| 【発明の名称】 |
微生物電極及び微生物センサ |
| 【発明者】 |
【氏名】森田 高志
【氏名】保足 順子
【氏名】軽部 征夫
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| 【要約】 |
【課題】応答性、安定性、再現性、耐久性に優れた使い捨て型の微生物電極および微生物センサを提供する。
【解決手段】微生物電極を平板状絶縁基板と、前記基板の表面に固着され第1の非絶縁部および第2の非絶縁部を残して絶縁被覆された導体(第1)と、前記導体の第1の非絶縁部の全部を覆って前記基板に固着された親水性多孔質膜とを備え、前記基板と親水性多孔質膜との間に微生物が前記第1の非絶縁部に接触可能に封入され、前記親水性多孔質膜は前記微生物を実質的に透過しない構成とする。また、微生物センサを、前記微生物電極と、この電極の平板状絶縁基板の表面に前記第1の導体と互いに接触しないように固着され、第1の非絶縁部および第2の非絶縁部を残して絶縁被覆された対極としての第2の導体と、を備えた構成とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 平板状絶縁基板と、前記基板の表面に固着され第1の非絶縁部および第2の非絶縁部を残して絶縁被覆された導体(第1)と、前記導体の第1の非絶縁部の全部を覆って前記基板に固着された親水性多孔質膜とを備え、前記基板と親水性多孔質膜との間に微生物が前記第1の非絶縁部に接触可能に封入された微生物電極であって、前記親水性多孔質膜は前記微生物を実質的に透過しない微生物電極。 【請求項2】 前記基板と親水性多孔質膜との間に界面活性剤を含む請求項1記載の微生物電極。 【請求項3】 さらに前記基板と親水性多孔質膜との間に、前記第1の非絶縁部に対応する部分と少なくとも一部が重なる開口部(第1)を有するスペーサーを備え、スペーサー開口部の内壁と前記基板と親水性多孔質膜とで囲まれた空間に前記微生物が前記第1の非絶縁部に接触可能に封入された請求項1記載の微生物電極。 【請求項4】 前記スペーサーが前記開口部から外部に通じる空気孔を少なくとも1個有する請求項3記載の微生物電極。 【請求項5】 スペーサー開口部の内壁と前記基板と親水性多孔質膜とで囲まれた空間に界面活性剤を含む請求項3または4記載の微生物電極。 【請求項6】 請求項1または2に記載の微生物電極と、この電極の平板状絶縁基板の表面に前記第1の導体と互いに接触しないように固着され、第1の非絶縁部および第2の非絶縁部を残して絶縁被覆された対極としての第2の導体と、を備えた微生物センサ。 【請求項7】 前記第1の導体と第2の導体が略平行に平板状絶縁基板の同一平面上に固着され、前記親水性多孔質膜は第1の導体の第1の非絶縁部の全部および第2の導体の第1の非絶縁部の全部を覆って前記基板に固着された請求項6記載の微生物センサ。 【請求項8】 請求項3〜5のいずれか1項に記載の微生物電極と、この電極の平板状絶縁基板の表面に前記第1の導体と互いに接触しないように固着され、第1の非絶縁部および第2の非絶縁部を残して絶縁被覆された対極としての第2の導体と、を備えた微生物センサ。 【請求項9】 前記第1の導体と第2の導体が略平行に平板状絶縁基板の同一平面上に固着され、前記親水性多孔質膜は第1の導体の第1の非絶縁部の全部および第2の導体の第1の非絶縁部の全部を覆って前記基板に固着され、前記スペーサーにおける第1の開口部は前記第2の導体の第1の非絶縁部に対応する部分と重なることなく設けられ、さらに必要に応じて、前記スペーサーが、前記第1の開口部とは独立して、前記第2の導体の第1の非絶縁部に対応する部分と少なくとも一部が重なる第2の開口部を有するとともに、前記第2の開口部から外部に通じる空気孔を少なくとも1個有してもよい、請求項8記載の微生物センサ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、微生物電極および微生物センサに関し、詳しくは、応答性、安定性、再現性、耐久性に優れた使い捨て型の微生物電極および微生物センサに関する。 【0002】 【従来の技術】現在、微生物を利用した微生物センサは、環境、食品検査、医療診断分野等に広く利用されている。従来の酸素電極を利用した微生物センサにおいては、微生物を固定化する方法として、アセチルセルロース膜等の親水性多孔質膜、および前記多孔質膜と高分子ゲル化材との組合せが用いられていることが多い。この様な微生物固定化膜を有する酸素電極を用いた微生物センサは、連続的または長期間使用が原則であるが、前記電極は高価である等の理由から使い捨て電極とは考えられていないために、電極のメンテナンスが必要であった。 【0003】一方、上記電極のメンテナンスの煩わしさからユーザーを解放するために、低コストの使い捨てタイプの電極が実用化されている。このタイプの電極では、酵素あるいは微生物が、高分子ゲル化材等によって平板電極上に固定化されて用いられているものが多い。この様な平板状電極においては、主として固定化酵素が用いられるが、電極材料としてカーボンペーストや銀ペースト等を平板上にスクリーン印刷法などによって大量に印刷可能なために、低コスト化・使い捨て化が実現されている。 【0004】しかし、使い捨て型電極において微生物あるいは酵素を固定化する際に、上記のように高分子ゲル化材等を用いた場合には、特に微生物をこの様にして固定化した場合には、固定化膜の厚さや反応液の膜透過性などが均一になるように制御することが困難であり、反応速度や再現性等の実用性の点で問題があった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記観点からなされたものであり、応答性、安定性、再現性、耐久性に優れた使い捨て型の微生物電極および微生物センサを提供することを課題とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決するために、微生物電極または微生物センサを以下の構成とした。 【0007】すなわち本発明は、平板状絶縁基板と、前記基板の表面に固着され第1の非絶縁部および第2の非絶縁部を残して絶縁被覆された導体(第1)と、前記導体の第1の非絶縁部の全部を覆って前記基板に固着された親水性多孔質膜とを備え、前記基板と親水性多孔質膜との間に微生物が前記第1の非絶縁部に接触可能に封入された微生物電極であって、前記親水性多孔質膜は前記微生物を実質的に透過しない微生物電極である。 【0008】この様な本発明の微生物電極は対極と共に用いて、または対極及び参照電極と共に用いて、各種溶液中の物質濃度を測定する微生物センサとすることができる。 【0009】微生物を有機化合物を含む試料溶液に存在させると、微生物は有機化合物をエネルギー獲得のために代謝する。その過程において、呼吸鎖の電子伝達系に電子の移動が起こる。また、微生物のなかには無機化合物をエネルギー獲得のために代謝するものもあり、その際にも電子の移動が起こる。 【0010】この際、代謝される物質濃度と移動する電子の量には相関がある。従って、この移動する電子の量を測定することによって微生物のまわりの物質濃度を測定することができる。この電子の移動量を直接計測することは困難であるので、本発明においては、上記構成を有する微生物電極を対極と共に、または対極及び参照電極と共に、試料溶液に浸漬し、作用電極である微生物電極と対極もしくは参照電極との間に、電子が移動しやすいように一定の電位差を負荷し、両電極間に流れる電流を計測することにより、試料溶液中の試料濃度を測定することとした。 【0011】ここで本発明の微生物電極を使用する際に微生物電極は、上記親水性多孔質膜で被覆された導体の第1の非絶縁部の全体が試料溶液中に浸漬されるが、導体の第2の非絶縁部は試料溶液には浸漬されない。本発明の微生物電極においては、上記導体の第1の非絶縁部が微生物との電子の授受の場として用いられ、第2の非絶縁部が上記電位差を負荷する機器や、両電極間に流れる電流を計測する機器に接続するための接点として用いられるためである。 【0012】また、本発明の微生物電極においては、上記構成に加えて、さらに、前記基板と親水性多孔質膜との間に、前記第1の非絶縁部に対応する部分と少なくとも一部が重なる開口部(第1)を有するスペーサーを備え、前記微生物がスペーサー開口部の内壁と前記基板と親水性多孔質膜とで囲まれた空間に前記第1の非絶縁部に接触可能に封入されていることが好ましい。 【0013】本発明の微生物電極においては、微生物が含まれる部位、具体的には、前記基板と親水性多孔質膜との間あるいは、微生物電極がスペーサーを備える場合には、スペーサー開口部の内壁と前記基板と親水性多孔質膜とで囲まれた空間に界面活性剤を含むことが好ましい。試料溶液中の試料濃度を測定するために本発明の微生物電極を試料溶液に浸漬すると、試料溶液は親水性多孔質膜を透過して上記微生物が含まれる部位に浸透し、親水性多孔質膜内および微生物が含まれる部位に存在していた空気は追い出されるが、上記の様に微生物が含まれる部位に界面活性剤を存在させておくと空気の排出がスムーズに行われる様になる。 【0014】また、スペーサーを備える本発明の微生物電極においては、上記と同様に空気抜きを容易にする目的で、前記スペーサーが、前記開口部から外部に通じる空気孔を少なくとも1個有することが好ましい。 【0015】上記の様に本発明の微生物電極と対極及び必要に応じて参照電極とを別体とした微生物センサを作製してもよいが、本発明ではさらに、微生物センサをより小型化するために、あるいは測定をより簡便化するために、微生物電極と対極とを一体化して以下の構成とした。 【0016】すなわち本発明の微生物センサは、上記本発明の微生物電極と、この電極の平板状絶縁基板の表面に前記第1の導体と互いに接触しないように固着され、第1の非絶縁部および第2の非絶縁部を残して絶縁被覆された対極としての第2の導体と、を備えた微生物センサである。 【0017】この様な本発明の微生物センサを用いて試料溶液中の試料濃度を測定する際には、上記本発明の微生物電極と同様、前記第1の導体の第1の非絶縁部は試料溶液に浸漬されるが、第1の導体の第2の非絶縁部は試料溶液には浸漬されない。また、前記第2の導体の第1の非絶縁部は試料溶液に浸漬されるが、第2の導体の第2の非絶縁部は試料溶液には浸漬されない。本発明の微生物センサにおいて、第1の導体の第2の非絶縁部および第2の導体の第2の非絶縁部は、試料溶液の試料濃度を測定する際に、電位差を負荷する機器や、両電極間に流れる電流を計測する機器に接続される。 【0018】また、本発明の微生物センサにおいて、第2の導体の第1の非絶縁部は、第1の導体の第1の非絶縁部と同程度の面積とすることが好ましい。本発明の微生物センサにおいて、対極として働く上記第2の導体は、上記基板表面に上記第1の導体と互いに接触しないように固着されるが、前記第1の導体と第2の導体は、同一平面上にあることが好ましい。その場合の具体的な構成として、前記第1の導体と第2の導体が略平行に平板状絶縁基板の同一平面上に固着され、前記親水性多孔質膜は第1の導体の第1の非絶縁部の全部および第2の導体の第1の非絶縁部の全部を覆って前記基板に固着された構成を挙げることができる。なお、この場合には、平板状絶縁基板への親水性多孔質膜の固着は、前記第1の導体の第1の非絶縁部と第2の導体の第1の非絶縁部とを分断するように両者の中間部分と外周全部を固着する方法で行われてもよいし、両者が分断されないように外周部分のみの固着する方法で行われてもよい。 【0019】また、上記本発明の微生物電極がスペーサーを備える場合には、微生物センサを、例えば、前記第1の導体と第2の導体が略平行に平板状絶縁基板の同一平面上に固着され、前記親水性多孔質膜は第1の導体の第1の非絶縁部の全部および第2の導体の第1の非絶縁部の全部を覆って前記基板に固着され、前記スペーサーにおける第1の開口部は前記第2の導体の第1の非絶縁部に対応する部分と重なることなく設けられ、さらに必要に応じて、前記スペーサーが、前記第1の開口部とは独立して、前記第2の導体の第1の非絶縁部に対応する部分と少なくとも一部が重なる第2の開口部を有するとともに、前記第2の開口部から外部に通じる空気孔を少なくとも1個有してもよい、構成とすることができる。 【0020】上記必要に応じてスペーサーに設けられる第2の開口部に関しては、スペーサーが疎水性素材で形成される場合に特に、設置が望まれる。この様にスペーサーに第2の開口部が設けられる場合には、スペーサーは前記第1の開口部から外部に通じる空気孔と同様に、前記第2の開口部から外部に通じる空気孔を少なくとも1個有することが好ましい。 【0021】さらに空気抜きに関して、上記第2の開口部を有するスペーサーを備える様な本発明の微生物センサにおいては、前記第2の開口部に対応する部分の親水性多孔質膜の絶縁基板に対向する表面に界面活性剤を塗布することが好ましい。 【0022】本発明の微生物センサにおいては、さらに参照電極を構成の一部に取り入れることも可能であり、例えば、平板状絶縁基板の表面に、上記第1の導体(作用電極)および第2の導体(対極)に加えて、前記作用電極および対極と互いに接触しないようにして第3の導体(参照電極)を設けることで、3極(作用電極、対極、参照電極)一体型の微生物センサとすることができる。 【0023】本発明は、上記の様に平板状に構成された微生物電極あるいは微生物センサを提供するものであり、これにより電極材料、特に、Au、Ag、Pt、カーボン等のペースト材等をスクリーン印刷法などによって大量に印刷することが可能となる等、微生物電極あるいは微生物センサの低コスト化・使い捨て化に貢献し得るものである。また、本発明の微生物電極あるいは微生物センサにおいては、微生物が親水性高分子膜と基板の間に完全に封入されているので、微生物をさらに他の方法で固定化する必要がないことから、応答性、安定性に優れると共に、再現性や耐久性にも優れるものである。 【0024】 【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明する。まず、本発明の微生物電極について、その第1の実施の形態を図1および図2の図面に基いて、次いで、その第2の実施の形態を図3から図5の図面に基いて、説明する。 【0025】(1)本発明の微生物電極(a)本発明の微生物電極における第1の実施の形態図1および図2は、本発明の微生物電極の第1の実施の形態を示す図であり、図1はその正面図、図2は正面図のX−X’線における断面図である。 【0026】微生物電極1は、平板状絶縁基板2と、前記基板の表面に固着され第1の非絶縁部3aおよび第2の非絶縁部3bを残して絶縁性被覆材4によって絶縁被覆された導体(第1)3と、前記第1の導体3の第1の非絶縁部3aの全部を覆って前記基板に固着された親水性多孔質膜5とを備える。また、微生物電極1においては微生物6が、前記基板2と親水性多孔質膜5との間に、前記第1の非絶縁部3aに接触可能に封入されている。さらに、微生物電極1において、親水性多孔質膜5は微生物6を実質的に透過しないような孔径の細孔を有するものである。 【0027】上記微生物6としては、有機物または無機物を代謝することにより電子伝達系に電子の移動が起こるものであればよく、特に制限されない。前核微生物及び真核微生物のいずれも使用できるが、真核生物細胞内では呼吸鎖の電子伝達がミトコンドリア内で行われるため、作用電極としての上記第1の導体3に移動する電子の量が電流として検出されにくいので、物質濃度測定感度の点では前核微生物が好ましい。 【0028】ここで、上記の様な本発明の微生物電極を用いて試料溶液中の試料濃度を測定する場合、濃度測定しようとする物質を代謝することが可能な微生物を適宜選択して用いることが好ましい。また、試料溶液中に様々な物質が溶解していてその内のある物質の濃度を測定したい場合には、測定したい物質を代謝できる微生物を用いて微生物電極を作製すればよい。測定対象物質と微生物の組み合わせについては、例えば、BOD測定では有機物を代謝することにより電子伝達系に電子の移動が起こる微生物であればよく、大腸菌、バチルス属、アシネトバクター属、グルコノバクター属あるいはシュードモナス属に属する細菌、放線菌などの原核微生物や、トリコスポロン属に属する酵母等の真核微生物を挙げることができる。また、その他の測定物質に関しては、好ましい微生物との組み合わせを以下に示す。 【0029】ポリエチレングリコールを測定する場合用いられる微生物は、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aerginosa)等、フタル酸エステルを測定する場合用いられる微生物は、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)、シュードモナス・フルバ(Pseudomonas fulva)等、ポリ塩化ビフェニルを測定する場合用いられる微生物は、アシネトバクター(Acinetobacter)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・パウシモビリス(Pseudomonas paucimobilis)等、フェノールを測定する場合用いられる微生物は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)等、【0030】有機水銀を測定する場合用いられる微生物は、クロストリジウム・コクレアリウム(Clostridium cochlearium)等、メタノールを測定する場合用いられる微生物は、メチロモナス・メチロバラ(Methylomonas methylovara)ハンセヌラ・ポリモルパ(Hansenula polymorpha)等、エタノールを測定する場合用いられる微生物は、ハンセヌラ・アングスタ(Hansenula angusta)、カンジダ・マイコデルマ(Candida mycoderma)、グルコノバクター・ルビギノサス(Glconobacter rubiginosus)IFO3244等、カドミウムを測定する場合用いられる微生物は、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aerginosa)等、トルエンを測定する場合用いられる微生物は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・コンベクサ(Pseudomonas convexa)等、m−キシレンを測定する場合用いられる微生物は、シュードモナス・オバリス(Pseudomonas ovalis)等、【0031】有機硫黄を測定する場合用いられる微生物は、デスルフォビブリオ・デスルフリカンス(Desulfovibrio deseulfuricans)、チオバチルス・チオオキシダンス(Thiobacillus thiooxidans)、チオバチルス・チオパルス(Thiobacillus thioparus)等、ジベンゾチオフェンを測定する場合用いられる微生物は、シュードモナス・アルカリゲネス(Pseudomonas alcaligenes)等、ギ酸を測定する場合用いられる微生物は、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)等、メタンガスを測定する場合用いられる微生物は、メチロコッカス・カプスラタス(Methylococus capsulatus)、メチロコッカス・トリコスポリウム(Methylosinus trichosporium)等、【0032】エタンガスを測定する場合用いる微生物は、アーソロバクター・ペトロレオファガス(Arthrobacter petroleophagus)、マイコバクテリウム・ペトロレオフィルム(Mycobacterium petroleophilum)等、ニコチン酸を測定する場合用いられる微生物は、ラクトバチルス・アラビノサス(Lactobacillus arabinosas)等、アスパラギン酸を測定する場合用いる微生物は、ブレビバクテリウム・カカベリス(Brevibacterium cacaveris)等、グルコースを測定する場合用いる微生物は、グルコノバクター・サブオキシダンス(Glconobacter suboxydans)IFO3172等、グリセロールを測定する場合用いられる微生物は、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)IFO14160等、【0033】L−グルタミン酸を測定する場合用いられる微生物は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)IFO14164等、マルトースを測定する場合用いられる微生物は、シュードモナス・シュードマレイ(Pseudomonas pseudomallei)ATCC15682等、酢酸を測定する場合用いられる微生物は、バチルス・サブチルス(Bcillus subtilus)IFO13719等、スクロースを測定する場合用いられる微生物は、シュードモナス・カリオフィリー(Pseudomonas caryophylli)IFO13591等、S.スターチを測定する場合用いられる微生物は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)IFO14164等である。この様に、測定物質と微生物菌体の好適な組み合わせが例示できるが、本発明がこれらに限定されるものではない。 【0034】これら微生物は、乾燥菌体として微生物電極1の平板状絶縁基板2と親水性多孔質膜5との間に封入することが可能であるが、好ましくは、適当な水溶液中に懸濁させて封入する。 【0035】上記微生物電極1における平板状絶縁基板2は、第1の導体3および親水性多孔質膜5さらに該基板2と親水性多孔質膜5との間に封入される微生物6を支持する働きを有する。すなわち、上記微生物電極1に用いる平板状絶縁基板2としては、平板状で絶縁性を有し、且つ試料溶液中において、作用電極としての第1の導体3および親水性多孔質膜5さらに該基板2と親水性多孔質膜5との間に封入される微生物6を支持する強度を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリエステル等の樹脂、ガラス、試料溶液が浸透しない様に表面処理された紙等を挙げることができる。 【0036】上記微生物電極1において作用電極として働く第1の導体3は、上記平板状絶縁基板上に固着され、第1の非絶縁部3aおよび第2の非絶縁部3bを残して絶縁被覆材4によって絶縁被覆されており、前記第1の非絶縁部3aにおいて試料溶液中の測定対象物質が微生物6により代謝されて生じる電子を受け取る。第1の導体3の第2の非絶縁部3bは、上記微生物電極1を用いて試料溶液中の試料濃度を測定する際に、試料溶液に浸漬されない部分であり、電位差を負荷する機器や、両電極間に流れる電流を計測する機器に接続される。なお、試料濃度測定に際して、微生物電極1は、前記第1の導体3の第1の非絶縁部3aに最も近い末端1aから試料溶液に挿入される。 【0037】第1の導体3の素材としては、安定であり、かつ、導電性が大きく、微生物に実質的に無害なものであればよく、例えば、白金、金、銀等の金属、またはグラファイト、カーボン等の炭素素材が挙げられる。また、その形状としては、特に制限はないが、平板状の絶縁基板2に固定しやすいシート状等が好ましく挙げられる。また、第1の導体3を平板状絶縁基板2に固着する方法としては、用いる導体の素材や形状にもよるが、例えば、蒸着、スパッタ、スクリーン印刷等の一般に用いられる方法を挙げることができる。 【0038】上記絶縁被覆材4としては、電極に通常用いられるエポキシ樹脂等を用いればよい。また、絶縁被覆の方法に関しても、一般的な方法、例えば、スクリーン印刷等の絶縁被覆方法を挙げることができる。 【0039】上記微生物電極1において、前記第1の導体3の第1の非絶縁部3aの全部を覆って前記基板2に固着させて用いる親水性多孔質膜5としては、試料溶液を十分に浸透させることが可能な親水性の素材であれば特に制限されないが、例えば、ニトロセルロース、アセチルセルロース等が好ましく挙げられる。また、上記親水性多孔質膜5の細孔のサイズは、前記基板2と親水性多孔質膜5との間に封入される微生物6を実質的に透過しないサイズであれば特に制限されないが、その他、試料溶液の浸透速度等を考慮して適宜選択される。 【0040】例えば、微生物6として上記シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)等のバクテリアを用いる場合には、親水性多孔質膜5の細孔のサイズは、平均で0.2〜1.0μmの範囲とすることができる。また、微生物6として上記トリコスポロン属等の酵母を用いる場合には、親水性多孔質膜5の細孔のサイズは、平均で0.2〜2.0μmの範囲とすることができる。 【0041】上記親水性多孔質膜5の膜厚に関しては、微生物6を保持するための強度や試料溶液の浸透速度等を考慮して適宜選択されるが、概ね50〜150μmの範囲とすることができる。 【0042】上記親水性多孔質膜5を平板状絶縁基板2に固着する方法としては、用いる親水性多孔質膜の素材や形状にもよるが、例えば、接着剤等による接着、熱圧着、圧着等の一般に用いられる方法を挙げることができる。また、上記平板状絶縁基板2と親水性多孔質膜5との間に微生物6を封入する方法に関しては、具体的には、微生物6を適当な水溶液に懸濁させてこれを親水性多孔質膜上に滴下し、さらに必要に応じて吸引後、前記親水性多孔質膜5の微生物付着面を平板状絶縁基板2に対向するようにして両者を接着する、あるいは、適当な吸入口を残して親水性多孔質膜5と平板状絶縁基板2を接着し、微生物6懸濁液を毛細管現象を利用して前記吸入口から親水性多孔質膜5と平板状絶縁基板2の間に吸引した後、吸入口を密閉する等の方法を挙げることができる。この際、親水性多孔質膜2枚の間に上記同様にして微生物を封入してこれを上記第1の導体3の第1の非絶縁部3aの全部を覆って上記平板状絶縁基板上に固着する方法を用いることもできる。 【0043】上記微生物電極1においては、微生物6が含まれる部位、具体的には、前記基板2と親水性多孔質膜5との間に界面活性剤を含むことが好ましい。試料溶液中の試料濃度を測定するために微生物電極1を試料溶液に浸漬すると、試料溶液は親水性多孔質膜5を透過して上記微生物6が含まれる部位に浸透する。その過程において、親水性多孔質膜内および微生物が含まれる部位に存在していた空気は追い出されるが、上記の様に微生物が含まれる部位に界面活性剤を存在させておくと空気の排出がスムーズに行われる様になる。 【0044】上記界面活性剤は、具体的には、親水性多孔質膜5の基板に対向する表面に予め塗布しておく、微生物6が懸濁液の状態で封入される場合には、この微生物懸濁液に予め混合しておく等の方法で、微生物が含まれる部位に含ませておくことができる。 【0045】上記界面活性剤としては、試料溶液の表面張力を小さくする様に作用するものであれば制限されないが、反応が電気化学的反応を検知するイオン性のものより、非イオン性のものが好ましい。この様な非イオン性界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレン系界面活性剤、ソルビタン系界面活性剤等が挙げられる。さらに具体的には、ポリオキシエチレン系界面活性剤として、トライトンX−100、ツイーン80(共に商品名)等を、ソルビタン系界面活性剤として、スパン60、スパン80(商品名)等を挙げることができる。また、界面活性剤は高濃度で存在すると微生物の細胞膜を破壊する可能性があるので、必要以上に高濃度にすることは好ましくない。微生物の細胞膜を破壊せずに空気を速やかに取り去る適当な界面活性剤濃度は、重量濃度で0.01〜1%程度である。 【0046】また、上記微生物電極1においては、親水性多孔質膜5の内部または表面、あるいは微生物6が含まれる部位等、試料溶液接触部のいずれかにメディエータを含ませてもよい。メディエータは、微生物6により各種物質が代謝されて生じる電子が、第1の導体3に移行するのを促進する作用を有するものである。 【0047】上記メディエータとしては、微生物6から第1の導体3に電子が移行するのを促進するものであればよく、具体的には、1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチルスルフォネート(1−M−PMS)、メチルフェナジニウムメチルスルフォネート(PMS)、2,6−ジクロロインドフェノール(DCIP)、9−ジメチルアミノベンゾ−α−フェナゾキソニウムクロライド、メチレンブルー、インジゴトリスルホン酸、フェノサフラニン、チオニン、ニューメチレンブルー、2,6−ジクロロフェノール、インドフェノール、アズレB、N,N,N’、N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミンジヒドロクロリド、レゾルフィン、サフラニン、ソディウムアントラキノンβ−スルフォネート、インジゴカーミン等の色素、【0048】リボフラビン、L−アスコルビン酸、フラビンアデニンジヌクレオチド、フラビンモノヌクレオチド、ニコチンアデニンジヌクレオチド、ルミクロム、ユビキノン、ハイドロキノン、2,6−ジクロロベンゾキノン、2−メチルベンゾキノン、2,5−ジヒドロキシベンゾキノン、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、グルタチオン、パーオキシダーゼ、チトクロムC、フェレドキシン等の生体酸化還元物質又はその誘導体、その他Fe−EDTA、Mn−EDTA、Zn−EDTA、メソスルフェート、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、フェリシアン化カリウム等が挙げられる。 【0049】(b)本発明の微生物電極における第2の実施の形態図3から図5は、本発明の微生物電極の第2の実施の形態における微生物電極1を示す図であり、図3はその正面図、図4は分解図、図5は正面図のX−X’線における断面図である。 【0050】本発明の微生物電極の第2の実施の形態において、微生物電極1は、平板状絶縁基板2と、前記基板の表面に固着され第1の非絶縁部3aおよび第2の非絶縁部3bを残して絶縁被覆材4によって絶縁被覆された導体(第1)3と、前記第1の導体3の第1の非絶縁部3aの全部を覆って前記基板に固着された親水性多孔質膜5とを備え、さらに、前記平板状絶縁基板2と親水性多孔質膜5との間にスペーサー7を備えるものである。 【0051】上記スペーサー7は上記第1の非絶縁部3aに対応する部分とほぼ重なる位置に第1の非絶縁部3aとほぼ同面積の開口部(第1)8を有し、微生物6はスペーサー7の第1の開口部8の内壁と前記平板状絶縁基板2と親水性多孔質膜5とで囲まれた空間に前記第1の非絶縁部3aに接触可能に封入されている。また、微生物電極1において、親水性多孔質膜5は微生物6を実質的に透過しないような孔径の細孔を有するものである。 【0052】試料濃度測定に際して、微生物電極1は、前記第1の導体3の第1の非絶縁部3aに最も近い末端1aから試料溶液に挿入され、第1の導体3の第1の非絶縁部3aの全体が試料溶液に浸漬されるが、第1の導体3の第2の非絶縁部3bについては試料溶液に浸漬されない状態で使用される。第1の非絶縁部3aは、試料溶液中の測定対象物質が微生物6により代謝されて生じる電子を受け取る部位であり、第2の非絶縁部3bは電位差を負荷する機器や、両電極間に流れる電流を計測する機器に接続される部位である。 【0053】ここで、本発明の微生物電極の第2の実施の形態における微生物電極1は、上記第1の実施の形態における微生物電極の構成に加えてさらに、前記平板状絶縁基板と親水性多孔質膜との間にスペーサーを設けたものである。したがって、第2の実施の形態における微生物電極1における平板状絶縁基板2、導体(第1)3、絶縁被覆材4、親水性多孔質膜5、および微生物6は、上記第1の実施の形態における微生物電極の平板状絶縁基板、第1の導体、絶縁被覆材、親水性多孔質膜、および微生物の態様とそれぞれ同様とすることができる。以下、上記第1の実施の形態における微生物電極にはなく、第2の実施の形態における微生物電極1において新たに設けられたスペーサー7について説明する。 【0054】微生物電極1におけるスペーサー7の材質としては、絶縁性の材料、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の疎水性高分子フィルムや、表面を疎水処理された合成紙等を挙げることができる。また、上記微生物電極1において、スペーサー7は第1の非絶縁部3aに対応する部分とほぼ重なる位置に第1の非絶縁部3aとほぼ同面積の開口部(第1)8を有するが、この第1の開口部8の大きさすなわち面積は、これに限定されるものではなく、その内壁と平板状絶縁基板2と親水性多孔質膜5とで囲まれた空間に微生物6を封入するのに十分な大きさであれば特に制限されない。第1の開口部8の形状やこれを設ける位置についても、上記に限定されるものではなく、第1の開口部8は、上記第1の導体3の第1の非絶縁部3aに対応する部分と少なくとも一部が重なる様な形状でその様な位置に設置されていればよい。 【0055】しかし、上記第1の開口部8の好ましい大きさ、形状、設置位置等は、第1の導体3の第1の非絶縁部3aと同様の形状を有し、第1の導体3の第1の非絶縁部3aと対応する部分に完全に一致するものである。 【0056】また、スペーサー全体の大きさ、形状については本発明の効果を損なわない範囲において自由に選択できるが、上記親水性多孔質膜5と同様の形状で同程度の大きさとすることが好ましい。さらに、スペーサー7の厚さについては第1の開口部8の大きさや微生物6の種類等にもよるが、概ね50〜500μmとすることができる。 【0057】この様にスペーサー7を備える微生物電極1においては、試料溶液中の試料濃度を測定するためにこれを試料溶液に浸漬すると、試料溶液は親水性多孔質膜5を透過して上記微生物が含まれる部位に浸透し、親水性多孔質膜内および微生物が含まれる部位に存在していた空気は追い出されるが、空気抜きを容易にする目的で、スペーサー7は第1の開口部8から外部に通じる空気孔を少なくとも1個有することが好ましい。 【0058】スペーサー7が第1の開口部8から外部に通じる空気孔を1個有する場合には、その位置は、微生物電極1を試料溶液に浸漬する際に最初に試料溶液に浸漬される末端1aから最も離れた位置とすることが好ましい。また、第1の開口部8に封入された微生物6が空気孔から外部に漏出しないように、スペーサー7の空気孔外側に通気性を有するが微生物6を透過させることのないフィルター等を設けることが必要である。空気孔をもう1個設ける場合には、上記試料溶液に浸漬される末端1aに最も近い位置とすることが好ましい。この場合にも上記同様スペーサー7の空気孔外側に微生物6を透過させないフィルター等を設けることが必要となる。 【0059】上記空気抜きに関しては、上記スペーサー7の第1の開口部8の形状によっても影響を受けるので、空気抜きがし易いように第1の開口部8の形状を適宜設計することも効果的である。 【0060】上記の様な本発明の微生物電極の第1の実施の形態または第2の実施の形態における微生物電極を用いた微生物センサは、作用電極として働く微生物電極の他に対極を有し、必要に応じてさらに参照電極を有する。対極の素材としては、白金、銀、金、カーボン等が挙げられる。また、微生物センサを測定試料液に浸漬し、作用電極(微生物電極)と対極との間に電位差を負荷したときに、電極反応が進行するにつれて、電極表面での反応種の濃度は減少し、また生成物の濃度が増加するなどして電極電位が設定した電位からずれてしまうことがある。そこで、Ag/AgCl電極等の参照電極を試料溶液に浸漬し、参照電極を電位設定の基準として作用電極の電位を設定することが好ましい(3極法)。また、上記電極間への電位差の負荷あるいは電流間の電流の測定には、微生物センサに通常用いられる定電圧発生装置やポテンショスタット等を用いるとよい。 【0061】この様に使用される本発明の微生物電極の使用状態を概略的に図6に示す。図6は、微生物電極1と対極(金電極)10とをポテンショスタット30に備えられたクリップに固定し、試料溶液を入れた試料槽31に浸漬して、微生物センサを構成したときの概略図である。測定中は、マグネチックスターラ32を用いて試料液を撹拌し、測定値は、コンピュータ34で記録するものである。 【0062】さらに、試料溶液中に数種類の測定物質が存在する場合には、微生物センサに、各測定物質に対応する微生物が封入された複数本の微生物電極及び対極、必要に応じてさらに参照電極を設けることで、同時に数種類の測定物質の濃度を測定することが可能である。また、微生物電極がメディエータを含まない場合には、より高感度な測定を行うために試料溶液に上記の様なメディエータを添加しておくことが好ましい。 【0063】次に、本発明の微生物センサについて、その第1の実施の形態を図7〜図10の図面に基いて、次いで、その第2の実施の形態を図11〜図14の図面に基いて、さらに、その第3の実施の形態を図15〜図19の図面に基いて説明する。 (2)本発明の微生物センサ(a)本発明の微生物センサにおける第1の実施の形態図7〜図10は、本発明の微生物センサの第1の実施の形態を示す図であり、図7はその正面図、図8は分解図、図9は正面図のX−X’線における断面図、図10は正面図のY−Y’線における断面図である。 【0064】微生物センサ20は、平板状絶縁基板2と、前記基板の表面に固着され第1の非絶縁部3aおよび第2の非絶縁部3bを残して絶縁被覆材4によって絶縁被覆された第1の導体3と、前記平板状絶縁基板2の第1の導体3が固着されたのと同一平面上に前記第1の導体に略平行に固着され第1の非絶縁部10aおよび第2の非絶縁部10bを残して前記絶縁被覆材4によって絶縁被覆された第2の導体10と、前記第1の導体の第1の非絶縁部3aの全部と前記第2の導体の第1の非絶縁部10aの全部を覆って前記基板に固着された親水性多孔質膜5とを備える。 【0065】親水性多孔質膜5は平板状絶縁基板2上に固着されるが、その際に前記親水性多孔質膜5は、前記第1の導体の第1の非絶縁部3aに対応する部分5aと、前記第2の導体の第1の非絶縁部10aに対応する部分5bを残した全面が前記基板に固着される。 【0066】なお、上記微生物センサ20における親水性多孔質膜の平板状絶縁基板への固着は、微生物を少なくとも第1の導体の第1の非絶縁部に接触可能な状態に親水性多孔質膜と平板状絶縁基板の間に保持できるように固着されれば、上記固着方法に限定されず、例えば、親水性多孔質膜の外周部分のみが平板状絶縁基板に固着されるような固着方法も採用することが可能である。 【0067】また、微生物センサ20においては、第1導体の第1の非絶縁部3aの面積と前記第2導体の第1の非絶縁部10aの面積はほぼ同一である。ここで、本発明の微生物センサの第1の実施の形態における微生物センサ20は、上記本発明の微生物電極の第1の実施の形態における微生物電極の構成に加えてさらに、平板状絶縁基板の第1の導体が固着されたのと同一平面上に、第1の導体と略平行に第2の導体10を固着したものである。したがって、本発明の微生物センサの第1の実施の形態における微生物センサ20が備える平板状絶縁基板2、第1の導体3、絶縁被覆材4、親水性多孔質膜5、および微生物6は、上記本発明の微生物電極の第1の実施の形態における微生物電極の平板状絶縁基板、第1の導体、絶縁被覆材、親水性多孔質膜、および微生物の態様とそれぞれ同様とすることができる。 【0068】また、本発明の微生物センサの第1の実施の形態における微生物センサ20において、新たに設けられた第2の導体10については、その素材や形状は上記第1の導体3と同様とすることができる。さらに、第2の導体10の平板状絶縁基板2への固着方法、絶縁被覆方法に関しても、上記第1の導体3の場合と同様とすることができる。上記微生物センサ20は、これを用いて試料溶液中の試料濃度を測定する際に、第1の導体3の第1の非絶縁部3aおよび、第2の導体10の第1の非絶縁部10aは試料溶液に浸漬され、第1の導体3の第1の非絶縁部3aは、微生物6が試料溶液中の測定対象物質を代謝して生じる電子を受け取る。第1の導体3の第2の非絶縁部3bおよび第2の導体10の第2の非絶縁部10bは、試料濃度測定時に、試料溶液に浸漬されない部分であり、電位差を負荷する機器や、両電極間に流れる電流を計測する機器に接続される。なお、試料濃度測定に際して、微生物センサ20は、前記第1の導体3の第1の非絶縁部3aに最も近い末端(以下、「試料溶液挿入端」という)20aから試料溶液に挿入される。 【0069】(b)本発明の微生物センサにおける第2の実施の形態図11〜図14は、本発明の微生物センサの第2の実施の形態を示す図であり、図11はその正面図、図12は分解図、図13は正面図のX−X’線における断面図、図14は正面図のY−Y’線における断面図である。 【0070】微生物センサ20は、平板状絶縁基板2と、前記基板の表面に固着され第1の非絶縁部3aおよび第2の非絶縁部3bを残して絶縁被覆材4によって絶縁被覆された第1の導体3と、前記基板の第1の導体3が固着されたのと同一平面上に前記第1の導体に略平行に固着され第1の非絶縁部10aおよび第2の非絶縁部10bを残して前記絶縁被覆材4によって絶縁被覆された第2の導体10と、前記第1導体の第1の非絶縁部3aの全部と前記第2導体の第1の非絶縁部10aの全部を覆って前記基板2に固着された親水性多孔質膜5とを備え、前記基板2と親水性多孔質膜5との間にスペーサー7を備える。 【0071】スペーサー7は、前記第1の導体3の第1の非絶縁部3aに対応する部分と重なる部分に第1の開口部8を有し、微生物6は、スペーサー7の第1の開口部8の内壁と前記基板2と親水性多孔質膜5とで囲まれた空間に前記第1の導体3の第1の非絶縁部3aに接触可能に封入されている。スペーサー7は、さらに前記第2の導体の第1の非絶縁部10aに対応する部分と重なる部分に第2の開口部11を有する。 【0072】微生物センサ20においてスペーサー7は平板状絶縁基板2および親水性多孔質膜5に、前記第1および第2の開口部8、11部分を残して全面接着されている。 【0073】ここで、本発明の微生物センサの第2の実施の形態における微生物センサ20は、上記本発明の微生物電極の第2の実施の形態における微生物電極の構成に加えてさらに、平板状絶縁基板の第1の導体が固着されたのと同一平面上に、第1の導体と略平行に第2の導体10を固着したものであり、それに伴いスペーサー7にさらに前記第2の導体の第1の非絶縁部10aに対応する部分と重なる部分に第2の開口部11が設けられたものである。 【0074】したがって、本発明の微生物センサの第2の実施の形態における微生物センサ20が備える平板状絶縁基板2、第1の導体3、絶縁被覆材4、親水性多孔質膜5、および微生物6は、上記本発明の微生物電極の第2の実施の形態における微生物電極の平板状絶縁基板、第1の導体、絶縁被覆材、親水性多孔質膜、および微生物の態様とそれぞれ同様とすることができる。また、本発明の微生物センサの第2の実施の形態における微生物センサ20が有する第2の導体10は、上記本発明の微生物センサの第1の実施の形態における微生物センサにおける第2の導体と同様である。 【0075】さらに、本発明の微生物センサの第2の実施の形態における微生物センサ20が有するスペーサー7は、第2の開口部11を有することを除いては、上記本発明の微生物電極の第2の実施の形態における微生物電極のスペーサと同様である。 【0076】微生物センサ20において、スペーサー7の第2の開口部11は、第2の導体10の第1の非絶縁部10aに対応する部分とほぼ重なる位置に第2の導体10の第1の非絶縁部10aとほぼ同面積で設けられているが、この第2の開口部11の大きさ、形状、設置位置等は、これに限定されるものではなく、スペーサー7の第1の開口部8とは独立して、上記第2の導体10の第1の非絶縁部10aに対応する部分と少なくとも一部が重なる様な形状でその様な位置に設置されていればよい。しかし、上記第2の開口部11の好ましい大きさ、形状、設置位置等は、第2の導体10の第1の非絶縁部10aと同様の形状を有し、第2の導体10の第1の非絶縁部10aと対応する部分に完全に一致するものである。 【0077】(c)本発明の微生物センサにおける第3の実施の形態図15〜図18は、本発明の微生物センサの第3の実施の形態を示す図であり、図15はその正面図、図16は分解図、図17は正面図のX−X’線における断面図、図18は正面図のY−Y’線における断面図である。 【0078】微生物センサ20は、平板状絶縁基板2と、前記基板の表面に固着され第1の非絶縁部3aおよび第2の非絶縁部3bを残して絶縁被覆材4によって絶縁被覆された第1の導体3と、前記基板の第1の導体3が固着されたのと同一平面上に前記第1の導体に略平行に固着され第1の非絶縁部10aおよび第2の非絶縁部10bを残して絶縁被覆材4によって絶縁被覆された第2の導体10と、前記第1導体の第1の非絶縁部3aの全部と前記第2導体の第1の非絶縁部10aの全部を覆って前記基板に固着された親水性多孔質膜5とを備え、前記基板2と親水性多孔質膜5との間にスペーサー7を備える。 【0079】スペーサー7は、前記第1の導体の第1の非絶縁部3aに対応する部分と重なる部分に第1の開口部8を有し、微生物6は、スペーサー7の第1の開口部の内壁と前記基板と親水性多孔質膜とで囲まれた空間に前記第1の非絶縁部3aに接触可能に封入されている。スペーサー7は、さらに前記第2の導体の第1の非絶縁部10aに対応する部分と重なる部分に第2の開口部11を有する。また、スペーサー7は、第1の開口部8から、および第2の開口部11から、それぞれ外部に通じる空気孔14および空気孔15を有し、各空気孔の出口にはそれぞれフィルター16およびフィルター17が設けられている。 【0080】微生物センサ20においてスペーサー7は、平板状絶縁基板2および親水性多孔質膜5に、前記第1および第2の開口部8、11部分と空気孔14、15部分を除いて全面接着されている。 【0081】ここで、本発明の微生物センサの第3の実施の形態における微生物センサ20は、上記本発明の微生物センサの第2の実施の形態における微生物センサの構成に加えて、さらに、スペーサー7に、第1の開口部8から、および第2の開口部11から、それぞれ外部に通じる空気孔14および空気孔15を設け、各空気孔の出口にそれぞれフィルター16およびフィルター17を設けたものである。 【0082】したがって、本発明の微生物センサの第3の実施の形態における微生物センサ20が備える平板状絶縁基板2、第1の導体3、絶縁被覆材4、第2の導体10、親水性多孔質膜5、および微生物6は、上記本発明の微生物センサの第2の実施の形態における微生物センサの平板状絶縁基板、第1の導体、絶縁被覆材、第2の導体、親水性多孔質膜、および微生物の態様とそれぞれ同様とすることができる。 【0083】さらに、本発明の微生物センサの第3の実施の形態における微生物センサ20が有するスペーサー7は、第1の開口部8から、および第2の開口部11から、それぞれ外部に通じる空気孔14および空気孔15、各空気孔の出口にそれぞれ設けられたフィルター16およびフィルター17を除いては、上記本発明の微生物センサの第2の実施の形態における微生物センサのスペーサと同様である。 【0084】第3の実施の形態の微生物センサ20において、スペーサー7に設けられた第1の開口部8から外部に通じる空気孔14および第2の開口部11から外部に通じる空気孔15は、前記第1、第2の開口部8、11と同じ幅で、微生物センサ20の試料溶液挿入端20aから最も遠いスペーサー外部に通じている。なお、本発明の微生物センサにおけるスペーサーに必要に応じて設けられる空気孔の形状や位置はこれに限定されないが、上記位置や形状が好ましい。 【0085】上記空気孔14の出口に設けられたフィルター16は、スペーサー7の第1の開口部8に封入された微生物6が微生物センサ20外部に漏出しないように設けられるものであり、空気を透過するが微生物6を実質的に透過させないものが用いられる。上記空気孔15の出口に設けられたフィルター17は設置されても、されなくてもよいが、設置される場合にはフィルター16と同様のものが好ましく用いられる。 【0086】また、空気抜きに関しては、スペーサー開口部の形状によっても影響を受けるが、図19に上記微生物センサ20に好ましく用いられる各種形状の開口部を有するスペーサーの正面図を示す。(a)〜(c)に示されるスペーサー7は、第1の開口部8および第2の開口部11および各開口部からスペーサーの試料溶液挿入端7aと反対側の外部にそれぞれ通じる空気孔、各空気孔の出口にそれぞれフィルターを有する。 【0087】(a)に示されるスペーサーにおいて第1、第2の開口部はともにスペーサーの試料溶液挿入端に近い部分の幅が狭い、略凸形状の開口部であり、(b)に示されるスペーサーにおいて第1、第2の開口部はともにスペーサーの試料溶液挿入端に近い部分の先端が略半円状になった開口部であり、(c)に示されるスペーサーにおいて第1、第2の開口部はともに(a)に示されるスペーサーの開口部と同様に略凸形状であるが、幅の狭い部分が試料溶液挿入端まで延びて外部に通じる空気孔を形成している開口部であり、試料溶液挿入端の空気孔出口にもフィルターが取り付けられている。 【0088】上記の様な本発明の微生物センサ20を用いて、試料溶液の試料濃度を測定する際には、微生物センサを測定試料溶液に浸漬し、作用電極(微生物電極)と対極との間に、電子が移動しやすいように一定の電位差を負荷し、両電極間に流れる電流を計測することにより、試料溶液中の試料濃度を測定することができる。また、上記で述べたように、この場合も、微生物センサと共にAg/AgCl電極等の参照電極を試料液に浸漬し、参照電極を電位設定の基準として作用電極の電位を設定することも可能である。 【0089】ここで、上記微生物センサを用いた各種試料溶液の物質濃度の測定法についてBOD測定を例にして簡単に説明する。BODの測定は、標準試料を用いて検量線を作製し、試料液を用いたとき得られる電流値から試料液のBOD値を求める方法で行われる。つまり、有機物を含有しない緩衝液を用いて対極若しくは参照電極と作用電極との間を流れる電流を測定し、各種濃度の標準試料を用いて電流値を測定し、検量線を作製する。続いて測定試料あるいは前記緩衝液で希釈した測定試料液を用いて同様に電流を測定し、これらの電流値を、標準試料を用いたときの電流値と比較することによりBOD測定を行う。また、内部にメディエータ等を保持する微生物センサを用いる場合には、直接、試料液に浸漬して、対極若しくは参照電極と作用電極(微生物電極)との間を流れる電流を測定し、標準試料を用いたときの電流と比較することによりBOD測定を行う。 【0090】微生物センサを流れる電流は、微生物の種類、電極と微生物との接触面積、メディエータの種類及び濃度、対極と電極との間に負荷する電位差、BOD濃度等に依存するので、これらは予備実験を行って適宜設定するとよい。 【0091】本発明の微生物センサを有機物含有溶液に浸漬すると、センサ内の微生物により、有機物が代謝される。その結果、電子が電子伝達系に移動する。対極と電極との間に電位差を負荷すると、電子が微生物から電極に移行する。その結果、電子が発生しないときと比べて得られる電流が異なる。この電流を計測することにより、有機物濃度、すなわちBODを測定することができる。 【0092】 【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。 【0093】 【実施例1】 微生物センサの作製図7に正面図、図8に分解図、図9に正面図のX−X’線における断面図、図10に正面図のY−Y’線における断面図が示されるのと同様な微生物センサを作製した。 【0094】まず、微生物センサに封入する微生物菌体を調製した。すなわち、シュードモナス・フルオレッセンス(biovar V)を、液体培地(ペプトン5.0g/L、肉エキス3.0g/L、塩化ナトリウム3.0g/L、pH7.0)で、25℃、130rpmの条件下、20時間振盪培養した後、集菌した。次いで、以下の方法で微生物センサ20を作製した。 【0095】平板状絶縁基板2としてガラスエポキシ製シート(20×45×0.8mm)を用いた。この基板2の同一表面上に電解金メッキにより略平行に3×3mmの1つの作用極3と同様のサイズの1つの対極10を形成し、中央部分をレジスト材(グリーンレジスト)4で絶縁被覆した。 【0096】親水性多孔質膜5としては、ニトロセルロースフィルター(アドバンテック社製A080A025A、孔径0.8μm、膜厚150μm、φ25mm)を用いた。この親水性多孔質膜5の作用極非絶縁部3aに対応する部分に、上記で得られたシュードモナス・フルオレセンスの菌体懸濁液OD58050を70μl滴下した。 【0097】この様にして微生物菌体6を保持させた親水性多孔質膜5を、作用極3および対極4の非絶縁部3a、4aを完全に覆い、かつ微生物菌体保持部が作用極3の非絶縁部3aに接触する様にして、上記平板状絶縁基板2上に接着剤により固着した。なお、試料濃度測定時に微生物菌体6が対極の非絶縁部4aに流動していかない様に、親水性多孔質膜5は、作用極3および対極4の非絶縁部3a、4aに対応する部分以外の部分が上記基板上に全面接着されるかたちで固着された。 【0098】 【実施例2】 本発明の微生物センサを用いたBOD測定メディエータ(40mMフェリシアン化カリウム)、0.1Mリン酸緩衝液(何れも最終濃度)を含む溶液(pH7.0)中に上記実施例1で得られた微生物センサを挿入し、ポテンショスタットを用いて作用極に+400mV電圧印加して、電流値の変化により試料溶液(25℃)中のBOD測定を行った。 【0099】試料溶液としては、OECD(経済協力開発機構)の報告書で採用されている下記組成の人工下水を使用した。結果を図20に示す。なお、図20において横軸はBOD5日間法(JIS K0102、ウィンクラーアジ化ナトリウム変法)で測定した前記人工下水のBOD5濃度を示し、縦軸が上記微生物センサにより測定された電流値を示す。 【0100】 【表1】
【0101】この結果から、本発明の微生物センサにより測定される電流値は、従来法で測定したBOD濃度によく対応していることがわかる。 【0102】 【発明の効果】本発明の微生物電極および微生物センサは、応答性、安定性、再現性、耐久性に優れる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000145541 【氏名又は名称】株式会社曙ブレーキ中央技術研究所
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)12月8日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】遠山 勉 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−174017 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月2日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−337481 |
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