| 【発明の名称】 |
レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】島岡 治夫
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| 【要約】 |
【課題】測定装置のハード的な条件や、プログラム条件の設定を簡単な操作によって可能とし、熟練を要さなくとも任意の粒子群について正確な測定が可能なレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置を提供する。
【解決手段】複数種のサンプルのそれぞれに対応して、前処理条件、測定条件等の粒度分布測定に際して必要な条件をデータベース化して記憶手段44に記憶しておき、選択手段46でサンプルを選択することにより、それに対応した諸条件が自動的に設定されるようにする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 分散状態の被測定粒子群にレーザ光を照射して得られる回折・散乱光の空間強度分布を測定し、その測定結果を被測定粒子群の粒度分布に換算するレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置において、測定対象となる複数種のサンプルのそれぞれに対応して、少なくとも前処理条件および測定条件を含む、当該装置を用いた各サンプルの粒度分布測定に際して必要な条件をデータベース化して記憶する記憶手段と、その記憶手段のなかから任意のサンプルを選択する選択手段と、その選択されたサンプルに対応するデータベース内の条件を当該装置に設定する条件自動設定手段を備えていることを特徴とするレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はレーザ回折・散乱式の粒度分布測定装置に関する。 【0002】 【従来の技術】レーザ回折・散乱式の粒度分布測定装置においては、媒体中に分散させた被測定粒子群にレーザ光を照射して得られる回折・散乱光の空間強度分布を測定し、その測定結果を、ミーの散乱理論ないしはフラウンホーファ回折理論に基づいて粒度分布に換算する。 【0003】以下に、レーザ回折・散乱法に基づく粒度分布測定装置の原理を述べる。図1にこの方法を用いた粒度分布測定装置の基本的な構成を示す。 【0004】測定対象となる分散状態の粒子群Pにレーザ光を照射すると、空間的に回折・散乱光の強度分布パターンが生じる。このうち、前方散乱光の光強度分布パターンは、レンズ11によって集光され、その焦点位置にある検出面にリング状の回折・散乱像を結ぶ。この検出面には、互いに半径の異なるリング状ないしは半リング状の光感応部が同心上に配置されてなるリングデテクタ12が置かれ、回折・散乱像の光強度分布が検出される。また、側方散乱光および後方散乱光はそれぞれ側法散乱光センサ13および後方散乱光センサ14で検出される。 【0005】このようにして得られる光強度分布パターンは、粒子の大きさによって変化する。実際のサンプルには、大きさの異なる粒子が混在しているため、粒子群から生ずる光強度分布パターンは、それぞれの粒子からの回折/散乱光の重ね合わせとなる。 【0006】これをマトリクス(行列)で表現すると、【0007】 【数1】
【0008】となる。ただし、【0009】 【数2】
【0010】s(ベクトル)は光強度分布ベクトルである。その要素si (i=1,2,‥,m)は、リングデテクタの各素子と、側方散乱光センサおよび後方散乱光センサによって検出される入射光量である。 【0011】q(ベクトル)は粒度分布(頻度分布%)ベクトルである。測定対象となる粒子径範囲(最大粒子径;x1 ,最小粒子径xn+1 )をn分割し、それぞれの粒子径区間は[xj ,xj+1 ](j=1,2,‥,n)とする。q(ベクトル)の要素qj は、粒子区間[xj ,xj+1 ]に対応する粒子量である。通常は、【0012】 【数3】
【0013】となるように正規化(ノルマライズ)を行っている。Aは粒度分布(ベクトル)qを光強度分布(ベクトル)sに変換するための係数行列である。Aの要素ai,j (i=1,2,‥,m、j=1,2,‥,n)の物理的意味は、粒子径区間[xj ,xj+1 ]に属する単位粒子量の粒子群によって回折/散乱した光のi番目の素子に対する入射光量である。 【0014】ai,j の数値は、あらかじめ理論的に計算することができる。これには、粒子径が光源となるレーザ光の波長に比べて十分に大きい場合には、フラウンホーファ回折理論を用いる。しかし、粒子径がレーザ光の波長と同程度か、それより小さいサブミクロンの領域では、ミー散乱理論を用いる必要がある。フラウンホーファ回折理論は、前方微小角散乱において、粒子径が波長に比べて十分大きな場合に有効なミー散乱理論の優れた近似であると考えることができる。 【0015】ミー散乱理論を用いて、係数行列Aの要素を計算するためには、粒子およびそれを分散させている媒体(媒液)の絶対屈折率(複素数)を設定する必要がある。個々の絶対屈折率を設定する代わりに粒子と媒体との相対屈折率(複素数)で設定する場合もある。 【0016】さて、(1)式に基づいて粒度分布(ベクトル)qの最小自乗解を求める式を導出すると、【0017】 【数4】
【0018】が得られる。(6)式の右辺において、光強度分布(ベクトル)sの各要素は、リングデテクタと、側方散乱光センサおよび後方散乱光センサで検出される数値である。また、係数行列Aは、フラウンホーファ回折理論あるいはミー散乱理論を用いて、あらかじめ計算しておくことができる。従って、それらの既知のデータを用いて(6)式の計算を実行すれば、粒度分布(ベクトル)qが求まることは明らかである。 【0019】以上がレーザ回折・散乱法に基づく粒度分布の測定原理であるが、ここで示したのは、粒度分布の計算方法の一例であり、この他にも様々なバリエーションが存在する。また、センサ、デテクタの種類および配置にも、様々なバリエーションがある。 【0020】なお、本明細書においては、基本的には、係数行列Aのことを変換係数とする。ただし、(6)に示す【0021】 【数5】
【0022】を変換係数とすることも可能である。従って、ここでは、係数行列Aから派生的に計算され、粒度分布計算に用いられるものは全て変換係数である。 【0023】さて、以上のようなレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置においては、変換係数を決定するための粒子群並びに媒体の屈折率のほかにも、被測定粒子の種類により、それを分散させるための分散媒の種類、粒子を均一に分散させるための分散剤の種類、同じく粒子を均一に分散させるのに適した分散方法(攪拌、超音波照射時間等)、あるいは前処理条件等について、それぞれに最適な条件が存在するなど、設定すべき条件等の項目が多数に及ぶ。 【0024】従来、以上のような条件等は、冊子に書き込まれ、あるいはコンピュータのディスプレイ上に表示されるドキュメントとして提供されるように構成されたものもある。 【0025】 【発明が解決しようとする課題】ところで、以上のような条件の設定の仕方は極めて煩雑であるばかりでなく、サンプルに関する知識や、条件設定に関する操作方法等についても熟知している必要があり、熟練者でないと粒度分布の正確な測定が困難であるという問題があった。 【0026】本発明の目的は、測定装置のハード的な条件、あるいはプログラム条件の設定をより簡素化し、熟練を要さなくとも任意の粒子群について正確な測定が可能なレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置を提供することにある。 【0027】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明のレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置は、分散状態の被測定粒子群にレーザ光を照射して得られる回折・散乱光の空間強度分布を測定し、その測定結果を被測定粒子群の粒度分布に換算するレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置において、測定対象となる複数種のサンプルのそれぞれに対応して、少なくとも前処理条件および測定条件を含む、当該装置を用いた各サンプルの粒度分布測定に際して必要な条件をデータベース化して記憶する記憶手段と、その記憶手段のなかから任意のサンプルを選択する選択手段と、その選択されたサンプルに対応するデータベース内の条件を当該装置に設定する条件自動設定手段を備えていることによって特徴づけられる。 【0028】本発明は、サンプル(粒子群)の種類に応じて最適な装置条件やプログラム条件を、測定者が冊子や表示を見ながら設定するのではなく、データベース化して記憶しておき、サンプルの選択によって自動的に装置ないしはプログラムに設定する機能を持たせることにより、サンプルに対する知識等がなくても、常に最適な条件設定を可能とするものである。 【0029】すなわち、過去の経験等により最適な条件が知られているサンプルについて、その条件をデータベース化して記憶手段に記憶しておく。選択手段により、そのデータベース内のサンプルのなかから任意のものを選択することができ、これによって選択されたサンプルに対応する条件が、装置本体やプログラムに対して自動的に設定される。 【0030】 【発明の実施の形態】図2は本発明の実施の形態の構成を示すブロック図である。 【0031】被測定粒子群Pは、超音波照射装置や攪拌装置付のサンプル槽20内で、媒体に対して均一に分散された懸濁液の状態で収容され、フローセル21との間を循環ポンプ22によって循環される。サンプル槽20内の懸濁液は、サンプル調製装置23によってその濃度等がコントロールされる。 【0032】フローセル21内の粒子群Pには、レーザ照射光学系10からのレーザ光が照射され、これによって生じる回折・散乱光のうち、前方への光は集光レンズ11を介してリングデテクタ12に、また、側方への散乱光は側方散乱光センサ13に、後方への散乱光は後方散乱光センサ14に入射し、それぞれの光強度が検出される。 【0033】リングデテクタ12の各受素子からの出力信号、および側方散乱光センサ13と後方散乱光センサ14の各出力信号は、それぞれプリアンプ31およびA−D変換器32を介して演算制御部40に取り込まれる。 【0034】演算制御部40は、実際にはコンピュータとその周辺機器によって構成されているが、この図2では説明の簡便化のために機能ごとのブロック図によって示している。 【0035】演算制御部40は、A−D変換器32を介して取り込んだ各光センサからの光強度データを格納するデータ記憶部41と、そのデータ記憶部41内のデータを被測定粒子群の粒度分布に換算する粒度分布演算部42と、装置本体の各部に対して制御信号を供給する装置制御部43のほか、あらかじめ複数のサンプルについて、それぞれに最適な装置条件、プログラム条件、前処理条件、および注意事項等をデータベース化して記憶する条件記憶部44と、後述するように選択されたサンプルに対応する諸条件を読み出して、その各条件を装置の各部に設定する条件設定処理部45を備えている。 【0036】また、演算制御部40には、条件記憶部44内に記憶されているサンプルのなかから任意のものを選択するためのキー等を備えたキーボード46と、読み出された諸条件や粒度分布の計算結果等を表示するための表示器47が接続されている。 【0037】以上の実施の形態を使用する際、まず、キーボード46によって指令を与えると、条件記憶部44内に格納されているサンプルの種類と、その各サンプルについての最適条件のリストを表示器47に表示する。このリストは、例えば下記の[表1]に示すとおりである。 【0038】 【表1】
【0039】次に、そのリストのなかから任意のサンプルをキーボード46で選択すると、データベース内でそのサンプルに関する条件のうち、粒度分布測定に必要な条件、例えば調製装置23における分散方法、あるいは粒度分布演算部42において変換係数を決定するために必要な粒子並びに分散媒の絶対屈折率等が、条件設定処理部45によって自動的に設定される。 【0040】例えば、サンプルとしてアルミナ(酸化アルミニウム)を選択した場合、粒子の絶対屈折率は1.8と記述されている。分散媒は水であるから、その絶対屈折率は1.333である。この屈折率に適合した変換係数(係数行列)が、自動的に粒度分布演算部42の演算プログラムに設定される。なお、この変換係数の設定は、この時点で計算してもよいし、記憶されている複数の変換係数のなかから最適なものを選択してもよい。 【0041】また、分散方法は超音波である30秒と記述されているので、この条件も調製装置23の動作条件として自動的に設定される。 【0042】なお、[表1]には記述されていないが、回折・散乱光の検出回数や、分散時間など種々の条件の設定についても利用可能である。勿論、データベースに書き込まれる条件には、使用者が行わなければならない作業もあるし、単に参考になるだけの項目があってもよい。 【0043】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、複数種のサンプルのそれぞれに対応して、少なくとも前処理条件および測定条件等の、粒度分布測定に必要な条件をデータベース化して記憶しておくとともに、そのデータベース内のサンプルを選択することにより、データベース内の該当する諸条件が読み出されて、装置本体や演算プログラムに対して自動的に設定されるから、極めて簡単な操作により、また、サンプルに関する知識や条件設定に関する操作方法を熟知していなくても、粒度分布測定装置を操作して正確に粒度分布を測定することが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001993 【氏名又は名称】株式会社島津製作所
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)12月25日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】倉内 義朗
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| 【公開番号】 |
特開平11−183356 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月9日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−358080 |
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