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【発明の名称】 フラミンゴ型光プローブおよびフラミンゴ型光プローブ製造方法と走査型プローブ顕微鏡
【発明者】 【氏名】山本 典孝

【氏名】千葉 徳男

【氏名】村松 宏

【要約】 【課題】光照射あるいは光検出を行い、試料形状と2次元光学情報を同時に測定する走査型プローブ顕微鏡において、光プローブ外径を細くすることによりバネ定数を小さくした鉤型の光プローブでは、極細化により光てこに利用するためのミラーが小さくなってしまい光てこによるプローブと試料間の制御が使えなくなってしまう。

【解決手段】光ファイバー1は、光を伝搬するコア部2と屈折率の異なるクラッド部3からなる。光プローブはその弾性要素として機能する部分の先端部4が鉤型に曲げられ、かつ支持部5に対して相対的に細く加工されている。細く加工されている弾性要素部の先端部4のうち鉤型の曲がり部分の径が弾性要素部の径に対して相対的に太くなっている。曲げられた部分の背面には機械的な研磨により平らなミラー面9が作製されている。外側は開口8以外が金属膜7で覆われている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 先端部分がテーパー状に尖鋭化された光ファイバーからなり、弾性要素部の端部に光を透過する開口を有し、開口以外の部分は金属膜で被覆されるとともに、先端近傍の形状が鉤型をしている光プローブにおいて、鉤型の曲がり部分の径が弾性要素部の径に対して相対的に太くなっていることを特徴とするフラミンゴ型光プローブ。
【請求項2】 前記光プローブ弾性要素部の外径が基材に対してステップ状に細く加工してあることを特徴とする特徴とする請求項1記載のフラミンゴ型光プローブ。
【請求項3】 前記光プローブはファイバーの先端近傍の形状を鉤型に加工する工程と外径を細く加工する工程と先端部分をテーパー状に尖鋭化する工程から成ることを特徴とするフラミンゴ型光プローブ製造方法。
【請求項4】 前記光プローブは加熱し、熱引き破断する工程と、ファイバーの先端近傍の形状を鉤型に加工する工程と外径を細く加工する工程から成ることを特徴とするフラミンゴ型光プローブ製造方法。
【請求項5】 前記プローブの先端部と測定すべき試料あるいは媒体表面との間隔を、前記プローブ先端部と前記表面との間に原子間力あるいはその他の相互作用に関わる力が作用する動作距離内に近づけた状態で、2次元的な走査手段によって前記試料表面を走査するとともに、制御手段によって前記表面の形状に沿って前記プローブを制御し、試料形状を測定する走査型プローブ顕微鏡において前記プローブの先端と前記表面を相対的に垂直方向に振動させる振動手段と、前記プローブの変位を検出する変位検出手段と、前記検出手段が出力する検出信号に基づいて前記プローブの先端部と前記表面の間隔を一定に保つための制御手段を有するとともに、少なくとも請求項1および2記載のプローブを有することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
【請求項6】 前記プローブの先端部と測定すべき試料あるいは媒体表面との間隔を、前記プローブ先端部と前記表面との間に原子間力あるいはその他の相互作用に関わる力が作用する動作距離内に近づけた状態で、2次元的な走査手段によって前記試料表面を走査するとともに、制御手段によって前記表面の形状に沿って前記プローブを制御し、前記表面の微小領域に対して、光照射あるいは光検出を行い、試料形状と2次元光学情報を同時に測定する走査型プローブ顕微鏡において、前記プローブの先端と前記表面を相対的に垂直方向に振動させる振動手段と、前記プローブの変位を検出する変位検出手段と、前記検出手段が出力する検出信号に基づいて前記プローブの先端部と前記表面の間隔を一定に保つための制御手段を有するとともに、少なくとも請求項1および2記載のプローブを有することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
【請求項7】 前記プローブの先端部と測定すべき試料あるいは媒体表面との間隔を、前記プローブ先端部と前記表面との間に原子間力あるいはその他の相互作用に関わる力が作用する動作距離内に近づけた状態で、2次元的な走査手段によって前記試料表面を走査するとともに、制御手段によって前記表面の形状に沿って前記プローブを制御し、試料形状を測定する走査型プローブ顕微鏡おいて、前記プローブの変位を検出する変位検出手段と、前記検出手段が出力する検出信号に基づいて前記プローブの先端部と前記表面の間隔を一定に保つための制御手段を有するとともに、少なくとも請求項1および2記載のプローブを有することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
【請求項8】 前記プローブの先端部と測定すべき試料あるいは媒体表面との間隔を、前記プローブ先端部と前記表面との間に原子間力あるいはその他の相互作用に関わる力が作用する動作距離内に近づけた状態で、2次元的な走査手段によって前記試料表面を走査するとともに、制御手段によって前記表面の形状に沿って前記プローブを制御し、前記表面の微小領域に対して、光照射あるいは光検出を行い、試料形状と2次元光学情報を同時に測定する走査型プローブ顕微鏡において、前記プローブの変位を検出する変位検出手段と、前記検出手段が出力する検出信号に基づいて前記プローブの先端部と前記表面の間隔を一定に保つための制御手段と、前記プローブのねじれを検出するねじれ検出手段を有するとともに、少なくとも請求項1および2記載のプローブを有することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は被測定表面のナノメートル領域における形状観察を行うことを目的とする原子間力顕微鏡(AFM)や被測定物表面を光照射もしくは光励起することにより、光物性測定や加工を行うことを目的とする近接場効果顕微鏡に使用する光プローブと光プローブ製造法と走査型プローブ顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラスキャピラリおよび光ファイバーを尖鋭化して作製するアパチャータイプの光プローブが報告されており、マイクロ加工技術の発達に伴い先端部が非常に尖ったプローブを作製することができ、従来の光学顕微鏡の分解能を上まわる光学像が走査型プローブ顕微鏡により実現できるようになった。また化学エッチングの手法により光プローブ外径を細く加工することで光プローブのバネ弾性を小さくし、軟らかい試料に対して損傷を与えることなく、またAFMで使われるコンタクトモードでの動作を可能とした光プローブが利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のバネ弾性を小さくするため細く加工した光プローブにおいてはプローブの極細化に伴い、光プローブと対象試料間の距離制御に使用する光てこのための反射ミラーの大きさが小さくなってしまうことや、プローブのバネ定数が小さいがためにミラーを作製できないという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を解決するため光プローブの作製工程において、まず光ファイバーを鉤型に曲げ、続いて極細化することにより、形状による湿式の化学エッチングレートの差を利用し曲げ部分をフラミンゴ型に相対的に太く保ちながら弾性要素部として機能する部分を極細化することを可能とした。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1(A),は本発明の第一実施例であるフラミンゴ型光プローブを横から見た断面図である。光ファイバー1は、光を伝搬するコア部2と屈折率の異なるクラッド部3からなる。光プローブはその弾性要素として機能する部分の先端部4が鉤型に曲げられ、かつ支持部5に対してステップ状に相対的に細く加工されている。外側は開口8以外が金属膜7で覆われている。金属膜7としては金、白金、アルミニウム、クロム、ニッケル等の光を反射する材料が用いられる。
【0006】図1(B)は光プローブを上から見た図である。細く加工されている弾性要素部の先端部4のうちちょうど曲げられている部分が相対的に太くなっている。曲げられた部分の背面には機械的な研磨により平らなミラー面9が作製されている。図2は本発明の第二実施例であるフラミンゴ型光プローブの製作工程の一部を示した図である。光ファイバー1の末端の1cmから10cm程度、合成樹脂の被覆を取り除き、表面を清浄にする。図2(A)はCO2レーザーなどの局所加熱手段により、先端部4を鉤型に加工する工程を表している。熱せられたファイバーは内側と外側で応力の差を生じ熱源の方向に曲げられる。
【0007】図2(B)は光プローブのエッチング工程を示したものであり、ファイバーをエッチング液に浸した状態を表している。光ファイバー1の末端から0.5mmから50mmの先端部4をエッチング液の第1の溶液層10に挿入する。エッチング液は、フッ化水素酸を主成分とする第1の溶液層11と、第1の溶液層より比重が小さく、第1の溶液層と互いに反応かつ混合しない第2の溶液層10の2層で構成されている。第2の溶液層10としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの有機溶媒や、鉱物油、植物油、化学合成油などの油脂類が用いられるが、第1の溶液層11より比重が小さく、第1の溶液層11またはと互いに反応かつ混合しない他の溶液も使用可能である。
【0008】支持部5を垂直にエッチング液中に浸し所望の細さになるまでこの状態を保つ。光プローブ外径を細くすることにより光プローブのバネ弾性を小さくすることができ、軟らかい試料表面の観測に適したフラミンゴ型光プローブとなる。先端部4のうち曲げられている部分は、この形状の効果でイオン拡散における濃度勾配が生じ、エッチング速度が均一でなくなるために、曲げに対してその内側から側面部分のエッチング速度が遅くなった状態、つまり太く残されエッチングされる。このことにより光てこのためのミラー面を作製する部分が大きくでき、弾性機能部を極細化した光プローブにおいてもミラー面が作製できなくなることを防ぐことができる。
【0009】図2(C)はフラミンゴ型光プローブ先端を先鋭化する工程を示している。先端部4の曲げから前方部分が垂直になるようエッチング液に浸し、先端がちょうど2層エッチング液の液界面のメニスカス部分となるようにする。メニスカス部分でエッチングされることによりテーパー形状が作製され先端は尖鋭化される。この尖鋭化の工程は、Dennis R.Turnerら(US 4,469,554)によって開示されている。フッ酸溶液は揮発性が高いために濃度が徐々に変化してしまうことと人体や環境に対する影響が大きいという問題がある。フッ化水素酸溶液と有機溶液層の2層構造にすることで揮発を防ぐと共に、大気に放出されるフッ酸を押さえる効果もある。
【0010】図2では、化学エッチングによる尖鋭化の工程を示したが、先端部の尖鋭化は加熱引き伸ばし方法によっても実施可能である。図3は本発明の第3実施例である本光プローブを熱引き法でフラミンゴ型プローブを作製する工程を示している。図3(A)に示すように、光ファイバー1の両端を引っ張りながらフラミンゴ型光プローブの先端となる部分を加熱する。光ファイバー1はテーパー状に引き延ばされ最後に破断する。加熱の手段としては、CO2レーザー光を集光して当てる方法や、コイル状に巻いた白金線の中央に光ファイバーを通し、白金線に電流を流して加熱する方法を用いることができる。
【0011】以下は図2で示した工程を使い光プローブ外形を作製する。熱引き法によりテーパーを作製することでコア部も先細りに破断されているところが構造的に異なるが、以下の工程は図2に示したものと変わるところはない。図4は、本発明の第4実施例である本光プローブに金属被覆を行う工程を示している。前工程で成形した光ファイバーの、開口8を除く部分に金属膜7を堆積する工程を表した断面図である。金属膜7の堆積方法としては真空蒸着、スパッタなど異方性を有する薄膜堆積法が用いられ、膜厚は20nmから1000nmの範囲で選択される。堆積方向は図6中に矢印で示したとおり、先端の後方であり、角度Aが、20度から90度の範囲で選択される。
【0012】図5は本発明の第5実施例である本光プローブを搭載した光プローブ顕微鏡の例を示している。図1Bの第2実施例に示した鈎状のフラミンゴ型光プローブ12を、支持部5で振動手段であるバイモルフ13に設置し、フラミンゴ型光プローブ12の先端を試料14に対して垂直に振動させ、フラミンゴ型光プローブ12の先端と試料14の表面の間に作用する原子間力あるいはその他の相互作用に関わる力をフラミンゴ型光プローブ12の振動特性の変化として変位検出手段15で検出し、フラミンゴ型光プローブ12の先端と試料14の表面の間隔を一定に保つように制御手段16で制御しながら、XYZ移動機構17により試料を走査して表面形状を測定する構成である。同時に、光学特性測定用光源18の光をフラミンゴ型光プローブ12に導入し、フラミンゴ型光プローブ12の開口8から試料14に光を照射し、光学特性測定光検出手段19で検出することによって微小領域の光学特性の測定を行う。
【0013】図5は試料14の裏面で測定光を検出する透過型の構成を示したが、試料表面で測定光を検出する反射型の構成や、フラミンゴ型光プローブ12で光を検出する構成も可能である。また、図5はフラミンゴ型光プローブ12を振動させる装置構成を示したが、バイモルフ13を振動させないか、バイモルフ13を使用しない装置構成とし、コンタクトモードのAFMとして測定を行うことも可能である。
【0014】さらに、これらの装置にプローブと試料が液体中に保持されるように液だめの覆いを設けることで液中における測定を行うことができる。以上では、フラミンゴ型光プローブ12について説明を行ってきたが、このプローブはAFM専用のプローブとして用いることができる。この場合は、金属膜7は不要であり、先端はより尖鋭な形状にすることができる。プローブ材料としては、光ファイバー、その他、ガラスファイバー、金属細線等を用いることができる。 AFMプローブとして用いた場合の特徴としては、特に液中においてプローブを振動させて原子間力を検出するモードでは、従来AFMプローブが板構造であるため液体の粘性の影響や液体を伝わる外乱振動の影響を受けるのに対し、きわめて安定な共振特性を示し、安定に測定することができる。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるフラミンゴ型光プローブとフラミンゴ型光プローブの製造法によれば、従来のスリムタイプ光プローブより弾性機能部のバネ定数を小さくすることができ、かつ曲げ部分が相対的に太いということから、光てこに必要なミラーが小さくなり操作性が悪くなることや、バネ定数が小さいことによりミラーが作製すらできないといったことを回避できる。
【出願人】 【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツルメンツ株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】林 敬之助
【公開番号】 特開平11−271338
【公開日】 平成11年(1999)10月8日
【出願番号】 特願平10−74664