| 【発明の名称】 |
円筒形試験片による引張強度試験方法と装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】森川 勝美
【氏名】溝部 有人
【氏名】余 仲達
【氏名】平岩 義隆
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| 【要約】 |
【課題】円筒形状試験片を使用する引っ張り強度測定方法において、シール手段を必要とせず、且つ、加圧媒体の漏れも生じることなく、円筒形の試験片の内面に均一に圧力をかけることができる手段を見いだすこと。
【解決手段】円筒形試験片の内孔に円盤状の中実の天然ゴム、合成ゴムまたはこれ以外の合成樹脂等の高弾性体を配置し、この高弾性体をアムスラー試験機のような加圧機で両端面から加圧する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 円筒形試験片の内周面に圧力をかけ、この試験片の周方向に引っ張り応力を発生させて引張強度を測定する引張強度試験方法において、この試験片の内孔内に高弾性体を配置し、この高弾性体の両端面に加圧板を配置し、この高弾性体の両端面から加圧力を付加することを特徴とする円筒形試験片による引張強度試験方法。 【請求項2】 高弾性体の両端面から付加される加圧力と、この加圧力によって生じる試験片の歪み量から試験片の応力−歪み特性を検出することを特徴とする請求項1に記載の円筒形試験片による引張強度試験方法。 【請求項3】 円筒形試験片の内周面に圧力をかけ、この試験片の周方向に引っ張り応力を発生させて引張強度を測定するための円筒形試験片による引張強度試験装置において、円筒形試験片の内孔内に配置した円盤状の中実高弾性体と、この高弾性体の上下に円盤状の加圧板を配置した内孔加圧治具を有することを特徴とする円筒形試験片による引張強度試験装置。 【請求項4】 高弾性体がJIS K 6301スプリング式硬さ試験による硬さで20〜90であり、引裂き強さが5KN/m以上を示す材料からなることを特徴とする請求項3に記載の円筒形試験片による引張強度試験装置。 【請求項5】 円盤状の加圧板の外径が円筒形試験片の内径より小さくその差が6mm以内であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の円筒形試験片による引張強度試験装置。 【請求項6】 円盤状の高弾性体の中心に貫通孔を設け、この貫通孔に、一端を加圧板に取り付けた芯棒を挿通した請求項3から請求項5のいずれかに記載の円筒形試験片による引張強度試験装置。 【請求項7】 円筒形試験片の外周に歪みゲージを取り付けたことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれかに記載の円筒形試験片による引張強度試験装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックス、耐火物、コンクリート、タイル、陶磁器等の脆性材料の引張強度測定に適した円筒形試験片による引張強度試験に関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、金属材料のような比較的弾性に富んだ材料の引張強度試験は、特定サイズの棒状試験片を作成し、これを、特定の荷重の下で行う引張破壊試験が広く行われている。 【0003】ところが、セラミックス、耐火物、コンクリート、タイル、陶磁器等の脆性材料の場合には、正確なサイズの棒状試験片の作成が難しく、一般に粒度の異なる原料を組み合わせた複合材料であるために破壊位置が一定せず測定値にばらつきが生じやすく、正確な引っ張り強度を測定することが難しい。そのため、脆性材料の引張強度は、曲げ強度の測定や圧縮強度の測定値から、間接的に推定しているのが一般的である。 【0004】このような、間接測定による手間と測定値の正確さを改善するための方法として、試験片を脆性材料であっても作成しやすい円筒形とし、破壊のための荷重として、円筒形の内面に均一に圧力をかけ、周方向に引っ張り応力を発生させて引張強度を測定する方法がある。 【0005】この方法は、棒状試験片を引っ張り破壊する方法と比較し、測定試験片全体に渡り、比較的均一な引っ張り応力を発生させることができるので、試験片間のバラツキは発生しにくいという長所がある。 【0006】この円筒形試験片を使用する引張強度の測定にあたっては、円筒形の試験片の内面に均一に圧力をかける必要がある。 【0007】このための手段として、円筒形試験片の両端面をシール部材で加圧密着することでガスシールした後にその内部にガス圧をかける方法がある。しかしながら、この方法では、円筒形試験片上下端をガスシールする際に円筒形試験片の上下方向に大きな圧縮応力を加える必要があるために測定値に影響がでやすいこと、また、測定装置が大がかりになりやすい欠点がある。 【0008】また、円筒形試験片の内部に液体または気体を充満したゴム状の風船を円筒形試験片の内部に配置して上下端に蓋をした後に風船を膨らませ円筒形試験片に内圧をかける方法もある。この方法では、円筒形試験片の両端面をガスシールする方法での欠点は解消されるにしても、円筒形試験片と押さえ蓋の間隙からゴム状の風船が加圧により膨れ破れやすいといった問題があり一般には普及していない。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、円筒形試験片を使用する引張強度測定方法において、格別のシール手段を必要とせず、且つ、加圧媒体の漏れも生じることなく、円筒形の試験片の内面に均一に圧力をかけることができる手段を見いだすことにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、円筒形試験片の内孔に円盤状の中実の高弾性体を配置し、この高弾性体をアムスラー試験機のような加圧機で両端面から加圧するもので、中実の高弾性体を両端面方向から加圧することを特徴とする。 【0011】本発明に使用する高弾性体は、ゴム状弾性を有する中実の高弾性体からなり、この両端面の何れか一方あるいは両方から加圧すると外周面が膨らみ、加圧を解除すると膨らみがもとに戻るような弾力性を有するものである。この高弾性体としては例えば、天然ゴム、合成ゴムまたはこれ以外の合成樹脂等を使用することができる。 【0012】高弾性体は、加圧によって円筒形試験片が変形することで内面に圧力を与える機能を有するものであるため、そのもとの形状に特に制約はない。ただし、円筒形試験片の内面との隙間が大きすぎると、加圧により高弾性体が大きく変形し、高弾性体の弾性限をこえ高弾性体が破壊するため、弾性限を越えない範囲で変形して内面に圧力を与えることができる大きさが必要である。 【0013】また、より高精度に試験を行うには、円筒形試験片の内面に圧力を均一に与える必要があり、その時は、円盤状の高弾性体を使用すると良い。 【0014】この円盤状の高弾性体は、高さが高すぎると、加圧により試験片の外側に高弾性体の一部がはみ出すため正確な測定ができず、また低すぎると、円筒形試験片内孔ヘの高弾性体の接触面積が少なくなり、一部に圧力がかからなくなり正確な測定ができない。従って高弾性体の高さは、円筒形試験片と高弾性体との隙間の体積に相当する量だけ高いことが理想的であるが、実際には高弾性体の中に気泡等が含まれていたりするため、通常は円筒型試験片の高さの+5mm〜0mmの範囲が好ましい。 【0015】円筒形試験片は、セラミックス、耐火物、コンクリート、タイル、陶磁器等の脆性材料等に好適である。円筒形試験片の肉厚は、材料の強度に応じて適宜決めることができる。例えば、ファインセラミックなどの高強度材料であると薄肉の円筒形試験片にすることで最高加圧力を抑制することができ、また比較的低強度な耐火物などでは、厚肉の円筒形試験片にすることで誤差の少ない測定値を得ることができる。 【0016】高弾性体の硬度は固すぎると上下方向の圧力を円筒形状内壁面に均一に伝えることができず、また軟らかすぎると円筒形試験片と上部、下部加圧板との間隙から高弾性体がはみ出すために上下部の加圧力が円筒形試験片内璧面にリニアーな特性を示さなくなる。 【0017】この高弾性体の硬度としてはJIS K 6301スプリング式硬さ試験による硬さで20〜90が使用可能であり30〜40の硬度であると上記問題も発生せず、円筒形試験片内壁面に均一に圧力を負荷することができることが解った。このときの高弾性体の引裂き強さも5KN/m以上を示すものが繰り返し使用の点で好ましい。 【0018】円盤状の加圧板の外径は、円筒形試験片の内径より小さく、その差が6mm以内であることが好ましい。6mmを越えると加圧時に高弾性体が加圧板と試験片との間にかみこむことがあり正確な測定ができない場合がある。 【0019】加圧板は高弾性体を挟んで加圧するために使用するもので高弾性体が上下面から圧縮されると、高弾性体が円筒形試験片の半径方向にはみ出そうとするが、円筒形試験片と上下の加圧板に阻まれ、円筒形試験片内部の円周方向に引っ張り応力が上下面からの加圧力に応じて発生することになる。そして、円筒形試験片の破断時の圧力より、計算によって引張強度を知ることができる。 【0020】また、円筒形試験片の外表面に発生している応力は計算によって得ることができ、そして、外表面での歪み量の測定結果により材料の引っ張り弾性率を算出することができる。 【0021】歪みゲージを円周方向に複数個配置することにより、材料の各部位での応力−歪み特性を知ることができることから円周方向での組織の均一性を評価することもできる。 【0022】従って、大型形状品等について、組織の欠陥を見つけることができ、これを製造過程にフィードバックすることで、より組織の均一な製品を製造することができる。 【0023】また、耐火物やセラミックス等の大型品は、特に成形段階における配合の充填不良、加圧力の不均一性等により、部分的に欠陥が発生している場合がある。この部分的な欠陥は、使用中のわれ破損等を引き起こすことがあり問題である。このような欠陥を、試験片が破断する際の荷重や歪み量を知ることにより円筒形試験片の物性を直接且つ正確に知ることができる。 【0024】さらに、本発明の引張強度試験によって得た円筒形試験片の応力と、円筒形試験片の外表面に貼り付けた歪みゲージによって得た歪みとの関係を数値化して、測定材料の特性の評価に利用することができる。 【0025】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施例によって示す。 【0026】実施例1本発明の第1の実施例を示す図lにおいて、アムスラー試験機の台座1の上に、スペーサー2を介して内径50mm、外径90mm、高さ50mmの円筒形試験片3を置き、この内孔内に内孔加圧治具が配置されている。内孔加圧治具は、外径48mmの円盤状の下部加圧板4の上に、外径48mm、高さ52mm、JIS K 6301スプリング式硬さ試験による硬さが30の円盤状の高弾性体5が載置されており、さらにこの上に外径48mmの円盤状の上部加圧板6が載置されたものである。 【0027】高弾性体5は、外径は円筒形試験片3の内径より2mm小さく、高さは円筒形試験片の高さより2mm高いものを使用している。また、両加圧板4,6の外径は円筒形試験片3の内径より2mm小さく、鋼製で両面を研磨仕上げしたものを使用している。 【0028】測定は、アムスラーへッド7を下降することで加圧板を介して高弾性体を加圧し、円筒形試験片が破断した時の荷重から円筒形試験片内表面での引張強度を算出することができる。 【0029】スペーサー2は、最初に円筒形試験片を保持するために使用しており、加圧を開始すると、高弾性体が膨らむことにより試験片が保持される。従って、スペーサーは、加圧開始直後に外すか、あるいは弾力性のあるスペーサーの場合には、そのまま使用することができる。 【0030】このように、この測定試験に際しては、加圧手段は曲げ強度や圧縮強度を測定するために使用されているアムスラー試験機に適用することができ、非常に簡便な装置で引っ張り強さの測定が可能となる。 【0031】この装置において、内孔加圧治具に使用する高弾性体5の硬度の最適値について調査した。 【0032】高弾性体5として硬度100、硬度90、硬度40、硬度30,硬度20、硬度10の合成ゴムを選び、外周面に弾性率が明らかで均一な内径φ80mm、外径φ120、高さ50mmのアクリル円筒を配して上下方向から圧力を加えアクリル円筒に引っ張り応力を与えた。 【0033】このときのアクリル円筒の外周面の歪みのバラツキを調べるために外周面の上部、中部、下部に歪みゲージを貼り付け全圧で2tの荷重を加えたときの歪み量を指数化して表1に示している。同表において、硬さ30の合成ゴム使用時の試料中部の歪み量の測定値680μεを100として指数表示している。また、歪み量のバラツキは、歪み量の指数の最大値−最小値で表示した。 【0034】歪みの部位毎の変化が大きいことは、部位毎に加圧力が変化していることを意味し、加圧媒体としてこのような高弾性体を使用するには問題があることを意味する。硬度30、40では上部中部下部ともバラツキがないことからアクリル円筒内面に均一に荷重がかかっており加圧媒体として適していることが分かる。 【0035】硬さが10の高弾性体では試験片と押さえ治具との隙間から弾性体がはみ出してしまい圧力が円筒形試験片内壁面に安定して伝播せず高弾性体の一部が破損した。また、硬さが100と硬い高弾性体を使用した場合には、歪み差が15と大きく、中央部で圧力が伝播せず内壁面の荷重むらが発生することが確認され適当でない。 【0036】更に、硬度30のゴムを使用した場合の、上下方向の圧力が円筒形試験片の内壁面に何割伝播するかをアクリルの弾性率を使用して計算したところ全体の95%が側面にかかることが確認できた。 【0037】高弾性体に加えた荷重のうち95%が、円筒形試験片の内面に均一に伝播していることから、液体ほどの伝達係数ではないが、簡便な方法でむらなく圧力を内壁面に伝える媒体としては優れており、得られた結果も信頼できる数値である。 表1 実施例2図2は、本発明の実施の第2の形態を示す。下部加圧板4の中央に設けた直径15mmの芯棒8を高弾性体5の中心に設けた直径15mmの貫通孔9に挿入し、さらに、この芯棒8を上部加圧板6の直径15.3mmの穴10に挿入した内孔加圧治具を、円筒形試験片3の内孔に配置したものである。これ以外の上下の加圧板4,6、高弾性体5、円筒形試験片3の寸法は、実施例1と同じである。これも図1と同様にアムスラーの上に置いて加圧するだけで、引張強度を知ることができる。 【0038】この実施例の場合、円筒形試験片3の中心軸と上下の加圧板4,6からなる加圧治具の中心軸を一致させたために、加圧の過程で円盤が試験片に接触して偏荷重により破断するといった測定ミスがなくなる。 【0039】この芯棒8の直径と高弾性体5の貫通孔及び上部加圧板6の穴10の内径との隙間はできるだけ少ない方が中心がずれず良いため、隙間は脱着に支障を来さない程度に小さい方が好ましい。 【0040】加圧板は、図2のように円盤状でアムスラー試験機の上に着脱自在に置くタイプのもの、あるいは専用としてアムスラー試験機の台座自体に固定したものでも良い。図2のように内孔加圧治具とすると、既存の圧縮測定装置等と併用する利点がある。 【0041】実施例3図3は、動歪み計で加圧途中の歪み量を連続して検出し、計算により円筒形試験片の応力−歪み特性を知るために、円筒形試験片3の外表面に歪みゲージ11を貼り付けた状態を示す。これによって、外表面での歪み量と発生応力の関係から、円筒形試験片3の引っ張り弾性率を算出し、この弾性率を使用することで円筒形試験片3の内表面に発生する最大引っ張り応力を知ることができる。また、この歪みゲージ11を複数個、円周方向に配置することにより、材料の各部位での応力−歪み特性を知ることができ、円周方向での組織の均一性を評価することができる。 【0042】この装置を用いて、連続鋳造用耐火物としてアルミナ−グラファイト質のロングノズルの先端から内径φ220mm、外径φ270、高さ50mmの円筒形試験片を下端から連続して4カ所切り出し材料の引張強度を測定した。比較例として同じ製造履歴のものから同様の部位で20×20×80mmの試験片を8本切り出して、3点曲げ試験をした。その結果を表2に示す。 【0043】表2 最大引張強度は下端部に行くに従って下がっているが、曲げ強度にこの傾向が見られない。従来の曲げ強度の測定方法では感知することが困難な内在欠陥を本方法で円筒形サンプルの全周に渡って引っ張り応力をかけることで周方向で最も弱い部分で破断させることができるために内在欠陥を容易に見つけだすことができた。 【0044】 【発明の効果】 (1)従来とくらべて簡便な方法で、試験片の全周にわたって引っ張り応力を発生させ材料の最も弱い部分で破断させることができるので材料の引張強度を正確に測定できる。 【0045】(2)従来とくらべてより均一な圧力を試験片に加えることができるようになり、正確な測定結果を得ることができる。 【0046】(3)試験片の各部での特性を検出することで、組織の欠陥を見つけることができ、これを製造過程にフィードバックすることで、より組織の均一な製品を製造することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000170716 【氏名又は名称】黒崎窯業株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月21日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】小堀 益 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−64198 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−225409 |
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