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【発明の名称】 データ処理装置
【発明者】 【氏名】逢坂 直樹

【要約】 【課題】未知試料の測定値の誤差の範囲も表示できるようにしたデータ処理装置を提供する。

【解決手段】検量線算出部4は少なくとも2種類以上の標準試料既知成分量及び標準試料測定値を用いて検量線を算出する。誤差算出部6により標準試料既知成分量と検量線算出部4で得た検量線との誤差を算出する。誤差算出部6で得た誤差のうち少なくとも最大誤差を表示部10に表示することにより、その検量線を用いて算出する未知試料の測定値の正確さを知ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 標準試料の既知成分量及び分析装置による標準試料測定値を分析して検量線を算出する検量線算出部と、前記既知成分量に対する前記検量線の誤差を算出する誤差算出部と、前記分析装置による未知試料測定値に前記検量線を適用して未知試料の成分量を求める成分量算出部と、前記成分量算出部による未知試料の成分量及び前記誤差算出部による誤差のうち少なくとも最大誤差を表示する表示部と、を備えたことを特徴とするデータ処理装置。
【0001】
【発明の詳細な説明】【発明の属する技術分野】本発明は、クロマトグラフを初めとする種々の分析装置において、既知成分量の標準試料を分析して検量線を算出し、その検量線を用いて未知試料の成分量を求めるデータ処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】データ処理装置では、標準試料を用いて未知試料の成分量算出時の基準となる検量線を算出する。得られた検量線は絶対的であると考えられていた。また、検量線は最小二乗法により求められることがあるが、最小二乗法により求められた検量線において、統計学手法によりその検量線の寄与率(重相関係数ともいう)r2や相関係数rを求めることはあったが、既知成分との誤差を求めることはなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】統計学手法により寄与率r2や相関係数rを求めて検量線の信頼性を表示することはあったが、未知試料を分析して得られた成分量にどの程度の誤差が含まれているのかを具体的に表示することはできなかった。そのため、未知試料の測定値の正確さを知ることができないという問題があった。
【0004】そこで本発明は、未知試料の測定値の誤差の範囲も表示できるようにしたデータ処理装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】図1は本発明を表すブロック図である。2は例えば液体クロマトグラフなどの分析装置、4は標準試料測定値を分析して検量線を算出する検量線算出部、6は既知成分量と検量線の誤差を算出する誤差算出部、8は未知試料測定値を分析して成分量を算出する成分量算出部、10は未知試料の成分量及び誤差を表示する表示部、である。
【0006】検量線算出部4は少なくとも2種類以上の標準試料測定値を用いて検量線を算出する。誤差算出部6により標準試料既知成分量と検量線算出部4で得た検量線との誤差を算出する。誤差算出部6で得た誤差を表示部10に表示することにより、その検量線を用いて成分量算出部8により算出する未知試料の成分量の正確さを知ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のデータ処理装置の一つの実施の形態として、液体クロマトグラフにおいて、最小二乗法により検量線を算出する検量線算出部4を備え、成分量の異なる3種類の標準試料を用いて検量線及び誤差を算出するデータ処理装置を例に挙げて説明する。
【0008】標準試料の既知成分量をそれぞれC1,C2,C3とし、標準試料を測定して得られた測定値(面積)をそれぞれA1,A2,A3とすると、図2に示すように、(x,y)=(A1,C1)、(A2,C2)、(A3,C3)の3点から最小二乗法により次式のような検量線を求めることができる。
y=ax+b (1)
このとき、寄与率r2や相関係数rを求めることが好ましい。
【0009】次に、(1)式の検量線と標準試料既知成分量との誤差eを求める。
en=(aAn+b)−Cn (2) (n=1,2,3)
誤差enは標準試料既知成分量Cnに対する検量線との差(成分量で表した不正確さ)を表すことになる。
【0010】誤差enの最小値emin、最大値emaxは、(1)式に表す検量線に含まれる成分量で表した不正確さの最小値、最大値となる。この最小誤差値emin及び最大誤差値emaxを求めて表示することにより、検量線の不正確さ(誤差や絶対的な成分量など)を知ることができる。例えば、最小値emin=e2、最大値emax=e3とすると、得られた検量線には、最小e2、最大e3の誤差が含まれることになる。未知試料の測定値をAuとすると、(1)式より、未知試料の成分量はCu=aAu+bとなるが、成分量Cuには、最小e2、最大e3の誤差が含まれる。
【0011】さらに、許容誤差値etoleranceを予め定めておくことが好ましい。求められた誤差が許容範囲内であるかどうかを判定することにより、得られた検量線が適正なものであるかどうかを知ることができる。
【0012】
【実施例】図3は、一実施例で用いられる装置を表す。12は図示しない分析装置の検出器からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器であり、そのデジタル信号はCPU14に取り込まれる。CPU14には検出データや計算結果を記憶するメモリ16、計算結果を記録するプリンタ18、ディスプレイ20、データの入力や動作を操作するキーボード22などが接続されている。図1と図3の対応関係を示すと、検量線算出部4、誤差算出部6、及び成分量検出部10はCPU14及びメモリ16により実現され、表示部10はプリンタ18及びディスプレイ20に該当する。
【0013】少なくとも2以上の既知成分量の標準試料測定値AnをA/D変換器12を介してメモリ16に記憶し、標準試料既知成分量Cn及び許容誤差値etoleranceをキーボード22によりメモリ16に記憶する。CPU14により、メモリ16に記憶された標準試料測定値An及び標準試料既知成分量Cnから検量線を算出し、さらに、寄与率r2、相関係数r、最小誤差値emin及び最大誤差値emaxを算出する。これらのデータをメモリ16に記憶し、プリンタ18に出力し、又はディスプレイ20に表示する。
【0014】CPU14が行なうデータ処理の動作を図4のフローチャートに従って説明する。データ処理に当たっては、まずキーボード22によりオペレータが検量線算出のデータ処理動作をスタートさせる。メモリ16に記憶された標準試料測定値An及び標準試料既知成分量Cnを読み出し、(1)式に示すような検量線を算出する。このとき、寄与率r2や相関係数rも求める。次に、(2)式の計算を行ない、標準試料既知成分量Cnと検量線との誤差enを算出する。誤差enから最小誤差値emin及び最大誤差値emaxを選択する。
【0015】検量線、寄与率r2、相関係数r、最小誤差値emin及び最大誤差値emaxをメモリ16に記憶する。これらのデータをプリンタ18に出力し、又はディスプレイ20に表示する。図5はデータ処理の出力例を表す図である。このように、最小誤差値emin、最大誤差値emax及び許容誤差値etoleranceを表示しておくことにより、未知試料の測定値の正確さを即座に知ることができる。
【0016】上記の実施の形態及び実施例では、重み付け(1/y2)を行なわない最小二乗法を用いているので、求めた誤差eはy軸の絶対量となる。y軸に重み付けを行なって最小二乗法により検量線を求めると、誤差を百分率e’で求めることができる。
e'n=(en/Cn)×100 (4)
このように、y軸に重み付けを行なって最小二乗法により検量線を求めてもよい。
【0017】
【発明の効果】本発明では、標準試料測定値An及び標準試料既知成分量Cnから検量線を算出し、標準試料既知成分量Cnと検量線との誤差enを算出し、少なくとも最大誤差を表示するようにしたので、未知試料の測定値の正確さを即座に知ることができる。
【出願人】 【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
【出願日】 平成10年(1998)3月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】野口 繁雄
【公開番号】 特開平11−271296
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−95335