| 【発明の名称】 |
キャピラリー電気泳動チップ |
| 【発明者】 |
【氏名】荒井 昭博
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| 【要約】 |
【課題】UV吸収検出等を行う際の光量減少、光軸調整の困難さを解決した新規な電気泳動チップを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明では、板状部材1の厚さは250μm以下、板状部材2の厚さは1000μm以上にし、板状部材2には、試料導入溝3、分析用溝4を形成する。また、板状部材1には、試料導入溝3および分析用溝4の両端に対応する位置に貫通孔5を形成し、この外周には液だめ6が設置される。液だめ6の断面はテーパ状になっており、送液する際には、円すい状の送液口が、このテーパでシールされ、弱い圧力で、効果的な送液が行われる。更に、板状部材1には、板状部材2の分析用溝4に対応する位置に、分析用溝4の幅以下の幅で、スリット7が形成されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一対の板状部材を備え、少なくとも一方の板状部材の表面に液が流れる溝を、他方の板状部材に該溝に略対応する位置に貫通孔を各々設け、これら板状部材が溝を内側にして張り合わされて成るキャピラリー電気泳動チップにおいて、前記いずれかの板状部材の厚みを250μm以下にしてなる電気泳動チップ。 【請求項2】 250μm以下の厚みの板状部材に貫通孔を設け、該貫通孔の外周囲に液だめを設けてなる請求項1記載の電気泳動チップ。 【請求項3】 250μm以下の厚みの板状部材に溝と平行にスリットを形成してなる請求項1記載の電気泳動チップ。 【請求項4】 厚い方の板状部材をシリンドリカル状に形成してなる請求項1記載の電気泳動チップ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、極微量のタンパクや核酸などを、高速かつ高分解能に分析する場合に利用される電気泳動装置に関し、さらに詳しくは、板状部材に形成した溝をキャピラリーとして用いるキャピラリー電気泳動装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より極微量のタンパクや核酸などを分析する場合には、電気泳動装置が用いられており、その代表的な装置としてキャピラリー電気泳動装置がある。この泳動装置は、内径100μm程度もしくはそれ以下のガラスキャピラリー内に泳動バッファを充填し、一方の端に試料を導入した後、キャピラリー両端に高電圧を印加して、分析対象物をキャピラリー内で展開させるもので、ガラスキャピラリー内が容積に対して表面積が大きい、すなわち冷却効率が高いことより、高電圧の印加が可能となり、DNAなどの極微量試料を高速かつ高分解能にて分析することができる。 【0003】また、前記したガラスキャピラリーを用いたものは、使用するキャピラリー外径が100〜400μm程度と細く破損し易いため、ユーザが行うべきキャピラリー交換時の取扱いが容易でない課題を有する。そのため、D.J. Harrison et al. / Anal. Chim. Acta 283 (1993) 361-366に記されているように、2枚の基板を接合して形成された、キャピラリ電気泳動チップが提案されている。この電気泳動チップの例を図4に示す。これは一対の透明基板(ガラス板)51、52からなり、一方の透明基板52の表面に泳動用のキャピラリ溝54、55を形成し、他方の透明基板51のその溝54、55の端に対応する位置にリザーバ53を設けたものである。 【0004】この装置の使用は、両透明基板51、52を図4(c)に示すように重ね、いずれかのリザーバ53から泳動液を溝54、55の中に注入する。そして短い方の溝54の両端のリザーバ53に電極を差し込んで所定時間だけ高電圧を印加する。これにより、試料は溝54の中に分散される。次に長い方の溝55の両端のリザーバに電極を差し込み、泳動電圧を印加する。これにより、両溝54、55の交差部分56に存在する試料が溝55内を電気泳動する。そして、溝55の適当な位置に光入射口を設け、そこにレーザー光を照射して蛍光検出を行う。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のキャピラリー電気泳動チップにおいて、UV吸収検出を適用する場合、溝(流路)に光源からの光をうまく集光する必要があるが、流路以外を通る迷光をカットするために、入射光とチップ間、又はチップと受光素子間にスリット等を配置しなければならない。また、スリットと流路間の距離が長いと流路のみを通る光を使おうとすると光量が減る上に光軸調整が困難である。しかし、一方でリザーバを貫通孔により板状部材に形成する場合、板厚が薄くなると、リザーバ容量が小さくなり、安定した分析を行うのが困難である。 【0006】そこで、本発明は、UV吸収検出等を行う際の光量減少、光軸調整の困難さを解決した新規な電気泳動チップを提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するため、一対の板状部材を備え、少なくとも一方の板状部材の表面に液が流れる溝を、他方の板状部材に該溝に略対応する位置に貫通孔を各々設け、これら板状部材が溝を内側にして張り合わされて成るキャピラリー電気泳動チップにおいて、前記いずれかの板状部材の厚みを250μm以下にしてなることを特徴とする。 【0008】ここで、板状部材とは例えば各種ガラス、石英、樹脂もしくはSi基板が用いられ、いずれか一方の厚みは250μm以下、好ましくは50〜250μmにする。250μm以下は、 UV吸収検出等を行う際の光量減少を抑えるとともに、成形が容易な厚さである。また、一方の板状部材の厚さは、1000μm以上が好ましい。 【0009】この板状部材にフォトファブリケーション技術により溝が形成される。フォトファブリケーション技術とは、フォトマスクのパターンを転写して複製を作製する技術をいい、一般にはフォトレジストまたはレジストと呼ばれる感光性材料を基板表面に塗布し、光でパターンを転写する。そして、転写した平面的なパターンからエッチングなどによりある程度の立体的な形に加工するものである。 【0010】使用するフォトレジスト(またはレジスト)は、例えば東京応化社製OFPR5000、シプレイ・ファーイースト社製マイクロポジットS1400、OMR83−100cpを用いることができるが、これらに限定されず、後のエッチング工程に耐え得るものであれば特に限定されない。また、その厚さは後のエッチング工程に耐える厚みが必要であり、1〜2μmの厚みが一般的である。 【0011】マスクパターンの転写は、一般の集積回路の場合のようにレジストを塗布した基板にフォトマスクを密着する密着露光やステッパ(縮小投影露光装置)などを用いる投影露光が行われる。また、ホログラフィック露光であっても良い。なお、露光の際に使用する光源としては、例えば、超高圧水銀ランプのg線(436nm)を用いることができ、露光条件はレジスト材とレジストの厚みに依存する。エッチングの方法は、各種ガラスや石英をエッチングする場合は、ウエットエッチングが挙げられる。そのエッチャントは、各種ガラスや石英がエッチングされる溶液であれば特に限定されるものではないが、例えば、弗酸系の溶液が使用されるのが一般的である。また、Si基板にエッチングする方法としては、ウエットエッチング(異方性エッチング)が挙げられる。異方性エッチングに用いるエッチャントは、KOH水溶液、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドライド)、ヒドラジンなどこの分野で使用されているエッチャントであれば、特に限定されるものではない。 【0012】一方の板状部材には、例えば、テーパ状の貫通孔を形成する。ここで、ガラスや石英基板に貫通孔を形成する方法は、特に限定されるものではないが、超音波加工またはサンドブラストを用いるのが一般的である。貫通孔の大きさは、特に限定されるものでないが、例えば開口直径は0.1〜数mm程度が望ましい。なお、250μm以下の板状部材に貫通孔を形成した場合には、その貫通孔の外周囲に突起形状の液だめを形成することが好ましい。液だめを形成することにより、リザーバ容量を大きくとることができる。液だめは、板状部材に接着、あるいは熱融着できる材質のものならば、特に限定されず、各種ガラス、石英、樹脂などが用いられる。 【0013】板状部材の張り合わせは、溝を内側にして重ね合わせて行う。2枚の板状部材の張り合わせ(接合)手段は特に限定されるものではないが、本発明の場合は微量分析装置ゆえ、接着剤は使用せず板状部材同士を直接接合するのが望ましい。ガラス同士の接合には、真空中もしくは窒素置換雰囲気中で600〜900℃程度に加熱することで、2枚のガラスを融着する手段が望ましい。また石英の接合には、例えば、少なくとも一方の基板接合面にガラスをスパッタ成膜した後に、上記と同様に加熱する手段が望ましい。さらにガラスとシリコンを接合する場合は、例えば、400℃程度に加熱してガラス側に−1kV程度の負電圧を印加して接合する陽極接合法を用いても良い。 【0014】検出は、板状部材に光源からの光を照射し、板状部材からの透過光を検出器で受光する。光を照射する側の板状部材は、薄い方の板状部材側、すなわち250μm以下の板状部材側が好ましい。また、250μm以下の板状部材には、外表面に溝(分離流路)と平行になるようにスリットが形成され、光源からの光がスリットを通って、分離流路部分に光が透過する構成になっている。 【0015】なお、厚い方の板状部材側から光を照射する場合には、厚い方の板状部材をシリンドリカルレンズ状にし、他方の板状部材の外表面にスリットを形成することが好ましい。スリットは、光遮蔽部材ならば特に限定されず、例えば、ポリイミドなどの絶縁性有機薄膜を分離流路周囲に堆積させたり、金、銀などの金属膜をホトリソグラフィで形成した後、酸化珪素膜をその上に堆積させて作製される。なお、スリットの幅は、分離流路の幅より狭い幅にしてある。 【0016】光源としては、例えばレーザー、重水素ランプ、タングステンランプなどを用いることができるが、レーザーが好ましい。レーザーとしては、He−Cdレーザー、アルゴンイオンレーザー等を用いることができるが、これらに限定されない。検出器は、例えば光電管、光電子増倍管、シリコンホトセル、フォトダイオード、リニアアレイなどを用いることができる。検出器の位置は、光源と対向する位置ならば特に限定されないが、迷光をカットするためにも光源と同軸位置が好ましい。 【0017】なお、試料溶液の注入は、電気泳動チップの貫通孔よりマイクロシリンジなどの公知の注入器を用いて行う。試料溶液の注入後、貫通孔に針状電極(例えば白金ワイヤー電極)を挿入し、電圧を印加して泳動を行う。 【0018】 【発明の実施の形態】本発明のキャピラリー電気泳動チップの一実施例を図1に基づいて説明する。図1(a)は電気泳動チップの全体概略図、(b)は断面図を示す。図1中1、2は板状部材であり、例えばガラス基板からなる。両者とも縦、横のサイズは同じで、例えば縦10mm、横20mmのものを用いることができる。板状部材1、2は厚さが異なり、板状部材1の厚さは250μm以下で、例えば100μmで、板状部材2の厚さは1000μm以上で、例えば1000μmである。 【0019】板状部材2には、フォトファブリケーション技術により溝が形成される。溝は試料導入溝3、分析用溝4から成り、試料導入溝3と分析用溝4は一部で交差しており、そのサイズは、試料導入溝3、分析用溝4とも、例えば幅50μm、深さ20μmである。 【0020】また、板状部材1には、試料導入溝3および分析用溝4の両端に対応する位置に超音波加工により貫通孔5が形成されている。貫通孔5の直径は、例えば1mmで、この貫通孔5の外周には液だめ6が設置される。液だめ6の厚さは、液のリザーバ容量を大きくするため、1mm以上、例えば2mmになっており、また断面は図1(b)に示すように垂直方向から約20度傾いたテーパ状になっている。これにより、送液する際には、円すい状の送液口が、このテーパでシールされ、弱い圧力で、効果的な送液が行われる。なお、液だめ6には、送液ノズル8により、緩衝液、試料液が分注される。 【0021】更に、板状部材1には、板状部材2の分析用溝4に対応する位置に、分析用溝4の幅以下の幅で、スリット7が形成されている。このスリット7は、例えば、ポリイミドなどの絶縁性有機薄膜を分離流路周囲に堆積させたり、金、銀などの金属膜をホトリソグラフィで形成した後、酸化珪素膜をその上に堆積させて作製される。 【0022】板状部材1、2の接合は真空中で加熱して行い、接合後、液だめ6に針状電極(例えば白金ワイヤー電極、図示せず)を挿入する。針状電極は高圧電源(図示せず)、パワーコントローラ(図示せず)と接続する。また、分析用溝4での検出は、板状部材1の上方に光源を、板状部材2の下方にリニアアレイ検出器を配置することにより行う。 【0023】以上の構成で、本装置の動作は次の様に行う。先ず、各々の液だめ6に送液ノズル8により緩衝液を注入するとともに、試料導入溝3の一部端にある液だめ6に試料を注入する。そして、試料導入溝3の両端間に電圧を印加し、試料を分析用溝4に泳動させる。試料が試料導入溝3と分析用溝4の交差部分に来れば、分析用溝の両端間に電圧が印加されるように切換える。分析用溝の両端間に電圧を印加すれば、電気泳動により試料成分が分析用溝の端部の方に移動する。試料成分が移動している間、光源(図示せず)よりのレーザ光がスリット7を介し、分析用溝4に照射され、分析用溝4を透過した光がリニアアレイ検出器(図示せず)で検出される。リニアアレイ検出器の各素子からの出力は、一括して取り込まれて3次元データを得、各成分の移動速度で補正することによりピークを積算平均化処理する。または、目的成分の分離が行われたあと、電圧の印加をやめて泳動を停止させ、その間繰り返しデータを取り込んで信号を平均化する。 【0024】以上の説明では、板状部材1を250μm以下にし、スリットを板状部材1に形成したが、本発明は上記構成に限定されず、例えば図2の構成のものでも良い。図2(a)は板状部材を組み立てる前の全体の概略図、図2(b)は板状部材を組立た後の全体の断面図である。図2中21、22は例えばガラス基板からなる板状部材であり、両者とも縦、横のサイズは同じで、例えば縦10mm、横20mmのものを用いる。板状部材21、22は厚さが異なり、板状部材22の厚さは250μm以下で、板状部材21の厚さは1000μm以上である。 【0025】板状部材21には、フォトファブリケーション技術により溝が形成される。溝は試料導入溝23、分析用溝24から成り、試料導入溝23と分析用溝24は一部で交差しており、また、試料導入溝23および分析用溝24の両端に対応する位置に超音波加工により貫通孔25が形成されている。貫通孔25は、図2(b)に示すように断面がテーパ状になっており、液だめを構成する。 【0026】また、薄い方の板状部材22には、板状部材21の分析用溝24に対応する位置に、分析用溝24の幅以下の幅で、スリット27が外表面に形成されている。板状部材21、22の接合は真空中で加熱して行い、接合後、貫通孔25に針状電極を挿入し、高圧電源と接続する。 【0027】この図2の構成の電気泳動チップでは、光源は板状部材22の下方に、検出器は板状部材21の上方に設置し、板状部材の下方より光を照射して、分析用溝24の試料を検出する。 【0028】更に、本発明は上記構成にも限定されず、例えば、図3に示すように厚い方の板状部材31をシリンドリカルレンズ状にして光を効率的に集光して、250μm以下の板状部材32に照射してもよい。なお、図3の構成では、板状部材32の下部に出口スリット37があり、また、分析用溝、貫通孔などは図2と同様に厚い方の板状部材に形成している。 【0029】 【発明の効果】本発明によれば、スリットと流路間の距離は短いので、 UV吸収検出等を行う際の光量減少、光軸調整の困難さを解決できる。また、リザーバは十分な容量を確保することができ、かつ、リザーバの断面形状をテーパ状にすることにより、送液が効果的に行える。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001993 【氏名又は名称】株式会社島津製作所
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月6日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】西岡 義明
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| 【公開番号】 |
特開平11−248678 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)9月17日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−55280 |
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