定された部材の一部で、上記外輪の他端側開口部と上記第二の内輪部材の中間部外周面との間を塞ぐ上記第二のシールリングと上記第二の内輪軌道部分に配設した複数個の転動体との間に設けたセンサと、上記第二の内輪部材の中間部外周面で上記センサの検出面と対向する部分に固定した環状で円周方向に亙る特性を交互に且つ等間隔に変化させたエンコーダとを備え、上記第二のシールリングは、内径側部分を上記第二の内輪部材の中間部に支持し、外径側部分に全周に亙って設けたシールリップの先端縁を上記外輪の他端部若しくはこの外輪に固定した部材に摺接させると共に、上記シールリップの先端縁と相手面との摺接部の直径を、上記エンコーダの外径以上にした回転速度検出装置付転がり軸受ユニット。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明に係る回転速度検出装置付転がり軸受ユニットは、FF車(前置エンジン前輪駆動車)又は4WD車(四輪駆動車)の前輪を、懸架装置に対して回転自在に支持すると共に、この前輪の回転速度を検出する為に利用する。 【0002】 【従来の技術】車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為に、外輪と内輪とを転動体を介して回転自在に組み合わせた車輪用転がり軸受ユニットが、各種使用されている。又、操舵輪であると同時に駆動輪でもあるFF車或は4WD車の前輪を支持する為の車輪用転がり軸受ユニットは、等速ジョイントと組み合わせて、車輪に付与された舵角に拘らず、駆動軸の回転を上記車輪に対して円滑に(等速性を確保して)伝達する必要がある。この様な等速ジョイントと組み合わせて、しかも比較的小型且つ軽量に構成できる車輪用転がり軸受ユニットとして従来から、特開平7−317754号公報に記載されたものが知られている。 【0003】図6は、この公報に記載された従来構造を示している。車両への組み付け状態で、懸架装置に支持した状態で回転しない外輪1は、外周面にこの懸架装置に支持する為の第一の取付フランジ2を、内周面に複列の外輪軌道3、3を、それぞれ有する。上記外輪1の内側には、第一、第二の内輪部材4、5を組み合わせて成るハブ6を配置している。このうちの第一の内輪部材4は、外周面の一端寄り(図6の左寄り)部分に車輪を支持する為の第二の取付フランジ7を、同じく他端寄り(図6の右寄り)部分に第一の内輪軌道8を、それぞれ設けた筒状に形成している。これに対して、上記第二の内輪部材5は、一端部(図6の左端部)を、上記第一の内輪部材4を外嵌固定する為の円筒部9とし、他端部(図6の右端部)を等速ジョイントの外輪となるハウジング部10とし、中間部外周面に第二の内輪軌道11を設けている。そして、上記各外輪軌道3、3と上記第一、第二の内輪軌道8、11との間にそれぞれ複数個ずつの転動体12、12を設ける事により、上記外輪1の内側に上記ハブ6を、回転自在に設けている。 【0004】又、上記第一の内輪部材4の内周面と上記第二の内輪部材5の外周面との互いに整合する位置には、それぞれ係止溝13、14を形成すると共に、止め輪15を、これら両係止溝13、14に掛け渡す状態で設けて、上記第一の内輪部材4が上記第二の内輪部材5から抜け出るのを防止している。更に、上記第二の内輪部材5の一端面(図6の左端面)外周縁部と、上記第一の内輪部材4の内周面に形成した段部16の内周縁部とに溶接17を施して、上記第一、第二の内輪部材4、5同士を結合固定している。 【0005】更に、上記外輪1の両端開口部と上記ハブ6の中間部外周面との間には、ステンレス鋼板等の金属製で略円筒状のカバー18a、18bと、ゴム、エラストマー等の弾性材製で円環状のシールリング19a、19bとを設けている。これらカバー18a、18b及びシールリング19a、19bは、上記複数の転動体12、12を設置した部分と外部とを遮断し、この部分に存在するグリースが外部に漏出するのを防止すると共に、この部分に雨水、塵芥等の異物が侵入する事を防止する。又、上記第二の内輪部材5の中間部内側には、この第二の内輪部材5の内側を塞ぐ隔板部20を設けて、この第二の内輪部材5の剛性を確保すると共に、この第二の内輪部材5の先端(図6の左端)開口からこの第二の内輪部材5の内側に入り込んだ異物が、前記ハウジング部10の内側に設けた等速ジョイント部分にまで達する事を防止している。 【0006】上述の様に構成する車輪用転がり軸受ユニットを車両に組み付ける際には、第一の取付フランジ2により外輪1を懸架装置に支持し、第二の取付フランジ7により駆動輪でもある前輪を第一の内輪部材4に固定する。又、エンジンによりトランスミッションを介して回転駆動される、図示しない駆動軸の先端部を、等速ジョイントを構成する内輪21の内側にスプライン係合させる。自動車の走行時には、上記内輪21の回転を、複数の玉22を介して上記第二の内輪部材5を含むハブ6に伝達し、上記前輪を回転駆動する。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】図6に示した従来構造の場合には、駆動輪でもある前輪を回転自在に支持する為の車輪用転がり軸受ユニットを小型且つ軽量に構成できるが、上記前輪の回転速度を検出する事は考慮していない。アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)を制御する為には、上記前輪の回転速度を検出する必要がある。そして、この回転速度を検出する為には、前輪と共に回転するハブ6の一部にエンコーダを支持すると共に、外輪1に支持したセンサをこのエンコーダに対向させる必要がある。又、これらエンコーダ及びセンサが泥水等により汚損する事を防止する為には、これらエンコーダ及びセンサを、1対のシールリング19a、19b同士の間に設ける必要がある。 【0008】そして、エンコーダを上記1対のシールリング19a、19b同士の間に設けた場合でも、回転速度検出装置付転がり軸受ユニットの組立作業が面倒にならない様にする必要がある。即ち、ハブ6に対してエンコーダを、外輪1に対して1対のシールリング19a、19bを、それぞれ装着する作業を、このハブ6を外輪1の内側に装着する以前に行なえる様にする事が、上記各装着作業を容易にする面からは好ましい。本発明は、上述の様な事情に鑑みて、小型且つ軽量且つ前輪の回転速度を検出自在で、しかも組立作業を容易に行なえる、実用的な回転速度検出装置付転がり軸受ユニットを提供するものである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明の回転速度検出装置付転がり軸受ユニットは何れも、前述した従来の車輪用転がり軸受ユニットと同様に、外周面に懸架装置に支持する為の第一の取付フランジを、内周面に複列の外輪軌道を、それぞれ有する外輪と、外周面の一端寄り部分に車輪を支持する為の第二の取付フランジを、同じく他端寄り部分に第一の内輪軌道を、それぞれ設けた筒状の第一の内輪部材と、一端部をこの第一の内輪部材を外嵌固定する為の円筒部とし、他端部を等速ジョイントの外輪となるハウジング部とし、中間部外周面に第二の内輪軌道を設けた第二の内輪部材と、上記各外輪軌道と上記第一、第二の内輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつ設けた転動体と、上記複列の外輪軌道及び第一、第二の内輪軌道を軸方向両側から挟む状態で上記外輪の両端開口部と上記第一、第二の内輪部材の中間部外周面との間に設けた第一、第二のシールリングとを備える。 【0010】又、本発明の回転速度検出装置付転がり軸受ユニットは、何れも、上記外輪又はこの外輪に固定された部材の一部で、上記外輪の他端側開口部と上記第二の内輪部材の中間部外周面との間を塞ぐ上記第二のシールリングと上記第二の内輪軌道部分に配設した複数個の転動体との間に設けたセンサと、上記第二の内輪部材の中間部外周面で上記センサの検出面と対向する部分に固定した環状で円周方向に亙る特性を交互に且つ等間隔に変化させたエンコーダとを備える。 【0011】特に、請求項1に記載した回転速度検出装置付転がり軸受ユニットの場合には、上記第二のシールリングは、外径側部分を上記外輪の他端部に直接若しくはこの外輪に固定した部材を介して支持し、内径側部分に全周に亙って設けたシールリップの先端縁を上記第二の内輪部材の外周面若しくはこの第二の内輪部材の中間部に外嵌した部材の外周面に摺接させると共に、上記シールリップの先端縁と相手面との摺接部分の直径を、上記エンコーダのうち、少なくとも上記センサの検出面が対向する部分の外径以上にしている。 【0012】更に、請求項2に記載した回転速度検出装置付転がり軸受ユニットの場合には、上記第二のシールリングは、内径側部分を上記第二の内輪部材の中間部に支持し、外径側部分に全周に亙って設けたシールリップの先端縁を上記外輪の他端部若しくはこの外輪に固定した部材に摺接させると共に、上記シールリップの先端縁と相手面との摺接部の直径を、上記エンコーダの外径以上にしている。 【0013】 【作用】上述の様に構成する本発明の回転速度検出装置付転がり軸受ユニットの場合には、何れも、転がり軸受ユニットの組立作業に先立って、第二のシールリングを外輪又は第二の内輪部材に、エンコーダを第二の内輪部材に、それぞれ装着しておける。即ち、第二のシールリングを外輪又は第二の内輪部材に装着し、エンコーダを第二の内輪部材に装着した状態で、外輪の内側に第一、第二の内輪部材を、複数個の転動体を介在させた状態で挿入し、これら両内輪部材同士を結合してハブとすると共に、このハブを上記外輪の内側に回転自在に支持できる。第二のシールリングを外輪又は第二の内輪部材に、エンコーダを第二の内輪部材に、それぞれ装着する作業は、外輪及び第二の内輪部材の部品単体の状態で行なえるので、これらエンコーダ及び第二のシールリングの装着作業を容易に行なえる。 【0014】 【発明の実施の形態】図1〜2は、請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、図示の例は何れも、転がり軸受ユニットを構成し、前輪と共に回転するハブ6aにエンコーダ23を外嵌固定すると共に、このエンコーダ23とセンサを組み込んだセンサユニット47とを組み合わせて回転速度検出装置を構成しているだけでなく、上記ハブ6aを構成する、それぞれが炭素鋼製の第一の内輪部材4aと第二の内輪部材5aとを、大きなトルクを伝達自在として確実に結合自在な結合構造を採用している。前述の図6に示した従来構造とは異なる、この様な結合構造を採用している理由は、次の通りである。 【0015】即ち、図6に示した従来構造の場合には、第一、第二の内輪部材4、5同士の結合強度を確保する事が難しく、実用化が難しい。何となれば、第一、第二の内輪部材4、5同士の結合部には、自動車を走行させる為に大きなトルクが加わる。この様に大きなトルクに拘らず、上記結合部で上記第一、第二の内輪部材4、5同士が相対回転する事を防止する為には、上記第一、第二の内輪部材4、5同士を嵌合させただけでは不十分である。従って、実際には、上記第二の内輪部材5の一端面外周縁部と上記第一の内輪部材4の内周面に形成した段部16の内周縁部との間に施した溶接17部分により、上記トルクを支承する必要がある。 【0016】一方、上記溶接17の近傍部分には第一の内輪軌道8が存在する。上記溶接17部分の強度を十分に確保する為には、この溶接17を、厚肉の全周肉盛り溶接にする事が好ましい。ところが、上記溶接17を厚肉の全周肉盛り溶接にすると、上記第一の内輪軌道8部分に熱変形による歪みが発生し、車輪用転がり軸受ユニットとしての性能が悪化する。より具体的には、運転時に振動が発生し易くなる他、十分な耐久性を得られない。又、溶接時の熱により、上記第一の内輪軌道8の焼きが戻ってしまい、この第一の内輪軌道8に硬度を十分に維持できなくなり、この第一の内輪軌道8の転がり疲れ寿命が低下する。図示の実施の形態は、何れも、上述の様な不都合を解消して、小型且つ軽量に構成できる、実用的な回転速度検出装置付転がり軸受ユニットを提供自在としている。 【0017】回転速度検出装置を組み込む事に関連して、前記エンコーダ23とセンサユニット47との組み付け部の構造を、第二のシールリングである内側(車両への組み付け状態で幅方向中央寄りとなる側を言い、図1の右側)のシールリング19bとの関係で工夫した点、並びに上述した第一、第二の内輪部材4a、5a同士の結合部分の構造以外の部分の構造及び作用は、前述の図6に示した従来構造と同様であるから、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。 【0018】本発明の回転速度検出装置付転がり軸受ユニットを構成する上記第一の内輪部材4aの内周面には、一端寄り(図1の左端寄り)部分の大径部25と、他端寄り(図1の右端寄り)部分の小径部26と、これら大径部25と小径部26とを連続させる連続部27とを設けている。この連続部27は、上記小径部26から大径部25に向かうに従って漸次内径が大きくなるテーパ面状に形成している。この様な連続部27には、セレーション溝を形成し、更に高周波焼き入れ等の焼き入れ硬化処理を施している。又、上記連続部27の大径側端部と上記大径部25との間には、段部28を設けている。 【0019】一方、上記第二の内輪部材5aの一端寄り部分には、上記小径部26の内側にがたつきなく挿入自在な円筒部9aを設けている。等速ジョイントを構成する為のハウジング部10、並びに上記円筒部9aの基半部(図1の右半部)で上記小径部26の内側に内嵌する部分には、高周波焼き入れ等の焼き入れ硬化処理を施している。これに対して、上記円筒部9aの先半部(図1の左半部)には、この様な焼き入れ硬化処理を施さず、生のままとしている。この様な円筒部9aの外周面は、上記第一、第二の内輪部材4a、5aを結合する以前の状態では、単一円筒面状(ストレート形状)としている。 【0020】上述の様に構成する第一、第二の内輪部材4a、5a同士を結合固定してハブ6aとするには、先ず、第二の内輪部材5aの円筒部9aに第一の内輪部材4aの小径部26をがたつきなく外嵌し、この小径部26の先端面(図1の右端面)を、上記円筒部9aの基端部外周に設けた段部29に突き当てる。そして、上記第一の内輪部材4aをこの段部29に突き当てたまま、上記円筒部9aの先半部を直径方向外方に向け強くかしめ広げ、更に上記円筒部9aの先端部を、上記段部28に向け更にかしめ広げて、この段部28を抑え付ける。上記円筒部9aの先半部は生のままであるので、直径方向外方へのかしめ広げ作業に伴い、前記連続部27に形成したセレーション溝が、上記円筒部9aの先半部外周面に食い込む。この状態で上記第一、第二の内輪部材4a、5a同士は、上記円筒部9aの先半部外周面と連続部27との間で、円周方向に亙り凹凸係合する。従って、上記第一、第二の内輪部材4a、5a同士の間で、大きなトルクを伝達自在となる。尚、上記第一の内輪部材4aをこの段部29に突き当てた状態で各転動体12、12に適正な予圧が付与される様に、上記段部29等の位置を規制している。又、自動車の旋回運動によって、転がり軸受ユニットにモーメント荷重が付加されると、第二の内輪部材5aの段部29の根元の隅R部には大きな応力が発生する。この様な応力に耐え得る様にすべく、上記隅R部には、十分な深さを有する焼き入れ硬化層を設けると共に、上記隅R部を隔板部20を直径方向に延長した仮想空間内に配置し、上記隅R部を含む部分の断面係数を十分に大きくする設計を行なう。 【0021】又、本例の回転速度検出装置付転がり軸受ユニットの場合には、上記円筒部9aの先端縁と、上記第一の内輪部材4aの内周面の一部で第二の取付フランジ7の内径側に位置する部分との間に、溶接17aを施している。この溶接17aには、第一、第二の内輪部材4a、5a同士の間でのトルク伝達の役目を持たせる必要はなく、後述する様に、上記円筒部9aの先半部の直径が縮まるのを防止できれば足りる。従って、上記第一の内輪部材4aの外周面他端寄り部分に形成した第一の内輪軌道8に熱による影響が生じない様に、小さな肉盛溶接、或は円周方向に亙り間欠的なスポット溶接を施せば足りる。 【0022】更に、上記第二の内輪部材5aの中間部外周面で、第二の内輪軌道11よりも少しだけハウジング部10に寄った部分には、円筒面部30を形成している。この円筒面部30は、上記第二の内輪部材5aと同心である。そして、この円筒面部30に、前記エンコーダ23を、締り嵌めにより外嵌固定している。このエンコーダ23は、表面にクロムメッキ処理若しくは亜鉛メッキ処理等の防蝕処理を施した軟鋼板、或はSUS420、430等の磁性を有するステンレス鋼板等、防蝕性を有する磁性金属板により、断面L字形で全体を円筒状に形成している。即ち、上記エンコーダ23は、円筒部31と、この円筒部31の内端部を直径方向外方に向け直角に折り曲げる事により外向フランジ状に形成した鍔部32とから成る。又、上記円筒部31の外半部(車両への組み付け状態で幅方向外側と成る半部を言い、図1〜2の左半部)には、それぞれが軸方向(図1〜2の左右方向)に長いスリット状の透孔33を、円周方向に亙り等間隔で多数形成して、上記円筒部31の外半部の磁気特性を、円周方向に亙って交互に且つ等間隔で変化させている。この様なエンコーダ23は、上記鍔部32を上記円筒面部30の内端部に形成した段部34に突き当てた状態で、この円筒面部30に外嵌固定している。 【0023】一方、外輪1aの内端部には、カバー18cを外嵌固定している。このカバー18cは、鋼板、ステンレス鋼板等の金属板を断面L字形で全体を円環状に形成したスリーブ35と、合成樹脂製のカバー本体36とから成る。このカバー本体36は、断面クランク形で全体を円環状に形成している。又、このカバー本体36の円周方向の一部で内半部(図1〜2の右半部)には、厚肉の保持部37を設けている。又、外半部側に存在する内径の大きな嵌合筒部38と、上記保持部37の内径側部分に対応する部分に全周に亙って存在する、上記嵌合筒部38に比較して小径の内径側筒部とを、段部39により連続させている。上記スリーブ35は、上記カバー本体36を射出成形する際に、上記嵌合筒部38の内半部から段部39に掛け渡す状態で、且つ上記カバー本体36から露出する状態でインサートしている。又、前記シールリング19bを構成する芯金40の外周側部分は、やはり上記カバー本体36を射出成形する際に、上記内径側筒部の内端部に包埋支持している。この為に図示の例では、上記内径側筒部の内端部内周縁部を、直径方向内方に少し突出させている。尚、上記シールリング19bは、上記芯金40の内周縁部に、ゴム、エラストマー等の弾性材製のシールリップ41の外周寄り基部を結合して成る。 【0024】上述の様なカバー18cは、上記スリーブ35を上記外輪1aの内端部外周面に形成した円筒面部42に締り嵌めで外嵌する事により、上記外輪1aの内端部に支持固定している。この状態で上記シールリップ41の先端縁は、上記エンコーダ23を構成する円筒部31の内半部外周面と鍔部32の外側面とに、全周に亙って摺接する。そして、上記カバー18cの内周縁と上記エンコーダ23の外周面との間に存在する環状隙間から、泥水等の異物が上記カバー18c及び外輪1aの内側に入り込む事を防止する。尚、上記シールリップ41の先端縁を第二の内輪部材5aに直接摺接させずに上記エンコーダ23に摺接させる理由は、軸受鋼等、腐蝕により表面を円滑面に維持しにくい材料により造られた第二の内輪部材5aに比べて、上記エンコーダ23は錆びにくく、表面を円滑面に維持し易い為である。 【0025】又、前記嵌合筒部38の外端開口部内周縁には、面取り部43を形成しており、この面取り部43と、上記円筒面部42と、この円筒面部42の端部から直径方向外方に折れ曲った段部44との間で、Oリング45を弾性的に圧縮している。このOリング45は、上記カバー18cと外輪1aとの嵌合部から、泥水等の異物が上記カバー18c及び外輪1aの内側に入り込む事を防止する。又、上記円筒部31の外径は、軸方向に関する全長に亙って等しい。従って、本例の場合には、前記多数の透孔33を形成した部分の外径と、上記シールリップ41の先端縁と円筒部31の内半部外周面との摺接部の直径とは互いに等しい。 【0026】更に、前記カバー本体36を構成する保持部37の一部で、上記エンコーダ23を構成する円筒部31の外半部に形成した多数の透孔33に対向する部分には、断面形状が円形である挿入孔46を、上記保持部37の外周側面から内周側面にまで貫通する状態で形成している。そして、上記挿入孔46の内側にセンサユニット47を、この挿入孔46を外径側から内径側に向けて挿通している。このセンサユニット47は、永久磁石と、MR素子、ホール素子等、磁束の密度変化に対応して出力を変化させる磁気検知素子と、この磁気検知素子の出力波形を整える波形整形回路を構成するICとを、合成樹脂製のホルダ中に包埋する事により構成している。この様なセンサユニット47は、内径側端面(図1〜2の下端面)を上記円筒部31の外半部に、ラジアル方向に亙る微小隙間48を介して対向させている。上記磁気検知素子内を流れる磁束の密度は、上記内径側端面が対向する部分を、上記透孔33と円周方向に隣り合う透孔同士の間に存在する柱部とが交互に通過する事により変化し、その結果、上記磁気検知素子の出力が変化する。この様に出力が変化する周波数は、上記エンコーダ23を外嵌固定し、車輪と共に回転するハブ6aの回転速度に比例するので、上記出力を図示しない制御器に入力すれば、ABSやTCSを適切に制御できる。 【0027】尚、上記センサユニット47の中間部外周面に形成した係止溝49内にはOリング50を装着して、上記センサユニット47の外周面と上記挿入孔46の内周面との間の隙間を塞ぎ、泥水等の異物が上記カバー18c及び外輪1aの内側に入り込む事を防止している。又、上記センサユニット47の外径側端部には、外向フランジ状の鍔部51を形成している。上記センサユニット47を上記挿入孔46内に挿入し、更に上記鍔部51の内径側側面(図1〜2の下面)を前記保持部37の外周面に当接させた状態で、上記鍔部51の外径側側面(図1〜2の上面)は、抑えばね52の中間部に設けた抑え部により上記保持部37の外周側面に向け抑え付けている。この抑えばね52は全体を門型に形成したもので、その両基端部は、上記保持部37の円周方向両側面に枢支している。上記センサユニット47を上記挿入孔46に挿入する際には、上記抑えばね52をこの挿入孔46の外径側端部開口から側方に退避させておく。そして、上記鍔部51の内径側側面と上記保持部37の外周側面に当接させた後、上記抑えばね52の抑え部を上記鍔部51に乗り上げさせて、上記鍔部51を上記保持部37の外周側面に抑え付ける。 【0028】上述の様に構成する本発明の回転速度検出装置付転がり軸受ユニットの場合には、転がり軸受ユニットの組立作業に先立って、前記シールリング19bを結合支持したカバー18cを前記外輪1aに、前記エンコーダ23を前記第二の内輪部材5aに、それぞれ装着しておける。即ち、上記シールリング19bを結合支持したカバー18cを外輪1aに装着し、上記エンコーダ23を上記第二の内輪部材5aの中間部に外嵌固定した状態で、上記外輪の内側に第一、第二の内輪部材4a、5aを、複数個の転動体12、12を介在させた状態で挿入できる。そして、挿入後、これら両内輪部材4a、5a同士を、前記円筒部9aの先端部を直径方向外方にかしめ広げ、更に溶接17aを施す事により結合して、ハブ6aとすると共に、このハブ6aを上記外輪1aの内側に回転自在に支持できる。上記シールリング19bを結合支持したカバー18cを外輪1aに、上記エンコーダ23を上記第二の内輪部材5aに、それぞれ装着する作業は、上記外輪1a及び第二の内輪部材5aの部品単体の状態で行なえるので、これらエンコーダ23及びカバー18cの装着作業を容易に行なえる。尚、前記センサユニット47を外輪1aに装着する作業は、転がり軸受ユニットの組立作業の完了後に行なう。従って、上記センサユニット47の先端部で上記外輪1aの内周面から突出している部分が、上記組立作業の妨げとなる事はない。 【0029】しかも、図示の例の場合には、前記円筒部9aの先半部外周面と連続部27に形成したセレーション溝との係合に基づき、上記第一、第二の両内輪部材4a、5a同士を、相対回転を確実に防止した状態で結合できる。又、上記円筒部9aの先半部でセレーション溝と係合した部分の内径が小さくなる事は、上記円筒部9aの先端縁と第一の内輪部材4aの内周面との間に施した溶接17aにより防止する。従って、上記円筒部9aの先半部が、直径が小さくなる方向に変形する事を防止して、上記先半部の外周面と上記セレーション溝との係合が外れる事を確実に防止できる。この結果、長期間に亙る使用によっても、上記第一、第二の両内輪部材4a、5a同士を、相対回転を確実に防止した状態で結合したままに保持できて、等速ジョイントを介しての前輪の回転駆動を確実に行なえる。 【0030】尚、図示の例では、エンコーダ23を防蝕性を有する磁性金属板により造り、このエンコーダ23の表面にシールリップ41の先端縁を摺接させている。この様に構成すれば、この先端縁が摺接する面が錆びて荒れる事がない為、良好な密封性能を長期間に亙り維持する構造を実現できる。但し、別途設けたカバー等、他の部分である程度の密封性能を維持できるか、或は第二の内輪部材5aの材質が錆びにくいものであれば、上記シールリップ41の先端縁を上記第二の内輪部材5aの外周面に直接摺接させる事もできる。この場合、例えば、上記第二の内輪部材5aの中間部外周面に、大径円筒部と小径円筒部とこれら両円筒部同士を連続させる段部若しくは傾斜部とを形成し、円筒状に形成したエンコーダをこのうちの小径円筒部に外嵌固定し、シールリップの先端縁を大径円筒部に摺接させる。この様な構造を採用する場合も、上記小径円筒部に外嵌固定したエンコーダの外径を上記大径円筒部の外径以下にすれば、図示の例と同様に、構成各部材の装着作業を容易にできる。 【0031】次に、図3は、やはり請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、エンコーダ23aとして、保持筒54の外半部(図3の左半部)に短円筒状の永久磁石53を支持固定したもの使用している。上記保持筒54は、上述した第1例のエンコーダ23(図1〜2)を構成したのと同様の、耐蝕性を有する磁性金属板により構成している。上記保持筒54は、上記エンコーダ23と同様に、円筒部31aと、この円筒部31aの内端部を直径方向外方に向け直角に折り曲げる事により外向フランジ状に形成した鍔部32aとから成る。但し、本例の構造を構成する保持筒54の円筒部31aは、外半部の小径部55と内半部の大径部56とを段部57により連続させて成る。 【0032】上記永久磁石53は、このうちの小径部55の外周面に、締り嵌めによる外嵌、接着、焼き付け等、適宜の手段により固定している。上記永久磁石53は直径方向に亙り着磁されている。又、着磁方向は、円周方向に亙って交互に且つ等間隔で変化させている。従って、上記永久磁石53の外周面には、S極とN極とが交互に、且つ等間隔で配置されている。この様な永久磁石53とセンサユニット47の検出面とを微小隙間48を介して対向させると、このセンサユニット47内に設けた磁気検出素子を流れる磁束の方向が、上記エンコーダ23aの回転速度に比例した周波数で変化する為、回転速度を検出できる。本例の場合、上記永久磁石53を上記小径部55の外周面に保持固定した状態で、この永久磁石55の外径は、シールリップ41の先端縁と相手面との摺接部分、即ち、上記大径部56の外周面の直径以下としている。従って、本例の場合も、転がり軸受ユニットの組立作業に先立って、前記シールリング19bを結合支持したカバー18cを前記外輪1aに、前記エンコーダ23を前記第二の内輪部材5aに、それぞれ装着しておけるので、これらエンコーダ23及びカバー18cの装着作業を容易に行なえる。その他の構成及び作用は、前述した第1例の場合と同様であるから、重複する説明を省略する。 【0033】次に、図4は、請求項2に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、第二のシールリングであるシールリング19cは、芯金40aの外径側にシールリップ41aを装着する事により構成している。このうちの芯金40aは、鋼板、ステンレス鋼板等の金属板にプレス加工を施し、断面L字形で全体を円環状に形成したもので、第二の内輪部材5aの中間部外周面に形成した円筒面部30の内半部に、締り嵌めにより外嵌固定している。又、上記シールリップ41aは、ゴム、エラストマー等の弾性材により造り、上記芯金40aの外周縁部に、全周に亙って添着している。 【0034】又、上記円筒面部30の外半部にはエンコーダ23bを、締り嵌めにより外嵌固定している。このエンコーダ23bは、軟鋼板等の磁性金属板により、断面L字形で全体を円筒状に形成している。即ち、上記エンコーダ23bは、円筒部58と、この円筒部58の外端部を直径方向外方に向け直角に折り曲げる事により外向フランジ状に形成した円輪部59とから成る。そして、この円輪部59に、それぞれが放射方向(図4の上下方向)に長いスリット状の透孔33aを、円周方向に亙り等間隔で多数形成して、上記円輪部59の磁気特性を、円周方向に亙って交互に且つ等間隔で変化させている。この様に円輪部59の磁気特性を変化させている事に伴い、外輪1aに装着したセンサユニット47aの検出面を、このセンサユニット47aの先端部外側面(図4の下端部左側面)に設けている。 【0035】又、外輪1aの内端部に外嵌固定するカバー18d中に包埋するスリーブ35aは、上記外輪1aの内端部に外嵌固定する部分だけでなく、このカバー18dを構成する合成樹脂製のカバー本体36aの内端面内径側部分、並びに内周面内端寄り部分にも露出させている。そして、これら内端面内径側部分並びに内周面内端寄り部分に露出した上記スリーブ35aに、上記シールリップ41aの先端縁を、全周に亙って摺接させている。上記エンコーダ23bの外径D23b は、前記シールリップ41aの先端縁と相手面との摺接部である、前記スリーブ35aの内径R35a 以下にして(D23b ≦R35a )、このスリーブ35aの内径側を上記エンコーダ23bが通過自在としている。従って、本例の場合には、転がり軸受ユニットの組立作業に先立って、上記カバー18dを上記外輪1aに、前記シールリング19c及び上記エンコーダ23bを第二の内輪部材5aに、それぞれ装着しておけるので、これらカバー18d、シールリング19c、エンコーダ23bの装着作業を容易に行なえる。その他の構成及び作用は、前述した第1例の場合と同様であるから、重複する説明を省略する。 【0036】次に、図5は、やはり請求項2に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、エンコーダ23cとして、保持環60を構成する円輪部61の内側面に、ゴム磁石等の円輪状の永久磁石53aを、接着、焼き付け、自身の磁気吸引力等により結合支持したもの使用している。この永久磁石53aは、軸方向(図5の左右方向)に亙り着磁している。又、着磁方向は、円周方向に亙って交互に且つ等間隔で変化させている。従って、上記永久磁石53aの内側面には、S極とN極とを交互に、且つ等間隔で配置している。又、本例の場合には、センサユニット47を装着する為の挿入孔46aを、外輪1aの内端部に直接形成している。上述した第3例の様なカバー18d(図4)は設けていない。これに伴って、シールリング19cを構成するシールリップ41aの先端縁を、外輪1aの内端面及び内周面内端部に摺接させている。そして、上記保持環60の外径D60を、上記外輪1aの内端部の内径R1aよりも小さくして(D60≦R1a)、この外輪1aの内端部内側に上記エンコーダ23cを挿入自在としている。従って、本例の場合も、転がり軸受ユニットの組立作業に先立って、上記シールリング19c及び上記エンコーダ23bを第二の内輪部材5aに装着しておけるので、これらシールリング19c及びエンコーダ23bの装着作業を容易に行なえる。その他の構成及び作用は、上述した第3例の場合と同様であるから、重複する説明を省略する。尚、本発明を実施する場合に、センサ及びエンコーダの種類は、図示のような磁気式のものに限定しない。渦電流式等、他の構造の回転速度検出装置を構成するセンサ及びエンコーダを採用する事もできる。 【0037】 【発明の効果】本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、小型且つ軽量に構成できて、しかも実用的且つ組立容易な回転速度検出装置付転がり軸受ユニットを提供できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004204 【氏名又は名称】日本精工株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月4日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】小山 武男 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−23600 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月29日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−179944 |
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