| 【発明の名称】 |
走査型プローブ顕微鏡 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊東 修一
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| 【要約】 |
【課題】共振周波数が高く且つ剛性の高いスキャナを備えた走査型プローブ顕微鏡を提供する。
【解決手段】カンチレバー20の探針22を試料16表面に沿ってXY方向に走査させることが可能なXY走査機構24と、カンチレバーの探針を試料に対してZ方向に移動させることが可能なZ移動機構26と、XY走査機構とZ移動機構との間に設けられ且つカンチレバーの変位を検出することが可能な変位検出機構28とを備えている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カンチレバーの探針を試料表面に沿って水平方向に走査させることが可能な走査機構と、カンチレバーの探針を試料に対して垂直方向に移動させることが可能な移動機構と、走査機構と移動機構との間に設けられ且つカンチレバーの変位を検出することが可能な変位検出機構とを備えていることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 【請求項2】 前記変位検出機構は、カンチレバーに変位測定用光を照射可能な光源と、カンチレバーからの反射光を受光し、その受光量に対応した電気信号を出力可能な受光素子とを有する変位センサを備えており、変位センサは、1つのユニット体に収容保持され、このユニット体が、走査機構と移動機構との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば原子オーダーの分解能で試料の表面情報を測定することが可能な走査型プローブ顕微鏡に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope )の一例として、ビニッヒ(Binnig)やローラー(Rohrer)等によって、走査型トンネル顕微鏡(STM:Scanning Tunneling Microscope )が発明されている。しかし、STMでは、観察できる試料が導電性の試料に限られている。そこで、サーボ技術を始めとするSTMの要素技術を利用し、絶縁性の試料をナノメートルオーダーの分解能で観察できる装置として原子間力顕微鏡(AFM:Atomic ForceMicroscope)が提案されている(特開昭62−130302号公報参照)。 【0003】また、近年では、光学顕微鏡をAFMに組み込んで構成されたSPM装置が提案されており(特開平8−285865号公報参照)、このSPM装置は、例えば図4に示すように、カンチレバー2を試料4に対して移動させることが可能な電極が4分割された4分割スキャナ6と、探針12先端と試料4との間に働く相互作用(原子間力、摩擦力、吸着力、接触力など)に基づく、カンチレバー2の自由端の撓み変位を光学的に検出可能な光てこ方式のカンチレバー変位センサ8と、スキャナ6内に挿入され、カンチレバー2の走査領域(即ち、試料4表面)を光学的に観察可能な光学顕微鏡用対物レンズ10と備えている。 【0004】そして、対物レンズ10を介して走査領域にカンチレバー2の探針12を位置付けた後、変位センサ8からのZ変位信号に基づいてスキャナ6をZ方向にフィードバック制御しながら、例えば探針12先端と試料4表面との距離を一定に維持しつつ、探針12を試料4に沿ってXY走査させ、上記相互作用に基づく試料情報を検出して表示することができるようになっている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平8−285865号公報のSPM装置には、以下のような欠点がある。即ち、4分割スキャナ6の先端に変位センサ8及びカンチレバー2を共に搭載しているため、4分割スキャナ6の共振周波数が高くない。このため、4分割スキャナ6の走査速度を遅くせざるを得ず、この結果、測定時間を短縮化することができないといった問題がある。また、4分割スキャナ6の剛性が低いため、測定データに対して振動等の外乱ノイズの影響を受け易いといった問題もある。 【0006】本発明は、このような問題点を解決するために成されており、その目的は、共振周波数が高く且つ剛性の高いスキャナを備えた走査型プローブ顕微鏡を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】このような目的を達成するために、本発明の走査型プローブ顕微鏡は、カンチレバーの探針を試料表面に沿って水平方向に走査させることが走査機構と、カンチレバーの探針を試料に対して垂直方向に移動させることが可能な移動機構と、走査機構と移動機構との間に設けられ且つカンチレバーの変位を検出することが可能な変位検出機構とを備えている。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態に係る走査型プローブ顕微鏡について、図1を参照して説明する。なお、本実施の形態の走査型プローブ顕微鏡に適用可能な測定法としては、探針接触圧設定時のカンチレバーの撓み状態を一定に維持しながら、カンチレバーを励振させること無く探針を試料に沿って走査することによって、試料の表面情報を測定するスタティックモード測定法と、所定の共振周波数でカンチレバーを励振させた状態において、振動中心と試料表面との間の距離を一定に維持しながら、探針を試料に沿って走査することによって、試料の表面情報を測定するダイナミックモード測定法とが知られているが、以下の説明では、両測定法を総称して単にSPM測定ということとする。 【0009】図1に示すように、本実施の形態では、固定された試料台14上に載置した試料16に対してカンチレバー20先端の探針22を所定方向に移動(走査)させることによって、探針22先端と試料16との間に働く相互作用に基づいて、試料16の表面情報をSPM測定する探針走査型のプローブ顕微鏡18を想定している。 【0010】探針走査型のプローブ顕微鏡18は、カンチレバー20の探針22を試料16表面に沿ってXY方向(水平方向)に走査させることが可能なXY走査機構24と、カンチレバー20の探針22を試料16に対してZ方向(垂直方向)に移動させることが可能なZ移動機構26と、XY走査機構24とZ移動機構26との間に設けられ且つカンチレバー20の変位を検出することが可能な変位検出機構28とを備えている。 【0011】なお、Z移動機構26における「移動」とは、試料16の表面形状に応じて変化するカンチレバー20の撓み状態を一定に保つためのフィードバック制御におけるZ移動機構26を用いたカンチレバー20の「移動」を含むものとする。 【0012】XY走査機構24には、基端が固定ベース30に固定され且つ例えば電極32が4分割された円筒状の4分割型圧電体スキャナ34が適用されており、この4分割型圧電体スキャナ34は、所定の電圧を印加することによって、その先端(可動端)をXY方向に変位させることができるようになっている。 【0013】変位検出機構28は、4分割型圧電体スキャナ34の先端(可動端)に固定さており、カンチレバー20の背面(探針22が配置された面とは反対側の面)に変位測定用光を照射可能な光源(例えば、半導体レーザ)36と、カンチレバー20の背面からの反射光を受光し、その受光量に対応した電気信号を出力可能な受光素子38とを備えている。そして、光源36及び受光素子38等から成る変位センサは、共に、1つのユニット体40に収容保持されており、このユニット体40が、4分割型圧電体スキャナ34の先端(可動端)に固定されている。 【0014】Z移動機構26には、基端がユニット体40に固定され且つ例えば電極(図示しない)が分割されていないチューブ型圧電体スキャナ42が適用されており、このチューブ型圧電体スキャナ42は、所定の電圧を印加することによって、その先端(可動端)をZ方向に変位させることができるようになっている。 【0015】なお、カンチレバー20は、チューブ型圧電体スキャナ42の先端(可動端)に固定された保持部材44に支持されている。また、保持部材44には、光源36からの変位測定用光及びカンチレバー20の背面からの反射光が通過可能な開口44aが形成されており、カンチレバー20は、その先端(探針22)側の部分が開口44a中の光路上に位置付けられるように、保持部材44に支持されている。 【0016】次に、本実施の形態の動作について説明する。まず、例えばチューブ型圧電体スキャナ42の先端(可動端)をZ方向に変位させて、カンチレバー20の探針22を試料16表面に対して所定距離だけ近接させる。 【0017】次に、例えば4分割型圧電体スキャナ34の先端(可動端)をXY方向に変位させて、ユニット体40を所定の範囲でXY方向に移動させると、このユニット体40に収容保持された変位センサ(光源36及び受光素子38など)、及び、チューブ型圧電体スキャナ42、並びに、このチューブ型圧電体スキャナ42の先端に保持部材44を介して支持されたカンチレバー20は、共に一体的にXY方向に移動する。 【0018】このとき、カンチレバー20の探針22は、試料16表面に沿ってXY方向に走査され、試料16表面の凹凸状態に応じて探針22先端と試料16表面との間の相互作用(例えば、原子間力、斥力、引力、粘性、磁気力など)によって、カンチレバー20の先端が変位し、そのZ方向の角度が変化する。 【0019】このようなXY走査中、光源36から保持部材44の開口44aを介してカンチレバー20の背面に変位測定用光が照射されていると、カンチレバー20の先端の変位量(角度変化量)に応じて、カンチレバー20の背面からの反射光の反射角度が変化して、受光素子38上のスポット位置が変化する。 【0020】このとき、受光素子38からは、スポット位置変化に対応した電気信号即ち変位信号が出力され、図示しないフィードバック制御回路は、この変位信号が一定になるように(即ち、探針22先端と試料16表面との間の距離(若しくは、相互作用)が一定になるように)、チューブ型圧電体スキャナ42に制御電圧を印加して、その先端(可動端)をZ方向に変位制御する。この場合、チューブ型圧電体スキャナ42の先端(可動端)のZ方向変位量は、試料16表面の凹凸状態(若しくは、相互作用の変化)に対応しているため、XY走査中にフィードバック制御回路から出力される制御電圧に基づいて、チューブ型圧電体スキャナ42の先端(可動端)のZ方向変位量を検出することによって、試料16の表面凹凸情報(相互作用に基づく試料情報)を測定することができる。 【0021】本実施の形態において、カンチレバー20と変位センサ(光源36及び受光素子38)は、共に一体的にXYZ方向に移動する。従って、光源36からの変位測定用光がカンチレバー20の背面に照射され且つカンチレバー20の背面からの反射光が受光素子38上に照射されるように、カンチレバー20と変位センサとの間の位置関係を設定すれば、上記のようなXY走査を伴う測定中、光源36からの変位測定用光がカンチレバー20の背面から外れることは無い。 【0022】ところで、光源36は、図示しないが、例えば、半導体レーザ、レーザー出射方向調整機構、数個のレンズや数個の機械部品等により構成され、また、受光素子38は、図示しないが、例えば、4分割フォトダイオード、機械部品から成る2次元調整機構等により構成される。 【0023】この場合、変位センサ(光源36及び受光素子38など)全体の質量は、約40g程度になってしまうため、このような重量構造物である変位センサを従来技術(特開平8−285865号公報参照)のようにスキャナの先端に搭載すると(図4参照)、スキャナの共振周波数を高くすることができなくなってしまう。 【0024】そこで、本実施の形態では、このような重量構造物である変位センサを固定ベース30に接近させて配置するように、変位センサ(光源36及び受光素子38など)を収容保持したユニット体40を4分割型圧電体スキャナ34とチューブ型圧電体スキャナ42との間に配置し、且つ、カンチレバー20をチューブ型圧電体スキャナ42の先端(可動端)に配置した。なお、カンチレバー20の質量は、約10mg程度、保持部材44の質量は、約1g以下に設定できるため、これらカンチレバー20や保持部材44をチューブ型圧電体スキャナ42の先端(可動端)に取り付けても、チューブ型圧電体スキャナ42の共振周波数を低下させることは無い。 【0025】従って、本実施の形態の探針走査型のプローブ顕微鏡18によれば、従来技術に比べて、より高い共振周波数を得ることが可能となる。また、本実施の形態の探針走査型のプローブ顕微鏡18のうち、例えば固定ベース30からカンチレバー20までの全長が同一であると仮定して、変位センサ(光源36及び受光素子38など)を収容保持したユニット体40を固定ベース30から全長の約70%程度の位置に配置したとすると、振動学の公式から、共振周波数は、従来技術に比べて約1.7倍に向上させることができる。そして、このように共振周波数を高くすれば、走査速度を向上させることができるため、測定時間の短縮化を実現することができる。具体的には、測定時間を従来技術に比べて約43%程度短縮することができる。 【0026】また、共振周波数が約1.7倍に向上すると、4分割型圧電体スキャナ34及びチューブ型圧電体スキャナ42から成るスキャナ全体の弾性定数を従来技術に比べて約3倍程度に向上させることができる。この結果、従来技術と同一の外乱振動に対するスキャナ全体の変位量を約1/3程度に減少させることができるため、外乱振動に対して剛性の高いスキャナを実現することができる。 【0027】このように本実施の形態によれば、共振周波数が高く且つ剛性の高いスキャナを備えた走査型プローブ顕微鏡を提供することができる。なお、上述した実施の形態では、固定ベース30に固定された4分割圧電体スキャナ34の先端(可動端)に変位センサ(光源36及び受光素子38など)を収容保持したユニット体40を固定し、このユニット体40の下側にカンチレバー20を支持したチューブ型圧電体スキャナ42を配置したが、これに代えて、例えば、チューブ型圧電体スキャナ42を固定ベース30に固定し、4分割圧電体スキャナ34の先端(可動端)にカンチレバー20を支持しても良い。即ち、固定ベース30に固定されたチューブ型圧電体スキャナ42の先端(可動端)に変位センサ(光源36及び受光素子38など)を収容保持したユニット体40を固定し、このユニット体40の下側にカンチレバー20を支持した4分割圧電体スキャナ34を配置しても良い。 【0028】次に、本発明の第2の実施の形態に係る走査型プローブ顕微鏡について、図2を参照して説明する。なお、本実施の形態の説明に際し、第1の実施の形態と同一の構成には、同一符号を付して、その説明を省略する。 【0029】図2に示すように、本実施の形態は、探針走査型のプローブ顕微鏡18の改良であって、Z移動機構26には、基端がユニット体40に固定され且つ先端(可動端)に保持部材44を介してカンチレバー20を支持した積層型圧電体46が適用されている。 【0030】この積層型圧電体46は、所定の電圧を印加することによって、その先端(可動端)をZ方向に変位させることができるようになっている。また、カンチレバー20と光源36との間の光路中にハーフミラー48を介在させ、このハーフミラー48の近傍には、ハーフミラー48を介してカンチレバー26と試料16を観察するための光学顕微鏡50を配置している。ハーフミラー48は、支持部材52を介してユニット体40に固定されている。 【0031】なお、その他の構成は、第1の実施の形態と同一であるため、その説明は省略する。本実施の形態の走査型プローブ顕微鏡の動作は、第1の実施の形態と同一であるが、Z移動機構26として積層型圧電体46を用いたことによって、カンチレバー20の上側にスペースが形成され、装置の構成上の自由度が向上する。そこで、本実施の形態では、このスペースにハーフミラー48及び光学顕微鏡50を配置し、光学顕微鏡50からハーフミラー48を介してカンチレバー20及び試料16までの観察光路を形成している。このため、カンチレバー20をXYZ方向に走査中又はその前後において、光学顕微鏡50を用いてカンチレバー20及び試料16の観察や、カンチレバー20と試料16との間の位置関係を観察することが可能となる。また、光学顕微鏡50は、カンチレバー20及び試料16を表示するあめのモニタ(図示しない)を備えており、このモニタ上でカンチレバー20に照射されるレーザー光の位置調整を行うことができる。 【0032】なお、本実施の形態の他の作用効果は、第1の実施の形態と同一であるため、その説明は省略する。また、上述した第1及び第2の実施の形態の探針走査型のプローブ顕微鏡18は、いずれも図3に示すような測定装置に組み込むことが可能である。 【0033】例えば図3(a)に示された測定装置において、探針走査型のプローブ顕微鏡18は、観察光学系54と共にスライダ56に固定されており、このスライダ56は、固定台58上に立ち上げられた案内アーム60に沿って図中矢印S方向にスライド自在に構成されている。そして、固定台58には、試料16を載置可能な試料ステージ62が固定されている。 【0034】このような測定装置によれば、例えば観察光学系54によって試料16を観察した後、スライダ56をスライドさせて、探針走査型のプローブ顕微鏡18を試料16上に位置付けることによって、例えば観察光学系54で観察した試料16の観察部分のSPM測定を行うことができる。 【0035】また、例えば図3(b)に示された測定装置において、探針走査型のプローブ顕微鏡18は、観察光学系54と共に、固定台64上に立ち上げられたアーム66に固定されている。そして、固定台64には、試料16を載置した状態で図中矢印S方向に移動可能な試料ステージ68が設けられている。 【0036】このような測定装置によれば、例えば観察光学系54によって試料16を観察した後、試料ステージ68をスライドさせて、試料16を探針走査型のプローブ顕微鏡18の測定領域下に位置付けることによって、例えば観察光学系54で観察した試料16の観察部分のSPM測定を行うことができる。 【0037】 【発明の効果】本発明によれば、共振周波数が高く且つ剛性の高いスキャナを備えた走査型プローブ顕微鏡を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000376 【氏名又は名称】オリンパス光学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月23日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−271342 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月8日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−73923 |
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