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【発明の名称】 光ファイバプローブ
【発明者】 【氏名】興梠 元伸

【氏名】八井 崇

【氏名】大津 元一

【要約】 【課題】先鋭部の先端部分の形状を最適化することにより、レーザ光の効率を向上させるとともに、高い集光効果を有する光ファイバプローブを提供する。

【解決手段】屈折率がnのコアと上記コアの周囲に形成されたクラッドと上記クラッドの周囲に形成された遮光性被覆層からなる光伝搬部と、光伝搬部側から上記遮光性被覆層の開口が次第に小となされ、上記光伝搬部からの光を集光して出射開口から出射する先鋭部とを備え、先鋭部の出射開口の直径をD[nm]とし、αを任意に決定される定数とし、λ[nm]を上記出射開口から出射する光の波長としたとき、D=αλ/nを満たすように形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 屈折率がnのコアと上記コアの周囲に形成されたクラッドと上記クラッドの周囲に形成された遮光性被覆層からなる光伝搬部と、上記光伝搬部側から上記遮光性被覆層の開口が次第に小となされ、上記光伝搬部からの光を集光して出射開口から出射する先鋭部とを備え、上記先鋭部の出射開口の直径をD[nm]とし、αを任意に選択される定数とし、λ[nm]を上記出射開口から出射する光の波長としたとき、D=αλ/n (式1)を満たすように形成されていることを特徴とする光ファイバプローブ。
【請求項2】 上記αは、1.0〜2.2の範囲内の値を有する定数であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバプローブ。
【請求項3】 上記先鋭部は、上記クラッドの内壁から出射開口に向かって開口が次第に小となされるように形成された2以上の傾斜面を備えることを特徴とする請求項1記載の光ファイバプローブ。
【請求項4】 上記先鋭部の出射開口を、上記先鋭部の内部における集光位置に設けられた微小開口とすることを特徴とする請求項3記載の光ファイバプローブ。
【請求項5】 上記上記クラッドの内壁から出射開口側に向かって開口が次第に小となされるように形成された第1の傾斜面と、上記第1の傾斜面から出射開口側に向かって開口が次第に小となされるように形成された第2の傾斜面とを少なくとも有し、上記第1の傾斜面と第2の傾斜面との接続位置における直径をD[nm]とし、上記αを1〜3.5の範囲内を有する定数としたとき、上記式1を満たすように形成されていることを特徴とする請求項4記載の光ファイバプローブ。
【請求項6】 上記先鋭部は、上記クラッドの内壁と第1の角度を有し、上記光伝搬部から出射開口側に向かって開口が次第に小となされるように形成された第1の傾斜面と、上記クラッドの内壁と第2の角度を有し、上記第1の傾斜面から出射開口側に向かって開口が次第に小となされるように形成された第2の傾斜面と、上記クラッドの内壁と第3の角度を有し、上記第2の傾斜面から出射開口側に向かって開口が次第に小となされるように形成された第3の傾斜面とを備えることを特徴とする請求項4記載の光ファイバプローブ。
【請求項7】 上記第1の傾斜面は、上記第1の角度を10[゜]〜45[゜]の範囲内となるように形成されることを特徴とする請求項6記載の光ファイバプローブ。
【請求項8】 上記第2の傾斜面は、上記第2の角度を50[゜]〜90[゜]の範囲内となるように形成されることを特徴とする請求項6記載の光ファイバプローブ。
【請求項9】 上記第3の傾斜面は、上記第3の角度を0[゜]〜20[゜]の範囲内となるように形成されることを特徴とする請求項6記載の光ファイバプローブ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばプローブ走査型顕微鏡の一つである近接場光学顕微鏡において、エバネッセント光を検出または照射する光プローブとして使用される光ファイバプローブに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の光ファイバプローブ100は、図7に示すように、光ファイバの先端を先鋭化させることで、先鋭部101を形成し、当該先鋭部の先端102からレーザ光を励起していた。この光ファイバプローブでは、先鋭部の根本部分103から先端102に向かって開口が次第に小さくなるように形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の光ファイバプローブ100は、例えば開口半径等の最適化を図るための設計がなされていないのが現状である。また、この光ファイバプローブ100では、先鋭部の先端102から出射するレーザ光の効率という点からみても、最適化を考慮していなかった。
【0004】そこで、本発明は、上述したような実情に鑑みて提案されたものであり、先鋭部の先端部分の形状を最適化することにより、レーザ光の効率を向上させるとともに、高い集光効果を有する光ファイバプローブを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決する本発明に係る光ファイバプローブは、屈折率がnのコアとコアの周囲に形成されたクラッドとクラッドの周囲に形成された遮光性被覆層からなる光伝搬部と、光伝搬部側から遮光性被覆層の開口が次第に小となされ、光伝搬部からの光を集光して出射開口から出射する先鋭部とを備え、先鋭部の出射開口の直径をD[nm]とし、αを任意に選択される定数とし、λ[nm]を上記出射開口から出射する光の波長としたとき、D=αλ/n (式1)を満たすように形成されていることを特徴とするものである。
【0006】このような光ファイバプローブは、上記の式1を満たすような直径を有する出射開口を形成することにより、光を集光して出射開口から光を出射する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】第1の実施の形態に係る光ファイバプローブ1は、図1に示すように、コア2と、このコア2の周囲に形成されたクラッド3と、クラッド3の周囲に形成された遮光性被覆層4とからなる。
【0009】コア2は、所定の屈折率nを有し、クラッド3は、コアの屈折率nよりも小さい屈折率を有している。このようにコア2及びクラッド3が形成されることで、光ファイバプローブ1に入射されたレーザ光は、コア2とクラッド3との境界で全反射しながら進行することとなる。
【0010】この光ファイバプローブ1は、上記コア2,クラッド3,遮光性被覆層4からなる光伝搬部5と、遮光性被覆層4の直径が光伝搬部5から先端に向かって次第に小となされている先鋭部6とからなる。
【0011】光伝搬部5は、所定の屈折率nを有するコア2と、このコア2よりも低い屈折率を有するクラッド3とからなる。光伝搬部5は、このように構成されることで、コア4内にレーザ光を伝搬させ、このレーザ光を先鋭部3に導く。
【0012】先鋭部6は、遮光性被覆層4と、遮光性被覆層4の内周側に形成されたコア2とからなり、光を出射する出射開口7の開口を狭くするように先鋭化されてなる。この先鋭部6は、遮光性被覆層4の内壁を、光伝搬部5のクラッド3の内壁とのなす第1の角度θ1を以て形成することで、第1の傾斜面8を形成している。このように遮光性被覆層4を形成することにより、先鋭部6は、コア2の直径を光伝搬部5から出射開口7に向かうに従って次第に小としている。
【0013】ここで、第1の角度θ1は、45[゜]以下であれば良く、45[゜]〜10[゜]の範囲内となるように第1の傾斜面8を形成することがさらに望ましい。
【0014】また、この光ファイバプローブ1では、αを1.0〜2.2の範囲内の値を有する定数とし、λ[nm]を出射する光の波長としたとき、D=αλ/n (式1)を満たすように出射開口7の直径D[nm]が形成されている。
【0015】このように、上記式1を満たすような出射開口7が形成された光ファイバプローブ1は、光伝搬部5から伝搬されたレーザ光を、先鋭部6の内壁である第1の傾斜面8で反射させることで集光し、出射開口7から外部に出射する。
【0016】このような光ファイバプローブ1において、出射開口7の直径Dが変化されたとき、出射開口7の中心位置から出射されるレーザ光の光強度を図2に示す。この光ファイバプローブ1においては、光伝搬部5に入射されるレーザ光の波長λを約830[nm]とし、第1の角度θ1を約10[゜]とし、コア2の屈折率を1.53としたとき、出射開口7の直径Dが約600[nm]〜1200[nm]の範囲内において光強度が高くなっていることがわかる。このとき、定数αは、上記式1から算出すると、約1.0〜2.2となる。
【0017】したがって、この光ファイバプローブ1では、定数αを1.0〜2.2の範囲内とするように出射開口7の直径Dを形成することにより、より光強度を高くすることができる。さらに、光ファイバプローブ1は、定数αを約1.5程度とすることにより、出射開口7からの光強度を最も高くすることができる。
【0018】つぎに、光ファイバプローブ1において出射開口7からレーザ光を出射したときの近接場における光強度分布を測定した結果を図3に示す。この図3は、出射開口7の直径Dを1200,1000,750,550[nm]としたときの光強度と、焦点位置からの距離との関係を示す図である。
【0019】この図3によれば、曲線aで示した出射開口7の直径Dが1200[nm]のときでは、焦点位置とは異なる位置にレーザ光が集光されていることがわかる。また、曲線b及び曲線cで示した出射開口7の直径D[nm]を、1000[nm],750[nm]としたときでは、焦点位置に高いピークがあり、かつ、非常に小さい幅でスポットが形成されていることがわかる。また、曲線dで示した出射開口7の直径Dを550[nm]としたときでは、曲線b及び曲線cで示したピークよりも低いピークが存在していることがわかる。
【0020】このような結果より、出射開口7の直径Dを1000[nm],750[nm]としたとき、波長830[nm]での回折限界を超えて集光位置にレーザ光が集光されていることがわかる。すなわち、上述の式1における定数αを約1.3〜2.0とし、出射開口7の直径Dを700[nm]〜1100[nm]程度とすることにより、回折限界を超えて集光位置にレーザ光を集光することができる。
【0021】したがって、このような光ファイバプローブ1によれば、上述の式1中のαを1.3〜2.0として出射開口7の直径Dを変化させることにより、光強度を高くし、かつ、回折限界を超えてスポットを形成することができる。したがって、この光ファイバプローブ1によれば、出射開口7の直径Dを変化させるとともに、第1の角度θ1を変化させることで、集光効率及び被照射物に形成するスポット径の最適化を図ることができる。
【0022】つぎに、第2の実施の形態に係る光ファイバプローブ10について説明する。この光ファイバプローブ10は、図4及び図5に示すように、第1の実施の形態に係る光ファイバプローブ1と同様に、コア11と、このコア11の周囲に形成されたクラッド12と、クラッド12の周囲に形成された遮光性被覆層13とからなる。また、この光ファイバプローブ10は、レーザ光を伝搬する光伝搬部14と、この光伝搬部14からのレーザ光を集光して出射する先鋭部15とからなる。なお、図4は光ファイバプローブ10の縦断面図であり、図5は光ファイバプローブ10の横断面図である。
【0023】光伝搬部14は、第1の実施の形態の光ファイバプローブ1における光伝搬部5と同様の構成を有する。
【0024】先鋭部15は、遮光性被覆層13と、遮光性被覆層13の内周側に形成されたコア11とからなり、レーザ光を出射する微小開口16が先端に形成されている。この先鋭部15は、第1の傾斜面17と、第2の傾斜面18と、第3の傾斜面19とが遮光性被覆層13の内壁により形成されてなり、光伝搬部14から先端に向かって開口が次第に小さくなるように形成されている。
【0025】第1の傾斜面17は、クラッド12の内壁から先端側に向かって形成され、クラッド12の内壁と第1の角度θ11を以て形成される。第2の傾斜面18は、第1の傾斜面17から先端側に向かって形成され、遮光性被覆層13の内壁と第2の角度θ12を以て形成される。第3の傾斜面19は、第2の傾斜面18から先端側に向かって形成され、第3の角度θ13で略V字状に形成される。
【0026】第1の角度θ11は10[゜]〜45[゜]の範囲内となるように形成され、第2の角度θ12は50[゜]〜90[゜]の範囲内となるように形成され、第3の角度θ13は0[゜]〜30[゜]の範囲内となるように形成される。このように光ファイバプローブ10は、第1の傾斜面17、第2の傾斜面18、第3の傾斜面19が形成されることで、先端に形成された微小開口16の直径が約100[nm]以下となるように形成されている。
【0027】この先鋭部15は、図5に示すように、第1の傾斜面17と第2の傾斜面18との境界線Aにおける直径Dを、第1の実施の形態の光ファイバプローブ1と同様に、上述の式1で示す関係を満たすように形成されている。
【0028】また、この先鋭部15は、クラッド12と第1の傾斜面17の境界線Bと、境界線Aとの高さ方向における差H1が0.8μm〜1.2μmの範囲内に形成されている。また、境界線Aと、第2の傾斜面18と第3の傾斜面19との境界線Cとの高さ方向における差H2が150[nm]〜250[nm]の範囲内に形成されている。また、境界線Cと微小開口16との高さ方向の差H3が300[nm]〜400[nm]の範囲内に形成されている。
【0029】このような光ファイバプローブ10は、光伝搬部14からレーザ光L1が入射されると、例えばコア11内から第2の傾斜面18で反射して、微小開口16に向かってレーザ光を集光する。すなわち、この光ファイバプローブ10は、光伝搬部14から先鋭部15に入射されたレーザ光を微小開口16に導くような構成となされている。
【0030】また、この光ファイバプローブ10は、式1の定数αを1.0〜3.5の範囲内となるように境界線Aにおける直径Dが形成されているので、高い効率で微小開口16からレーザ光を出射することができるとともに、所望の集光位置に回折限界を超えてレーザ光を集光することができる。また、この光ファイバプローブ10では、式1におけるαを3.0程度とすることがさらに望ましい。この光ファイバプローブ10は、第1の実施の形態に係る光ファイバプローブ1とは異なり、微小開口16からレーザ光を出射するので、微小開口16の直径を変化させることで、微小開口16から出射するレーザ光を制限して、被照射物に形成するスポット径を変化させることができる。
【0031】つぎに、第1〜第3の傾斜面が形成された光ファイバプローブ10について、微小開口16の直径[nm]を変化させたときの出射効率を測定した結果を図6に示す。この図6は、第1の実施の形態に係る光ファイバプローブ1について出射開口の直径Dを変化させたときの特性を白丸で示し、第2の実施の形態に係る光ファイバプローブ10の特性を黒丸で示す。
【0032】この図6によれば、第1の実施の形態に係る光ファイバプローブ1は、出射開口7の直径Dが約300[nm]以上のときには高い出射効率を示し、直径Dが約300[nm]以下となると、出射効率が急激に低下していることがわかる。
【0033】一方、第2の実施の形態に係る光ファイバプローブ10は、微小開口16の直径が約100[nm]以下となっても出射効率が急激に低下しておらず、直径が約50[nm]程度の微小開口16となっても、高い出射効率でレーザ光を出射させることができ、かつ、被照射物に微小径のスポットを形成することができる。
【0034】したがって、この第2の実施の形態に係る光ファイバプローブ10は、第1〜第3の角度θ11,θ12,θ13、境界線Aにおける直径D、微小開口16の直径を変化させることにより、出射効率及び被照射物に形成するスポット径の最適化を図ることができる。
【0035】また、この第2の実施の形態に係る光ファイバプローブ10は、上述のように、第1〜第3の角度θ11,θ12,θ13、境界線Aにおける直径Dを最適化し、高さH1〜H3を変化させ、微小開口16の直径を100[nm]以下とすることにより、従来の開口型プローブよりも、約1000倍程度の効率でレーザ光を出射させることができる。
【0036】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係る光ファイバプローブは、コアの屈折率をnとし、αを任意に選択される定数とし、λ[nm]を出射する光の波長としたとき、先鋭部の直径DがD=αλ/nを満たすように形成されているので、出射開口から出射するレーザ光の効率を調整することができるとともに、光伝搬部からのレーザ光を集光して出射開口から出射することができる。
【出願人】 【識別番号】591243103
【氏名又は名称】財団法人神奈川科学技術アカデミー
【出願日】 平成10年(1998)3月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃 (外2名)
【公開番号】 特開平11−271339
【公開日】 平成11年(1999)10月8日
【出願番号】 特願平10−75735