| 【発明の名称】 |
センサのシール構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】斎藤 卓也
【氏名】高橋 浩一
【氏名】吉川 政孝
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| 【要約】 |
【課題】熱サイクル付与によるシール部材の飛び出しやゆるみ等を生じにくく、良好なシール性を確保することができるセンサのシール構造を提供する。
【解決手段】ケーシング1の開口部を封止するシール部材6は、その上部スリーブ1aの軸線方向において互いに隣接する2部分、すなわち上部スリーブ1aの開口部1e側に位置するフッ素系ゴム製の第一部分11と、それよりも内方側に位置するシリコン系ゴム製の第二部分12とから構成される。第一部分11と第二部分12との間には、第二部分12側に形成された隙間形成凸部16により所定量の変形吸収隙間Sが形成される。シール構造50に加熱・冷却のサイクルが加わると、第一部分11と第二部分12との膨張差等に基づき第二部分12が軸線方向に変形し、第一部分11がケーシング1の外へ押し出されることがある。そこで、上記のような変形吸収空間Sを設けておけば、第二部分12の変形が該空間Sによって吸収されるので、上記のような不具合を解消することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも一端に開口部が形成された筒状のケーシングの内側に検出素子が配置され、その検出素子からの出力を取り出すリード線が、前記開口部から外側に延出するとともに、前記ケーシングの該開口部が形成されている端部内側に、前記リード線と前記ケーシング内面との間をシールするゴム、樹脂等の高分子弾性材料で構成されたシール部材が配置され、そのシール部材は、前記ケーシングの軸線方向において2以上の複数部分に分割して構成されるとともに、それら複数部分のうちの、互い隣接する少なくともある2つの部分が、前記ケーシングの開口部に近い側のものを第一部分、同じく遠い側のものを第二部分として、それらが互いに異なる高分子弾性材料で構成されており、かつ前記第二部分の軸線方向における少なくとも一方の端面側に隣接して、もしくはその第二部分の内部に、当該第二部分の軸線方向における変形を吸収する変形吸収空間が形成されていることを特徴とするセンサのシール構造。 【請求項2】 前記第二部分は前記第一部分よりも線膨張係数の大きい材料で構成されている請求項1記載のセンサのシール構造。 【請求項3】 前記変形吸収空間は、前記ケーシングの軸線方向において前記第一部分と前記第二部分との間、及び前記第二部分と該第二部分を挟んで前記第一部分と反対側に配置された他部材との間の少なくともいずれかに形成された変形吸収隙間である請求項1又は2に記載のセンサのシール構造。 【請求項4】 前記ケーシングの軸線方向において、前記第一部分の前記第二部分側に位置する端面、前記第二部分の前記第一部分側に位置する端面、及び前記第二部分の前記他部材側に面する端面の少なくともいずれかに、前記変形吸収隙間の大きさを規定する隙間形成凸部が、前記軸線方向に突出して形成されている請求項3記載のセンサのシール構造。 【請求項5】 前記隙間形成凸部は、前記端面の外周縁部においてその周方向に沿うように所定の角度間隔で形成されている複数個の凸部、及び前記端面の外周縁部においてその周方向に沿うように連続的に形成された環状の凸状部のいずれかである請求項4記載のセンサのシール構造。 【請求項6】 前記シール部材は、前記第一部分がフッ素系ゴムにより、前記第二部分がシリコン系ゴムによりそれぞれ構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載のセンサのシール構造。 【請求項7】 前記シール部材は、フッ素系ゴム製の前記第一部分と、シリコン系ゴム製の前記第二部分との2部分からなるものであり、その第二部分を挟んで前記第一部分と反対側には、前記他部材として、前記検出素子からの複数の前記リード線を互いに分離した状態で保持するためのセラミックセパレータが配置されている請求項6記載のセンサのシール構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、センサのシール構造に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、自動車の排ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサとして、ジルコニア等の固体電解質や金属酸化物半導体を検出素子として用いるものが知られている。検出素子は筒状のケーシングの内側に配置され、その出力は素子に接続されたリード線によりケーシングの外側に取り出される。また、リード線が引き出されるケーシングの開口部には、ケーシング内へ水等が進入することを阻止するためにゴム製のシールがはめ込まれ、リード線はこのシールを貫いてケーシングの外側に延出する。 【0003】ここで、上記酸素センサは作動温度が300℃以上と高く、ヒータにより検出素子を強制加熱する構造が一般に採用されている。この場合、ヒータによる発熱にエンジンからの発熱が重なって、酸素センサはかなりの高温度にさらされることになり、上記シールも耐熱性ゴムで構成する必要がある。従来、そのようなゴムとしてはシリコン系ゴムが用いられてきたが、その耐熱性は必ずしも十分とはいえず、温度が特に高くなった場合(例えば250℃以上)にはシール性が失われてしまう欠点があった。また、シリコン系ゴムよりもさらに耐熱性に優れたフッ素系ゴムを使用する構成も提案されているが(例えば特開平8−15214等)、フッ素系ゴムは高温になるとフッ素ガスを放出するので、これがケーシング内に放出された場合、基準ガスにこれが混入して検出精度を低下させたり、あるいはリード線(及びこれが接続される端子)の露出部分を腐食してしまう問題がある。 【0004】そこで、これを解決するために、特開平9−318580号公報には、例えば図14(a)に示すように、ケーシング100の開口部100e側にフッ素系ゴム製の第一のシール部材101を配し、それよりもさらに内側にフッ素成分を含有しないシリコン系ゴム製の第二のシール部材102を配することで、高温におけるケーシング100内へのフッ素ガスの放出を防止ないし抑制する提案がなされている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところで、図14(a)に示すシール構造を加熱した場合、金属製のケーシング100と、その内側にはめ込まれたシール部材101,102とはそれぞれ熱膨張を起こす。次いで、これを冷却すると、ケーシング100の方がシール部材101,102よりも外側に位置し、かつ熱伝導率も高いことから、ケーシング100はシール部材101,102よりも先に冷却して収縮を起こす。このとき、シール部材101,102が上述のように互いに異なる材質で構成されていると、このような加熱冷却のサイクルを繰り返した場合に、両シール部材101,102の熱膨張差により、図14(b)に示すようにケーシング100の開口部100e側に位置する第一のシール部材101が第二のシール部材102に押されてケーシング100から飛び出し、シール性が損なわれたりする問題を生じうる。 【0006】本発明の課題は、シール部材が互いに異なる材質の2以上の部分から構成されている場合でも、熱サイクル付与によるシール部材の飛び出しやゆるみ等を生じにくく、ひいては長期にわたって良好なシール性を確保することができるセンサのシール構造を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段及び作用・効果】本発明のセンサのシール構造においては、少なくとも一端に開口部が形成された筒状のケーシングの内側に検出素子が配置され、その検出素子からの出力を取り出すリード線が、開口部から外側に延出するとともに、ケーシングの該開口部が形成されている端部内側に、リード線とケーシング内面との間をシールするゴム、樹脂等の高分子弾性材料で構成されたシール部材が配置される。上述の課題を解決するために、そのシール部材は、ケーシングの軸線方向において2以上の複数部分に分割して構成されるとともに、それら複数部分のうちの、互い隣接する少なくともある2つの部分が、ケーシングの開口部に近い側のものを第一部分、同じく遠い側のものを第二部分として、それらが互いに異なる高分子弾性材料で構成されており、かつ第二部分の軸線方向における少なくとも一方の端面側に隣接して、もしくはその第二部分の内部に、当該第二部分の軸線方向における変形を吸収する変形吸収空間が形成されていることを特徴とする。 【0008】シール部材を軸方向に隣接する複数部分により構成し、それらの互い隣接するある2つの部分が異なる高分子弾性材料で構成されている場合、これに加熱・冷却のサイクルが加わると、例えば第一部分と第二部分との膨張差等に基づき第二部分が軸線方向に変形し、第一部分が軸線方向に押されて位置ずれを起こしたり、あるいはケーシングの外へ押し出されたりすることがある。そこで、上記のような変形吸収空間を設けておけば、第二部分の変形が該空間によって吸収されるので、上記のような不具合を解消することができる。 【0009】加熱・冷却のサイクル付加による第二部分の変形は、第二部分が第一部分よりも線膨張係数の大きい材料で構成されている場合に特に大きくなりやすい。従って、シール部材がこのような構成を有する場合に、上記本発明の効果は一層顕著に発揮されることとなる。 【0010】変形吸収空間は、ケーシングの軸線方向において第一部分と第二部分との間、及び第二部分と該第二部分を挟んで第一部分と反対側に配置された他部材との間の少なくともいずれかに形成された変形吸収隙間とすることができる。このような変形吸収隙間の形成により、上記本発明の効果を比較的単純な構成により確実に達成することができる。 【0011】この場合、ケーシングの軸線方向において、第一部分の第二部分側に位置する端面、第二部分の第一部分側に位置する端面、及び第二部分の他部材側に面する端面の少なくともいずれかに、変形吸収隙間の大きさを規定する隙間形成凸部を、軸線方向に突出して形成することができる。隙間形成凸部を設けることにより、上記第一部分、第二部分あるいは他部材との間に所定量の変形吸収隙間を簡単かつ確実に形成することができる。なお、隙間形成凸部は、端面の外周縁部においてその周方向に沿うように所定の角度間隔で形成されている複数個の凸部、及び端面の外周縁部においてその周方向に沿うように連続的に形成された環状の凸状部のいずれかとすることができる。隙間形成凸部をこのように形成することにより、形成される隙間量の位置的な偏りを少なくすることができ、ひいては第二部分の変形の吸収をより確実に行うことができる。 【0012】シール部材は、第二部分を第一部分よりフッ素含有率の低い樹脂で構成することができる。これにより、高温におけるケーシング内へのフッ素ガスの放出を防止ないし抑制することができ、ひいては基準ガスへのフッ素ガスの混入に伴う検出精度の低下、あるいはリード線や端子の露出部分の腐食等を起こりにくくすることができる。また、第一部分をフッ素を含有する樹脂で構成することで、高温におけるシール性を確保できる。 【0013】この場合、第一部分のフッ素含有率を40重量%以上とすることで、高温でのシール性がさらに向上し、例えば250℃以上の高温でもシール性が確保できるようになる。一方、第二部分のフッ素含有率を30重量%以下(ゼロを含む)に設定することによりリード線の腐食防止に顕著な効果が得られ、さらに10重量%以下(ゼロを含む)に設定することで、例えば酸素センサにおける基準ガスへのフッ素ガスの混入に起因した検出精度の低下等が効果的に防止ないし抑制される。 【0014】シール部材はゴムで構成することで、リード線の挿通及びケーシングへの嵌着が容易となり、ひいてはシール構造の組立てを能率的に行うことができる。この場合、シール部材の第二部分をシリコンゴムで、第一部分をフッ素ゴムで構成することができる。この構成によれば、ケーシング内へのフッ素ガスの放出がほとんど起こらなくなる。 【0015】なお、ここでいう「シリコンゴム」とは、ゴムの分子構造において、その主鎖が主にオルガノシロキサン結合により形成される合成ゴムを総称するものであり、特にビニルシリコンゴム(ビニルメチルシリコンゴム)、フェニルシリコンゴム(フェニルメチルシリコンゴム)、フッ化シリコンゴム等が好適に使用できる。また、「フッ素ゴム」とは、フッ素を含有する合成ゴムを総称するものであり、例えばフッ化ビニリデン系ゴム(フッ化ビニリデンと、6フッ化プロピレン、5フッ化プロピレンあるいは3フッ化塩化エチレン等との共重合体を主成分とするもの)、四フッ化エチレン−プロピレンゴム、四フッ化エチレン−フルオロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フッ化アクリレート系ゴム、フッ化ポリエステル系ゴム等が使用できる。 【0016】なお、シール部材は、フッ素系ゴム製の第一部分と、シリコン系ゴム製の第二部分との2部分構成とすることで、シール部材構造の過度な複雑化を招くことなく、高温でのシール性の確保と、ケーシング内へのフッ素ガス放出防止の効果を良好かつバランスよく達成することができる。この場合、その第二部分を挟んで第一部分と反対側には、前記他部材として、検出素子からの複数のリード線を互いに分離した状態で保持するためのセラミックセパレータを配置することができる。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明のシール構造が採用されたセンサユニットの一例を示している。すなわち、該センサユニット20においては、筒状のケーシング1の先端部内側に配置された検出素子2が、ガス導入孔1dから導入された排気ガスと接触することにより、その酸素濃度に応じて検出信号を発生させ、その出力が該素子2に接続されたリードフレーム3及びリード線4によりケーシング1の開口部1eから外側に取り出されるようになっている。なお、検出素子2は、例えばアルミナ等の耐熱性絶縁材料で構成されたベース部の先端に、酸素濃度によって抵抗値の変化するチタニア等の金属酸化物を用いて検出部を形成した構造を有し、該検出部の抵抗変化が測定ガス中の酸素濃度の検出信号として出力される。また、検出素子2の内側には、これを所定の作動温度に加熱するためのヒータ5が設けられており、これに接続されたリードフレーム8及びリード線9を介して通電されるようになっている。 【0018】ケーシング1は、検出素子2が配置される下部スリーブ1cと、開口部1eが形成された上部スリーブ1aと、両スリーブ1c及び1aを互いに結合するとともにセンサユニット20を図示しない排気管等に固定するための螺子部1fを備えたハウジング1bとによって構成されている。なお、上部スリーブ1a、下部スリーブ1c及びハウジング1bは、それぞれステンレス鋼等の金属材料で構成されている。 【0019】上部スリーブ1aの内側には、該上部スリーブ1aよりも径小で、ハウジング1bにて保持されたセラミックホルダ1gが配置されている。また上部スリーブ1aの内側は、その開口部1eを封止するシール部材6が設けられ、軸線方向において該シール部材6に続く形でさらに内方には、セラミックセパレータ7が設けられている。そして、それらセラミックセパレータ7及びシール部材6を貫通するように上記リード線4及び9が配置され、リード線4及び9は金属製の接続端子10,10を介してリードフレーム3及び8にそれぞれ電気的に接続されている。ここで、シール部材6は、リード線4及び9と上部スリーブ1aの内面との間をシールし、上部スリーブ1aとともにセンサのシール構造50の要部を構成している。 【0020】図2(b)に示すように、セラミックセパレータ7は、上部スリーブ1aよりも少し小さい断面径を有する円柱状に構成されるとともに、各リード線4及び9を挿通するための複数のリード線挿通孔7aが軸線方向に貫通して形成されている。リード線挿通孔7aは上部スリーブ1aの軸線回りにおいて所定の角度間隔(本実施例ではほぼ90度)で複数(本実施例では4つ)形成されている。また、リード線挿通孔7aは段部7bにより検出素子2側が拡径されており、この部分に接続端子10が収容されるようになっている。さらにセラミックセパレータ7の上面側には、凹部19が形成されており、ここにシール部材6の凸部18が嵌合している。凹部19及び凸部18は、図13に示すように、軸断面が角形形状(本実施例では正方形)を有しており、これらが軸方向に互いに嵌合することでシール部材6とセラミックセパレータ7との軸線回りの回転が阻止され、リード線挿通孔7aと12aとが互いに位置合わせされる。なお、凸部18及び凹部19は、軸線回りにおける相対的な回転が阻止されるのであれば角形形状に限らず、その他の角型形状、楕円形状等に形成してもよい。 【0021】シール部材6は、上部スリーブ1aの軸線方向において互いに隣接する2部分、すなわち上部スリーブ1aの開口部1e側に位置する第一部分11と、それよりも内方側に位置する第二部分12とから構成される。ここで、第一部分11はフッ化ゴム、例えばフッ化ビニリデン系ゴム等のフッ素系ゴム(フッ素含有率40重量%以上)により、また、第二部分12はシリコン系ゴム、例えばビニルメチルシリコン系ゴム等のシリコン系ゴム(フッ素含有率は実質的にゼロ)により構成されている。そして、図2(a)に示すように、シール部材6の第一部分11及び第二部分12は、非圧縮状態(すなわち、上部スリーブ1aから取り出した状態)において、それぞれ上部スリーブ1aの内径よりも少し大きいほぼ同一断面径を有する円柱状形態をなしている。 【0022】第二部分12は、第一部分11よりも短い軸線方向長さを有する本体部15を有し、これに前述の各リード線4及び9(図1)をそれぞれ通すためのリード線挿通孔12aが軸線方向に貫通して形成されている。なお、リード線挿通孔12aは、図3に示すように、シール部材6の軸線回りにおいて所定の角度間隔(本実施例ではほぼ90度)に複数(本実施例では4つ)形成されている。また、その本体部15の第一部分11に面する端面15aには、該端面15aから第一部分11の対向する端面11bに向けて軸線方向に突出する隙間形成凸部16が形成されている。該隙間形成凸部16は、端面15aの外周縁部において、その周方向に沿って所定の角度間隔で複数個(本実施例では4個)形成されている。この隙間形成凸部16は、図2に示すように、第一部分11と第二部分12との間においてその軸線方向に、その突出高さhに対応する間隔の変形吸収隙間S(膨張吸収空間)を形成する役割を果たす。他方、第一部分11には、第二部分12の各リード線挿通孔12aに対応するリード線挿通孔11aが形成されている。 【0023】以下、シール部材6の組付方法について説明する。すなわち、図2(b)に示すように、セラミックホルダ1gの上にセラミックセパレータ7及びシール部材6(第二部分12・第一部分11)を順次重ねるように配置した後、さらにその上部側から上部スリーブ1aを挿入し軸方向に押し込む。これにより、シール部材6の外面が開口部1eの内面と密着し、両者の間がシールされるとともに、上部スリーブ1aの先端部内側がハウジング1bの後端部に挿入される。次に、各リード線4及び9は、それぞれ芯線13の外側が絶縁被覆で覆われた構造とされており、それぞれシール部材6及びセラミックセパレータ7のリード線挿通孔11a、12a及び7aに挿入され、その芯線13の先端に接続端子10が取り付けられる。そして、それら接続端子10に各リードフレーム3及び8が溶接されることによりそれぞれ接続状態となる。また、上部スリーブ1aとハウジング1bとは、その重なり部において周方向に溶接されることにより互いに気密状態で接合される。 【0024】この状態で、図2(b)に示すようにシール部材6(第一部分11)の軸線方向中間部に対応する位置において、上部スリーブ1aを縮径方向に加締めることにより、シール部材6の抜止めが施されて図1に示す組み付け状態となる。 【0025】上記センサのシール構造50においては、そのシール部材6において、第二部分12(の本体部15)の端面15aに隙間形成凸部16を形成することにより、第一部分11の端面11bと第二部分12の端面15aとの間に変形吸収隙間Sを形成する構成とした。これにより、センサユニット20に熱サイクルが加わった場合に、第一部分11と第二部分12との間の熱膨張差により、第一部分11が第二部分12に押されて上部スリーブ1aから飛び出すことを効果的に防止することが可能となる。 【0026】このような効果が得られる理由としては次のような機構が考えられる。すなわち、図1に示すシール構造50を加熱した場合、金属製の上部スリーブ1aと、その内側にはめ込まれたシール部材6とはそれぞれ熱膨張を起こす。次いで、これを冷却すると、上部スリーブ1aの方がシール部材6よりも外側に位置し、かつ熱伝導率も高いことから、上部スリーブ1aはシール部材6よりも先に冷却されて収縮を起こす。これにより、シール部材6は上部スリーブ1aにより径方向に圧縮される。 【0027】ここで、シール部材6の第一部分11はフッ素系ゴムにより、第二部分12はシリコン系ゴムで構成されているが、シリコン系ゴムはフッ素系ゴムよりも線膨張係数が高く、かつ軸線方向において第二部分12の方が第一部分11よりも内側に位置していて冷却が進みにくい。その結果、図4に示すように、冷却時において第二部分12は第一部分11よりも収縮が遅れ、その膨張差によって第二部分12は第一部分11よりも一時的に余分に圧縮された状態となり、例えば同図(b)に示すように第一部分11側に湾曲するなど、上部スリーブ1aから第一部分11を押し出す方向に変形を生ずることとなる。このとき、図14に示す従来のシール構造のように、第一部分101と第二部分102とが密接配置されていると、第二部分102の該変形により第一部分101が押されて変位を受ける。そして、このような加熱−冷却のサイクルを繰り返すに伴い上記変位が蓄積され、やがては第一部分101に無視できない程度の上部スリーブ100eからの飛び出しが生じて、シール性が損なわれたりする問題につながる。 【0028】しかしながら、本発明のシール構造のように、第一部分11と第二部分12との間に、図1に示すような変形吸収隙間Sが形成されていると、上記収縮遅れによる第二部分12の変形が該隙間Sにより吸収され、第一部分11の飛び出しが防止されるものと考えられる。 【0029】以下、本発明のシール構造の各種変形例について説明する。図5に示すように、隙間形成凸部16は、本体部15の端面15aの中央部に1カ所のみ形成することも可能である。また、図6に示すように、第二部分12には、その板面を直径方向に横切るやや広幅の溝状の凹部17を形成し、その凹部17の幅方向両側に隙間形成凸部16を形成する構成でもよい。また、図7に示すように、隙間形成凸部16は、本体部15の端面15aの外周縁に沿う凸条部として形成してもよい。 【0030】さらに、図8に示すように、第二部分12は、その外側面から半径方向に切れ込む環状溝形態の凹部21を1又は軸線方向に複数列(図では2列)形成した形態とすることがきる。この場合、凹部21が膨張吸収空間として機能し、前述の収縮遅れによる第二部分12の変形を吸収することができる。また、図9に示すように第二部分12は、本体部15の内側に、膨張吸収空間としての空隙部23が形成された構成とすることもできる。 【0031】次に、図10に示すように、隙間形成凸部16を第二部分12の底面12cに形成することもできる。この場合、セラミックセパレータ7と第二部分12との間に変形吸収隙間Sが形成され、冷却時の第二部分12の変形は該隙間Sにより吸収することができる。また、隙間Sを第一部分11と第二部分12との間に形成する場合、図11(a)に示すように、隙間形成凸部16を第一部分11に形成するようにしてもよい。さらに、図11(b)に示すように、隙間形成凸部16を第一部分11の底面(端面)11bと、第二部分12の底面12cとの両方に形成することができる。この場合、変形吸収隙間Sは、第一部分11と第二部分12との間、及び第二部分12とセラミックセパレータ7との間にそれぞれ形成されることなる。 【0032】なお、シール部材6は、上部スリーブ1aの軸線方向において隣接する3以上の部分により形成してもよい。そして、それら各部のうち、互い隣接するある2つの部分において、ケーシング1の開口部に遠い側のもの(第二部分)が近い側のもの(第一部分)よりも線膨張係数の大きい材質にて構成されている場合、その第二部分の軸線方向における少なくとも一方の端面側、もしくは該第二部分の内側に膨張吸収空間を形成することで、前述の本発明の効果を同様に達成することができる。 【0033】図12は、本発明のシール構造を他のタイプの酸素センサに適用したセンサユニット40の一例を示している。該センサユニット40は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質(例えばZrO2、Y2O2等)により構成された酸素濃淡電池素子と、該酸素濃淡電池素子を所定の活性化温度に加熱するヒータとを有するセラミック素子(検出素子)2とを備えている。検出素子2は、上記センサユニット20と同様に、先端がガス導入孔1d(図1)から導入された排気ガスと接触する検出部(図示せず)とされる一方、後端側には大気導入口2sが形成されており、ここから酸素濃淡電池素子の基準ガスとなる大気(外気)が導入される。 【0034】図12に示すように、センサユニット40は、筒状の上部スリーブ1aを含むケーシング1を有し、その上部スリーブ1aの上部側壁には、貫通孔(気体導入孔)41aが所定の間隔で周方向に沿って複数形成されている。また、貫通孔41aが形成された部分において上部スリーブ1aの外周には、該貫通孔41aを気通状態で塞ぐ撥水性のフィルタ42が外挿され、さらにその外側には、周方向に複数の貫通孔(気体導入孔)41bが形成されるとともに、フィルタ42を外側から保持する外筒43が配置されている。そして、上記基準ガスとしての大気は、貫通孔41b、フィルタ42及び貫通孔41aを経てケーシング1内に導入される。また、セラミックセパレータ7の中心部には軸線方向に貫通する貫通孔(大気導入路)45が形成され、その先端部が検出素子2の大気導入口2sに連通している。 【0035】シール部材6は、図1の構成と同様の第一部分11と第二部分12とからなり、第二部分12の底面12cには、その外周縁部に周方向に沿って所定の角度間隔で複数の隙間形成凸部16が形成されており、各先端がセラミックセパレータ7の上端面に接するように配置されている。これにより、第二部分12とセラミックセパレータ7との間には変形吸収隙間Sが形成されている。この変形吸収隙間Sは、貫通孔41a、フィルタ42及び貫通孔41bにより形成されるケーシング1側の大気導入経路と連通するとともに、セラミックセパレータ7の大気導入路45とも連通している。そして、外部からの大気は大気導入孔41から隙間Sに導入され、さらに隙間Sから大気導入路45を通って検出素子2の大気導入口2sに導かれるようになっている。これにより、センサユニット40において変形吸収隙間Sは、第二部分12の収縮遅れによる変形を吸収し、第一部分11の上部スリーブ1aからの抜けを防止するとともに、外部からの大気を検出素子2の大気導入口2sに導く大気導入路としての役割も果たすこととなる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004547 【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月20日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】菅原 正倫
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| 【公開番号】 |
特開平11−271254 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−92637 |
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