| 【発明の名称】 |
走査型プローブ顕微鏡 |
| 【発明者】 |
【氏名】酒井 信明
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| 【要約】 |
【課題】カンチレバーから外れる光による光学的影響を受けること無く、カンチレバーからの反射光を安定して取り込むことによって、カンチレバーの変位を正確に検出することが可能な走査型プローブ顕微鏡を提供する。
【解決手段】自由端に探針13が形成されたカンチレバー12と、このカンチレバーの変位状態を光学的に検出するように、カンチレバーに向けてレーザー光17を出射可能なレーザーダイオード14及びカンチレバーからの反射光を受光可能な2分割フォトディテクタ18を有する変位センサと、レーザーダイオードからカンチレバーに向けて出射されたレーザー光のうち、カンチレバー以外の領域に拡がる光の反射方向を一定方向に規制するレバー構造体12aとを備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カンチレバーと、このカンチレバーの変位状態を光学的に検出するように、カンチレバーに向けて変位検出光を出射可能な発光素子及びカンチレバーからの反射光を受光可能な受光素子を有する変位センサと、この変位センサの発光素子からカンチレバーに向けて出射された変位検出光のうち、カンチレバー以外の領域に拡がる光の反射方向を一定方向に規制する規制ユニットとを備えていることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 【請求項2】 前記規制ユニットは、カンチレバーの周囲に沿って延出したレバー構造体を備えていることを特徴とする請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡。 【請求項3】 前記規制ユニットは、カンチレバーの両側に夫々独立して延出したレバー構造体を備えていることを特徴とする請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば原子オーダーの分解能で試料の表面情報を測定するための走査型プローブ顕微鏡に関する。 【0002】 【従来の技術】走査型プローブ顕微鏡は、自由端に尖鋭化した探針を有するカンチレバーと、探針と試料とを相対的に移動させるスキャナとを備えている。そして、探針を試料に対向して近接させると、探針先端と試料表面との間に働く相互作用(原子間力、斥力、引力、粘性、磁気力など)によって、カンチレバーの自由端が変位する。この自由端に生じる変位量を電気的あるいは光学的に検出しながら、探針を試料表面に沿って相対的に走査することによって、試料の表面情報等(例えば、凹凸情報)を三次元的に測定している。 【0003】このような走査型プローブ顕微鏡に用いられるカンチレバーとしては、極めて微弱な相互作用を検出できるように、できるだけ柔軟である一方、共振周波数が高いことが望まれている。従って、このような相反する要求を満足するために、カンチレバーは、可能な限り小型化することが望まれている。実際には、幅40μm、長さ100〜200μm程度のカンチレバーが多用されている。 【0004】このような小型のカンチレバーの変位を検出するための装置としては、例えば特開平3−296612号公報に開示されたような光てこ方式の変位センサが一般的に用いられている。 【0005】図3(a)には、特開平3−296612号公報に開示された変位センサの構成が示されており、この変位センサに対向配置されたカンチレバー2は、その基端がホルダ1に支持されており、その自由端が変位自在になっている。 【0006】このような変位センサにおいて、光源4(レーザーダイオード)から出射したレーザー光7を絞り5から集光レンズ6を介してカンチレバー2の背面(探針3が形成された面とは反対側の面)に集光させると、カンチレバー2が変位していない場合には、カンチレバー2からの反射光は、2分割フォトディテクタ8の中心に入射する。 【0007】これに対して、探針3先端と試料表面との間に働く相互作用によって、カンチレバー2の自由端が変位すると、その変位量に対応して、2分割フォトディテクタ8上のスポット位置が変動する。 【0008】2分割フォトディテクタ8は、スポット位置の変化に対応した電気信号を出力することができるようになっているため、この電気信号に基づいて差動アンプ9から出力される変位信号を計測することによって、カンチレバー2の変位を検出することができる。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】ところで、カンチレバー2の背面に集光させるレーザー光7のスポット径は、一般的に、大きければ大きい程良いとされている。なぜなら、大きなスポットをカンチレバー2の背面に集光させた場合には、カンチレバー2の背面の粗さに対応した反射光の光学的変化が平均化されるため、カンチレバー2からの反射光の反射方向が一方向に規制されるからである。 【0010】現状において、幅40μm程度のカンチレバー2に対して、実際のスポット径は、約40μm程度に設定されている。なぜなら、スポット径を40μm以上にすると、レーザー光7の一部が漏れ光となって、カンチレバー2から外れて試料に照射されてしまう。そして、漏れ光が試料表面に照射されると、試料表面の凹凸形状や反射率の相違等に対応した反射光や散乱光が試料から発生して、2分割フォトディテクタ8に入射してしまう。このような反射光や散乱光が2分割フォトディテクタ8に入射すると、その反射光や散乱光の光量変化に対応した電気信号が、ノイズとなって上記の変位信号に重畳され、カンチレバー2の変位を正確に検出できなくなってしまうからである。 【0011】しかしながら、カンチレバー2に集光させるレーザー光7のスポットは、実際には、図3(b),(c)に示すような強度分布を有している。即ち、全光量の約97%以上を占めるエアリーディスク、約2%程度の1次回折光、約0.5%程度の2次回折光、そして、3次以上の回折光(図示しない)となっている。 【0012】このため、図4(a),(b)に示すように、レーザー光7のスポット径(一般的に、スポット径とは、エアリーディスク径を示す)を約40μm程度に設定した場合でも、全光量に対して約2%以上の光(1次回折光以上の光)がカンチレバー2からはみ出して試料10に照射されてしまう。 【0013】そして、カンチレバー2からはみ出した光が試料10表面に照射されると、試料10表面の凹凸形状や反射率の相違等に対応した反射光や散乱光が試料10から発生して、2分割フォトディテクタ8に入射してしまう。このような反射光や散乱光が2分割フォトディテクタ8に入射すると、その反射光や散乱光の光量変化に対応した電気信号が、ノイズとなって上記の変位信号に重畳され、カンチレバー2の変位を正確に検出できなくなってしまう。 【0014】本発明は、上述の問題を解決するために成されており、その目的は、カンチレバーから外れる光による光学的影響を受けること無く、カンチレバーからの反射光を安定して取り込むことによって、カンチレバーの変位を正確に検出することが可能な走査型プローブ顕微鏡を提供することにある。 【0015】 【課題を解決するための手段】このような目的を達成するために、本発明の走査型プローブ顕微鏡は、カンチレバーと、このカンチレバーの変位状態を光学的に検出するように、カンチレバーに向けて変位検出光を出射可能な発光素子及びカンチレバーからの反射光を受光可能な受光素子を有する変位センサと、この変位センサの発光素子からカンチレバーに向けて出射された変位検出光のうち、カンチレバー以外の領域に拡がる光の反射方向を一定方向に規制する規制ユニットとを備えている。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態に係る走査型プローブ顕微鏡について、図1及び図2を参照して説明する。本実施の形態の走査型プローブ顕微鏡に適用可能な測定法としては、探針接触圧設定時のカンチレバーの撓み状態を一定に維持しながら、カンチレバーを励振させること無く探針を試料に沿って走査することによって、試料の表面情報を測定するスタティックモード測定法と、所定の共振周波数でカンチレバーを励振させた状態において、例えば振動中心と試料表面との間の距離を一定に維持しながら、探針を試料に沿って走査することによって、試料の表面情報を測定するダイナミックモード測定法とが知られているが、以下の説明では、両測定法を総称して単にSPM測定ということとする。 【0017】また、走査型プローブ顕微鏡は、固定した試料に対して探針を所定方向に移動させることによって、試料の表面情報をSPM測定する探針走査型と、固定した探針に対して試料を所定方向に移動させることによって、試料の表面情報をSPM測定する試料走査型とに大別されるが、いずれにも本実施の形態に適用することができる。 【0018】なお、探針走査型の走査型プローブ顕微鏡は、スキャナ(例えば、チューブ型圧電体スキャナ)の可動端にカンチレバーが取り付けられており、スキャナに印加する電圧を制御することによって、探針を試料に沿って所定方向に所定量だけ移動させることができるように構成されている。一方、試料走査型の走査型プローブ顕微鏡は、スキャナの可動端に試料を載置することができるようになっており、スキャナに印加する電圧を制御することによって、試料を探針に対して所定方向に移動させることができるように構成されている。 【0019】図1(a),(b)及び図2(a)に示すように、本実施の形態の走査型プローブ顕微鏡は、自由端に探針13が形成されたカンチレバー12と、このカンチレバー12の変位状態を光学的に検出するように、カンチレバー12に向けて変位検出光を出射可能な発光素子及びカンチレバー12からの反射光を受光可能な受光素子を有する変位センサと、この変位センサの発光素子からカンチレバー12に向けて出射された変位検出光のうち、カンチレバー12以外の領域に拡がる光の反射方向を一定方向に規制する規制ユニットとを備えている。 【0020】なお、カンチレバー12及び後述するレバー構造体12aは、共に、半導体プロセスに基づいてシリコンウエハを加工することによって、容易に一体で製造することができる。例えば、シリコンウエハ上にシリコン酸化膜若しくはシリコン窒化膜で図1(b)に示される形状のマスクを施した後、このマスク部分を残すようにエッチング処理を行うことによって、容易にカンチレバー12及びレバー構造体12aを一体成形することができる。 【0021】本実施の形態の変位センサにおいて、発光素子としては、レーザーダイオード14を適用しており、受光素子としては、2分割フォトディテクタ18(4分割フォトディテクタでも良い)を適用している。 【0022】変位センサには、レーザーダイオード14から出射されたレーザー光のうち、全光量の約97%以上を占めるエアリーディスクをカンチレバー12の背面(探針13が形成された面とは反対側の面)に集光させるための絞り15及び集光レンズ16が設けられている。 【0023】また、カンチレバー12は、その基端がホルダ11に支持されており、その自由端が変位自在になっている。なお、このカンチレバー12の背面は、反射率を上げるためのコーティングが施されている。 【0024】本実施の形態の規制ユニットは、カンチレバー12の周囲に沿って延出したレバー構造体12aを備えている。このレバー構造体12aは、ホルダ11に支持されており、カンチレバー12の変位状態に影響されること無く、常時、一定の姿勢を維持し続けることができるように構成されている。 【0025】また、レバー構造体12aは、レーザーダイオード14から絞り15及び集光レンズ16を介してカンチレバー12の背面に向けて集光したレーザー光17のうち、エアリーディスク以外の回折光を一定方向に反射させることが可能な形状寸法を有している。例えば、レバー構造体12aの反射面には、反射率及び反射方向が一定となるようなコーティングを施すことが好ましい。 【0026】本実施の形態では、その一例として、レバー構造体12aは、少なくとも1次回折光を一定方向に反射させることが可能な形状寸法を有しており(図1(b)参照)、具体的には、幅寸法が40μmのカンチレバー12に対して径寸法が40μmのエアリーディスクを集光させた場合を想定すると、レバー構造体12aの幅寸法は、少なくとも1次回折光を一定方向に反射させることが可能な70μm以上に設定されている。 【0027】なお、このレバー構造体12aの幅寸法は、その一例であって、これ以外に、2次回折光以上の光をも同時に一定方向に反射させる必要がある場合には、これに対応してレバー構造体12aの幅寸法を大きくすれば良い。 【0028】このような構成において、レーザーダイオード14から絞り15及び集光レンズ16を介してカンチレバー12の背面にレーザー光(エアリーディスク)17を集光させると、カンチレバー12が変位していない場合には、カンチレバー12からの反射光は、2分割フォトディテクタ18の中心に入射する。 【0029】これに対して、探針13先端と試料20表面との間に働く相互作用によって、カンチレバー12の自由端が変位すると、その変位量に対応して、2分割フォトディテクタ18上のスポット位置が変動する。 【0030】2分割フォトディテクタ18は、スポット位置の変化に対応した電気信号を出力することができるようになっているため、この電気信号に基づいて差動アンプ19から出力される変位信号を計測することによって、カンチレバー12の変位を検出することができる。 【0031】本実施の形態によれば、レバー構造体12aに入射した1次回折光は、このレバー構造体12aから反射した後、2分割フォトディテクタ18に入射するが、レバー構造体12aは、カンチレバー12の変位状態に影響されること無く、常時、一定の姿勢を維持し続けるため、レバー構造体12aからの1次回折光は、SPM測定中、常時、一定の角度で且つその光量が変化すること無く2分割フォトディテクタ18に入射する。 【0032】これに対して、カンチレバー12から反射したエアリーディスクの反射光は、カンチレバー12の変位状態に対応して、2分割フォトディテクタ18上のスポット位置が変化する。 【0033】つまり、2分割フォトディテクタ18上において、レバー構造体12aからの1次回折光の照射位置は、常時、変化しないて一定位置に維持されるが、カンチレバー12から反射したエアリーディスクのスポット位置は、カンチレバー12の変位状態に対応して、1次回折光の照射位置に対して変動する。 【0034】このため、2分割フォトディテクタ18から出力される電気信号のうち、1次回折光の光量に対応した信号成分は、SPM測定中、常時、一定の値に維持される。この結果、2分割フォトディテクタ18から出力される電気信号は、カンチレバー12からの反射光のスポット位置変化に対応した信号成分だけを反映したものとなる。 【0035】この場合、1次回折光の光量に対応して2分割フォトディテクタ18から出力される信号成分が、差動アンプ19から出力される変位信号にノイズとなって重畳されることは無い。 【0036】また、レーザーダイオード14から絞り15及び集光レンズ16を介してカンチレバー12の背面に向けて出射されたレーザー光17のうち、上記ノイズの原因となり得るエアリーディスク以外の回折光は、レバー構造体12aによって全て一定方向(具体的には、試料20を回避する方向)に反射されるため、試料20表面からの反射光や散乱光が2分割フォトディテクタ18に入射することを事前に防止することができる。 【0037】ただし、レバー構造体12aの幅寸法以上の領域に広がる高次の回折光(本実施の形態では、例えば2次回折光以上の回折光)が試料20に照射された場合でも、この試料20からの反射光や散乱光の光量は、0.5%以下の極めて弱く且つ無視できる程度の光量であるため、カンチレバー12の変位検出には、ほとんど影響しない。 【0038】更に言えば、上述の通り、高次の回折光は、レバー構造体12aの幅寸法以上の領域に広がりを有しており、試料20で反射された後に2分割フォトディテクタ18に入射しない光が存在する。この点からも高次の回折光は、極めて弱く且つ無視できる程度の光量であるため、カンチレバー12の変位検出には、ほとんど影響しない。 【0039】従って、本実施の形態によれば、カンチレバー12から外れる光による光学的影響を受けること無く、カンチレバー12からの反射光を安定して取り込むことによって、カンチレバー12の変位を正確に検出することが可能な走査型プローブ顕微鏡を実現することができる。 【0040】なお、レバー構造体12aの形状は、図1(b)に示すような一体構造を成す必要は無く、カンチレバー12以外の領域に拡がる光の反射方向を一定方向に規制することが可能であれば、例えば図2(b)に示すように、カンチレバー12の両側に夫々独立して延出させても、上記同様の作用効果を実現することができる。 【0041】 【発明の効果】本発明によれば、カンチレバーから外れる光による光学的影響を受けること無く、カンチレバーからの反射光を安定して取り込むことによって、カンチレバーの変位を正確に検出することが可能な走査型プローブ顕微鏡を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000376 【氏名又は名称】オリンパス光学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月23日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−271346 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月8日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−74506 |
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