| 【発明の名称】 |
スキャナ破損防止機構を備えた走査型プローブ顕微鏡 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡田 尚史
【氏名】伊東 修一
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| 【要約】 |
【課題】過度の力が加わることによる圧電体スキャナの破損の頻度の少ない走査型プローブ顕微鏡を提供する。
【解決手段】チューブ型の圧電体スキャナ1は一端が固定台2に固定され、他端にはステージ3が固定されている。ステージ3の裏側には鏡4が固定されている。光源8から射出された光は偏光ビームスプリッタ6で反射されて鏡4に入射する。鏡4からの反射光は偏光ビームスプリッタ6を透過しレンズ7によりポジションディテクタ9の受光面に集光される。演算回路20はポジションディテクタ9の出力に基づいて鏡4の傾斜すなわちスキャナ1の変位を求める。コントローラ21は演算回路20からの情報に基づいてスキャナ1の変位が許容値を超えるときには警告手段22を駆動する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧電体スキャナを用いて探針と試料の間の相対走査を行う走査型プローブ顕微鏡において、圧電体スキャナに加わる外力を検出する外力検出手段と、操作者の注意を促す警告手段とを備えており、外力検出手段は予め設定された許容値を超える外力の検出に対して警告手段を駆動する、スキャナ破損防止機構を備えた走査型プローブ顕微鏡。 【請求項2】 請求項1において、外力検出手段は、圧電体スキャナの変位を検出する光学系を含み、圧電体スキャナに加わる外力とこれにより生じる変位との相関関係に基づいて圧電体スキャナに加わった外力を特定する、スキャナ破損防止機構を備えた走査型プローブ顕微鏡。 【請求項3】 請求項1において、外力検出手段は、圧電体スキャナの電極に発生する電圧を検出する手段を含み、圧電体スキャナに加わる外力と電極に発生する電圧との相関関係に基づいて圧電体スキャナに加わった外力を特定する、スキャナ破損防止機構を備えた走査型プローブ顕微鏡。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、原子オーダーの分解能で試料の表面情報を測定し得る走査型プローブ顕微鏡に関する。 【0002】 【従来の技術】走査型プローブ顕微鏡(SPM: Scanning Probe Microscope)としては、走査型トンネル顕微鏡(STM: Scanning Tunneling Microscope)と原子間力顕微鏡(AFM: Atomic Force Microscope)が特に有名である。 【0003】走査型トンネル顕微鏡は、最初の走査型プローブ顕微鏡であり、近接した金属探針と導電性試料の間に流れるトンネル電流を利用することにより、原子オーダーの分解能での試料の表面形状の測定を実現している。走査型プローブ顕微鏡では、トンネル電流を利用しているため、観察できる試料は導電性の試料に限られている。 【0004】原子間力顕微鏡は、サーボ技術を始めとするSTM技術を利用して開発された装置で、探針先端と試料表面の原子間に働く原子間力を利用して、原子オーダーの分解能での試料の表面形状の測定を実現している。このため、観察できる試料は、導電性のものに限らず、絶縁性のものも測定できる。 【0005】走査型プローブ顕微鏡において高い分解能を実現するには、探針と試料の相対位置を精度良く制御できる走査機構が必要であり、一般には圧電体スキャナが用いられている。 【0006】また、走査型プローブ顕微鏡は、走査機構による走査対象物の違いにより、試料を移動させることで探針試料間の走査を行う試料走査型と、探針を移動させることで探針試料間の走査を行う探針走査型とに分かれる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】走査型プローブ顕微鏡の走査機構の主流である圧電体スキャナは比較的脆く壊れやすい部品である。走査型プローブ顕微鏡では、試料の交換や探針の交換の際に、圧電体スキャナに過度の力が加わり、圧電体スキャナが破損することがある。 【0008】特に、探針走査型の走査型プローブ顕微鏡では、探針を備えたカンチレバーチップを取り付ける際、これが正しく装着されたかどうかの判断を、カンチレバーチップを押してガタが無いことを確認することで行っている。このため、圧電体スキャナに過度の力が加わり、圧電体スキャナが破損する頻度が高い。 【0009】また、走査型プローブ顕微鏡では、測定に先立って、探針と試料を所定の距離まで大雑把に近づけるために、探針を支持する構造体と試料を保持する構造体を粗動で近づけるアプローチを行うが、このアプローチの誤動作によって、探針と試料が既に接触しているにも拘わらず、アプローチ動作が続けられ、圧電体スキャナに過度の力が加わって圧電体スキャナが破損することがある。 【0010】さらに、試料交換の目的などでXYステージを待避させている間に、何等かの手違いで例えば圧電体スキャナに支持された構造体が下がり過ぎ、それと知らずにXYステージを移動させたために、XYステージが構造体に当たり不適切な高さに位置していたために、これが圧電体スキャナに過度の力が加わって破損することもある。 【0011】本発明は、このような実状に鑑みて成されたものであり、その目的は、過度の力が加わることによる圧電体スキャナの破損の頻度の少ない走査型プローブ顕微鏡を提供することである。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明は、探針と試料の間の相対走査を与える圧電体スキャナの破損防止機構を備えた走査型プローブ顕微鏡であって、圧電体スキャナの破損防止機構は、圧電体スキャナに加わる外力を検出する外力検出手段と、操作者の注意を促す警告手段とを有し、外力検出手段は予め設定された許容値を超える外力の検出に対して警告手段を駆動する。 【0013】外力検出手段は、例えば、圧電体スキャナの変位を検出する光学系を含み、圧電体スキャナに加わる外力とこれにより生じる変位との相関関係に基づいて圧電体スキャナに加わった外力を特定する。 【0014】あるいは、外力検出手段は、圧電体スキャナの電極に発生する電圧を検出する手段を含み、圧電体スキャナに加わる外力と電極に発生する電圧との相関関係に基づいて圧電体スキャナに加わった外力を特定する。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。まず、第一の実施の形態について図1を用いて説明する。本実施の形態は、導出願人による特開平7−98206号に開示されているリニア補正機構を備えた走査型プローブ顕微鏡にスキャナ破損防止機構を追加した構成を有している。 【0016】図1に示されるように、チューブ型の圧電体スキャナ(以下、スキャナと称する)1は、チューブ状の圧電体の内周面に単一の共通電極を設けるとともに、外周面にはその周方向に4つの駆動電極を設けた構成を持ち、その一端が固定台2の上に固定されている。この構成に基づいてスキャナ1に外力が加えられ、スキャナ1に変位が生じる。スキャナ1の他端には、ステージ3が固定されている。また、ステージ3の裏側には鏡4が固定されている。固定台2のうちのスキャナ1の中心軸となる辺りには開口2aが設けられ、その下側からスキャナ内に光を導き入れられるようになっている。 【0017】開口2aの下側には、1/4波長板5、偏光ビームスプリッタ6およびレンズ7が上方から順に配置されている。偏光ビームスプリッタ6は、光源8より発せられた光の特定の振動面を持った成分の光をスキャナ1側へと反射する。また偏光ビームスプリッタ6は、鏡4で反射し戻ってきた光を、レンズ7へと導く。 【0018】レンズ7は、入射した光を収束光に変換し、さらに下方に配置されたポジションディテクタ9へと導く。このレンズ7は、レンズホルダ10に支持されている。上記の通りポジションディテクタ9へ光源8からの光を導くための構成に基づいて、スキャナ1へ加えられる外力が検出される(外力検出手段)。 【0019】光源8は、半導体レーザ8aおよびレンズ8bよりなり、半導体レーザ8aから発せられた光をレンズ8bによって平行光とし、この平行光を偏光ビームスプリッタ6へと入射する。 【0020】ポジションディテクタ9は、受光面がレンズ7の焦点面に位置するように配置され、偏光ビームスプリッタ6を介して到来した光により受光面にスポットが形成される。そしてポジションディテクタ9は、このスポットの位置を検出する。 【0021】レンズホルダ10は、外側面にねじ山10aが形成されており、このねじ山10aが固定台2の内側面に形成されたねじ山2bに係合することによって固定台2に螺合されている。また、レンズホルダ10の下端には、複数の孔10bが形成されており、ここにギア12に突設された複数のカップリング12aが挿入されている。 【0022】ギア12は、回転可能に支持されている。またギア12は、モータ13の回転軸に固定されたギア14に歯合している。スキャンコントローラ15は、波形発生器16で発生されるX方向の参照電圧および波形発生器17で発生されるY方向の参照電圧に対して所定の処理を行い、X方向およびY方向のそれぞれの制御信号を生成する。このX方向およびY方向のそれぞれの制御信号は、スキャナドライバ18へと供給される。 【0023】スキャナドライバ18は、供給される制御信号にて指示される状態にスキャナ1を変位させるべく、スキャナ1の4つの駆動電極への電圧印加を行う。プリアンプ19は、スポットの位置を示すポジションディテクタ9の出力信号を増幅し、演算回路20へと与える。演算回路20は、プリアンプ19で増幅されたのちの、ポジションディテクタ9の出力信号を受け、これに基づいてスキャナ1の変位状態を求め、この変位状態を示す変位信号をスキャンコントローラ15およびコントローラ21に供給する。 【0024】スキャンコントローラ15は、演算回路20から供給される変位信号に基づいて生成する制御信号に所定の補正を加える非直線性補正手段15aを有している。 【0025】コントローラ21とこれに接続された警告手段22は、スキャナー破損防止機構を構成している。警告手段22は、例えば、図中に模式的に描かれているように、音を発するブザーで構成されるが、赤色光等の光を発する赤色灯で構成されてもよい。 【0026】次に以上のように構成されたスキャナシステムの動作を説明する。まず、スキャナドライバ18がスキャナ1の4つの駆動電極のいずれにも電圧を印加していない状態では、スキャナ1は変位しておらず、基準状態にある。またスキャナドライバ18が、スキャンコントローラ15から出力される制御信号に基づいてスキャナ1の4つの駆動電極に電圧印加を行うと、その電圧印加の状態に応じた変位がスキャナ1に生じる。 【0027】光源8のレンズ8bで平行光とされた光は、偏光ビームスプリッタ6によって反射される。このとき、光は、偏光ビームスプリッタ6により一方向のみの偏光成分を持った直線偏光となるが、さらに1/4波長板5を透過することにより円偏光となる。そして1/4波長板5を透過した光は、固定台2の開口2aからスキャナ1の内部へと入射する。スキャナ1の内部へと入射した光は、鏡4へと到達し、この鏡4で反射して再度1/4波長板5に入射する。光は1/4波長板5を透過する際に、初めとは偏光直交する直線偏光となる。かくして偏光ビームスプリッタ6では、光は光源8側には反射せずに透過する。そして偏光ビームスプリッタ6を透過した光は、レンズ7によって集光されてポジションディテクタ9に入射し、ポジションディテクタ9の受光面にスポットを形成する。 【0028】ここでスキャナ1が変位していない場合、スポットはポジションディテクタ9の受光面の中央に形成される。一方、スキャナ1が変位している場合、スキャナ1の内部に入射した光の光軸に対して鏡4が傾いている。従って、光は鏡4では、入射方向とは異なる方向に反射する。具体的には、スキャナ1の先端が基準状態に対してθの傾きを有している場合、鏡4に入射した光は2θの角度をもって反射する。 【0029】鏡4で反射した光は、1/4波長板5で直線偏光とされたのち、偏光ビームスプリッタ6およびレンズ7を通って、集光しながらポジションディテクタ9に入射し、ポジションディテクタ9の受光面にスポットを形成する。しかし、光は鏡4において2θの角度で反射しているために、スポットの形成位置は鏡4の傾き方向に応じてポジションディテクタ9の中心からずれる。 【0030】ここで、ポジションディテクタ9上でのスポットの形成位置のずれ量dと鏡4の傾き角θとの間には、 d=f・tan(2θ) …(1) なる関係がある。従って、ポジションディテクタ9によりスポットの形成位置のずれ量dを検出することにより、前記(1)式に基づいて鏡4の傾き角θを求めることができる。 【0031】演算回路20では、ポジションディテクタ9の出力信号に基づいて上記の演算を行うことにより、鏡4の傾き角θを求める。またポジションディテクタ9は例えば受光領域が4分割されており、どの領域にスポットが形成されているのかに基づいてスポットのずれ方向を検出することができる。スポットのずれ方向は鏡4の傾き方向に対応するので、演算回路20ではポジションディテクタ9の出力信号に基づいて鏡4の傾き方向を求める。かくして演算回路20では、鏡4の傾き角θおよび傾き方向、すなわちステージ3の傾き角θおよび傾き方向が特定され、ステージ3の状態が検出される。 【0032】演算回路20は、このように求めた情報を、ステージ3のX方向およびY方向のそれぞれの変位を表すモニタ信号に変換し、スキャンコントローラ15に与える。具体的には、ポジションディテクタ9の4つの受光領域のそれぞれでの受光情報をA,B,C,Dとすると、 dx=(A+D)−(B+C) …(2) dy=(A+B)−(C+D) …(3) なる式に基づいてモニタ信号dx,dyを得、これをスキャンコントローラ15に与える。 【0033】スキャンコントローラ15では、波形発生器16,17のそれぞれから出力される基準波形に基づき、ステージ3を所定状態に変位させるべくX方向およびY方向のそれぞれの制御信号を生成しているが、この状態で非直線性制御手段15aがモニタ信号を監視し、現在所望とするステージ3の状態とモニタ信号が示す実際のステージ3の状態との偏差を求める。所望とするステージ3の状態と実際のステージ3の状態との間には、スキャナ1を構成する圧電体の変位に生じるヒステリシスやクリープ等によって偏差が生じるので、非直線性制御手段15aはこの偏差を求めるのである。そして非直線性制御手段15aは、この偏差を補償するように制御信号を変化させる。すなわち、演算回路20にて求められる実際のステージ3の状態が所望とする状態となるようにフィードバック制御を行う。 【0034】かくして、実際のステージ3の状態(傾き角θおよび傾き方向)が光学的に検出され、この検出される実際のステージ3の状態が所望の状態となるようにフィードバック制御がなされるので、スキャナ1を構成する圧電体の変位にヒステリシスやクリープ等が生じていても、これがステージ3の変位に影響することが防止され、ステージ3の状態を良好に制御できる。 【0035】続いて、スキャナ破損防止機構の動作について説明する。図2(a)は、スキャナに横向きに荷重を与えたときにスキャナが変位する様子を模式的に示しており、図2(b)は、スキャナに与える荷重とこれにより生じる変位の関係を示すグラフである。 【0036】図2(b)から分かるように、スキャナ先端に加わる外力(荷重)とスキャナ先端の変位は線形な関係にあり、また、一般によく知られているように、スキャナの変位とスキャナの傾きも線形な関係にある。従って、スキャナに与えられた外力はスキャナの傾きから求めることができる。 【0037】コントローラ21は、演算回路20で求められたステージ3の傾き角θすなわちスキャナ1の変位量を調べ、これが予め設定した所定値(許容値)を超える場合には、警告手段であるブザー104を駆動して警告音を発生させる。 【0038】所定値(許容値)は、スキャナ1の機械的強度に応じて決定され、通常はxy方向とz方向とで異なる値が選ばれる。このように、スキャナ1に過大なラジカル方向の外力が加わった場合には警告音が発せられるので、過大な外力を加え続けてスキャナ1を破損させてしまうという事態が回避される。 【0039】さらに、スキャナ1の破損防止を目的とし、以下の処理を行なうことが好ましい。コントローラ21は、警告手段であるブザー104を駆動すると共に、スキャナ1の動作を停止する停止信号をスキャンコントローラ15に出力することが効果的である。 【0040】もしくは、スキャンコントローラ15は、停止信号に基づきスキャナ1を基準状態にするべく、スキャンコントローラ15を介してスキャナドライバ18からスキャナ1の駆動電極に印加される電圧を遮断してもよい。 【0041】さらに、コントローラ21は、演算回路20で得られるスキャナ1の変位量を監視し、予め設定した所定値(許容値)以下になるようにスキャンコントローラ15を介してスキャナドライバ18からスキャナ1に印加される電圧をフィードバック制御してもよい。 【0042】図1に示した装置は、試料走査型の走査型プローブ顕微鏡であるが、上述したスキャナ破損防止機構はそのまま探針走査型の走査型プローブ顕微鏡に適用できる。 【0043】次に、第二の実施の形態について図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態のスキャナ破損防止機構を備えた探針走査型の走査型プローブ顕微鏡を示している。 【0044】図3に示されるように、カンチレバーチップ110は、支持部112から延びたカンチレバー114の先端に探針116を有している。カンチレバーチップ110は、レバーホルダー118に保持される。 【0045】レバーホルダー118は、カンチレバーチップ110の支持部112を収容する凹部122が形成されたホルダー本体120を有している。ホルダー本体120には、カンチレバーチップ110の支持部112を弾性力により押さえる板バネ124がネジ126により固定されている。 【0046】レバーホルダー118を取り付けるヘッド138は、Zステージ170によってz方向に移動可能に支持されたベース158に固定されたスキャナー160の自由端に固定されている。スキャナー160は、(図示しない)スキャナドライバから供給される電圧に応じてxyz方向に変位し、その結果、ヘッド138がxyz方向に走査される。 【0047】ヘッド138は、レバーホルダー118を受ける凹部が形成されたヘッド本体140を有し、レバーホルダー118は、ホルダー本体120がこの凹部の角に当て付けられることにより位置決めされ、ヘッド本体140に埋め込まれたマグネット144の磁力によって支持される。 【0048】また、ヘッド138は、カンチレバー114の自由端の変位を光学的に検出する光てこ法による変位検出光学系を有している。この光学系は、カンチレバー114の自由端に集束性のビームを照射するレーザーモジュール152と、カンチレバー114の自由端で反射された光を受ける四分割フォトダイオード154で構成されている。 【0049】ヘッド138の下方には、試料174が載置されるXYステージ172が配置されている。XYステージ172は、探針116による測定箇所を変更するために、また試料交換の際に試料174をヘッド138から遠ざけるために用いられる。 【0050】ヘッド本体140とホルダー本体120とカンチレバーチップ110は高い精度で加工されている。レバーホルダー118に対するカンチレバーユニット110のxy位置は予め調整される。調整済みのレバーホルダー118は、ホルダー本体120の角を規定する三つの基準面をヘッド本体140に形成された凹部の角の規定する三つ当て付け面に押し付けることによって位置決めされ、ヘッド138に対して一定の位置に取り付けられる。また、カンチレバーユニット110は、予めxy位置が調整してあるので、レバーホルダー118をヘッド138に取り付けると、カンチレバー114の自由端は自動的にレーザーモジュール152の射出光の焦点位置に配置される。 【0051】SPM測定時には、スキャナー160によりヘッド138を移動させて、試料に対して探針116をxy方向に走査する。走査の間、カンチレバー114の自由端の変位をモニターする。カンチレバー114の自由端の変位すなわち探針116のz位置は、前述したように、レーザーモジュール152から射出した光がカンチレバー114で反射しフォトダイオード154に形成するスポットの位置を監視することで分かる。スキャナー160に関して得られるxy位置とフォトダイオード154に関して得られるz位置とに基づき画像処理を行うことにより、試料のSPM像が得られる。 【0052】続いて、本実施形態のスキャナ破損防止機構について説明する。本実施形態のスキャナ破損防止機構は、スキャナ160のx方向駆動用の電極に接続されたx電圧計176と、スキャナ160のy方向駆動用の電極に接続されたy電圧計178と、コントローラ180とを有している。コントローラ180は、x電圧計176とy電圧計178からの情報に基づいて、操作者に注意を促す警告手段182の駆動を制御するとともに、Zステージ170の駆動を制御するZステージドライバ184と、XYステージ172の駆動を制御するXYステージドライバ186を制御する。 【0053】x電圧計176、y電圧計178及びコントローラ180は外力検出手段を構成し、ここで検出される電圧に基づいてスキャナ1に加わる外力の大きさと方向を特定すると共に、その外力に応じて警告手段182を駆動する。 【0054】警告手段182は、例えば、図中に模式的に描かれているように、音を発するブザーであるが、赤色光等の光を発する赤色灯であってもよい。警告手段182は、操作者の注意を引く動作をし得る機能体であれば、どのようなものも適用可能である。 【0055】続いて、このように構成されるスキャナ破損防止機構の動作について説明する。図4に示されるように、スキャナ160は、円筒形状の圧電体162と、その内周面を周回する一枚の共通電極164と、外周面の周方向に間隔を置いて位置する四枚の駆動電極166a,168a,166b,168bとで構成されている。 【0056】内側の共通電極164は接地され、互いに軸対称に位置するx方向変位用の+x側駆動電極166aと−x側駆動電極166bにはそれぞれ+x電圧計176aと−x電圧計176bが接続され、同様に、互いに軸対称に位置するy方向変位用の+y側駆動電極168aと−y側駆動電極168bにはそれぞれ+y電圧計178aと−y電圧計178bが接続されている。なお、図3におけるx電圧計176は+x電圧計176aと−x電圧計176bを代表的に示しており、y電圧計178は代表的に+y電圧計178aと−y電圧計178bを示している。 【0057】図5(a)は、スキャナ160に−x方向の力F-xが加わった様子を模式的に示しており、図5(b)は、このときの力F-xの大きさと+x側駆動電極166aに発生した電圧Vx を測定した結果を示すグラフである。 【0058】図5(b)に示されるように、スキャナ160に加わる力と駆動電極に発生する電圧の間には特定の関係がある。従って、四枚の駆動電極の各々に発生する電圧を調べることで、スキャナ160に加わった力Fの大きさと方向を特定することができる。x方向またはy方向の力だけでなく、z方向の力も特定できる。 【0059】図4において、+x側駆動電極166aと−x側駆動電極166bと+y側駆動電極168aと−y側駆動電極168bに発生する電圧は、それぞれ、+x電圧計176aと−x電圧計176bと+y電圧計178aと−y電圧計178bによって検出され、その情報はコントローラ180へ送られる。 【0060】図3において、コントローラ180は、x電圧計176とy電圧計178から供給される情報に基づいてスキャナ160に加わった力の大きさと方向を特定し、予め設定された許容値を超える場合には、警告手段182を駆動し、さらに、Zステージ170を停止させる指令をZステージドライバ184に、XYステージ172を停止させる指令をXYステージドライバ186に出す。許容値は、スキャナ160の機械的強度に応じて決定され、通常はxy方向とz方向とで異なる値が選ばれる。 【0061】これにより、カンチレバーチップ110の交換の際などに操作者がスキャナ160に力を加えている状況では、警告手段182によって操作者に注意を促す機能がスキャナ160の破損防止に貢献する。また、アプローチの誤動作によってスキャナ160に軸方向の力が加わっている状況では、Zステージ170を停止させる機能がスキャナ160の破損防止に貢献する。さらに、下がり過ぎたヘッド138にXYステージ172が横から当たっている状況では、XYステージ172を停止させる機能がスキャナ160の破損防止に貢献する。 【0062】従って、本実施の形態における走査型プローブ顕微鏡について、以下のことが言える。 (1)圧電体スキャナを用いて探針と試料の間の相対的走査を行なう走査型プローブ顕微鏡において、前記探針と前記試料とを相対的に移動させる移動手段(第二の実施の形態においては、XYステージ172、Zステージ170が該当する)と、圧電体スキャナに加わる外力を検出する外力検出手段(第二の実施の形態においては、x電圧計176、y電圧計178、コントローラ180が該当する)と、操作者の注意を促す警告手段とを備えており、外力検出手段は予め設定された許容値を超える外力の検出に対して警告手段を駆動する、スキャナ破損防止機構を備えた走査型プローブ顕微鏡。 (2)上記(1)において、前記外力検出手段は警告手段を駆動すると共に、前記移動手段を停止させる、スキャナ破損防止機構を備えた走査型プローブ顕微鏡。 (3)上記(1)または(2)において、前記外力検出手段は、圧電体スキャナの電極に発生する電圧を検出する手段を含み、圧電体スキャナに加わる外力と電極に発生する電圧との相関関係に基づいて圧電体スキャナに加わった外力を特定する、スキャナ破損防止機構を備えた走査型プローブ顕微鏡。 【0063】本発明は上述した実施の形態に何等限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。例えば、実施の形態では円筒型圧電スキャナを例にあげたが、本発明のスキャナ破損防止機構は積層型や他の型の圧電体スキャナに対しても適用できる。 【0064】 【発明の効果】本発明の走査型プローブ顕微鏡によれば、圧電体スキャナに過度の力が加わった際に音や光などによって操作者に注意を促すので、過度の力が加わることによる圧電体スキャナの破損の頻度が低減される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000376 【氏名又は名称】オリンパス光学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月20日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−271340 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月8日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−72560 |
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