| 【発明の名称】 |
走査トンネル顕微鏡 |
| 【発明者】 |
【氏名】内海 博
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| 【要約】 |
【課題】三角波で駆動した場合に、行きだけでなく帰りでも像を取り有効に利用する走査トンネル顕微鏡を提供すること。
【解決手段】切り換えアンプ4が反転モードの場合には、X表示については、X走査信号Aの方向が変わるたびに切り換えアンプ4の出力B及び定電圧発生回路3の出力Cを変えて加算回路5で加算し1/2にする。加算回路5の出力信号DをX表示アンプ8で増幅して表示CRT10のX偏向に使う。さらに、図1一点鎖線部(定電圧発生回路3、切り換えアンプ4、加算回路5)をY表示アンプ9の前に追加して、X、Y表示共に反転モードにすると上下左右対称な4つの像が得られる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 試料面に探針を近づけて探針又は試料をXY方向に走査しトンネル電流を検出して試料面の走査像を得る走査トンネル顕微鏡において、Y走査の往路の走査におけるX走査の往路の走査の映像信号と、Y走査の復路の走査におけるX走査の往路の走査の映像信号に基づき試料の走査像を得るようにしたことを特徴とする走査トンネル顕微鏡。 【請求項2】 更に、Y走査の往路の走査におけるX走査の復路の走査の映像信号と、Y走査の復路の走査におけるX走査の復路の走査の映像信号に基づき試料の走査像を得るようにしたことを特徴とする請求項1記載の走査トンネル顕微鏡。 【請求項3】 X走査の往路の走査の映像信号とX走査の復路の走査の映像信号を交互に取得することを特徴とする請求項2記載の走査トンネル顕微鏡。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、試料面に探針を近づけて走査しトンネル電流を検出して試料面の走査像を得る走査トンネル顕微鏡に関する。 【0002】 【従来の技術】 探針先端の原子と試料の原子の電子雲とが重なり合う1nm以下程度まで探針を試料に近づけ、この状態で探針と試料との間に電圧をかけるとトンネル電流が流れる。このトンネル電流は、電圧が数mV〜数Vのとき、1〜10nA程度になり、試料と探針との間の距離により変化する。そこで、トンネル電流の大きさを測定することにより試料と探針との間の距離を超精密測定することができ、試料の表面形状を求めることができる。 【0003】走査トンネル顕微鏡(STM)は、トンネル電流が一定になるように探針の高さを制御しながら、探針を水平方向面に動かした時の、探針の高さ軌跡により試料の表面形状を観察するものであり、表面原子配列を解析する上で注目されている装置である。トンネル電流により試料の表面形状(凹凸像)を観察する場合には、まず、粗動により探針を0.1μm程度まで試料に近づけ、そして微動により0.1μmからさらに1nmまで探針を試料に近づけ、オングストロームオーダーでの制御が行われる。 【0004】図12は走査トンネル顕微鏡の概略構成を示す図である。図中、42は試料、43は探針、44はヘッド、46、48と49は圧電素子、45と47は絶縁板、51は電極、52はXY走査回路、53はサーボ回路、54はトンネル電流増幅器、55はバイアス電源、56は表示装置を示す。 【0005】図12において、STMユニットは、ヘッド44に探針43が装着され、ヘッド44が絶縁板45、47及び圧電素子46、48、49により支持されている。圧電素子46、48、49は、X軸、Y軸、Z軸からなる3次元アクチュエータを構成し、圧電素子46がZ軸、圧電素子48がX軸、圧電素子49がY軸を駆動するものである。3次元アクチュエータを構成する圧電素子46、48、49のそれぞれ両側に配置された電極51には、駆動電圧が印加される。3次元アクチュエータの制御では、XY走査回路52によりX軸、Y軸方向圧電素子48、49に対する印加電圧を掃引することにより探針43をX軸、Y軸方向に移動させ走査し、この走査をしながらトンネル電流が一定になるようにサーボ回路53を通してZ軸方向圧電素子46に対する電圧を制御する。そこで、この制御電圧値を表示装置56に表示することによって、試料42の表面形状(凹凸像)を観察することができる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】 図13及び図14は従来の走査法の例を説明するための図である。 【0007】上記のようにトンネル顕微鏡では、試料又は探針の走査のために一般に圧電素子が使われているが、圧電素子にヒステリシスがあるため、三角波で駆動した場合に、同じ電圧でも行きと帰りで位置がずれてしまうという問題がある。 【0008】そこで、従来は、図13に示すように帰線消去によりX方向走査、Y方向走査で帰り部分の像表示を行なわなかった。すなわち、図14(a)に示すように探針が試料上を実線の方向に行き走査した時は、この走査と同期して同図(b)に示すように像表示を行い、点線の方向に帰り走査した時は消去している。しかも、探信のZ方向駆動を制御するサーボ回路は常に動作しているので試料面に探針をぶつけないために帰り走査の速度を上げることもできない。そのため、帰り走査は全くの無駄時間になっている。 【0009】本発明は、上記の課題を解決するものであって、三角波で駆動した場合に、行きだけでなく帰りでも像を取り有効に利用する走査トンネル顕微鏡を提供することを目的とするものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】 そのために本発明は、試料面に探針を近づけて探針又は試料をXY方向に走査しトンネル電流を検出して試料面の走査像を得る走査トンネル顕微鏡において、Y走査の往路の走査におけるX走査の往路の走査の映像信号と、Y走査の復路の走査におけるX走査の往路の走査の映像信号に基づき試料の走査像を得るようにしたことを特徴とするものである。 【0011】 【作用】 本発明の走査トンネル顕微鏡では、往復走査のそれぞれの方向で走査像を得るので、行き走査により得られる像と帰り走査により得られる像との比較情報を得ることができ、帰り走査も無駄なく有効に利用することができる。 【0012】 【発明の実施の形態】 以下、図面を参照しつつ実施例を説明する。 【0013】図1は本発明に係るトンネル顕微鏡の1実施例構成を示す図、図2はX走査モードの1実施例を示す波形図、図3はX走査モードの他の実施例を示す波形図、図4はY走査モードを説明するための波形図、図5乃至図8は走査と表示像との対応例を示す図である。 【0014】1はY走査回路、2はX走査回路、3は定電圧発生回路、4は切り換えアンプ、5は加算回路、6はY駆動アンプ、7はX駆動アンプ、8はX表示アンプ、9はY表示アンプ、10は表示CRT、11はブランク回路、12は映像アンプ、13はZ制御回路、14はX駆動素子、15はY駆動素子、16はZ駆動素子を示す。 【0015】図1において、X駆動素子14、Y駆動素子15、Z駆動素子16は、例えば圧電素子であり、3次元アクチュエータを構成するものである。X走査回路2、Y走査回路1は、それぞれX、Yの走査信号を発生する回路であり、X駆動アンプ7、Y駆動アンプ6は、それぞれ走査信号に基づいてX駆動素子14、Y駆動素子15に印加する電圧を制御するものである。Z制御回路13は、トンネル電流を検出し、トンネル電流が一定になるようにZ駆動素子16に印加する電圧を制御するものであり、その信号が映像信号になる。切り換えアンプ4は、図3に示すようにX走査信号Aをそのまま(B)加算回路5に送る非反転モードと、図2に示すようにX走査信号Aを半周期だけ反転に切り換えて(B、+→−→+……)送る反転モードを有し、後者の反転モードでは、行きから帰りに切り替わるときX走査回路2のタイミング信号xにより反転に切り換えている。定電圧発生回路3は、図2及び図3に示すようにX走査信号の半周期毎にタイミング信号xにより正負反転した定電圧Cを発生するものである。加算回路5は、切り換えアンプ4の出力Bと定電圧発生回路3の出力Cとを加算してX表示アンプ8に表示用走査信号Dを供給するものである。 【0016】次に動作を説明する。 【0017】まず、X走査回路2で図2A、図3Aに示す三角波形のX走査信号を生成し、この信号をX駆動AMP7で増幅し、圧電素子からなるX駆動素子14に供給することにより、試料又は探針をX方向に移動する。また、Y走査回路1でも図4Aに示すように必要X走査線数分のゆっくりした傾きを持った波形のY走査信号を生成し、この信号をY駆動AMP6で増幅し、Y駆動素子15に供給することにより、試料又は探針をY方向に移動する。 【0018】そこで、切り換えアンプ4が反転モードの場合には、X表示については、X走査信号Aの方向が変わるたびに切り換えアンプ4の出力B及び定電圧発生回路3の出力Cを図2に示すように変えて加算回路5で加算し1/2にする。その結果、加算回路5の出力として、図2Dに示す波形が得られ、その信号DをX表示アンプ8で増幅して表示CRT10のX偏向に使う。そして、表示アンプ8の出力Dの傾きが変わる時に図2Eに示す波形で映像を消却する。また、Y表示については、Y走査信号をそのまま使用してCRTのY偏向を行う。このようにすると図5に示すように行きの走査による像と帰りの走査による像が左右対称な像となって表示される。 【0019】また、切り換えアンプ4が非反転モードの場合には、切り換えアンプ4の出力が図3BのようにX走査信号Aと同じになり、図6に示すように行きの走査による像と帰りの走査による像が並列に表示される。 【0020】さらに、図1一点鎖線部(定電圧発生回路3、切り換えアンプ4、加算回路5)をY表示アンプ9の前に追加して、X、Y表示共に図2の反転モードにすると図7に示すように上下左右対称な4つの像が得られる。同様に、X、Y表示共に図3の非反転モードにすると、図8に示すように同一方向の4つの像が得られる。 【0021】図9はフレームメモリを使用した本発明の他の実施例を示す図、図10はフレームメモリの構成例を示す図、図11は走査とメモリアドレスとの関係を説明するための図であり、21はコントローラ、22、23と29はD/A変換回路、24はA/D変換回路、25はフレームメモリ、26はY駆動アンプ、27はX駆動アンプ、28はZ制御回路、30はモニタCRT、31はX駆動素子、32はY駆動素子、33はZ駆動素子を示す。 【0022】図9に示す例では、コントローラ21は、一定時間毎にX用のD/A変換回路23、Y用のD/A変換回路22にデータを出力して、それぞれX駆動素子31、Y駆動素子32共に図2Aに示す波形の電圧を印加する。 【0023】またトンネル電流を一定にするためのZ制御回路28からの出力を一定時間毎にA/D変換回路24を通してコントローラ21に取り込む。 【0024】そして、例えばフレームメモリ25の構成を図10に示すように512×512画素にした場合には、X、Y走査に対してフレームメモリ25上で図11Aのようなアルゴリズムでアドレスを発生させてデータを格納する。 【0025】フレームメモリ25に格納したデータは、モニタCRT30の周期にあったスピードで読み出してD/A変換回路29でD/A変換を行い、同期信号を付加してモニタCRT30に送る。このようにすることによって図7に示すような像を表示することができる。 【0026】また、フレームメモリ25にデータを格納する時、X、Y共図11Bに示すようなアルゴリズムでアドレルを発生させると、図8に示すような像を表示することができる。 【0027】なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記の実施例ではCRTを用いたが、CRTの代わりにXYレコーダを用いてもよい。その場合には、Y軸変調で、輝度信号は不要になる。また、輝度消去はペン・アップに対応する。さらには、帰り走査の期間の像を別のフレームメモリに入れて別の画面にしてもよい。 【0028】 【発明の効果】 以上の説明から明らかなように、本発明によれば、往復の走査に対応してそれぞれの像を得るので、同時に並べて表示したり、像を切り換えて表示することによって、X、Y駆動素子のヒステリシスの様子を知ることができる。また、探針の形状によっては往復の像に不一致が生じるので、探針の評価にも活用することができる。さらには、試料又は探針のもどり(帰り)走査の期間も利用するので、無駄時間をなくし有用な情報を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004271 【氏名又は名称】日本電子株式会社
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| 【出願日】 |
昭和63年(1988)7月20日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−271336 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月8日 |
| 【出願番号】 |
特願平11−8925 |
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