| 【発明の名称】 |
酸素電極用陰極 |
| 【発明者】 |
【氏名】山上 奏子
【氏名】山本 博将
|
| 【要約】 |
【課題】酸素電極用陰極の再利用を繰り返した後においても、電気化学的に安定な酸素電極を構成することが可能な、酸素電極用陰極を提供する。
【解決手段】支持体内に、その一部が該支持体の表面とほぼ同一面を形成するように露出した状態で金等の貴金属電極が固定され、接続端子を通じて支持体外部と電気的に接続できる酸素電極用陰極において、該支持体が、飽和吸水率7%以下のポリアミド樹脂からなることを特徴とする酸素電極用陰極。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体内に、その一部が該支持体の表面とほぼ同一面を形成するように露出した状態で貴金属電極が固定され、支持体外部と電気的に接続できる酸素電極用陰極において、支持体が飽和吸水率7%以下のポリアミド樹脂組成物で形成されていることを特徴とする酸素電極用陰極。 【請求項2】 貴金属電極の露出部分の周辺の支持体表面に該貴金属電極の露出部分から所定の間隔を置いて所定の空容積を有する小室が設けられていることを特徴とする請求項1記載の酸素電極用陰極。 【請求項3】 絶縁性樹脂で被覆された貴金属棒を金型内に挿入し、次いで該金型内に溶融した飽和吸水率7%以下のポリアミド樹脂組成物を導入してインサート成形することを特徴とする請求項1または2記載の酸素電極用陰極の製造方法。 【請求項4】 一部の壁が酸素透過性膜により構成された電極ハウジングの内部に陰極、陽極及び電解質溶液が内蔵されたポーラログラフ式酸素電極において、陰極が請求項1又は請求項2記載の酸素電極用陰極であることを特徴とするポーラログラフ式酸素電極。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は酸素電極用陰極に関する。詳しくは、本発明は再利用を繰り返した後においても、電気化学的に安定な酸素電極を構成することが可能な酸素電極用陰極に関する。 【0002】 【従来の技術】酸素透過性膜を透過する酸素の量を検知用電極を用いて測定する酸素電極は、発酵プロセスの制御、水質用の環境計測、医療分野における計測など非常に多岐にわたる利用がなされている。近年においては、その酸素透過性膜の外表面において酸素を消費または生産する酵素反応と組み合わせた、酵素電極も開発されている。 【0003】酸素電極は使用する原理から分類すると、ポーラログラフ式、ガルバニ電池式、濃淡電池式等があり、各用途に応じて使い分けられている。これらのうちポーラログラフ式のものは、検知部となる一部の壁が酸素透過性膜で構成された電極容器内に、電極として検知極となる陰極、対極となる陽極、および電解質溶液を基本的に有し、検知極に一定の電位を印加した場合に流れる電流を測定することにより、酸素濃度を求める形式である。 【0004】上記の酸素電極の検知極となる陰極としては、電極面積の規定および機械的強度の付与のため、貴金属電極をガラス・樹脂などの支持体中に固定したもの(以下、酸素電極用陰極とも表記する)が多用される。公知技術の例としては、特公平1−32943、特開昭62−64942などが挙げられる。これら陰極においては、上記支持体材質としては、破損の心配が無いことからエポキシ樹脂が使用されることが多いが、成形加工性の観点から熱可塑性樹脂を用いる試みもされている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記ポーラログラフ式の酸素電極は、長時間使用した場合には電解質溶液の変質によるものと思われるが、次第に酸素応答時間が遅延し、測定の再現性が低下してくる。このため、酸素応答時間時間が遅延してきた場合には、酸素電極中の電解溶液を交換したうえで、酸素電極用陰極を再使用していた。 【0006】しかしながら、支持体材質が熱可塑性樹脂からなる酸素電極用陰極についてこのような再使用を繰り返した場合には、当該酸素電極用陰極を用いた酸素電極に電圧を印加してから測定が可能になるまでの待機時間が長くなる、その待機時間が個々の酸素電極用陰極によってばらつく等の現象が起こり、酸素電極の電気化学的安定性が低下するという問題点があった。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題について検討を行ったところ、上記酸素電極用陰極を繰り返し再使用した場合に生じる酸素電極の電気化学的安定性の低下は、該酸素電極用陰極へ印加した総電気量と関係し、かつ不可逆的に生じることがわかった。さらに、繰り返し再使用した結果、電気化学的安定性の低い酸素電極しか構成できなくなった酸素電極用陰極において、貴金属電極露出部周辺の支持体を観察すると、支持体の表面が粗になっていたり、支持体が崩壊して凹部を形成していたりすることが確認された。 【0008】そこで、発明者らは、これらの劣化は電気化学的反応によって、酸素電極用陰極の貴金属電極露出部周辺の支持体が変化したために生じたと考え、種々の検討を行なった。その結果、支持体に耐アルカリ性を有する樹脂を用いた場合には、酸素電極用陰極の再利用を繰り返しても、電気化学的安定性を有する酸素電極を構成できる場合があるという知見を得た。そして更に検討を行なったところ、支持体材料として使用する樹脂の化学的構造および飽和吸水率などに適切な条件があることを見いだし、本発明を完成するに至った。 【0009】即ち、本発明は、支持体内に、その一部が該支持体の表面とほぼ同一面を形成するように露出した状態で貴金属電極が固定され、支持体外部と電気的に接続できる酸素電極用陰極において、支持体が飽和吸水率7%以下のポリアミド樹脂組成物で形成されていることを特徴とする酸素電極用陰極である。 【0010】上記本発明の酸素電極用陰極のうち、貴金属電極の露出部分の周辺の支持体表面に該貴金属電極の露出部分から所定の間隔を置いて所定の空容積を有する小室が設けられている陰極は、該陰極を用いて酸素電極を構成した場合、電極への電圧印加後、系に流れる電流値が一定になって測定が可能になるまでの待機時間(以降、電流安定化時間ともいう。)が短く、しかも長時間使用しても酸素応答時間に遅延が生じないという優れた特性を示す。 【0011】上記本発明の酸素電極用陰極を用いて、一部の壁が酸素透過性膜により構成された電極ハウジング(電極容器)の内部に該酸素電極用陰極、陽極及び電解質溶液が内蔵されたポーラログラフ式酸素電極は、繰り返し再使用した該酸素電極用陰極を使用した場合でも電気化学的安定性が高いという特徴を有する。 【0012】本発明の酸素電極用陰極では、その支持体が飽和吸水率7%以下のポリアミド樹脂組成物で形成されていることから、酸素電極を構成して電圧を印加しても、該陰極上でおこる次式【0013】 【化1】
【0014】で示される電気化学反応に従って該陰極の貴金属電極露出部分で生成する水酸化物イオンに対する耐性が高いため、支持体が劣化しにくいこと、および、支持体の飽和吸水率が低いために電解質溶液の侵入が抑制でき、支持体の電気絶縁性を保持しやすいことなどから、酸素電極の電気化学的安定性が低下しないものと考えられる。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の酸素電極用陰極及び本発明の酸素電極を詳細に説明するが、本発明はこれらの添付図面に何ら限定されるものではない。 【0016】まず、図1および図2を用いて本発明の酸素電極用陰極について説明する。 【0017】図1は、本発明において好適に採用される酸素電極用陰極の断面図であり、図2は、本発明において採用される酸素電極用陰極の上視図である。図1において符号1は検知極となる貴金属電極であり、その一部(貴金属電極露出部分1a)は支持体2の表面とほぼ同一面を形成するようにして露出している。ここで、貴金属電極露出部分(以下、貴金属面とも表記する)の露出面積は一般には160μm2〜4mm2程度である。 【0018】該貴金属電極1の材質としては、金、白金、イリジウム等が使用できるが、硬度が適度で加工がしやすいという観点から、金を用いるのが好適である。 【0019】貴金属電極1の形状はその露出部分の露出面が平面若しくは曲面であるものであり、且つ支持体外部と電気的に接続するための導線が接続できる部分(接続端子1b)を有するものであればその形状は特に制限されず任意の形状を取りうるが、本発明の酸素電極用陰極を製造する際の生産性を勘案すると、図1に示すような棒状であるのが好適である。即ち、貴金属電極が棒状である場合には後述するインサート成形をする際の位置ずれが起こりにくく精度の良い成形が可能となる。そして得られた酸素電極用陰極は、図1に示すように該接続端子1bが支持体外部に突き出た態様となるため、支持体外部と電気的に接続するための導線を接続する際の操作性も良好である。 【0020】図1中、符号2は該貴金属電極を固定するための支持体である。当該支持体の形状は特に制限されないが、上記支持体2は、該支持体2に固定された貴金属電極の露出部分が酸素透過性膜と接するようにして酸素電極に組み込まれるため、酸素透過性膜を傷つけることのないように少なくともその酸素透過性膜と接する可能性のある部分はゆるやかな曲面を有する形状であるのが好ましい。 【0021】支持体2の貴金属電極露出部分1aの近傍の表面に、該貴金属電極露出部分1aから所定の間隔を置いて所定の空容積を有する小室3を設けておくと、電解質溶液の局所的な変質(導電性の低下等)を防止することができ、本発明の酸素電極用陰極を用いた酸素電極は長期安定性がより優れたものとなるため、更に好適である。上記小室3は、電極ハウジングの空隙部(後述する図3の8)と貴金属電極露出部分1aとの間の、小室3を経由した拡散による、電解質溶液の供給と均質化のバランスが適度に保たれるようなものであれば特に制限されず、採用する電解質溶液の種類、酸素透過膜と接する貴金属電極や支持体部分の形状に応じて適宜決定すれば良い。一般的には、図2に示すように、該貴金属電極露出部分1aから約0.03〜0.5mm、より好ましくは0.04〜0.3mmの間隔wを置いて、0.2〜0.7μlの空容積を有する小室3を、貴金属電極露出部分を取り巻くように1〜4個配置するのが好適である。ここで、上記間隔wとは、貴金属電極露出部1a周辺と小室3周辺との最近接距離を意味し、小室3の空容積とは、該小室3に保持し得る電解質溶液の最大量(μl)で評価されるものである。 【0022】なお、前記したように、この様な小室を設けない場合でも、本発明の酸素電極用陰極においては繰り返し再使用したものを用いて酸素電極を構成しても該酸素電極の電気化学的安定性を低下させないという効果は得られる。 【0023】本発明の酸素電極用陰極における最大の特徴は、上記支持体2に、飽和吸水率7%以下のポリアミド樹脂組成物を用いることにある。ここで、飽和吸水率とは、37℃の水中に樹脂片を浸漬し、当該樹脂片の重量が変化しなくなるまで放置した後の重量増加率を意味する。 【0024】支持体としてポリアミド樹脂組成物以外の材質を用いた場合には、貴金属電極露出部分から発生した水酸化物イオンにより貴金属電極露出部分周辺の支持体が分解し、繰り返し再使用した該酸素電極用陰極を用いた酸素電極の電気化学的安定性が低下する。さらに、この場合には、貴金属電極と良好な密着をすることが難しく、支持体としての機能を発揮できないことがあったり、特に支持体材質の疎水性が高すぎる場合には貴金属電極露出部分周辺の電解質溶液の保持量が低下して電極として機能しなくなることがある。 【0025】また、支持体の材質がポリアミド樹脂組成物であっても、その飽和吸水率が7%を越える場合には、酸素電極のハイジング内の空隙部に納められている電解質溶液が支持体内に侵入し、電気絶縁性が低下して測定精度が低下する。 【0026】本発明で使用する飽和吸水率7%以下のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂を主成分とする樹脂の組成物であって、飽和吸水率が7%以下の組成物であれば特に限定されない。具体的にはポリアミドMXD6、ポリアミド11、ポリアミド12等の飽和吸水率7%以下のポリアミド系高分子単独、又は該飽和吸水率7%以下のポリアミド系高分子および/若しくはポリアミド612、ポリアミド610、ポリアミド66等の飽和吸水率が7%を越えるポリアミド系高分子にガラス繊維、ガラス粒子、シリカ等の充填剤を添加して全体の飽和吸水率になるように調整した混合物等が使用できる。 【0027】さらに、本発明で使用する上記ポリアミド樹脂組成物は、絶縁性、低酸素透過性も備えていることが好ましい。絶縁性においては、37℃の水中における体積抵抗率が1010Ω・cm以上、酸素電極のノイズを減少させ充分な感度を得るために、さらに好ましくは1011Ω・cm以上を有するものが適する。低酸素透過性においては、相対湿度50%のときの酸素透過度が5cm3・cm・m-2・24hr-1・atm-1以下、さらに好ましくは、3cm3・cm・m-2・24hr-1・atm-1以下のものが適する。これらの条件を満たす組成物の例としては、飽和吸水率7%以下の前記ポリアミド系高分子にガラス繊維等の前記充填剤を混合した組成物、及び該組成物に全体の飽和吸水率が7%以下となる範囲で飽和吸水率が7%を越える前記ポリアミド系高分子を加えた組成物等が挙げられる。 【0028】当該酸素電極用陰極の成形方法は特に制限されず、あらかじめ貴金属電極を飽和吸水率7%以下のポリアミド樹脂組成物に固定させた後に樹脂塊を切削して成形する方法、支持体に貴金属電極を後ろから装着する方法、および貴金属電極の固定と支持体形状の形成とを同時に行なう方法などの何れの方法を採用しても良い。 【0029】これらの製造方法の中でも、成形精度、量産性等の観点から、支持体形状が形成できるような金型内に検知極となる貴金属電極を予めセットしておき、溶融した飽和吸水率7%以下のポリアミド樹脂組成物を注入して一体成形する、いわゆるインサート成形を採用するのが好適である。このとき、貴金属電極としては、相対湿度90%の雰囲気下で20〜65℃の温度変化サイクルを繰り返しながら直流100Vの電圧を7日間印加したときに、体積抵抗率が1.0×1011Ω・cm以上を示すエポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂がその側面に13〜27μmの厚さで塗布された貴金属棒を用いると、貴金属棒と支持体との密着性が向上するので特に好適である。 【0030】上記インサート成形における成形条件は、支持体となるポリアミド樹脂組成物の種類に応じて、通常採用される条件の中から最適な条件を適宜決定すればよい。 【0031】本発明の酸素電極用陰極は、一部の壁が酸素透過性膜で構成された電極ハウジング内に対極となる陽極と共に内蔵させ、更に該電極ハウジング内に電解質溶液を封入することにより気体又は液体中の酸素分圧(酸素濃度)を測定するためのポーラログラフ式酸素電極を構成することが出来る。また、上記構成のポーラログラフ式酸素電極において、酸素透過膜の外表面にグルコースオキシダーゼ、ウリカーゼなどの酵素を固定化することにより、酵素センサーを構成し、発酵プロセスの制御、水質などの環境計測、医療分野における計測、酵素センサーなどへ応用することが可能である。なお、このとき固定化される酵素及びその固定方法は特に限定されず、従来の酵素センサーで一般的に使用されている酵素及び固定化方法が何等制限なく使用できる。 【0032】以下、本発明の酸素電極用陰極の用途の応用例として該酸素電極用陰極を用いて構成したポーラログラフ式酸素電極(以下、本発明の酸素電極ともいう)について、図3を用いて更に詳しく説明する。 【0033】図3は、本発明の酸素電極の代表的な構造を示す断面図である。図3において符号4は電極ハウジングでありその一部は酸素透過性膜7で構成されている。また、該電極ハウジング4の中には、本発明の酸素電極用陰極5及び対極となる陽極6が内蔵されており、更にその空隙部には電解質溶液8が封入されている。なお、該電解質溶液8はその大部分は電極ハウジング4と酸素電極用陰極5の間の空隙部に存在しているが、その一部は小室3内部、及び酸素電極用陰極5と酸素透過性膜7との界面に存在している。また、本発明の酸素電極に内蔵される本発明の酸素電極用陰極5と陽極6とは電源9及び電流計10を介在して電気的に接続している。 【0034】本発明における電極ハウジング4は、検知部の壁が酸素透過性膜7で構成され、電解質溶液を封入できる容器であれば特に限定されるものではないが、図3に示すように、筒状の容器の先端部を酸素透過性膜で構成した構造が一般的である。 【0035】上記電極ハウジング4を構成する酸素透過性膜7以外の部分の材質としては、中に封入する電解質溶液に対して耐性を有する公知の材質の中から適宜選択することができる。このような材質としては、たとえば、ガラス、セラミックスなどの無機物、ポリアセタール、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。 【0036】また、酸素透過性膜7の材質は、液体を透過せず且つ酸素を透過しうる能力を有するものであれば特に制限されないが、相対湿度50%のときの酸素透過度が10cm3・cm・m-2・24hr-1・atm-1以上、さらに好ましくは17cm3・cm・m-2・24hr-1・atm-1以上の樹脂が適する。これらの条件を満たす樹脂の例としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリメチルペンテン等が一般的に挙げられる。これらのうち、酸素透過性が高く、かつ柔軟性のある膜が得られるフッ素樹脂が特に好適である。 【0037】上記酸素透過性膜の厚さには特に制限はないが、透過した酸素を定電位電解電流で検知する上から1〜100μmとすることが好ましく、膜の取り扱いやすさも加味すると特に10〜50μmとすることが好ましい。 【0038】本発明において、酸素分圧(酸素濃度)測定のためには、検知極となる陰極が固定された酸素電極用陰極5の他に、対極となる陽極6が必要である。すなわち、測定系は電気化学的反応により酸素を電気分解するための電極である陰極の他に、上記電気化学反応を進行させるための回路を構成する陽極を必要とする。陽極は公知の電極の中から選択して適宜使用することができるが、簡便性や生成する化合物の有害性などの見地から、銀電極が好適に使用される。 【0039】また、本発明における酸素分圧(酸素濃度)測定のための他の構造及び使用の態様は、公知の態様が特に制限なく採用される。例えば、検知極は電流計を介して対極と電気的に接続される。 【0040】上記した電極ハウジング内に封入される電解質溶液8としては、通常のポーラログラフ式酸素電極で使用される塩化カリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウムなどのアルカリ金属塩を含む水溶液電解質溶液を何ら制限無く使用することができる。 【0041】本発明の酸素電極を用いて気体または液体試料中の酸素分圧(酸素濃度)を測定する方法は従来のポーラログラフ式酸素電極を用いた測定方法と変わる点は特になく、例えば次のようにして行うことが出来る。即ち、まず、上記のようにして構成した酸素電極の陰極へ、対極に対して−0.8Vを印加し、両電極間に流れる電流値が一定になるまで待機した後に、該酸素電極の酸素透過性膜外表面に酸素分圧(酸素濃度)が既知の液体または気体を接触させ、系に流れた電流値を電流計で計測して基準とする。次に、酸素分圧(酸素濃度)を測定しようとする気体および液体を同様に該酸素透過性膜外表面に接触させ、その時の電流値を計測する。これを前出の基準と比較することにより、酸素分圧(酸素濃度)の測定を行うことが出来る。 【0042】 【実施例】以下に本発明を更に具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 【0043】実施例1及び2まず、貴金属電極として、直径1mmの金棒に熱硬化型エポキシ樹脂を約15μmの厚さに塗布したものを作製した。次に、貴金属電極露出部分との間隔(w)が約0.2mmであり、空容積が約0.4μlの小室が、貴金属電極露出部分をとりまくように4個配置できるような金型内に、該貴金属電極を挿入した。さらに、該金型内に溶融したポリアミド12(ガラス繊維を混合して飽和吸水率0.9%に調整したもの、実施例1)又はポリアミドMXD6(ガラス繊維を混合して飽和吸水率2.4%に調整したもの、実施例2)を圧入した後冷却して、外径6.5mmで支持体全長27mmである、図1に示すような形状の各種の酸素電極用陰極を作製した。 【0044】次に、これらの酸素電極用陰極を用いて図3に示す構造の酸素電極を構成した。即ち、内径10mmの電極ハウジングの中に酸素電極用陰極と対極となる直径1mmの銀線を設置するとともに、酸素透過膜として厚さ約25μmのポリテトラフルオロエチレンフィルムを配置し、さらに、電極ハウジング内に表1に示す組成の電解質溶液を封入した。 【0045】 【表1】
【0046】上記のように作製した酸素電極を各樹脂について2本ずつ用意し、37℃保温下で陰極へ、陽極に対して−0.8Vの電圧を印加し続けた。一定期間毎に当該酸素電極の一部を解体し、貴金属電極露出部分の研磨や電解質溶液および酸素透過性膜の交換等を行なって、再び酸素電極を構成した(以下、この繰り返しを、再使用サイクルとも表記する)。そして、初期及び再使用サイクルを経る毎に測定した印加後の電流値から、標準的な使用状況下で再使用された本発明の酸素電極用陰極が、印加後60分以内に酸素分圧(酸素濃度)測定ができる、充分に電気化学的安定性の高い酸素電極を構成できるような期間(以下、酸素電極用陰極の再利用可能期間とも表記する)を算出した。この結果を表2に示す。 【0047】 【表2】
【0048】比較例1及び2酸素電極用陰極の支持体材質としてポリエチレンテレフタレート(比較例1)またはポリサルフォン(比較例2)を用いること以外は実施例1と同様にして酸素電極を作製し、実施例と同様にして電流値変化速度の測定と酸素電極の再利用可能期間への換算を行なった。その結果を表2に示す。 【0049】比較例3酸素電極用陰極の支持体材質として飽和吸水率が8.9%のポリアミド46を使用する以外は実施例1と同様にして酸素電極を作製した。作製した酸素電極を室温で3日保存後に電圧を印加したところ短絡していた。 【0050】 【発明の効果】本発明の酸素電極用陰極は、酸素電極用陰極の再使用を繰り返した後においても、電気化学的に安定な酸素電極を構成することが可能である。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000003182 【氏名又は名称】株式会社トクヤマ 【識別番号】591258484 【氏名又は名称】株式会社エイアンドティー
|
| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月6日 |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開平11−248670 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)9月17日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−54642 |
|